JPH083330B2 - 自動車の伝動装置用玉継手 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車の伝動装置用玉継手に関し、継手ハ
ウジング内に支承シェルが配置され、これらシェル内に
ボールピンが、回動可能に、かつ揺動可能に支承されて
いる形式のものに係る。

自動車の伝動装置用の玉継手には、ピン頚部が継手ハ
ウジングの貫通口縁部にぶつかってハウジングを損傷な
いし破壊する危険が少なくなかった。それによって、延
性のある、もしくは延性のない金属材料製の継手ハウジ
ングは損傷又は破壊されることがある。

この問題の解決策として、ドイツ特許出願公開公報第
3000764号によるタイロッド用の玉継手が公知である。
この公知形式の場合、ボールヘッドは、ボールピンに続
く、ボールのはめ込まれた半球部と、ボール用の半球部
を備えた支承シェル半部とから成っており、この半部の
自由な内方端側がストッパとして構成され、これらのス
トッパが半球部のリング状端面と協働するようになって
いる。複数部分で構成されたボールヘッドをもつこの公
知の玉継手の場合、規定通りに使用するには、無理がか
からないように、定心を精密に同一軸線を中心として行
なわねばならない。加えて、この公知玉継手は比較的支
承面積が小さく、規定通り使用しても単位面積当りの圧
力が高すぎるのである。

したがって本発明の課題は、振幅の制限された改良玉
継手を提供することにある。

この課題を技術的に解決するため、本発明は次のよう
な玉継手を提案するものである。すなわち、一体に構成
されたボールヘッドが、ボールピンに続く小さい半径の
半球部と、大きい半径の内側半球部とを有するように
し、これら双方の半径が同一中心をもち、大きい半球部
が内側支承シェル半部内に支承され、双方の半球部の間
に設けられたリング状段状部が、ストッパとして、小さ
い半球部の外側支承シェル半部と協働するようにするの
である。

この技術思想にしたがって構成された玉継手の場合、
ボールヘッドは一体に構成されている。この結果、本発
明による玉継手は、現在の公知の技術レベルと比較して
構造が簡単であるという利点をもっている。きのこ形に
形成されたボールヘッドの回転ないし揺動の度合は、２
つの半球部のそれぞれの半径が共通の中心をもつように
することで保証されている。２つの半球部の間に設けら
れている段状部は揺動可能である。そのさい、この揺動
の範囲は、この段状部と、小さい半径をもつ半球部を受
容する支承シェル半部の端面とにより制限されている。
従ってボールピンの揺動の範囲も、段状部と外側支承シ
ェル半部の端面とに規定される。この間隔は、ストッパ
を形成する支承シェル半部の端面に沿って変化するの
で、ボールピンの揺動方向に応じて、最大振幅角が変化
する。ストッパとして役立つ支承シェル半部の端面は前
記段状部と面接触し、支承シェル半部は継手ハウジング
内に捩れないように固定される。

本発明により構成された玉継手は、公知形式のものと
比較して、更に、比較的大きな支承面積及びストッパ面
積をもっている利点があり、この結果、支承シェルの材
料で耐えることの可能な単位面積当り圧力以上の圧力は
生じない。ストッパ面でボールピンが揺動を制限される
さいに発生する力は、支承シェル半部によって弾性的に
吸収される。なぜなら、この半部は弾性的なプラスチッ
ク、たとえばポリウレタン又はポリオキシメチレンから
成るからである。また、更に、滑動区域には十分の潤滑
剤供給が保証されているが、特に、外側支承シェル半部
のストッパ面にボールヘッドの段状部が面接触している
ので、ボールピンに無理な力が加わってもボールピンが
継手ハウジングの口縁部にぶつかることがない。

外側支承シェル半部の、ストッパを形成する端面は、
ボールピンが単一平面内のみを揺動するように次のよう
にする。すなわち、ボールヘッドの段状部が、支承シェ
ル半部の端面に180゜ずらされて設けられた２つの頂点
に当接し、ボールピンのボールヘッドの半径中心を通る
揺動軸を中心とする曲率半径をもつようにするのであ
る。

この構成の場合、ボールピンの揺動平面は、ボールヘ
ッド段状部のための180゜ずらされた頂点の結合線に対
し直角に延びていることになる。この段状部が、揺動軸
を中心としてボールヘッドが揺動するさい、頂点のとこ
ろを転動できるようにするため、これら頂点は、揺動軸
と段状部との間隔に等しい曲率半径を有するのである。
つまり、この間隔は、ボールピンがその揺動軸を中心と
して揺動するさいに変化することがないので、この段状
部は、前記間隔に相応する曲率で頂点の周囲を同一平面
内で揺動可能である。ボールピンの揺動運動は、頂点を
有する支承シェル半部の端面の、前述の曲率半径を有し
ていない区域であるストッパ面で制限される。

このようにして、段状部の広い面積がストッパ面に接
触するので、支承シェル半部への圧力が吸収され、局部
的な圧力ピークが避けられる。

更にまた、少なくとも１つの支承シェル半部が、ピン
軸方向に単数もしくは複数のばねを介して継手ハウジン
グに支えられるように構成されている。このばねは、玉
継手組立のさいに初応力を与えられ、玉継手構成部分の
製作を容易にし、特に支承面の損耗で生じるずれによる
摩耗が防止される。加えて、これら単数又は複数のばね
は、段状部がストッパに当たったときの衝撃を弾性的に
吸収するのに役立つ。すなわち、ばね作用をもつ支承シ
ェル半部の僅かな位置のずれがあっても、ばね力によっ
てボールピンが動くのを可能にするのである。ばねは、
たとえば、渦巻きばねを用いることができる。このばね
は、継手ハウジングのふたと、ふたに隣接する支承シェ
ル半部とに支えられている。

これらのばねは、しかし、また、継手ハウジングのふ
たに支えられる突起によっても形成できる。これらの突
起は、継手ハウジングのふたに隣接する支承シェル半部
上に半径方向に延びるようにし、それによって付加的な
ばねが不要になる。突起を備えた支承シェル半部は、ポ
リウレタンのようなプラスチックで製作される。

更に、ハウジングのふたに隣接する支承シェル半部の
突起には、半径方向に延びるスリットが隣接していて、
これらスリットの間には剛性のストッパが形成されてい
る。こうすることにより、軸方向圧縮による突起の過剰
な圧迫が防止される。突起の側方への膨張はスリットの
制限壁によって制限されるが、側方へ座屈することによ
り、ばね力は漸増する。突起が完全にスリットを埋めて
しまうと、剛性ストッパによって、突起はそれ以上変形
することなく、損傷が防止される。

次に、添付図面につき、本発明による玉継手の細部を
説明する。

第１図は、継手ハウジング１と、ハウジング内に保持
された内側支承シェル半部２および外側支承シェル半部
３から成る支承シェルと、支承シェル半部2,3内に支承
されたボールヘッド４のボールピン５とを有する玉継手
を示している。内側支承シェル２は、中央部が突出し
た、ハウジングのふた６のところに、また外側支承シェ
ル３はボールピン側を囲む内側段７のところに支えられ
ている。内側段７は、同時にボールピン５用の貫通口８
の縁部を形成している。ボールピン５の円錐形ボールピ
ン頚部９は縁部に衝突しないように守られている。

ボールヘッド４は、大きい半径を有する内側半球部10
と小さい半径をもつ外側半球部11とから成っている。半
球部10,11は、相応の内径をもつほぼカップ状の支承シ
ェル半部2,3内に支承されている。内側半球部10は円板
状のキャップ12を有し、その上部にグリース溜め13が充
填口付きの内側支承シェル半部２とで設けられている。
半球部10,11は共通の中心Ｒをもち、この中心Ｒを中心
として、ボールヘッドは半部2,3内を揺動可能である。

半球部10,11の間には、ボールヘッド４の周囲の段状
部14が形成されている。ピン５の揺動範囲は段状部14
が、隣接の外側支承シェル半部３の端面に衝突すること
によって制限される。端面15の頂点Ｓで段状部14が端面
15に係合する。端面15は、180゜ずらされたところに、
別の頂点Ｓを有する段状部14用接触域を有している。こ
の接触域も対称に構成されている。

段状部14用の端面15は、頂点Ｓと頂点Ｓとの間が湾曲
しており、段状部14は、同平面に対して直角に半径中心
Ｒを通って延びる揺動軸を中心として揺動運動を行なう
さい、これらの接触域上を転動可能になっている。この
ため、接触域は、中心点Ｒを通る揺動軸と段上部14の間
隔（距離Ｒ−Ｓ）に等しい曲率半径を有している。この
ようにして、ボールピン５は、もっぱら図平面内での揺
動が可能になる。更に、ボールピン５はピン軸を中心と
したあらゆる揺動位置で回転可能である。

端面15は、その頂点Ｓがボールヘッド４の半径中心Ｒ
を通る揺動軸を中心とした曲率半径を有すると共に、ボ
ールピン５の揺動を制限するストッパ面16を有してい
る。ストッパ面16はボールピン５の揺動角を制限し、こ
の揺動角以内でピン５は、その段状部14を介し広い面積
をもってストッパ面16に接触する。図示の実施例では、
曲率半径を有する接触域は小さく、第１図でははっきり
分からない。ボールピン５の最大揺動角も小さいからで
ある。

この玉継手および組立てを更に細かく見るために第２
図と第３図を参照せねばならない。また、外側支承シェ
ル半部３を継手ケーシング１内へ押し込む。この結果、
この半部３は初応力を発生しつつ保持される。第２図、
第３図で、よりよく分かるように、端面15の頂点Ｓとス
トッパ面16を連続している。

外側支承シェル半部３内へは、外側半球部11がはめ込
まれる。、ボールピン５の内側半球部10には、次いで、
内側支承シェル半部２がかぶせられる。この半部２は、
ハウジングのふた６に向いた側のところに半径方向に延
びるリブ状の突起17を有している。これらの突起は、玉
継手が完全に組立てられると、ふた６に支えられること
になる。突起17と並んで、同じく半径方向に延びるスリ
ット18が設けられており、これらのスリット18の間には
剛性のストッパ19が形成されている。最後に、ハウジン
グのふた６を内側支承シェル半部２の上にかぶせ、ハウ
ジング縁20を内側へ押し曲げて固定する。これによっ
て、突起17はある程度圧縮され、弾性的に初応力が生ぜ
しめられる。弾性的なプラスチック製内側支承シェル半
部２の最大変形は、ストッパ19がハウジングのふた６の
ところに密着した場合に生じる。

【図面の簡単な説明】

第１図は継手ハウジングを部分的に断面して示した本発
明による玉継手の前面図、第２図は第１図の玉継手の分
解図、第３図は、第２図のIII−III線に沿ってカットし
た支承シェル半部の斜視図である。 図において、１……継手ハウジング、２……外側支承シ
ェル半部、３……内側支承シェル半部、４……ボールヘ
ッド、５……ボールピン、６……ハウジングのふた、７
……内側段、８……貫通口、10……内側半球部、11……
外側半球部、12……キャップ、13……グリース溜め、14
……段状部、15……端面、16……ストッパ面、17……突
起、18……スリット、19……ストッパ、20……ハウジン
グ縁部、Ｒ……中心、Ｓ……頂点。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】貫通口（８）を有する継手ハウジング
   （１）と、 該継手ハウジング内にあるボールヘッド（４）及び該ボ
   ールヘッドから前記貫通口を介して軸方向に延びている
   ボールピン（５）を有する自動車の伝動装置用玉継手に
   おいて、 前記ボールヘッド（４）は、内側半球部（10）と、該内
   側半球部と前記ボールピン（５）との間の外側半球部
   （11）とを有し、該外側半球部の半径が前記内側半球部
   の半径より小さく、これら半球部が共有の中心（Ｒ）を
   有し、前記内側及び外側半球部（10、11）がそれら２つ
   の半球部の間に段状部（14）を形成し、 前記継手ハウジング（１）内で回転及び揺動運動のため
   に前記ボールヘッド（４）を支持する支承シェル（２、
   ３）を備え、該支承シェルが前記内側半球部（10）を支
   持する内側支承シェル半部（２）と、前記外側半球部
   （11）を支持する外側支承シェル半部（３）とを有し、
   前記ボールピン（５）がある側と反対側に前記内側支承
   シェル半部（２）と前記内側半球部（10）との間にグリ
   ース溜め（13）を形成し、前記外側支承シェル半部
   （３）に前記ボールヘッド（４）の前記段状部（14）と
   係合するための端面（15）を設け、該端面に180度ずら
   された頂点（Ｓ）を形成して前記ボールヘッド（４）を
   揺動可能にしたことを特徴とする玉継手。
2. 【請求項２】前記端面（15）の前記頂点（Ｓ）が前記ボ
   ールヘッド（４）の半径中心（Ｒ）を通る揺動軸を中心
   とした曲率半径を有していることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の玉継手。
3. 【請求項３】前記端面（15）が前記ボールピン（５）の
   揺動を制限するストッパ面（16）を有することを特徴と
   する特許請求の範囲第２項記載の玉継手。
4. 【請求項４】前記ハウジング（１）がふた（６）を有
   し、該ふたにより前記支承シェル半部（2,3）がピン軸
   方向に弾性応力を与えられて支えられていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の玉継手。
5. 【請求項５】前記弾性応力が、前記ふた（68）に支えら
   れる突起（17）によって形成され、これら突起が前記ふ
   た（６）に隣接する前記支承シェル半部（２）上に半径
   方向に延びて設けられていることを特徴とする特許請求
   の範囲第４項記載の玉継手。
6. 【請求項６】前記突起（７）に隣接して半径方向に延び
   るスリット（18）を前記支承シェル半部（２）に形成す
   ると共にこれらスリット（18）の間に剛性ストッパ（1
   9）を形成したことを特徴とする特許請求の範囲第５項
   記載の玉継手。