JPH08328399A - 電子写真式カラー画像形成方法及びそれに用いる装置 - Google Patents

電子写真式カラー画像形成方法及びそれに用いる装置

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JPH08328399A
JPH08328399A JP8077191A JP7719196A JPH08328399A JP H08328399 A JPH08328399 A JP H08328399A JP 8077191 A JP8077191 A JP 8077191A JP 7719196 A JP7719196 A JP 7719196A JP H08328399 A JPH08328399 A JP H08328399A
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JP
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electrophotographic
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Application number
JP8077191A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Yusuke Nakazawa
雄祐 中沢
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Color Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】トナー画像の転写性に優れ、色ずれがなく、高
精細、高画質のカラー画像が簡便に且つ安定に得られ、
被転写材の種類を選ばないで優れたカラー複写物が得ら
れる。更に時間の短縮化及び感光体の耐久化が達成でき
る。 【解決手段】 剥離性表面を有する電子写真感光体11上
に電子写真プロセスで1色以上のトナー画像3を形成
し、該トナー画像を有する感光体上に熱可塑性樹脂
(A)を含有する剥離可能な転写層12を形成した後、該
トナー画像3を転写層12ごと被転写材16に転写してカラ
ー画像を形成する。更に、剥離性表面を有する感光体11
を、剥離性化合物(S)を感光体11上に供給することで簡
便に得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー複写機、カラー
プリンター、カラープルーファー、カラーチェッカー等
の分野に適用できる電子写真式カラー画像形成方法及び
それに用いる装置に関する。特に、高画質のカラー複写
画像を安定に繰り返して形成する電子写真式カラー画像
形成方法に関する。
【0002】
【従来技術】電子写真感光体表面上に直接電子写真プロ
セスにより複数色のトナーを順次重ねて現像して多色カ
ラー画像を形成した後、印刷用本紙等の被転写材へ一度
に転写することにより、カラー印刷物、カラー複写物又
はカラープルーフ(印刷用校正刷り)とする方法が知ら
れている。かかる現像法には、いわゆる乾式現像法と湿
式現像法がある。湿式現像法を用いて得たカラー画像
は、乾式現像法の場合と比べて、各色の色ずれがなく、
高解像度のカラー画像が得られるため好ましいが、感光
体表面から直接本紙に湿式トナー像を完全に転写するこ
とは極めて難しい。
【0003】この課題を解決すべく、特開平2−272
469号には、転写時に被転写材と感光体との間に非水
溶媒を供給したのち静電的に転写する技術が開示されて
いる。また、特開平2−115865号及び同2−11
5866号には、感光体表面に予め透明フィルムを積層
した後、電子写真プロセスによりフィルム上に湿式トナ
ー画像を形成し、次いでフィルムを感光体から剥雛し、
普通紙に貼り付けて画像を転写する方法が開示されてい
る。しかしこの場合、積層するフィルムは9μmの厚み
が適当とあるが、このような厚みのフィルムの製造、ハ
ンドリングは極めてやっかいであり、そのための対策を
別途講じる必要がある。
【0004】更に、特公平2−43185号には、光透
過性基体上に光導電層、その上に透明誘電性支持体を有
する感光材料を光透過性基体を通して画像露光し、誘電
性支持体上に色分解像をオーバーラップして形成し、支
持体ごと被転写材上に転写する方法が開示されている。
この方法は、感光材料は使い捨てであるにもかかわら
ず、光透過性基体を用いなければならないため、コスト
面で極めて不利である。
【0005】一方、特開平1−112264号、同1−
281464号及び同3−11347号には、乾式現像
法を用いた電子写真転写法において、剥離可能な転写層
を予め感光体表面に設け、この上にトナー画像を形成
し、次いでトナー画像を転写層ごと本紙へ転写するとい
う技術が開示されている。しかしながら、これらの技術
においては、感光体を繰り返し使用する場合には、転写
時に特別の操作が必要であったり、転写層の形成に困難
を伴う等の問題がある。また、予め転写層(あるいは剥
離層)が形成された感光体を使用する方法では、感光体
を使い捨てにしなければならず、コスト面での不利は免
れ得ない。
【0006】他方、特開平2−265280号には、感
光層上のトナー画像を高平滑性の一次中間転写媒体に転
写した後、最終被転写材上に再転写する方法が記載さ
れ、更に、特開平3−243973号及び同4−908
7号には、特殊な転写媒体を用いることにより、湿式ト
ナーでも良好な転写カラー画像が得られることが記載さ
れている。これらの方法においては、最終被転写材の表
面凹凸の影響を受けることなくトナー画像を鮮明に転写
できるとされているが、トナー画像を一次中間転写媒
体、更に最終被転写材上に転写するため、得られるカラ
ー画像に欠落又は濃度のムラが見られる。特に細線、細
文字等の細かな画像部の欠落がしばしば認められる。更
に、転写工程後の感光体表面にはトナー画像が残存す
る。ことのことは、感光体を繰り返し使用する場合に
は、感光体表面のクリーニングの必要性が生じ、そのた
めの装置の設定、クリーニングによる感光体表面の損傷
等が問題となってくる。
【0007】このように、従来の中間転写媒体を用いた
カラー画像形成方法では、充分満足できるカラー画像が
得られない、繰り返し使用する場合に中間媒体の性質が
変化して安定した性能を長期に維持することが難しい、
性能維持のために使い捨てとなる部材が生じる、特殊な
転写媒体を用いる必要があるなどの種々の問題がある。
【0008】また、特開平5−181324号、同5−
181325号及び同5−197169号には、感光体
が繰り返し使用可能で湿式トナーを用いたカラー画像形
成方法として、剥離性表面を有する感光体上に熱可塑性
樹脂から成る剥離可能な転写層を設け、この上に電子写
真プロセスでトナー画像を形成した後、被転写材上に転
写層ごとトナー画像を転写する方法が記載されている。
これらの方法によれば、転写層ごとトナー画像を転写す
ることで、トナー画像を劣化させることなく完全に被転
写材に転写でき、且つ転写層を電子写真装置内で感光体
上に形成させることで感光体の繰り返し使用が可能とな
り、低コスト化が実現できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法においては、転写層が電子写真プロセスに悪影響
を与えないように設ける必要がある。即ち、転写層を形
成した感光体上に、通常の電子写真プロセスによりトナ
ー画像を形成するため、転写層は電子写真特性(Ep特
性)を満足する必要がある。
【0010】更に、転写層は転写時に被転写材と充分に
密着することが大切であるが、トナー画像部の影響ある
いは被転写材の表面状態の影響を受けやすく、トナーの
種類や被転写材の種類にかかわらず安定した高精細な画
像を得ることは難しいという問題がある。特に、転写層
の転写性を満足させるためには、被転写材に制約があ
り、例えば、普通紙等の平滑性の比較的劣る被転写材の
場合には転写層の密着性が低下し、結果として転写性が
充分ではないことが判った。更に、カラー複写物に加筆
・捺印等をしても支障を生じず、また、各種シートに入
れ重ねてファイリングしても転写層の剥がれを生じない
等複写物の保存安定性が良好であることが望ましい。
【0011】1つの転写層に、Ep特性、転写性及び保
存安定性の全てを満足させることは容易なことではな
い。用いられる樹脂の重合成分や分子量といった重合体
の一次構造に依存することが多い。特に、Ep特性の良
否は、樹脂の帯電性、暗減衰(DQR)による影響が大
きく、転写層の膜厚が5μmを越えると更にその影響は
顕著になる。その結果、複写画像の濃度低下、細線・文
字の欠落等画像再現性に不都合を生じ易い。他方、転写
層を薄層化すると、転写性が悪化する傾向にあるため、
電子写真特性と転写性の両方を満足させるのは非常に困
難であった。
【0012】本発明は以上のような従来公知の電子写真
式カラー画像形成方法の有する課題を解決するものであ
る。本発明の目的は、トナー画像の転写性に優れ、色ず
れがなく、高精細、高画質のカラー画像を簡便に且つ安
定に得られるとともに、被転写材の種類を選ばないで優
れたカラー画像を再現することができる転写層を用いた
電子写真式カラー画像形成方法を提供することにある。
【0013】特に、転写層の膜厚が薄く、転写条件が緩
和されて、例えば転写温度が低温になったり、あるいは
転写速度が高速度になっても、依然転写層及びトナー画
像が良好に被転写材に転写される電子写真式カラー画像
形成方法を提供することを目的とする。更に、電子写真
装置内でシンプルな構成の転写装置を用いて転写がで
き、感光体を繰り返し使用して低ランニングコスト化を
達成でき、更に、時間短縮が可能で、感光体の耐久性が
向上したカラー画像形成方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、剥
離性表面を有する電子写真感光体上に電子写真プロセス
で1色以上のトナー画像を形成し、該トナー画像を有す
る感光体の上にガラス転移点140℃以下又は軟化点1
80℃以下の熱可塑性樹脂(A)を主として含有する剥
離可能な転写層を形成した後、該トナー画像を転写層ご
と被転写材に転写することを特徴とする電子写真式カラ
ー画像形成方法により達成されることが見出された。
【0015】本発明の電子写真式カラー画像形成方法
は、その概要を図1に示すように、少なくとも支持体1
及び感光層2からなる電子写真感光体11上に、通常の
電子写真プロセスを用いて1色以上のトナー画像3を形
成し、そのトナー画像3を設けた感光体11の上に熱可
塑性樹脂(A)を主として含有する転写層12を設けた
後、トナー画像3と転写層12とを一括して被転写材1
6に転写してカラー複写物を得るものである。
【0016】上記のように、本発明は感光体上に通常の
電子写真プロセスによりトナー画像を形成した後、その
上に転写層を形成することを大きな特徴とする。公知の
転写層を用いた電子写真式カラー画像形成法では、転写
層を設けた感光体上に電子写真プロセスによりトナー画
像を形成するため、用いる転写層は電子写真特性(帯電
性、暗中電荷保持率、光感度等)を劣化させずに良好な
複写画像を形成するための条件を満足する必要があっ
た。
【0017】本発明によれば、転写層はトナー画像形成
後に形成されるため、上記電子写真特性への影響を勘案
することなく、熱転写プロセスでの転写性の維持及び膜
の機械的強度の保持を満足させるよう設計すればよく、
用いる樹脂の電気絶縁性を無視することができる。この
結果、転写ラチチュードの拡大(転写圧や転写温度の軽
減、転写速度の向上)を達成でき、また、被転写材の種
類を選ばずにトナー画像の形成が可能になる。更に、転
写層なしで感光体上にトナー画像が形成されるため、画
像再現性の点でも有利である。
【0018】また、トナー画像を形成した感光体上に転
写層を設け、転写層ごとトナー画像の転写を行うので、
色ずれがなく、高精細、高画質のカラー画像を簡便に安
定して得られるとともに、トナー画像が容易に完全に転
写できる。また、トナー画像を有する感光体上に転写層
をその都度形成することにより、転写層を剥離させた後
の感光体を繰り返し用いることができる。
【0019】更に、従来の転写層を用いたカラー画像形
成方法によれば、転写層形成工程と被転写材への転写工
程との間に、電子写真プロセスによるトナー画像形成工
程があったのに対し、本発明においては、転写層形成後
直ちに被転写材への熱転写工程に入ることができるた
め、トナー画像形成のための転写層の冷却、更に熱転写
のための加熱を省略することができる。これにより、シ
ステム全体の時間を短縮できるのみならず、感光体の加
熱時間が削減できるため、感光体の耐久性向上に有利で
ある。
【0020】また本発明は、上記の方法を行うために好
適な、電子写真感光体上に電子写真プロセスによりトナ
ー画像を形成する手段、該トナー画像を形成した感光体
上に剥離可能な転写層を設ける手段、及び被転写材に感
光体から該トナー画像を転写層ごと転写する手段を少な
くとも有することを特徴とする電子写真式カラー画像形
成装置を提供する。
【0021】以下本発明を更に詳述する。まず、本発明
に供せられる電子写真感光体について説明する。
【0022】電子写真感光体としては、従来公知のいず
れのものでも用いることができる。重要なことは、感光
体上に形成されたトナー画像を後に転写層とともに容易
に剥離できるように、感光体の表面が、トナー画像形成
時に剥離性を有することである。特に本発明では、トナ
ー画像形成時の感光体表面のJIS Z0237-1980の「粘着テ
ープ・粘着シート試験方法」による粘着力が100gram
・force(g・f)以下であることが好ましい。このよう
に剥離性を調整することにより、感光体上に形成された
トナー画像及び転写層を被転写材に一括して容易に剥離
転写することができる。
【0023】上記JIS Z 0237-1980 「粘着テープ・粘着
シート試験方法」による粘着力の測定は、8.3.1 の18
0度引きはがし法に従い、以下の修正を加えて行う。 「試験板」としてトナー画像及び転写層が形成される
べき電子写真感光体を用いる。 「試験片」として6mm巾のJIS C 2338-1984 に従って
製造された粘着テープを用いる。 定速緊張形引張試験機を用い、120mm/分の速さで
引きはがす。 即ち、上記試験板に、上記試験片の粘着面を下側にし
て、試験片の上からローラを約300mm/分の速さで一
往復させて圧着する。圧着後20〜40分の間に、定速
緊張形引張試験機を用い、約25mmはがした後、120
mm/分の速さで引きはがす。20mmはがれるごとに力を
読み取り、計4回読み取る。試験は3枚の試験片につい
て行い、3枚の試験片から測定した12個の平均値を求
め、これを10mm巾当たりに比例換算する。
【0024】電子写真感光体表面の粘着力は、より好ま
しくは50g・f以下、特に好ましくは30g・f以下
である。
【0025】また、感光体はその表面平滑性が良好なこ
とが望ましく、JIS B 0601で定義される「算術平均粗さ
(Ra)」をJIS B 0651に記載される触針式表面粗さ測
定器により測定して得られる値が2.0μm以下{但
し、カットオフ値(λc)0.16mm、評価長さ(ln
2.5mm}、特に1.5μm以下であることが好まし
い。感光体表面の平滑性が算術平均粗さ(Ra)で2.
0μm以下であると、転写時に転写層が剥離し易いため
転写性が更に良化し、高精細な画像の転写に特に有効で
ある。
【0026】剥離性表面を有する感光体を得るには、具
体的には、予め剥離性表面を有する感光体を用いる方
法、及び通常汎用される電子写真感光体の表面に後述す
る剥離性化合物(S)を適用することで感光体表面に剥
離性を付与する方法が挙げられる。
【0027】前者の方法に用いることができる、剥離性
表面を有する感光体の例としては、アモルファスシリコ
ンの表面を剥離性に改質した光導電体を用いたものが挙
げられる。電子写真感光体において、アモルファスシリ
コンを主として含有する電子写真感光体の表面を剥離性
に改質する方法としては、フッ素原子及び/又はケイ素
原子を含有するカップリング剤(シランカップリング
剤、チタンカップリング剤等)等でアモルファスシリコ
ン感光体表面を処理する方法があり、特開昭55−89
844号、特開平4−231318号、特開昭60−1
70860号、同59−102244号、同60−17
750号等に記載されている。また、他の方法として
は、後述する剥離性化合物(S)、特にフッ素原子及び
/又はケイ素原子を含有する成分をブロックで含有する
化合物(例えばポリエーテル、カルボン酸、アミノ基、
カルビノール等変性のポリジアルキルシリコン類等)を
吸着固定する方法が挙げられる。また、剥離性表面を有
する感光体の他の例としては、電子写真感光体がその表
面近傍ににケイ素原子及びフッ素原子の少なくとも一方
を含有する(ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有)重
合体成分を含有する重合体を含むものが挙げられる。
【0028】ここで、電子写真感光体の表面近傍とは、
感光体の最上層を意味し、光導電層の上に設けられるコ
ーバーコート層、及び最上の光導電層を包含する。即
ち、光導電層を有する感光体の最上層としてオーバーコ
ート層を設け、このオーバーコート層に上記重合体を含
有させ剥離性を付与したもの、又は光導電層(光導電体
単一層及び光導電体積層のいずれでもよい)の最上層に
上記重合体を含有させ、その表面を剥離性が発現する状
態に改質させたもの等が挙げられる。このような感光体
は、その表面が良好な剥離性を有するため、トナー画像
と転写層とが一括して被転写材上に容易且つ完全に転写
されるものである。
【0029】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与するには、その層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体を用いれば
よい。あるいは、以下に述べる如きケイ素原子及び/又
はフッ素原子含有の重合体成分から成る重合体セグメン
トを含むブロック共重合体(表面偏在型共重合体)を他
の結着樹脂とともに少量用いることも好ましい。また、
かかるケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の樹脂を粒
子の形で併用することもできる。なかでも、オ−バ−コ
−ト層を設ける場合には、光導電層とオーバーコート層
の密着性を充分に保持できることから、表面偏在型共重
合体を他の結着樹脂と併用する方法が好ましい。
【0030】上記表面偏在型共重合体は、通常オーバー
コート層全組成物100重量部中0.1〜20重量部の
割合あるいは最上の光導電層全組成物100重量部中
0.5〜30重量部の割合で使用することができる。
【0031】そのようなオーバーコート層としては、具
体的には、乾式トナーを用いたPPC感光体において、
感光体の繰り返し使用に対する感光体表面の耐久性を保
持する1つの手段として公知となっている、感光体上に
表面層を設けて保護するために用いられる保護層が挙げ
られる。
【0032】例えばシリコーン系ブロック共重合体を利
用した保護層に関する技術として、特開昭61−953
58号、同55−83049号、同62−87971
号、同61−189559号、同62−75461号、
同61−139556号、同62−139557号、同
62−208055号等に記載のものが挙げられる。ま
た、フッ素系ブロック共重合体を利用した保護層とし
て、特開昭61−116362号、同61−11756
3号、同61−270768号、同62−14657号
等に記載のものが挙げられる。更には、フッ素原子含有
重合体成分を含有する樹脂を粒子の形で併用する保護層
として、特開昭63−249152号及び同63−22
1355号に記載のものが挙げられる。
【0033】また、最上の光導電層の表面を剥離性が発
現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂とを
少なくとも用いた、いわゆる分散型の感光体を用いる場
合に有効に適用される。即ち、光導電層の最上層を構成
する層に、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重合
体成分を含有する重合体セグメントをブロックで含有す
るブロック共重合体の樹脂、及びケイ素原子及び/又は
フッ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒子の少な
くともいずれか一方を共存させることにより、これらの
材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥離性表面
に改質することができる。この共重合体及び樹脂粒子に
ついては特開平5−197169号に記載されているも
のを挙げることができる。
【0034】更に表面偏在化をより強固にするために、
オーバーコート層や最上の光導電層の結着樹脂として、
ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重合体セグメン
トと、熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合
体セグメントとを少なくとも1種ずつブロックで結合し
て成るブロック共重合体を用いることができる。かかる
熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグ
メントについては、特開平5−197169号に記載さ
れているものを挙げることができる。あるいは、光及び
/又は熱硬化性樹脂を、フッ素原子及び/又はケイ素原
子含有樹脂とともに併用してもよい。
【0035】感光体表面を改質するのに有効な本発明の
ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体成分
を含有する重合体は、樹脂{以下樹脂(P)と称する}
又は樹脂粒子{以下樹脂粒子(PL)と称する}の形で
用いられる。
【0036】重合体がランダム共重合体である場合に
は、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体
成分は、全重合体成分中60重量%以上であることが好
ましく、より好ましくは80重量%以上である。より好
ましくは、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する
重合体成分を50重量%以上含有する重合体セグメント
(α)とケイ素及び/又はフッ素原子含有重合体成分を
0〜20重量%含有する重合体セグメント(β)がブロ
ックで結合して成るブロック共重合体である。更に好ま
しくは、ブロック共重合体中の上記セグメント(β)中
に光及び/又は熱硬化性官能基を含有する重合体成分を
少なくとも1種含有するブロック共重合体である。これ
らのブロック共重合体において、セグメント(β)中に
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分
を全く含有しないものが好ましい。
【0037】重合体セグメント(α)及び(β)を含有
するブロック共重合体(表面偏在型共重合体)を用いる
と、ランダム共重合体に比べ、表面の剥離性自身が向上
し、更には剥離性が保持される。即ち、フッ素原子及び
/又はケイ素原子含有のブロック共重合体を少量共存さ
せて塗膜を形成すると、塗布後の乾燥工程終了までの間
に、これらは容易に膜の表面部に移行・濃縮され、膜表
面が剥離性を発現できる状態に改質される。
【0038】前述の様に、樹脂(P)において、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント
(α)がブロック化されている場合には、他方のフッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含んでい
ても少ない重合体セグメント(β)が膜形成の結着樹脂
との相溶性が良好なことから、これと充分な相互作用を
行ない、トナー画像又は転写層が形成される場合におい
ても、これらの樹脂はトナー画像や転写層への移行が抑
制もしくは解消されて、トナー画像及び転写層と電子写
真感光体との界面を明確に形成維持することができる
(即ち、アンカー効果)。ブロック共重合体のセグメン
ト(β)中に硬化性基を含有する重合体を用いて成膜時
に重合体間を架橋することで、更に感光体との界面を明
確に維持する効果が発揮される。
【0039】重合体は、前記の如く、樹脂粒子(PL)
として用いられてもよい。好ましい樹脂粒子(PL)
は、非水溶媒中に分散される樹脂粒子である。かかる樹
脂粒子としては、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有する、非水溶媒に不溶な重合体セグ
メント(α)と、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有しても20%以下である、非水溶媒
に可溶性の重合体セグメント(β)とを結合して成るも
のが好ましい。
【0040】樹脂粒子(PL)の場合には、不溶化して
いる重合体セグメント(α)の作用により、表面への移
行・濃縮が行われ、更に、粒子に結合した非水溶媒に可
溶性の重合体セグメント(β)が、前記樹脂の場合と同
様に、結着樹脂と相互作用してアンカー効果の作用を行
なう。更には硬化性基を重合体中又は結着樹脂中に含有
することで、トナー画像への移行が解消される。
【0041】上記フッ素原子及び/又はケイ素原子を含
有する置換基を含む重合体成分は、該置換基が重合体の
高分子主鎖に組み込まれていても高分子の側鎖の置換基
として含有されていてもよい。フッ素原子を含有する置
換基としては、例えば、下記のl価又は2価の有機残基
等が挙げられる。
【0042】
【化1】
【0043】
【化2】
【0044】ケイ素原子含有の置換基としては、例えば
下記の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0045】
【化3】
【0046】但し、R1、R2、R3、R4及びR5は、各
々同じでも異なってもよく、置換されていてもよい炭化
水素基又は−OR6基(R6は置換されていていもよい炭
化水素基を表わす)を表わす。R1〜R6の示す炭化水素
基としては、具体的には炭素数1〜18の置換されても
よいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、ヘキサデシル基、2−クロロエチル基、2−
ブロモエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、
2−シアノエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピ
ルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピ
ル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2,2,2,
2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル基
等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えば2−メチル−1−プロペニル、2−ブテニル
基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル
基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセ
ニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7
〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例えばベ
ンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジ
ル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベ
ンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、
ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されて
いてもよい脂環式基(例えばシクロヘキシル基、2−シ
クロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基
等)又は炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族
基(例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリ
ル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチ
ルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル
基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシル
オキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチル
フェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシ
カルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル
基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0047】また、フッ素原子及び/又はケイ素原子含
有の有機残基は、組み合わされて構成されてもよく、そ
の場合には、直接結合してもよいし更には他の連結基を
介して組み合わされてもよい。連結する基として具体的
には二価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N
(d1)−、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO
−、−OCO−、−CONHCO−、−NHCONH
−、−CON(d1)−、−SO2N(d1)−等から選ば
れた結合基を介在させても良い、二価の脂肪族基もしく
は二価の芳香族基、又はこれらの二価の残基の組み合わ
せにより構成された有機残基を表わす。ここで、d1
前記R1と同一の内容を表わす。
【0048】二価の脂肪族基として、例えば下記で示さ
れる基が挙げられる。
【0049】
【化4】
【0050】ここで、e1及びe2は、互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−O
−、−S−又は−N(d2)−を表し、d2は炭素数1〜
4のアルキル基、−CH2Cl又は−CH2Brを表わ
す。
【0051】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
複素環基としては、例えばフラン環、チオフェン環、ピ
リジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、ピロ
ール環、テトラヒドロピラン環、1,3−オキサゾリン
環等が挙げられる。
【0052】次に、以上のようなフッ素原子及び/又は
ケイ素原子を含有した置換基を有する繰り返し単位の具
体例を以下に示す。しかし、本発明の範囲がこれらに限
定されるものではない。以下の(F−1)〜(F−32)
における各例において、Rfは、下記に示す(1)〜(11)の
いずれかの基を示し、bは水素原子又はメチル基を表わ
す。
【0053】
【化5】
【0054】但し、上記(1)〜(11)において、Rf ′は
上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは1〜18の整数
を示し、mは1〜18の整数を示し、lは1〜5の整数
を示す。
【0055】
【化6】
【0056】
【化7】
【0057】
【化8】
【0058】
【化9】
【0059】
【化10】
【0060】樹脂(P)及び樹脂粒子(PL)におい
て、いわゆる表面偏在型共重合体である場合、ケイ素原
子及び/又はフッ素原子含有の重合体成分を含有するセ
グメント(α)において、該重合体成分は、セグメント
(α)全体の総量の内、少なくとも50重量%を含み、
好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%
以上である。また、セグメント(β)においては、フッ
素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分はセグメ
ント(β)全体総量の内20重量%以下であり、好まし
くは0重量%である。セグメント(α)とセグメント
(β)の重量比は、1〜95対5〜99(重量比)で、
好ましくは、5〜90対10〜95(重量比)である。
樹脂(P)及び樹脂粒子(PL)ともに、この範囲内に
おいて、光導電層最上層部表面への良好な濃縮効果及び
アンカー効果が得られる。
【0061】樹脂(P)の重量平均分子量は、好ましく
は5×103〜1×106、より好ましくは1×104
5×105である。樹脂(P)におけるセグメント
(α)部の重量平均分子量は、1×103以上である事
が好ましい。樹脂粒子(PL)は、その平均粒径が好ま
しくは0.001〜1μm、より好ましくは0.05〜
0.5μmである。
【0062】樹脂(P)における、いわゆる表面偏在型
共重合体として好ましい態様を以下に説明する。樹脂
(P)では、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重
合体成分がブロックで構成されていればいずれの態様で
もよい。ここでブロックで構成するとは、フッ素原子及
び/又はケイ素原子を50重量%以上含有する重合体セ
グメント(α)を重合体中に有していることをいい、例
えば下記に示すようなA−B型ブロック、A−B−A型
ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型ブロッ
ク、スター型ブロック等が挙げられる。
【0063】
【化11】
【0064】これらの各種ブロック共重合体は、従来公
知の重合方法に従って合成することができる。例えば、
W. J. Burlant, A. S. Hoffman「Block and Graft Poly
mers」(1986年、Reuhold)、R. J. Cevesa「Block and
Graft Copolymers」(1962年、Butterworths)、D. C.
Allport, W. H. James「Block Copolymers」(1972年、
Applied Sci)、A. Noshay, J. E. McGrath「Block Copo
lymers」(1977年、Academis Press.)、G. Huvterg, D.
J. Wilson, G. Riess, NATO ASIser. SerE. 1985, 14
9、V. Perces, Applied. Polymer Sci. 285, 95 (1985)
等の成書、総説に記載されている。
【0065】例えば、有機金属化合物(例えばアルキル
リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルカリ
金属アルコラート類、アルキルマグネシウムハライド
類、アルキルアルミニウムハライド類等)等を重合開始
剤とするイオン重合反応については、T. E. Hogeu-Esc
h、J. Smid「Recent Advances in Anion Polymerizatio
n」(1987年、Elsevier New York)、岡本佳男、高分
子、38、912 (1989)、澤本光男、高分子、38、1018(198
9)、成田正、高分子、37、252(1988)、B. C. Anderson
et al., Macromolecules 14、 1601(1981)、S. Aoshim
a、T. Higashimura、Macromolecules 22, 1009(1989)
等に具体的に記載されている。また、ヨウ化水素/ヨウ
素系等によるイオン重合反応については、T. Higashimu
ra at al., Macromol. Chem., Macromol. Symp.,131
4, 457(1988)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集46
189 (1989)等に記載されている。
【0066】グループ移動重合反応については、D. Y.
Sogah et al., Macromolecules, 20, 1473(1987)、O.
W. Webster, D. Y. Sogah、高分子、36、808(1987)、M.
T. Reetg et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eugl. 25
9108(1986)、特開昭63−97609号等に記載され
ている。金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重合反
応については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Macromo
lecules, 17, 2217(1984)、M. Kuroki, T. Aida, S. In
oue, J. Am. Chem. Soc. 109, 4737(1987)、M. Kuroki
et al., Macromolecules, 21、 3115(1988)、M. Kurok
i, I. Inoue、有機合成化学、47、1017(1989)等に記載
されている。
【0067】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayashi, T. Saegusa「Ring Opening Polym
erization」(1984年、Applied Scence Publishers Lt
d.)、W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eng
l. , 875(1966)、S. Kobayashi et al., Poly. Bull
.13, 447(1985)、Y. Chujo et al., Macromolecules,2
2, 1074(1989)等に記載されている。更には、ジチオカ
ーバメイト化合物又はザンテート化合物等を開始剤とし
て用いる光リビング重合反応については、大津隆行、高
分子、37、248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Polym. Re
p. Jap.37、3508(1988)、特開昭64−111号、特開
昭64−26619号、M. Niwa, Macromolecules,189,
2187(1988)等に記載されている。
【0068】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集33
931(1976)、上田明、大阪市立工業研究所報告、84(198
9)、O. Nuyken et al., Macromol. Chem., Rapid. Comm
un. 9, 671(1988)、森屋泰夫等「強化プラスチック」2
9、907(19 )、小田良平「科学と工業」61、43(1987)等
に記載されている。
【0069】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に井手文雄「グ
ラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行会)、高
分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981年、東京化学同
人)等に記載されている。例えば、高分子鎖を、重合開
始剤、化学的活線(放射線、電子線等)、機械的応用化
でのメカノケミカル反応等で、グラフト化する方法、高
分子鎖と高分子鎖の官能基を利用して、化学結合(いわ
ゆる高分子間反応)しグラフト化する方法、及びマクロ
モノマーを用いて重合反応し、グラフト化する方法等が
知られている。
【0070】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T. Shota et al., J. Appl. Polym. S
ci. 13, 2447(1969)、W. H. Buck, Rubber Chemistry a
nd Technology,50, 109(1976)、遠藤剛、植沢勉、日本
接着協会誌24、323(1988)、遠藤剛、ibid. 25, 409(198
9) 等に記載されている。また、マクロモノマーを用い
て重合反応しグラフト化する方法として、具体的には、
P. Dreyfuss & R. P. Quirk, Encycl. Polym. Sci. En
g., 7, 551(1987)、P. F. Rempp, E. Franta, Adv. Pol
ym. Sci., 58, 1(1984)、V. Percec, Appl. Poly. Sc
i.,285, 95(1984)、R. Asami, M. Takari, Macromol. C
hem. Suppl.,12, 163(1985)、P. Rempp et al., Macrom
ol. Chem. Suppl.,8, 3(1985)、川上雄資、化学工業、3
8、56(1987)、山下雄也、高分子、31、988(1982)、小林
四郎、高分子、30、625(1981)、東村敏延、日本接着協
会誌、18、536(1982)、伊藤浩一、高分子加工、35、262
(1986)、東貴四郎、津田隆、機能材料、1987、No.10,
5、山下雄也編著「マクロモノマーの化学と工業」(1989
年、アイ・ピーシー(株))、遠藤剛編著「新しい機能性
高分子の分子設計」第4章(1991年、C.M.C.(株))、Y.
Yamashita et al., Polym. Bull. 5, 361(1981)等に記
載されている。
【0071】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えば M. T. Reetz, Angew. Chem.Int. Ed. Engl., 2
7, 1373(1988)、M. Sgwarc「Carbanions, Living Polym
ers and Electron Transfer Processes」(1968年、Wile
y. New York)、B. Gordon etal., Polym. Bull.11, 349
(1984) 、R. B. Bates et al., J. Org. Chem. 44, 380
0(1979)、Y. Sogah, A. C. S. Polym. Rapr. 1988, No.
2, 3、J. W. Mays, Polym. Bull.23, 247(1990) 、I.
M. Khan et al., Macromolecules,21, 2684(1988)、A.
Morikawa, Macromolecules,24, 3469(1991)、上田明、
永井透、高分子39、202(1990)、T. Otsu, Polym. Bull.
11, 135(1984) 等に記載されている。しかしながら、
上記ブロック共重合体の合成法はこれらの方法に限定さ
れるものではない。
【0072】次に樹脂粒子(PL)についての好ましい
態様について説明する。前記の如く、樹脂粒子(PL)
は、好ましくは、非水溶媒に不溶な、フッ素原子及び/
又はケイ素原子含有の重合体セグメント(α)と、該溶
媒に可溶性の、フッ素原子及び/又はケイ素原子を殆ど
含有しない重合体セグメント(β)とから成る。更に
は、該樹脂粒子(PL)の不溶性部分を構成する重合体
セグメント(α)部は、架橋構造を形成していてもよ
い。樹脂粒子(PL)を製造する好ましい方法として
は、後に非水系分散樹脂粒子の製造に関して述べる非水
系分散重合方法が挙げられる。
【0073】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独で又は2種以上を混合して用
いることができる。この有機溶媒の具体例は、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、フッ化ア
ルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチ
ルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボ
ン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の
炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、
メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロ
パン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が
挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に限定される
ものではない。
【0074】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。具体的に
は、セグメント(α)を構成する重合体成分に相当する
単量体(a)、セグメント(β)を構成する重合体成分
に相当する単量体(b)とを、単量体(a)は溶解する
が重合すると不溶となる非水溶媒を用いて、過酸化物
(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等)、ア
ゾビス化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスイソバレロニトリル等)、有機金属化合物(例え
ば、ブチルリチウム等)等の重合開始剤の存在下に加熱
重合させればよい。又は、上記単量体(a)、セグメン
ト(β)から成る重合体(Pβ)とを、上記と同様にし
て重合させればよい。
【0075】更には、樹脂粒子(PL)の不溶化した重
合体粒子の内部が架橋構造を有していてもよい。これら
の架橋構造を形成させるには、従来公知の方法のいずれ
をも用いることができる。即ち、重合体セグメント
(α)を含有する重合体を種々の架橋剤又は硬化剤によ
って架橋する方法、重合体セグメント(α)に相当す
る単量体(a)を少なくとも含有させて重合反応を行う
際に、重合性官能基を2個以上含有する多官能性単量体
又は多官能性オリゴマーを共存させることにより、分子
間に網目構造を形成する方法、及び重合体セグメント
(α)と反応性基を含有する成分を含む重合体類とを重
合反応あるいは高分子反応によって架橋させる方法等に
よって行うことができる。
【0076】上記の方法の架橋剤としては、通常架橋
剤として用いられる化合物を挙げることができる。具体
的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」
大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子データハン
ドブック、基礎編」培風館(1986年)等に記載されてい
る化合物を用いることができる。例えば、有機シラン系
化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシラン
カップリング剤等)、ポリイソシアナート系化合物(例
えば、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタン
ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナ
ート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキ
サメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナ
ート、高分子ポリイソシアナート等)、ポリオール系化
合物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、
1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン
系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシ
プロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、
変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップリング
系化合物(例えばテトラブトキシチタネート、テトラプ
ロポキシチタネート、イソプロピルトリステアロイルチ
タネート等)、アルミニウムカップリング系化合物(例
えばアルミニウムブチレート、アルミニウムアセチルア
セテート、アルミニウムオキシドオクテート、アルミニ
ウムトリス(アセチルアセテート)等)、ポリエポキシ
基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著
「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著
「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載
された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、
松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社
(1969年刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)
クリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東
村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大森英三
「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0077】また、上記の方法で共存させる重合性官
能基を2個以上含有する多官能性単量体〔多官能性単量
体(d)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの重
合性官能基としては、具体的には、CH2=CHCH
2−、CH2=CHCOO−、CH2=CH−、CH2=C
(CH3)−COO−、CH(CH3)=CHCOO−、C
2=CHCONH−、CH2=C(CH3)−CONH
−、CH(CH3)=CHCONH−、CH2=CHOC
O−、CH2=C(CH3)−OCO−、CH2=CHCH
2OCO−、CH2=CHNHCO−、CH2=CHCH2
NHCO−、CH2=CHSO2−、CH2=CHCO
−、CH2=CHO−、CH2=CHS−等を挙げること
ができる。これらの重合性官能基の同一のものあるいは
異なったものを2個以上有する単量体あるいはオリゴマ
ーであればよい。
【0078】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0079】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体等のビニル基
を含有したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメ
タクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニ
ル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン
酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイル
プロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリ
ル、メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステ
ル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカ
ルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミ
ド、N−アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン
酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド
等)又はアミノアルコール類(例えばアミノエタノー
ル、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、
1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)と
ビニル基を含有するカルボン酸との縮合体などが挙げら
れる。本発明に用いられる2個以上の重合性官能基を有
する単量体あるいはオリゴマーは、単量体(a)及び単
量体(a)と共存する他の単量体との総量に対して10
モル%以下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、樹
脂を形成する。
【0080】更には、上記の方法の高分子間の反応性
基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋架け
を行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と同様
に行うことができる。
【0081】分散重合において、粒子の粒径が揃った単
分散性の粒子が得られること及び0.5μm以下の微小
粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法とし
ては多官能性単量体を用いるの方法が好ましい。即
ち、前記した単量体(a)、単量体(b)及び/又は重
合体(Pβ)に、更に多官能性単量体(d)を共存させ
て重合造粒反応を行なうことで合成することができる。
更に、上記したセグメント(β)で構成される重合体
(Pβ)を用いる場合は、重合体(Pβ)の高分子主鎖
中の側鎖あるいは主鎖の片末端に、単量体(a)と共重
合可能な重合性二重結合基を有して成る重合体(P
β′)であることが好ましい。
【0082】重合性二重結合基としては、上記の様に単
量体(a)と共重合性を有すればいずれでもよいが、具
体的な例としては、CH2=C(p)COO−、C(C
3)H=CHCOO−、CH2=C(CH2COOH)C
OO−、CH2=C(p)CONH−、CH2=C(p)
CONHCOO−、CH2=C(p)CONHCONH
−、C(CH3)H=CHCONH−、CH2=CHCO
−、CH2=CH(CH 2)nOCO−(nは0又は1〜3
の整数)、CH2=CHO−、CH2=CHC6 4−等が
挙げられる(ここでpは−H又は−CH3を表わす)。
【0083】これらの重合性基二重結合基は、高分子鎖
に直接結合してもよいし、他の二価の有機残基を介して
結合してもよい。これら重合体の具体的態様について
は、例えば特開昭61−43757号、特開平1−25
7969号、同2−74956号、同1−282566
号、同2−173667号、同3−15862号、同4
−70669号等の各公報に記載されている。重合性化
合物の総量は非水溶媒100重量部に対して5〜80重
量部程度であり、好ましくは10〜50重量部である。
重合開始剤の量は、重合性化合物の総量の0.1〜5重
量%である。また、重合温度は30〜180℃程度であ
り、好ましくは40〜120℃である。反応時間は1〜
15時間が好ましい。
【0084】次に、光及び/又は熱硬化性基を、上記結
着樹脂(P)中に重合体成分として含有する場合、又は
該硬化性基含有樹脂を樹脂(P)と併用する場合を説明
する。結着樹脂(P)中に含有され得る、光及び/又は
熱硬化性基を少なくとも1種含有して成る重合体成分と
しては、前記の如き公知文献に記載のものを挙げること
ができ、より具体的には、例えば前記重合性官能基とし
て記載したものと同様のものが挙げられる。
【0085】これらの重合体において含有される、光及
び/又は硬化性基を少なくとも1種含有する重合体成分
は、ブロック共重合体(P)の重合体セグメント(β)
100重量部中1〜95重量部であり、好ましくは10
〜70重量部である。更には、共重合体(P)全体の重
合体成分の全量100重量部において5〜40重量部含
有していることが好ましい。光及び/又は硬化性基含有
重合体成分は1重量部以上含有されれば、光導電層の成
膜後の硬化が充分に進行し、トナー画像の剥離性に有効
に作用する。また、95重量部以下において、複写画像
の原稿再現性の低下や非画像部の地カブリの発生等を生
じることなく、光導電層の結着樹脂として良好な電子写
真特性が得られる。これらの光及び/又は熱硬化性基含
有のブロック共重合体(P)は全結着樹脂100重量部
中40重量部以下で使用する事が好ましい。この範囲内
で良好な電子写真特性が得られる。
【0086】また、上記のフッ素原子及び/又はケイ素
原子含有樹脂とともに光及び/熱硬化性樹脂(D)を併
用してもよい。光及び/又は熱硬化性樹脂(D)として
は、従来公知の硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、
ブロック共重合体(P)で説明した如き硬化性基を含有
する樹脂がその例として挙げられる。
【0087】これら従来公知の電子写真感光層用の結着
樹脂類は、例えば、柴田隆治、石渡次郎,高分子、第17
巻、第278頁(1968年)、宮本晴視、武井秀彦、イメー
ジング、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料用バインダ
ーの実際技術」第10章、C.M.C.出版(1985年)、電子写
真学会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」
予稿集(1985年)、小門宏編「最近の光導電材料と感光
体の開発・実用化」日本科学情報(株)(1986年)、電子
写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」第5章、コロ
ナ社(株)(1988年)、D. Tatt, S. C. Heidecker,Tapp
i,49(No.10), 439(1966)、E. S. Baltazzi,R. G. Blan
clotte et al,Phot.Sci. Eng. 16(No.5), 354(197
2)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写
真学会誌18(No.2),22(1980)等の成書・総説に記載の化
合物等が挙げられる。
【0088】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0089】更に具体的には、遠藤剛「熱硬化性高分子
の精密化」(C.M.C.(株)、1986年刊)、原崎勇次「最新
バインダー技術便覧」第II−1章(総合技術センター、
1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新
用途開発」(中部経営開発センター出版部、1985年
刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシス
テム、1985年刊)等の総説に引例された従来公知の樹脂
が用いられる。
【0090】以上の如く、予め剥離性を有する感光体と
するためには、オーバーコート層又は光導電層は、結着
樹脂(B)及び表面改質用の樹脂(P)を少なくとも各
々1種以上含有し、好ましくは、膜の硬化を向上させる
ために光及び/又は熱硬化性樹脂(D)及び/又は架橋
剤を少量共存させる。その使用量は、結着樹脂(B)及
び樹脂(P)の総量に対して0.01〜20重量%が好
ましく、より好ましくは0.1〜15重量%である。こ
の範囲内において、電子写真特性に悪影響を及ぼすこと
なく、膜の硬膜化向上の効果が発揮される。
【0091】また、架橋剤を併用することが好ましく、
通常架橋剤として用いられる化合物を使用することがで
きる。具体的には、山下普三、金子東助編「架橋剤ハン
ドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子
データハンドブック基礎編」培風館(1986年)等に記載
されている化合物を用いることができる。具体的には前
記架橋剤と同様のものが挙げられ、更に、多官能重合性
基含有の単量体(例えばビニルメタクリレート、アクリ
ルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジビニル
コハク酸エステル、ジビニルアジピン酸エステル、ジア
クリルコハク酸エステル、2−メチルビニルメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ
ビニルベンゼン、ペンタエリスリトールポリアクリレー
ト等)等が挙げられる。
【0092】上記感光体の最上層(転写層と隣接する
層)は、成膜後に硬化されることが好ましい。供せられ
る結着樹脂(B)、樹脂(P)、硬化性樹脂(D)及び
架橋剤は、高分子間が化学結合しやすい官能基同志の組
合せで用いることが好ましい。例えば官能基の組合せに
よる高分子反応として、通常よく知られた方法が挙げら
れ、例えば下記表−1に示す様なA群の官能基とB群の
官能基の組合せが例示される。但しこれに限定されるも
のではない。
【0093】
【表1】
【0094】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、結着樹脂に必要に応じて反応促進剤を
添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成
する反応様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェ
ノール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモ
フェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有
機金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、
アセチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバ
ルト塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカル
バミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、
チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジ
スルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル酸、無
水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物、
3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフェノン
ジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げられる。
架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始剤(過
酸化物、アゾビス系化合物等)が挙げられる。
【0095】結着樹脂は、感光層形成物を塗布した後、
光及び/又は熱硬化されることが好ましい。熱硬化を行
なうためには、例えば、乾燥条件を従来の感光体作製時
の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥条件を高温度
及び/又は長時間とするか、あるいは塗布溶剤の乾燥
後、更に加熱処理することが好ましい。例えば60℃〜
150℃で5〜120分間処理する。上述の反応促進剤
を併用すると、より穏やかな条件で処理することができ
る。
【0096】樹脂中の特定の官能基を光照射で硬化する
方法としては、化学的活性光線で光照射する工程を入れ
る様にすればよい。化学的活性光線としては、可視光
線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線など
いずれでもよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは
波長310nmから波長500nmの範囲の光線である。一
般には低圧、高圧あるいは超高圧の水銀ランプ、ハロゲ
ンランプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜5
0cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分に行うこ
とができる。
【0097】次に、剥離性表面を有する感光体を得る後
者の方法である、トナー現像の前に、通常の電子写真感
光体の表面上に剥離性化合物(S)を適用して感光体表
面を剥離性にする方法について説明する。
【0098】剥離性化合物(S)としては、フッ素原子
及び/又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物が挙
げられ、電子写真感光体表面の剥離性を改善するもので
あれば、その構造は特に限定されるものではなく、低分
子化合物、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。オ
リゴマー又はポリマーの場合、フッ素原子及び/又はケ
イ素原子を含有する置換基は、重合体の主鎖に組み込ま
れていてもよく、あるいは重合体の側鎖の置換基として
存在していてもよい。好ましくは、オリゴマー又はポリ
マーにおいて、該置換基を含有する繰り返し単位はブロ
ックで含有されたものが挙げられ、これらは電子写真感
光体表面への吸着性に優れ、また剥離性を特に有効に発
現する。
【0099】これらのフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基は、具体的には、前記の樹脂(P)に
関連して述べたものと同様である。本発明で用いられる
フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の化合物(S)と
しては、具体的には、吉田時行等編「新版・界面活性剤
ハンドブック」工学図書(株)刊(1987年)、刈米孝夫
監修「最新・界面活性剤応用技術」(株)シーエムシー
(1990年)、伊藤邦雄編「シリコーン・ハンドブック」
日刊工業新聞社刊(1990年)、刈米孝夫監修「特殊機能
界面活性剤」(株)C.M.C.(1986年)、A. M.Schwartz e
t al「Surface Active Agents and Detergents vol.II
」等に記載のフッ素系及び/又はケイ素系有機化合物
が挙げられる。更には、石川延男「フッ素化合物の合成
と機能」(株)C.M.C.(1987年)、平野二郎等編「含フ
ッ素有機化合物−その合成と応用−」(株)技術情報協
会(1991年)、石川満夫監修「有機ケイ素戦略資料」第
3章(株)サイエンスフォーラム(1991年)等の文献に
記載の合成方法を利用して、前記物性を満たす本発明の
化合物(S)を合成することができる。
【0100】また、オリゴマー又はポリマーとしてフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む重
合体成分の具体例としては、前記結着樹脂(P)に記載
された重合体成分を例として挙げることができる。
【0101】化合物(S)がいわゆるブロック共重合体
である場合には、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分がブロックで構成されていればよい。ここ
でブロックで構成するとは、フッ素原子及び/又はケイ
素原子を有する成分を70重量%以上含有する重合体セ
グメントを重合体中に有していることをいい、例えば前
記樹脂(P)で述べたと同様なA−B型ブロック、A−
B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型
ブロックあるいはスター型ブロック等が挙げられる。こ
れらは、前記と同様の方法で合成することができる。
【0102】電子写真感光体の表面に化合物(S)を適
用することにより、その表面は所望の剥離性を有するよ
うに改質される。電子写真感光体の表面に化合物(S)
を適用するとは、化合物(S)を電子写真感光体表面に
供給して、感光体表面に化合物(S)が吸着又は付着し
た状態を形成することをいう。
【0103】化合物(S)を電子写真感光体表面に適用
するには、従来公知のいずれの方法を適用してもよい。
例えば、原崎勇次「コーティング工学」(株)朝倉書店
(1971年刊)、原崎勇次「コーティング方式」槇書店
(1979年刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」
(株)高分子刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクタ
ーコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、スク
イズコーター、含浸コーター、リバースロールコータ
ー、トランファーロールコーター、グラビアコーター、
キスロールコーター、スプレイコーター、カーテンコー
ター、カレンダーコーター等の各方式が挙げられる。本
発明に用いられる装置内に適宜組み込める態様にして用
いることが好ましい。
【0104】また、化合物(S)を含浸させた布、紙、
フェルト等を感光体に密接させる方法、化合物(S)を
含浸させた硬化性樹脂を感光体に圧接させる方法、化合
物(S)を溶解した非水溶媒で感光体を濡らした後、溶
媒を乾燥させる方法、化合物(S)を分散させた非水溶
媒を後述の電着塗布法と同様にして電気泳動させて感光
体に付着させる方法等も挙げられる。
【0105】更には、インキジェット方式により化合物
(S)の非水溶液を感光体表面に一様に濡らした後、乾
燥させることにより吸着又は付着させることができる。
インキジェット方式による方法は、例えば大野信編集
「ノンインパクトプリンティング」(株)C.M.C.(1986
年刊)記載の原理及び手段によって達成される。例えば
連続噴射型のSweet方式、Hertz方式、間欠噴射型のWins
ton方式、インクオンデマンド型のパルスジェット方
式、バブルジェット方式、インキミスト型のミスト方式
などが挙げられる。
【0106】いずれもインキの代わりに化合物(S)を
直接あるいは溶媒に希釈して、インキタンク及び/又は
インキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常、
液の粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/cm
で、必要により界面活性剤等を加えても良く、また液を
加熱しても良い。従来のインキジェットプリンターは、
文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を30〜
100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同程度
となっているが、本発明においてはこれよりも大きくと
も良い。この場合にはインキの吐出量が多くなるので、
塗布にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル化す
ることも塗布時間短縮のために極めて有効である。
【0107】化合物(S)としてシリコーンゴムを用い
ることもできる。好ましくは金属芯ローラーに巻いてシ
リコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表面に押
し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/cm2、接
触時間は1秒〜30分間で良い。この時感光体及び/又
はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加熱されて
いても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低分子量成
分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転移するも
のと思われる。シリコーンゴムはシリコーンオイルで膨
潤されたものでも良い。シリコーンゴムは更にスポンジ
状であっても、そのスポンジローラーに更にシリコーン
オイル、シリコーン界面活性剤溶液等を含浸させてあっ
ても良い。
【0108】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物(S)の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物(S)の流動性
を調整することもできる。本発明においては、化合物
(S)が電子写真感光体上に吸着又は付着して表面に剥
離性を付与し、好ましくは該表面の粘着力が100g・
f以下となればよい。本発明のカラー画像形成方法にお
いて、常にこの工程を繰り返す必要はなく、用いる感光
体及び化合物(S)の吸着もしくは付着による剥離性を
保持できる能力及びその手段の組合に従って適宜行えば
よい。
【0109】化合物(S)の感光体表面への適用量は特
に規定されるものではなく、感光体の電子写真特性への
悪影響が実用上問題とならなければよい。通常塗膜膜厚
で1μm以下で充分であり、本発明の剥離性の発現は
「Weakboundary Layer」(Bikerman "The Science of Ad
hesive Joints" Academic Press(1961年刊) により定
義)の状態で充分である。
【0110】上記の如く、トナー画像を形成する前に、
電子写真感光体の表面にフッ素原子及び/又はケイ素原
子を含有する化合物(S)を適用して感光体表面に剥離
性を付与することにより、通常の電子写真感光体を用い
ることができる。更には、予め表面剥離性の電子写真感
光体を繰り返し使用した場合に、感光体表面の剥離性が
低下した時に、化合物(S)を適用してもよい。これに
より、感光体表面の剥離性を簡便に保持することができ
る。この電子写真感光体への剥離性付与は、電子写真装
置内で行うことが好ましい。このためには、電子写真感
光体の表面に化合物(S)を適用する手段を電子写真式
カラー画像形成装置に更に設定すればよい。
【0111】本発明に供せられる電子写真感光体の構成
及び材料は、従来公知のいずれでも用いることができ、
限定されるものではない。例えば、R. M. Schaffert, "
Electrophotography" Focal Press London(1980)、S.
W. Ing, M. D. Tabak, W. E. Haas, "Electrophotograp
hy Fourth International Conference" SPSE (1983)、
篠原功、土田英俊、草川英昭編「記録材料と感光性樹
脂」(株)学会出版センター刊(1979年)、小門宏、化
学と工業、39(3), 161 (1986年)、総合技術資料集「最
近の光導電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報
(株)出版部(1986年)、電子写真学会編「電子写真技
術の基礎と応用」コロナ社(株)(1986年)、電子写真学
会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿
集(1985年)等の成書、総説に記載の各種感光体が挙げ
られる。即ち、光導電性化合物自身から成る単独層、又
は、光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導電層が
挙げられ、分散された光導電層は単一層型でもよいし積
層型でもよい。
【0112】また本発明において用いられる光導電性化
合物は無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよ
い。本発明の光導電性化合物として用いられる無機化合
物としては、例えばアモルファスシリコン、酸化亜鉛、
酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン、セレ
ン−テルル、硫化鉛等従来公知の無機光導電性化合物が
挙げられ、これらは、結着樹脂とともに光導電層を形成
してもよいし、また、蒸着又はスパッタリング等により
単独で光導電層を形成してもよい。酸化亜鉛、酸化チタ
ン等の無機光導電性化合物を用いる場合は、無機光導電
性化合物100重量部に対して結着樹脂を10〜100
重量部、好ましくは15〜40重量部なる割合で使用す
る。
【0113】一方、有機化合物を用いた光導電層として
は、従来公知のいずれでもよく、具体的には、特公昭3
7−17162号、同62−51462号、特開昭52
−2437号、同54−19803号、同56−107
246号、同57−161863号等に記載のような、
有機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体とする
光導電層、特開昭56−146145号、同60−17
751号、同60−17752号、同60−17760
号、同60−254142号、同62−54266号等
に記載のような電荷発生剤、電荷輸送剤、結合樹脂を主
体とする光導電層、及び特開昭60−230147号、
同60−230148号、同60−238853号等に
記載のような電荷発生剤と電荷輸送剤とをそれぞれ別の
層に含有した二層構成の光導電層が挙げられる。
【0114】本発明の電子写真感光体は上記の光導電層
のいずれの形態をとっていてもよい。本発明に用いられ
る有機光導電性化合物としては、(a) 米国特許3,11
2,197号等に記載のトリアゾール誘導体、(b) 米国
特許3,189,447号等に記載のオキサジアゾール
誘導体、(c) 特公昭37−16096号に記載のイミダ
ゾール誘導体、(d) 米国特許3,615,402号、同
3,820,989号、同3,542,544号、特公
昭45−555号、同51−10983号、特開昭51
−93224号、同55−108667号、同55−1
56953号、同56−36656号等に記載のポリア
リールアルカン誘導体、(e) 米国特許3,180,72
9号、同4,278,746号、特開昭55−8806
4号、同55−88065号、同49−105537
号、同55−51086号、同56−80051号、同
56−88141号、同57−45545号、同54−
112637号、同55−74546号等に記載のピラ
ゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、(f) 米国特許3,
615,404号、特公昭51−10105号、同46
−3712号、同47−28336号、特開昭54−8
3435号、同54−110836号、同54−119
925号等に記載のフェニレンジアミン誘導体、
【0115】(g) 米国特許3,567,450号、同
3,180,703号、同3,240,597号、同
3,658,520号、同4,232,103号、同
4,175,961号、同4,012,376号、特公
昭49−35702号、西独国特許(DAS)1,11
0,518号、特公昭39−27577号、特開昭55
−144250号、同56−119132号、同56−
22437号等に記載されているアリールアミン誘導
体、(h) 米国特許3,526,501号等に記載のアミ
ノ置換カルコン誘導体、(i) 米国特許3,542,54
6号等に記載のN,N−ビカルバジル誘導体、(j) 米国
特許3,257,203号等に記載のオキサゾール誘導
体、(k) 特開昭56−46234号等に記載のスチリル
アントラセン誘導体、(l) 特開昭54−110837号
等に記載のフルオレノン誘導体、(m) 米国特許3,71
7,462号、特開昭54−59143号(米国特許
4,150,987号に対応)、特開昭55−5206
3号、同55−52064号、同55−46760号、
同55−85495号、同57−11350号、同57
−148749号、同57−104144号等に記載さ
れているヒドラゾン誘導体、
【0116】(n) 米国特許4,047,948号、同
4,047,949号、同4,265,990号、同
4,273,846号、同4,299,897号、同
4,306,008号等に記載のベンジジン誘導体、
(o) 特開昭58−190953号、同59−95540
号、同59−97148号、同59−195658号、
同62−36674号等に記載のスチルベン誘導体、
(p) 特公昭34−10966号記載のポリビニルカルバ
ゾール及びその誘導体、(q) 特公昭43−18674
号、同43−19192号記載のポリビニルピレン、ポ
リビニルアントラセン、ポリ−2−ビニル−4−(4′
−ジメチルアミノフェニル)−5−フェニル−オキサゾ
ール、ポリ−3−ビニル−Nエチルカルバゾール等のビ
ニル重合体、(r) 特公昭43−19193号記載のポリ
アセナフチレン、ポリインデン、アセナフチレンとスチ
レンの共重合体等の重合体、(s) 特公昭56−1394
0号等に記載のピレン−ホルムアルデヒド樹脂、ブロム
ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−
ホルムアルデヒド樹脂等の縮合樹脂、(t) 特開昭56−
90833号、同56−161550号に記載の各種の
トリフェニルメタンポリマー、等がある。
【0117】なお本発明において、有機光導電性化合物
は、(a)〜(t)に挙げられた化合物に限定されず、これま
で公知の全ての有機光導電性化合物を用いることができ
る。これらの有機光導電性化合物は場合により2種類以
上併用することが可能である。
【0118】光導電層に含有される増感色素としては、
電子写真感光体に使用される従来公知の増感色素が使用
可能である。これらは、「電子写真」12、9(1973)、
「有機合成化学」24(11)、1010(1966)等に記載されてい
る。例えば、米国特許3,141,770号、同4,2
83,475号、特開昭48−25658号、特開昭6
2−71965号等に記載のピリリウム系染料、Applie
d Optics Supplement 50 (1969)、特開昭50−39
548号等に記載のトリアリールメタン系染料、米国特
許3,597,196号等に記載のシアニン系染料、特
開昭60−163047号、同59−164588号、
同60−252517号等に記載のスチリル系染料等が
有利に使用される。
【0119】光導電層に含有される電荷発生剤として
は、電子写真感光体において従来公知の有機及び無機の
各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレン、セレ
ン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び以下(1)
〜(9)に示す有機顔料を使用することができる。
【0120】(1) 米国特許4,436,800号、同
4,439,506号、特開昭47−37543号、同
58−123541号、同58−192042号、同5
8−219263号、同59−78356号、同60−
179746号、同61−148453号、同61−2
38063号、特公昭60−5941号、同60−45
664号等に記載されたモノアゾ、ビスアゾ、トリスア
ゾ顔料等のアゾ顔料、(2) 米国特許3,397,086
号、同4,666,802号、特開昭51−90827
号、同52−55643号に記載の無金属あるいは金属
フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、(3) 米国特許
3,371,884号、特開昭47−30330号等に
記載のペリレン系顔料、(4) 英国特許2,237,68
0号、特開昭47−30331号等に記載のインジゴ、
チオインジゴ誘導体、(5) 英国特許2,237,679
号、特開昭47−30332号等に記載のキナクリンド
ン系顔料、
【0121】(6) 英国特許2,237,678号、特開
昭59−184348号、同62−28738号、同4
7−18544号等に記載の多環キノン系顔料、(7) 特
開昭47−30331号、同47−18543号等に記
載のビスベンズイミダゾール系顔料、(8) 米国特許4,
396,610号、同4,644,082号等に記載の
スクアリウム塩系顔料、(9) 特開昭59−53850
号、同61−212542号等に記載のアズレニウム塩
系顔料、等である。これらは単独もしくは2種以上を併
用して用いることもできる。
【0122】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は10〜100重量部である。
【0123】本発明の感光体に用いることのできる結着
樹脂{結着樹脂(B)と称することもある}は従来公知
の電子写真感光体に用いられる樹脂のいずれでもよく、
重量平均分子量は好ましくは5×103〜1×106、よ
り好ましくは2×104〜5×105のものである。ま
た、結着樹脂のガラス転移点は好ましくは−40℃〜2
00℃、より好ましくは−10℃〜140℃である。例
えば、柴田隆治・石渡次郎、高分子、第17巻、第278頁
(1968年)宮本晴視、武井秀彦、イメージング、1973(N
o.8)、中村孝一編「記録材料用バインダーの実際技術」
第10章、C.H.C.出版(1985年)電子写真学会編、「電子
写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿集(1985
年)小門宏編、「最近の光導電材料と感光体の開発・実
用化」日本科学情報(株)(1986年)電子写真学会編「電
子写真技術の基礎と応用」第5章コロナ社(株)(1988
年)、D. Tatt, S. C. Heidecker, Tappi,49(No.10), 4
39(1966)、E. S. Baltazzi, R. G. Blanclotte et al,
Phot. Sci. Eng. 16(No.5), 354(1972)、グエン・チャ
ン・ケー、清水勇、井上英一、電子写真学会誌18(No.
2),22(1980)等の成書・総説に記載の化合物等が挙げら
れる。
【0124】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体の重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0125】特に、光導電体の結着樹脂(B)として、
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含
有する比較的低分子量(103〜104程度)の樹脂を併
用することで、静電特性を良化することができる。例え
ば、特開昭63−217354号に記載の酸性基含有重
合成分が重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、特開昭
64−70761号に記載の重合体主鎖の片末端に酸性
基を結合してなる樹脂、特開平2−67563号、同2
−236561号、同2−238458号、同2−23
6562号及び同2−247656号等に記載の酸性基
をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂又
は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有する
樹脂、特開平3−181948号に記載の酸性基をブロ
ックで含有するAB型ブロック共重合体が挙げられる。
更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不充分な光導電
層の機械的強度を向上させるために、中〜高分子量の他
の樹脂を併用することが好ましい。例えば、特開平2−
68561号に記載のポリマー間に架橋構造を形成する
熱硬化性樹脂、特開平2−68562号に記載の一部が
架橋構造を有する樹脂、特開平2−69759号に記載
の酸性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してな
る樹脂等が挙げられる。
【0126】また、特定の中〜高分子量の樹脂を用いる
ことで、環境が著しく変動した場合でも安定した性能を
維持することができる。例えば、特開平3−29954
号、同3−77954号、同3−92861号及び同3
−53257号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の
グラフト部の末端に結合する樹脂又は酸性基をグラフト
型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、特開平3−2
06464号及び同3−223762号記載の酸性基含
有のAブロックと酸性基非含有のBブロックとからなる
ABブロック型共重合体をグラフト部に含有するグラフ
ト型共重合体を挙げることができる。これらの樹脂を用
いることで、光導電体を均一に分散させ、平滑性良好な
光導電層を形成することができ、また環境の変化や半導
体レーザー光を用いたスキャニング露光方式を用いた場
合においても、優れた静電特性を維持することができ
る。
【0127】光導電層の厚さは1〜100μm、特に1
0〜50μmが好適である。また、電荷発生層と電荷輸
送層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用
する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μm、特に
0.05〜2μmが好適である。
【0128】本発明では、可視光の露光又は半導体レー
ザー光の露光等光源の種類によって必要に応じて各種の
色素を分光増感剤として併用することができる。例え
ば、宮本晴視、武井秀彦;イメージング1973(No.8)第12
頁、C. J. Young等:RCA Review 15, 469頁(1954
年)、清田航平等:電気通信学会論文誌、J63-C (No.
2)、97頁(1980年)、原崎勇次等、工業化学雑誌、66
78及び188頁(1963年)、谷忠昭、日本写真学会誌35, 2
08頁(1972年)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジ
フェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサン
テン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例え
ば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタロシア
ニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0129】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許3,052,540号、同4,054,450
号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げら
れる。オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン
色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素としては、
F. M. Hamer「The Cyanine Dyes and Related Compound
s」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具体的に
は、米国特許3,047,384号、同3,110,5
91号、同3,121,008号、同3,125,44
7号、同3,128,179号、同3,132,942
号、同3,622,317号、英国特許1,226,8
92号、同1,309,274号、同1,405,89
8号、特公昭48−7814号、同55−18892号
等に記載の色素が挙げられる。
【0130】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許3,619,154
号、同4,175,956号、「Research Discloseur
e」1982年、216、第117〜118頁等に記載のものが挙げら
れる。
【0131】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体用添加剤を併用することができ
る。これらの添加剤としては、電子写真感度を改良する
ための化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑
剤、界面活性剤等が含まれる。
【0132】化学増感剤としては、例えばハロゲン、ベ
ンゾキノン、クロラニル、フルオラニル、ブロマニル、
ジニトロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロロ
ベンゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロロフ
タル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、N−ヒドロキ
シマレインイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、2,
3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、ジニト
ロフルオレノン、トリニトロフルオレノン、テトラシア
ノエチレン、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸等の電
子吸引性化合物、小門宏等「最近の光導電材料と感光体
の開発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)
出版部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化
合物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジ
アミン化合物等が挙げられる。また、特開昭58−65
439号、同58−102239号、同58−1294
39号、同62−71965号等に記載の化合物等も挙
げることができる。
【0133】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフ
ェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイ
ソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセ
バケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリコ
レート、ジメチルグリコールフタレート等を光導電層の
可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑剤は
光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させるこ
とが好ましい。これら各種添加剤の添加量は、特に限定
的ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.
001〜2.0重量部である。
【0134】電子写真感光層は従来公知の支持体上に設
けることができる。一般的にいって電子写真感光層の支
持体は、導電性であることが好ましく、導電性支持体と
しては、従来と全く同様、例えば金属、紙、プラスチッ
クシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるなどして
導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と反
対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等の
目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支持
体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の表
面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート層
を設けたもの、アルミニウム等を蒸着した基体導電化プ
ラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用できる。
具体的には、導電性基体あるいは導電化材料の例とし
て、坂本幸男、電子写真、14(No.1),2〜11頁(1975年
刊)、森賀弘之「入門特殊紙の化学」高分子刊行会(19
75年刊)、M. F. Hoover,J. Macromol. Sci. Chem. A-
4(6)、1327〜1417頁(1970年刊)等に記載されているも
のが用いられる。
【0135】次に、電子写真感光材料上へのトナー画像
の形成について説明する。
【0136】まず、前述のように表面が剥離性を有する
電子写真感光体上に、通常の電子写真プロセスによりト
ナー画像を形成する。即ち、帯電−露光−現像−定着の
各プロセスを従来公知の方法によって行う。また、表面
の剥離性が不十分な場合には、かかる通常の電子写真プ
ロセスに入る前に感光体表面に上記化合物(S)を適用
することにより、剥離性を有する感光体とすることがで
きる。
【0137】現像プロセスに供される現像剤は、従来公
知の静電写真用現像剤を使用することができ、乾式現像
剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例えば、前述の
「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁、中村孝一監
修「トナー材料の開発・実用化」第3章(日本科学情報
社刊、1985年)、町田元「記録用材料と感光性樹脂」10
7〜127頁(1983年刊)、(株)学会出版センター、電子
写真学会「イメージングNo.2〜5 電子写真の現像・定着
・帯電・転写」等に具体的な態様が示されている。乾式
現像剤としては、一成分磁性トナー、二成分トナー、一
成分非磁性トナーあるいはカプセルトナー等が実用され
ており、これらのいずれも利用することができる。
【0138】また、具体的な液体現像剤の基本構成とし
ては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィン系脂
肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG(エッソ社
製)シェルゾール70、シェルゾール71(シェル社製)、
IP−ソルベント1620(出光石油化学製)等}を分散媒
として、着色剤である無機又は有機の顔料あるいは染料
とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、
スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の分散安定性、定着
性、荷電性を付与するための樹脂とを分散し、且つ、荷
電特性の強化あるいは画像特性の改良等のために所望に
より種々の添加剤を加えてなる。
【0139】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等であ
る。
【0140】また、他の添加剤としては、例えば原崎勇
次「電子写真」第16巻、第2号、44頁に具体的に記載さ
れているものが用いられる。例えば、ジ−2−エチルヘ
キシルスルホコハク酸金属塩、ナフテン酸金属塩、高級
脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ア
ルキルリン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニルピロリド
ン)、半マレイン酸アミド成分を含む共重合体、クマロ
ンインデン樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル類、
ポリシロキサン、ワックス類等が挙げられる。
【0141】液体現像剤の主要な各組成分の量について
は通常下記の通りである。樹脂(及び所望により用いら
れる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、担体液
体1000重量部に対して0.5重量部〜50重量部が
好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が不足
し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生じ易
い。前記の分散安定用の担体液体可溶性樹脂も必要に応
じて使用され、担体液体1000重量部に対して0.5
重量部〜100重量部程度加えることができる。荷電調
節剤は担体液体1000重量部に対して0.001重量
部〜1.0重量部が好ましい。更に所望により各種添加
剤を加えても良く、それら添加物の総量は、液体現像剤
の電気抵抗によってその上限が規制される。即ち、トナ
ー粒子を除去した状態の液体現像剤の電気抵抗が109
Ω・cmより低くなると良質の連続階調像が得られ難くな
るので、各添加物の添加量は、この限度内でコントロー
ルされる。
【0142】液体現像剤の製造方法の具体例としては、
着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェットミ
ル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分散して
着色粒子を製造する方法が例えば、特公昭35−551
1号、同35−13424号、同50−40017号、
同49−98634号、同58−129438号、特開
昭61−180248号等に記載されている。他の着色
粒子の製造方法としては、例えば分散樹脂粒子を微小粒
径で単分散性の良好なものとして得る非水系分散重合方
法を用いて製造し、これを着色する方法が挙げられる。
【0143】着色の方法の1つとしては、特開昭57−
48738号等に記載されている如く、分散樹脂を好ま
しい染料で染色する方法がある。また、特開昭53−5
4029号に開示されている如く、分散樹脂と染料を化
学的に結合させる方法、特公昭44−22955号等に
記載されている如く、重合造粒法で製造する際に、予め
色素を含有した単量体を用い、色素含有の共重合体とす
る方法等がある。
【0144】デジタル情報に基づいて露光するレーザー
光によるスキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる
現像方式の組合せが、高精細な画像を形成できることか
ら有効なプロセスである。その一例を以下に示す。ま
ず、感光体をフラットベット上にレジスターピン方式に
よる位置決めを行った後背面よりエアーサクションによ
り吸引して固定する。次いで、例えば「電子写真技術の
基礎と応用」(電子写真学会編、コロナ社、昭和63年6
月15日発行)212頁以降に記載の帯電デバイスにより感光
体を帯電する。コロトロン又はスコロトロン方式が一般
的である。この時感光体の帯電電位検出手段からの情報
に基づき、常に所定の範囲の表面電位となるよう、フィ
ードバックをかけ、帯電条件をコントロールすることも
好ましい。
【0145】その後例えば同じく上記引用資料の254頁
以降に記載の方式を用いてレーザー光源による走査露光
を行なう。まず初めは、カラー画像を4色に分解した中
のイエローに相当する画像をドットパターンに変換して
露光する。次いで液体現像剤を用いてトナー画像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光体は、そこ
からはずして同上引用資料の275頁以降に示された湿式
現像法を用いることができる。この時の露光モードは、
トナー画像現像モードに対応して行われ、例えば反転現
像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー光を照射
し、感光体を帯電した時の電荷極性と同じ電荷極性を持
つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加して露光部に
トナーが電着するようにする。原理の詳細は同上引用資
料の157頁以降に説明がある。現像後に余剰の現像液を
除くために、同資料283頁に示されるようなスクイーズ
を行った後乾燥する。スクイーズ前に現像剤の担体液体
のみでリンスをすることも好ましい。以上のプロセスを
マゼンタ、シアン、ブラックの各色について繰り返すこ
とにより、感光体上に4色の画像を得ることができる。
【0146】本発明では、上記のようにして形成された
1色以上のトナー画像を有する感光体上に剥離可能な転
写層を形成する。転写層の形成は電子写真プロセスや転
写プロセスの工程と別個に行ってもよいが、これらの工
程と同一の装置内で行われることが好ましい。
【0147】まず、本発明に用いられる転写層について
詳しく説明する。本発明の転写層は、熱可塑性樹脂
(A)から主として構成されていれば特に限定されるも
のではなく、着色されていてもよい。被転写材に転写後
の画像がカラー画像である場合には、通常無色で透明な
転写層を用いる。
【0148】また本発明の転写層は、180℃以下の温
度又は20kgf/cm2以下の圧力、より好ましくは160
℃以下の温度又は10kgf/cm2以下の圧力という転写条
件で剥離可能となることが好ましい。上記値以下であれ
ば、転写層を感光体表面から剥離・転写するために転写
装置の熱容量及び圧力を維持するために装置を大型化す
る必要も殆どなく、適度な転写スピードで充分に転写を
行うことができ、実用上問題がない。下限値は特に限定
されないが、通常室温以上の温度又は100gf/cm2
上の圧力の転写条件で剥離可能となる転写層が好まし
い。
【0149】本発明の転写層を構成する主成分の樹脂
(A)はガラス転移点140℃以下又は軟化点180℃
以下、好ましくはガラス転移点120℃以下又は軟化点
160℃以下の熱可塑性樹脂である。
【0150】更に、ガラス転移点又は軟化点の異なる少
なくとも2種の樹脂を併用することが好ましい。特に、
ガラス転移点20℃〜140℃又は軟化点35℃〜18
0℃の樹脂(AH)及びガラス転移点40℃以下又は軟
化点45℃以下の樹脂(AL)から主としてなり、且つ
樹脂(AL)のガラス転移点又は軟化点が樹脂(AH)
のそれより2℃以上低いような組成の転写層が好まし
い。
【0151】樹脂(AH)は好ましくはガラス転移点3
0℃〜120℃又は軟化点38℃〜160℃であり、よ
り好ましくはガラス転移点35℃〜90℃又は軟化点4
0℃〜120℃であり、樹脂(AL)は好ましくはガラ
ス転移点−50℃〜+38℃又は軟化点−30℃〜+4
0℃であり、より好ましくはガラス転移点−20℃〜+
33℃又は軟化点0℃〜35℃である。更に好ましく
は、樹脂(AL)のガラス転移点又は軟化点は、樹脂
(AH)より5℃〜40℃の範囲で低いものである。こ
こで、樹脂(AH)又は樹脂(AL)が2種以上含有さ
れる場合におけるガラス転移点又は軟化点の差は、樹脂
(AH)中の最もガラス転移点又は軟化点の低いもの
と、樹脂(AL)中の最もガラス転移点又は軟化点の高
いものとの差をいうものである。
【0152】転写層における樹脂(AH)/樹脂(A
L)の重量比は5〜90/95〜10、特に、10〜7
0/90〜30で構成されることが好ましい。樹脂(A
H)/(AL)の重量比が上記範囲をはずれると併用に
よる効果が低下する。
【0153】本発明の転写層は、トナー画像を形成した
感光体上に高ガラス転移点の樹脂(AH)から成る第1
の層(第1転写層;T1)と、その上に低ガラス転移点の
樹脂(AL)から成る第2の層(第2転写層;T2)との
重層で形成されてもよい。このことにより、被転写材へ
の転写性が一層向上し、転写時の条件(加熱温度、圧
力、搬送スピード等)のラチチュードがより拡大すると
ともに、被転写材の種類を選ばずに容易に転写させるこ
とが可能となる。更に、被転写材に最終的に転写された
転写層の表面側が、高いガラス転移点からなる樹脂(A
H)で構成されるため、各種シートに入れて重ねてファ
イリングしても転写層の剥がれ等を生じない(ファイリ
ング適正)等の複写物の保存安定性が更に良好になる。
また、樹脂(AH)の種類を適当に選択することによ
り、普通紙に近い加筆性、捺印性を付与することが可能
となる。
【0154】本発明に用いられる樹脂(A)の重量平均
分子量は好ましくは1×103 〜5×105 、より好ま
しくは3×103 〜8×104 である。ここで、重量平
均分子量はGPC法で測定し、ポリスチレン換算した数
値である。
【0155】転写層に用いることができる樹脂(A)と
しては、具体的には、熱可塑性樹脂、接着剤又は粘着剤
として知られる樹脂が挙げられ、例えばオレフィン重合
体及び共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン
共重合体、アルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アル
カン酸アリル重合体及び共重合体、スチレン及びその誘
導体の重合体及び共重合体、オレフィン−スチレン共重
合体、オレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合
体、アクリロニトリル共重合体、メタクリロニトリル共
重合体、アルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸
エステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル重
合体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重
合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、イタ
コン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マレイン酸
共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド
共重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、
アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステ
ル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、
環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−
アクリル酸エステル共重合体、複素環を含有する共重合
体(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフラ
ン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン
環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン
環、1,3−ジオキセタン環等)、セルローズ系樹脂、
脂肪酸変性セルローズ系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げら
れる。
【0156】例えば、日刊工業新聞社刊「プラスチック
材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1981年)、近畿化学
協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社刊
(1988年)、大森英三「機能性アクリル樹脂」(株)テ
クノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎「ポリエステル
樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988年)、湯木和男
編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞
社刊(1989年)、高分子学会編「高分子データハンドブ
ック〈応用編〉」第1章培風館(1986年)、原崎勇次編
「最新・バインダー技術便覧」第2章(株)総合技術セ
ンター(1985年)、奥田平編「高分子加工、別冊8第20
巻増刊号“粘着”」高分子刊行会(1976年刊)、福沢敬
司「粘着技術」高分子刊行会(1987年刊)、西口守「接
着便覧第14版」高分子刊行会(1985年)、日本接着協会
編「接着ハトンドブック第2版」日刊工業新聞社(1980
年)等に記載の各種樹脂類が挙げられる。
【0157】本発明の転写層に供せられる樹脂(A)
は、樹脂(A)自体の剥離性を向上する効果を有するフ
ッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む
重合体成分(F)を前記した樹脂中の重合体成分として
更に含有してもよい。この事により、電子写真感光体と
の剥離性が更に向上し、結果として転写性がより良好に
なる。重合体成分(F)は、具体的には、前述の剥離性
を有する感光層に用いられる樹脂(P)に含有され得る
フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する重合体成分
と同様のものが挙げられる。その含有量は、樹脂(A)
の全重合体成分100重量部中、好ましくは3〜40重
量部、より好ましくは5〜25重量部である。好ましく
は重合体成分(F)は樹脂(A)においてブロックとし
て含有される。
【0158】また、前述の如く、転写層を構成する樹脂
(A)が、ガラス転移点又は軟化点が異なる2種以上の
樹脂からなる場合、これらフッ素原子及び/又はケイ素
原子含有重合体成分(F)は、高いガラス転移点の樹脂
(AH)及び低いガラス転移点の樹脂(AL)のいずれ
に含有されてもよい。
【0159】更に、転写層が積層構造である場合には、
フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の共重合体からな
る樹脂を感光体と接する第1転写層(T1)に用いること
が好ましい。これにより、感光体表面と転写層との剥離
性が向上して転写性向上が図られる。
【0160】転写層に用いられる樹脂(A)における、
いわゆるブロック共重合体として好ましい態様として
は、ブロック共重合体において、フッ素原子及び/又は
ケイ素原子含有の重合体成分(F)がブロックで構成さ
れていればいずれでもよい。ここでブロックで構成する
とは、フッ素原子及び/又はケイ素原子を70重量%以
上含有する重合体セグメントを重合体中に有しているこ
とをいい、例えば前記樹脂(P)で記載したと同様に、
A−B型ブロック、A−B−A型ブロック、B−A−B
型ブロック、グラフト型ブロックあるいはスター型ブロ
ック等が挙げられる。
【0161】これらの各種ブロック共重合体(A)は、
従来公知の重合方法に従って合成することができ、具体
的には、前記の電子写真感光体表面に剥離性を付与する
フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する重合体成分
をブロックで含有する樹脂(P)で引用したと同様の方
法が挙げられる。
【0162】転写層には、接着性、成膜性、膜強度等種
々の物理的特性を向上させるために、必要により他の添
加剤を併用してもよい。例えば、接着性調整のためにロ
ジン、石油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ
性の改良や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤とし
てボリブテン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、
低分子ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワ
ックス、パラフインワックス等、酸化防止剤として高分
子ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を加
えることができる。詳しくは「ホットメルト接着の実
際」(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29〜107
頁に記載がある。
【0163】転写層の膜厚は全体として0.1〜20μ
mが適当であり、好ましくは0.5〜10μm、より好
ましくは1〜5μmの範囲である。また、転写層を積層
構成とする場合には、第1転写層(T1)と第2転写層
(T2)の膜厚比は、好ましくは99/1〜5/95、よ
り好ましくは95/5〜30/70である。膜厚が薄す
ぎると充分な転写が行われず、厚すぎると転写層の伸縮
により転写後のトナー画像に歪みを生じる場合があり好
ましくない。
【0164】本発明においては、感光体上にトナー画像
形成後、被転写材へ転写する前に、感光体上に転写層が
設けられる。
【0165】本発明において、剥離可能な転写層は、電
子写真装置内でその都度トナー画像の形成された感光体
上に形成されることが好ましい。このように、転写層形
成装置を電子写真プロセスを行う装置内に組み込むこと
により、感光体を同一装置内で繰り返し使用して、各工
程を連続して行うことができ、カラー複写物のコストを
著しく低減できるというメリットを生じる。転写層の形
成は従来公知の方法により行うことができる。特に、熱
溶融塗布法、電着塗布法及び転写法のうちの少なくとも
1つの方法により装置内で感光体上に転写層を形成する
ことが好ましい。これらの方法は、転写装置内で感光体
表面に転写層を容易に形成できる点で好ましい。
【0166】以下各々の転写層形成方法について説明す
る。熱溶融塗布(ホットメルト)法は、転写層組成物を
公知の方法で熱溶融塗布するものであり、無溶剤型塗布
機、例えば前記資料「ホットメルト接着の実際」の197
〜215頁に記載のホットメルト接着剤用加熱溶融塗布装
置(ホットメルトコーター)の機構を、感光体のドラム
塗布仕様にして転用できる。例としては、ダイレクトロ
ールコーター、オフセットグラビアロールコーター、ロ
ットコーター、エクストルージョンコーター、スロット
オリフィスコーター、カ−テンコーター等が挙げられ
る。
【0167】塗布時の熱可塑性樹脂の溶融温度は、用い
る熱可塑性樹脂の成分組成により最適化するが、通常は
50〜180℃の範囲である。密閉された自動温度制御
手段を有する予備加熱装置を用いて予め溶融した後、感
光体に塗布する位置で短時間に適温に上昇させることが
望ましい。このようにすることで、熱可塑性樹脂の熱酸
化による変質や塗布ムラを防止することができる。塗布
スピードは、熱可塑性樹脂の熱溶融時の流動性、コータ
ー方式、塗布量等によるが、1〜100mm/秒が適当で
あり、より好ましくは5〜40mm/秒の範囲である。
【0168】転写層形成法として、電着塗布法を用いる
場合には、前述の熱可塑性樹脂(A)を、樹脂粒子の状
態で感光体の表面上に電着又は付着(以下単に電着とい
うこともある)させ、例えば加熱等により均一な薄膜を
形成して、転写層とする。従って、熱可塑性樹脂粒子
〔以下樹脂粒子(AR)と称することもある〕は、正電
荷あるいは負電荷のいずれかの荷電を有していることが
必要であり、その検電性は組み合せる感光体の帯電性に
よって任意に決定される。
【0169】特にガラス転移点の異なる少なくとも二種
の樹脂(好ましくは前記のガラス転移点の高い樹脂(A
H)と前記のガラス転移点の低い樹脂(AL)の二種)
を、同一粒子内に含有する樹脂粒子〔以下特に樹脂粒子
(ARW)と称することもある〕であってもよい。本発
明では、ガラス転移点又は軟化点が上記範囲に属する樹
脂(AH)及び樹脂(AL)とを任意に選択して、樹脂
粒子(ARW)とすることができる。これにより、転写
性が良好で転写層の耐久性に優れ、複写画像の強度が向
上する。
【0170】樹脂(ARW)では、樹脂(AH)/樹脂
(AL)が10/90〜95/5(重量比)、特に30
/70〜90/10(重量比)の割合で含有されること
が好ましい。樹脂(AH)の割合が10重量%以上の場
合に、カラー複写物を各種シートに入れて重ねてファイ
リングしても転写層の剥がれを生じない(ファイリング
適正)等の複写物の保存安定性が更に良化され好まし
い。また、樹脂(AL)の存在割合が5重量%以上の場
合に転写層の転写性がより良好に発揮される。
【0171】樹脂粒子(ARW)中に含有される少なく
とも二種の樹脂(AH)及び樹脂(AL)は、粒子内で
任意に混在する状態又は樹脂(AH)が主たる部分と樹
脂(AL)が主たる部分とに分離した層構造を形成する
状態(即ち、コア−シェル構造の粒子)のいずれでもよ
く、また、コア−シェル構造の場合には、コアとなる部
分が樹脂(AH)であっても樹脂(AL)であっても、
特に限定されるものではない。
【0172】樹脂粒子(AR)は、前記した物性を満た
す範囲のものであって、通常その平均粒径は、0.01
μm〜15μmの範囲であり、好ましくは0.05μm
〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲で
ある。粒子は粒子粉体(乾式)又は非水系に分散された
樹脂粒子(湿式)、あるいは常温で固体であり加熱によ
り液体となる電気絶縁性有機物中に分散された樹脂粒子
(疑似湿式)のいずれの状態でもよい。好ましくは、剥
離用転写層の膜厚を均一に且つ薄く調整することが容易
な非水系分散樹脂粒子が挙げられる。
【0173】微小径樹脂粒子は、従来公知の機械的粉砕
方法又は重合造粒方法によって製造することができる。
これらの製造方法は、乾式電着あるいは湿式電着のいず
れの粒子でも用いることができる。
【0174】乾式電着方法で用いられる微小粒子を製造
する場合において、機械的粉砕方法としては、従来公知
の粉砕機で直接粉砕し、微粒子とする方法(例えば、ボ
ールミル、ペイントシェーカー、ジェットミルを使用す
る方法等)が挙げられ、必要に応じて、樹脂粒子とする
材料を混合し、溶融、混練を経て粉砕したり、粉砕後粒
径をそろえるための分級又は粒子の表面を処理する後処
理等を適宜組合わせて行なうことができる。また、スプ
レードライ法も知られている。例えば、(社)日本粉体
工業技術協会編「造粒ハンドブック」第II編(オーム社
刊、1991年)、神奈川経営開発センター「最新造粒技術
の実際」(神奈川経営開発センター出版部、1984年)、
荒川正文等編「最新粉体の設計技術」(株)テクノシス
テム社、1988年)等の成書に詳細に記載された方法を適
宜用いて容易に製造することができる。
【0175】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行なう乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反
応、非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等
が知られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテッ
クスの化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲垣寛
「合成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978年)、室
井宗一「高分子ラテックス入門」工文社(1983年)、I.
Piirma, P. C. Wang「EmulsionPolymerization」、I.
Piirma & J. L. Gardon, ACS symp. Sev. 24, p.34(19
74年)、北原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書(19
79年)、室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端技
術」C.M.C.(1991年)等の成書に記載されている方法で
粒子化した後、上記機械的方法に関する成書に記載の様
な各種の方式で補集し粉末化することで製造することが
できる。
【0176】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は、乾式静
電写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的
には、J. F. Hughes著(長坂秀雄・緑川真知子訳)「静
電粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯電、
インダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現象利
用等の方法で帯電した微粒子を電着する方法、中村孝一
編「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・
実用化」第1章(日本科学情報(株)、1985年)等の成
書に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ法、ファー
ブラシ法、エレクトロスタチック法、インダクション
法、タッチダウン法、パウダークラウド法等の現像方法
等を用いて適宜行なうことができる。
【0177】湿式電着方法で用いられる、非水系ラテッ
クスを製造する場合も、前記の如く機械的方法と重合造
粒方法のいずれでも製造することができる。例えば、分
散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば、ボー
ルミル・ペイントシェーカー、ケデイミル、ダイノミル
等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、分散
補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混練して混練
物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させて分散
する方法等が挙げられる。具体的には、塗料又は静電写
真用現像剤の製造方法を利用することができ、例えば植
木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、「ソロモン、塗料の科学」、「Paint and Surfac
e Coating Theory and Practice」、原崎勇次「コーテ
ィング工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次「コーティ
ングの基礎科学」(1977年)等の成書に記載されてい
る。
【0178】また、重合造粒法の場合、公知の方法を用
いて容易に製造することができる。具体的には、前記し
た「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、「最近の電
子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」第3
章、K. E. J. Barvett「Dispersion Polymerization in
Organic Media」John Wiley(1975年)等の成書に記載
されている。
【0179】また、前述のように、ガラス転移点の異な
る少なくとも二種の樹脂を同一粒子内に含有する、コア
−シェル構造の樹脂粒子(ARW)を得る場合には、シ
ード重合法を用いて容易に製造することができる。具体
的には上記した非水系分散重合法に関する成書等に記載
される従来公知の非水系分散重合方法でまず微粒子を合
成し、次にこの微粒子をシードとして更に上記と同様に
して該シード粒子とガラス転移点の異なる樹脂(A)に
相当する単量体類をフィードして重合させることにより
製造する方法により製造することができる。
【0180】上記重合造粒法において、樹脂(A)に剥
離性向上のための重合体成分(F)を導入するには、熱
可塑性樹脂となる有機溶媒には可溶で、重合することで
不溶化する単量体とともに、重合体成分(F)に相当す
る単量体を共存させて重合反応を行うことで樹脂(A)
中に共重合され、ランダム共重合体の樹脂粒子(AR)
が容易に得られる。
【0181】更に、重合体成分(F)を重合体のブロッ
クで導入するには、用いる分散安定用樹脂に、重合体成
分(F)をブロックで含有するブロック共重合体を少な
くとも用いる方法、又は重合体成分(F)を主たる繰り
返し単位として含有する重量平均分子量1×103〜2
×104(好ましくは3×103〜1.5×104)の一官
能性マクロモノマーを共存させて単量体類と共重合させ
ることで容易にブロック共重合体とすることができる。
また、他の方法としては、重合体成分(F)を主たる繰
り返し単位として含有する高分子開始剤(アゾビス高分
子開始剤又は過酸化物高分子開始剤)を用いることで
も、同様にブロック共重合体の樹脂粒子を得ることがで
きる。
【0182】上記非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用い
られる非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒
であればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混
合して用いることができる。かかる有機溶媒の具体例
は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、フッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコ
ール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサ
ノン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メ
チル等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、
デカン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シク
ロオクタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香
族炭化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テ
トラクロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホル
ム、ジクロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン
化炭化水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合
物例に限定されるものではない。これらの非水溶媒系で
分散樹脂粒子を分散重合法で合成することにより、樹脂
粒子の平均粒子径は容易に1μm以下となり、しかも粒
子径の分布が非常に狭く且つ単分散の粒子とすることが
できる。
【0183】これらの非水系分散樹脂粒子は、湿式静電
写真現像方法又は電界の印圧場で電気泳動させて電着さ
れる方法を行なうことから、電着時に用いられる分散媒
としては、電気抵抗108Ω・cm以上、且つ比誘電率
3.5以下の非水溶媒系に調節されることが好ましい。
熱可塑性樹脂を主として含有する粒子を電気抵抗108
Ω・cm以上、且つ比誘電率3.5以下の電気絶縁性溶媒
中に分散させて供給する方法は、転写層の膜厚を均一且
つ薄く容易に調整できる点で好ましい。
【0184】絶縁性溶媒としては、具体的には、直鎖状
もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は
芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン置換体を用いる
ことができる。例えばオクタン、イソオクタン、デカ
ン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソド
デカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイ
ソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL
(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール7
0、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社
の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(ア
ムスコ;アメリカン・ミネラル・スピリッツ社の商品
名)等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0185】ここで、非水系分散樹脂粒子の重合造粒時
に用いる非水溶媒として、初めから上記絶縁性有機溶媒
を用いることが好ましいが、これら溶媒以外の溶媒で造
粒した後、分散媒の置換をして調製することもできる。
【0186】また、非水系ラテックスの他の合成方法と
しては、上記した電気抵抗108Ωcm以上且つ誘電率
3.5以下の非水溶媒に可溶性となる重合体成分と、該
溶媒に不溶性となる重合体成分とで構成されるブロック
共重合体を、該溶媒に湿式分散することで微小樹脂粒子
として供することもできる。即ち、可溶性の重合体成分
と不溶性の重合体成分とからなるブロック共重合体を、
予め該ブロック共重合体を溶解する有機溶媒中で、前記
したブロックポリマーの合成法を用いて重合体とした
後、電着用非水溶媒に分散させる方法である。
【0187】以上の如く、分散媒中の分散粒子を電気泳
動で電着させるためには、樹脂粒子(AR)は正荷電又
は負荷電の検電性粒子であり、樹脂粒子(AR)に検電
性を付与する技術は、湿式静電写真用現像剤の技術を適
宜利用することで達成できる。具体的には、前記の「最
近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用
化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎
と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次
「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の検電
材料及び他の添加剤を用いることで行なわれる。例え
ば、英国特許893,429号、同934,038号、
米国特許1,122,397号、同3,900,412
号、同4,606,989号、特開昭60−17975
1号、同60−185963号、特開平2−13965
号等に記載されている。
【0188】電着に供せられる非水系樹脂粒子分散物
(ラテックス)の構成としては、通常少なくとも電気絶
縁性分散媒1リットル中に、熱可塑性樹脂を主として含
有する粒子が0.1〜30g、分散安定用樹脂は0.0
1〜100g、必要に応じて加える荷電制御剤は、0.
0001〜10gの範囲である。
【0189】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持等のために、他の添加剤を添加してもよく、例えば、
ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル
類、シリコーンオイル類、パラフィンワックス類、トリ
アジン誘導体等が挙げられる。しかし、これらに限定さ
れるものではない。これらの添加剤の総量は、電着用ラ
テックスの電気抵抗によってその上限が規制される。即
ち、電気抵抗が108Ωcmより低くなると熱可塑性樹脂
粒子の付着量が充分な量得られ難くなるので、各添加剤
の各添加量はこの限度内でコントロールされる。
【0190】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した熱可塑性樹脂粒子は電子写
真湿式現像剤と同様の挙動を示す。よって例えば前掲の
「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に示される現
像デバイス、例えばスリット現像電極装置を用いて感光
体表面に電気泳動させることができる。即ち、熱可塑性
樹脂(A)を主として含有する粒子が、感光体と対向し
て設置された対向電極の間に供給され、外部電源より印
加された電位勾配に従って電気泳動して感光体に付着又
は電着されて成膜される。
【0191】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前提の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体を均
一帯電させた後露光を行わず、又は不要領域のみに露光
を行ういわゆる焼き落としをし、次いで通常の湿式トナ
ー現像をする。
【0192】他方、加熱により液化する媒体中に分散し
た樹脂粒子を用いる場合に供される好ましい媒体は、常
温で固体であり、加熱温度30〜80℃、好ましくは4
0〜70℃で液体となる電気絶縁性の有機化合物であ
り、これに好適な化合物としては、凝固点30〜80℃
のパラフィン類、ロウ類、凝固点20〜80℃の低分子
量のポリプロピレン、凝固点20〜50℃の牛脂、凝固
点30〜80℃の硬化油等が挙げられ、これらを単独又
は組み合わせて用いることができる。その他必要な特性
は、上記湿式現像法に供される電着樹脂粒子分散物の場
合と同様である。
【0193】更に、この疑似湿式法に供される樹脂粒子
は、供される媒体の液化する温度では軟化しない高ガラ
ス転移点又は高軟化点の樹脂成分が粒子の外殻を構成す
る、いわゆるコア−シェル型粒子(コア部が低Tgの樹
脂、シェル部が高Tgの樹脂)とすることで、分散され
た樹脂粒子が加熱で融着することなく、安定に分散され
た状態を維持することが可能となる。
【0194】感光体上の熱可塑性樹脂粒子の付着量は外
部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び処理時間
などにより任意に調節できる。電着後公知のゴムローラ
ー、ギャップローラ、リバースローラなどによるスクイ
ズで処理液を拭い去る。またコロナクイズやエアースク
イズなどの方法も公知である。更に冷風もしくは温風、
あるいは赤外線ランプなどにより乾燥し、好ましくは熱
可塑性樹脂粒子を皮膜化させて転写層とする。
【0195】次に、転写法による転写層の形成について
説明する。転写法とは、離型紙で代表される剥離性支持
体上に転写層を通常の方法により予め形成した後、トナ
ー画像の形成された感光体表面に転写層を剥離性支持体
から転写するものである。
【0196】転写層が形成される剥離性支持体(離型
紙)は、通常ロール状又はシート状で、電子写真装置に
簡便に供給できる。この方式に供される離型紙は、従来
公知のいずれもものも使用でき、例えば、粘着(粘接
着)の新技術とその用途・各種応用製品の開発資料(発
行;経営開発センター出版部、昭和53年5月20日)、オ
ールペーパーガイド紙の商品事典、上巻・文化産業編)
発行;(株)紙業タイムス社、昭和58年12月1日)等の
成書に記載のものが挙げられる。具体的には、剥離紙
は、シリコーンを主とする離型剤を、ポリエチレン樹脂
をラミネートした未晒クルパック紙や耐溶剤性の樹脂を
プリコートした上級紙、クラフト紙に塗布したもの、ま
たアンダーコートを施したPETベース、又は直接グラ
シン紙に塗布したもの等である。シリコーンは一般に溶
剤タイプのものが用いられ、上記基体上に3〜7%の濃
度でグラビアロール、リバースロール、ワイヤーバー等
で塗布・乾燥後、150℃以上で熱処理され、硬化され
る。塗布量は1g/m2程度である。
【0197】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えば、セ
パレート紙(王子製紙(株)製)、キングリーズ(四国
製紙(株)製)、サンリリース(山陽国策パルプ(株)
製)、NKハイレリーズ(日本加工製紙(株)製)など
が挙げられる。
【0198】離型紙上に転写層を形成するには、熱可塑
性樹脂(A)を主成分とする転写層組成物を、常法に従
って、バー塗布、スピン塗布、スプレー塗布等により塗
布成膜することにより容易に行われる。更に、ホットメ
ルト塗布、電着塗布も用いられる。
【0199】離型紙上の転写層をトナー画像を表面に有
する感光体上に熱転写するには、通常の熱転写方法が利
用できる。即ち、転写層を保持した離型紙をトナー画像
を形成した感光体に圧着し、転写層を熱転写すればよ
い。離型紙から転写層をトナー画像を形成した感光体表
面へ転写する場合の条件は以下の通りが好ましい。ロー
ラーのニップ圧力は好ましくは0.1〜10kgf/cm 2
より好ましくは0.2〜8kgf/cm2であり、転写時の温
度は好ましくは25℃〜100℃、より好ましくは40
℃〜80℃である。搬送スピードは好ましくは0.5〜
300mm/秒、より好ましくは10〜250mm/秒であ
る。
【0200】本発明では、転写層を形成する好ましい方
法として、上記した3つの方法が挙げられるが、転写装
置を簡便にできること、均一な薄膜を安定且つ容易に形
成できること等から電着塗布法が特に好ましい。
【0201】本発明においては、上記のようにして、ト
ナー画像を形成した感光体上に転写層を形成した後、転
写層をトナー画像ごと被転写材へ転写する。この熱転写
には公知の方法及び装置を用いることができる。本発明
では、トナー画像上に形成された転写層を特に冷却させ
ることなく、直ちに次の工程で被転写材へ転写すること
ができる。このことは、処理工程の簡易・短縮化、及び
感光材料の耐久性の向上において有利である。
【0202】熱転写は、例えば、感光体と被転写材を接
触させ、加熱ローラーにより圧着し、次いで冷却ローラ
ーを通すことにより容易に実施される。必要に応じて、
感光体ドラムや転写部を加熱手段を用いて所定の予熱を
行ってもよい。加熱手段は、非接触の、例えば赤外線ラ
インヒーター又はフラッシュヒーター等を用いることが
好ましい。
【0203】熱転写時の転写層の表面温度は30〜15
0℃、特に35〜80℃が好ましい。転写工程における
ローラーのニップ圧力は0.2〜20kgf/cm2、より好
ましくは0.5〜15kgf/cm2であり、ローラー加圧手
段としてはローラー軸の両端にスプリング又は圧縮空気
を用いるエアーシリンダーを使うことができる。搬送ス
ピードは好ましくは5〜300mm/秒、より好ましくは
10〜200mm/秒の範囲である。
【0204】被転写材への熱転写挙動は、次のように推
定される。即ち、ある程度軟化した転写層が加熱される
ことにより粘着性が増し、被転写材に密着する。次い
で、剥離用冷却ローラー下を通過した後では温度が下が
り、流動性や粘着性が低減して被膜のまま、トナーごと
被転写材に接着された状態で感光体表面から剥離する。
従って、このような状態が具現するように条件を設定す
べきである。
【0205】冷却ローラーの材質は、例えばアルミニウ
ム、銅等の熱良導体金属にシリコーンゴム被覆を施し、
ローラー内部又は転写紙に接しない外周部に冷却手段を
用いて放熱することが望ましい。冷却手段はクーリング
ファン、冷却循環又は電子冷却素子などを用い、温度コ
ントローラーと組み合わせて所定の温度範囲に保つこと
が好ましい。
【0206】本発明のカラー画像形成方法において、ト
ナー画像や転写層を転写する条件設定は、使用している
感光体(感光層及び支持体)、転写層、被転写材等の材
料の物性により最適化することは当然である。特に熱転
写工程における温度条件は転写層のガラス転移点、軟化
温度、流動性、粘着性、皮膜性、膜厚などの要因を加味
して決定することが必要である。
【0207】本発明に供される被転写材としては、特に
限定されるものではなく、上質紙、コート紙、アート紙
の天然紙、合成紙の支持体、アルミ、鉄、SUS等の金
属支持体等の反射型の材料またはポリエステル、ポリオ
レフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート等の樹脂フ
ィルム(プラスチックフィルム)等の透過型の材料等い
ずれでもよい。
【0208】以下に、本発明のカラー画像形成方法の具
体的態様について図面を参照しつつ説明する。図2は、
化合物(S)付与ユニットを有し、現像法として湿式現
像法を、転写層の形成法として電着塗布法を用いた場合
の本発明の方法及び装置の全体の概略を示したものであ
る。液体現像ユニットセット14の上に電子写真感光体
11ドラム、被転写材16が配置される。ドラム内、転
写用バックアップローラー17b及び剥離用バックアッ
プローラー17c内にはそれぞれ温度調節手段が設けら
れている。
【0209】液体現像ユニットセット14は移動式とな
っている。このユニットセット14には更にそれぞれイ
エロー、マゼンタ、シアン、ブラックの液体現像剤を含
む液体現像ユニット14y、14m、14c、14k
と、更に転写層12を電着塗布法で形成するための熱可
塑性樹脂粒子を含む電着ユニット14Tが備えられてい
る。各々には必要に応じて非画像部の汚れを防止する意
味でプレバス、リンス、スクイズ手段を備えておいても
良い。プレバス及びリンス液には通常液体現像剤のキャ
リヤー液体を用いる。化合物(S)付与ユニット10は
用いる感光体表面の剥離性によって適宜省略することが
できる。電子写真プロセスによる画像形成時には、被転
写材16は図に示すように感光体ドラムから離れてい
る。
【0210】前述のように、表面が予め剥離性に改質さ
れた電子写真感光体11を用いる場合には、そのまま感
光体11上にトナー画像を形成する。また、感光体11
表面の剥離性が不十分な場合には、トナー画像の形成前
に、化合物(S)を適用することにより、感光体11表
面に所望の剥離性を付与することができる。即ち、前記
したいずれかの態様を用いた化合物(S)付与ユニット
10により、感光体11表面に化合物(S)を供給す
る。化合物(S)付与ユニット10は固定及び可動式の
いずれでもよい。
【0211】まず、電子写真プロセスを説明する。感光
体11をコロナ帯電装置18で例えばプラスに一様帯電
した後、露光装置(例えば半導体レーザー)19でまず
イエローの画像情報に基づき画像露光すると、露光部の
電位が低減され、未露光部との間に電位コントラストが
得られる。プラスの静電荷を有するイエローの顔料が電
気絶縁性分散媒中に分散している液体現像剤を含むイエ
ロー液体現像ユニット14yのみを液体現像ユニットセ
ット14から感光体11の表面に接近させギャップを1
mmにして固定する。
【0212】感光体11は現像ユニットに具備されたプ
レバス手段によりプレバスされ、ついで図には示されて
いないバイアス電源及び電気結線により、感光体11と
現像電極の間に現像バイアス電圧を印加しながらイエロ
ーの液体現像剤を感光体11表面に供給する。この時の
バイアス電圧は現像電極側を正に、感光体側を負になる
ように接続し、印加電圧は未露光部の表面電位よりもや
や低くする。印加電圧が低すぎると充分なトナー画像濃
度が得られない。
【0213】その後現像ユニットに内蔵してあるリンス
手段により現像液を洗い落とし、続いてスクイズ手段に
より感光体表面に付着したリンス液を除いてから吸排気
ユニット15下を通過させることにより乾燥させる。以
上の工程をマゼンタ、シアン、ブラックについて繰り返
し、感光体11上にカラートナー画像を得る。
【0214】次いでトナー画像を有する電子写真感光体
11の上に、剥離可能な転写層12を形成する。転写層
を形成する熱可塑性樹脂粒子(AR)に荷電を付与して
熱可塑性樹脂粒子分散液12aとし、これを電着ユニッ
ト14Tに投入し、現像プロセス終了後、液体現像ユニ
ットセット14を感光体11に接近させ、電着ユニット
セット14Tの現像電極との距離が1mmとなるように固
定する。このギャップ間に電着ユニット14Tから粒子
分散液を供給し、外部から電圧を印加しながら回転さ
せ、感光体11表面の全面に粒子が吸着するようにす
る。必要に応じて、電着ユニット14Tに内蔵してある
スクイズ手段で感光体11表面に付着している粒子分散
液を除き、次いで加熱手段により樹脂粒子を熱溶融させ
て皮膜化した転写層12を形成する。その後必要に応じ
て吸排気ユニットに類似の冷却装置にて感光体11外側
からか、もしくは感光体11ドラム内部から、所定の温
度まで冷却する。現像ユニットセット14を待機位置ま
で移動させて、転写層12の形成工程が終了する。
【0215】この際、分散液の分散溶媒の排気は、電子
写真感光体の電子写真プロセス用に設けた吸排気ユニッ
ト15を利用することができる。電着ユニット14Tは
上記のように現像ユニットセット14内に併設されてい
てもよいし、現像ユニットとは別に設置してもよい。
【0216】次に、被転写材16への転写を説明する。
本発明では、転写層12を形成した後、感光体ドラムを
冷却せずにそのまま被転写材16に圧接して感光体11
表面上のトナー画像を転写層12ごと一括して被転写材
(コート紙等)16に熱転写できる。必要に応じて、感
光体ドラムや転写層を加熱手段を用いて所定の予熱を行
ってもよい。図2に示す位置にあった被転写材16を、
感光体11ドラムに、転写用バックアップローラー17
bにより押圧し、次いで剥離用バックローラー17cで
冷却して、被転写材16上に転写層12ごとトナー画像
を剥離転写し、一連の工程を終了する。
【0217】また、感光体の表面に剥離性を付与する場
合は、化合物(S)を適用した状態で装置を停止するこ
とにより次に稼働時に電子写真プロセスからスタートす
ることができる。
【0218】熱溶融塗布法又は転写法により転写層12
を形成する場合には、図2に示す電着ユニット14Tを
用いる代わりに、それぞれ図3又は図4に示す如き転写
層形成装置を用いることにより容易に実施できる。
【0219】熱溶融塗布法を用いる場合には、例えば図
3に示す如き装置を用いることができる。図3におい
て、イエロー(14y)、マゼンタ(14m)、シアン
(14c)、ブラック(14k)の液体現像剤を含む現
像ユニットよりなる液体現像ユニットセット14が移動
され、上記と同様に電子写真プロセスによりトナー画像
が形成される。液体現像ユニットセット14が待機位置
まで移動した後、その場所に待機位置13aからホット
メルトコーター13が移動される。転写層用樹脂12b
は、ホットメルトコーター13によりドラム周面の感光
体11の表面に塗布され、吸排気ユニット15下を通過
させることにより所定の温度まで冷却し、転写層12が
形成される。その後、ホットメルトコーター13を待機
位置13aまで移動することが好ましい。
【0220】剥離紙を利用して転写層を感光体上に形成
する装置としては、例えば図4に示すものが挙げられ
る。転写層12を設けた離型紙20を加熱ローラー11
7bで加熱圧着させて、転写層12を感光体11の表面
へ転写させる。離型紙20は、冷却ローラー117cで
冷却されて回収される。更に必要に応じて、感光体自身
を加熱手段17aで加熱して、転写層12の加熱圧着に
よる転写性を向上させてもよい。
【0221】感光体への転写ユニット117は、図4に
示す様に、離型紙20により転写層12を感光体11上
へ転写した後、被転写材16への転写ユニット17に置
き換えられる。このように、離型紙20により転写層1
2を感光体11上に転写するユニット117と、トナー
画像とともに転写層12を被転写材16へ転写するユニ
ット17の両者を装置内に組み入れてもよい。あるい
は、感光体への転写ユニット117により離型紙20か
ら転写層12を感光体11上へ転写した後、同一手段を
用い、離型紙に変えて被転写材16を供給することによ
りトナー画像及び転写層を被転写材へ転写してもよい。
【0222】
【実施例】以下に実施例を示し更に詳しく本発明の内容
を説明するが、これによって本発明が限定を受けるもの
ではない。
【0223】〔転写層用熱可塑性樹脂粒子(AR)の合
成例〕 樹脂粒子(AR)の合成例1:(AR−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)10g、酢酸ビニ
ル70g、プロピオン酸ビニル30g及びアイソパーH
384gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度70
℃に加温した。重合開始剤として2,2′−アゾビス
(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.N.)0.8gを加
え、3時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁
を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。更に、開始剤
を0.5g加え、2時間反応した後、温度を100℃に
上げ2時間攪拌し未反応の単量体を留去した。冷却後2
00メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物
は重合率90%で平均粒径0.23μmの単分散性良好
なラテックスであった。粒径はCAPA−500{堀場
製作所(株)製}で測定した(以下同様)。上記白色分
散物の一部を、遠心分離機(回転数1×104r.p.m.、
回転時間60分)にかけて、沈降した樹脂粒子分を、捕
集・乾燥した。樹脂粒子分の重量平均分子量(Mw:ポ
リスチレン換算GPC値。以下同様)は8×104、ガ
ラス転移点(Tg)は28℃であった。測定した)。
【0224】
【化12】
【0225】樹脂粒子(AR)の合成例2:(AR−
2) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−2)20g及びアイソ
パーG382gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温
度60℃に加温した。これに、メチルメタクリレート3
0g、エチルアクリレート70g、3−メルカプトプロ
ピオン酸メチル0.6g及びA.I.V.N.1.0gの混合物
を滴下時間1時間で滴下しそのまま更に1時間反応し
た。更にA.I.V.N.0.8gを加え2時間反応し、次に
2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.B.
N.) 0.8gを加えて温度80℃に加温し2時間反応
し、更にA.I.B.N.0.5gを加えて2時間反応を行なっ
た。次に、温度100℃に加温し、減圧度10〜20m
mHg下に未反応単量体を留去した後、冷却し、200
メッシュナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合
率98%で平均粒径0.17μmの単分散性良好なラテ
ックスであった。樹脂粒子分のMwは8×104でTg
は16℃であった。
【0226】
【化13】
【0227】樹脂粒子(AR)の合成例3:(AR−
3) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−3)10g、マクロモ
ノマー(M−1)、即ち、ジメチルシロキサンのマクロ
モノマー(FM−0725;チッソ(株)製、Mw1×
104)10g及びアイソパーH553gの混合溶液を窒
素気流下に攪拌しながら温度50℃に加温した。これ
に、メチルメタクリレート50g、メチルアクリレート
50g、3−メルカプトプロピオン酸メチル1.3g及
び2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニ
トリル)(略称A.C.P.P.)1.0gの混合物を滴下時間3
0分で滴下し、そのまま更に1.5時間反応した。更
に、A.C.P.P.0.8gを加え2時間反応し、次にA.I.V.
N.0.8gを加えて温度80℃に設定し2時間反応し、
更にA.I.V.N.0.5gを加えて2時間反応を行なった。
冷却後200メッシュのナイロン布を通して得られた白
色分散物は重合率99%で平均粒径0.19μmの単分
散性良好なラテックスであった。樹脂粒子分のMwは3
×104でTgは35℃であった。
【0228】
【化14】
【0229】樹脂粒子(AR)の合成例4〜14:(A
R−4)〜(AR−14) 樹脂粒子(AR)の合成例2において、メチルメタクリ
レート及びエチルアクリレートの代わりに、下記表−A
の各単量体を用いた他は、該合成例2と同様にして、各
樹脂粒子を合成した。各々の白色分散物は、重合率は9
0〜99%で、平均粒径は0.13〜0.20μmの単
分散性良好なラテックスであった。
【0230】
【表2】
【0231】樹脂粒子(AR)の合成例15〜19:
(AR−15)〜(AR−19) 樹脂粒子(AR)の合成例3において、マクロモノマー
(M−1)10gの代わりに、下記表−Bの各マクロモ
ノマー(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用いた
他は、該合成例3と同様にして、各樹脂粒子を合成し
た。各粒子の重合率は98〜99%で、それらの粒子の
平均粒径は0.15〜0.25μmの範囲内で、粒子の
粒度分布も狭く単分性が良好であった。また、樹脂粒子
分のMwは2×104〜3.5×104の範囲で、Tgは
30℃〜45℃の範囲であった。
【0232】
【表3】
【0233】樹脂粒子(ARW)の合成例1:(ARW
−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−4)12g、酢酸ビニ
ル70g、酪酸ビニル30g及びアイソパーH388g
の混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度80℃に加温
した。これに、開始剤としてA.I.B.N.1.5gを加え2
時間反応し、更にA.I.B.N.0.8gを2時間ごとに2回
加え反応を行った。冷却後、200メッシュのナイロン
布を通し得られた白色分散物は重合率93%で平均粒径
0.18μmの単分散性のラテックスであった。上記白
色分散物の一部を遠心分離機(回転数1×104r.p.
m.、回転時間60分)にかけて、沈降した樹脂粒子分を
補集、乾燥し、樹脂粒子分のMwとTgを測定したとこ
ろ、Mwは8×104、Tgは18℃であった。ここで
得られた樹脂粒子を(RAL−1)とする。
【0234】この樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)及
び下記構造の分散安定用樹脂(Q−5)10gの混合溶
液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。こ
れに、メチルメタクリレート60g、メチルアクリレー
ト40g、3−メルカプトプロピオン酸メチル2.0
g、A.I.V.N.0.8g及びアイソパーG400gの混合
物を2時間で滴下し、そのまま更に2時間反応した。次
に、開始剤を0.8g加え、温度70℃にして2時間反
応し、更に開始剤を0.6g加え3時間反応した。冷却
後、200メッシュナイロン布を通し、得られた白色分
散物の重合率は98%で平均粒径0.25μmの単分散
性良好なラテックスであった。
【0235】
【化15】
【0236】次に、得られた樹脂粒子が、単独の粒子と
して形成されたか否かを走査型電子顕微鏡(SEM)を
用いて粒子の状態を観察することで調べた。PETフィ
ルム上に樹脂粒子が分散した状態になる様に調製して作
製したフィルムを、温度20℃及び50℃に5分間加熱
処理した後、各サンプルをJSL−T330型Scanning
Microscope(JEOL社製)を用いて、2万倍で観察
した所、温度20℃のサンプルは粒子状態が観察された
が、温度50℃では観察されなかった。即ち、粒子が加
熱により融解していた。同様にして、本発明の粒子を構
成する二種の樹脂(共重合体)の各々からなる上記樹脂
粒子(RAL−1)(Tg18℃)及び下記の樹脂粒子
(RAL−2)(Tg45℃)及び該二種の樹脂粒子を
1/1重量比で混合した分散樹脂粒子について調べた。
【0237】・樹脂粒子(RAL−2)の製造 前記分散安定用樹脂(Q−5)18g及びアイソパーH
553gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55
℃に加温した。これに、メチルメタクリレート60g、
メチルアクリレート40g、3−メルカプトプロピオン
酸メチル2.0g及びA.C.P.P.1.0gの混合物を60
分で滴下し、そのまま更に1.5時間反応した。更に、
A.C.P.P.0.8gを加え2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.8gを加えて温度80℃に設定し2時間、更にA.C.
P.P.0.5g加えて2時間反応を行った。冷却後、20
0メッシュナイロン布を通し、得られた白色分散物の重
合率は99%で平均粒径0.15μmの単分散性良好な
ラテックスであった。また、樹脂粒子分のMwは1.5
×104、Tgは45℃であった。
【0238】樹脂粒子(RAL−1)から成るサンプル
は、加熱しないサンプルは粒子状態であったが、温度2
0℃で粒子状態が観察されず、樹脂粒子(RAL−2)
のサンプルは温度50℃で粒子が見えなくなった。更
に、混合粒子からなるサンプルについて、加熱しないサ
ンプルと温度20℃のサンプルを調べた所、未加熱サン
プルを比べると、温度20℃のものは粒子が見えなくな
っている所が確認された。以上の様に、粒子の熱挙動を
目視観察した結果、上記の様にして製造した本発明の樹
脂粒子は、二種類の樹脂粒子の混合されたものでなく、
一種の粒子中に二種の樹脂が含有されており、この場合
には、高Tgの樹脂が外層に低Tgの樹脂が内層に各々
分配したコア−シェル粒子であることが確認された。
【0239】樹脂粒子(ARW)の合成例2〜8:(A
RW−2)〜(ARW−8) 樹脂粒子(ARW)の合成例1において、下記表−Cに
記載の各単量体を用いた他は、該合成例1と全く同様に
操作して樹脂粒子(ARW−2)〜(ARW−8)を製
造した。得られた各ラテックス粒子の重合率は95〜9
9%で、平均粒径は0.20〜0.30μmの範囲内で
且つ単分散性が良好であった。
【0240】
【表4】
【0241】樹脂粒子(ARW)の合成例9:(ARW
−9) 樹脂(A)として、Tg−25℃の酢酸ビニル/エチレ
ン(46/54重量比)共重合体(エバフレックス45
X:三井・デュポンケミカル(株)製)と、Tg38℃
のポリ酢酸ビニルとを1/1重量比の割合で用いて温度
120℃で3本ロールミルで溶融混練した。この混練物
を粉砕機トリオブレンダーで粗粉砕し、この粉砕物5
g、分散安定用樹脂:ソルプレン1205(旭化成
(株)製)4g及びアイソパーH51gを直径4mmのガ
ラスビーズをメジアとするペイントシェーカー(東洋精
機(株)製)に仕込み、20分間予備分散した。この予
備分散物を直径0.75〜1mmのガラスビーズをメジア
とするダイノミルKDL型(ジンマルエンタープライゼ
ス(株)製)を用い、4500r.p.m.で6時間湿式分散
した。これらを200メッシュナイロン布を通して得ら
れた白色分散物の平均粒径は0.4μmのラテックスで
あった。
【0242】樹脂粒子(ARW)の合成例10〜14:(A
RW−10)〜(ARW−14) 上記転写層用樹脂粒子(ARW)の合成例9において用
いた二種の樹脂(A)の代わりに下記表−Dの各化合物
を用いた他は合成例9と同様の湿式分散法により分散物
を調整した。得られた白色分散物は、平均粒径は0.3
〜0.6μmの範囲であった。
【0243】
【表5】
【0244】〔樹脂(P)の合成例〕 樹脂(P)の合成例1:(P−1) メチルメタクリレート80g、ジメチルシロキサンのマク
ロモノマー(m−1):FM−0725{チッソ(株)
製、Mw1×104}20g及びトルエン200gの混合溶液
を、窒素気流下温度75℃に加温した。これにA.I.B.N.
1.0gを加え4時間反応し、更にA.I.B.N. 0.7gを加え
て4時間反応した。得られた共重合体のMwは5.8×104
であった。
【0245】
【化16】
【0246】樹脂(P)の合成例2〜9:(P−2)〜
(P−9) 樹脂(P)の合成例1において、メチルメタクリレート
及びマクロモノマー(m−1)の代わりに、下記表−E
に記載の重合体成分に相当する各単量体を用いた他は、
合成例1と同様にして、各重合体を合成した。得られた
各重合体のMwは、4.5×104〜6×104の範囲であっ
た。
【0247】
【表6】
【0248】
【表7】
【0249】樹脂(P)の合成例10:(P−10) 2, 2, 3, 4, 4, 4−ヘキサフルオロブチルメタクリレー
ト60g、メチルメタクリレートのマクロモノマー(AA
−6){東亜合成化学(株)製、Mw1×104}40g、
ベンゾトリフルオリド200gの混合溶液を窒素気流下に
温度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4時
間反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて4時間反応し
た。得られた共重合体のMwは6.5×104であった。
【0250】
【化17】
【0251】樹脂(P)の合成例11〜12:(P−11)〜
(P−12) 樹脂(P)の合成例10において用いた単量体及びマクロ
モノマーの代わりに、下記表−Fに記載の重合体成分に
相当する各単量体及び各マクロモノマーを用いた他は、
該合成例10と同様にして、各共重合体を合成した。得ら
れた共重合体のMwは4.5×104〜6.5×104の範囲であっ
た。
【0252】
【表8】
【0253】樹脂(P)の合成例13:(P−13) メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート22g、
メタクリル酸1g及びトルエン200gの混合溶液を、窒
素気流下に温度80℃に加温した。これに下記構造の高分
子アゾビス開始剤(PI−1)10gを加えて8時間反応
した。反応終了後、メタノール1.5リットル中に再沈
し、得られた沈澱物を補集・乾燥して、収量75gでMw
3×104の共重合体を得た。
【0254】
【化18】
【0255】樹脂(P)の合成例14:(P−14) エチルメタクリレート50g、グリシジルメタクリレート
10g及びベンジル N,N−ジエチルジチオカーバメート4.
8gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃
に加温した。これに、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離
からガラスフィルターを通して、6時間光照射し光重合
した。これをテトラヒドロフラン100gに溶解し、更
に、下記単量体(m−2)40gを加えた後、窒素置換し
再び10時間光照射した。得られた反応物をメタノール1
リットルに再沈し、補集し乾燥した。得られた重合体
は、収量73gでMw4.8×104であった。
【0256】
【化19】
【0257】樹脂(P)の合成例15〜18:(P−15)〜
(P−18) 樹脂(P)の合成例14と同様にして、下記表−Gの各共
重合体を合成した。得られた重合体のMwは3.5×104
6×104の範囲であった。
【0258】
【表9】
【0259】樹脂(P)の合成例19:(P−19) 樹脂(P)の合成例14において、ベンジル N,N−ジエチ
ルジチオカーバメートの代わりに、下記構造の開始剤
(I−1)18gを用いた他は合成例14と同様に合成し、
Mw4.5×104の共重合体を得た。
【0260】
【化20】
【0261】樹脂(P)の合成例20:(P−20) メチルメタクリレート68g、メチルアクリレート22g、
グリシジルメタクリレート10g及び下記構造の開始剤
(I−2)17.5g及びテトラヒドロフラン150gの混合
溶液を窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に40
0Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルターを
通して10時間光照射し光重合した。得られた反応物をメ
タノール1リットル中に再沈し、沈殿物を補集し乾燥し
て、収量72gでMw4.0×104の重合体を得た。この重合
体70g、下記単量体(m−3)30g及びテトラヒドロフ
ラン100gの混合溶液を、窒素気流下に温度50℃とし、
上記と同条件で13時間光照射した。次にこの反応物をメ
タノール1.5リットル中に再沈し、沈殿物を捕集・乾燥
して収量78gでMw6×104の共重合体を得た。
【0262】
【化21】
【0263】樹脂(P)の合成例21〜25:(P−21)〜
(P−25) 樹脂(P)の合成例20において、開始剤(I−2)17.5
gの代わりに、下記表−Hの開始剤(I)0.031モルを
用いた他は、該合成例20と同様の条件で操作した。得ら
れた各重合体の収量は70〜80gでMw4×104〜6×10
4 であった。
【0264】
【表10】
【0265】
【表11】
【0266】〔樹脂粒子(PL)の合成例〕 樹脂粒子(PL)の合成例1:(PL−1) 下記構造の単量体(LM−1)40g、エチレングリコー
ルジメタクリレート2g、下記構造の分散安定用樹脂
(LP−1)4.0g及びメチルエチルケトン180gの混合
溶液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。A.
I.V.N. 0.3gを加え3時間反応した。更に、A.I.V.N.
0.1gを加えて4時間反応した。冷却後、200メッシュの
ナイロン布を通して白色分散物を得た平均粒子径0.25μ
mのラテックスであった。
【0267】
【化22】
【0268】樹脂粒子(PL)の合成例2:(PL−
2) 下記構造の分散安定用樹脂(LP−2)5g及びメチル
エチルケトン140gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しな
がら温度60℃に加温した。これに、下記構造の単量体
(LM−2)40g、エチレングリコールジアクリレート
1.5g、A.I.V.N.0.2g及びメチルエチルケトン40gの混
合溶液を1時間で滴下した。そのまま2時間反応後、更
にA.I.V.N. 0.1gを加え3時間反応して、白色分散物を
得た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通して得ら
れた分散物の平均粒径0.35μmであった。
【0269】
【化23】
【0270】樹脂粒子(PL)の合成例3〜6:(PL
−3)〜(PL−6) 樹脂粒子(PL)の合成例1において、単量体(LM−
1)、エチレングリコールジメタクリレート及びメチル
エチルケトンの代わりに下記表−Iの各化合物に代えた
他は、該合成例1と同様にして樹脂粒子を製造した。得
られた各樹脂粒子の平均粒径は0.15〜0.30μmの範囲で
あった。
【0271】
【表12】
【0272】実施例1 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)2
g、下記構造の結着樹脂(B−1)14.4g、下記構
造の結着樹脂(B−2)3.6g、下記構造の化合物
(A)0.15g及びテトラヒドロフラン80gの混合
物を、500mlのガラス容器にガラスビーズと共に入
れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で60分
間分散した後ガラスビーズを濾別して感光層分散液とし
た。
【0273】
【化24】
【0274】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.
2mm厚のアルミニウム板の上にワイヤーバーで塗布し、
指触乾燥した後110℃循環式オーブンで20秒間加熱
した。得られた感光層の膜厚は8μmであった。
【0275】この感光体上に下記内容の剥離性表面層を
設けた。 ・剥離性表面層の形成 下記構造のシリコン樹脂10g、下記構造の架橋剤1
g、下記構造の架橋制御剤0.2g及び架橋用触媒白金
0.1gをn−ヘキサン100g中に含有する塗布物を
ワイヤーラウンドロッドを用いて膜厚1.5μmになる
ように塗布し、指触乾燥後、更に120℃で10分間加
熱した。得られた表面の粘着力は1g・f以下であっ
た。また、感光体表面の算術平均粗さ(Ra)(触針式
表面粗さ測定器(SE−3FK型、(株)小坂研究所
製)にて測定)は0.1μm以下であった。
【0276】
【化25】
【0277】以上のようにして得られた剥離性表面を有
する感光体を、図2に示す装置に電子写真感光体11と
して装着した。まず、電子写真プロセスにより、感光体
上にトナー画像の形成を行った。感光体11を暗所にて
コロナ帯電装置18の下を通過させ、+450Vにコロ
ナ帯電をしたのち、あらかじめ原稿からカラースキャナ
ーにより読み取り、色分解し、システム特有の幾つかの
色再現に関わる補正を加えた後、デジタル画像データー
としてシステム内のハードディスクに記憶させてあっ
た、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の中
のイエローについての情報をもとに、露光装置19とし
て半導体レーザー描画装置を用いて788nmの光で感光
体上露光量が30erg/cm2になるように露光した。
【0278】続いてシグネチャーシステム(コダック
製)用の正荷電イエロートナーを75倍にアイソパーH
(エッソスタンダード石油製)で希釈してイエロー液体
現像ユニット14yに供給し、現像ユニット14y側に
+350vのバイアス電圧を印加し、露光部にトナーが
電着するようにした反転現像を行ない、ついでアイソパ
ーH単独浴のリンスをして非画像部の汚れを除いたの
ち、吸排気ユニット15及び加熱手段17a下を通過さ
せて乾燥した。以上のトナー現像処理をマゼンタ、シア
ン、ブラックの各色について繰り返して4色のトナー画
像を得た。
【0279】次に、この感光体ドラム上に、下記内容の
樹脂(A)分散液(L−1)を電着ユニット14Tに供
給し、電着塗布法により転写層12を形成した。 ・樹脂(A)分散液(L−1) 樹脂粒子(AR−1) 10g(固形分量として) 樹脂粒子(AR−11) 10g(固形分量として) 荷電調節剤(D−1) 0.08g オクタデシルビニルエーテル/t−オクチル マレイン酸半アミド(1/1モル比)共重合体 荷電調節補助剤(AD−1) 2g ドデシルメタクリレート/メタクリル酸(95/5重量比)共重合体 を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調整し
た。
【0280】感光体の表面温度を赤外線ラインヒーター
で50℃に設定し、感光体ドラムの周速度を100mm/
秒で回転させ、感光体表面にスリット電着装置を用いて
分散液を供給しながら、感光体側を接地しスリット電着
装置の電極側に150Vの電圧を印加して樹脂粒子を電
着した。次いで吸排気ユニットを用いエアースクイズで
分散液を除き、樹脂粒子を溶融・皮膜化し熱可塑性樹脂
からなる転写層12を形成した。このときの膜厚は2.
5μmであった。
【0281】次に、表面温度50℃でトナー画像上に転
写層を設けた感光体ドラムを冷却しないまま、90℃に
設定された転写用バックアップローラー17b及び温度
調節をしていない剥離用バックアップローラー17cの
間に、被転写材である印刷用本紙のコート紙16を導
き、ニップ圧を4kgf/cm2、ドラム周速を100mm/秒
として加熱と加圧を行ったところ、カラートナー画像は
コート紙上に全て転写しカラー画像を得た。
【0282】この様にしてコート紙上に形成された複写
画像を、200倍の光学顕微鏡を用いて目視観察した。
非画像部のトナーによる地汚れは認められず、また、ト
ナー画像及び転写層は感光体に転写残りすることなくコ
ート紙上にすべて転写しており、細線・細文字等の高解
像度域の欠落・乱れ及び中間調部の高精細画像域の網点
の欠落・乱れは見られず、複写画像として極めて良好な
ものであった。
【0283】他方、転写層を設けることなくトナー画像
をコート紙上に転写する以外は同様にしてトナー画像を
コート紙上に転写形成し、本発明と比較した。得られた
コート紙のカラー画像には、トナー画像の欠落あるいは
画像濃度にムラのある所が見られた。更に細線・細文字
等の部分を20倍のルーペで目視観察した所、細かな画
像の欠落が認められた。また、感光体の表面を観察した
所、トナー画像部の残存が認められた。このことは、感
光体を繰り返し使用する場合には、残存トナーの除去の
ために、感光体表面のクリーニングが必要となり、その
ための装置の設定あるいはクリーニングによる感光体表
面の損傷等が問題となってくる。
【0284】これに対し、本発明ではトナー画像の感光
体からの剥離が充分になされ、上記のような問題は生じ
ず、また、トナー画像は転写層と充分に密着しているた
め、得られるカラー複写物の安定性も優れている。ま
た、複写物への鉛筆、ボールペン等による加筆性、捺印
性、塩化ビニルシート等のフィルム製ファイルへのファ
イリング性ともに、普通紙とほぼ同等で問題を生じるも
のではなかった。
【0285】実施例2 実施例1で用いた剥離性表面層を設けたX型無金属フタ
ロシアニン感光体を図2に示す装置に装着した。但し、
電着ユニット14Tをを二つに分けて、14T 1及び1
4T2とした。実施例1と同様にして電子写真プロセス
により感光体11上にカラー画像を形成した。
【0286】この感光体ドラム上に、電着塗布法を用い
て下記の条件で積層構成の転写層12を形成した。感光
体の表面温度を60℃とし、感光体ドラムの周速度を1
00mm/秒で回転させ、スリット電着ユニット14T1
を用いて感光体11表面に、下記内容の樹脂(A)分散
液(L−2)を供給しながら、感光体側を接地し、スリ
ット電着装置の電極側に150Vの電圧を印加して樹脂
粒子を電着・定着し、膜厚2μmの第1転写層を設け
た。 ・樹脂(A)分散液(L−2) 樹脂粒子(ARW−1) 20g(固形分量として) 荷電調節剤(D−2) 0.08g 分岐テトラデシルアルコール 10g (FOC−1400、日産化学(株)製) を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調整し
た。
【0287】
【化26】
【0288】続けて、同様にして、スリット電着ユニッ
ト14T2を用いて、下記内容の樹脂(A)分散液(L
−3)を供給しながら、110Vの電圧印加により、膜
厚1μmの第2転写層を設けた。 ・樹脂(A)分散液(L−3) 樹脂粒子(AR−4) 20g(固形分量として) 荷電調節剤(D−2) 0.08g FOC−1400 10g を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調整し
た。
【0289】次に、表面温度50℃にてトナー画像上に
転写層12を設けた感光体ドラムと、80℃に設定され
た転写用バックアップローラー17b及び20℃に設定
された剥離用バックアップローラー17cの間に被転写
材であるコート紙16を導き、ニップ圧を4Kgf/cm2
ドラム周速を150mm/秒として加熱と加圧を行ったと
ころ、カラートナー画像はコート紙16上に全て転写
し、カラー画像を得た。また、被転写材16として、コ
ート紙の代わりに普通紙及びOHP用フィルムを用いて
カラー画像の作成を行った。
【0290】以上の様にして得られたコート紙、普通紙
及びOHP用フィルム上に形成された複写画像を、20
0倍の光学顕微鏡を用いて目視観察した。非画像部のト
ナーの地汚れは認められず、また、トナー画像及び転写
層は感光体に転写残りすることなくコート紙、普通紙あ
るいはOHP用フィルム上にすべて転写しており、細線
・細文字等の高解像度域の欠落・乱れ及び中間調部の高
精細画像域の網点の欠落・乱れは見られず、複写画像と
して極めて良好なものであった。即ち、被転写材の種類
によらず、安定して高品質のカラー画像複写物が得られ
た。
【0291】実施例3 電子写真感光体としてアモルファスシリコン感光体(京
セラ(株)製;感光体表面の粘着力は230g・f)を
用い、この感光体への剥離性付与は化合物(S)を溶解
した溶液に浸漬させる(浸漬方法)ことで行なった。即
ち、下記化合物(S−1)1.0gをアイソパーG1リ
ットル中に溶解した溶液を入れた浴に上記感光体を周速
10mm/秒の回転速度で回転し、7秒間触れる様にして
処理し、エアースクイズで乾燥した。この様にして得ら
れた感光体表面の粘着力を測定した所、3g・fと低下
し、良好な剥離性を示した。また、算術平均粗さ(R
a)は0.2μmであった。
【0292】
【化27】
【0293】この感光体を、図3に示す装置(但し、化
合物(S)付与ユニット10なし)に装填した。感光体
11を+700Vにコロナ帯電をした後、実施例1と同
様のデジタル画像データを用い、まずイエローについて
の情報をもとに、半導体レーザーを用いて780nmの光
で表面露光量が25erg/cm2になるように露光した。露
光部の残留電位は+120Vであった。続いてバーサテ
ック3000(ゼロックス製カラー静電プロッター)用
のイエロートナーを50倍のアイソパーH(エッソスタ
ンダード石油製)で希釈して用いて、現像電極に+30
0Vのバイアス電圧を印加し、露光部にトナーが電着す
るようにした反転現像を行ない、ついでアイソパーH単
独浴中でリンスをして非画像部の汚れを除いた。以上の
処理をマゼンタ、シアン、ブラックの各色について繰り
返した。
【0294】以上の様にしてカラー画像を形成した感光
体11上への転写層12の形成は、以下の如く熱溶融塗
布法で行った。即ち、転写層用の熱可塑性樹脂としてポ
リ酢酸ビニル(ガラス転移点35℃)及びエチレン/酢
酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量20重量%、環球
法による軟化点90℃)を6/4重量比で用い、120
℃設定のホットメルトコーター13により感光層表面へ
40mm/秒のスピードで塗布をし、冷却空気を吸排気ユ
ニット15から吹き付けて冷却したのち感光体表面温度
を50℃に保った。この時の転写層12の厚みは3μm
であった。
【0295】次に、トナー画像上に転写層を設けた感光
体ドラムを冷却しないまま、表面温度が120℃に設定
された転写用バックアップローラー17b及び湿度調節
をしていない剥離用バックアップローラー17cの間
に、コート紙16をニップ圧4kgf/cm2、搬送スピード
100mm/秒にて通過させた。通過後のコート紙を感光
体から引き剥がし、トナー画像を転写層ごとコート紙上
に転写した。この様にして得られたコート紙上に形成さ
れた複写画像を、200倍の光学顕微鏡を用いて目視観
察した。非画像部のトナーの地汚れは認められず、ま
た、トナー画像及び転写層は感光体に転写残りすること
なくコート紙上にすべて転写しており、細線・細文字等
の高解像度域の欠落・乱れ及び中間調部の高精細画像域
の網点の欠落・乱れは見られず、複写画像として極めて
良好なものであった。
【0296】実施例4 実施例3において、熱溶融塗布法による転写層形成法の
代わりに、下記内容による離型紙からの転写法を用いた
他は実施例3と同様にしてカラー画像複写物を得た。即
ち、上記感光体を図4に示す装置(但し、化合物(S)
付与ユニット10なし)に装着し、離型紙20としてセ
パレート紙(王子製紙(株)製)を用い、この上にポリ
酢酸ビニル及びメチルメタクリレート/メチルアクリレ
ート(6/4重量比)共重合体の5/5重量比から成る
3μmの膜厚で塗膜形成した紙を上記感光体に圧接し、
ローラー圧力3kgf/cm2、表面温度80℃及び通過スピ
ード10mm/秒の条件下で、トナー画像の形成された感
光体表面上に転写層を転写形成した。得られたコート紙
上のカラー画像は、実施例3と同様に、カブリのない良
好な画像であり、また画像の強度も充分であった。ま
た、加筆性・捺印性も良好であった。
【0297】実施例5〜20 実施例1において、樹脂(A)分散液(L−1)中の樹
脂粒子(AR−1)及び(AR−11)の代わりに下記表
−Jの各樹脂粒子(AR)及び/又は(ARW)(総量
で20g)を用いた他は実施例1と同様にしてカラー画
像の形成を行った。得られたカラー複写物は、地汚れも
なく鮮明な画質のものであった。即ち、感光体上に形成
されたトナー画像は、画像再現性が良好で非画像部のカ
ブリも見られないという良好な撮像性を示し、且つ転写
層ごとのコート紙への転写も、転写ムラを生じることな
く完全に転写した。更に、複写物に加筆又は捺印しても
普通紙の場合と同等に行うことができた。
【0298】
【表13】
【0299】実施例21〜24 実施例3において、転写層12の形成に用いたポリ酢酸
ビニル及びエチレン/酢酸ビニル共重合体の代わりに下
記表−Kの各樹脂を用いた他は、実施例3と同様にして
転写画像形成操作を行ったところ、実施例3と同様の結
果を得た。
【0300】
【表14】
【0301】実施例25〜28 実施例4において、転写層を設けたセパレート紙の代わ
りに、離型紙(サンリリース、山陽国策パルプ(株)
製)上に膜厚2μmの下記表−Lの各樹脂(A)を設け
たものを用いた他は実施例4と同様にして操作して、カ
ラー画像を作成した。得られたカラー画像は、地かぶり
のない鮮明な画像であり、原稿と比較して、画像画質の
劣化は殆ど認められなかった。このことは、トナー画像
形成後、離型紙を用いて転写層を感光体上に形成し、更
にコート紙へ転写するという方法でも、各転写時の転写
層が均一に且つ完全に転写され、画像劣化への悪影響を
生じないことを示している。
【0302】
【表15】
【0303】実施例29 有機光導電性物質として、4,4′−ビス(ジエチルア
ミノ)−2,2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、
下記構造の結着樹脂(B−3)4g、樹脂(P−18)
0.4g、下記構造式の色素(D−1)40mg、化学増
感剤として下記構造のアニリド化合物(C)0.2g
を、メチレンクロライド30mlとエチレンクロライド3
0mlとの混合物に溶解し、感光層分散液とした。
【0304】
【化28】
【0305】この感光層分散液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて導電性透明支持体(厚さ100μmのポリ
エチレンテレフタレート支持体上に、酸化インジウムの
蒸着膜を有する。表面抵抗103Ω)上に塗布して約4
μmで感光層を有する有機薄膜を得た。感光体表面の粘
着力は8g・fであった。この感光体を、実施例1で用
いた感光体の代わりに用いた他は実施例1と同様に操作
して複写画像を形成した。得られたコート紙上のカラー
複写画像は地カブリのない鮮明なもので、且つ、画像強
度は耐久性が良好であった。
【0306】実施例30 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95
g及びポリエステル樹脂バイロン200(東洋紡績
(株)製)5gの混合物をボールミル中で充分に粉砕し
た。次いで、この混合物を取り出し、攪拌下、テトラヒ
ドロフラン520gを加えた。この分散物をワイヤーラ
ウンドロッドを用いて実施例29で用いた導電性透明支
持体上に塗布して約0.7μmの電荷発生層を形成し
た。
【0307】
【化29】
【0308】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合溶
液をワイヤラウンドロッドを用いて上記電荷発生層の上
に塗布し、60℃で30秒間乾燥し更に温度100℃で
20秒間加熱して約18μmの電荷輸送層を形成し、二
層から成る感光層を有する電子写真感光体を得た。
【0309】
【化30】
【0310】更に、この感光層の上に剥離性を付与する
ための表面層を形成するために、樹脂(P−21)13
g、無水フタル酸0.2g、o−クロロフェノール0.
002g及びトルエン100gの混合溶液を、ワイヤー
ラウンドロッドを用いて、膜厚1μmになる様に塗布
し、指触乾燥後、更に120℃で1時間加熱した。得ら
れた感光体の表面の粘着力は2g・f、算術平均粗さ
(Ra)は0.1μm以下であった。
【0311】この感光体を、暗所で表面電位−500V
に帯電させた後、He−Neレーザーを用いて633nm
の光で、表面での露光量が30erg/cm2になるように露
光し、以下、実施例1に準じて操作して感光体上にカラ
ートナー画像を形成した。更にこの上に転写層を形成す
るために、樹脂粒子として、実施例1における樹脂
(A)分散液(L−1)中の樹脂粒子(AR−1)及び
(AR−11)の代わりに樹脂粒子(ARW−1)20g
を用いた他は実施例1と同様にして、膜厚1.5μmの
転写層を形成した。実施例1と同様に操作して、フルカ
ラー画像をコート紙上に形成した。得られた複写物は、
実施例1と同等の良好な性能を示した。
【0312】実施例31〜38 実施例30において、樹脂(P−6)の代わりに下記表
−Mの樹脂(P)/樹脂粒子(PL)を用いた他は、実
施例30と同様にしてフルカラー画像をコート紙上に形
成した。実施例30と同様の良好な性能を得た。
【0313】
【表16】
【0314】実施例39 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂(B−
4)25g、下記構造の結着樹脂(B−5)5g、樹脂
(P−12)3g、下記構造の色素(D−2)0.01
g、サリチル酸0.1g及びトルエン150gの混合物
をホモジナイザー(日本精機(株)製)に入れ、回転数
1×104r.p.m.で15分間分散して感光層分散液とし
た。
【0315】
【化31】
【0316】次いでこの分散液を、ELP−システムで
用いるELP−II型感光材料に用いられているELP−
II用支持体にワイヤーバーで25g/m2となる様に塗布
し、指触乾燥した後、110℃循環式オーブンで20秒
間加熱した。更に、30℃80%RHの条件下に暗所で
1週間静置した。この感光体表面の粘着力は、2g・
f、算術平均粗さ(Ra)は0.4μmであった。次
に、この感光体を暗所にて−600Vにコロナ帯電した
後、実施例1と同様のデジタル画像データを用い、まず
イエローについての情報をもとに、半導体レーザーを用
いて780nmの光で表面露光量が25erg/cm2 になるよ
うに露光した。露光部の残留電位は−120Vであっ
た。続いてバーサテック3000(ゼロックス製カラー
静電プロッター)用のイエロートナーを50倍のアイソ
パーG(エッソスタンダード石油製)で希釈して用い
て、電極に−300Vのバイアス電圧を印加し、露光部
にトナーが電着するようにした反転現像を行ない、つい
でアイソパーH単独浴中でリンスをして非画像部の汚れ
を除いた。以上の処理をマゼンタ、シアン、ブラックの
各色について繰り返した。
【0317】次に、下記樹脂(A)分散液(L−4)を
用いて、実施例1と同様の方法で感光体上に膜厚2.0
μmの転写層を形成した。 ・樹脂(A)分散液(L−4) 樹脂粒子(ARW−7) 16g(固形分量として) 樹脂粒子(AR−4) 4g(固形分量として) 荷電調節剤(D−3) 0.07g 分岐ヘキサデシルアルコール 8g (FOC−1600、日産化学(株)製) を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調整し
た。
【0318】
【化32】
【0319】感光体の表面温度を50℃に調整し、上質
紙を重ね合わせ、4kgf/cm2 の圧力で接している表面温
度が100℃に常にコントロールされた加熱ゴムローラ
ー17bの下を100mm/秒のスピードで通過させた。
その後、冷却ローラー17c下を通過させて、上質紙を
引き剥がしたところ、トナー画像は転写層とともに完全
に上質紙上に転写された。画像強度は充分であり、複写
物に加筆、捺印しても、普通紙の場合と同様に行うこと
ができた。
【0320】実施例40〜49 X型無金属フタロシアニン3.5g、下記構造の結着樹
脂(B−6)10g、テトラヒドロフラン80gの混合
物を500mlのガラス容器にガラスビーズと共に入れ、
ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で60分間分
散し、更に下記表−Nの樹脂(P)又は樹脂粒子(P
L)及び架橋用化合物を加えて、10分間分散した後、
ガラスビーズを濾別して感光層分散液とした。
【0321】
【化33】
【0322】
【表17】
【0323】次いでこの分散液を導電性処理および耐溶
剤処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上に
ワイヤーバーで塗布し、指触乾燥した後110℃循環式
オーブンで30秒間乾燥後、140℃で1時間加熱し、
膜厚8μmの感光層を形成した。この感光体を、実施例
3で用いた感光体の代わりに用いた他は実施例3と同様
に操作して、転写画像を形成した。得られた転写後のカ
ラー複写画像は、地カブリのない鮮明なもので、且つ画
像強度は耐久性良好であった。
【0324】実施例50〜55 アモルファスシリコン感光体(京セラ(株)製)を図2
に示す装置に装填した。感光体表面の剥離性付与のた
め、下記表−Oの化合物(S)をアイソパーG1リット
ル中に溶解した溶液中に該感光体を接触し、周速30mm
/秒の回転スピードで10秒間回転後、スクイズロール
でスクイズした後、加熱手段で乾燥した。これにより粘
着力203g・fであったアモルファスシリコン感光体
の表面が粘着力3〜20g・fの粘着力になった。
【0325】
【表18】
【0326】
【表19】
【0327】次に、実施例3と同様にして、電子写真プ
ロセスによるトナー画像の形成、コート紙への転写を行
った。得られた各々のコート紙上のカラー画像は、実施
例3と同等の地カブリのない鮮明な画質のカラー複写物
であり、画像強度も充分で良好なものであった。
【0328】
【発明の効果】本発明の転写層を用いた電子写真式カラ
ー画像形成方法によれば、トナー画像の転写性に優れ、
色ずれがなく、高精細、高画質のカラー画像が簡便に且
つ安定に得られる。また、被転写材の種類を選ばないで
優れたカラー複写物が得られる。特に、転写層の膜厚が
薄く、転写条件が緩和されたりあるいは転写速度が高速
度になっても、転写層及びトナー画像を良好に被転写材
に転写することができる。更に、電子写真装置内でシン
プルな構成の転写装置を用いて転写ができ、感光体を繰
り返し使用して低ランニングコスト化が達成できる。更
に、時間短縮が可能で、また、感光体の耐久性を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】転写層形成法として電着塗布法を用いたカラー
画像形成装置の一例を示す図である。
【図3】転写層形成法として熱溶融塗布法を用いたカラ
ー画像形成装置の一例を示す図である。
【図4】転写層形成法として転写法を用いたカラー画像
形成装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 感光層 3 トナー画像 10 化合物(S)付与ユニット 11 感光体 12 転写層 12a 樹脂粒子分散液 12b 転写層用樹脂 13 ホットメルトコーター 13a ホットメルトコーター待機位置 14 液体現像ユニットセット 14T 電着ユニット 14y イエロー液体現像ユニット 14m マゼンタ液体現像ユニット 14c シアン液体現像ユニット 14k ブラック液体現像ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 被転写材 17 被転写材への転写ユニット 17a 加熱手段 17b 転写用バックアップローラー 17c 剥離用バックアップローラー 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 20 剥離紙 117 感光体上への転写ユニット 117b 加熱ローラー 117c 冷却ローラー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剥離性表面を有する電子写真感光体上に
    電子写真プロセスで1色以上のトナー画像を形成し、該
    トナー画像を有する感光体の上にガラス転移点140℃
    以下又は軟化点180℃以下の熱可塑性樹脂(A)を主
    として含有する剥離可能な転写層を形成した後、該トナ
    ー画像を転写層ごと被転写材に転写することを特徴とす
    る電子写真式カラー画像形成方法。
  2. 【請求項2】 剥離可能な転写層が、熱溶融塗布法、電
    着塗布法及び転写法のうちのいずれかの方法により形成
    されることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成
    方法。
  3. 【請求項3】 転写層を構成する樹脂(A)が、ガラス
    転移点30℃〜140℃又は軟化点35℃〜180℃の
    樹脂(AH)及びガラス転移点40℃以下又は軟化点4
    5℃以下の樹脂(AL)から少なくとも構成され、且つ
    樹脂(AH)と樹脂(AL)のガラス転移点又は軟化点
    の差が2℃以上であることを特徴とする請求項1又は2
    記載のカラー画像形成方法。
  4. 【請求項4】 電子写真感光体の表面が、トナー画像形
    成時には、JIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート
    試験方法」による粘着力が、100gram・force(g・
    f)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のカラー画像形成方法。
  5. 【請求項5】 電子写真感光体上に電子写真プロセスに
    よりトナー画像を形成する手段、該トナー画像を形成し
    た感光体上に剥離可能な転写層を設ける手段、及び被転
    写材に感光体から該トナー画像を転写層ごと転写する手
    段を少なくとも有することを特徴とする電子写真式カラ
    ー画像形成装置。
  6. 【請求項6】 電子写真プロセスによりトナー画像を形
    成する前に、電子写真感光体表面上に剥離性を付与する
    手段を有することを特徴とする請求項5記載の電子写真
    式カラー画像形成装置。
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