JPH08322578A - オーレオバシジン耐性付与蛋白質 - Google Patents
オーレオバシジン耐性付与蛋白質Info
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- JPH08322578A JPH08322578A JP7278234A JP27823495A JPH08322578A JP H08322578 A JPH08322578 A JP H08322578A JP 7278234 A JP7278234 A JP 7278234A JP 27823495 A JP27823495 A JP 27823495A JP H08322578 A JPH08322578 A JP H08322578A
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Abstract
ン耐性付与蛋白質、それをコードする遺伝子、及び該遺
伝子を含有するベクターで形質転換させた形質転換体を
提供する。 【解決手段】 配列表の配列番号1に示すオーレオバシ
ジン感受性付与蛋白質の少なくとも240番目のアミノ
酸が他のアミノ酸置換したオーレオバシジン耐性付与蛋
白質。該蛋白質をコードする遺伝子。該遺伝子を含有す
るベクターを宿主真菌に組込んで形質転換させる形質転
換体とその創製方法。 【効果】 実用酵母の遺伝子工学的育種、その遺伝情報
解析に特に有用である。
Description
シジンに対する感受性を付与する蛋白質の変異体に関
し、変異によりオーレオバシジン耐性付与蛋白質に変換
した変異体、及び該蛋白質をコードする遺伝子に関す
る。更に本発明は、真菌細胞の染色体に組込むことがで
き、かつ、特異的培地内に置かれた該細胞の中から、形
質転換体を容易に検出することができる、宿主に新規な
優性の遺伝的マーカーを付与しうるベクターを用いるマ
ーカー付与形質転換体の創製方法、及び該ベクターで形
質転換させた形質転換体に関する。
96号、同3−22995号、同3−220199号、
同5−279384号、同6−65291号、ジャーナ
ル オブ アンチバイオチクス(J.Antibiotics)、第
44巻、第9号、第919〜924頁、同第44巻、第
9号、第925〜933頁、同第44巻、第11号、第
1187〜1198頁(1991)〕は、オーレオバシ
ジウム プルランス(Aureobasidium pullulans) No.R
106株(FERM BP−1938)の発酵生産物と
して得られる、環状のデプシペプチドである。更に、オ
ーレオバシジンの中で代表的な化合物であるオーレオバ
シジンAは、カンジダ アルビカンス(Candida albica
ns、以下、C.アルビカンスと略記する)を始めとする
種々のカンジダ属酵母、クリプトコッカス ネオホルマ
ンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ カ
プスラタム(Histoplasma capsulatum) 、ブラストマイ
セスデルマチチジス(Blastomyces dermatitidis) 、ア
スペルギルス(Aspergillus)属真菌に対して、強い抗真
菌活性を有する(特開平2−138296号)。本発明
者らは、更にカナダ国特許出願公開公報第212403
4号に記載のようにサッカロミセス セレビシエ(Sacc
haromyces cerevisiae、以下、S.セレビシエと略記す
る)がオーレオバシジンに感受性を示すことを見出した
(表1)。
異処理を施すことにより耐性細胞にかえ、その耐性細胞
よりオーレオバシジン耐性を付与する遺伝子(耐性遺伝
子)、更に感受性細胞より対応するオーレオバシジン感
受性を付与する遺伝子(感受性遺伝子)の単離に成功し
た。すなわち、オーレオバシジンに感受性であるS.セ
レビシエをEMSにより変異処理し、得られた耐性菌に
ついてゲノムライブラリーを作製し、そのライブラリー
から優性変異である耐性遺伝子( scaur1R ) を含有す
る図2の制限酵素地図で表されるDNA断片を単離し
た。scaur1R 遺伝子の蛋白質をコードしている部分を
含む領域の塩基配列は配列表の配列番号6の通りであ
り、本遺伝子のコードする蛋白質のアミノ酸配列は配列
表の配列番号7の通りである。この耐性遺伝子 scaur1
R を用いたハイブリダイゼーションにより感受性株より
感受性遺伝子( scaur1S )を含有する、図2の制限酵
素地図で表されるDNA断片を単離した。この感受性遺
伝子の蛋白質をコードしている部分を含む領域の塩基配
列は配列表の配列番号8の通りであり、本遺伝子のコー
ドする蛋白質のアミノ酸配列は配列表の配列番号1の通
りである。配列番号8と配列番号6を比較すると852
番目の塩基のTからAへの突然変異が起こり、配列番号
1と配列番号7を比較するとアミノ酸レベルで158番
目のアミノ酸がフェニルアラニンからチロシンへ変化
し、これが耐性の原因となっていることが明らかにされ
た。
ール、ワイン等の酒類、みそ、醤油等の発酵食品に広範
に利用されている。これらの工業用に使用される真菌の
育種において、望ましい形質を付与するために遺伝子工
学的手法は極めて有効であり、形質転換体を効率良く選
択するために使用可能な選択マーカーが必要である。本
発明の目的は真菌の遺伝子工学において使用可能な選択
マーカーとして機能するオーレオバシジン耐性付与蛋白
質及び該蛋白質をコードする遺伝子を提供することにあ
る。更に該遺伝子を含有するベクターで形質転換された
形質転換体を提供することを目的とする。
明の第1の発明は配列表の配列番号1で表されるオーレ
オバシジン感受性付与蛋白質の少なくとも240番目の
Alaが他のアミノ酸に置換されたオーレオバシジン耐
性付与蛋白質、又は該蛋白質にアミノ酸残基の置換、挿
入及び欠失の少なくとも一つを施すことにより得られる
アミノ酸配列を有し、該蛋白質と同等の生物学的活性を
示すオーレオバシジン耐性付与蛋白質に関する。また、
本発明の第2の発明は本発明の第1の発明のオーレオバ
シジン耐性付与蛋白質をコードする遺伝子に関する。本
発明の第3の発明は、オーレオバシジン耐性形質転換体
の創製方法に関し、下記工程を包含することを特徴とす
る。 (1)本発明の第2の発明のオーレオバシジン耐性遺伝
子を含有する複製ベクターを得る工程、(2)上記工程
で得られた複製ベクター中のオーレオバシジン耐性遺伝
子の1ヵ所で開裂し、宿主真菌用染色体組込型ベクター
を得る工程、(3)上記工程で得られた染色体組込型ベ
クターを宿主真菌の染色体に組込む工程、(4)オーレ
オバシジン耐性に形質転換された宿主をオーレオバシジ
ン存在下で選択する工程。このオーレオバシジン耐性形
質転換体の創製方法において複製ベクターは異種の遺伝
子を含有する場合がある。更に、本発明の第4の発明は
形質転換体に関し、本発明の第3の発明の創製方法で得
られるものであることを特徴とする。
るオーレオバシジン感受性付与蛋白質(Aur1S p)
の240番目のAlaを他のアミノ酸で置換することに
より、該蛋白質がオーレオバシジン耐性付与蛋白質(A
ur1R p)に変換されることを見出し、本発明を完成
した。
ともAur1S pの240番目のAlaが他のアミノ酸
に置換されていれば良く、その他のアミノ酸残基が生物
活性を低下させることなく化学的、物理的、遺伝子工学
的に置換、挿入、及び欠失の少なくとも一つがなされて
いても良い。本発明のAur1R pは好適には配列表の
配列番号9で表されるAur1S pをコードするDNA
を用いることにより遺伝子工学的に作製することがで
き、オーレオバシジン感受性細胞を耐性細胞に変換させ
る活性を測定することにより、その生物活性を測定する
ことができる。本発明のAur1R pとは、オーレオバ
シジン感受性細胞を耐性細胞に変換させる活性が、従来
公知の配列表の配列番号7で表されるAur1R pより
増強されているものである。
pの240番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された
Aur1R pへのアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失は
遺伝子の部位特異的変異誘発により実施することができ
る。単離したAur1S p又はAur1R pをコードす
るDNAを、ヌクレオチドの置換、挿入及び欠失の少な
くとも一つによって修飾するのは容易であり、本発明の
Aur1R pをコードしている新規なDNA配列を得る
ことができる。これらの変異を受けた配列は、変異体蛋
白質を生産するために用いられる。アミノ酸残基の置
換、挿入及び欠失に関し、1又は複数のアミノ酸残基の
変換は遺伝子工学的に作製可能な範囲のものであり、生
物活性を破壊することなく行われたものが選抜されう
る。更に、特定の位置の残基での突然変異を適切に行う
ためには標的コドンに無作為な変異誘発を行い、発現さ
れた変異体を所望の活性についてスクリーニングすれば
よい。挿入には、Aur1R p又はそのフラグメントと
他の蛋白質又はポリペプチドとがAur1R p又はその
フラグメントのアミノ末端及び/又はカルボキシ末端に
おいて、ペプチド結合を介して結合している融合蛋白質
を含む。更に、アミノ酸残基を欠失させる方法として、
ギャップド デュプレックス (gapped duplex)法により
アミノ酸配列の任意のアミノ酸コドンを終止コドンに置
換することにより、置換したアミノ酸残基よりカルボキ
シ末端側を欠失させることができる。
ミノ酸配列のアミノ末端及び/又はカルボキシ末端に対
応する部分より分解するディレーション法〔ジーン(Ge
ne)、第33巻、第103〜119頁(1985)〕に
より欠失する方法や、開始コドン及び/又は終止コドン
を含むプライマーを用いたPCR法により任意の長さの
アミノ末端及び/又はカルボキシ末端を欠失させた蛋白
質をコードするDNAを得ることができる。なお、部位
特異的変異誘発はオリゴヌクレオチドを用いたギャップ
ド デュプレックス法〔メソッズ イン エンザイモロ
ジー(Methodsin Enzymology)、第154巻、第350
〜367頁(1987)〕やオリゴヌクレオチドを用い
たウラシルDNA法〔メソッズ イン エンザイモロジ
ー、第154巻、第367〜382頁(1987)〕、
亜硝酸法〔プロシーディングズオブ ザ ナショナル
アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA
(Proc. Natl. Acad. Sci.USA)、第79巻、第72
58〜7262頁(1982)〕、更にカセット変異法
〔ジーン、第34巻、第315〜323頁(198
5)〕が知られている。
様においてAur1S pの240番目のAlaがCys
に置換した変異体が得られる。その1例の変異体のアミ
ノ酸配列を配列表の配列番号2に示す。また、この変異
体をAur1R p(A240C)と称する。また、Au
r1S pの158番目のPheがTyrに、240番目
のAlaがCysに置換した変異体を得ることができ
る。この変異体のアミノ酸配列を配列表の配列番号3に
示す。また、この変異体をAur1R p(F158Y、
A240C)と称する。これらの変異体のオーレオバシ
ジン耐性付与能力はAur1S pの158番目のPhe
がTyrに置換した配列表の配列番号7で表される蛋白
質〔Aur1R p(F158Y)〕よりも強い。
の例としては、配列表の配列番号4、5でそれぞれ表さ
れるDNAがある。配列表の配列番号4で表されるDN
AはAur1R p(A240C)をコードするDNAで
あり、配列表の配列番号5で表されるDNAはAur1
R p(F158Y、A240C)をコードするDNAで
ある。
を適当なベクターに組込み、複製ベクターを作製し、宿
主を形質転換すれば、宿主にオーレオバシジン耐性を選
択マーカーとして付与することができ、オーレオバシジ
ンを用いた薬剤耐性により容易に形質転換体を選択する
ことができる。この複製ベクターの酵母用ベクターとし
てはYRP 型、YCP 型、YEP 型、YIP 型が使用で
きる。また、複製ベクターは大腸菌等に安定に保持させ
ることが可能であり、その際、ベクターとして使用可能
なものとして、pUC系ベクター、pTV系ベクター、
大腸菌−酵母シャトルベクター(例えば、pWH5、p
AU−PSなど)等がある。
に発現させることも可能であり、上記複製ベクターを、
必要に応じて適当な制限酵素等で、蛋白質に翻訳される
領域(open reading frame, ORF)にだけ切り縮めた
後、適当なベクターにつなぎ、発現用組換体プラスミド
とすることができる。発現用プラスミドとしては、宿主
が大腸菌の時は、pTV系ベクター、宿主が酵母の時
は、pYES2等のベクターDNAを使用すれば良い。
DNAを組込んだ複製プラスミドを切断し、線状化する
ことによって、線状の染色体組込型ベクターを作製する
ことができる。染色体組込型ベクター中のオーレオバシ
ジン耐性付与蛋白質をコードするDNAが相同のDN
A、すなわちオーレオバシジン感受性付与蛋白質をコー
ドするDNAと相同組換えを起こし、オーレオバシジン
感受性細胞が、オーレオバシジン耐性細胞に変換する。
倍体酵母、特に実用酵母にもオーレオバシジン耐性を付
与することができ、清酒、焼酎、ビール、ワイン等の酒
類、パン等の発酵食品に広範に利用されているS.セレ
ビシエの育種に極めて有用である。更に本発明のAur
1R pはS.セレビシエ以外の真菌にも適用が可能であ
り、他の真菌の育種、遺伝子工学的利用等において有用
である。例えば、本発明のAur1R pは、C.アルビ
カンスにオーレオバシジン耐性を付与することができ、
Aur1R pをコードするDNAを有するベクターは
C.アルビカンスの遺伝子工学用ベクターとして初めて
提供されるものである。
して知られている。近年日和見感染症の増加と共に、そ
の病原性の原因究明のための研究が必要とされてきてお
り、本発明のAur1R p、前述ベクターはC.アルビ
カンスの遺伝子研究上、極めて有用である。
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
子を含有する組換えプラスミドの構築 (1) scaur1R を含有するプラスミドの構築 scaur1S を含有するプラスミドpSCAR1を保有す
る大腸菌、Escherichia coli HB101/pSCAR1 (FERM BP-4
483)よりプラスミドpSCAR1を調製し、Hind IIIで
部分切断し、 scaur1S を含む3.5kbのDNAを単
離した。この3.5kbDNAをHind IIIで切断したp
UC119ベクターと連結し、プラスミドpUscaur1S
を作製した。プラスミドpUscaur1S を大腸菌CJ23
6に形質転換し、ssDNAを調製した。次に合成、精
製した配列表の配列番号10で表される変異導入用合成
オリゴヌクレオチドと上記のssDNAを用いて、ミユ
ータン(Mutan)−Kキット(宝酒造社製)により部位特
異的DNA変異を導入した。すなわち、配列表の配列番
号10で表されるオリゴヌクレオチドを用いることによ
り、 scaur1S 遺伝子のORF内のアミノ酸番号158
番目のPheのコドンTTTがコドンTATのTyrに
置換した scaur1R を得ることができた。このAur1
R p(F158Y)をコードするDNAを有するプラス
ミドをpUscaur1Rとした。
1R のDNA断片の増幅 Aur1R p(F158Y)の240番目のAlaをC
ysに変換するためにAlaのコドンGCTをCysの
コドンTGTに変換した配列表の配列番号11で表され
るプライマーを合成、精製した。 scaur1R を含む3.
5kbHindIII断片をpUC119のHind III部位に保
持する実施例1−(1)記載のプラスミドpUscaur1R
を鋳型とし、配列番号11で表されるプライマー及びM
13M4プライマーを用いてPCR法によりGCTがT
GTに変換したAur1R p(F158Y、A240
C)のC末端側のアミノ酸配列をコードする約500b
pを含むDNA断片(約1.4kb)を増幅した。PC
R反応は、最終濃度が10mMトリス(Tris) −HCl
(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM Mg
Cl2 、0.1mM dATP、0.1mM dCT
P、0.1mM dTTP、0.1mM dGTPとな
るようなPCR反応緩衝液28μlに、2.5ユニット
のアムプリ タック(Ampli Taq)DNAポリメラーゼ
(パーキンエルマー社製)、各々100pmolの配列
番号11で表されるプライマー及びM13M4プライマ
ー、1ngのpUscaur1Rと蒸留水を加え、PCR反応
液100μlとする。この反応液を94℃1分間、55
℃1.5分間、及び72℃1.5分間の順序で加熱し、
このサイクルを30回反復した。その後、PCR産物を
SalIとSnaIで切断し、アガロースゲル電気泳動
で分離させ、目的の約1.3kbDNA断片をゲルより
回収、精製した。
0C)をコードするDNAを含有するプラスミドの構築 pUscaur1RをSalI及びSnaIで切断し、アガロ
ースゲル電気泳動で分離させ、目的とする5.3kbの
DNA断片を回収し、精製した。このDNA断片に実施
例1−(2)で得た1.3kbDNA断片を連結し、A
ur1R p(F158Y、A240C)をコードするD
NA( scaur1R -C )を有するこのプラスミドをpUsc
aur1R −Cと命名した。清酒酵母の染色体への組込みに
よる形質転換のために、pUscaur1R −CをStuIで
切断し線状化した後、使用した。また対照としてpUsc
aur1RもStuIで線状化した。
ドするDNAを含有するプラスミドの構築 pUscaur1S をSalI及びSnaIで切断し、
アガロースゲル電気泳動で分離させ、目的とする5.3
kbのDNA断片を回収し、精製した。このDNA断片
に実施例1−(2)で得た1.3kbDNA断片を連結
した。Aur1S pの240番目のAlaがCysに変
換したAur1R p(A240C)をコードするDNA
を有するこのプラスミドをpUscaur1A240Cと命名
した。清酒酵母の染色体への組込みによる形質転換のた
めに、pUscaur1A240CをStuIで切断し線状化
した後、使用した。
0C)をコードするDNAを保持するpYC系ベクター
の構築 pUscaur1R −Cを鋳型とし、配列表の配列番号12と
13でそれぞれ表されるプライマーを用いてPCRを行
った。増幅したAur1R p(F158Y、A240
C)をコードするDNAを含むPCR産物(約2.2k
b)をXhoIとKpnIで切断後、ブランチィングキ
ット(宝酒造社製)を用いて両末端を平滑化した。pY
C系ベクターであるpYEUra3(クローンテック社
製)をEcoRIとBamHIで切断後、ブランチィン
グキットにより平滑末端にし、上記の平滑末端化したP
CR産物(約2.2kb)と連結した。こうして得られ
たプラスミドをpYCscaur1R −Cと命名した。また、
同様にpUscaur1Rを鋳型とし、同様に配列表の配列番
号12と13でそれぞれ表されるプライマーを用いてP
CRを行った。増幅したAur1R p(F158Y)を
コードするDNAを含むPCR産物(約2.2kb)を
XhoIとKpnIで切断後、ブランチィングキット
(宝酒造社製)を用いて両末端を平滑化した。pYC系
ベクターであるpYEUra3(クローンテック社製)
をEcoRIとBamHIで切断後、ブランチィングキ
ットにより平滑末端にし、上記の平滑末端化したPCR
産物(約2.2kb)と連結した。こうして得られたプ
ラスミドをpYCscaur1Rと命名した。
0C)をコードするDNAを保持するpYE系ベクター
の構築 pUscaur1R −Cを鋳型とし、配列番号12で表される
プライマーとM13M4プライマーを用いてPCR法に
よりAur1R p(F158Y、A240C)をコード
するDNAを含むDNA断片(約2.2kb)を増幅し
た。PCR産物はBamHIで切断後、アガロースゲル
電気泳動で分離し、目的とする約1.8kbDNA断片
をゲルより回収精製した。プラスミドpSCAR1をB
amHIで切断し、 scaur1S を含む2.8kbDNA
断片を除いた11.7kbDNA断片を得た。この1
1.7kbのDNA断片と上記のAur1R p(F15
8Y、A240C)をコードするDNAを含む1.8k
bDNA断片を連結し、目的とする方向で1.8kb断
片が挿入されたプラスミドを選別した。Aur1R p
(F158Y、A240C)をコードするDNAを含有
するこのプラスミドをpWscaur1R −Cと命名し、実験
室用酵母の形質転換に用いた。
転換 実施例1−(3)で作製したpUscaur1R −C、実施例
1−(4)で作製したpUscaur1A240Cと実施例1
−(1)で作製したpUscaur1Rの活性を比較するため
StuIで線状化したプラスミド5μgを清酒酵母協会
701号に酢酸リチウム法によって導入した。すなわ
ち、0.1M酢酸リチウム水溶液(pH7.5)に懸濁
しコンピテント化した清酒酵母(約6×107 /100
μlの0.1M酢酸リチウム)に、StuIで1ヵ所切
断し直鎖状にしたプラスミド5μgと850μlの40
%ポリエチレングリコール/0.1M酢酸リチウムを添
加し、30℃、30分間処理した。更に、42℃、15
分間保温した後、集菌し、5mlのYPD液体培地で1
時間又は一晩、前培養し、各濃度のオーレオバシジンA
を含むYPD寒天培地に塗布した。30℃、3〜4日の
培養後、オーレオバシジンAに耐性を有する形質転換体
を得た。表2が示すようにStuI線状化pUscaur1R
−Cによる形質転換体は5μg/mlのオーレオバシジ
ンAを含む培地でも生育可能である。これらの形質転換
体は数回の継代後も安定に親株の10倍以上のオーレオ
バシジンA耐性を有していた。また線状化pUscaur1R
−Cの形質転換により得られた形質転換体のオーレオバ
シジンAに対するMICは10μg/ml以上であっ
た。したがって、Aur1R p(F158Y、A240
C)は清酒酵母に対する有効な選択マーカーとして利用
できることが確認された。表が示すようにStuI線状
化pUscaur1A240CもStuI線状化pUscaur1R
よりも強い耐性付与活性を示した。すなわち、Aur1
S pの240番目のAlaの変異により強い耐性付与活
性が発現した。pUscaur1R −C中のAur1R p(F
158Y、A240C)をコードするDNA(図1中、
scaur1R -Cと示す)が相同の宿主染色体、すなわちAu
r1S pをコードするDNA(図1中、scaur1S と示
す)と相同組換えを起こし、オーレオバシジン感受性細
胞をオーレオバシジン耐性細胞に変換する場合を図1に
示す。
の形質転換 pYC系プラスミドであるpYCscaur1R −C 5μg
を用いて清酒酵母協会701号を実施例2−(1)で述
べた酢酸リチウム法によって形質転換した。表3が示す
ように線状化プラスミドと同様の結果を得た。これらの
形質転換体は数回の継代後も安定に親株の10倍以上の
オーレオバシジンA耐性を有していた。したがって、A
ur1R p(F158Y、A240C)は複製ベクター
による形質転換においても清酒酵母に対する有効な選択
マーカーとして利用できることが確認された。
の形質転換 pYC系プラスミドであるpYCscaur1R −C 5μg
を用いて焼酎酵母協会2号を実施例2−(1)で述べた
酢酸リチウム法によって形質転換した。表4が示すよう
に清酒酵母を宿主とした場合と同様の結果を得た。これ
らの形質転換体は数回の継代後も安定に親株の10倍以
上のオーレオバシジンA耐性を有していた。したがっ
て、Aur1R p(F158Y、A240C)は焼酎酵
母に対しても有効な選択マーカーとして利用できること
が確認された。
の形質転換 pYC系プラスミドであるpYCscaur1R −C 5μg
を用いてパン酵母(オリエンタル社製ドライイースト)
を実施例2−(1)で述べた酢酸リチウム法によって形
質転換した。表5が示すように清酒酵母を宿主とした場
合と同様の結果を得た。これらの形質転換体は数回の継
代後も安定に親株の10倍以上のオーレオバシジンA耐
性を有していた。したがって、Aur1R p(F158
Y、A240C)はパン酵母に対しても有効な選択マー
カーとして利用できることが確認された。
母の形質転換 pYC系プラスミドであるpYCscaur1R −C 5μg
を用いてビール酵母(ATCC 287)を実施例2−
(1)で述べた酢酸リチウム法によって形質転換した。
表6が示すように清酒酵母を宿主とした場合と同様の結
果を得た。これらの形質転換体は数回の継代後も安定に
親株の10倍以上のオーレオバシジンA耐性を有してい
た。したがって、Aur1R p(F158Y、A240
C)はビール酵母に対しても有効な選択マーカーとして
利用できることが確認された。
母の形質転換 pYC系プラスミドであるpYCscaur1R −C 5μg
を用いてワイン酵母(ATCC 4105)を実施例2
−(1)で述べた酢酸リチウム法によって形質転換し
た。表7が示すように清酒酵母を宿主とした場合と同様
の結果を得た。これらの形質転換体は数回の継代後も安
定に親株の10倍以上のオーレオバシジンA耐性を有し
ていた。したがって、Aur1R p(F158Y、A2
40C)はワイン酵母に対しても有効な選択マーカーと
して利用できることが確認された。
酵母の形質転換 実験室用の一倍体酵母DKD−5D(a,his3,t
rp1,leu2−3,112)を宿主として5μgの
pWscaur1R −Cを実施例2−(1)で述べられた酢酸
リチウム法によって形質転換した。比較のために、プラ
スミドに存在する栄養要求性マーカーを用いて形質転換
体を最小培地で選択した。表8に示されるように、Au
r1R p(F158Y、A240C)は一倍体酵母にお
いて従来の栄養要求性マーカーと同等な選択マーカーと
して利用可能であることが確認された。
た形質転換 pUscaur1R −CをpUC119の領域内で1ヵ所切断
するSalIで切断し、線状化したプラスミド5μgを
C.アルビカンスTIMM0136に酢酸リチウム法に
よって形質転換した。形質転換後、1時間又は一晩、Y
PD培地で培養し、オーレオバシジンAを含むYPD寒
天培地上に塗布した。表9が示すように、一晩、前培養
した時に、オーレオバシジンAに耐性を有する形質転換
体を得た。これらの形質転換体はすべて、10μg/m
l以上のMICを示した。
る強い耐性を与えるオーレオバシジン耐性付与蛋白質、
及び該蛋白質をコードする遺伝子が提供された。これら
はオーレオバシジンに対して感受性を示す生物に耐性を
付与し、耐性となった生物を選択するための選択マーカ
ーとして有用であり、実用酵母の遺伝子工学的育種、
C.アルビカンスの遺伝情報解析等において特に有用で
ある。本発明により、真菌、特に工業用真菌の遺伝子組
換えにおいて有用なオーレオバシジン耐性を選択マーカ
ーとした染色体組込型用ベクターを導入された形質転換
体、その創製方法、及び該方法で得られる形質転換体が
提供された。これらは、有用蛋白質製造用形質転換体の
創製、育種等に有効に利用できる。特に、S.セレビシ
エは、工業用酵母として最も広く使用されているのみな
らず、遺伝子組換えにおいても安全性の高い酵母であ
る。したがって、S.セレビシエ由来のオーレオバシジ
ン耐性を遺伝子はS.セレビシエの育種、有用蛋白質の
製造のための形質転換体作製のために非常に有用であ
る。
す図である。
するDNAの制限酵素地図を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 配列表の配列番号1で表されるオーレオ
バシジン感受性付与蛋白質の少なくとも240番目のア
ミノ酸Alaが他のアミノ酸に置換されたオーレオバシ
ジン耐性付与蛋白質、又は該蛋白質にアミノ酸残基の置
換、挿入及び欠失の少なくとも一つを施すことにより得
られるアミノ酸配列を有し、該蛋白質と同等の生物学的
活性を示すオーレオバシジン耐性付与蛋白質。 - 【請求項2】 240番目のアミノ酸AlaがCysに
置換された請求項1記載のオーレオバシジン耐性付与蛋
白質。 - 【請求項3】 配列表の配列番号2又は3で表される請
求項2記載のオーレオバシジン耐性付与蛋白質。 - 【請求項4】 請求項1、2、又は3記載のオーレオバ
シジン耐性付与蛋白質をコードする遺伝子。 - 【請求項5】 下記工程を包含することを特徴とするオ
ーレオバシジン耐性形質転換体の創製方法。 (1)請求項4記載のオーレオバシジン耐性遺伝子を含
有する複製ベクターを得る工程、(2)上記工程で得ら
れた複製ベクター中のオーレオバシジン耐性遺伝子の1
ヵ所で開裂し、宿主真菌用染色体組込型ベクターを得る
工程、(3)上記工程で得られた染色体組込型ベクター
を宿主真菌の染色体に組込む工程、(4)オーレオバシ
ジン耐性に形質転換された宿主をオーレオバシジン存在
下で選択する工程。 - 【請求項6】 請求項5記載の複製ベクターが異種の遺
伝子を含有する複製ベクターであることを特徴とする請
求項5記載の形質転換体の創製方法。 - 【請求項7】 請求項5又は6記載の方法で得られる形
質転換体。 - 【請求項8】 宿主真菌が清酒酵母、焼酎酵母、パン酵
母、ビール酵母、又はワイン酵母である請求項7記載の
形質転換体。
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JP9583195 | 1995-03-30 | ||
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JP (1) | JP3361418B2 (ja) |
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- 1995-10-03 JP JP27823495A patent/JP3361418B2/ja not_active Expired - Fee Related
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