JPH08321425A - アクティブ・フィルタ用チョークコイルおよびアクティブ・フィルタ回路ならびに電源装置 - Google Patents

アクティブ・フィルタ用チョークコイルおよびアクティブ・フィルタ回路ならびに電源装置

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JPH08321425A
JPH08321425A JP7125388A JP12538895A JPH08321425A JP H08321425 A JPH08321425 A JP H08321425A JP 7125388 A JP7125388 A JP 7125388A JP 12538895 A JP12538895 A JP 12538895A JP H08321425 A JPH08321425 A JP H08321425A
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active filter
core
choke coil
gap
magnetic
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JP7125388A
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Inventor
Susumu Nakajima
晋 中島
Katsuto Yoshizawa
克仁 吉沢
Hirohiko Miki
裕彦 三木
Takayuki Ishimoto
隆幸 石本
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型で低損失のアクティブ・フィルタ用チョ
ークコイル、アクティブ・フィルタ、電源装置を提供す
る。 【構成】 ナノ結晶軟磁性合金薄帯を用い、外径Do、
内径Di、および高さHが、15mm≦[(Do+Di)
/2]≦85mm、1.5≦Do/Di≦2.5なる関係
にあり、実効比初透磁率μieが100≦μie≦300と
なるように、その磁路の1部にギャップを設けたコアに
巻線を設けたアクティブ・フィルタ用チョークコイル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は力率を改善するために電
源の入力側に用いられるアクティブフィルタ用チョ−ク
コイルおよびアクティブ・フィルタ回路ならびにこれを
用いた高力率の電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】商用電源を入力とするコンバータ、イン
バ−タ、チョッパー等のスイッチング電源の大部分にお
いては、その一例を図2に示すが、コンデンサーインプ
ット型の整流回路が用いられている。
【0003】図2において、1は交流入力電源、2はダ
イオードブリッジ、3はコンデンサ、4は負荷である。
本回路では、交流電源1から供給される交流電圧と交流
電流をダイオードブリッジ2で整流した後、コンデンサ
3により平滑し直流電圧および直流電流を得るものであ
る。
【0004】図2に示した回路における主要各部の電圧
波形と電流波形を図3に示す。交流電源1から図3
(a)に示す入力電圧Viが供給されると、コンデンサ
3の端子間電圧形は図3(b)の実線に示した波形のよ
うになる。なお、図3(b)の破線はコンデンサ3がな
い場合に負荷4に印加される電圧波形を示している。
【0005】一方、図2の交流電源1から供給される電
流波形は、図3(c)に示すように、図3(b)の実線
で示される電圧波形における正の勾配部分に相当する期
間のみに流れる高調波成分を多く含んだピーク値の大き
なパルス状のものとなる。このような高調波成分を多く
含んだ電流が電源ラインに流れることによる具体的な障
害として、インテリジェントビルなどの受電設備に設け
られている電圧と電流の位相差を吸収するためのコンデ
ンサとリアクトルの直列回路におけるリアクトルの焼損
や、コンピュータの誤動作などが指摘されている。
【0006】このような問題を対策する方法として、様
々な方法が検討されている。入力ラインにリアクトルを
挿入する方法は簡単な構成であるが、このリアクトルは
商用周波数で使用されるため大型にならざるを得ず、高
調波波成分の抑制効果も必ずしも十分ではない。さら
に、負荷電流が変化すると、整流平滑後の直流電圧も変
動してしまう問題がある。このため、この方式は小出力
電力かつ小型化が特に必要とされない用途に限定されて
しまう問題がある。
【0007】一方、入力ラインにアクティブ・フィルタ
を挿入する方式は、部品点数が増加し、コストが上昇す
ることと、変換効率が低下するなどの問題があるが、高
調波成分の抑制効果に優れ、小型化も容易であるという
利点があり、高調波対策としては最も汎用性に富む方式
である。
【0008】アクティブ・フィルタとしては、例えば、
コンデンサへ流れる電流を高速でスイッチングさせるト
ランジスタやMOS−FET等の半導体スイッチ素子に
よりバイパスすることにより、コンデンサへ流れる電流
とトランジスタを介してバイパスされる電流の両者の平
均で与えられる入力電流を正弦波に近づける方法があ
る。
【0009】図4に昇圧チョッパ型アクティブ・フィル
タ回路の1例を示す。図4において、1は交流入力電
源、2はダイオードブリッジ、3はコンデンサ、4は負
荷、5はMOS−FET、6はチョ−クコイル、7はダ
イオード、8は電流検出用の抵抗、9は制御回路であ
る。本回路では、スイッチング素子であるMOS−FE
T5のスイッチング周波数を高めることにより、フィル
タとして必要なインダクタンスLの値とキャパシタンス
Cの値を小さくすることができる。即ち、本回路にその
1例を示したアクティブ・フィルタでは、スイッチング
周波数を高めることにより、チョ−クコイル6の小型化
が図れる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】アクティブ・フィルタ
用チョ−クコイル6としては、スイッチング電源の出力
平滑回路に用いられるチョ−クコイルに比べて動作磁束
密度量△Bが大きいため、スイッチング周波数を高める
ことにより、チョ−クコイルの小型化を図るには、コア
ロスの小さなコアを用いることが必要となる。
【0011】また、アクティブ・フィルタ用チョ−クコ
イルには、交流入力電源の周波数50Hzないし60H
zの2倍の周波数にあたる可聴周波数領域の100Hz
ないし120Hzの成分を持った電流が流れるため、磁
歪定数の大きな磁性材料を用いたコアを使用すると、磁
歪震動による音鳴きの問題が生じる。したがって、アク
ティブ・フィルタ用チョ−クコイルには、磁歪定数の小
さな磁性材料を用いたコアを用いることが望ましい。
【0012】従来、アクティブフィルタ用チョ−クコイ
ルには、ギャップを形成したフェライトコア、ギャップ
を形成した珪素鋼コア、ギャップを形成したFe基アモ
ルファスコア、ノーギャップのFe基アモルファスコ
ア、FeAlSi合金ダストコア、NiFe合金ダスト
コアを用いたチョ−クコイルが用いられている。
【0013】フェライトコアの飽和磁束密度は常温付近
においても0.5T程度と小さく、そのキュリー温度も
高々250℃程度と小さいため、アクティブ・フィルタ
用チョ−クコイルの使用最高温度である120℃程度で
は、その飽和磁束密度が0.35T程度まで低下してし
まう。このため、ギャップを形成したフェライトコアを
用いたアクティブ・フィルタ用チョ−クコイルは、例え
ば、ギャップを形成したFe基アモルファスコアを用い
たチョ−クコイルに比べて、その体積が5から10倍程
度も大きくなってしまうという問題がある。
【0014】珪素鋼コアは、そのコアを構成する珪素鋼
の板厚にもよるが、一般に入手し得る最小の板厚である
50μmのものでも、その高周波領域のコアロスは、例
えば、最も一般的な厚さ25μmのFe基アモルファス
と比較した場合、約2.5程度も大きい。このため、ギ
ャップを設けた珪素鋼コアをアクティブ・フィルタ用チ
ョ−クコイルとして、最も一般的なスイッチング周波数
領域である10kHz程度から数百kHz程度の周波数
領域で使用した場合、コアの温度上昇が激しく、強制冷
却によりコアの温度上昇を低下させないと実用にならな
いという問題が生じる。
【0015】Fe基アモルファスは、その飽和磁歪定数
が+30×10-6程度と大きい。このため、コアの含浸
処理が必要なギャップを形成したFe基アモルファスコ
アの場合、この含浸処理によってFe基アモルファスに
加えられた歪の影響を受けて、そのコアロスは含浸処理
前の数倍に増加してしまう。このため、ギャップを設け
たFe基アモルファスコアをアクティブ・フィルタ用チ
ョ−クコイルとして、最も一般的なスイッチング周波数
領域である10kHz程度から数百kHz程度の周波数
領域で使用した場合、コアの温度上昇が激しく、強制冷
却などの手段によりコアの温度上昇を低下させないと実
用とならないという問題が生じる。
【0016】この含浸処理によるコアロスの増加を対策
するため、Fe基アモルファスの1部を結晶化させるこ
とによりFe基アモルファスに適度な歪を与えて実効比
初透磁率μieをアクティブ・フィルタ用チョ−クコイル
として適当な数百程度まで低下させたノーギャップのF
e基アモルファスコアが用いられている。
【0017】しかし、このノーギャップのFe基アモル
ファスコアの残留磁束密度は、その実効比初透磁率μie
をどの程度とするかにもよるが、一般に、0.2Tから
0.5T程度とギャップを形成したFe基アモルファス
コアの見かけの残留磁束密度に比べ大幅に増加するため
に、その直流重畳特性も低下する。このため、ノーギャ
ップのFe基アモルファスコアをアクティブ・フィルタ
用チョ−クコイルとして用いた場合、前記ギャップを形
成したFe基アモルファスコアを用いたアクティブ・フ
ィルタ用チョ−クコイルに比べて、その体積が1.5倍
から2倍程度に大きくなってしまう問題がある。
【0018】さらに、ノーギャップのFe基アモルファ
スコアをアクティブ・フィルタ用チョ−クコイルに用い
た場合には、前記した音鳴きの問題が生じる。この音鳴
きを対策するため、コアが震動しないように含浸処理す
る手法が取られるが、この場合には、コアロスが増加し
てしまう問題がある。
【0019】なお、この音鳴きの問題については、前記
ギャップを形成したFe基アモルファスコアの場合に
も、このギャップ部で発生する。
【0020】FeAlSiダストコアを最も一般的なス
イッチング周波数領域である10kHz程度から数百k
Hz程度のアクテイブ・フィルタ用チョ−クコイルに使
用した場合、飽和磁束密度が0.8Tと比較的小さいこ
とに加えて、実効比透磁率μeも高々100程度と小さ
いため必要な数百μHから数mH程度と大きなインダク
タンスを得るための巻線の巻数が非常に多くなるため、
例えば、ギャップを形成したFe基アモルファスコアを
用いたアクティブ・フィルタ用チョ−クコイルに比べ
て、その体積が3から4倍程度も大きくなってしまうと
いう問題がある。
【0021】NiFe合金ダストコアには、50%Ni
Fe系合金ダストと80%NiFe系合金ダストの2つ
のタイプが存在する。50%NiFe合金ダストは、原
子%でNiを50%程度含み、残りの大部分がFeであ
り、場合によっては極微量のMoやSiなどの添加元素
を含み、その飽和磁束密度が1.5T程度の磁性材料を
用いたものもある。80%NiFe系合金ダストは、原
子%でNiを80%程度とMoを5%程度含み、残りの
大部分がFeであり、場合によっては極微量のMnなど
の添加元素も含み、その飽和磁束密度が0.7T程度の
磁性材料を用いたものである。
【0022】50%NiFe系合金ダストは、最も一般
的なスイッチング周波数領域である10kHz程度から
数百kHz程度の周波数領域で使用した場合、コアの温
度上昇が激しく、強制冷却によりコアの温度上昇を防止
しないと実用とならない問題が生じる。
【0023】80%NiFe系合金ダストは、前記のよ
うに、その飽和磁束密度が小さいため、例えば、ギャッ
プを形成したFe基アモルファスコアを用いたアクティ
ブ・フィルタ用チョ−クコイルに比べて、その体積が4
倍程度も大きくなってしまうという問題がある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来のアクティブ・フィルタ用チョ−クコイルは、小型
化と低損失化を両立することができなかった。このた
め、このようなチョ−クコイルを使用したアクティブ・
フィルタも、小型、高力率、かつ高効率の3点を満足し
えなかった。さらに、このアクティブ・フィルタを用い
た電源装置は、高力率とはなるものの、サイズが著しく
大きくなるとともに、効率も大きく低下する問題があっ
た。
【0025】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決した小型で低損失のアクティブ・フィルタ用チョ−
クコイル、およびこれを用いたアクティブ・フィルタ、
ならびにこのアクティブ・フィルタを用いた電源装置を
提供することである。
【0026】
【発明を解決するための手段】上記従来技術の問題点を
解決するため、本発明者らは、ナノ結晶粒が組織の体積
全体の50%以上を占めるFeを主成分とするナノ結晶
軟磁性合金薄帯を用い、外径Do、内径Di、および高さ
Hが、15mm≦[(Do+Di)/2]≦85mm、
1.5≦Do/Di≦2.5、かつ実効比初透磁率μieが1
00≦μie≦300となるように、その磁路の1部にギ
ャップを設けたコアに少なくとも1つの巻線を設けて構
成したアクティブ・フィルタ用チョ−クコイルを利用す
ることが有効であることを見いだした。
【0027】本発明に係わるナノ結晶合金は、例えば特
公平4-4393号や特開平1-242755号に記載の合金を挙げる
ことができる。本発明のアクティブ・フィルタ用チョ−
クコイルに用いられるナノ結晶合金薄帯は単ロ−ル法に
より作製した板厚が4μmから40μm程度のものを用
いるが、コアロスを下げるためには板厚が4μmから2
5μm程度のものを用いることが望ましい。また、ギャ
ップ長が短い場合にはギャップを形成したコアの実効比
初透磁率μieを十分に下げることができないためチョ−
クコイルとして使用した際に十分なエネルギ−を蓄積し
得ないと言う問題がある。一方、ギャップを長くし過ぎ
た場合にはコアの実効比透磁率μieが小さくなりすぎる
ために巻線の巻数を大きくしないとインダクタンスを大
きく取れなくなるとともにギャップ部で漏れる磁束がナ
ノ結晶合金薄帯面に対して垂直に入り込むことによって
生ずる面内渦電流損失によるコアの温度上昇が問題とな
ってくる。
【0028】本発明者らは、検討の結果、外径Do、内
径Di、および高さHが、各々、15mm≦[(Do+D
i)/2]≦85mm、1.5≦Do/Di≦2.5の関係
にあるコアにおいて、実効比初透磁率μieが100≦μ
ie≦300となるように、その磁路の1部にギャップを
設ければ、アクティブ・フィルタ用として面内渦電流損
失による磁心の温度上昇が低く、小型で十分な蓄積エネ
ルギ−を持つとともに、音鳴きの問題もほとんど認めら
れないチョ−クコイルが得られるとの結論に到達した。
【0029】本発明によるチョ−クコイルを用いたアク
ティブ・フィルタ回路では、アクティブ・フィルタ回路
で最も大きな体積を占める部品の1つであるチョ−クコ
イルの小型化と低損失化による温度上昇の抑制と音鳴き
の問題の対策も可能となり、高効率かつ高信頼性を実現
でき好ましい。
【0030】本発明によるアクティブ・フィルタ回路を
入力側に用いた電源装置は、小型、高効率、低騒音かつ
高信頼性を維持しつつ力率を改善することができ好まし
い。
【0031】
【実施例】以下本発明を実施例に基づき説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。 (実施例1)片ロ−ル法による融体急冷により、原子%
でCuが1%、Nbが2%、Siが15.5%、Bが6.
5%、残りが実質的にFeで占められる幅20mm、厚
さ20μmのFe基アモルファス合金薄帯を作製した。
次に、このFe基アモルファス合金薄帯を巻回して、外
径65mm、内径35mm、高さ20mmのトロイダル
形状のコアを8ヶ作製し、これらコアを窒素雰囲気中5
50℃で1時間熱処理した。熱処理後の8ヶのコアを構
成する合金は、X線回折および透過電子顕微鏡による組
織観察の結果、いづれも組織の50%以上が微細なbc
cFe相からなるナノ結晶合金であることが確認され
た。また、飽和磁歪を測定した結果、いづれのコアも1
×10-6未満の低磁歪であることも確認された。
【0032】次に、これらのコアをエポキシ樹脂中に入
れ真空含浸処理を行った後、恒温槽に入れ硬化させ8ヶ
のモールドコアを得た。これら8ヶのモールドコアの磁
路の1ヶ所を外周スライサーにより切断した。磁路の1
部を切断した各モールドコアの切断部に、各々、0.5
mm、0.7mm、1.0mm、1.5mm,2.0mm、
3.0mm、4.0mm、および5.0mmの厚さのポリ
エチレンテレフタレート(以下、PETと略す)のスペ
ーサーを挿入した後、各コアのPETのスペーサーとコ
アの切断面を接着材で固定した。以上の工程により、ギ
ャップ長の異なる8種類のギャップを形成したナノ結晶
合金コアを得た。
【0033】これら8種類のギャップを構成したナノ結
晶合金コアの外径Doと内径Diの平均である[(Do+
Di)/2]は50mmであり、この値に円周率πを掛
けた値が平均磁路長となる。また、このときのDo/Di
は1.87である。
【0034】製作した8種類のコア#a〜#c、#A〜
#E、および比較に用いた同一寸法のギャップを形成し
たFe基アモルファスコア#イの磁気特性を表1に示
す。表1において、直流重畳特性はコアの実効比透磁率
μeが実効比初透磁率μieの1/2になるときの磁界で
あり、コアロスは周波数fが100kHz、磁束密度の
波高値Bmが0.1Tの磁束正弦波条件における値であ
る。
【0035】
【表1】 注)直流重畳特性は、コアの実効比透磁率μeが1/2
になるときの磁界。コアロスは、f=100kHz、B
m=0.1Tの磁束正弦波条件時の値。
【0036】次に、表1に示す9種類のコアを用いて、
図1(a)にその回路構成を示す入力AC60Hz、1
00V、出力DC375V、2.1A、スイッチング周
波数100kHz、効率0.93以上、力率0.99以上
のアクティブ・フィルタを得るため、表2に示すような
チョ−クコイルを製作した。なお、本実施例のアクティ
ブ・フィルタ用チョ−クコイルの直流重畳IDC=13A
の時のインダクタンスは、計算の結果、500μH以上
が必要であったので、極力この値になるように設計製作
した。なお、比較例1と比較例2の直流重畳IDC=13
Aの時のインダクタンスが500μHに満たないのは直
流重畳特性が十分でないためである。
【0037】表2の各チョ−クコイルを前記アクティブ
・フィルタに実装したときの、同チョ−クコイルの温度
上昇、およびアクティブ・フィルタの効率と力率を表3
に示す。ここで、アクティブ・フィルタの入力電圧はA
C100V、出力条件はDC375V、2.1Aとし
た。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】実装状態におけるアクティブ・フィルタ用
チョ−クコイルの周囲温度は、アクティブ・フィルタが
実際に使用される周囲環境温度と実装条件により定まる
が、周囲環境温度を50℃、アクティブ・フィルタの損
失によるアクティブ・フィルタのケース内部の温度上昇
を30℃とすると、最悪の場合80℃程度に達する。こ
のため、アクティブ・フィルタ用チョ−クコイルの許容
温度上昇は、マグネットワイヤーを始めとする絶縁材料
の耐熱温度が一般に130℃であることを考慮して、1
0℃のマージンを見込んだ40℃程度以下とする必要が
ある。
【0041】表3からわかるように、比較例1と比較例
2は、アクティブ・フィルタ用チョ−クコイルの温度上
昇は問題ないが、コア直流重畳特性が十分でないために
直流重畳IDC=13Aのときのインダクタンスが設計上
必要である500μH以上にできないため、アクティブ
フィルタの効率と力率が目標値に達していないことがわ
かる。
【0042】比較例3は、直流重畳IDC=13Aのとき
のインダクタンスは設計値を満足するため、アクティブ
・フィルタの力率は目標を達成している。しかし、アク
ティブ・フィルタ用チョ−クコイルの巻数が多く直流抵
抗が大きいため銅損が大きいことに加えて表1に示した
ようにコアロスも大きいため、同チョ−クコイルの温度
上昇が許容値を大きく上回っている。さらに同チョ−ク
コイルの損失が大きいため効率も目標値に達していない
ことがわかる。
【0043】また、比較例4は、直流重畳IDC=13A
のときのインダクタンスは設計値を満足するため、アク
ティブフィルタの力率は目標を達成しているが、表1に
示したようにコアロスが大きいため、同チョ−クコイル
の温度上昇が許容値を大きく上回っていること、さらに
同チョ−クコイルの損失が大きいため効率も目標値に達
していないことがわかる。また、本チョ−クコイルで
は、入力AC60Hzの2倍の周波数にあたる120H
zの音鳴きが若干認められた。
【0044】一方、本発明1から本発明5は、本実施例
のアクティブ・フィルタで目標とする効率0.93以
上、力率0.99以上を満足するとともに、アクティブ
・フィルタ用チョ−クコイルの許容温度上昇である40
℃以下も満足しており、前記比較例4で認められた音鳴
きの問題もなく、アクティブ・フィルタ用チョ−クコイ
ルとして極めて優れた特性を示した。さらに、本発明1
から本発明5のチョ−クコイルを用いたアクティブ・フ
ィルタは、効率ならびに力率ともに優れた特性を示すと
ともに、100kHzの高周波領域においてもアクティ
ブ・フィルタ用チョ−クコイルの温度上昇を許容値以下
にした信頼性の高いものとすることができる。
【0045】なお、本実施例における本発明のアクティ
ブ・フィルタ用コアとその基本的な構造が同一であるナ
ノ結晶粒が組織の体積全体の50%以上を占めるナノ結
晶軟磁性合金薄帯を用い、磁路の1部にギャップを設け
たコアに少なくとも1つの巻線を構成したことを特徴と
するアクティブ・フィルタ用チョ−クコイルにおいて
は、さらに詳細な実験を行った結果以下のことも明らか
になった。
【0046】コアの平均磁路長が小さくなると、前記本
実施例の検討で明らかになったアクティブ・フィルタ用
チョ−クコイルとして優れた特徴を示すために必要な実
効比初透磁率μieを100≦μie≦300とするための
ギャップ寸法も小さくする必要がある。ギャップ寸法を
著しく小さくした場合、ギャップの寸法精度の問題か
ら、前記実効比初透磁率μieのばらつきが大きくなり、
実用上著しい障害が生じる。この点について検討した結
果、実用上十分なギャップ精度を得るためにはコアの平
均磁路長に比例するパラメータであるコアの外径Doと
コアの内径Diで与えられるコア平均直径[(Do+D
i)/2]が15mm以上必要なことがわかった。
【0047】アクティブ・フィルタ用チョ−クコイルの
巻線の電流密度は、コアを構成する磁性材料の温度特
性、絶縁材料の耐熱温度、および周囲環境温度などの条
件を考慮した上で選定されるが、一般には、3〜8A/
mm2程度に選定される。従って、大電流になるにつれ
て、断面積の大きな巻線を使用する必要が生じるが、本
発明のアクティブ・フィルタ用チョ−クコイルで用いて
いる閉磁路のコアの場合、巻線の作業性の問題から、こ
れに巻く巻線の断面積にも制約がある。
【0048】このため、本発明によるアクティブ・フィ
ルタ用チョ−クコイルにおいて、コアの外径Doとコア
の内径Diで与えられるコア平均直径[(Do+Di)/
2]が、85mmを超えた場合には、上記巻線の作業性
の問題から巻線径が制限されてしまい、コアの持ってい
る特性を十分に引き出すことができないこともわかっ
た。したがって、コアの外径Doと内径Diの平均値
[(Do+Di)/2]は、15mm≦[(Do+Di)/
2]≦85mmに選定しなくてはならないこともわかっ
た。
【0049】本発明のアクティブ・フィルタ用チョ−ク
コイルのコアにおいては、コアの外径Doと内径Diの比
であるDo/Diが1.5未満となったときには、アクテ
ィブ・フィルタ用チョ−クコイルとしての巻線に必要な
スペースに対し、コアの窓面積が大きすぎて、チョ−ク
コイルの実装体積が必要以上に大きくなりすぎる問題が
ある。
【0050】一方、Do/Diが2.5を超えると、アク
ティブ・フィルタ用チョ−クコイルの巻線に必要なスペ
ースに対し、コアの窓面積が不足し、コアの磁気特性を
十分に引き出せない問題があることもわかった。
【0051】このため本発明によるアクティブ・フィル
タ用チョ−クコイルのコアにおいては、コアの外径Do
と内径Diの比Do/Diを、1.5≦Do/Di≦2.5と
しなくてはならないこともわかった。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
小型かつ低損失のアクティブ・フィルタ用チョ−クコイ
ルをえることができる。また、本発明のアクティブ・フ
ィルタ用チョ−クコイルを用いることにより、小型、高
力率、かつ高効率のアクティブ・フィルタが得られると
ともに、このアクティブ・フィルタを用いた電源装置
も、著しいサイズの上昇と効率の低下を招くことなく高
力率にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるアクティブ・フィルタの回路構
成の例を示した図。
【図2】コンデンサインプット型の整流回路の1例を示
した図。
【図3】コンデンサインプット型の整流回路の主要各部
の電圧波形と電流波形を示した図。
【図4】昇圧チョッパ型のアクティブ・フィルタ回路の
1例を示した図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナノ結晶粒が組織の体積全体の50%以
    上を占めるFeを主成分とするナノ結晶軟磁性合金薄帯
    を用い、外径Do、内径Di、および高さHが、15mm
    ≦[(Do+Di)/2]≦85mm、1.5≦Do/Di
    ≦2.5なる関係にあり、かつ実効比初透磁率μieが1
    00≦μie≦300となるように、その磁路の1部にギ
    ャップを設けたコアに少なくとも1つの巻線を設けて構
    成したことを特徴とするアクティブ・フィルタ用チョ−
    クコイル。
  2. 【請求項2】 平滑フィルタに請求項1に記載のチョ−
    クコイルを用いたことを特徴とするアクティブ・フィル
    タ回路。
  3. 【請求項3】 入力側回路の少なくとも1部に請求項2
    に記載のアクティブフィルタ回路を構成したことを特徴
    とする電源装置。
JP7125388A 1995-05-24 1995-05-24 アクティブ・フィルタ用チョークコイルおよびアクティブ・フィルタ回路ならびに電源装置 Pending JPH08321425A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008090917A1 (ja) 2007-01-24 2008-07-31 Panasonic Corporation 直流電源装置とそれを備えた空気調和機
US7508290B2 (en) 2002-07-19 2009-03-24 Siemens Aktiengesellschaft Inductive component and use of said component

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