JPH08318415A - 多軸穴明け方法とその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 多数の穴明け軸を移動させ穴明け位置を変
える際において、その穴明け位置の変更に係わるベルト
への張力を与える作業が迅速にしかも容易に実施できる
多軸穴明け方法とその装置を提供する。 【構成】 多数の穴明け軸を移動させ穴明け位置を変
える際において、ある圧力に設定した流体を供給させた
テンションシリンダの伸縮により、テンションプーリを
各穴明け軸位置の移動に伴って移動させ、ある一方向に
おける任意の位置に穴明けを可能にするので、テンショ
ンシリンダに供給されている流体の圧力が適正なベルト
の張力になるように調整され、穴明け軸の移動と共に自
動でテンションプーリが移動をし、穴明け位置の変更に
係わるベルトに張力を与える作業が迅速にしかも容易に
且つ正確に実施でき、穴明け軸の回転が安定し、ベルト
のスリップや脱落といった事故も起らない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、１個の駆動源により多
数の穴明け軸を移動させ、同時に多数の穴明けを実施す
る多軸穴明け方法とその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６には、ベルト駆動による多軸穴明け
装置の正面図を示す。また図７は、その多軸穴明け装置
の側面から見た断面図を示す。図に於いて、多軸穴明け
装置１は、例えば電動機のような回転駆動源２に取り付
けられている駆動Ｖプーリ３と、軸受４によってフレー
ム５に支えられている原動軸６に取り付けられている従
動Ｖプーリ７にＶベルト８がかけられ、回転駆動源２の
動力が原動軸６に伝えらてれいる。

【０００３】そして、その原動軸６に取り付けられてい
る穴明け軸駆動プーリ９と、軸受１０によってスライド
ホルダ２８に支えられている多数の穴明け軸１１に取り
付けられている穴明け軸従動プーリ１２に掛けられてい
るベルト１３によって、原動軸６の動力である回転駆動
源２の動力が多数の穴明け軸１１に伝達されている。そ
して、この多数の穴明け軸１１は、ある一方向に移動可
能なようにフレーム５に長穴１４が布設され、その長軸
１４にスライドホルダ２８が挿入され、ボルト２１によ
りフレーム５に固定されている。

【０００４】また、多数の穴明け軸１１には、ドリル１
８が取り付けられている。また、各穴明け軸１１の位置
を測定するため、スライドホルダ２８の近辺に目盛り２
３が取り付けられている。そして、ベルト１３へある一
定の張力を与えるため、テンションプーリ１５がベルト
１３に、ほぼ直角方向に例えばねじ１６によって押し付
けられるように取り付けられいてる。この多軸穴明け装
置１の下にはスライドユニット１７があり、多軸穴明け
装置１を直線運動させている。そのスライドユニット１
７によって移動させられる前方にはクランプユニット２
０にクランプされたワーク１９が位置する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このような穴明け装置
１において、図９に示すようなワーク１９の種類によっ
て多軸穴明け箇所２９（φＥ寸法）が変わった際、多数
の穴明け軸１１を長穴１４に沿って移動させることにな
るが、ベルト１３の長さが決まっているため各穴明け軸
１１を移動させると、ベルト１３は緩むか或いは張り過
ぎて各穴明け軸１１が動かないかどちらかになってしま
う。そこで、テンションプーリ１５の位置を移動させた
うえ、適性な張力ベルト１３に与えることになる。

【０００６】たとえば、図８に示すように、各穴明け軸
１１をＣ寸法だけ移動させるとベルト１３は緩むため、
ねじ１６によってテンションプーリ１５をＤ寸法だけ移
動させなければならない。しかし、この作業は人手にた
よっているため非常に手間がかかっており、能率が悪か
った。

【０００７】また、人手によりテンションプーリ１５を
移動させているため、常に前記適正な張力をベルト１３
に与えるようにすることは非常に困難で、適正な張力以
下でセットしてしまうと穴明け軸駆動プーリ９や穴明け
軸従動プーリ１２と、ベルト１３がスリップし、回転駆
動源２の動力が多数の穴明け軸１１に伝わらず、多数の
穴明け軸１１の回転が不安定になっていた。

【０００８】さらにこの張力が適正値から外れ過ぎる
と、ベルト１３の破断や穴明け軸駆動プーリ９や穴明け
軸従動プーリ１２からベルト１３が脱落することもあ
り、多数の穴明け軸１１の回転が停止する。そのまま、
スライドユニット１７により直線運動させると、回転し
ていないドリル１８がワーク１９に付き刺さる形とな
り、ワーク１９のクランプユニット２０からの脱落や、
ドリル１８の破損や飛散に繋がり、非常に危険であっ
た。

【０００９】又、図１０に示すような、１個のワーク１
９に多軸穴明け箇所２９が２箇所ある場合、第１穴（φ
Ｆ寸法）を明けた後、装置を一旦停止させ各穴明け軸１
１を人手により移動させ、第２穴（φＧ寸法）を明ける
ため非常に能率が悪かった。

【００１０】同様に、図１１に示すような１個のワーク
１９に多軸穴明け箇所２９が３箇所以上ある場合、第１
穴（φＨ寸法）を明けた後、装置を一旦停止させ各穴明
け軸１１を人手により移動させて第２穴（φＩ寸法）を
明け、再び装置を一旦停止し各穴明け軸１１を人手によ
り移動させて第３穴（φＪ寸法）を明け、再び装１置を
一旦停止させると、穴明け作業と人手による穴明け軸１
１の移動を交互に繰り返すため非常に能率が悪かった。

【００１１】そこで、本発明の目的は、多数の穴明け軸
を移動させ穴明け位置を変える際において、その穴明け
位置の変更に係わるベルトへの張力を与える作業が迅速
にしかも容易に実施できる。また、ベルトの張力を常に
適正な値でセットでき、穴明け軸の回転が安定し、ベル
トのスリップや脱落といった事故も起こらず、また、穴
明け軸の位置の変更が自動で、遠隔から実施でき、穴明
け作業の能率を向上させることができる多軸穴明け方法
とその装置を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の多軸穴明け方法
は、ある圧力に設定した流体を供給させたテンションシ
リンダの伸縮により、テンションプーリを各穴明け軸位
置の移動に伴って移動させ、ある一方向における任意の
位置に穴明けを可能にすることを特徴とするものであ
る。

【００１３】また、上記方法において、その各穴明け軸
に直結された油圧或いは空気圧シリンダによって、各穴
明け軸位置をある一方向における２箇所に自動に変化さ
せることが好ましい。

【００１４】また、上記方法において、その各穴明け軸
に直結された位置制御付きモータによって、各穴明け軸
位置をある一方向における任意の多数箇所に自動に変化
させてもよい。

【００１５】本発明の多軸穴明け装置は、ベルトにテン
ションを与えるテンション用シリンダと、そのテンショ
ン用シリンダの先端につけられたテンションプーリと、
各穴明け軸位置を軸直角方向に自由に移動できる移動機
構と、前記穴明け軸を固定する固定手段を備えることを
特徴とする。

【００１６】また、上記装置において、各穴明け軸に直
結された油圧或いは空気圧シリンダによって、各穴明け
軸位置をある一方向における２箇所に自動に移動させる
移動手段を備える構成とすることが好ましい。

【００１７】また、上記装置において、各穴明け軸に直
結された位置制御付きモータによって、各穴明け軸位置
をある一方向における任意の多数箇所に自動に移動させ
る移動手段を備える構成にしてもよい。

【００１８】

【作用】前記した方法によれば、テンション用シリンダ
の伸縮により、穴明け位置を段取り替えにより変化させ
た場合でも、自動で適正な張力をベルトに与えることが
できるので、迅速にベルトのテンションを与える作業が
できて、張力も確実に適正値にすることができ、穴明け
軸の回転も安定し、ベルトのスリップや脱落といった事
故も発生しない。

【００１９】また、穴明け軸位置の変化させる箇所があ
る一方向において２箇所の場合、穴明け軸に油圧或いは
空気圧シリンダを直結し、自動に遠隔操作により適正な
ベルトに与えつつ、迅速に穴明け軸位置を変化させるこ
とができ、一連の自動運転が可能である。

【００２０】また、穴明け軸位置をある一方向において
任意の位置に変化させる場合、穴明け軸に直結された位
置制御付きモータによって、穴明け軸位置を多数箇所に
自動に遠隔操作により迅速に変化させるようにすること
ができ、一連の自動運転が可能である。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の第１実施例について図１から
図３を参照して説明する。図１は装置の正面図を示し、
図２は装置の側面から見た断面図を示しており、この図
を参照して本発明に係わる多軸穴明け装置の構成につい
て述べる。

【００２２】図に於いて、多軸穴明け装置１は、例えば
電動機のような回転駆動源２に取り付けられている駆動
Ｖプーリ３と、軸受４によってフレーム５に支えられて
いる原動軸６に取り付けられている従動Ｖプーリ７にＶ
ベルト８がかけられ、回転駆動源２の動力が原動軸６に
伝えられている。

【００２３】そして、その原動軸６に取り付けられてい
る穴明け軸駆動プーリ９と、軸受１０によってスライド
ホルダ２８に支えられている多数の穴明け軸１１に取り
付けられている穴明け軸従動プーリ１２に掛けられてい
るベルト１３によって、従動軸６の動力、すなわち回転
駆動源２の動力が多数の穴明け軸１１に伝達されてい
る。そして、この多数の穴明け軸１１は、ある一方向に
移動可能なようにフレーム５に長穴１４が布設され、そ
の長穴１４にスライドホルダ２８が挿入され、ボルト２
１によりフレーム５に固定されている。

【００２４】また、多数の穴明け軸１１には、ドリル１
８が取り付けられている。更には、各穴明け軸１１の位
置を測定するため、スライドホルダ２８の近辺に目盛り
２３が取り付けられている。

【００２５】そして、ベルト１３へある一定の張力を与
えるため、テンションプーリ１５がベルト１３の直角方
向に移動可能なように、長穴３１とガイド２５により取
付けられており、その移動はベルト１３と適正な張力に
なるように減圧弁３０によってある圧力に調整されてい
る流体を供給させたテンションシリンダ２２により行わ
れている。

【００２６】尚、この多軸穴明け装置１の下にはスライ
ドユニット１７があり、多軸穴明け装置１を直線運動さ
せている。そのスライドユニット１７によって移動させ
られる前方にはクランプユニット２０にクランプされた
ワーク１９が位置する。

【００２７】次に、前記構成の多軸穴明け装置１の作用
について、図３を参照して述べる。本多軸穴明け装置１
は、様々な穴明け位置に変化させることができるが、今
回は便宜的に穴明け軸のピッチ径をφＡからφＢに変え
る際の操作を説明する。

【００２８】まず、図３（ａ）に示すようなφＡの位置
にある各穴明け軸１１のスライドホルダ２８を固定して
いるボルト２１を緩め、穴明け軸１１が長穴１４の方向
に自由に移動可能なようにする。そして、位置合わせ用
の目盛り２３等によって、夫々の穴明け軸１１をφＢの
位置に移動させる。

【００２９】この時、図３（ｂ）に示すようにφＢの位
置はφＡの位置に対して小径の位置にあるため、穴明け
軸１１を移動させるとベルト１３に与えられている張力
は緩んでくる。しかし、テンションシリンダ２２には適
正な張力となるように減圧弁３０によって圧力が調整し
てあるため、前記テンションシリンダ２２の先端に取り
付けてあるテンションプーリ１５が前進し、テンション
プーリ１５はベルト１３に接触し適正な張力を保つよう
になる。

【００３０】以上のように本実施例によれば、ベルト１
３に適正な張力を与えられるように、テンションシリン
ダ２２に減圧弁によって圧力が調整された流体が供給さ
れているので、穴明け軸１１を移動させてもテンション
シリンダ２２は自由に伸縮することができる。この為、
テンションプーリ１５によりベルト１３に適正な張力を
与えさせることが迅速にしかも正確にでき、穴明け軸１
１の回転が安定し、ベルト１３のスリップや脱落といっ
た事故も起こらない。

【００３１】次に本発明の第２実施例について図４を参
照して述べる。第２実施例が第１実施例と異なる点は、
穴明け軸１１がある一方向に移動可能なように設けられ
た長穴１４と同一方向に直結された穴明け軸移動用シリ
ンダ２４によって構成されている。そして、穴明け軸移
動用シリンダ２４は、方向切換弁（図示しない）によっ
て遠隔操作できる構成となっている。

【００３２】従って第２実施例によれば、穴明け軸１１
を長穴１４と同一方向に移動させるときは、穴明け軸移
動用シリンダ２４の方向切り換え弁（図示しない）の切
り換えにより実施され、遠隔操作で自動に行なえるた
め、第１実施例と同様な作用効果に加えて、図１０に示
すように、１個のワーク１９に多軸穴明け箇所２９が２
箇所ある場合に一連の自動運転が可能である。

【００３３】次に、本発明の第３実施例について図５を
参照して述べる。第３実施例が第２実施例と異なる点
は、穴明け軸１１がある一方向に移動可能なように設け
られた長穴１４と同一方向に直結された送りねじ２７を
介して位置制御付きモータ２６によって構成されてい
る。そして、位置制御付きモータ２６は、制御装置（図
示しない）によって遠隔操作できる構成となっている。

【００３４】従って第３実施例によれば、穴明け軸１１
を長穴１４と同一方向に移動させるときは、制御装置
（図示しない）からの指令により、位置制御付きモータ
２６を駆動させ、位置制御付きモータ２６に直結された
送りねじ２７を回転させ穴明け軸１１を任意の位置に、
遠隔操作で自動に行なえる。このため、第２実施例と同
様な作用効果に加えて、長穴１４のと同一方向で長穴１
４の範囲内であれば、任意の位置に多数箇所位置決めで
きるから、図１１に示すように、１個のワーク１９に多
軸穴明け箇所２９が多数箇所あっても一連の自動運転が
可能である。

【００３５】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、多数の穴
明け軸を移動させ穴明け位置を変える際において、テン
ションシリンダに供給されている流体の圧力が、適正な
ベルトの張力になるように調整されているため、穴明け
軸の移動と共に自動でテンションプーリが移動をし、穴
明け位置の変更に係わるベルトに張力を与える作業が迅
速にしかも容易に且つ正確に実施でき、穴明け軸の回転
が安定し、ベルトのスリップや脱落といった事故も起ら
ない。

【００３６】また、穴明け軸の移動にシリンダを利用し
た場合、穴明け軸の移動作業が遠隔から自動でできるた
め、１個のワークに多軸穴明け箇所が２箇所あった場合
でも一連の自動運転で穴明け作業ができ、穴明け作業の
能率が向上する。

【００３７】更に、穴明け軸の移動に位置制御付きモー
タを利用した場合、１個のワークに多軸穴明け箇所が多
数箇所あった場合でも一連の自動運転で穴明け作業が実
施でき、穴明け作業の能率が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す多軸穴明け装置の正
面図、

【図２】図１の側面断面図、

【図３】各穴明け軸を移動させたときの各プーリの位置
関係を示す概念図、

【図４】本発明の第２実施例を示す図１相当図、

【図５】本発明の第３実施例を示す図１相当図、

【図６】従来の多軸穴明け装置を示す平面図、

【図７】図６の側面断面図、

【図８】従来の各穴明け軸を移動させたときの各プーリ
の位置関係を示す概念図、

【図９】多軸穴明け箇所が１箇所のワークの斜視図、

【図１０】多軸穴明け箇所が２箇所のワークの斜視図、

【図１１】多軸穴明け箇所３箇所のワークの斜視図。

【符号の説明】

１は多軸穴明け装置、 ２は回転駆動
源、５はフレーム、 ９は穴明け
軸駆動プーリ、１１は穴明け軸、
１２は穴明け軸従動プーリ、１３はベルト、
１５はテンションプーリ、１８はドリル、
２２はテンションシリンダ、２
４は穴明け軸移動用シリンダ、２６は位置制御付きモー
タ、３０は減圧弁である。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の穴を同時に明けるために、１個の
   駆動源によりベルトにより多数の穴明け軸を回転させる
   多軸穴明け方法において、ある圧力に設定した流体を供
   給させたテンション用シリンダの伸縮により、テンショ
   ンプーリを各穴明け軸位置の移動に伴って移動させ、あ
   る一方向における任意の位置に穴明けを可能にすること
   を特徴とする多軸穴明け方法。
2. 【請求項２】 各穴明け軸位置を変化させる方法におい
   て、その各穴明け軸に直結された油圧或いは空気圧シリ
   ンダによって、各穴明け軸位置をある一方向における２
   箇所に自動に変化させた請求項１記載の多軸穴明け方
   法。
3. 【請求項３】 各穴明け軸位置を変化させる方法におい
   て、その各穴明け軸に直結された位置制御付きモータに
   よって、各穴明け軸位置をある一方向における任意の多
   数箇所に自動に変化させた請求項１記載の多軸穴明け方
   法。
4. 【請求項４】 １個の駆動源とベルトにより多数の軸を
   回転させる多軸穴明け装置において、ベルトにテンショ
   ンを与えるテンション用シリンダと、そのテンション用
   シリンダの先端につけられたテンションプーリと、各穴
   明け軸位置を軸直角方向に自由に移動できる移動機構
   と、前記穴明け軸を固定する固定手段を備えたことを特
   徴とする多軸穴明け装置。
5. 【請求項５】 各穴明け軸位置を軸直角方向に自由に移
   動させる移動手段において、各穴明け軸に直結された油
   圧或いは空気圧シリンダによって、各穴明け軸位置をあ
   る一方向における２箇所に自動に移動させる移動手段を
   備えた請求項４記載の多軸穴明け装置。
6. 【請求項６】 各穴明け軸位置を軸直角方向に自由に移
   動させる移動手段において、各穴明け軸に直結された位
   置制御付きモータによって、各穴明け軸位置をある一方
   向における任意の多数箇所に自動に移動させる移動手段
   を備えた請求項４記載の多軸穴明け装置。