JPH08315439A - 光磁気記録媒体および該媒体を用いた情報記録再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体および該媒体を用いた情報記録再生方法

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JPH08315439A
JPH08315439A JP11610095A JP11610095A JPH08315439A JP H08315439 A JPH08315439 A JP H08315439A JP 11610095 A JP11610095 A JP 11610095A JP 11610095 A JP11610095 A JP 11610095A JP H08315439 A JPH08315439 A JP H08315439A
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Naoki Nishimura
直樹 西村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 再生層と記録層は、交換結合した状態では、
全体の磁化の向きが反平行であり、中間層のキュリー温
度は再生層および記録層のいずれのキュリー温度よりも
低く、室温では交換結合により再生層と記録層の同種の
元素の副格子磁気モーメントが同方向に配向し、少なく
とも中間層のキュリー温度では、静磁結合により再生層
と記録層の同種の元素の副格子磁気モーメントが互いに
逆向きに配向する光磁気記録媒体を用いて、記録再生を
行う。 【効果】 磁気超解像が全磁性層を薄膜化した光磁気記
録媒体で実現でき、高速記録が可能な低材料コストの高
密度光磁気記録媒体および良好な情報再生記録方法の提
供が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気光学効果を利用し
てレーザー光により情報の記録再生を行う光磁気記録媒
体に関し、媒体の高密度化を可能とする光磁気再生方法
および光磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】書き換え可能な高密度記録方式として、
半導体レーザーの熱エネルギーを用いて、磁性薄膜に磁
区を書き込んで情報を記録し、磁気光学効果を用いて、
この情報を読み出す光磁気記録媒体が注目されている。
また近年、この光磁気記録媒体の記録密度を高めて更に
大容量の記録媒体とする要求が高まっている。
【0003】この光磁気記録媒体等の光ディスクの線記
録密度は、再生光学系のレーザー波長、対物レンズの開
口数に大きく依存する。すなわち、再生光学系のレーザ
ー波長λと対物レンズの開口数NAが決まるとビームウ
エストの径が決まるため、再生検出可能なマーク周期
は、λ/2NA程度が限界となってしまう。
【0004】一方、トラック密度は、主としてクロスト
ークによって制限されている。このクロストークは、主
として媒体面上でのレーザービームの分布(プロファイ
ル)で決まり、前記マーク周期と同様にλ/2NAの関
数で表される。
【0005】したがって、従来の光ディスクで高密度化
を実現するためには、再生光学系のレーザー波長を短く
し、対物レンズの開ロ数NAを大きくする必要がある。
しかしながら、レーザーの波長を短くするのは、素子の
効率低下や発熱などの問題で容易ではなく、また対物レ
ンズの開ロ数を大きくすると、レンズとディスクの距離
が近づき過ぎて衝突などの機械的問題が発生する。その
ため、記録媒体の構成や読み取り方法を工夫し、記録密
度を改善する技術が開発されている。
【0006】たとえば特開平3−93056号公報にお
いては、再生層と中間層と記録層からなる媒体を用いて
記録密度の向上を試みている。これは図3に示すよう
に、再生層1、中間層2および記録層3を設けた構成の
媒体をある線速度で進行させながら(進行方向8)光ス
ポットを照射し(図3(b))、その際に生じる媒体の
温度分布(図3(c))のうち、高温領域の再生層の磁
化を外部磁界9の方向に一様とし、低温領域の再生層の
みで記録層の磁区情報が転写され再生できるようにして
(図3(a))、再生時の符号間干渉を減少させ、光の
回折限界以下の周期の信号を再生可能とし、記録密度の
向上を試みている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記の特
開平3−93056号公報記載の光磁気記録媒体では、
良好なS/N(C/N)を得るために、記録層の磁区情
報を十分マスクできる程度に再生層の膜厚を大きくする
必要がある。具体的には、特開平4−255938号公
報に記載されている通り、再生層の膜厚が15nm以下
では再生層の下の層の影響が25%以上出るため超解像
再生が不可能となり、必要な信号を得るためには20n
m、実用的には30nm以上の膜厚の再生層が必要とな
る。このように前記光磁気記録媒体では、記録層の磁区
情報をマスクする必要があるために、再生層ひいては全
磁性層の膜厚を低減することができない。
【0008】近年、光磁気記録媒体の線速度を上げて記
録速度を高める要求が高まっているが、磁性層の膜厚が
大きい媒体は全体の熱容量が高いため、記録に大きな光
パワーを要する。半導体レーザー等の光パワーの出力に
は限度があるので、前記光磁気記録媒体はこの要求に応
えることが困難である。また、反射層を設けてエンハン
ス構造としてC/Nを上昇させることができない。
【0009】さらに磁性材料は一般に材料コストの高い
希土類金属を用いることが多く、厚膜の磁性層を用いる
と媒体の材料費が高くなり、安価な光磁気記録媒体を提
供することが難しい。
【0010】従って、前記のような光磁気記録媒体およ
び方法においては、磁気超解像による高密度化を高速記
録と同時に実現し、安価な光磁気記録媒体で提供するこ
とが困難である。
【0011】また、前記の光磁気記録媒体および方法に
おいては、再生時に外部磁界を印加することが必要であ
り、磁気超解像による高密度化を安価な光磁気記録装置
で提供することが困難である。
【0012】そこで本発明は上記問題に鑑み、磁気超解
像を全磁性層を薄膜化した光磁気記録媒体で実現し、高
速記録が可能で低材料コストの高密度光磁気記録媒体お
よびその媒体を用いた良好な情報記録再生方法を提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも各
々垂直磁化膜からなる第1磁性層、第2磁性層および第
3磁性層が、光の入射面より第1磁性層、第3磁性層お
よび第2磁性層の順に基板上に積層され、前記第1磁性
層と前記第2磁性層は、交換結合した状態では、全体の
磁化の向きが反平行であり、前記第3磁性層のキュリー
温度は前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれの
キュリー温度よりも低く、室温では交換結合により前記
第1磁性層と前記第2磁性層の同種の元素の副格子磁気
モーメントが同方向に配向し、少なくとも第3磁性層の
キュリー温度では、静磁結合により前記第1磁性層と前
記第2磁性層の同種の元素の副格子磁気モーメントが互
いに逆向きに配向することを特徴とする光磁気記録媒体
を提供する。
【0014】さらに本発明は、第2磁性層に情報が記録
された上記の光磁気記録媒体に光スポットを照射し、該
光スポット内の領域で第3磁性層がそのキュリー温度以
上の温度である領域では第1磁性層と第2磁性層を静磁
結合させ、光スポット内の領域で第3磁性層がそのキュ
リー温度より低い温度である領域では第1磁性層と第2
磁性層を交換結合させて第2磁性層の磁化情報を磁気光
学効果により光学信号に変換して、該信号を記録信号と
して読み出す光磁気記録媒体の情報記録再生方法を提供
する。
【0015】本発明の光磁気記録媒体は、少なくとも第
1磁性層、第2磁性層および第3磁性層を有し、第1磁
性層と第2磁性層が室温では交換結合し、高温では第1
磁性層と第2磁性層とが静磁結合をして、副格子磁気モ
ーメントが互いに逆向きとなり、第1磁性層から光が入
射した場合、それらの層のカー回転角(θk)がキャン
セルし、見かけ上0となるようにしてある。このため、
本発明の光磁気記録媒体で再生を行う際には、光スポッ
ト内の低温領域においては第2磁性層に記録sれた磁化
情報が検出されるが、光スポット内の高温領域において
は、レーザー光が第1磁性層を透過した場合においても
第2磁性層の磁区情報が検出されることがない。
【0016】従って、前記の特開平3−93058号公
報記載の超解像方法における記録層の磁区情報のマスキ
ングの必要性はなくなり、第1磁性層(再生層)ひいて
は磁性層全体の膜厚を小さくすることが可能となる。よ
って、本発明の光磁気記録媒体および再生方法では、高
線速記録が実現でき記録速度が向上し、コストが低減
し、同時に反射膜構成の膜構造にすることもできるた
め、エンハンス効果によるC/N上昇も可能となる。
【0017】また、本出願人は、特開平6−31444
3において、少なくとも再生層と第1磁性層と第2磁性
層からなる光磁気記録媒体を提案しているが、その媒体
と比較しても、本発明の媒体では再生層と第1磁性層を
1つの層としたため、さらに層の数を減らすことができ
る。また、本発明の光磁気記録媒体および再生方法で
は、再生時に外部磁界を印加する必要がないため、磁気
超解像による高密度化を安価な光磁気記録装置で提供す
ることが可能である。
【0018】
【作用】以下、図面を用いて本発明の光磁気記録媒体お
よびその媒体を用いた記録および再生の方法について詳
しく説明する。
【0019】以下、第1磁性層を再生層、第2磁性層を
記録層、第3磁性層を中間層と称して取り扱う。
【0020】本発明の光磁気記録媒体は、図1(a)に
示すように、少なくとも再生層、中間層、記録層が、光
の入射面より再生層、中間層、記録層の順に基板上に積
層されてなるものである。
【0021】また、再生層と記録層は、交換結合した状
態では、全体の磁化の向きが反平行であり、中間層のキ
ュリー温度は再生層および記録層のキュリー温度より低
く、室温では交換結合によって、再生層および記録層の
同種の元素の副格子磁気モーメントが同方向に配向し、
少なくとも中間層のキュリー温度では、静磁結合により
再生層および記録層の同種の元素の副格子磁気モーメン
トが互いに逆向きに配向することを特徴とする。
【0022】そのためには、具体的には、再生層と記録
層をフェリ磁性として、優勢な副格子磁化の種類を逆に
すればよい(一般にこれをアンチパラレルな構成と称す
る)。より具体的には、例えば再生層および記録層に希
土類(RE)−鉄族(TM)元素合金を用いる場合、再
生層が希土類元素副格子磁化優勢(REリッチ)な磁性
層で、記録層が室温で鉄族元素副格子磁化優勢(TMリ
ッチ)である、もしくはこの逆の構成とする。このう
ち、再生層および記録層に希土類(RE)−鉄族(T
M)元素合金を用いる場合、再生層が希土類元素副格子
磁化優勢(REリッチ)な磁性層で、記録層が室温で鉄
族元素副格子磁化優勢(TMリッチ)である構成とした
場合の方が、低磁界に記録層に磁化情報を記録できるの
で、より望ましい。なお、このアンチパラレルの構成は
少なくとも再生時の光スポット内の温度範囲で達成され
ることが必要である。
【0023】また特性をより向上させるために、さらに
反射層を設けると良い(図1(b))。さらに記録層と
反射層の間に誘電体からなる干渉層を設けても良い。こ
の干渉層を設けると、記録層から反射層に容易に熱が逃
げないため、低パワーで記録できるエンハンス構造とな
るため、C/Nが改善される等のメリットがある。
【0024】再生層としては、例えば希土類−鉄族非晶
質合金、例えばGdFeCo、TbFeCo、GdTb
FeCo、GdDyFeCo、NdGdFeCo、Gd
Coなどが望ましい。
【0025】中間層は、光スポットの低温領域において
は、再生層と記録層の間の交換結合力を媒介し、高温領
域においては交換力を切断するように働く。そのため、
膜厚は好ましくは1nm以上、さらに好ましくは4nm
以上とする。また、厚すぎると、記録層まで光が十分浸
透せず、本発明の効果が発揮されないことから、好まし
くは20nm以下、さらに好ましくは15nm以下とす
る。
【0026】記録層は、2値情報を記録する層で、垂直
磁気異方性が大きく安定に磁化状態が保持できるもの、
中でも、TbFeCo、DyFeCo、TbDyFeC
oなどの希土類−鉄族非晶質合金が最も望ましい。ある
いは、ガーネット;Pt/Co、Pd/Coなどの白金
族−鉄族周期構造膜;PtCo、PdCoなどの白金族
−鉄族合金などを用いても良い。
【0027】偏光面の回転が再生層および記録層でキャ
ンセルされるためには、入射側に近い再生層は、偏光面
の回転に及ばす影響が大きいため、再生層および記録層
が同程度の複素屈折率を持つ場合には、記録層に比ベて
薄くすれば良い。
【0028】尚、再生層と中間層と記録層には、Cr、
Al、Ti、Pt、Nbなどの耐食性改善のための元素
添加を行なっても良い。
【0029】また再生層、中間層および記録層は、上記
光スポットの高温領域においては、光が透過してθkが
キャンセルできる程度に薄くする必要があり、少なくと
も40nm以下、好ましくは30nm以下、さらに好ま
しくは20nmとする。ただし、記録層を完全に光が透
過しなくとも、記録層内にある程度浸透した光が反射し
て、その結果θkがキャンセルされればよい。
【0030】以下に本発明の記録再生プロセスを説明す
る。
【0031】まず本発明の光磁気記録媒体の記録層にデ
ータ信号に応じて記録磁区を形成する。記録は一度消去
した後に、記録方向に磁界を印加しながらレーザーパワ
ーを変調して行う。もしくは、外部磁界を印加しながら
レーザーパワーを変調して旧データのうえに新データを
オーバーライト記録する。これらの光変調記録の場合、
光スポット内の所定領域のみが記録層のキュリー温度近
傍になるように記録媒体の線速度を考慮してレーザー光
の強度を決定すれば、光スポットの径以下の記録磁区が
形成でき、その結果、光の回折限界以下の周期の信号を
記録できる。または、記録層がキュリー温度以上になる
ようなパワーのレーザー光を照射しながら外部磁界を変
調してオーバーライト記録をする。この場合は変調速度
を線速度に応じて高速にすれば光スポットの径以下の記
録磁区が形成でき、その結果、光の回折限界以下の周期
の信号を記録できる。
【0032】次に、記録したデータの再生方法を述ベ
る。図2は、その再生方法を示す図であり、(a)は光
スポット内のアパーチャーとマスクを示す図、(b)は
本発明の光磁気記録媒体の1例の膜構成および再生時の
磁化状態を示す図、(c)は再生時の媒体の温度分布を
示した図である。
【0033】以下では、再生層にかかる交換結合による
実効的な磁界をHwR、記録層から再生層にかかる静磁
結合による実効的な磁界をHst、再生層の保磁力をH
cR、周囲温度をTa、マスク温度(マスクが形成され
はじめる温度)をTm、最高温度をTmax、媒体温度
をTとする。
【0034】図2(b)および(c)で示したように室
温を含むマスク温度以下の低温部分(T<Tm)では、
再生層には交換結合力によって記録層の磁化情報が転写
される。それが起こるためには下記式(I)〜(II
I)が満足されれば良い。
【0035】
【数1】 Ta≦T<Tm ・・・(I) HwR>Hst ・・・(II) HcR<HwR−Hst ・・・(III) ここで、HwRは下記式IVで表わされる。
【0036】
【数2】HwR=σw/2MsRhR ・・・(IV) 式中、hRは再生層の膜厚、MsRは再生層の飽和磁
化、σwは再生層と記録層との界面磁壁工ネルギーであ
る。
【0037】しかし高温部分(T>Tm)では、中間層
のキュリー温度もしくはキュリー温度に近い温度に達す
るため(中間層がキュリー温度に達した状態を、図2
(b)では黒点で表している)、再生層と記録層の交換
結合は切断される。そうすると、再生層は記録層からは
主に静磁結合のみを受けるようになる。このため、静磁
結合力により再生層に記録層の磁化情報が転写される。
そのための条件式は下記式(V)〜(VII)で表され
る。
【0038】
【数3】T>Tm ・・・(V) HwR<Hst ・・・(VI) HcR<Hst−HwR ・・・(VII) すなわち、交換結合力は中間層を媒介して伝わり静磁結
合力よりも強く作用するので、中間層がキュリー温度に
達するまでは再生層には交換結合力が作用するが、中間
層がキュリー温度に達すると再生層の磁化は記録層から
の静磁結合力のみを受けるようになる。
【0039】本媒体では、アンチパラレルの構成ため、
交換結合した場合と、静磁結合した場合とでは再生層と
記録層の磁化の向きが異なる。言い換えれば、再生層は
交換結合に支配的なTM副格子磁化の向きと全体の磁化
の向きが逆向きである磁性層であり、記録層は補償温度
が交換結合に支配的なTM副格子磁化の向きと全体の磁
化の向きが同じ向きである磁性層である。もしくはこの
逆の構成である。
【0040】このため、本発明の媒体においては、再生
層と記録層は、交換結合状態ではこれらの層のTM副格
子磁化の向きが平行になり、静磁結合状態では全体の磁
化が平行になるため、TM副格子磁化の向きは互いに逆
向きとなる。従って、中間層がキュリー温度に達して交
換力が切断され、式(V)〜(VII)の条件が満たさ
れると、再生層の磁化は静磁結合力によって磁化反転
し、再生層と記録層のTM副格子磁化の向きは互いに逆
向きとなる。
【0041】この様子を図2(b)に示した。図2
(b)では再生層に希土類元素優勢である、記録層に鉄
族元素優勢であるフェリ磁性の希土類−鉄族合金を用い
た場合で、白抜きの矢印が全体の磁化を、黒印の矢印が
鉄族元素の磁気モーメントを示す。なお、図2では、基
本構成に干渉層、反射層を設けた場合を例として示して
いる。
【0042】ここで再生層と記録層はTM副格子磁気モ
ーメントが互いに逆向きに配向しているため、基板を透
過した光は、まず再生層で偏光面が回転し、次に記録層
で逆向きに回転して光磁気記録装置に戻る。このため再
生層で偏光した偏光面の回転角が、記録層で偏光した偏
光面の回転角と等しくなるようにすれば、カー回転角は
これらの層の影響を受けないこととなる。すなわち、入
射光が再生層を透過しても、磁性層の磁化情報が検出さ
れることはない。
【0043】このため、マスク温度Tm以上では、どの
ような記録状態でも信号が検出されない。
【0044】よって、光スポット内には図2(a)に示
した通り、記録マークが検出されるアパーチャー部分と
記録マークが検出されないマスク部分が生じることとな
る。すなわち、実効的に光スポット径が小さくなったこ
ととなり、従来検出できなかった光スポットより十分小
さい記録マークが検出できるようになる。
【0045】本発明の光磁気記録媒体は、再生層および
これと同じ副格子磁気モーメントを持つ層で記録層の磁
化情報をマスクする必要がなくなるので、これらの層を
再生信号が劣化しない程度まで薄くすることができる。
従って、磁性層の膜厚を従来よりも大幅に小さくするこ
とが可能となる。
【0046】また、入射光が記録層を透過する場合に
は、この光を反射させ戻光量の低下を防ぎ、また入射光
を磁性層と反射層の間でエンハンスさせるために、記録
層の入射面とは反対側に反射層を設けても良い。また反
射層に加えて干渉効果を高めるために、SiN、AlN
x、AlOx、TaOx、SiOx等の誘電体などを干渉層
として設けても良い。この干渉層は、記録層でのθkが
キャンセルでき、また所望の反射率が得られるような膜
厚とする必要がある。もしくは磁界変調オーバーライト
を行う際の磁区形状を改善するなどの目的で熱伝導性を
高めるために熱伝導層を設けても良い。これらの反射層
および熱伝導層はAl、AlTa、AlTi、AlC
r、Cuなどを用いればよい。また反射層は光を十分反
射できる程度に、また反射層と熱伝導層は光パワーが大
き過ぎない程度に薄くする必要がある。熱伝導と反射を
一つの層で行わせることも可能である。さらに、保護膜
として前記誘電体層や高分子樹脂からなる保護コートを
付与しても良い。
【0047】なお、上述の静磁結合Hstは、大まかに
は、記録層の飽和磁化に比例し、中間層の膜厚に反比例
する。このため、確実に低温領域において再生層の磁化
を磁化反転させるためには、光スポット内の低温領域に
おいて、記録層の飽和磁化を大きくし、また中間層が高
温領域において交換力切断を十分行うことができる程度
までその膜厚を低減するとよい。具体的には、記録層の
飽和磁化は中間層のキュリー温度において少なくとも5
0emu/cc、好ましくは100emu/cc以上と
する。また、記録磁区(記録マーク)半径が、記録層膜
厚に対して大きい場合には静磁界は弱くなり、記録磁区
周辺でしか作用しなくなるので、記録マーク半径は、膜
厚に対して小さくすることが有効である。
【0048】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。
【0049】(実施例1)まず、直流マグネトロンスパ
ッタリング装置に、SiN、Tb、Gd、Fe、Co、
Alの各ターゲットを取り付け、φ130mmのプリグ
ルーブのあるポリカーボネイト基板にSiN誘電体層を
80nm、GdFeCo再生層を10nm、TbFeC
o中間層を5nm、TbFeCo記録層を15nm、S
iN干渉層を30nm、Al反射層を60nm、各々順
々に成膜して図1(c)の構成の本発明の光磁気記録媒
体を得た。
【0050】GdFeCo再生層の組成は、室温でRE
リッチで補償温度はキュリー温度以上、キュリー温度は
300℃以上となるように設定した。
【0051】TbFeCo中間層の組成は、室温でTM
リッチでキュリー温度は130℃とした。
【0052】TbFeCo記録層の組成は、室温でTM
リッチでキュリー温度は220℃とした。
【0053】次に、この光磁気記録媒体を回転速度26
00rpmで回転させて半径37mmの位置に、記録マ
ーク長が0.40μmとなるように12.5MHzのR
F信号を、また記録マーク長が0.78μmとなるよう
に6.4MHzのRF信号を書き込んだ。この時の媒体
の線速度は10m/sである。その後各々のマーク長で
のC/Nを測定した。光学ヘッドの対物レンズのNAは
0.55、レーザー波長は780nmとした。
【0054】次に線速を5m/s(回転速度1300r
pm,半径37mm),15m/s(回転速度3600
rpm,半径40mm)、20m/s(回転速度360
0rpm,半径54mm)、25m/s(回転速度39
80rpm、半径60mm)と段階的に変えて、マーク
長が0.78μmとなるようにそれぞれ3.2MHz、
9.6MHz、13.05MHz、16.03MHzの
信号を記録し、C/Nが48dBとなる最小記録パワー
Pwを求めた。再生パワーは、各記録パワーにおいてC
/N比が最大となる値(2.0〜2.5mW)に設定し
た。
【0055】次に、この光磁気記録媒体を用いて記録再
生特性を測定した。結果を表1に示した。
【0056】(実施例2)実施例1と同様の成膜機、成
膜方法で、同様にポリカーボネイト基板上にSiN誘電
体層を80nm、GdFeCo再生層を10nm、Gd
FeCo中間層を5nm、TbFeCo記録層を12n
m、SiN干渉層を30nm、Al反射層を60nm、
各々順々に成膜して、図1(c)の構成の本発明の光磁
気記録媒体を得た。
【0057】GdFeCo再生層の組成は、室温でRE
リッチ、補償温度250℃、キュリー温度300℃以上
となるように設定した。
【0058】GdFeCo中間層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度150℃とした。
【0059】TbFeCo記録層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度250℃となるように設定した。
【0060】次に、この光磁気記録媒体を用いて実施例
1と同様に記録再生特性を測定した。結果を表1に示し
た。
【0061】(実施例3)実施例1と同様の成膜機、成
膜方法で、同様にポリカーボネイト基板上にSiN誘電
体層を800nm、GdDyFeCo再生層を12n
m、TbFeCo中間層を5nm、DyFeCo記録層
を11nm、SiN干渉層を30nm、Al反射層を6
0nm、各々順々に成膜して、図1(c)の構成の本発
明の光磁気記録媒体を得た。
【0062】GdDyFeCo再生層の組成は、室温で
REリッチ、補償温度260℃、キュリー温度300℃
以上となるように設定した。
【0063】GdFeCo中間層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度120℃とした。
【0064】DyFeCo記録層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度230℃となるように設定した。
【0065】次に、この光磁気記録媒体を用いて実施例
1と同様に記録再生特性を測定した。結果を表1に示し
た。
【0066】(比較例1)実施例1と同様の成膜機、成
膜方法で、同様にポリカーボネイト基板上にSiN誘電
体層を80nm、TbFeCo記録層を80nm、Si
N保護層を70nmを各々順々に成膜して、従来例の超
解像でない光磁気記録媒体を得た。各SiN層の屈折率
は2.1とした。
【0067】TbFeCo記録層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度250℃となるように設定した。
【0068】次に、この光磁気記録媒体を用いて実施例
1と同様に記録再生特性を測定した。結果を表1に示し
た。
【0069】この従来の媒体では、超解像効果が得られ
なかった。
【0070】(比較例2)実施例1と同様の成膜機、成
膜方法で、同様にポリカーボネイト基板上にSiN誘電
体層を80nm、GdFeCo再生層を30nm、Tb
FeCo中間層を10nm、TbFeCo記録層を40
nm、SiN保護層を70nmを各々順々に成膜して、
従来例の超解像光磁気記録媒体を得た。各SiN層の屈
折率は2.1とした。
【0071】GdFeCo再生層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度300℃以上となるように設定し
た。
【0072】TbFeCo中間層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度140℃となるように設定した。
【0073】TbFeCo記録層の組成は、室温でTM
リッチ、キュリー温度250℃となるように設定した。
【0074】次に、この光磁気記録媒体を用いて実施例
1と同様に記録再生特性を測定した。また、この比較例
2の場合のみ再生時に再生磁界を500 Oe印加し
た。結果を表1に示した。
【0075】比較例1および2の結果と実施例1〜3の
結果とを比較すると、本発明の光磁気記録媒体では磁性
層が薄くても0.4μmのマーク長でC/Nが45dB
以上と超解像の記録再生が可能であって、かつ高線速に
なっても記録に必要なレーザーパワーが比較例ほど大き
くならないことがわかる。また現行の光磁気記録装置に
用いられている半導体レーザーの媒体板面上での最大出
力は約10mWであるため、比較例の従来の光磁気記録
媒体では可能な線速度が最大17m/sであるが、本発
明の実施例では25m/s程度まで線速度を向上させる
ことができ、半導体レーザーの出力がさらに向上した場
合、本発明と従来例との記録感度の差はますます広がる
傾向のあることが分かる。よって本発明の光磁気記録媒
体は従来例と比較して高速記録が達成できることが分か
る。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】本発明の光磁気記録媒体および記録再生
方法を用いれば、磁気超解像が全磁性層を薄膜化した光
磁気記録媒体で実現でき、高速記録が可能な低材料コス
トの高密度光磁気記録媒体および良好な情報再生記録方
法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の媒体の膜構成を示す模式図であり、
(a)は本発明の媒体の基本構成の図、(b)および
(c)は本発明の媒体の1例の構成を示す図である。
【図2】本発明の光磁気再生方法を示す説明図であり、
(a)は光スポット内のアパーチャーとマスクを示す
図、(b)は本発明の光磁気記録媒体の1例の膜構成お
よび再生時の磁化状態を示す図、(c)は再生時の媒体
の温度分布を示した図である。
【図3】従来の超解像の光磁気再生方法を示す説明図で
あり、(a)は光スポット内のアパーチャーとマスクを
示した図、(b)は従来の光磁気記録媒体の膜構成及び
再生時の磁化状態を示す図、(c)は再生時の媒体の温
度分布を示した図である。
【符号の説明】
1 再生層 2 中間層 3 記録層 7 光ビーム 8 媒体の移動方向 9 再生磁界の印加方向

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも各々垂直磁化膜からなる第1
    磁性層、第2磁性層および第3磁性層が、光の入射面よ
    り第1磁性層、第3磁性層および第2磁性層の順に基板
    上に積層され、 前記第1磁性層と前記第2磁性層は、交換結合した状態
    では、全体の磁化の向きが反平行であり、 前記第3磁性層のキュリー温度は前記第1磁性層および
    前記第2磁性層のいずれのキュリー温度よりも低く、 室温では交換結合により前記第1磁性層と前記第2磁性
    層の同種の元素の副格子磁気モーメントが同方向に配向
    し、 少なくとも第3磁性層のキュリー温度では、静磁結合に
    より前記第1磁性層と前記第2磁性層の同種の元素の副
    格子磁気モーメントが互いに逆向きに配向することを特
    徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 第1磁性層と第2磁性層がフェリ磁性の
    希土類−鉄族遷移金属合金からなり、それぞれ、室温で
    希土類元素優勢の磁性層ならびに室温で鉄族遷移金属優
    勢の磁性層である請求高記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 第2磁性層の光入射側と反対の面側に、
    金属からなる反射層が設けられている請求項1または2
    記載の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 第2磁性層と反射層との間に、誘電体か
    らなる干渉層が設けられている請求項3記載の光磁気記
    録媒体。
  5. 【請求項5】 第2磁性層に情報が記録された請求項1
    ないし4のいずれかに記載の光磁気記録媒体に光スポッ
    トを照射し、該光スポット内の領域で第3磁性層がその
    キュリー温度以上の温度である領域では第1磁性層と第
    2磁性層を静磁結合させ、光スポット内の領域で第3磁
    性層がそのキュリー温度より低い温度である領域では第
    1磁性層と第2磁性層を交換結合させて第2磁性層の磁
    化情報を磁気光学効果により光学信号に変換して、該信
    号を記録信号として読み出す光磁気記録媒体の情報記録
    再生方法。
JP11610095A 1995-05-12 1995-05-15 光磁気記録媒体および該媒体を用いた情報記録再生方法 Pending JPH08315439A (ja)

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US08/644,157 US5717662A (en) 1995-05-12 1996-05-10 Super-resolution magneto-optical recording medium using magnetostatic coupling and information reproduction method using the medium

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