JPH08311600A - 耐水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼板及びその製造方法

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JPH08311600A
JPH08311600A JP12104695A JP12104695A JPH08311600A JP H08311600 A JPH08311600 A JP H08311600A JP 12104695 A JP12104695 A JP 12104695A JP 12104695 A JP12104695 A JP 12104695A JP H08311600 A JPH08311600 A JP H08311600A
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武典 中山
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治夫 泊里
Satohiro Nakajima
悟博 中島
Fukuteru Tanaka
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】耐水素脆化特性にすぐれる引張強度1180M
Pa以上の超高強度薄鋼板。 【構成】重量%にて、C:0.08〜0.30、Si:1.0
未満、Mn:1.5〜3.0、P:0.020以下、S:0.0
10以下、Ti:0.20以下、及びCa:0.001〜0.
010を含み、更に、Cr:0.10〜5.00、Ni:0.
10〜4.00、及びCu:0.05〜3.00の1種以上を
含み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサ
イト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいず
れか1種以上を体積率にて40%以上含み、強度が11
80MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強
度鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐水素脆化特性にすぐ
れる引張強度1180MPa以上の超高強度鋼板及びそ
の製造方法に関する。本発明によるこのような超高強度
鋼板、特に、薄鋼板は、例えば、パイプ用途として、自
動車のドアの補強部材等、軽量で且つ強度が要求される
用途や、また、Zn、Cd、Sn、Al、Cr、Ni、
Pb等のめっき処理や、クロメート処理、リン酸塩処理
等の化成処理、更には、有機塗装による防食表面処理を
施して、厳しい腐食環境において、種々の用途に好適に
用いることができる。
【0002】
【従来の技術】地球の環境保全の観点から、最近、自動
車の燃費の改善要求が強い。そこで、車体の軽量化を図
るべく、バンパー、ドアのインパクト・ビーム等、自動
車の種々の補強部材用途に引張強度1180MPa以上
の超高強度薄鋼板のニーズが強くなっている。しかし、
1180MPa以上の強度を有する超高強度鋼を用いた
ボルトにおいては、水素脆化による割れ、所謂遅れ破壊
が発生することが、例えば、特開昭60−155644
号公報等に記載されているように、既に知られている。
従って、超高強度薄鋼板を用いた種々の部材において
も、大気環境下の腐食反応によって発生する水素が鋼板
中に入って、使用中に突然破壊するおそれがある。
【0003】超高強度薄鋼板の水素脆化の防止について
は、特開平4−268053号公報に記載されているよ
うに、鋼中にSiを添加し、鋼板中への水素原子の侵入
を制御することによって、水素脆化の発生を防止する方
法が提案されている。しかし腐食環境によって、錆の状
況は変化するので、Si添加によって鋼板中への水素原
子の侵入を十分に制御して、水素脆化を防止すること
が、常に可能であるとは限らない。また、特開平4−2
80940号公報には、点溶接部の耐水割れ性の改善に
ついて記載されているが、3%以上のNiの添加を必要
とし、コストの上昇を招くので、実用的ではない。ま
た、母材部の耐水割れ特性については、何も言及されて
いない。
【0004】更に、特開平5−295481号公報に
は、鋼にCaを添加し、圧延方向に伸展したMnSを球
状のCaSに変えることによって、オーステナイト結晶
粒界の結合力を強め、耐水素脆化特性を向上させること
が提案されているが、Siを1.0〜2.0%添加しなけれ
ば、上記Caによる効果を得ることができない。しか
し、このように、Siを多量に添加するときは、鋼板の
耐水素脆化特性が低下する問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、引張強度が
1180MPa以上の超高強度薄鋼板における上記のよ
うな水素脆化の問題を解決するためのものであって、耐
水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼板、特に、薄鋼板
と、その製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による耐水素脆化
特性にすぐれる超高強度鋼板は、 (1) 重量%にて(a) C 0.08〜0.30%、Si 1.
0%未満、Mn 1.5〜3.0%、P 0.020%以
下、S 0.010%以下、Ti 0.20%以下、及び
Ca 0.001〜0.010%を含み、更に、(b) Cr
0.10〜5.00%、Ni 0.10〜4.00%、及びCu
0.05〜3.00%よりなる群から選ばれる少なくとも
1種の元素を含み、残部鉄及び不可避的不純物よりな
り、マルテンサイト、焼戻しマルテンサイト又はベイナ
イト組織のいずれか1種以上を体積率にて40%以上含
み、強度が1180MPa以上であることを特徴とす
る。
【0007】更に、本発明によれば、次のような耐水素
脆化特性にすぐれる超高強度鋼板が提供される。 (2) 重量%にて(a) C 0.08〜0.30%、Si 1.
0%未満、Mn 1.5〜3.0%、P 0.020%以
下、S 0.010%以下、Ti 0.20%以下、及び
Ca 0.001〜0.010%を含み、更に、(b) Al
0.05〜2.00%、W 0.05〜1.00%、及びCo
0.10〜5.00%よりなる群から選ばれる少なくとも
1種の元素を含み、残部鉄及び不可避的不純物よりな
り、マルテンサイト、焼戻しマルテンサイト又はベイナ
イト組織のいずれか1種以上を体積率にて40%以上含
み、強度が1180MPa以上である耐水素脆化特性に
すぐれる超高強度鋼板。
【0008】(3) 重量%にて(a) C 0.08〜0.30
%、Si 1.0%未満、Mn 1.5〜3.0%、P 0.
020%以下、S 0.010%以下、Ti 0.20%
以下、及びCa 0.001〜0.010%を含み、更に、
(b) La 0.001〜0.100%、及びCe 0.001
〜0.100%よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
元素を含み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マル
テンサイト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織
のいずれか1種以上を体積率にて40%以上含み、強度
が1180MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれる
超高強度鋼板。
【0009】(4) 重量%にて(a) C 0.08〜0.30
%、Si 1.0%未満、Mn 1.5〜3.0%、P 0.
020%以下、S 0.010%以下、Ti 0.20%
以下、及びCa 0.001〜0.010%を含み、更に、
(b) Cr 0.10〜5.00%、Ni 0.10〜4.00
%、及びCu 0.05〜3.00%よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種の元素と、(b) Al 0.05〜2.00
%、W 0.05〜1.00%、及びCo 0.10〜5.0
0%よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを
含み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサ
イト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいず
れか1種以上を体積率にて40%以上含み、強度が11
80MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強
度鋼板。
【0010】(5) 重量%にて(a) C 0.08〜0.30
%、Si 1.0%未満、Mn 1.5〜3.0%、P 0.
020%以下、S 0.010%以下、Ti 0.20%
以下、及びCa 0.001〜0.010%を含み、更に、
(b) Cr 0.10〜5.00%、Ni 0.10〜4.00
%、及びCu 0.05〜3.00%よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種の元素と、(c) La 0.001〜0.1
00%、及びCe 0.001〜0.100%よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の元素とを含み、残部鉄及び
不可避的不純物よりなり、マルテンサイト、焼戻しマル
テンサイト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体
積率にて40%以上含み、強度が1180MPa以上で
ある耐水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼板。
【0011】(6) 重量%にて(a) C 0.08〜0.30
%、Si 1.0%未満、Mn 1.5〜3.0%、P 0.
020%以下、S 0.010%以下、Ti 0.20%
以下、及びCa 0.001〜0.010%を含み、更に、
(b) Al 0.05〜2.00%、W 0.05〜1.00
%、及びCo 0.10〜5.00%よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種の元素と、(c) La 0.001〜0.1
00%、及びCe 0.001〜0.100%よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の元素とを含み、残部鉄及び
不可避的不純物よりなり、マルテンサイト、焼戻しマル
テンサイト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体
積率にて40%以上含み、強度が1180MPa以上で
ある耐水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼板。
【0012】(7) 重量%にて(a) C 0.08〜0.30
%、Si 1.0%未満、Mn 1.5〜3.0%、P 0.
020%以下、S 0.010%以下、Ti 0.20%
以下、及びCa 0.001〜0.010%を含み、更に、
(b) Cr 0.10〜5.00%、Ni 0.10〜4.00
%、及びCu 0.05〜3.00%よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種の元素と、(c) Al 0.05〜2.00
%、W 0.05〜1.00%、及びCo 0.10〜5.0
0%よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、
(d) La 0.001〜0.100%、及びCe 0.001
〜0.100%よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
元素とを含み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マ
ルテンサイト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組
織のいずれか1種以上を体積率にて40%以上含み、強
度が1180MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれ
る超高強度鋼板。
【0013】また、上述したようなそれぞれの超高強度
鋼板は、本発明に従って、それぞれ上記元素を含み、残
部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを1100℃
以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取る熱間
圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷間圧延
を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、800
℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱した後、
30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃の範囲
の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃/秒以
上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この後、再
加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の範囲の
温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なうことに
よって得ることができる。
【0014】先ず、本発明において、鋼板の有する化学
成分の範囲及びその理由は、次のとおりである。Cは、
鋼板中にマルテンサイト組織等、前記所要の組織を生成
し、鋼板を高強度化するために必須の元素であり、特
に、本発明に従って、1180MPa以上の引張強度を
得るためには、少なくとも0.08%の添加が必要であ
る。しかし、添加量が0.30%を越えるときは、加工性
を低下させたり、或いは耐食性の劣化等が原因となっ
て、耐水素脆化特性の劣化が促進されることもある。特
に、本発明においては、鋼板の強度及び耐食性の観点か
ら、C量は、0.12〜0.20%の範囲がより好ましい。
【0015】Siは、延性を劣化させることなく、鋼を
固溶強化するために有効な元素である。しかし、添加量
が1.0%以上であるときは、その効果が飽和するのみな
らず、塗装性が低下する。そこで、本発明においては、
Si量は1.0%未満とする。Mnは、鋼の焼入性を高め
る元素であって、連続焼鈍設備においてマルテンサイト
を安定に生じさせるためには、1.5%以上の添加が必要
である。しかし、3.0%を越えるときは、その効果が飽
和するのみならず、偏析が大きくなり、組織が不均一と
なり、加工性が低下するので、添加量は3.0%を上限と
する。
【0016】Pは、鋼を強化し、延性を高めるために有
効な元素であるが、反面、粒界に偏析しやすく、粒界強
度を低下させるので、0.020%以下とする。Sは、M
n等と介在物を形成して、腐食発生の起点となると共
に、曲げ加工性等を劣化させるので、0.010%以下に
規制する。特に好ましくは、0.005%以下である。
【0017】Tiは、結晶粒の細粒化、粒成長抑制及び
生成錆の緻密化による耐食性の向上に効果を有し、よっ
て、耐水素脆化特性の改善に有用であるが、過多に添加
するときは、鋼の強化に必要なCと析出物を形成して、
所定の強度を得ることができなくなるので、添加量の上
限を0.20%とする。
【0018】Caは、一般に、MnS等の介在物を球状
化し、分散させて、鋼の靱性を向上させる効果を有す
る。更に、Caは、マトリックス中に固溶させると、粒
界破壊を防止して、水素脆化を抑制する効果を有する。
また、後述するLaやCeと同様に、Caは、耐食性を
向上させる効果も有する。これらの効果を有効に発揮さ
せるためには、少なくとも0.001%添加することが必
要であり、特に、0.003%以上添加することが好まし
い。しかし、Caは、過多に添加するときは、Ca系の
粗大な介在物を生成して、加工性を低下させるため、添
加量の上限を0.010%とする。
【0019】Crは、鋼の焼入れ性を向上させると共
に、生成錆を緻密化することによって、鋼の耐食性を向
上させる。このような効果を有効に得るためには、少な
くとも0.10%の添加が必要である。しかし、過多に添
加するときは、焼入れ焼戻し後の靱性の低下の原因とな
り、更には、腐食形態の局在化(孔食性)を促進し、水
素脆化の起点を形成しやすくなるので、添加量の上限は
5.00%とする。特に、耐食性及び靱性の観点から、本
発明においては、添加量は、1.0〜3.5%の範囲が好ま
しい。
【0020】Niは、0.10%以上を添加することによ
って、生成錆の緻密化により、鋼の耐食性を向上させる
効果を有する。しかし、過多に添加するときは、残留オ
ーステナイトの増加による引張強度の低下原因となるの
で、上限を4.00%とする。また、Niは、高価な金属
であり、経済性の点から考慮すれば、より好ましい添加
範囲は、2.00%以下である。
【0021】Cuは、電気化学的に鉄よりも貴であると
ころから、生成錆を緻密化して、耐食性、特に、耐候性
を向上させ、また、耐孔食性を向上させる効果を有す
る。これらの効果を有効に得るには、少なくとも0.05
%の添加を必要とする。しかし、3.00%を越えて過多
に添加しても、上記効果が飽和し、また、熱間圧延時の
脆化を引き起こすおそれがあるので、添加量の上限を3.
00%とする。実用上の観点から、特に、0.20〜1.0
0%の範囲が好ましい。
【0022】Al、W及びCoは、添加による鋼板の耐
水素脆化特性の改善において、上記Cr、Ni及びCu
よりもすぐれた効果を示す。Alは、鋼の耐食性を向上
させる効果がある。この効果を有効に得るには、0.05
%以上の添加が必要であるが、他方、過多に添加すると
きは、表面状の劣化を招き、鋼の加工性を劣化させるた
め、添加量の上限を2.00%とする。特に、本発明によ
れば、添加量は、0.15〜1.00%の添加が好ましい。
【0023】Wは、水溶液中で溶解して生じたタングス
テン酸イオンの吸着作用によって、耐孔食性を高める効
果にすぐれる。この効果を有効に得るには、少なくとも
0.05%の添加が必要である。しかし、1.00%を越え
て過多に添加しても、その効果が飽和するのみであるの
で、上限を1.00%とする。Coは、固溶強化元素であ
り、しかも、靱性を劣化させない特性を有し、更には、
耐食性を高める効果も有している。これらの効果を有効
に得るには、0.10%以上の添加が必要であり、特に、
1.0%以上の添加が好ましい。しかし、Coは、高価な
元素であるので、添加量の上限を5.00%とし、好まし
くは、3.00%とする。
【0024】La及びCeは、いずれも、鋼が腐食する
際に、水溶液中に溶解して、アルカリ性の水酸化物を生
成し、かくして、Caと同様に、腐食表面での鉄イオン
の溶出に伴う酸性化を中和、抑制する作用があり、これ
によって耐食性を向上させる。腐食反応による局所的な
酸性化は、単に、腐食を促進するのみならず、応力集中
のもととなる孔食の生成を促進するので、これら元素の
添加は、平均的な腐食速度を低減すると共に、耐孔食性
の向上の効果も有する。
【0025】このような耐食性向上の効果を有効に発揮
させるには、これら元素は、いずれも、0.001%以上
の添加が必要であるが、しかし、過多に添加するとき
は、酸化物系介在物を増加させて、加工性を低下させる
と共に、製鋼中、炉壁の溶損を招くおそれもあるので、
添加量は、いずれの元素についても、上限を0.100%
とする。特に、本発明によれば、La及びCeの添加量
は、いずれの元素についても、0.005〜0.020%の
範囲であることが好ましい。
【0026】高強度鋼の水素脆化は、現象的には、鋼中
に侵入した拡散性水素が引張応力勾配に従ってある箇所
に局所的に集中し、その箇所において、鋼が水素脆化割
れを起こすことであるとみられる。水素脆化割れは、面
圧説、鉄原子間の凝集力低下説等の種々の機構が提案さ
れているものの、未だ、明確には解明されてないが、水
素の吸収しやすさ、拡散しやすさ、及び鋼自身の水素脆
化感受性の3つの要因が相互に関連した現象であると理
解される。
【0027】従って、水素脆化の対策として、素材側か
らは、(1)水素の侵入経路を遮ること、(2)水素の
鋼中での拡散と引張応力部への集中を抑制すること、
(3)鋼自身の水素脆化性感受性を低くすることの3つ
の対策が有効であると考えられる。従来、水素脆化の対
策としては、(2)及び(3)によるものが多いが、本
発明は(2)及び(3)に加えて、(1)の対策にも着
目したものである。
【0028】即ち、通常の使用環境における鋼の水素吸
蔵は、鋼が腐食する際、カソード反応により生じた水素
がガス化せずに、鋼中に侵入することに起因するので、
本発明に従って、鋼の耐食性を向上させることによっ
て、水素の吸蔵を抑制して、(1)の対策を実行するこ
とができる。本発明は、このように、超高強度鋼の耐水
素脆化特性を向上させるための添加元素を鋭意検討した
結果、上述したような所定の元素を用いることによっ
て、引張強度1180MPa以上でありながら、耐水素
脆化特性にすぐれる超高強度鋼板を得ることに成功した
ものである。
【0029】次に、本発明による耐水素脆化特性にすぐ
れる超高強度鋼板の製造方法について説明する。本発明
の方法によれば、先ず、上述した化学成分を有する鋼ス
ラブを加熱温度1100℃以上、巻取温度600℃以下
の条件にて、常法に従って、熱間圧延を行なう。スラブ
加熱においては、本発明におけるような高強度鋼では、
熱間圧延時の圧延荷重が高くなりがちであるので、圧延
温度が低くなりすぎないようにすることが好ましく、そ
こで、鋼スラブの加熱温度を1100℃以上とする。こ
の場合、連続鋳造片をそのまま圧延する直接圧延や軽加
熱や、スラブを冷却した後に、再加熱を行なう方法等、
加熱方法は、特に、限定されるものではない。しかし、
加熱温度を1300℃を越える温度とすることは、徒に
熱エネルギー費用を要するのみであり、特に、利点もな
い。鋼スラブの熱間圧延は、常法によって行なえばよ
く、仕上圧延は800℃又はそれ以上の温度で行なえば
よい。
【0030】巻取は、表面のスケールの除去性を考慮
し、600℃以下の温度で行なう。しかし、余りに低い
ときは、冷間圧延性を低下させるので、巻取温度の下限
は300℃が好ましい。このようにして得られる熱延鋼
板を常法に従って、酸洗し、研削、ショット・ブラスト
等の手段によって、表面のスケールを除いた後、冷間圧
延し、この後、これを連続焼鈍する。
【0031】本発明によれば、連続焼鈍によって、加熱
時に、一部又は全体をオーステナイト変態させ、その後
の冷却によって、これらをマルテンサイト変態させる。
本発明によれば、このマルテンサイトの量と合金元素の
量とによって、所望の強度を得ることができる。従っ
て、本発明においては、連続焼鈍において、加熱温度は
800℃以上、1000℃以下とする。連続焼鈍後の冷
却処理によってマルテンサイト、焼戻しマルテンサイト
又はベイナイト等の組織を得るために、加熱時にオース
テナイトを析出させることが必要であり、そのために加
熱温度を800℃以上とする。しかし、1000℃を越
える温度としても、特に、利点なく、エネルギー費用が
嵩むのみである。
【0032】このような連続焼鈍の後、30℃/秒以下
の冷却速度にて、800〜650℃の範囲の温度まで徐
冷(一次冷却)し、次いで、この温度から急冷(二次冷
却)する。上記徐冷温度が30℃/秒よりも早いとき
は、フェライトが生成し難く、所定の強度を安定して得
ることができない。また、上記急冷時の冷却速度は、マ
ルテンサイト等の低温変態を起こさせるために、70℃
/秒以上が必要であり、このような冷却速度にて400
℃以下まで冷却して、マルテンサイト等の変態を起こさ
せる。急冷開始温度が650℃よりも低いときは、急冷
開始までにオーステナイトからフェライトの変態が進
み、体積率にて40%以上のマルテンサイト等の所要の
低温変態組織を得ることが困難である。他方、急冷開始
温度が800℃よりも高いときは、得られる鋼板の形状
性が低下するので好ましくない。急冷速度は、特に限定
されるものではないが、通常、工業的には水焼入れによ
る冷却速度(1000〜2000℃/秒)が上限であ
る。
【0033】本発明による鋼板は、マルテンサイト、焼
戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれか1種
以上の低温変態組織を体積率にて40%以上を有し、す
べての組織が低温変態生成物であってもよい。低温変態
組織が40%よりも少ないときは、所望の強度を得るた
めに必要な合金元素の量が増し、製造費用が高くなる。
【0034】次いで、焼入れた組織がマルテンサイトで
あるときは、その加工性を向上し、例えば、パイプ等に
支障なく容易に加工することができるように、上述した
ような連続焼鈍後に再加熱し、又は連続焼鈍からそのま
ま、150〜400℃の範囲の温度にて焼戻し処理を行
なう。焼戻し処理を400℃以上の温度で行なうこと
は、再加熱のために製造費用を高めるのみならず、特
に、有用な効果を得ることができない。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0036】実施例1 表1から3に示す鋼を1230℃に加熱して、仕上温度
800℃にて板厚3.0mmに熱間圧延し、480℃で巻き
取った。これを酸洗した後、板厚1.8mmまで冷間圧延し
た。その後、850℃で2分間保持し、750℃まで強
制空冷し、この温度から水焼入れを行ない、焼戻し処理
を行なった。焼戻し条件は、180〜400℃の温度で
加熱時間12分として、引張強さが1180MPa以上
の鋼板を得た。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】このようにして得られた鋼板について、次
のようにして、耐水素脆化特性を調べた。即ち、鋼板を
機械加工により20mm幅、長さ100mmに切り出し、こ
の試料を板長手方向中央部で曲率半径10mmのU字曲げ
加工し、板端部近傍でボルト締めを行なって、一定量の
曲げ応力を付与した試験片とした。ここに、ボルトと試
験片との間のガルバニック腐食を避けるため、ボルト
は、テフロン製のチューブで被覆し、絶縁した。また、
試験片としては、すべて裸材を用いた。
【0041】試験環境は、塩水噴霧試験(JIS Z
2371)を12時間行なった後、これを12時間放置
することを1サイクルとするサイクル試験と、0.1N塩
酸浸漬試験(30℃)との2種とし、上記U字曲げ試験
片の割れサイクル数及び割れ時間を測定することによっ
て、鋼の耐水素脆化特性を評価した。結果を図1に示す
ように、本発明による鋼では、いずれもの試験において
も、割れ発生が起こるまでの時間が著しく長なってお
り、本発明鋼が耐水素脆化特性にすぐれることが理解さ
れる。
【0042】実施例2 表4に示す化学成分を有する鋼を用いて表4及び表5に
示す条件にて高強度鋼板を製造した。得られた鋼板の強
度及び耐水素脆化特性を表5に示す。耐水素脆化特性の
評価は実施例1と同様にして行なった。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明による超高強度鋼
板は、1180MPa以上の引張強度を有しながら、同
時に、水素脆化に対してすぐれた耐性を有しており、か
かる鋼板は、例えば、自動車のバンパーやドアの補強部
材の軽量化のために好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明による高強度鋼板と比較例としての
鋼板について、それぞれの耐水素脆化特性を示すグラフ
である。図中、添数字は、表中の鋼種番号を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 悟博 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 田中 福輝 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサイト、
    焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれか1
    種以上を体積率にて40%以上含み、強度が1180M
    Pa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼
    板。
  2. 【請求項2】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサイト、
    焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれか1
    種以上を体積率にて40%以上含み、強度が1180M
    Pa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼
    板。
  3. 【請求項3】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサイト、
    焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれか1
    種以上を体積率にて40%以上含み、強度が1180M
    Pa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強度鋼
    板。
  4. 【請求項4】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (b) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサイ
    ト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれ
    か1種以上を体積率にて40%以上含み、強度が118
    0MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強度
    鋼板。
  5. 【請求項5】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (c) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサイ
    ト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれ
    か1種以上を体積率にて40%以上含み、強度が118
    0MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強度
    鋼板。
  6. 【請求項6】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (c) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサイ
    ト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれ
    か1種以上を体積率にて40%以上含み、強度が118
    0MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強度
    鋼板。
  7. 【請求項7】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (c) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (d) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、マルテンサイ
    ト、焼戻しマルテンサイト又はベイナイト組織のいずれ
    か1種以上を体積率にて40%以上含み、強度が118
    0MPa以上である耐水素脆化特性にすぐれる超高強度
    鋼板。
  8. 【請求項8】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを1100
    ℃以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取る熱
    間圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷間圧
    延を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、80
    0℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱した
    後、30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃の
    範囲の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃/
    秒以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この
    後、再加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の
    範囲の温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なう
    ことを特徴とするマルテンサイト、焼戻しマルテンサイ
    ト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体積率にて
    40%以上含み、強度1180MPa以上である耐水素
    脆化特性にすぐれる超高強度鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを1100
    ℃以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取る熱
    間圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷間圧
    延を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、80
    0℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱した
    後、30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃の
    範囲の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃/
    秒以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この
    後、再加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の
    範囲の温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なう
    ことを特徴とするマルテンサイト、焼戻しマルテンサイ
    ト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体積率にて
    40%以上含み、強度1180MPa以上である耐水素
    脆化特性にすぐれる超高強度鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを1100
    ℃以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取る熱
    間圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷間圧
    延を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、80
    0℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱した
    後、30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃の
    範囲の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃/
    秒以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この
    後、再加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の
    範囲の温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なう
    ことを特徴とするマルテンサイト、焼戻しマルテンサイ
    ト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体積率にて
    40%以上含み、強度1180MPa以上である耐水素
    脆化特性にすぐれる超高強度鋼板の製造方法。
  11. 【請求項11】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (b) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを11
    00℃以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取
    る熱間圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷
    間圧延を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、
    800℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱し
    た後、30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃
    の範囲の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃
    /秒以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この
    後、再加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の
    範囲の温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なう
    ことを特徴とするマルテンサイト、焼戻しマルテンサイ
    ト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体積率にて
    40%以上含み、強度1180MPa以上である耐水素
    脆化特性にすぐれる超高強度鋼板の製造方法。
  12. 【請求項12】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (c) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを11
    00℃以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取
    る熱間圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷
    間圧延を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、
    800℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱し
    た後、30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃
    の範囲の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃
    /秒以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この
    後、再加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の
    範囲の温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なう
    ことを特徴とするマルテンサイト、焼戻しマルテンサイ
    ト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体積率にて
    40%以上含み、強度1180MPa以上である耐水素
    脆化特性にすぐれる超高強度鋼板の製造方法。
  13. 【請求項13】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (c) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを11
    00℃以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取
    る熱間圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷
    間圧延を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、
    800℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱し
    た後、30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃
    の範囲の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃
    /秒以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この
    後、再加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の
    範囲の温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なう
    ことを特徴とするマルテンサイト、焼戻しマルテンサイ
    ト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体積率にて
    40%以上含み、強度1180MPa以上である耐水素
    脆化特性にすぐれる超高強度鋼板の製造方法。
  14. 【請求項14】重量%にて (a) C 0.08〜0.30%、 Si 1.0%未満、 Mn 1.5〜3.0%、 P 0.020%以下、 S 0.010%以下、 Ti 0.20%以下、及び Ca 0.001〜0.010% を含み、更に、 (b) Cr 0.10〜5.00%、 Ni 0.10〜4.00%、及び Cu 0.05〜3.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (c) Al 0.05〜2.00%、 W 0.05〜1.00%、及び Co 0.10〜5.00% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、 (d) La 0.001〜0.100%、及び Ce 0.001〜0.100% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含
    み、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼スラブを11
    00℃以上の温度に加熱し、600℃以下の温度で巻取
    る熱間圧延を行なった後、酸洗し、スケールを除き、冷
    間圧延を行ない、次いで、連続焼鈍を行なうに際して、
    800℃以上、1000℃以下の範囲の温度にて均熱し
    た後、30℃/秒以下の冷却速度にて800〜650℃
    の範囲の温度まで徐冷し、次いで、この温度から70℃
    /秒以上の冷却速度にて400℃以下まで冷却し、この
    後、再加熱するか、又はそのまま、150〜400℃の
    範囲の温度で1〜20分間加熱する焼戻し処理を行なう
    ことを特徴とするマルテンサイト、焼戻しマルテンサイ
    ト又はベイナイト組織のいずれか1種以上を体積率にて
    40%以上含み、強度1180MPa以上である耐水素
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