JPH08310805A - 導電性フラ−レン固体とその製造方法 - Google Patents
導電性フラ−レン固体とその製造方法Info
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- JPH08310805A JPH08310805A JP7137229A JP13722995A JPH08310805A JP H08310805 A JPH08310805 A JP H08310805A JP 7137229 A JP7137229 A JP 7137229A JP 13722995 A JP13722995 A JP 13722995A JP H08310805 A JPH08310805 A JP H08310805A
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- hollow
- conductive
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 導電率及び伝導型の制御が容易な導電性フラ
−レン固体を提供すること。 【構成】 中空フラ−レンとメタロフラ−レンを混合し
てフラ−レン固体を作製する。広い混合比率の範囲にお
いて導電性が得られる。中空フラ−レンとメタロフラ−
レンの比率によってn型、p型のいずれの導電型の半導
体をも得ることができる。比率を変えることによって導
電率も自在に変化させることができる。
−レン固体を提供すること。 【構成】 中空フラ−レンとメタロフラ−レンを混合し
てフラ−レン固体を作製する。広い混合比率の範囲にお
いて導電性が得られる。中空フラ−レンとメタロフラ−
レンの比率によってn型、p型のいずれの導電型の半導
体をも得ることができる。比率を変えることによって導
電率も自在に変化させることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電材料、電子デバイ
スなどに用いることのできる導電性フラ−レン固体及び
その製造方法に関する。
スなどに用いることのできる導電性フラ−レン固体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】π共役電子系をもつ籠状炭素クラスタ−
分子(Cx ,x=60、70、76、78、82、84
…)はフラ−レンと呼ばれている。フラ−レンは新しい
材料であって、磁性材料、電子材料などとしての様々な
応用が期待されている。フラ−レン固体はフラ−レン分
子を構成要素とした固体である。製造方法によって、単
結晶、多結晶、アモルファスになる場合がある。分子が
結合する力は比較的強いファンデルワールス力であると
考えられている。
分子(Cx ,x=60、70、76、78、82、84
…)はフラ−レンと呼ばれている。フラ−レンは新しい
材料であって、磁性材料、電子材料などとしての様々な
応用が期待されている。フラ−レン固体はフラ−レン分
子を構成要素とした固体である。製造方法によって、単
結晶、多結晶、アモルファスになる場合がある。分子が
結合する力は比較的強いファンデルワールス力であると
考えられている。
【0003】電子デバイスに利用しようとする場合単結
晶であることが望ましい。しかしフラ−レン固体の単結
晶を作製するのは容易でない。特に広い面積の単結晶膜
や大型の単結晶を作ることは困難である。しかし小さい
単結晶フラ−レンを作製することは比較的容易にでき
る。
晶であることが望ましい。しかしフラ−レン固体の単結
晶を作製するのは容易でない。特に広い面積の単結晶膜
や大型の単結晶を作ることは困難である。しかし小さい
単結晶フラ−レンを作製することは比較的容易にでき
る。
【0004】例えばフラ−レンを溶媒に溶かしたフラ−
レン溶液から溶媒を蒸発させてフラ−レン固体を得る方
法により、単結晶を製造することができる(溶媒蒸発
法)。或いはフラ−レンを真空中で昇華させることによ
り単結晶が得られている(昇華法)。製造方法によっ
て、単結晶の結晶構造も異なってくる。例えばC60固体
は結晶を作製する方法条件によりfcc構造あるいはh
cp構造となることが知られている。
レン溶液から溶媒を蒸発させてフラ−レン固体を得る方
法により、単結晶を製造することができる(溶媒蒸発
法)。或いはフラ−レンを真空中で昇華させることによ
り単結晶が得られている(昇華法)。製造方法によっ
て、単結晶の結晶構造も異なってくる。例えばC60固体
は結晶を作製する方法条件によりfcc構造あるいはh
cp構造となることが知られている。
【0005】フラ−レン固体は真性半導体である。C60
の場合、バンドギャップは1.5eVの程度であるとさ
れる。π電子による伝導性があるので絶縁体ではない。
しかしキャリヤである電子、正孔の数が少なく、また拮
抗しているから電気伝導度は低い。導電材料や半導体デ
バイス、電子デバイスとして応用する場合には導電性を
付与しなければならない。Si、GaAsなどの既存の
半導体と同じように、不純物のド−ピングにより導電性
を持たせることができるように思われる。
の場合、バンドギャップは1.5eVの程度であるとさ
れる。π電子による伝導性があるので絶縁体ではない。
しかしキャリヤである電子、正孔の数が少なく、また拮
抗しているから電気伝導度は低い。導電材料や半導体デ
バイス、電子デバイスとして応用する場合には導電性を
付与しなければならない。Si、GaAsなどの既存の
半導体と同じように、不純物のド−ピングにより導電性
を持たせることができるように思われる。
【0006】しかし単に導電性を与えるだけでなく、p
型半導体、n型半導体を自在に作れるようになることが
望ましい。p型、n型を選択でき、さらにキャリヤの濃
度を広範囲に制御できなければならない。そしてp型、
n型の状態が安定であって、経年変化のないものである
必要がある。
型半導体、n型半導体を自在に作れるようになることが
望ましい。p型、n型を選択でき、さらにキャリヤの濃
度を広範囲に制御できなければならない。そしてp型、
n型の状態が安定であって、経年変化のないものである
必要がある。
【0007】フラ−レン固体に導電性付与する方法につ
いて多くの試みがなされている。しかし未だに満足ので
きる方法はない。例えばフラ−レン固体に導電性を持た
せる方法としては、C60あるいはC70固体にアルカリ金
属やその二元合金をド−プする方法が知られている。
いて多くの試みがなされている。しかし未だに満足ので
きる方法はない。例えばフラ−レン固体に導電性を持た
せる方法としては、C60あるいはC70固体にアルカリ金
属やその二元合金をド−プする方法が知られている。
【0008】例えばHaddonらはC60固体(或はC
70)にアルカリ金属原子をド−ピングすることにより導
電性が増加することを報告している(R.C. Haddon et a
l.,"Conducting Films of C60 and C70 by alkali-meta
l doping" Nature, vol.350, p320 (1991))。真空チャ
ンバの内部上方にフラ−レン固体を懸架し、下方にアル
カリ金属の固体を置き、全体を加熱する。金属の種類に
よって加熱温度が違う。Li、Na、CsのC60へのド
ープは導電性を高める上であまり有効でない。K、Rb
のドープが導電性を高揚する上で特に効果があるとして
いる。Kのドープによって、最大500Scm-1の導電
性を得るという。
70)にアルカリ金属原子をド−ピングすることにより導
電性が増加することを報告している(R.C. Haddon et a
l.,"Conducting Films of C60 and C70 by alkali-meta
l doping" Nature, vol.350, p320 (1991))。真空チャ
ンバの内部上方にフラ−レン固体を懸架し、下方にアル
カリ金属の固体を置き、全体を加熱する。金属の種類に
よって加熱温度が違う。Li、Na、CsのC60へのド
ープは導電性を高める上であまり有効でない。K、Rb
のドープが導電性を高揚する上で特に効果があるとして
いる。Kのドープによって、最大500Scm-1の導電
性を得るという。
【0009】このドープの場合、アルカリ金属は固体C
60の結晶格子の隙間にインタ−カレ−トされている。イ
オン化ポテンシャルの小さいアルカリ金属から比較的電
子親和力の大きなC60に電子が移動する。この電子キャ
リヤによる電気伝導が生じているのである。アルカリ金
属をド−プした固体C60(Mx C60、Mはアルカリ金
属、xはドープ量)はド−プ量xにより結晶構造及び電
気伝導性が変化する。
60の結晶格子の隙間にインタ−カレ−トされている。イ
オン化ポテンシャルの小さいアルカリ金属から比較的電
子親和力の大きなC60に電子が移動する。この電子キャ
リヤによる電気伝導が生じているのである。アルカリ金
属をド−プした固体C60(Mx C60、Mはアルカリ金
属、xはドープ量)はド−プ量xにより結晶構造及び電
気伝導性が変化する。
【0010】M3 C60はfcc構造を持ち、金属にな
る。M4 C60はbct構造を持ち半導体になるという。
M6 C60はbcc構造を持ち絶縁体となる。つまりアル
カリ金属のドープ量が多いとかえって絶縁体になるので
ある。しかもアルカリ金属ドープ法により製造したフラ
ーレン半導体は、空気中で極めて不安定であり、経年変
化が大きくて時間の経過と共に導電性が変動する。
る。M4 C60はbct構造を持ち半導体になるという。
M6 C60はbcc構造を持ち絶縁体となる。つまりアル
カリ金属のドープ量が多いとかえって絶縁体になるので
ある。しかもアルカリ金属ドープ法により製造したフラ
ーレン半導体は、空気中で極めて不安定であり、経年変
化が大きくて時間の経過と共に導電性が変動する。
【0011】特開平4−366503は、p型半導体に
もn型半導体にもできる不純物ド−ピングの方法を提案
している。ドナ−不純物(n型)となるのは、アルカリ
土類金属元素の陽イオン、遷移金属元素の陽イオン、
[NH4 ]+ 、[PH4 ]+ 等である。これらドナーを
ド−ピングしてフラ−レンをn型にすることができると
いう。アクセプタを形成する不純物は、トリハライド、
AuI2 -、AuBr2 -、NO3 -、BF4 -、ClO4 -、R
eO4 -、PF6 -、AsF6 -、Cl・H2 O、Cu(NC
S)2 、Cu[N(CN)2 ]Br等である。これらア
クセプタ不純物をドープすることにより、フラ−レンは
p型半導体になると主張している。
もn型半導体にもできる不純物ド−ピングの方法を提案
している。ドナ−不純物(n型)となるのは、アルカリ
土類金属元素の陽イオン、遷移金属元素の陽イオン、
[NH4 ]+ 、[PH4 ]+ 等である。これらドナーを
ド−ピングしてフラ−レンをn型にすることができると
いう。アクセプタを形成する不純物は、トリハライド、
AuI2 -、AuBr2 -、NO3 -、BF4 -、ClO4 -、R
eO4 -、PF6 -、AsF6 -、Cl・H2 O、Cu(NC
S)2 、Cu[N(CN)2 ]Br等である。これらア
クセプタ不純物をドープすることにより、フラ−レンは
p型半導体になると主張している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記のアルカリ金属の
ド−ピングによりC60導電体を得る従来の技術には次の
欠点がある。これは、M4 C60なる組成の近傍でしか半
導体的電気伝導を示さない。アルカリ金属原子数n=3
で金属となり、n=6で絶縁体となる。n=4の近傍
で、組成の僅かな変化によって導電率と構造が大きく変
化する。このため導電率の制御が困難であるという欠点
がある。
ド−ピングによりC60導電体を得る従来の技術には次の
欠点がある。これは、M4 C60なる組成の近傍でしか半
導体的電気伝導を示さない。アルカリ金属原子数n=3
で金属となり、n=6で絶縁体となる。n=4の近傍
で、組成の僅かな変化によって導電率と構造が大きく変
化する。このため導電率の制御が困難であるという欠点
がある。
【0013】アルカリ金属ドープ法は、さらにアルカリ
金属から供給される電子により電気伝導を生じさせるた
め、n型半導体しかできないという問題がある。半導体
デバイスとするためにはp型半導体も必要である。
金属から供給される電子により電気伝導を生じさせるた
め、n型半導体しかできないという問題がある。半導体
デバイスとするためにはp型半導体も必要である。
【0014】特開平4−366503号の技術は、ド−
パントの種類により、n型、p型の両方の導電性が得ら
れる。しかしアルカリ金属のド−ピングと同様にフラ−
レン結晶格子間へのインタ−カレ−トを利用しているた
め、導電率の制御が困難であると考えられる。
パントの種類により、n型、p型の両方の導電性が得ら
れる。しかしアルカリ金属のド−ピングと同様にフラ−
レン結晶格子間へのインタ−カレ−トを利用しているた
め、導電率の制御が困難であると考えられる。
【0015】p型、n型いずれのフラ−レン半導体をも
作ることのできる方法を提供する事が本発明の第1の目
的である。任意の導電率の半導体を得ることができる方
法を提供する事が本発明の第2の目的である。大気中で
導電性に経年変化のないフラ−レン半導体の製造方法を
提供する事が本発明の第3の目的である。
作ることのできる方法を提供する事が本発明の第1の目
的である。任意の導電率の半導体を得ることができる方
法を提供する事が本発明の第2の目的である。大気中で
導電性に経年変化のないフラ−レン半導体の製造方法を
提供する事が本発明の第3の目的である。
【0016】導電材料、半導体材料として使うことので
きるp型、n型のフラ−レン半導体を提供することが本
発明の第4の目的である。大気中で導電率に経年変化の
ない安定した物性のフラ−レン固体を提供することが本
発明の第5の目的である。
きるp型、n型のフラ−レン半導体を提供することが本
発明の第4の目的である。大気中で導電率に経年変化の
ない安定した物性のフラ−レン固体を提供することが本
発明の第5の目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、中空フラ−レ
ンの中から選ばれた少なくとも一種類の分子と、メタロ
フラ−レンの中から選ばれた少なくとも一種類の分子を
組み合わせてフラ−レン固体とする。つまり本発明のフ
ラ−レン固体は、中空フラ−レン+メタロフラ−レンと
いうふうに簡明に表現される。
ンの中から選ばれた少なくとも一種類の分子と、メタロ
フラ−レンの中から選ばれた少なくとも一種類の分子を
組み合わせてフラ−レン固体とする。つまり本発明のフ
ラ−レン固体は、中空フラ−レン+メタロフラ−レンと
いうふうに簡明に表現される。
【0018】
【作用】本発明者は中空フラ−レンと、メタロフラ−レ
ンから構成されるフラ−レン固体が電気伝導性を示すこ
と、中空フラ−レンとメタロフラ−レンの組成比を変え
ることにより導電率及び伝導型の自由な制御が可能であ
ることを見い出した。
ンから構成されるフラ−レン固体が電気伝導性を示すこ
と、中空フラ−レンとメタロフラ−レンの組成比を変え
ることにより導電率及び伝導型の自由な制御が可能であ
ることを見い出した。
【0019】本発明は中空フラ−レンの中から選ばれた
少なくとも一種類の分子と、メタロフラ−レンの中から
選ばれた少なくとも一種類の分子から構成されるフラ−
レン固体を形成することにより、導電性を有するフラ−
レン固体を実現する。さらにまた中空フラ−レンとメタ
ロフラ−レンの組成比を変えることにより導電率及び伝
導性の制御を可能にしている。
少なくとも一種類の分子と、メタロフラ−レンの中から
選ばれた少なくとも一種類の分子から構成されるフラ−
レン固体を形成することにより、導電性を有するフラ−
レン固体を実現する。さらにまた中空フラ−レンとメタ
ロフラ−レンの組成比を変えることにより導電率及び伝
導性の制御を可能にしている。
【0020】メタロフラ−レンは、フラ−レンの籠の中
に、一つ或いは複数の金属の原子を内包させたものであ
る。金属を含むので、メタロという接頭語が付くのであ
る。メタロフラーレンは通常My @Cz (M:金属)と
表記される。例えば、C82にLa原子が1つ内包された
ものはLa@C82と表される。金属内包フラ−レンと区
別するために、これまで単にフラ−レンと呼んでいた金
属を含まないフラ−レンを、中空フラ−レンと呼ぶこと
にする。普通のフラ−レンを中空フラ−レンというので
あり特別な種類のものではない。
に、一つ或いは複数の金属の原子を内包させたものであ
る。金属を含むので、メタロという接頭語が付くのであ
る。メタロフラーレンは通常My @Cz (M:金属)と
表記される。例えば、C82にLa原子が1つ内包された
ものはLa@C82と表される。金属内包フラ−レンと区
別するために、これまで単にフラ−レンと呼んでいた金
属を含まないフラ−レンを、中空フラ−レンと呼ぶこと
にする。普通のフラ−レンを中空フラ−レンというので
あり特別な種類のものではない。
【0021】メタロフラ−レンは金属原子を内包するか
らイオン化ポテンシャルが小さい。籠の中に閉じ込めら
れた金属が電子を放出しやすいからである。もちろん金
属によってイオン化ポテンシャルは相違する。中空フラ
−レンは、炭素原子のみからなる。真性半導体であっ
て、1.5eVのバンドキャップをもつため、電子が容
易に外部に飛び出さない。メタロフラーレンに比べイオ
ン化ポテンシャルは高く、電子親和力は大きい。
らイオン化ポテンシャルが小さい。籠の中に閉じ込めら
れた金属が電子を放出しやすいからである。もちろん金
属によってイオン化ポテンシャルは相違する。中空フラ
−レンは、炭素原子のみからなる。真性半導体であっ
て、1.5eVのバンドキャップをもつため、電子が容
易に外部に飛び出さない。メタロフラーレンに比べイオ
ン化ポテンシャルは高く、電子親和力は大きい。
【0022】イオン化ポテンシャルの高い中空フラ−レ
ンと、電子親和力の小さいメタロフラ−レンを組み合わ
せるから、メタロフラ−レンは、電子親和力の大きな中
空フラ−レンに対して強い電子供与体となり、逆に中空
フラ−レンはメタロフラ−レンに対して電子受容体とな
る。従って本発明に示す中空フラ−レンとメタフラ−レ
ンから構成されるフラ−レン固体は、両性的な振る舞い
をする。
ンと、電子親和力の小さいメタロフラ−レンを組み合わ
せるから、メタロフラ−レンは、電子親和力の大きな中
空フラ−レンに対して強い電子供与体となり、逆に中空
フラ−レンはメタロフラ−レンに対して電子受容体とな
る。従って本発明に示す中空フラ−レンとメタフラ−レ
ンから構成されるフラ−レン固体は、両性的な振る舞い
をする。
【0023】つまり中空フラ−レンを主体とする場合に
おいては、メタロフラ−レンがドナ−として働くためn
型伝導性を示す。主体とするというのは、それが多いと
いうことである。この場合、メタロフラ−レンから中空
フラ−レンへの電子の移動が生じ、n型伝導性を示すよ
うになる。伝導度は、メタロフラ−レンの比率にほぼ比
例する。n型であって、しかも電導率を制御できるので
ある。ここにおいてアルカリ金属をドープした場合と違
う。
おいては、メタロフラ−レンがドナ−として働くためn
型伝導性を示す。主体とするというのは、それが多いと
いうことである。この場合、メタロフラ−レンから中空
フラ−レンへの電子の移動が生じ、n型伝導性を示すよ
うになる。伝導度は、メタロフラ−レンの比率にほぼ比
例する。n型であって、しかも電導率を制御できるので
ある。ここにおいてアルカリ金属をドープした場合と違
う。
【0024】反対にメタロフラ−レンを主体とする場合
においては、中空フラ−レンがアクセプタとして働く。
つまりメタロフラ−レンから中空フラ−レンへの電子の
移動が生じ、p型伝導性を示す。導電率は、メタロフラ
−レンと中空フラ−レンの比率によって制御することが
できる。本発明においてさらに重要なのはこの点であ
る。
においては、中空フラ−レンがアクセプタとして働く。
つまりメタロフラ−レンから中空フラ−レンへの電子の
移動が生じ、p型伝導性を示す。導電率は、メタロフラ
−レンと中空フラ−レンの比率によって制御することが
できる。本発明においてさらに重要なのはこの点であ
る。
【0025】このように本発明では、中空フラ−レンと
メタロフラ−レンの比率を変化させることにより導電率
(σ)および伝導性(p或いはn)を自由に変化させる
ことが可能である。
メタロフラ−レンの比率を変化させることにより導電率
(σ)および伝導性(p或いはn)を自由に変化させる
ことが可能である。
【0026】図2に本発明においてp型、n型の半導体
にするためのフラ−レンの組み合わせの比率を略示す
る。(a)に示すように、メタロフラ−レンが50%を
越えるように組み合わせるとp型の伝導型になる。反対
に中空フラ−レンが50%を越えるように組み合わせる
と、(b)示すようにn型の伝導型になる。
にするためのフラ−レンの組み合わせの比率を略示す
る。(a)に示すように、メタロフラ−レンが50%を
越えるように組み合わせるとp型の伝導型になる。反対
に中空フラ−レンが50%を越えるように組み合わせる
と、(b)示すようにn型の伝導型になる。
【0027】ただしキャリヤ数の揺らぎや、移動度の違
いがあって、正確に50%の上下で伝導型が切り替わる
とは限らない。n型又はp型の伝導層を形成するために
は、先述のように0.4〜0.6の境界領域は避けた方
が良い。インタ−カレ−ションを用いる従来の技術(H
addon等)とは異なり、殆ど全ての組成域にわたり
本発明のフラ−レンは半導体的性質を示す。さらに組成
の変化に対する導電率の変化が緩やかであるため、導電
率の制御が容易となる。
いがあって、正確に50%の上下で伝導型が切り替わる
とは限らない。n型又はp型の伝導層を形成するために
は、先述のように0.4〜0.6の境界領域は避けた方
が良い。インタ−カレ−ションを用いる従来の技術(H
addon等)とは異なり、殆ど全ての組成域にわたり
本発明のフラ−レンは半導体的性質を示す。さらに組成
の変化に対する導電率の変化が緩やかであるため、導電
率の制御が容易となる。
【0028】本発明のフラ−レン固体は、中空フラ−レ
ンとメタロフラ−レンからなる。中空フラ−レンとして
は例えばC60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、
C96などの中から少なくとも一種類を選んで構成分子と
することができる。図1に本発明のフラ−レン固体の概
略の組成を略示する。
ンとメタロフラ−レンからなる。中空フラ−レンとして
は例えばC60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、
C96などの中から少なくとも一種類を選んで構成分子と
することができる。図1に本発明のフラ−レン固体の概
略の組成を略示する。
【0029】メタロフラ−レンとしては、C60、C70、
C76、C78、C82、C84、C90、C96等フラ−レン骨格
の中に、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、M
g、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、
Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Cr、Mo、W、Ac、Th、Pa、Uなどの金
属を内包したものを用いることができる。これらの金属
を含むメタロフラ−レンは後述する公知の方法により簡
単に合成、単離が可能である。
C76、C78、C82、C84、C90、C96等フラ−レン骨格
の中に、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、M
g、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、
Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Cr、Mo、W、Ac、Th、Pa、Uなどの金
属を内包したものを用いることができる。これらの金属
を含むメタロフラ−レンは後述する公知の方法により簡
単に合成、単離が可能である。
【0030】例えばLa@C82、Y@C82、Sc@
C74、Sc@C82、Sc2 @C82、Sc2 @C84、Sc
3 @C82、Ce@C82、Nd@C82、Sm@C82、Eu
@C82、Gd@C82、Tb@C82、Dy@C82、Ho@
C82、Er@C82、U@C60、Ca@C60などから少な
くとも一種類を選んで構成分子として利用することがで
きる。
C74、Sc@C82、Sc2 @C82、Sc2 @C84、Sc
3 @C82、Ce@C82、Nd@C82、Sm@C82、Eu
@C82、Gd@C82、Tb@C82、Dy@C82、Ho@
C82、Er@C82、U@C60、Ca@C60などから少な
くとも一種類を選んで構成分子として利用することがで
きる。
【0031】本発明においては、複数の種類の中空フラ
−レンと複数の種類のメタロフラ−レンを組み合わせて
導電性固体を形成することももちろん可能である。しか
し一種類の中空フラ−レンと一種類のメタロフラ−レン
の組合せ、すなわち中空フラ−レンをCx 、メタロフラ
−レンをMy @Cz とするとき、(My @Cz )a (C
x )1-a なる組成にて示されるフラ−レン固体を形成す
ると、導電率の制御が容易となるためより望ましい。a
はメタロフラ−レンの比率である。
−レンと複数の種類のメタロフラ−レンを組み合わせて
導電性固体を形成することももちろん可能である。しか
し一種類の中空フラ−レンと一種類のメタロフラ−レン
の組合せ、すなわち中空フラ−レンをCx 、メタロフラ
−レンをMy @Cz とするとき、(My @Cz )a (C
x )1-a なる組成にて示されるフラ−レン固体を形成す
ると、導電率の制御が容易となるためより望ましい。a
はメタロフラ−レンの比率である。
【0032】この固体が導電性を示すための組成比はa
=0.0001〜0.9999である。極めて広い範囲
の比率において導電性を示す。この範囲であればほぼ全
域にわたり、組成の変化により導電率を変化させること
ができる。
=0.0001〜0.9999である。極めて広い範囲
の比率において導電性を示す。この範囲であればほぼ全
域にわたり、組成の変化により導電率を変化させること
ができる。
【0033】本発明のフラ−レン固体を導電体、半導体
として電子デバイスなどに応用するためには、フラ−レ
ン固体の抵抗率ρが1×10-5≦ρ≦1×105 Ωcm
であることが望ましい。これは0.001≦a≦0.4
及び0.6≦a≦0.999なる組成比の範囲で実現す
ることができる。
として電子デバイスなどに応用するためには、フラ−レ
ン固体の抵抗率ρが1×10-5≦ρ≦1×105 Ωcm
であることが望ましい。これは0.001≦a≦0.4
及び0.6≦a≦0.999なる組成比の範囲で実現す
ることができる。
【0034】a<0.001及び0.999<aなる組
成比においては、キャリヤ濃度が低いので十分な導電率
が得られない。0.4<a<0.6なる組成比において
はキャリヤの補償により、実用に十分な導電率が得られ
ない。中空フラ−レンの炭素数と、メタロフラ−レンの
炭素数はもちろん違っていても良い。この場合は多結
晶、アモルファスができることが多い。
成比においては、キャリヤ濃度が低いので十分な導電率
が得られない。0.4<a<0.6なる組成比において
はキャリヤの補償により、実用に十分な導電率が得られ
ない。中空フラ−レンの炭素数と、メタロフラ−レンの
炭素数はもちろん違っていても良い。この場合は多結
晶、アモルファスができることが多い。
【0035】中空フラ−レンの炭素原子数とメタロフラ
−レンの炭素原子数が等しいものを用いると全ての組成
域にわたり単結晶固体を得ることができる。単結晶のフ
ラ−レンは電子デバイスの応用には更に望ましい。この
場合、中空フラ−レンと同じ炭素原子数を持つメタロフ
ラ−レンであれば、内包させる金属の種類や数の異なる
複数の種類を組み合わせて固体を形成しても、全ての組
成域で単結晶を得ることができる。
−レンの炭素原子数が等しいものを用いると全ての組成
域にわたり単結晶固体を得ることができる。単結晶のフ
ラ−レンは電子デバイスの応用には更に望ましい。この
場合、中空フラ−レンと同じ炭素原子数を持つメタロフ
ラ−レンであれば、内包させる金属の種類や数の異なる
複数の種類を組み合わせて固体を形成しても、全ての組
成域で単結晶を得ることができる。
【0036】中空フラ−レンの炭素原子数とメタロフラ
−レンの炭素原子数が異なる場合や、中空フラ−レン或
いはメタロフラ−レンに炭素数の異なる複数の種類を組
み合わせた場合には、単結晶の得られる組成比が狭く制
限されてしまう。それ以外の組成比の領域では、多結晶
あるいはアモルファスとなる。固体の合成法によっても
アモルファスあるいは多結晶となるが、これらの場合で
も組成の変化により導電率や導電型を変化させることは
可能である。一般に、本発明のフラ−レン固体を電子デ
バイスとして用いる場合は結晶性を有する方が望まし
い。
−レンの炭素原子数が異なる場合や、中空フラ−レン或
いはメタロフラ−レンに炭素数の異なる複数の種類を組
み合わせた場合には、単結晶の得られる組成比が狭く制
限されてしまう。それ以外の組成比の領域では、多結晶
あるいはアモルファスとなる。固体の合成法によっても
アモルファスあるいは多結晶となるが、これらの場合で
も組成の変化により導電率や導電型を変化させることは
可能である。一般に、本発明のフラ−レン固体を電子デ
バイスとして用いる場合は結晶性を有する方が望まし
い。
【0037】本発明のフラ−レン固体は、中空フラ−レ
ン固体、メタロフラ−レン固体と同様にfcc構造、h
cp構造、斜方晶構造の結晶構造をとり得る。固体の形
成法によっても取り得る結晶構造は変化する。
ン固体、メタロフラ−レン固体と同様にfcc構造、h
cp構造、斜方晶構造の結晶構造をとり得る。固体の形
成法によっても取り得る結晶構造は変化する。
【0038】次に本発明のフラ−レン固体の製造方法に
ついて説明する。原料となる中空フラ−レン及びメタロ
フラ−レンは、ア−ク放電法、レ−ザ蒸発法、燃焼法、
スパッタ法など公知の手法により作製した煤中からベン
ゼン、トルエン、二硫化炭素などの溶媒を用い、カラム
クロマトグラフィ−、液体高速クロマトグラフィ−を用
いて単離して使用する。
ついて説明する。原料となる中空フラ−レン及びメタロ
フラ−レンは、ア−ク放電法、レ−ザ蒸発法、燃焼法、
スパッタ法など公知の手法により作製した煤中からベン
ゼン、トルエン、二硫化炭素などの溶媒を用い、カラム
クロマトグラフィ−、液体高速クロマトグラフィ−を用
いて単離して使用する。
【0039】本発明の導電性フラ−レン固体の合成法と
しては、中空フラ−レンとメタロフラ−レンを原料とし
て、例えば溶媒蒸発法、昇華法など公知の手法を用いる
ことができる。溶媒蒸発法では、原料となる中空フラ−
レン及びメタロフラ−レンをベンゼン、トルエン、二硫
化化炭素などから選んだ共通の溶媒に溶解した後、溶媒
を蒸発させることによりフラ−レン固体を得る。昇華法
では、中空フラ−レン及びメタロフラ−レンの結晶粉末
を石英管に封入し、温度勾配のもとで成長させることに
よりフラ−レン固体を合成する。
しては、中空フラ−レンとメタロフラ−レンを原料とし
て、例えば溶媒蒸発法、昇華法など公知の手法を用いる
ことができる。溶媒蒸発法では、原料となる中空フラ−
レン及びメタロフラ−レンをベンゼン、トルエン、二硫
化化炭素などから選んだ共通の溶媒に溶解した後、溶媒
を蒸発させることによりフラ−レン固体を得る。昇華法
では、中空フラ−レン及びメタロフラ−レンの結晶粉末
を石英管に封入し、温度勾配のもとで成長させることに
よりフラ−レン固体を合成する。
【0040】本発明の導電性フラ−レン固体を電子デバ
イスに応用する場合には、基板上に薄膜として形成され
ている事が望ましい。薄膜を得る方法としては、真空蒸
着法、MBE法、イオンクラスタ−ビ−ム法など公知の
手法を用いることができる。
イスに応用する場合には、基板上に薄膜として形成され
ている事が望ましい。薄膜を得る方法としては、真空蒸
着法、MBE法、イオンクラスタ−ビ−ム法など公知の
手法を用いることができる。
【0041】薄膜形成する場合には、中空フラ−レン及
びメタロフラ−レンを原料として真空蒸着法、MBE
法、イオンクラスタビ−ム法などを用いるが、基板に雲
母、MoS2 、CaF2 、GaSe、水素終端Si(1
11)面を用いれば単結晶膜を得ることができる。
びメタロフラ−レンを原料として真空蒸着法、MBE
法、イオンクラスタビ−ム法などを用いるが、基板に雲
母、MoS2 、CaF2 、GaSe、水素終端Si(1
11)面を用いれば単結晶膜を得ることができる。
【0042】
【実施例】以下本発明の実施例を詳細に説明する。 [実施例1] (中空フラ−レン=C84、メタロフラ−レン=Sc2 @
C84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=5:1、溶
媒蒸発法、hcp単結晶、n型半導体の例) グラファ
イト(黒鉛)電極を用いたア−ク放電法により作製した
煤中から、C84を二硫化炭素を展開液とする液体高速ク
ロマトグラフィ−によって単離した。黒鉛にSc2 O3
を重量比7%混合した電極をア−ク放電法により作製し
た煤中からSc2 @C84を、二硫化炭素を展開液とする
液体高速クロマトグラフィ−を用いて単離した。
C84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=5:1、溶
媒蒸発法、hcp単結晶、n型半導体の例) グラファ
イト(黒鉛)電極を用いたア−ク放電法により作製した
煤中から、C84を二硫化炭素を展開液とする液体高速ク
ロマトグラフィ−によって単離した。黒鉛にSc2 O3
を重量比7%混合した電極をア−ク放電法により作製し
た煤中からSc2 @C84を、二硫化炭素を展開液とする
液体高速クロマトグラフィ−を用いて単離した。
【0043】C84とSc2 @C84の分子数の比が5:1
になるように両者を二硫化炭素(CS2)に溶解し、溶
媒(二硫化炭素)を自然蒸発させ固体を得た。得られた
フラ−レン固体は透過電子線回折によりa=1.12n
m、c=1.83nmの格子定数を持つhcp結晶構造
を有する単結晶であることが判明した。室温での抵抗率
は10Ωcmであった。ホ−ル(Hall)測定により
n型半導体であることが分かった。
になるように両者を二硫化炭素(CS2)に溶解し、溶
媒(二硫化炭素)を自然蒸発させ固体を得た。得られた
フラ−レン固体は透過電子線回折によりa=1.12n
m、c=1.83nmの格子定数を持つhcp結晶構造
を有する単結晶であることが判明した。室温での抵抗率
は10Ωcmであった。ホ−ル(Hall)測定により
n型半導体であることが分かった。
【0044】[実施例2] (中空フラ−レン=C84、メタロフラ−レン=Sc2 @
C84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=1:5、溶
媒蒸発法、hcp単結晶、p型半導体の例)実施例1と
同様にしてC84とSc2 @C84を単離した。分子数の比
がC84:Sc2 @C84=1:5になるように二硫化炭素
に溶解し、溶媒を自然蒸発させフラ−レン固体を得た。
得られた固体は透過電子線回折により、a=1.12n
m、c=1.83nmの格子定数を持つhcp構造を有
する単結晶であることが判明した。室温での抵抗率は1
0Ωcmであった。ホ−ル測定によりp型半導体である
ことが分かった。
C84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=1:5、溶
媒蒸発法、hcp単結晶、p型半導体の例)実施例1と
同様にしてC84とSc2 @C84を単離した。分子数の比
がC84:Sc2 @C84=1:5になるように二硫化炭素
に溶解し、溶媒を自然蒸発させフラ−レン固体を得た。
得られた固体は透過電子線回折により、a=1.12n
m、c=1.83nmの格子定数を持つhcp構造を有
する単結晶であることが判明した。室温での抵抗率は1
0Ωcmであった。ホ−ル測定によりp型半導体である
ことが分かった。
【0045】[実施例3] (中空フラ−レン=C84、メタロフラ−レン=Sc2 @
C84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=1:5、昇
華法、fcc単結晶、p型半導体の例)実施例1と同様
にしてC84とSc2 @C84を単離した。この結晶粉末を
分子数の比がC84:Sc2 @C84=1:5になるように
石英管に入れ真空シ−ルした。この石英管を電気炉の中
に入れ、原料粉末部の温度が700℃、結晶成長部の温
度が680℃になるように温度勾配を付け、C84単結晶
を種結晶として結晶成長させた。得られた固体は透過電
子線回折により、a=1.59nmの格子定数を持つf
cc構造を有する単結晶であることが判明した。室温で
の抵抗率は8Ωcmであった。ホ−ル測定によりp型半
導体であることが分かった。
C84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=1:5、昇
華法、fcc単結晶、p型半導体の例)実施例1と同様
にしてC84とSc2 @C84を単離した。この結晶粉末を
分子数の比がC84:Sc2 @C84=1:5になるように
石英管に入れ真空シ−ルした。この石英管を電気炉の中
に入れ、原料粉末部の温度が700℃、結晶成長部の温
度が680℃になるように温度勾配を付け、C84単結晶
を種結晶として結晶成長させた。得られた固体は透過電
子線回折により、a=1.59nmの格子定数を持つf
cc構造を有する単結晶であることが判明した。室温で
の抵抗率は8Ωcmであった。ホ−ル測定によりp型半
導体であることが分かった。
【0046】[実施例4] (中空フラ−レン=C60、メタロフラ−レン=La@C
82、真空蒸着法、アモルファス、n型半導体の例)グラ
ファイト電極を用いたア−ク放電法により作製した煤中
からトルエン:ヘキサン=1:1混合溶媒とアルミナカ
ラムを用いてC60を単離した。黒鉛中にLa2 O3 を重
量比7%混合した電極を用いたア−ク放電法により作製
した煤中から、二硫化炭素を展開液とする液体高速クロ
マトグラフィ−を用いてLa@C82を単離した。
82、真空蒸着法、アモルファス、n型半導体の例)グラ
ファイト電極を用いたア−ク放電法により作製した煤中
からトルエン:ヘキサン=1:1混合溶媒とアルミナカ
ラムを用いてC60を単離した。黒鉛中にLa2 O3 を重
量比7%混合した電極を用いたア−ク放電法により作製
した煤中から、二硫化炭素を展開液とする液体高速クロ
マトグラフィ−を用いてLa@C82を単離した。
【0047】これらを分子数の比がC60:La@C82=
1:1になるように混合した。この混合物を原料として
真空蒸着法により薄膜を形成した。真空度1×10-6T
orr、蒸発源温度700℃とし、基板温度は200℃
とした。この条件で石英基板上にフラ−レン薄膜を形成
した。
1:1になるように混合した。この混合物を原料として
真空蒸着法により薄膜を形成した。真空度1×10-6T
orr、蒸発源温度700℃とし、基板温度は200℃
とした。この条件で石英基板上にフラ−レン薄膜を形成
した。
【0048】得られた薄膜はX線回折によりアモルファ
スであることが確認された。室温での抵抗率は100Ω
cmであった。ホ−ル測定によりn型半導体であること
が分かった。これはフラ−レンの炭素の数nが違う(6
0と82)ので、アモルファスになったものであろう。
前記の溶媒蒸発法、昇華法と異なり、真空蒸着法では得
られたフラ−レン固体の組成比は原料比と同じにはなら
ない。蒸発源温度700℃では、La@C60よりもC60
の方が蒸発速度が速いため、C60分子数>La@C60分
子数となり、n型伝導性を示したものと思われる。
スであることが確認された。室温での抵抗率は100Ω
cmであった。ホ−ル測定によりn型半導体であること
が分かった。これはフラ−レンの炭素の数nが違う(6
0と82)ので、アモルファスになったものであろう。
前記の溶媒蒸発法、昇華法と異なり、真空蒸着法では得
られたフラ−レン固体の組成比は原料比と同じにはなら
ない。蒸発源温度700℃では、La@C60よりもC60
の方が蒸発速度が速いため、C60分子数>La@C60分
子数となり、n型伝導性を示したものと思われる。
【0049】
【発明の効果】本発明は以上に述べたように、中空フラ
−レン分子とメタロフラ−レン分子を混合し両者から構
成されるフラ−レン固体を形成する。中空フラ−レンと
メタロフラ−レンの相補的な性質を巧みに利用し、導電
性を有するフラ−レン固体を得る。フラ−レン分子とメ
タロフラ−レン分子の組成比を変えることによりp型の
半導体もn型の半導体をも実現できる。しかも導電率を
自由に変化させることができる。つまり組成比をパラメ
ータとして、導電率及び伝導型の制御を容易に行なうこ
とができる。導電材料、半導体材料として、広く電子デ
バイスの材料としてフラ−レンの用途を大きく開くもの
である。
−レン分子とメタロフラ−レン分子を混合し両者から構
成されるフラ−レン固体を形成する。中空フラ−レンと
メタロフラ−レンの相補的な性質を巧みに利用し、導電
性を有するフラ−レン固体を得る。フラ−レン分子とメ
タロフラ−レン分子の組成比を変えることによりp型の
半導体もn型の半導体をも実現できる。しかも導電率を
自由に変化させることができる。つまり組成比をパラメ
ータとして、導電率及び伝導型の制御を容易に行なうこ
とができる。導電材料、半導体材料として、広く電子デ
バイスの材料としてフラ−レンの用途を大きく開くもの
である。
【0050】金属元素をインタ−カレ−トするのではな
い。金属はフラ−レンの籠の中にあって安定である。従
ってフラ−レンによって大気中でも経年変化のない安定
した特性の半導体、導電体を作ることができる。
い。金属はフラ−レンの籠の中にあって安定である。従
ってフラ−レンによって大気中でも経年変化のない安定
した特性の半導体、導電体を作ることができる。
【図1】本発明のフラ−レン固体の組成を示す概略組成
図。
図。
【図2】中空フラ−レンとメタロフラ−レンの混合比率
によって、p型、n型の半導体ができることを示す図。
(a)はp型の組み合わせを、(b)はn型の組み合わ
せを示す。
によって、p型、n型の半導体ができることを示す図。
(a)はp型の組み合わせを、(b)はn型の組み合わ
せを示す。
Claims (14)
- 【請求項1】 中空フラ−レンの中から選ばれた少なく
とも一種類の分子と、メタロフラ−レンの中から選ばれ
た少なくとも一種類の分子から構成され、導電性を有す
ることを特徴とする導電性フラ−レン固体。 - 【請求項2】 メタロフラ−レン分子数の、全体の分子
数に対する比率aが0.0001〜0.9999である
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性フラ−レン固
体。 - 【請求項3】 一種類の中空フラ−レンと一種類のメタ
ロフラ−レンからなり、中空フラ−レンをCx 、メタロ
フラ−レンをMy @Cz とするとき、(My@Cz )a
(Cx )1-a なる組成にて示す場合、a=0.0001
〜0.9999であることを特徴とする請求項1に記載
の導電性フラ−レン固体。 - 【請求項4】 メタロフラ−レンに内包される金属がL
i、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Sr、
Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、P
m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
Cr、Mo、W、Ac、Th、Pa、Uであることを特
徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電性
フラ−レン固体。 - 【請求項5】 メタロフラ−レンが、La@C82、Y@
C82、Sc@C74、Sc@C82、Sc2 @C82、Sc2
@C84、Sc3 @C82、Ce@C82、Nd@C82、Sm
@C82、Eu@C82、Gd@C82、Tb@C82、Dy@
C82、Ho@C82、Er@C82、U@C60、Ca@C60
のいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項4
のいずれかに記載の導電性フラ−レン固体。 - 【請求項6】 フラ−レン固体が結晶性を有すること特
徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電性
フラ−レン固体。 - 【請求項7】 フラ−レン固体の抵抗率ρが1×10-5
≦ρ≦1×105 Ωcmであることを特徴とする請求項
1〜請求項6のいずれかに記載の導電性フラ−レン固
体。 - 【請求項8】 基板上に形成されていることを特徴とす
る、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の導電性フラ
−レン固体。 - 【請求項9】 中空フラ−レン及びメタロフラ−レンを
溶解した溶液中から溶媒を蒸発させることによりフラ−
レン固体を合成することを特徴とする導電性フラ−レン
固体の製造方法。 - 【請求項10】 中空フラ−レン及びメタロフラ−レン
の結晶粉末を石英管に封入し温度勾配のもとで成長させ
ることによりフラ−レン固体を合成することを特徴とす
る導電性フラ−レン固体の製造方法。 - 【請求項11】 中空フラ−レン及びメタロフラ−レン
を原料とし、真空蒸着法、MBE法、クラスタイオンビ
−ム法の中から選んだ一種類の方法により基板上にフラ
−レン薄膜を形成することを特徴とする導電性フラ−レ
ン固体の製造方法。 - 【請求項12】 全体の分子数に対するメタロフラ−レ
ン分子数の比率aを0.0001〜0.4とすることに
よりn型の半導体のフラ−レン固体を製造する事を特徴
とする請求項9、10または11項に記載の導電性フラ
−レン固体の製造方法。 - 【請求項13】 全体の分子数に対するメタロフラ−レ
ン分子数の比率aを0.6〜0.9999とすることに
よりp型の半導体のフラ−レン固体を製造する事を特徴
とする請求項9、10または11項に記載の導電性フラ
−レン固体の製造方法。 - 【請求項14】 メタロフラ−レンと中空フラ−レンの
炭素数nを等しくすることによりフラ−レン単結晶を製
造する事を特徴とする請求項9、10、11、12或い
は13に記載の導電性フラ−レン固体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7137229A JPH08310805A (ja) | 1995-05-10 | 1995-05-10 | 導電性フラ−レン固体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7137229A JPH08310805A (ja) | 1995-05-10 | 1995-05-10 | 導電性フラ−レン固体とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08310805A true JPH08310805A (ja) | 1996-11-26 |
Family
ID=15193805
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7137229A Pending JPH08310805A (ja) | 1995-05-10 | 1995-05-10 | 導電性フラ−レン固体とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08310805A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004040678A1 (ja) * | 2002-10-31 | 2004-05-13 | Mitsubishi Chemical Corporation | リチウム二次電池用正極材料の添加剤、リチウム二次電池用正極材料、並びに、このリチウム二次電池用正極材料を用いた正極及びリチウム二次電池 |
WO2004058784A1 (ja) * | 2002-12-24 | 2004-07-15 | The Honjo Chemical Corporation | フラレノール及び/又はフラレノール硫酸水素エステルの有機白金族元素化合物とその利用とその製造方法 |
KR100466159B1 (ko) * | 2001-11-21 | 2005-01-14 | 재단법인서울대학교산학협력재단 | 탄소 나노튜브의 밴드 갭 변형방법과 이를 이용한 나노양자소자 및 그의 제조방법 |
WO2005006817A1 (ja) * | 2003-07-10 | 2005-01-20 | Ideal Star Inc. | 発光素子、及び発光装置 |
JP2008074766A (ja) * | 2006-09-21 | 2008-04-03 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 中空ナノ炭素集合体並びに一重項酸素消去剤、化粧剤、皮膚ガン抑制剤及び退色防止剤 |
US7635395B2 (en) * | 2002-09-24 | 2009-12-22 | Fujitsu Limited | Solid material gasification method |
-
1995
- 1995-05-10 JP JP7137229A patent/JPH08310805A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100466159B1 (ko) * | 2001-11-21 | 2005-01-14 | 재단법인서울대학교산학협력재단 | 탄소 나노튜브의 밴드 갭 변형방법과 이를 이용한 나노양자소자 및 그의 제조방법 |
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WO2005006817A1 (ja) * | 2003-07-10 | 2005-01-20 | Ideal Star Inc. | 発光素子、及び発光装置 |
US7528541B2 (en) | 2003-07-10 | 2009-05-05 | Ideal Star Inc. | Light-emitting element and light-emitting device |
JP2008074766A (ja) * | 2006-09-21 | 2008-04-03 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 中空ナノ炭素集合体並びに一重項酸素消去剤、化粧剤、皮膚ガン抑制剤及び退色防止剤 |
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