JPH08310805A - 導電性フラ−レン固体とその製造方法 - Google Patents

導電性フラ−レン固体とその製造方法

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JPH08310805A
JPH08310805A JP7137229A JP13722995A JPH08310805A JP H08310805 A JPH08310805 A JP H08310805A JP 7137229 A JP7137229 A JP 7137229A JP 13722995 A JP13722995 A JP 13722995A JP H08310805 A JPH08310805 A JP H08310805A
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JP
Japan
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fullerene
solid
metallofullerene
hollow
conductive
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Application number
JP7137229A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Uchiumi
慶春 内海
Takahiro Imai
貴浩 今井
Naoharu Fujimori
直治 藤森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 導電率及び伝導型の制御が容易な導電性フラ
−レン固体を提供すること。 【構成】 中空フラ−レンとメタロフラ−レンを混合し
てフラ−レン固体を作製する。広い混合比率の範囲にお
いて導電性が得られる。中空フラ−レンとメタロフラ−
レンの比率によってn型、p型のいずれの導電型の半導
体をも得ることができる。比率を変えることによって導
電率も自在に変化させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電材料、電子デバイ
スなどに用いることのできる導電性フラ−レン固体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】π共役電子系をもつ籠状炭素クラスタ−
分子(Cx ,x=60、70、76、78、82、84
…)はフラ−レンと呼ばれている。フラ−レンは新しい
材料であって、磁性材料、電子材料などとしての様々な
応用が期待されている。フラ−レン固体はフラ−レン分
子を構成要素とした固体である。製造方法によって、単
結晶、多結晶、アモルファスになる場合がある。分子が
結合する力は比較的強いファンデルワールス力であると
考えられている。
【0003】電子デバイスに利用しようとする場合単結
晶であることが望ましい。しかしフラ−レン固体の単結
晶を作製するのは容易でない。特に広い面積の単結晶膜
や大型の単結晶を作ることは困難である。しかし小さい
単結晶フラ−レンを作製することは比較的容易にでき
る。
【0004】例えばフラ−レンを溶媒に溶かしたフラ−
レン溶液から溶媒を蒸発させてフラ−レン固体を得る方
法により、単結晶を製造することができる(溶媒蒸発
法)。或いはフラ−レンを真空中で昇華させることによ
り単結晶が得られている(昇華法)。製造方法によっ
て、単結晶の結晶構造も異なってくる。例えばC60固体
は結晶を作製する方法条件によりfcc構造あるいはh
cp構造となることが知られている。
【0005】フラ−レン固体は真性半導体である。C60
の場合、バンドギャップは1.5eVの程度であるとさ
れる。π電子による伝導性があるので絶縁体ではない。
しかしキャリヤである電子、正孔の数が少なく、また拮
抗しているから電気伝導度は低い。導電材料や半導体デ
バイス、電子デバイスとして応用する場合には導電性を
付与しなければならない。Si、GaAsなどの既存の
半導体と同じように、不純物のド−ピングにより導電性
を持たせることができるように思われる。
【0006】しかし単に導電性を与えるだけでなく、p
型半導体、n型半導体を自在に作れるようになることが
望ましい。p型、n型を選択でき、さらにキャリヤの濃
度を広範囲に制御できなければならない。そしてp型、
n型の状態が安定であって、経年変化のないものである
必要がある。
【0007】フラ−レン固体に導電性付与する方法につ
いて多くの試みがなされている。しかし未だに満足ので
きる方法はない。例えばフラ−レン固体に導電性を持た
せる方法としては、C60あるいはC70固体にアルカリ金
属やその二元合金をド−プする方法が知られている。
【0008】例えばHaddonらはC60固体(或はC
70)にアルカリ金属原子をド−ピングすることにより導
電性が増加することを報告している(R.C. Haddon et a
l.,"Conducting Films of C60 and C70 by alkali-meta
l doping" Nature, vol.350, p320 (1991))。真空チャ
ンバの内部上方にフラ−レン固体を懸架し、下方にアル
カリ金属の固体を置き、全体を加熱する。金属の種類に
よって加熱温度が違う。Li、Na、CsのC60へのド
ープは導電性を高める上であまり有効でない。K、Rb
のドープが導電性を高揚する上で特に効果があるとして
いる。Kのドープによって、最大500Scm-1の導電
性を得るという。
【0009】このドープの場合、アルカリ金属は固体C
60の結晶格子の隙間にインタ−カレ−トされている。イ
オン化ポテンシャルの小さいアルカリ金属から比較的電
子親和力の大きなC60に電子が移動する。この電子キャ
リヤによる電気伝導が生じているのである。アルカリ金
属をド−プした固体C60(Mx60、Mはアルカリ金
属、xはドープ量)はド−プ量xにより結晶構造及び電
気伝導性が変化する。
【0010】M360はfcc構造を持ち、金属にな
る。M460はbct構造を持ち半導体になるという。
660はbcc構造を持ち絶縁体となる。つまりアル
カリ金属のドープ量が多いとかえって絶縁体になるので
ある。しかもアルカリ金属ドープ法により製造したフラ
ーレン半導体は、空気中で極めて不安定であり、経年変
化が大きくて時間の経過と共に導電性が変動する。
【0011】特開平4−366503は、p型半導体に
もn型半導体にもできる不純物ド−ピングの方法を提案
している。ドナ−不純物(n型)となるのは、アルカリ
土類金属元素の陽イオン、遷移金属元素の陽イオン、
[NH4+ 、[PH4+ 等である。これらドナーを
ド−ピングしてフラ−レンをn型にすることができると
いう。アクセプタを形成する不純物は、トリハライド、
AuI2 -、AuBr2 -、NO3 -、BF4 -、ClO4 -、R
eO4 -、PF6 -、AsF6 -、Cl・H2 O、Cu(NC
S)2 、Cu[N(CN)2 ]Br等である。これらア
クセプタ不純物をドープすることにより、フラ−レンは
p型半導体になると主張している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記のアルカリ金属の
ド−ピングによりC60導電体を得る従来の技術には次の
欠点がある。これは、M460なる組成の近傍でしか半
導体的電気伝導を示さない。アルカリ金属原子数n=3
で金属となり、n=6で絶縁体となる。n=4の近傍
で、組成の僅かな変化によって導電率と構造が大きく変
化する。このため導電率の制御が困難であるという欠点
がある。
【0013】アルカリ金属ドープ法は、さらにアルカリ
金属から供給される電子により電気伝導を生じさせるた
め、n型半導体しかできないという問題がある。半導体
デバイスとするためにはp型半導体も必要である。
【0014】特開平4−366503号の技術は、ド−
パントの種類により、n型、p型の両方の導電性が得ら
れる。しかしアルカリ金属のド−ピングと同様にフラ−
レン結晶格子間へのインタ−カレ−トを利用しているた
め、導電率の制御が困難であると考えられる。
【0015】p型、n型いずれのフラ−レン半導体をも
作ることのできる方法を提供する事が本発明の第1の目
的である。任意の導電率の半導体を得ることができる方
法を提供する事が本発明の第2の目的である。大気中で
導電性に経年変化のないフラ−レン半導体の製造方法を
提供する事が本発明の第3の目的である。
【0016】導電材料、半導体材料として使うことので
きるp型、n型のフラ−レン半導体を提供することが本
発明の第4の目的である。大気中で導電率に経年変化の
ない安定した物性のフラ−レン固体を提供することが本
発明の第5の目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、中空フラ−レ
ンの中から選ばれた少なくとも一種類の分子と、メタロ
フラ−レンの中から選ばれた少なくとも一種類の分子を
組み合わせてフラ−レン固体とする。つまり本発明のフ
ラ−レン固体は、中空フラ−レン+メタロフラ−レンと
いうふうに簡明に表現される。
【0018】
【作用】本発明者は中空フラ−レンと、メタロフラ−レ
ンから構成されるフラ−レン固体が電気伝導性を示すこ
と、中空フラ−レンとメタロフラ−レンの組成比を変え
ることにより導電率及び伝導型の自由な制御が可能であ
ることを見い出した。
【0019】本発明は中空フラ−レンの中から選ばれた
少なくとも一種類の分子と、メタロフラ−レンの中から
選ばれた少なくとも一種類の分子から構成されるフラ−
レン固体を形成することにより、導電性を有するフラ−
レン固体を実現する。さらにまた中空フラ−レンとメタ
ロフラ−レンの組成比を変えることにより導電率及び伝
導性の制御を可能にしている。
【0020】メタロフラ−レンは、フラ−レンの籠の中
に、一つ或いは複数の金属の原子を内包させたものであ
る。金属を含むので、メタロという接頭語が付くのであ
る。メタロフラーレンは通常My @Cz (M:金属)と
表記される。例えば、C82にLa原子が1つ内包された
ものはLa@C82と表される。金属内包フラ−レンと区
別するために、これまで単にフラ−レンと呼んでいた金
属を含まないフラ−レンを、中空フラ−レンと呼ぶこと
にする。普通のフラ−レンを中空フラ−レンというので
あり特別な種類のものではない。
【0021】メタロフラ−レンは金属原子を内包するか
らイオン化ポテンシャルが小さい。籠の中に閉じ込めら
れた金属が電子を放出しやすいからである。もちろん金
属によってイオン化ポテンシャルは相違する。中空フラ
−レンは、炭素原子のみからなる。真性半導体であっ
て、1.5eVのバンドキャップをもつため、電子が容
易に外部に飛び出さない。メタロフラーレンに比べイオ
ン化ポテンシャルは高く、電子親和力は大きい。
【0022】イオン化ポテンシャルの高い中空フラ−レ
ンと、電子親和力の小さいメタロフラ−レンを組み合わ
せるから、メタロフラ−レンは、電子親和力の大きな中
空フラ−レンに対して強い電子供与体となり、逆に中空
フラ−レンはメタロフラ−レンに対して電子受容体とな
る。従って本発明に示す中空フラ−レンとメタフラ−レ
ンから構成されるフラ−レン固体は、両性的な振る舞い
をする。
【0023】つまり中空フラ−レンを主体とする場合に
おいては、メタロフラ−レンがドナ−として働くためn
型伝導性を示す。主体とするというのは、それが多いと
いうことである。この場合、メタロフラ−レンから中空
フラ−レンへの電子の移動が生じ、n型伝導性を示すよ
うになる。伝導度は、メタロフラ−レンの比率にほぼ比
例する。n型であって、しかも電導率を制御できるので
ある。ここにおいてアルカリ金属をドープした場合と違
う。
【0024】反対にメタロフラ−レンを主体とする場合
においては、中空フラ−レンがアクセプタとして働く。
つまりメタロフラ−レンから中空フラ−レンへの電子の
移動が生じ、p型伝導性を示す。導電率は、メタロフラ
−レンと中空フラ−レンの比率によって制御することが
できる。本発明においてさらに重要なのはこの点であ
る。
【0025】このように本発明では、中空フラ−レンと
メタロフラ−レンの比率を変化させることにより導電率
(σ)および伝導性(p或いはn)を自由に変化させる
ことが可能である。
【0026】図2に本発明においてp型、n型の半導体
にするためのフラ−レンの組み合わせの比率を略示す
る。(a)に示すように、メタロフラ−レンが50%を
越えるように組み合わせるとp型の伝導型になる。反対
に中空フラ−レンが50%を越えるように組み合わせる
と、(b)示すようにn型の伝導型になる。
【0027】ただしキャリヤ数の揺らぎや、移動度の違
いがあって、正確に50%の上下で伝導型が切り替わる
とは限らない。n型又はp型の伝導層を形成するために
は、先述のように0.4〜0.6の境界領域は避けた方
が良い。インタ−カレ−ションを用いる従来の技術(H
addon等)とは異なり、殆ど全ての組成域にわたり
本発明のフラ−レンは半導体的性質を示す。さらに組成
の変化に対する導電率の変化が緩やかであるため、導電
率の制御が容易となる。
【0028】本発明のフラ−レン固体は、中空フラ−レ
ンとメタロフラ−レンからなる。中空フラ−レンとして
は例えばC60、C70、C76、C78、C82、C84、C90
96などの中から少なくとも一種類を選んで構成分子と
することができる。図1に本発明のフラ−レン固体の概
略の組成を略示する。
【0029】メタロフラ−レンとしては、C60、C70
76、C78、C82、C84、C90、C96等フラ−レン骨格
の中に、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、M
g、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、
Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Cr、Mo、W、Ac、Th、Pa、Uなどの金
属を内包したものを用いることができる。これらの金属
を含むメタロフラ−レンは後述する公知の方法により簡
単に合成、単離が可能である。
【0030】例えばLa@C82、Y@C82、Sc@
74、Sc@C82、Sc2 @C82、Sc2 @C84、Sc
3 @C82、Ce@C82、Nd@C82、Sm@C82、Eu
@C82、Gd@C82、Tb@C82、Dy@C82、Ho@
82、Er@C82、U@C60、Ca@C60などから少な
くとも一種類を選んで構成分子として利用することがで
きる。
【0031】本発明においては、複数の種類の中空フラ
−レンと複数の種類のメタロフラ−レンを組み合わせて
導電性固体を形成することももちろん可能である。しか
し一種類の中空フラ−レンと一種類のメタロフラ−レン
の組合せ、すなわち中空フラ−レンをCx 、メタロフラ
−レンをMy @Cz とするとき、(My @Cza (C
x1-a なる組成にて示されるフラ−レン固体を形成す
ると、導電率の制御が容易となるためより望ましい。a
はメタロフラ−レンの比率である。
【0032】この固体が導電性を示すための組成比はa
=0.0001〜0.9999である。極めて広い範囲
の比率において導電性を示す。この範囲であればほぼ全
域にわたり、組成の変化により導電率を変化させること
ができる。
【0033】本発明のフラ−レン固体を導電体、半導体
として電子デバイスなどに応用するためには、フラ−レ
ン固体の抵抗率ρが1×10-5≦ρ≦1×105 Ωcm
であることが望ましい。これは0.001≦a≦0.4
及び0.6≦a≦0.999なる組成比の範囲で実現す
ることができる。
【0034】a<0.001及び0.999<aなる組
成比においては、キャリヤ濃度が低いので十分な導電率
が得られない。0.4<a<0.6なる組成比において
はキャリヤの補償により、実用に十分な導電率が得られ
ない。中空フラ−レンの炭素数と、メタロフラ−レンの
炭素数はもちろん違っていても良い。この場合は多結
晶、アモルファスができることが多い。
【0035】中空フラ−レンの炭素原子数とメタロフラ
−レンの炭素原子数が等しいものを用いると全ての組成
域にわたり単結晶固体を得ることができる。単結晶のフ
ラ−レンは電子デバイスの応用には更に望ましい。この
場合、中空フラ−レンと同じ炭素原子数を持つメタロフ
ラ−レンであれば、内包させる金属の種類や数の異なる
複数の種類を組み合わせて固体を形成しても、全ての組
成域で単結晶を得ることができる。
【0036】中空フラ−レンの炭素原子数とメタロフラ
−レンの炭素原子数が異なる場合や、中空フラ−レン或
いはメタロフラ−レンに炭素数の異なる複数の種類を組
み合わせた場合には、単結晶の得られる組成比が狭く制
限されてしまう。それ以外の組成比の領域では、多結晶
あるいはアモルファスとなる。固体の合成法によっても
アモルファスあるいは多結晶となるが、これらの場合で
も組成の変化により導電率や導電型を変化させることは
可能である。一般に、本発明のフラ−レン固体を電子デ
バイスとして用いる場合は結晶性を有する方が望まし
い。
【0037】本発明のフラ−レン固体は、中空フラ−レ
ン固体、メタロフラ−レン固体と同様にfcc構造、h
cp構造、斜方晶構造の結晶構造をとり得る。固体の形
成法によっても取り得る結晶構造は変化する。
【0038】次に本発明のフラ−レン固体の製造方法に
ついて説明する。原料となる中空フラ−レン及びメタロ
フラ−レンは、ア−ク放電法、レ−ザ蒸発法、燃焼法、
スパッタ法など公知の手法により作製した煤中からベン
ゼン、トルエン、二硫化炭素などの溶媒を用い、カラム
クロマトグラフィ−、液体高速クロマトグラフィ−を用
いて単離して使用する。
【0039】本発明の導電性フラ−レン固体の合成法と
しては、中空フラ−レンとメタロフラ−レンを原料とし
て、例えば溶媒蒸発法、昇華法など公知の手法を用いる
ことができる。溶媒蒸発法では、原料となる中空フラ−
レン及びメタロフラ−レンをベンゼン、トルエン、二硫
化化炭素などから選んだ共通の溶媒に溶解した後、溶媒
を蒸発させることによりフラ−レン固体を得る。昇華法
では、中空フラ−レン及びメタロフラ−レンの結晶粉末
を石英管に封入し、温度勾配のもとで成長させることに
よりフラ−レン固体を合成する。
【0040】本発明の導電性フラ−レン固体を電子デバ
イスに応用する場合には、基板上に薄膜として形成され
ている事が望ましい。薄膜を得る方法としては、真空蒸
着法、MBE法、イオンクラスタ−ビ−ム法など公知の
手法を用いることができる。
【0041】薄膜形成する場合には、中空フラ−レン及
びメタロフラ−レンを原料として真空蒸着法、MBE
法、イオンクラスタビ−ム法などを用いるが、基板に雲
母、MoS2 、CaF2 、GaSe、水素終端Si(1
11)面を用いれば単結晶膜を得ることができる。
【0042】
【実施例】以下本発明の実施例を詳細に説明する。 [実施例1] (中空フラ−レン=C84、メタロフラ−レン=Sc2
84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=5:1、溶
媒蒸発法、hcp単結晶、n型半導体の例) グラファ
イト(黒鉛)電極を用いたア−ク放電法により作製した
煤中から、C84を二硫化炭素を展開液とする液体高速ク
ロマトグラフィ−によって単離した。黒鉛にSc23
を重量比7%混合した電極をア−ク放電法により作製し
た煤中からSc2 @C84を、二硫化炭素を展開液とする
液体高速クロマトグラフィ−を用いて単離した。
【0043】C84とSc2 @C84の分子数の比が5:1
になるように両者を二硫化炭素(CS2)に溶解し、溶
媒(二硫化炭素)を自然蒸発させ固体を得た。得られた
フラ−レン固体は透過電子線回折によりa=1.12n
m、c=1.83nmの格子定数を持つhcp結晶構造
を有する単結晶であることが判明した。室温での抵抗率
は10Ωcmであった。ホ−ル(Hall)測定により
n型半導体であることが分かった。
【0044】[実施例2] (中空フラ−レン=C84、メタロフラ−レン=Sc2
84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=1:5、溶
媒蒸発法、hcp単結晶、p型半導体の例)実施例1と
同様にしてC84とSc2 @C84を単離した。分子数の比
がC84:Sc2 @C84=1:5になるように二硫化炭素
に溶解し、溶媒を自然蒸発させフラ−レン固体を得た。
得られた固体は透過電子線回折により、a=1.12n
m、c=1.83nmの格子定数を持つhcp構造を有
する単結晶であることが判明した。室温での抵抗率は1
0Ωcmであった。ホ−ル測定によりp型半導体である
ことが分かった。
【0045】[実施例3] (中空フラ−レン=C84、メタロフラ−レン=Sc2
84、中空フラ−レン:メタロフラ−レン=1:5、昇
華法、fcc単結晶、p型半導体の例)実施例1と同様
にしてC84とSc2 @C84を単離した。この結晶粉末を
分子数の比がC84:Sc2 @C84=1:5になるように
石英管に入れ真空シ−ルした。この石英管を電気炉の中
に入れ、原料粉末部の温度が700℃、結晶成長部の温
度が680℃になるように温度勾配を付け、C84単結晶
を種結晶として結晶成長させた。得られた固体は透過電
子線回折により、a=1.59nmの格子定数を持つf
cc構造を有する単結晶であることが判明した。室温で
の抵抗率は8Ωcmであった。ホ−ル測定によりp型半
導体であることが分かった。
【0046】[実施例4] (中空フラ−レン=C60、メタロフラ−レン=La@C
82、真空蒸着法、アモルファス、n型半導体の例)グラ
ファイト電極を用いたア−ク放電法により作製した煤中
からトルエン:ヘキサン=1:1混合溶媒とアルミナカ
ラムを用いてC60を単離した。黒鉛中にLa23 を重
量比7%混合した電極を用いたア−ク放電法により作製
した煤中から、二硫化炭素を展開液とする液体高速クロ
マトグラフィ−を用いてLa@C82を単離した。
【0047】これらを分子数の比がC60:La@C82
1:1になるように混合した。この混合物を原料として
真空蒸着法により薄膜を形成した。真空度1×10-6
orr、蒸発源温度700℃とし、基板温度は200℃
とした。この条件で石英基板上にフラ−レン薄膜を形成
した。
【0048】得られた薄膜はX線回折によりアモルファ
スであることが確認された。室温での抵抗率は100Ω
cmであった。ホ−ル測定によりn型半導体であること
が分かった。これはフラ−レンの炭素の数nが違う(6
0と82)ので、アモルファスになったものであろう。
前記の溶媒蒸発法、昇華法と異なり、真空蒸着法では得
られたフラ−レン固体の組成比は原料比と同じにはなら
ない。蒸発源温度700℃では、La@C60よりもC60
の方が蒸発速度が速いため、C60分子数>La@C60
子数となり、n型伝導性を示したものと思われる。
【0049】
【発明の効果】本発明は以上に述べたように、中空フラ
−レン分子とメタロフラ−レン分子を混合し両者から構
成されるフラ−レン固体を形成する。中空フラ−レンと
メタロフラ−レンの相補的な性質を巧みに利用し、導電
性を有するフラ−レン固体を得る。フラ−レン分子とメ
タロフラ−レン分子の組成比を変えることによりp型の
半導体もn型の半導体をも実現できる。しかも導電率を
自由に変化させることができる。つまり組成比をパラメ
ータとして、導電率及び伝導型の制御を容易に行なうこ
とができる。導電材料、半導体材料として、広く電子デ
バイスの材料としてフラ−レンの用途を大きく開くもの
である。
【0050】金属元素をインタ−カレ−トするのではな
い。金属はフラ−レンの籠の中にあって安定である。従
ってフラ−レンによって大気中でも経年変化のない安定
した特性の半導体、導電体を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフラ−レン固体の組成を示す概略組成
図。
【図2】中空フラ−レンとメタロフラ−レンの混合比率
によって、p型、n型の半導体ができることを示す図。
(a)はp型の組み合わせを、(b)はn型の組み合わ
せを示す。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空フラ−レンの中から選ばれた少なく
    とも一種類の分子と、メタロフラ−レンの中から選ばれ
    た少なくとも一種類の分子から構成され、導電性を有す
    ることを特徴とする導電性フラ−レン固体。
  2. 【請求項2】 メタロフラ−レン分子数の、全体の分子
    数に対する比率aが0.0001〜0.9999である
    ことを特徴とする請求項1に記載の導電性フラ−レン固
    体。
  3. 【請求項3】 一種類の中空フラ−レンと一種類のメタ
    ロフラ−レンからなり、中空フラ−レンをCx 、メタロ
    フラ−レンをMy @Cz とするとき、(My@Cza
    (Cx1-a なる組成にて示す場合、a=0.0001
    〜0.9999であることを特徴とする請求項1に記載
    の導電性フラ−レン固体。
  4. 【請求項4】 メタロフラ−レンに内包される金属がL
    i、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Sr、
    Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、P
    m、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
    m、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
    Cr、Mo、W、Ac、Th、Pa、Uであることを特
    徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電性
    フラ−レン固体。
  5. 【請求項5】 メタロフラ−レンが、La@C82、Y@
    82、Sc@C74、Sc@C82、Sc2 @C82、Sc2
    @C84、Sc3 @C82、Ce@C82、Nd@C82、Sm
    @C82、Eu@C82、Gd@C82、Tb@C82、Dy@
    82、Ho@C82、Er@C82、U@C60、Ca@C60
    のいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項4
    のいずれかに記載の導電性フラ−レン固体。
  6. 【請求項6】 フラ−レン固体が結晶性を有すること特
    徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電性
    フラ−レン固体。
  7. 【請求項7】 フラ−レン固体の抵抗率ρが1×10-5
    ≦ρ≦1×105 Ωcmであることを特徴とする請求項
    1〜請求項6のいずれかに記載の導電性フラ−レン固
    体。
  8. 【請求項8】 基板上に形成されていることを特徴とす
    る、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の導電性フラ
    −レン固体。
  9. 【請求項9】 中空フラ−レン及びメタロフラ−レンを
    溶解した溶液中から溶媒を蒸発させることによりフラ−
    レン固体を合成することを特徴とする導電性フラ−レン
    固体の製造方法。
  10. 【請求項10】 中空フラ−レン及びメタロフラ−レン
    の結晶粉末を石英管に封入し温度勾配のもとで成長させ
    ることによりフラ−レン固体を合成することを特徴とす
    る導電性フラ−レン固体の製造方法。
  11. 【請求項11】 中空フラ−レン及びメタロフラ−レン
    を原料とし、真空蒸着法、MBE法、クラスタイオンビ
    −ム法の中から選んだ一種類の方法により基板上にフラ
    −レン薄膜を形成することを特徴とする導電性フラ−レ
    ン固体の製造方法。
  12. 【請求項12】 全体の分子数に対するメタロフラ−レ
    ン分子数の比率aを0.0001〜0.4とすることに
    よりn型の半導体のフラ−レン固体を製造する事を特徴
    とする請求項9、10または11項に記載の導電性フラ
    −レン固体の製造方法。
  13. 【請求項13】 全体の分子数に対するメタロフラ−レ
    ン分子数の比率aを0.6〜0.9999とすることに
    よりp型の半導体のフラ−レン固体を製造する事を特徴
    とする請求項9、10または11項に記載の導電性フラ
    −レン固体の製造方法。
  14. 【請求項14】 メタロフラ−レンと中空フラ−レンの
    炭素数nを等しくすることによりフラ−レン単結晶を製
    造する事を特徴とする請求項9、10、11、12或い
    は13に記載の導電性フラ−レン固体の製造方法。
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