JPH0830998A - スキュー制御装置 - Google Patents

スキュー制御装置

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JPH0830998A
JPH0830998A JP16649694A JP16649694A JPH0830998A JP H0830998 A JPH0830998 A JP H0830998A JP 16649694 A JP16649694 A JP 16649694A JP 16649694 A JP16649694 A JP 16649694A JP H0830998 A JPH0830998 A JP H0830998A
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Seiji Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 装置を大型化せずに正確にスキューを検出す
る。 【構成】 復号対象の情報ピットのエッジと、そのエッ
ジの再生レベルを、復号化回路84〜86で復号化し、
結果をメモリ87に出力する。ここには、復号対象前後
のエッジからの符号間干渉を補正するデータが記録され
て加算回路88に出力される。復号対象のエッジから1
つ離れたエッジの再生信号を、復号化回路151,15
2で復号化しその値に、乗算係数k1,k2を乗算回路2
01,202で乗算、この乗算係数k1,k2は、学習機
能回路121Cで符号間干渉を抑制する値に設定し、P
TF検出回路17の減算回路601は、この乗算係数k
1,k2の差を演算し、タンジェンシャルスキュー(T
S)に対応する信号を得てローパスフィルタ602を介
して、スキューモータに供給しピックアップのTSが調
整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば光ディスク、光
磁気ディスク等の情報記録媒体から情報を再生する情報
再生装置に用いて好適なスキュー制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のCAV(角速度一定)モードで用
いられる光ディスクにおいては、各トラックの所定の位
置に周期的にサーボバイト区間を設け、このサーボバイ
ト区間に、基準クロック生成用のクロックピットと、ト
ラッキング用のウォブルドピットを形成するようにして
いる。そして、クロックピットに対応して基準クロック
(チャンネルクロック)を生成し、この基準クロックの
周期の整数倍の長さのピットにより、情報をデジタル的
に記録するようにしている。
【0003】また、例えば、CD(コンパクトディス
ク)のようなCLV(線速度一定)モードで用いられる
システムにおいては、クロックピットは存在しないが、
記録されたピットの長さおよびピット間隔が、基準クロ
ック(チャンネルクロック)の周期(0.3μm)の整
数倍の長さ(CDの場合、約0.9μm乃至3.3μm
の9種類の長さ)になるように選ばれており(所謂、セ
ルフクロック方式とされており)、再生RF信号中に含
まれるクロック成分を抽出し、記録された情報をビット
単位に切り出している。
【0004】ところで、同じ光ディスクであるビデオデ
ィスクでは、CDよりもはるかに細かいピットの長さの
差でビデオ信号をFM変調して、記録し、再生してい
る。いま、このことを、CAVモードで半径55mmの
所に記録される信号を例に挙げて説明する。ビデオディ
スクでは、ビデオ信号中の最も明るい部分を9.3MH
z、最も暗い部分を7.6MHzの信号として記録して
おり、これは半径55mmのディスク上で、それぞれ
1.075μmと1.316μmに相当する。このよう
に記録されたディスクを再生すると、大変美しい映像が
再生されるのは周知の事実である。
【0005】この映像で、128階調の明るさの変化が
表現できているとすると、これは、ディスク上で、ピッ
トの周期が128段階以上に細かく変化され、記録さ
れ、これが再生されていることを意味する。つまり、 (1.316μm−1.075μm)÷128=0.0
02μm の細かいピット長およびピット間隔の変化が、ビデオ信
号に反映されているのである。
【0006】ピットの長さの変化としては、このように
細かい変化が記録できるのにも拘らず、CDにおいて、
ピット長の変化の最小単位を0.3μmと、大きくしな
ければならないのは、主にその記録再生方法が最適でな
いことによる。
【0007】本出願人は、特願平3−167585号と
して、情報ピットの前方または後方エッジの位置を、記
録情報に対応して所定の基準位置からステップ状にシフ
トして、デジタル情報を記録することを先に提案した。
この記録再生方法によれば、ピット長およびピットエッ
ジの位置の変化を非常に高い精度で検出可能であるの
で、これまで不可能であると思われていた微小な変化で
デジタル情報を記録することが可能となり、その結果、
これまで以上の高密度化を実現することができる。
【0008】また、本出願人は特願平5−20876号
として、以上のようにして記録したデータを2次元的に
復号する方法を提案した。即ち、この方法においては、
光ディスク上に教育ピットが予め形成されている。この
教育ピットの前端のエッジMと後端のエッジNの組み合
わせ(M,N)としては、(0,0)乃至(7,7)の
64(=8×8)個の組み合わせが用意されている。こ
の教育ピットを再生し、その再生レベルに対応して、R
AM上に基準点をマッピングする。
【0009】そして、通常のデータピットを再生し、そ
の前端エッジと後端エッジの2つの位置における再生R
F信号のレベルをサンプリングし、その2つのレベルに
より特定されるRAM上の点を求める。そして、その点
に最も近い基準点を求め、その基準点が対応する教育ピ
ットのエッジと同一の組み合わせのエッジを、そのデー
タピットが有するものとしてデータを復号するのであ
る。
【0010】しかしながら、このように、メモリ上に教
育ピットに対応する基準点をマッピングし、最も近い基
準点を求めることでデータを復号する方法は、符号間干
渉の状態が変わると、その変化に応じてRAMの内容、
即ち、基準点の位置を全て書き替える必要がある。例え
ば、光ディスクにスキューがあるような場合、符号間干
渉は光ディスクの回転とともに高速で変化するが、RA
M上のデータを、この光ディスクの高速回転に対応し
て、高速に書き替えることは不可能である。
【0011】従来、このようなスキューを補正するの
に、例えば図32に示すように、LED611と、その
前後(左右)に配置されたフォトダイオード(PD)6
12,613よりなるスキューセンサ610を設けるよ
うにしている。
【0012】光ディスク1にスキューが存在しないと
き、LED611より出射された光は、PD612とP
D613に均等に入射される。即ち、PD612とPD
613の出力は、ほぼ等しい。これに対して、スキュー
が存在する場合においては、受光量のバランスが崩れ、
PD612またはPD613の一方の出力が、他方の出
力に比べて大きくなる。そこで、このPD612とPD
613の出力の差から、光ディスク1のスキューを検出
することができる。
【0013】そして、スキューが検出されると、その検
出出力に対応して、図33に示すように、光ディスク1
に対して情報を記録または再生するピックアップ3の角
度を制御する。即ち、ピックアップ3より出射されたレ
ーザ光が光ディスク1に垂直に入射するように、ピック
アップ3の光ディスク1に対する角度θを制御する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来の装置において
は、このように、ピックアップ3とは別にスキューセン
サ610を設け、このスキューセンサ610によりスキ
ューを検出するようにしているため、スキュー、特にタ
ンジェンシャルスキューを正確に検出することができな
い課題があった。即ち、スキューセンサ610は、ピッ
クアップ3の近傍に配置されるものの、ピックアップ3
とは離れた位置に配置されるため、ピックアップ3の光
軸と、光ディスク1の角度を正確に検出することが困難
となる。
【0015】さらにまた、スキューセンサ610とピッ
クアップ3との取り付け誤差も発生するため、PD61
2とPD613の出力が等しい状態になったとしても、
ピックアップ3の光軸と光ディスク1の角度が、正しい
角度になっていないことがあった。
【0016】さらに、スキューセンサ610を、ピック
アップ3とは別に設ける必要があるため、装置が大型化
する課題があった。
【0017】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、装置を大型化することなく、正確にスキュ
ーを検出することができるようにするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のスキュー制御装
置は、デジタルデータが記録されているディスク媒体
(例えば図5の光ディスク1)からデジタルデータを再
生する再生手段(例えば図5のピックアップ3)と、再
生手段の出力から、時間的に前の第1の値(例えば図1
4のVa(n-1))、時間的に後の第2の値(例えば図1
4のVa(n+1))、および時間的に第1の値と第2の値
の中間の第3の値(例えば図14のVa(n))を生成す
る生成手段(例えば図14のフリップフロップ81乃至
83,141)と、第1の値を復号する第1の復号手段
(例えば図14の復号化回路152)と、第2の値を復
号する第2の復号手段(例えば図14の復号化回路15
1)と、第3の値を復号する第3の復号手段(例えば図
14の復号化回路85)と、第1の復号手段の出力に第
1の乗算係数(例えば図14のk2)を乗算する第1の
乗算手段(例えば図14の乗算回路202)と、第2の
復号手段の出力に第2の乗算係数(例えば図14のk
1)を乗算する第2の乗算手段(例えば図14の乗算回
路201)と、第3の復号手段、第1の乗算手段および
第2の乗算手段の出力から、第1の乗算係数と第2の乗
算係数を演算する演算手段(例えば図14の学習機能回
路121C)と、第1の乗算係数と第2の乗算係数との
差を演算する減算手段とを備えることを特徴とする。
【0019】演算手段には、デジタルデータの理想の再
生レベルを演算する理想値演算手段(例えば図19の演
算回路418)と、理想の再生レベルと実際の再生レベ
ルとの差分からなる誤差信号を求める誤差演算手段(例
えば図19の加算回路419)と、誤差信号を利用して
第1の乗算係数と第2の乗算係数を演算する係数演算手
段(例えば図19の乗算回路420,423)とを設け
ることができる。
【0020】係数演算手段には、誤差信号と、第3の復
号手段が出力する第3の値の復号値とを乗算して、第1
の乗算係数と第2の乗算係数を演算させるようにするこ
とができる。
【0021】演算手段には、係数演算手段の出力を平均
化する平均手段(例えば図19の平均値計算回路42
1,424)と、平均手段の出力に対応してカウント値
をアップまたはダウンさせるカウント手段(例えば図1
9のアップダウンカウンタ422,425)をさらに設
けることができる。
【0022】第1、第2および第3の復号手段、並びに
第1および第2の乗算手段からなる組を、複数段、縦続
接続させるようにすることができる。また、このとき、
組の段数は、偶数とすることができる。
【0023】減算手段の出力の低周波数成分を抽出する
抽出手段(例えば図27のローパスフィルタ602)
と、抽出手段の出力に対応して再生手段のディスク媒体
に対する相対的角度を制御する制御手段(例えば図5の
スキューモータ18)とをさらに設けることができる。
【0024】ディスク媒体には、情報ピット列に沿って
光ビームで走査する再生手段の伝達特性に応じて決まる
再生信号の過渡期間(例えば図2の立上り期間tr、立
下り期間tf)の立上り期間よりも小なる所定のシフト
期間(例えば図2のシフト期間Ts)に相当する範囲以
内で、情報ピットのエッジ位置を、記録する符号に対応
して、所定の基準位置からステップ状にシフトして、デ
ジタルデータを記録させることができる。
【0025】
【作用】上記構成のスキュー制御装置においては、ピッ
クアップ3により再生された出力のうち、時間的に前の
第1の値を復号して得られるデータに乗算する第1の乗
算係数k2と、時間的に後の第2の値を復号して得られ
るデータに乗算する第2の乗算係数k1との差から、ス
キューが検出される。従って、ピックアップ3以外にス
キューセンサが不要となり、スキューを正確に検出する
ことができると同時に、小型の装置を実現することが可
能となる。
【0026】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
いて説明する。
【0027】図1は、本発明のスキュー制御装置を応用
した情報再生装置で再生する光ディスクの基本的フォー
マットの一例を示している。
【0028】この実施例では、直径120mmの反射型
(光ビームの反射面に、ピットが物理的な凹部または凸
部によって形成されている)光ディスク1に、CLVモ
ード、トラックピッチ1.6μmで、ピット列が記録さ
れている。全ての情報は、一定周期1.67μm毎に配
置されたピットの前端(立上り)と、後端(立下り)の
エッジ位置の8段階のシフト量として記録されている。
このシフト量の1単位である単位シフト量Δは、0.0
5μmに設定されている。
【0029】このように配列された各ピットのエッジ位
置の8段階のシフト量で、それぞれ3ビットのデジタル
情報を記録することができるので、ピット列方向の線記
録情報密度は0.28μm/bitと、現在のCDシス
テムの2倍以上となる。
【0030】尚、CDシステムにおいては、線速度を上
限の1.2m/sとした場合においても、EFM(Eigh
t to Fourteen Modulation)変調により、記録すべき8
ビットのデータビットが、14ビットのインフォメーシ
ョンビットと3ビットのマージンビットの合計17ビッ
トのチャネルビットに変換されて、ディスク上のピット
に記録されるため、このEFM変調を勘案すると、線記
録情報密度は、約0.6μm/bitである。即ち、約
0.9μmの最短ピットが、3チャネルビットに相当す
るから、 (0.9÷3)×(17÷8)=約0.6μm/bit となる。
【0031】ここで、図2に示すように、光ディスク1
に記録されたピットのエッジ位置は、そのピットの中心
の基準位置から、記録すべきデジタル情報に応じてステ
ップ状にシフトしているが、そのシフト期間Ts(=Δ
×7)は、光学検出系の伝達特性に応じて決まるRF信
号(再生信号)の過渡期間(0レベルまたは飽和レベル
となる定常状態以外の期間)である立上り期間trまた
は立下り期間tfよりも小なる期間に相当する範囲内に
設定されている。
【0032】上記RF信号は、後述する再生装置のピッ
クアップ3から出力されるものであり、このピックアッ
プ3の伝達特性によって過渡期間が決まる。一般に、光
学系の伝達特性は、その伝達関数(OTF:Optical Tr
ansfer Function)の絶対値であるMTF(Modulation
Transfer Function)によって規定され、このMTF
は、レンズの開口率NAとレーザの波長λに依存して決
まる。
【0033】上記シフト期間Tsで、単位シフト量Δを
0.05μmよりもさらに小なる単位量でシフトさせれ
ば、さらに記録密度を高めることができる。
【0034】このように記録されたピットの中心の基準
位置に、位相的に同期したサンプルクロックSPの例え
ば立上りエッジのタイミングでRF信号をA/D変換す
ることによって、ピットのエッジ位置のシフト量0乃至
7に対応する再生レベルL0乃至L7を得ることができ
る。このように、RF信号の過渡期間trまたはtfに
おいて、1回だけサンプリングして、その再生レベルL
0乃至L7を検出することができる条件は、 シフト期間Ts≦過渡期間(立上り期間trまたは立下
り期間tf) ということになる。
【0035】ここで、サンプルクロックSPによるサン
プリングタイミングとしては、シフト期間Tsの中央に
対応するタイミングが望ましく、このタイミングとする
ことにより、RF信号の過渡期間の全範囲に渡って再生
レベルを検出することが可能となる。
【0036】また、この実施例においては、ディスク
を、光ビームの反射面に物理的な凹部または凸部として
ピットが形成された、いわゆる反射型の光ディスクとし
たが、本発明は、光磁気膜の部分的な磁化の反転によっ
てピット(マーク)を形成する、いわゆるMO(Magnet
o Optical)ディスク(光磁気ディスク)等にも適用す
ることが可能である。
【0037】光ディスク1上に記録されるデジタル情報
は、3ビット単位に切り出され、記録データ(符号)a
nとbnとして、n番目のピットに記録される。図3は、
この様子を示したもので、ピットの前端エッジが記録デ
ータanに応じて0乃至7の8個のシフト位置のいずれ
かに設定される。同様にして、後端エッジの位置も記録
データbnに応じて0乃至7の8個のシフト位置のいず
れかに設定される。各シフト位置のピッチΔは、先に述
べたように0.05μmである。その結果、各ピットの
長さLPは、記録データan,bnがいずれもシフト位置
0のエッジに形成されたとき、最も短い長さLP=0.
5μmとなる。
【0038】再び図1に戻り、光ディスク1において
は、記録データに対応して形成された43個のデータピ
ットからなるデータ領域と他のデータ領域の間に、サー
ボ用の6個のサーボピットP1乃至P6からなるサーボ
領域が挿入されている。このサーボ領域に記録された6
個のピットのうち、ピットP6は教育ピットとされ、ピ
ットP1乃至P5は基準ピットとされている。教育ピッ
トP6の図中左側の前端エッジは、その位置が0から7
の8段階のシフト位置の何れかの位置Mに設定されてお
り、また図中右側の後端エッジも、0から7までの8段
階のシフト位置の何れかの位置Nに設定されている。
【0039】教育ピットP6の前端エッジの位置Mと後
端エッジの位置Nは、各サーボ領域において、それぞれ
異なる組み合わせになるように、規則的に組み合わせが
設定されている。即ち、MとNが最初のサーボ領域にお
いては、(0,0)とされ、次のサーボ領域においては
(0,1)とされる。以下同様に、(0,2),(0,
3),・・・,(7,6),(7,7)と規則的に組み
合わせが設定されている。これにより、64(=8×
8)個のサーボ領域を再生することで、教育ピットP6
の前端エッジと後端エッジの全てのあり得る位置の組み
合わせを検出することができる。
【0040】基準ピットP2乃至P4は、(0,0)と
(7,7)の基準位置のデータを得るためのピットであ
る。この基準位置データは、理論的には、例えばピット
P1またはP5の両端のエッジに形成することも可能で
ある。しかしながら、そのようにすると、隣接するデー
タ領域からの干渉の割合が記録データによって変化する
ことになるため、実施例のように、ダミーの基準ピット
P1とP5(そのデータは常に固定されている)の間の
ピットP2乃至P4に基準位置データを形成するのが好
ましい。
【0041】また、クロック生成基準としてのエッジ
も、基準ピットP1乃至P5の間のいずれかのエッジと
すれば、記録データに影響されずに、正確にクロックを
生成することができる。
【0042】図4は、光ディスク1の平面的な構造を簡
単に説明するものである。トラックピッチ1.6μmで
記録された信号は、CLVモードで記録されているの
で、隣合うトラック間ではピット位置の位相は合わず、
この図に示されたように、ばらばらの位相でディスク上
に記録されている。
【0043】図5は、本発明のスキュー制御装置を応用
した光ディスク再生装置の一実施例の構成を示すブロッ
ク図である。光ディスク1は、スピンドルモータ2によ
り回転されるようになされている。この光ディスク1に
は、図1および図2に示した原理に基づいてデジタル情
報が記録されている。即ち、ピットの前端と後端のエッ
ジの少なくとも一方の位置を所定の基準位置からステッ
プ状にシフトすることにより、デジタル情報が記録され
ている。そして、この光ディスク1には、一定の周期で
サーボ領域が形成されており、そこには、基準ピットP
1乃至P5と、教育ピットP6が形成されている。デー
タ領域には、データピットが形成されているのはもとよ
りである。
【0044】ピックアップ3は、光ディスク1に対して
レーザ光を照射し、その反射光から光ディスク1に記録
されている信号を再生する。ピックアップ3が出力する
RF信号は、ヘッドアンプ4により増幅され、フォーカ
ストラッキングサーボ回路5、APC回路6、PLL回
路7およびスピンドルサーボ回路8に供給されるように
なされている。
【0045】フォーカストラッキングサーボ回路5は、
入力された信号からフォーカスエラー信号およびトラッ
キングエラー信号を生成し、その誤差信号に対応して、
フォーカス制御およびトラッキング制御を実行する。ま
た、APC回路6は、光ディスク1に対して照射される
レーザ光のパワーが一定になるようにサーボをかける。
【0046】PLL回路7は、入力信号からクロック成
分を抽出するものである。通常のCDシステムなどで使
用されるPLL回路は、全てのRF信号を使ってクロッ
ク再生を行うが、本実施例の場合は、サーボ領域のRF
信号のみを使ってクロック再生を行う。即ち、サーボ領
域のピットは、記録データで変調されていないので、そ
こから記録データの影響を一切受けずに、安定なクロッ
ク再生を行うことが可能となる。
【0047】スピンドルサーボ回路8は、スピンドルモ
ータ2を制御し、光ディスク1が一定の線速度で回転す
るように制御する。
【0048】一方、ヘッドアンプ4が出力するRF信号
は、A/D変換回路9に入力され、サンプルクロックS
Pの立上りのタイミングで、8ビットの256段階のレ
ベルを示すデジタルデータ(再生レベル)にA/D変換
される。この8ビットのデータがバイアス除去回路10
に供給され、このバイアス除去回路10によりバイアス
成分が除去された後、自動利得制御(AGC)回路11
に入力され、その利得が制御される。AGC回路11の
出力は、非線形イコライザ12を介して誤り検出訂正
(ECC)回路13に入力される。誤り検出訂正回路1
3は、入力されたデータの誤りを検出、訂正した後、例
えば図示せぬD/A変換回路を介して、アナログオーデ
ィオアンプに出力する。
【0049】コントローラ15は、各種演算を行うCP
Uと、このCPUで実行されるプログラムが格納された
プログラムROM等によって構成されており、スピンド
ルサーボ回路8、その他の回路の動作を制御する。
【0050】PTF検出回路17は、非線形イコライザ
12の出力から、ピックアップ3と光ディスク1のスキ
ューを検出し、その検出結果をスキューモータ18に出
力している。スキューモータ18は、PTF検出回路1
7の出力に対応して、ピックアップ3の光軸の光ディス
ク1に対するタンジェンシャル方向の角度(相対的角
度)を調整するようになされている。
【0051】図6は、バイアス除去回路10とAGC回
路11の構成例を示している。バイアス除去回路10
は、A/D変換回路9の出力をラッチするラッチ回路3
1,32,41,43と、ラッチ回路31の出力からラ
ッチ回路41の出力を減算する減算回路42、およびラ
ッチ回路32の出力からラッチ回路43の出力を減算す
る減算回路44とにより構成されている。
【0052】また、AGC回路11は、減算回路42の
出力をラッチするラッチ回路61、ラッチ回路61の出
力から所定の目標振幅を減算する減算回路62、減算回
路62の出力に対応して、減算回路42の出力のレベル
を制御するゲイン可変アンプ63、減算回路44の出力
をラッチするラッチ回路64、ラッチ回路64の出力か
ら所定の目標振幅を減算する減算回路65、減算回路6
5の出力に対応して、減算回路44の出力のレベルを制
御するゲイン可変アンプ66とにより構成されている。
【0053】尚、このゲイン可変アンプ63,66は、
ROMにより構成することができる。この場合、このR
OMに減算回路42と62(44と65)の出力をアド
レスとして入力し、そのアドレスに対応するデータを読
み出すようにする。
【0054】次に、図6の実施例の動作について、図7
のサーボ領域のパターンと、図8のタイミングチャート
を参照して説明する。図7に示すように、基準ピットP
2の後端と基準ピットP4の前端には、基準位置データ
0が記録されている。また、基準ピットP3の前端と後
端には、基準位置データ7がそれぞれ記録されている。
【0055】図7(図8(A))に示すデータピットや
基準ピット、教育ピットなどを再生して、図8(B)に
示すようなRF信号が得られる。このRF信号がA/D
変換回路9に入力され、図8(C)に示すクロックのタ
イミングでA/D変換される。即ち、A/D変換回路9
は、各ピットの前端と後端のエッジに対応するレベルを
サンプリングすることになる。
【0056】ラッチ回路31は、図8(D)に示すクロ
ックAに対応して、A/D変換回路9の出力をラッチす
る。このクロックAは、各ピットの後端のエッジのデー
タをラッチするタイミングで発生される。従って、ラッ
チ回路31には、各ピットの後端のエッジに対応するデ
ータがラッチされることになる。また、ラッチ回路41
は、図8(F)に示すクロックRAにより、A/D変換
回路9の出力をラッチする。このクロックRAは、基準
ピットP2の後端の基準位置データ0をラッチするタイ
ミングで発生されるため、ラッチ回路41には、基準ピ
ットP2の後端の基準位置データ0がラッチされる。減
算回路42は、ラッチ回路31がラッチした各ピットの
後端エッジのデータから、ラッチ回路41がラッチした
後端の基準位置データ0を減算する。
【0057】同様にして、ラッチ回路32には、図8
(E)に示すクロックBのタイミングで、各ピットの前
端のエッジに対応するデータがラッチされ、ラッチ回路
43には、図8(G)に示すクロックRBのタイミング
で、基準ピットP4の前端の基準位置データ0がラッチ
される。そして、減算回路44は、ラッチ回路32にラ
ッチされた各ピットの前端エッジのデータから、ラッチ
回路43にラッチされた前端エッジの基準位置データ0
を減算する。
【0058】このように、各ピットのエッジ位置に対応
するデータから、位置0におけるデータを減算すること
により、再生信号のDC成分(バイアス成分)を除去す
ることができる。これにより、光ディスク1やピックア
ップ3の光学系のバラツキ等に起因して、各ピットのエ
ッジのシフト位置に対応する再生レベル(絶対的レベ
ル)が変化したとしても、正しいシフト位置を正確に判
定することが可能となる。
【0059】減算回路42の出力は、さらにラッチ回路
61において、図8(H)のクロックKAのタイミング
でラッチされる。即ち、ラッチ回路61には、基準ピッ
トP3の前端のエッジに記録されている基準位置データ
7がラッチされる。このラッチ回路61の出力から、減
算回路62において予め設定された目標振幅が減算され
る。そして、その差がゲイン可変アンプ63に供給され
る。
【0060】ゲイン可変アンプ63は、減算回路62よ
り供給される信号に対応して、減算回路42より供給さ
れる信号のゲインを調整する。即ち、これにより、ゲイ
ン可変アンプ63より出力される信号の、基準位置デー
タ7のレベルが目標振幅になるように設定される。
【0061】同様にして、ラッチ回路64において、図
8(I)のクロックKBのタイミングで、減算回路44
の出力がラッチされる。即ち、このラッチ回路64に
は、基準ピットP3の後端のエッジに記録されている基
準位置データ7がラッチされる。このラッチ回路64に
よりラッチされたデータは、減算回路65において目標
振幅が減算された後、ゲイン可変アンプ66に供給され
る。
【0062】ゲイン可変アンプ66は、減算回路65よ
り供給される信号に対応して、減算回路44より供給さ
れる信号のゲインを調整する。即ち、これにより、ゲイ
ン可変アンプ66より出力される信号の、基準位置デー
タ7のレベルが予め設定された目標振幅になるように調
整される。
【0063】このように、AGC回路11により利得を
調整することにより、光ディスク1に局部的に特性のバ
ラツキがあったような場合においても、データを正確に
読み取ることが可能となる。
【0064】図9は、読取ビームスポットとピットとの
相対的位置と、サーボ領域から再生されたクロックとの
関係を表している。同図に示すように、サーボ領域の所
定のエッジのタイミングに同期して生成されたクロック
は、読取用レーザビームのスポットがピットの前端と後
端のエッジ部にきたときに、その立上りエッジが発生す
るように調整されている。上述したようにして、この立
上りのタイミングにおいて、A/D変換回路9により再
生レベルがサンプリングされる。
【0065】いま、ピットの前端のエッジに対応して得
られる再生信号のレベルをVa(n)、後端のエッジに対
応して得られる再生信号のレベルをVb(n)とすると
き、符号間干渉や伝送路の非線形性などが存在しない理
想的な状態のとき、次式が成立する。 Va(n)=Δr・an+C ・・・(1) Vb(n)=Δr・bn+C ・・・(2) ここで、anとbnは、それぞれ記録データであり、Δr
は、光ディスク1上のピット長の変化(シフト)単位Δ
に比例した量である。CおよびΔrは、バイアス除去回
路10とAGC回路11で定まる定数である。
【0066】上述したような理想的な再生信号は、図1
0に示すような階段状の特性を持つ復号化回路を用い
て、簡単に復号することができる。即ち、この復号化回
路は、再生信号Va(n)またはVb(n)の値が所定の範囲
にあるとき、0乃至7のいずれかの値を出力するもので
ある。
【0067】例えば、Δr=32、C=16となるよう
に、上記したバイアス除去回路10とAGC回路11が
調整されているものとすると、図10に示した再生信号
Va(n)またはVb(n)の範囲の閾値は、図11に示すよ
うになる。
【0068】即ち、再生レベルVa(n)またはVb(n)が
0から32の間の値であるとき0、32から64の間の
値であるとき1、64から96の間の値であるとき2、
96から128の間の値であるとき3、128から16
0の間の値であるとき4、160から192の間の値で
あるとき5、192から224の間の値であるとき6、
224以上の値であるとき7、の復号結果が得られる。
このような特性の復号化回路70は、例えば図12に示
すように構成することができる。
【0069】即ち、この実施例の場合、再生レベルVa
(n)またはVb(n)がID7乃至ID0の8ビットのデジ
タルデータとされ、その復号結果がOD2乃至OD0の
3ビットのデジタルデータとして出力される。ID7と
ID6は、それぞれ、そのままOD2またはOD1とさ
れる。そして、ID4,ID3,ID2をインバータ7
1乃至73で反転したデータと、ID6およびID7の
論理積がアンド回路75で演算され、アンド回路75の
出力と、ID5をインバータ74で反転したデータと
を、ノア回路76でノア演算した値がOD0とされる。
【0070】尚、この実施例の場合、入力の最下位の2
ビットID1とID0は、ノイズ成分となり、出力には
何ら影響を与えないため、無視される。
【0071】このように、(1)式と(2)式に示すよ
うな理想的な再生信号が得られる場合においては、図1
3に示すように、AGC回路11の出力を、図12に示
したような構成の復号化回路70で容易に復号すること
ができる。
【0072】しかしながら、実際には、データを高密度
に記録し、ピット間の距離を短くすれば符号間干渉が発
生し、図13に示したような構成の回路では、正しい復
号が困難となる。そこで、例えば本出願人が特願平4−
300470号として先に提案したように、記録に先立
って符号間干渉の量を予測し、これをキャンセルするよ
うに各ピットのエッジ位置を微調整することが考えられ
る。しかしながら、ディスクの製造条件などが微妙に変
化すると、ピットのサイズもまた微妙に変化するため、
符号間干渉の状態も変化してしまうことになる。このた
め、やはり、図13で示したような構成でデータを正確
に復号することは困難である。
【0073】そこで、例えば特願平5−20876号と
して先に提案したように、2点のサンプル信号をマッピ
ングすることで、データを2次元的に復号することが考
えられる。しかしながら、上述したように、マッピング
の前提となる基準点の学習には時間がかかり、スキュー
が存在する場合のように、符号間干渉が光ディスクの回
転とともに高速で変化する場合には、適用が困難とな
る。また、上述したように、遠く離れたピットエッジか
らの符号間干渉をも除去しようとすると、回路規模が大
きくなり、実現不可能になる。
【0074】そこで、本発明においては、図5に示す非
線形イコライザ12を、例えば図14に示すように構成
する。
【0075】図14の実施例においては、AGC回路1
1の出力が4段のフリップフロップ(レジスタ)81,
82,83,141に順次供給され、フリップフロップ
81乃至83,141の入出力が、それぞれ復号化回路
151,84乃至86,152に供給されるようになさ
れている。これらの復号化回路84乃至86,151,
152は、図12に示したような構成とされている。
【0076】復号化回路84乃至86の出力が、メモリ
(RAM)87に供給されている。メモリ87は、復号
化回路84乃至86の出力により指定されたアドレスに
対応するデータを、加算回路88に出力する。
【0077】また、復号化回路151,152の出力
は、それぞれ乗算回路201,202に供給され、所定
の乗算係数k1,k2が乗算された後、加算回路203で
加算され、加算回路88に供給されている。
【0078】加算回路88は、フリップフロップ82の
出力からメモリ87より読み出されたデータと、加算回
路203の出力とを減算(極性で加算)する。
【0079】これらのフリップフロップ81乃至83,
141、復号化回路84乃至86,151,152、メ
モリ87、加算回路88、乗算回路201,202、加
算回路203よりなる前段の組と同様の組が、フリップ
フロップ101乃至103,161、復号化回路104
乃至106,171,172、メモリ107、加算回路
108、乗算回路204,205、加算回路206によ
り構成され、前段の組の後段に、縦続接続されている。
【0080】但し、加算回路88には、フリップフロッ
プ82の出力がそのまま供給されているのに対して、加
算回路108には、フリップフロップ82の出力が、タ
イミングを調整するために、フリップフロップ111,
112を介して供給されている。
【0081】そして、加算回路108の出力が、復号化
回路89により復号され、図示せぬ回路に出力されるよ
うになされている。また、加算回路108の出力と、復
号化回路89の出力が、それぞれ学習機能回路121A
と121Cに供給されている。学習機能回路121A
は、メモリ87と107の補正値を更新するようになさ
れている。また、学習機能回路121Cは、乗算回路2
01,202,204,205の乗算係数k1,k2を更
新するようになされている。
【0082】さらに、PLL回路7が生成するクロック
が分周回路91により分周され、メモリ87と107に
供給されている。
【0083】この実施例においては、復号対象とされる
エッジの前後に隣接するエッジから発生する符号間干渉
が、メモリ87,107により非線形の符号間干渉とし
て補正されるようになされている。これに対して、さら
にその外側の前後に隣接するエッジ(復号対象とされる
エッジの2つ前または後のエッジ)からの符号間干渉
は、エッジの位置に比例した符号間干渉として、乗算回
路201,202,204,205により補正されるよ
うになされている。
【0084】この図14のメモリ87,107による補
正についてのみ着目して、図14の構成をより詳しく表
すと、図15に示すようになる。
【0085】次に、この図15を参照して、主にメモリ
87と107による補正(即ち、非線形の符号間干渉の
補正)の処理について説明する。
【0086】ここにおいては、符号間干渉は、復号対象
とされているエッジの前後の1つずつのエッジから発生
するものとされている。前端エッジのデータanに対す
る符号間干渉をHa(bn,an,bn-1)で表すと、再
生信号のレベルVa(n)は、次式で表される。 Va(n)=(Δr・an)+Ha(bn,an,bn-1)+C ・・・(3)
【0087】また、後端エッジのデータbnに対する符
号間干渉をHb(an+1,bn,an)で表すと、再生信
号のレベルVb(n)は、次式で表される。 Vb(n)=(Δr・bn)+Hb(an+1,bn,an)+C ・・・(4)
【0088】フリップフロップ81乃至83は、クロッ
クが供給される毎に、入力されたデータを順次後段に出
力するので、フリップフロップ82がVa(n)を出力し
ているタイミングのとき、フリップフロップ83は、そ
の前のエッジに対応する再生レベルVb(n-1)を出力
し、フリップフロップ81は、それより後のエッジの再
生信号Vb(n)を出力する。
【0089】復号化回路84乃至86は、それぞれフリ
ップフロップ81乃至83の出力を、図10に示すよう
な特性に従って復号化し、復号化データb'n,a'n,
b'n-1を出力する。これらの復号結果は、仮に非線形の
符号間干渉Ha(bn,an,bn-1)がなければ、正し
い復号結果となるが、実際には、符号間干渉が存在する
ため、誤りが発生する。しかしながら、符号間干渉Ha
(bn,an,bn-1)の値があまり大きくないと仮定す
ると、復号化回路84乃至86により得られた値b'n,
a'n,b'n-1は、正しい復号値bn,an,bn-1と、せ
いぜいレベル±1しか離れていないと考えることができ
る。即ち、次式が成立する。 b'n=bn±1 ・・・(5) a'n=an±1 ・・・(6) b'n-1=bn-1±1 ・・・(7)
【0090】ところで、ピットのシフト位置の変化量
は、極めて微量であるから、復号結果に±1の誤りが発
生したとしても、その結果発生するピットのエッジの位
置の評価誤差の量は、極めて僅かである。従って、次式
で示される、実際に発生する符号間干渉Ha(bn,a
n,bn-1)と、復号の結果得られたデータによる符号間
干渉Ha(b'n,a'n,b'n-1)との誤差Ea(n)は、
極めて小さい値となる。 Ea(n)=Ha(bn,an,bn-1)−Ha(b'n,a'n,b'n-1) ・・・(8)
【0091】そこで、非線形の符号間干渉Ha(bn,
an,bn-1)の値を予め求めておき(その求め方につい
ては後述する)、メモリ(RAM)87に補正値として
記憶しておく。そして、復号化回路84乃至86により
簡単に復号化して得たデータ(推測値)b'n,a'n,
b'n-1でメモリ87を参照し、そのとき得られた値を補
正値(符号間干渉)とすれば、この値は、実際のデータ
bn,an,bn-1による符号間干渉と、それほど大きな
差はない。
【0092】そこで、復号化回路84乃至86が出力す
る推測値b'n,a'n,b'n-1を元にして、メモリ87よ
り読み出した符号間干渉Ha(b'n,a'n,b'n-1)
を、再生値Va(n)に加算回路88で加算して得られた
次式で表される値V'a(n)は、ほぼ符号間干渉が存在し
ない場合における再生値となる。 V'a(n)=Va(n)−Ha(b'n,a'n,b'n-1) ・・・(9)
【0093】即ち、上述したように、フリップフロップ
82より加算回路88に入力される再生値Va(n)は、
符号間干渉を受けているため、次式により表される。 Va(n)=(Δr・an)+Ha(bn,an,bn-1)+C ・・・(10)
【0094】この(10)式のVa(n)から、メモリ8
7より供給される値Ha(b'n,a'n,b'n-1)を減算
すると、Ha(bn,an,bn-1)がHa(b'n,a'
n,b'n-1)とほぼ等しいとすれば、加算回路88の出
力V'a(n)は、ほぼ次式で表される。 V'a(n)=(Δr・an)+C ・・・(11)
【0095】この(11)式は、上述した理想時におけ
る(1)式と等しい。従って、このV'a(n)を、復号化
回路89で復号化すれば(この実施例においては、復号
化回路89の前に、第2段目の構成が接続されている
が、その理由については後述する)、正しい復号値を得
ることができる。
【0096】以上においては、ピットの前端のエッジに
対応する再生信号Va(n)のレベ ルをサンプリングし、
復号する場合について述べたが、ピットの後端のエッジ
に対応する再生信号Vb(n)のレベルをサンプリング
し、復号する場合も同様の動作となる。
【0097】但し、ピットの前端のエッジにおける符号
間干渉と、後端のエッジにおける符号間干渉とは異なる
ため、メモリ87には、その両方の補正値(前端エッジ
の補正値と、後端エッジの補正値)を予め記憶してお
く。そして、PLL回路7が出力するクロックを分周回
路91で1/2に分周した出力を、メモリ87の例えば
最上位ビットに入力し、この信号によって、メモリ87
より読み出す補正値を、前端エッジ用または後端エッジ
用に切り換える。
【0098】ここで、符号間干渉Ha,Hbを求める方
法について説明する。
【0099】先に述べたように、本システムでは、教育
ピットP6(図1)が周期的に記録されていて、このピ
ットの前端エッジの位置Mと、後端エッジの位置Nは、
予め全て判っている。この教育ピットP6を再生した時
に得られる信号のうち、前端エッジのものをVa(M,
N)、後端エッジのものをVb(M,N)とすると、次
式が成立する。 Va(M,N)=Δr・M+Ha(N,M,7)+C ・・・(12) Vb(M,N)=Δr・N+Hb(K,N,M)+C ・・・(13)
【0100】この(12)式において、定数“7”が入
っているのは、教育ピットP6の直前の基準ピットP5
のエッジに記録されたデータが7である(図1)ためで
ある。また、(13)式の変数Kは、教育ピットP6の
直後に記録されたデータ(0乃至7のいずれかの値)を
表している。
【0101】このようにして得られた教育ピットP6か
らの信号、並びに、再生レベルVa(M,N)とVb
(M,N)から、近似値ではあるが、補正値としてメモ
リの中に格納する値を、次式より計算することができ
る。 Ha(N,M,i)=Va(M,N)−Δr・M−C (i=0,1,2,・・・,7) ・・・(14) Hb(j,N,M)=Vb(M,N)−Δr・N−C (j=0,1,2,・・・,7) ・・・(15)
【0102】この(14)式と(15)式では、同一ピ
ット(教育ピットP6)の2つのエッジ(MとN)間の
符号間干渉以外(iまたはj)を無視している(即ち、
iまたはjの値が、0乃至7のうちのいずれの値であっ
ても、同一の補正値とされている)。しかしながら、同
一ピットに記録されたエッジ間の符号間干渉が最も強い
場合には、これでも十分に補正値の初期値として使用す
ることができる。そこで、この初期値をメモリ87に予
め記憶させておく。
【0103】以上のように、ピットの前端のエッジから
の再生信号を補正することができれば、後端のエッジの
再生信号も同一の回路により補正することができる。そ
こで、以後、原則として、ピットの前端のエッジの再生
信号を復号する場合についてのみ説明する。
【0104】図15(図14)の実施例においては、フ
リップフロップ81乃至83、復号化回路84乃至8
6、メモリ87、加算回路88よりなる第1段目の回路
の後段に、同様の構成のフリップフロップ101乃至1
03、復号化回路104乃至106、メモリ107およ
び加算回路108よりなる第2段目の回路が接続されて
いる。
【0105】図15の第1段目のフリップフロップ82
において保持した再生値Va(n)は、第1段目のメモリ
87に記憶されている補正値に対応して、加算回路88
により補正されるが、図15に示す状態から2クロック
分だけ時間が経過すると、第1段目で補正した再生値
V'a(n)が、第2段目のフリップフロップ102に保持
されることになる。そして、このとき、フリップフロッ
プ112から加算回路108に対して、図15に示す2
クロック分だけ前にフリップフロップ82に保持されて
いた再生値Va(n)が供給されている。
【0106】図15の第1段目のメモリ87に供給され
ている復号値(推測値)b'n,a'n,b'n-1より、第1
段目の回路において符号間干渉を補正した後、復号し
た、第2段目の復号値b''n,a''n,b''n-1の方が、
記録データbn,an,bn-1に、より近い値となってい
るはずである。従って、メモリ107より読み出される
符号間干渉Ha(b''n,a''n,b''n-1)は、図15
のメモリ87において読み出された符号間干渉Ha
(b'n,a'n,b'n-1)より、真の符号間干渉Ha(b
n,an,bn-1)に、より近い値となる。従って、加算
回路108の出力V''a(n)は、理想的な再生値Va(n)
に、より近い値となる。その結果、これを復号化回路8
9において復号化して得られる復号値a'''nは、記録デ
ータanに等しい確率が、より高くなっている。
【0107】図15(図14)の実施例においては、復
号化回路89の出力する復号値a'''n-1から、次式に従
って、学習機能回路121Aの演算回路131により理
想値が演算される。 理想値=Δr・a'''n-1+C ・・・(16) ΔrとCは、既知であるため、この理想値は簡単に求め
ることができる。
【0108】一方、加算回路132は、加算回路108
の出力V''a(n-1)から、演算回路131の出力する理
想値を逆極性で加算し(減算し)、誤差εを出力する。
この誤差εは、正しい補正値と、実際にメモリ87,1
07に記憶されていた補正値との差分に対応する。そこ
で、この誤差εに、乗算回路133で定数αを乗算し、
その乗算結果をリミッタ134で所定の範囲内の値に制
限する。
【0109】尚、ここで、定数αを乗算するようにした
のは、メモリ87,107に記憶する補正値が、発振す
ることを防止するためのものである。このため、この定
数αは、1よりも小さい値とすることが望ましい。ま
た、リミッタ134により更新する値を制限するように
したのは、光ディスク1上にディフェクト(欠陥)が存
在する場合、これに起因して、補正値が異常な値に更新
されてしまうことを防止するものである。
【0110】リミッタ134より出力された誤差εは、
メモリ87,107に記憶されている補正値の値が、正
しい値からずれていたために発生したものと考えること
ができる。そこで、このリミッタ134より出力される
誤差εが、加算回路511において、メモリ107より
読み出された補正値に対して加算される。これにより、
補正値が、より正しい値に調整されたことになる。
【0111】そこで、この調整された新しい補正値を、
フリップフロップ512,513、並びにスリーステー
トバッファ521,522を介して、メモリ87,10
7に供給し、その記憶値を更新させるようにする。
【0112】ところで、この更新処理を行うには、メモ
リ87,107のアドレスが必要となる。このアドレス
を得るには、復号対象とされているデータanの前後に
記録されたデータ(ピットのエッジ位置)が必要とな
る。このため、復号化回路89の出力が、フリップフロ
ップ531,532,533に順次供給され、保持され
る。そして、これらのフリップフロップ531乃至53
3に保持されたデータが、スイッチ501乃至503ま
たはスイッチ504乃至506を介して、メモリ87ま
たはメモリ107に、それぞれ供給される。
【0113】このように、メモリ87または107から
補正値を読み出してから、その補正値を更新するために
必要なアドレスは、その補正値を読み出してから2クロ
ック分だけ遅れることになる。そこで、メモリ87また
は107に供給する補正値自体も、フリップフロップ5
12と513により、2クロック分だけ遅延させた後、
スリーステートバッファ521または522を介して、
メモリ87またはメモリ107にそれぞれ供給するよう
にしている。
【0114】メモリ87,107から補正値を読み出し
たときのアドレスと、新補正値を記憶させるアドレスと
は必ずしも一致するものではない。即ち、復号化回路8
4乃至86により復号化されたデータと、最終的に復号
化回路89により復号化され、フリップフロップ531
乃至533に保持されたデータとは必ずしも一致するも
のではない。また同様に、復号化回路104乃至106
により復号化されたデータと、フリップフロップ531
乃至533に保持されたデータとは必ずしも一致するも
のではない。
【0115】そこで、メモリ87,107から補正値を
読み出すときのアドレスと、新補正値を更新するための
アドレスとを切り換えるために、メモリ87に対して、
スイッチ501乃至503が設けられており、メモリ1
07に対して、スイッチ504乃至506が設けられて
いる。
【0116】図16は、メモリ87(メモリ107)に
おける補正値の読み出しと書込みのタイミングを表して
いる。図16(A)に示すピット列に対応して、図16
(B)に示すRF信号が、A/D変換回路9とPLL回
路7に供給される。PLL回路7は、入力されたRF信
号から、図16(C)に示すクロックを生成し、A/D
変換回路9に出力する。図16(B)と(C)に示すよ
うに、このクロックの立上りエッジは、各ピットの前後
のエッジのタイミングにおいて発生される。従って、A
/D変換回路9は、各ピットの前後のエッジに対応する
再生信号のレベルをサンプリングすることになる。そし
て、このサンプリングされた値が後段の回路に供給され
る。
【0117】このクロックはまた、分周回路91により
分周され、図16(D)に示すように、図16(C)に
示すクロックの2倍の周期の信号が生成され、これがメ
モリ87とメモリ107に供給され、各ピットの前端エ
ッジ用の補正値と後端エッジ用の補正値とを切り換える
ようになされている。
【0118】一方、メモリ87,107は、図16
(C)に示すクロックの立上りエッジのタイミングにお
いて補正値を読み出す。このため、PLL回路7は、図
16(E)に示すFB信号を低レベルにし、図15にお
けるスイッチ501乃至503およびスイッチ504乃
至506を、図中左側に切り換えさせる。また、図16
(G)に示すOE(図においては、文字OEの上にオー
バラインを付して表している)信号を低レベルにする。
その結果、メモリ87においては、復号化回路84乃至
86が出力し、スイッチ501乃至503を介して入力
される信号をアドレスとして補正値が読み出され、出力
される。
【0119】同様に、復号化回路104乃至106が出
力する信号が、スイッチ504乃至506を介してアド
レスとして供給され、このアドレスに対応する補正値が
メモリ107から読み出され、出力される。
【0120】尚、このとき、スリーステートバッファ5
21,522は、そこに供給される制御信号としてのF
B信号が低レベルとされるため、オープン状態となる。
従って、フリップフロップ513に保持されているデー
タが、メモリ87,107のデータ線上に出力され、メ
モリ87,107の読み出しデータと混合されるような
ことが阻止される。
【0121】一方、PLL回路7は、図16(F)に示
すWE(図においては、文字WEの上にオーバラインを
付して表している)信号を生成し、メモリ87,107
に供給している。メモリ87,107は、このWE信号
が低レベルになったとき、書込み動作を実行する。図1
6(F)に示すWE信号が瞬間的に低レベルになったと
き、図16(E)に示すFB信号は高レベルとなってい
る。従って、スイッチ501乃至503およびスイッチ
504乃至506は、図15において右側に切り換えら
れる。その結果、フリップフロップ531乃至533に
保持したデータが、スイッチ501乃至503またはス
イッチ504乃至506を介して、メモリ87またはメ
モリ107にアドレスとして供給される。
【0122】また、このとき、スリーステートバッファ
521,522は、供給されるFB信号が高レベルとな
るため、オンし、フリップフロップ513に保持されて
いる新補正値をメモリ87,107のデータ線上に供給
する。その結果、メモリ87,107には、フリップフ
ロップ531乃至533に保持されているアドレスの補
正値が、フリップフロップ513に保持している新補正
値により、次式で示すように更新される。尚、次式にお
いて、δは、リミッタ134の出力である。 Ha(b'''n-2,a'''n-2,b'''n-3) =Ha(b'''n-2,a'''n-2,b'''n-3)+δ
【0123】尚、メモリ87,107の初期値は0にし
ておいても、更新動作の繰り返しにより、適正な補正値
が自動的に生成され、記憶される。
【0124】学習機能回路121Aは、ロジック回路で
簡単に構成でき、そのフィードバック動作は、特別に難
しい論理回路を必要とせず、クロック毎に高速に行うこ
とが可能である。このため、光ディスク1にスキューが
存在し、符号間干渉が高速変化するような場合において
も、これに対応して補正値を高速で更新することができ
る。
【0125】以上のように、メモリの記憶値を更新する
動作を繰り返せば、メモリには常に正しい補正値が保持
されることになる。しかしながら、仮にディフェクトの
影響を受けて、その記憶値が間違った値となったり、あ
るいは、特定のエッジ位置のパターンの出現確率だけが
低く、そのパターンに対してだけ充分に補正値を更新す
ることができない場合が考えられる。
【0126】このような状態は、例えば、補正値の正し
い値をHa(bn,an,bn-1)とするとき、記録され
た情報が(i,j,k)という値を持つ場合にのみ、補
正値がH'a(bn,an,bn-1)にずれてしまうものと
表すことができる。即ち、次式で表すことができる。 H'a(bn,an,bn-1) =Ha(bn,an,bn-1)+e (bn=i,an=j,bn-1=kの場合) =Ha(bn,an,bn-1) (その他の場合) ・・・(17)
【0127】上記式において、eは真の値からの補正値
のずれである。このずれeのために、本来ならばbn=
i,an=j,bn-1=kと復号されるべき入力パターン
が発生したとき、1つだけ隣のエッジ位置に間違えて、
bn=i,an=j+1,bn-1=kと復号されてしまう
ものとする。
【0128】このような場合における、例えば非線形イ
コライザ12を1段構成としたときの補正値の更新の様
子を、図17を参照して考察してみる。尚、図17以降
の実施例においては、図14における場合と同様に、図
面を簡略化するため、図15におけるスイッチ501乃
至506、加算回路511、フリップフロップ512,
513,531乃至533、スリーステートバッファ5
21,522の図示は省略し、リミッタ134の出力を
そのままメモリ87,107などに供給するように図示
するものとする。
【0129】記録されているデータは、bn=i,an=
j,bn-1=kとする。復号化回路84乃至86による
復号は正しく行われている。しかしながら、メモリ87
の記憶値(補正値)が正しくないため、補正値はeだけ
誤差を生じ、その出力は、 Ha(i,j,k)+e となる。その結果、この補正値を元に、再生値Va(n)
を補正して得られる再生値V'a(n)を復号化回路89に
より復号した結果得られたデータは、a''n=j+1と
なっている。
【0130】このような復号結果が得られると、演算回
路131は、この誤った復号結果を基に更新値を演算す
ることになるため、メモリ87に記憶されている補正値
のうち、bn=i,an=j+1,bn-1=kの補正値は
更新される。しかしながら、誤差を有している補正値で
あるbn=i,an=j,bn-1=kに対応する補正値
は、更新されない。即ち、一度補正値に誤った値が入力
されてしまうと、その後、正しいデータが連続して入力
されたとしても、その誤った補正値が修正されないこと
になる。
【0131】次に、図15(図14)に示すように、非
線形イコライザ12を2段構成(偶数段構成)にした場
合を考察する。
【0132】図17に示した場合と同様に、第1段目の
メモリ87の記憶値が、誤差eを含む補正値Ha(i,
j,k)+eを出力したとすると、復号化回路104乃
至106により、復号結果b''n=i,a''n=j+1,
b''n-1=kが得られる。その結果、メモリ107の出
力としては、補正値Ha(i,j,k)+eではなく、
Ha(i,j+1,k)が得られる。即ち、この補正値
には、誤差eが含まれていない。上述したように、この
Ha(i,j+1,k)は、Ha(i,j,k)と殆ど
同一の値であるから、完全ではないものの、メモリ87
に記憶されている補正値Ha(i,j,k)+eは、ほ
ぼ正しい補正値Ha(i,j+1,k)≒Ha(i,
j,k)に補正される。従って、誤差eが小さくなるよ
うに、メモリ87の補正値が更新されていく。
【0133】以上、補正の段数が1段と2段の場合につ
いて説明したのであるが、縦続接続する段数をそれ以上
に増やした場合にも、同様の説明が可能である。即ち、
補正の段数は奇数段ではなく、偶数段にした方が、仮
に、補正記憶値に誤差が発生したとしても、その誤差は
次第に補正されていく。奇数段の構成とした場合には、
この誤差を補正することができない。
【0134】図18は、以上のことを確認するために行
った実験の結果を表している。即ち、光ディスク1に意
図的に外乱を与え、誤りが非常に大きい状態を作り出し
ておき、このとき、非線形イコライザ12の縦続接続の
段数を1段、2段、3段または4段に設定した装置にお
いて、時間とともに変化する出力信号の誤り率を調べた
ものである。
【0135】この実験のように、高い誤り率の状態にお
いては、メモリの補正値を更新すると、その記憶値が正
しい値からずれてしまうことがしばしば起こるのである
が、偶数段の縦続接続を行った場合においては、誤り率
がそれほど増加せず、一定に安定していることがわか
る。即ち、仮に誤った値が補正値として記憶されたとし
ても、それに続くデータが正しく復号されるため、元の
正しい状態に戻る復元力があることを表している。これ
に対して、奇数段の縦続接続構成とした場合において
は、一度誤った値が補正値に記憶されると、その誤りが
除去されないため、時間の経過とともに誤り率が上昇し
てしまうことになる。
【0136】以上、図15を参照して説明したように、
図14の実施例のメモリ87,107は、復号対象とさ
れているピットのエッジから、前後に隣接する2つのピ
ットから起こる符号間干渉の補正を行うものである。し
かしながら、実際には、さらに時間軸方向に離れたピッ
トのエッジからも符号間干渉が発生する。特に、光ディ
スク1にタンジェンシャルスキューが発生した場合にお
いては、読み取りスポットの径が前後方向に伸び、遠く
離れたピットのエッジからの影響が大きくなる。そこ
で、より遠くのエッジからの符号間干渉を除去するため
に、図14の実施例においては、乗算回路201,20
2,204,205が設けられている。
【0137】即ち、この実施例においては、符号間干渉
を次のようなモデルで示されるように、2つに区分して
補正する。 Va(n) =(Δr・an) +Ha(bn,an,bn-1)+k1(an+1)+k2(an-1)+C ・・・(18)
【0138】上記式のうち、補正値Haは、上述したよ
うに、メモリ87,107で補正されるのであるが、乗
算回路201,202,204,205は、復号対象と
するエッジのデータanから前後に2つずつ離れたエッ
ジのデータan+1とan-1に起因する符号間干渉を補正す
るものである。
【0139】符号間干渉が存在しない場合の理想的な再
生値VIa(n)は、次式で表される。 VIa(n)=Δr・a(n) ・・・(19)
【0140】理想の再生値VIa(n)と、実際の再生値V
a(n)との差e(n)は、次式で表される。 e(n)=VIa(n)−Va(n) =−{Ha(bn,an,bn-1)+k1(an+1)+k2(an-1)} ・・・(20)
【0141】学習機能回路121Cの学習は、この差e
(n)のパワーが小さくなるように行われる。
【0142】そこで、パワーとして、次式で表されるE
を定義する。
【0143】
【数1】
【0144】尚、ここで、便宜上、Ha(bn,an,b
n-1)を、Ha( )として表している。
【0145】上記式で表されるEを、学習対象としての
H( ),k1,k2で偏微分すると、次式が得られる。 (∂E/∂H( ))=2Ha( ) +2k1(an+1)+2k2(an-1)=−2e(n) ・・・(22) (∂E/∂k1)=2k1(an+1)2 +2Ha( )(an+1)+2k2(an+1)(an-1) =−2e(n)(an+1) ・・・(23) (∂E/∂k2)=2k2(an-1)2 +2Ha( )(an-1)+2k1(an+1)(an-1) =−2e(n)(an-1) ・・・(24)
【0146】この結果に基づいて、学習対象の値を、次
のように更新することができる。 k1NEW=k1OLD+β1・e(n)・an+1 ・・・(25) k2NEW=k2OLD+β2・e(n)・an-1 ・・・(26) 但し、β1,β2は、1より小さい定数である。
【0147】上記(25)式と(26)式に従って、学
習機能回路121Cにおいて、乗算係数k1,k2を更新
するのであるが、より後段の復号化回路により得られた
復号値の方が、より正確である。そこで、上記(25)
式と(26)式におけるe(n),an+1,an-1を、それ
ぞれe''(n),a''n+1,a''n-1に置き換えて用いるこ
とができる。この場合、次式が成立する。 e''(n)=Δra''n−V''a(n) =Δr・a''n −{Va(n)+Ha(b''n,a''n,b''n-1) +k1・a''n+1+k2・a''n-1} ・・・(27)
【0148】図19は、以上の原理に従った演算を行う
学習機能回路121Cの構成例を表している。この実施
例においては、図14の加算回路108の出力が、フリ
ップフロップ415,416を介して加算回路419に
供給されるようになされているとともに、復号化回路8
9の出力が、フリップフロップ411乃至414に順次
供給されるようになされている。そして、フリップフロ
ップ412の出力が演算回路418に供給され、 Δr・a'''n-2+C の演算が行われ、その演算結果が加算回路419に供給
されるようになされている。
【0149】加算回路419は、演算回路418の出力
から、フリップフロップ416の出力を減算し(逆極性
で加算し)、乗算回路420と423に出力している。
乗算回路420は、加算回路419の出力と復号化回路
89の出力とを乗算し、その積を平均値計算回路421
に供給している。平均値計算回路421は、乗算回路4
20からの入力を複数クロック分記憶し、その平均値を
演算する。アップダウンカウンタ422は、平均値計算
回路421の出力に対応して、そのカウント値をアップ
またはダウンさせ、その値を乗算係数k1として、乗算
回路201,204に出力する。
【0150】また、乗算回路423は、加算回路419
の出力とフリップフロップ414の出力とを乗算し、そ
の積を平均値計算回路424に供給している。平均値計
算回路424は、乗算回路423からの入力を複数クロ
ック分記憶し、その平均値を演算する。アップダウンカ
ウンタ425は、平均値計算回路424の出力に対応し
て、そのカウント値をアップまたはダウンさせ、その値
を乗算係数k2として、乗算回路202,205に出力
するようになされている。
【0151】次に、その動作について説明する。いま復
号化回路89より、復号値a'''n-1が出力されているタ
イミングにおいて、フリップフロップ411乃至414
においては、復号値b'''n-2,a'''n-2,b'''n-3,
a'''n-3が、それぞれ出力される。
【0152】演算回路418は、フリップフロップ41
2の出力a'''n-2に、定数Δrを乗算し、さらに定数C
を加算して、Δr・a'''n-2+Cを、加算回路419に
出力する。
【0153】一方、このとき、加算回路419には、フ
リップフロップ415と416を介して、加算回路10
8より、V''an-1が入力されている。フリップフロッ
プ415と416により、信号が遅延されるので、フリ
ップフロップ416からの出力は、V''an-2となって
いる。加算回路419は、演算回路418の出力からフ
リップフロップ416の出力を減算(逆極性で加算)
し、その出力e(n-2)は、次のようになる。 e(n-2)=Δr・a'''n-2+C−V''an-2
【0154】即ち、この加算回路419により、上記し
た(27)式が演算されたことになる。
【0155】但し、図14(図19)においては、その
タイミングが、フリップフロップ82の出力が復号対象
の再生値Va(n)を出力しているタイミングとされてい
るので、フリップフロップ412は、それより4クロッ
ク分先の復号値を出力しているが、4クロック分経過し
たタイミングにおいては、図19のフリップフロップ4
12が復号値a'''nを出力することになる。従って、そ
のとき、加算回路419の出力は、e(n)となる。さら
に、そのとき、復号化回路89の出力は、a'''n+1とな
り、フリップフロップ414の出力は、a'''n-1とな
る。従って、加算回路419の出力e(n)と、復号化回
路89の出力a'''n+1を乗算する乗算回路420の出力
は、e(n)・a'''n+1となる。即ち、乗算回路420
は、上記した(22)式の演算を行っていることにな
る。
【0156】同様に、加算回路419の出力e(n)と、
フリップフロップ414の出力an-1とを乗算する乗算
回路423の出力は、e(n)・a'''n-1となる。即ち、
乗算回路423は、上記した(23)式の演算を行って
いることになる。
【0157】平均値計算回路421と424は、それぞ
れ乗算回路420と423より入力される値を複数のク
ロック分に渡って平均化する。これにより、所定のピッ
トのエッジにディフェクトが存在した場合において、そ
のディフェクトによる影響を軽減することができる。
【0158】ここで、アップダウンカウンタ422がカ
ウントアップされ、乗算係数k1の値が大きな値に変化
していくのは、復号化回路89の出力a'''n-1(4クロ
ック分後のタイミングにおいては、a'''n+1)と、誤差
信号e(n-2)(4クロック分後のタイミングにおいて
は、e(n))との間に正の相関が存在する場合である。
即ち、復号値an+1は、0乃至7の値を取るのである
が、その値が小さければ(0に近ければ)、誤差信号e
(n)も小さくなり、大きければ(7に近ければ)、誤差
信号e(n)も大きくなる。このような場合に、乗算回路
420の出力は正になり、やがて平均値計算回路421
の出力も正になって、アップダウンカウンタ422がカ
ウントアップされ、乗算係数k1の値が次第に大きな値
に変化していく。このことは、フリップフロップ414
の出力a'''n-1と誤差信号e(n)との関係においても同
様である。
【0159】以上に述べたように、アップダウンカウン
タ422,425は、平均値計算回路421,424の
出力が正であるとき、カウント値をダウンさせ、負であ
るとき、アップさせる。
【0160】以上のようにして、上記した(25)式と
(26)式における乗算係数k1,k2の更新が行われる
ことになる。
【0161】尚、アップダウンカウンタ422,425
において、平均値計算回路421,424の出力の極性
だけを判別するのではなく、その大きさにも着目し、平
均値が大きければ、それだけアップまたはダウンする量
を大きくするようにすることも可能である。
【0162】このように、アップダウンカウンタ42
2,425より出力された乗算係数k1,k2が、乗算回
路201,204または乗算回路202,205にそれ
ぞれ供給される。
【0163】そして、乗算回路201は、復号対象の符
号から2つ後の符号の復号値a'n+1に、この乗算係数k
1を乗算し、乗算回路202は、復号対象の符号の2つ
前の符号の復号値a'n-1に、乗算係数k2を乗算する。
加算回路203は、乗算回路201と202の出力を加
算し、加算回路88に出力する。加算回路88は、復号
対象の符号の再生値Va(n)から、加算回路203の出
力を減算し、復号対象の符号から2つだけ前および後の
符号からの符号間干渉を補正する。
【0164】同様に、後段の乗算回路204は、復号化
回路171の出力に乗算係数k1を乗算する。また、乗
算回路205は、復号化回路172の出力に乗算係数k
2を乗算する。加算回路206は、乗算回路204と2
05の出力を加算し、加算回路108に出力する。加算
回路108は、フリップフロップ112が出力する復号
対象の符号の再生値から、加算回路206の出力を減算
し、復号対象の符号から2つ前および後の符号からの符
号間干渉を補正する。
【0165】図14の実施例においては、メモリ87,
107により、復号対象の符号の1つ前と1つ後の符号
からの符号間干渉を補正するようにしたが、例えば図2
0に示すように、復号化回路84と85の出力のみをメ
モリ87に供給し、復号化回路86の出力を乗算回路2
02に供給し、フリップフロップ141と復号化回路1
52を省略した構成とすることもできる。この場合、同
様に、下段においても、フリップフロップ161と復号
化回路172が省略され、メモリ107には、復号化回
路104と105の出力のみが供給され、乗算回路20
5には、復号化回路106の出力が供給される。
【0166】このようにすれば、メモリ87,107の
容量を、図14に示す場合より小さくすることが可能と
なる。
【0167】一般的に、復号対象の符号と同一のピット
の他方の符号からの符号間干渉は、非線形性の特性が著
しく、これに比べて、復号対象の符号のピットとは異な
るピットの符号からの符号間干渉は、線形特性の割合が
多い。
【0168】そこで、図20の実施例において、メモリ
87,107により、同一のピットの他方の符号からの
符号間干渉のみを補正させるようにするのが好ましい。
【0169】しかしながら、図20に示す状態から、1
クロック分経過すると、図21に示すような状態とな
り、メモリ87,107には、異なるピットの符号の復
号値が入力されることになる。
【0170】そこで、例えば図22に示すように、復号
化回路84と85の出力を、フリップフロップ252と
253でホールドし、そのホールドした値をメモリ87
に供給するようにすることができる。この場合、タイミ
ングを調整するために、復号化回路151と86の出力
も、それぞれフリップフロップ251と254でホール
ドし、ホールドした値を乗算回路201と202にそれ
ぞれ供給するようにする。
【0171】後段の復号化回路171,104,10
5,106の出力も、フリップフロップ261乃至26
4によりそれぞれホールドし、フリップフロップ262
と263の出力をメモリ107に供給し、フリップフロ
ップ261と264の出力を、それぞれ乗算回路204
と205に供給する。
【0172】そして、フリップフロップ251乃至25
4,261乃至264に、分周回路91で生成した分周
信号(図16(D))を供給する。この分周信号は、P
LL回路7が生成するクロック(図16(C))を分周
して生成したものであるため、例えば、その立上りエッ
ジは、1ピットについて1回だけ発生する。その結果、
例えばフリップフロップ253には、各ピットの立上り
エッジの復号値が常にホールドされ、フリップフロップ
252には、同一ピットの後端のエッジの復号値が常に
ホールドされることになる。また、フリップフロップ2
54には、フリップフロップ253によりホールドされ
た符号の1つ前のピットの後端エッジの復号値がホール
ドされ、フリップフロップ251には、フリップフロッ
プ252によりホールドされた符号の1つ後のピットの
前端エッジの復号値がホールドされることになる。
【0173】以上のことは、フリップフロップ261乃
至264においても同様である。
【0174】従って、図22の実施例においては、メモ
リ87,107により、復号対象の符号のピットの他方
の符号からの非線形の符号間干渉を補正することができ
る。そして、乗算回路201,202または乗算回路2
04,205により、復号対象のエッジのピットの前側
または後側に隣接するピットの前側および後側のエッジ
の符号からの線形の符号間干渉を補正することができ
る。
【0175】ところで、光ディスク1は、プラスチック
を主な原料として製作されるため、温度や湿度の状態に
よって、その平面度が変化する。このような光ディスク
1からの再生信号の波形歪は、スキューが回転位置に対
応して変化するため、回転角度に対応して変化する。上
述した実施例のようにして、メモリの記憶値を高速で更
新することが可能であるが、例えば図23に示すよう
に、光ディスク1を所定の数(この実施例の場合、8
個)に区分し、各領域毎に符号間干渉の補正値を学習さ
せるようにすることができる。
【0176】即ち、図24に示すように、スピンドルモ
ータ2にロータリエンコーダ191を接続し、その出力
を波形整形回路192で波形整形し、波形整形回路19
2の出力を3ビットカウンタ193でカウントする。こ
の3ビットカウンタ193のカウント値は、図23に示
すように、光ディスク1が1/8回転したとき、1ずつ
インクリメントする。従って、そのカウント値は、図2
3において、S=0乃至S=7で示す8個の領域に対応
している。この実施例においては、メモリ87,107
として、それぞれ8個のメモリ871乃至878と、メモ
リ1071乃至1078が用意される。メモリ871乃至
878、並びにメモリ1071乃至1078は、それぞれ
図23における8個の回転角領域に対応する符号間干渉
の補正値を記憶しており、それぞれ回転位置に対応し
て、そのバンクが切り換えられ、各領域毎に更新が行わ
れる。
【0177】光ディスク1は、所定の周期で回転してい
るため、スキューが存在していたとしても、そのスキュ
ーに起因する符号間干渉の変化分は一定周期で変化す
る。そこで、この実施例のように、回転位置に対応して
バンク切り換えを行うようにすると、各回転位置内にお
ける符号間干渉の変化は小さくなり、記憶値を高速で変
化する必要がなくなり、それ以外の外乱に対する学習
(記憶値の更新)を高速で行うことができるようにな
る。この実施例は、光ディスク1を角速度一定(CA
V)で回転駆動する場合に特にメリットがあるが、線速
度一定(CLV)の場合にも有効である。
【0178】メモリ87,107の記憶する補正値を自
動的に更新する場合、上述したように、フィードバック
動作によりその記憶値は次第に正しい値に修正されてい
く。しかしながら、フィードバック動作を開始したと
き、メモリ87,107に記憶されている初期値が、理
想値から大きくずれた値であると、修正が正しく行われ
ないことが考えられる。
【0179】例えば、上記した(14)式と(15)式
で示す補正値を初期値とする場合において、隣接するピ
ットのエッジからの符号間干渉が大きく、無視できない
ことが考えられる(iまたはjの値に拘らず、補正値を
同一の値とすると、理想値からのずれが大きくなり過ぎ
ることが考えられる)。
【0180】このような場合、例えば図25に示すよう
に、光ディスク1のユーザデータエリア1Aの内周のリ
ードインエリアと外周のリードアウトエリアの少なくと
も一方に(実施例の場合、両方に)、初期値設定データ
エリア1Bを形成し、そこにこれらの初期値を与えるピ
ットを予め記録しておくことができる。
【0181】即ち、この初期値設定データエリア1Bに
は、ユーザデータエリア1Aと同様に、サーボ領域が周
期的に設けられ、そこからクロックが再生され、バイア
スおよびゲインが調整されるようになされている。そし
て、そのサーボ領域とサーボ領域の間のデータ領域に
は、次のようにして計算された初期値データが予め記録
されている。
【0182】即ち、このように記録された初期値設定デ
ータエリアのピットに関しては、各ピットの前端エッジ
の位置Mと後端エッジの位置N、そして、直前のピット
の後端エッジの位置Iと直後のピットの前端エッジの位
置Jは、予め全て判っている。従って、このピットを再
生したときに得られる信号のうち、前端エッジのものを
Va(N,M,I)、後端エッジのものをVb(J,
N,M)とすると、 Va(N,M,I)=Δr・M+Ha(N,M,I)+C ・・・(28) Vb(J,N,M)=Δr・N+Hb(J,N,M)+C ・・・(29) となる。そこで、補正値としてメモリの中に格納する値
は、 Ha(N,M,I)=Va(N,M,I)−Δr・M−C ・・・(30) Hb(J,N,M)=Vb(J,N,M)−Δr・N−C ・・・(31) として計算することができる。
【0183】図26は、このような初期値を与えるピッ
トの例を表している。この実施例においては、2つのピ
ットで1つのグループを形成している。各グループのデ
ータは、(bn-1,an,bn)の組み合わせの1つを構
成するようになされている。512個のグループによ
り、ピットの前端のエッジの符号間干渉を補正するため
のすべてのパターンを構成することができる。この51
2個のグループに続いて、ピットの後端のエッジ符号間
干渉を補正する512個のパターンが形成されている。
【0184】このように、光ディスク1の所定の位置
に、初期値を予め記録しておけば、必要に応じて(例え
ば、起動直後)この初期値を再生し、メモリ87,10
7にこの初期値を取り込めば、以後、補正値を正しい値
に順次更新(修正)することができる。
【0185】図27は、PTF検出回路17の構成例を
示している。この実施例においては、PTF検出回路1
7は、図19に示すアップダウンカウンタ422が出力
する乗算係数k1から、図19に示すアップダウンカウ
ンタ425が出力する乗算係数k2を減算する減算回路
601と、減算回路601の出力から低周波成分を抽出
するローパスフィルタ(LPF)602とにより構成さ
れている。
【0186】尚、この図27においては、非線形イコラ
イザ12は簡略化して示されているが、より詳細な構成
は図14に示されている通りである。
【0187】いま、ピックアップ3の出射するレーザ光
の光軸と、光ディスク1のタンジェンシャル方向におけ
る角度が垂直である場合、即ち、スキューが存在しない
場合、図28(A)に示すように、ピックアップ3より
出射されるレーザ光のラインスプレッドファンクション
は、左右対称の特性となる。
【0188】これに対して、ピックアップ3の出射する
レーザ光の光軸が、タンジェンシャル方向に所定の角度
だけ傾いたとすると、レーザ光のラインスプレッドファ
ンクションは、例えば図28(B)に示すように、左右
非対称の特性となる。このときには、乗算係数k2の値
を、乗算係数k1の値よりも大きい値とすることで、線
形の符号間干渉が抑制されているはずである。
【0189】同様に、レーザ光の光軸が、タンジェンシ
ャル方向において反対方向に傾くと、図28(C)に示
すように、ラインスプレッドファンクションが図28
(B)に示す場合とは逆方向に歪み、乗算係数k1の値
が乗算係数k2の値よりも大きくなることで、符号間干
渉を抑制しているはずである。
【0190】従って、乗算係数k1と乗算係数k2の差
(k1−k2)は、タンジェンシャル方向のスキューに対
応している。
【0191】そこで、減算回路601により、乗算係数
k1から乗算係数k2を減算し、その減算結果から、ロー
パスフィルタ602により低周波成分のみを抽出し、こ
れをスキューモータ18(図5)に供給すれば、ピック
アップ3のタンジェンシャル方向の光軸の角度が調整さ
れ、スキューが補正される。
【0192】図29は、光ディスク1に意図的に振動を
与えた場合のPTF検出回路17の出力を表している。
タンジェンシャルスキューが0度である場合、図29
(A)に示すように、直流成分は殆ど0となっている。
これに対して、タンジェンシャルスキューを−0.2度
にすると、図29(B)に示すように、PTF検出回路
17の出力には正の直流成分(オフセット成分)が現れ
る。また、タンジェンシャルスキューを+0.2度にす
ると、図29(C)に示すように、PTF検出回路17
の出力には負の直流成分(オフセット成分)が現れる。
【0193】図30は、タンジェンシャルスキューを所
定の角度に設定した場合におけるPTF検出回路17の
出力の変化を表している。同図に示すように、タンジェ
ンシャルスキューが0度である場合においては、PTF
検出回路17の出力電圧は、ほぼ0Vであるが、タンジ
ェンシャルスキューを正の方向に増加させると、PTF
検出回路17の出力電圧は、負の方向に増加し、タンジ
ェンシャルスキューを負の方向に増加させると、PTF
検出回路17の出力電圧は、正の方向に増加する。即
ち、PTF検出回路17の出力電圧は、タンジェンシャ
ルスキューに正比例して変化することが判る。
【0194】図31は、タンジェンシャルスキューと、
誤り検出訂正回路13(図5)における誤り発生率(ブ
ロックエラーレート)との関係を表している。同図に示
すように、タンジェンシャルスキューが0度の場合、誤
り率は最も小さくなり、タンジェンシャルスキューが負
の方向あるいは正の方向に大きくなると、いずれの場合
も誤り率が大きくなることが判る。
【0195】従って、PTF検出回路17の出力に対応
して、ピックアップ3のタンジェンシャルスキューを調
整するようにすることで、誤り率を改善することができ
る。その結果、タンジェンシャルスキューを調整しない
場合に比べて、符号間干渉が少なくなり、より高密度の
記録が可能となる。
【0196】以上においては、本発明を光ディスクの再
生装置に適用した場合を例として説明したが、本発明
は、光磁気ディスク、その他の情報記録媒体の再生装置
に適用することが可能である。
【0197】
【発明の効果】以上の如く本発明のスキュー制御装置に
よれば、第1の乗算係数と第2の乗算係数との差から、
スキューを検出するようにしたので、特別のスキューセ
ンサが不要となり、装置の小型化を図ることができるば
かりでなく、より正確なスキューの検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ディスクのサーボ領域のフォーマットを説明
する図である。
【図2】データを再生する原理を説明する図である。
【図3】図1の光ディスクのピットのエッジをステップ
状に変化させる様子を拡大して示す図である。
【図4】図1の光ディスクがCLVディスクである場合
における隣接トラックのピットの配列状態を示す図であ
る。
【図5】本発明のスキュー制御装置を適用した光ディス
ク再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図6】図5のバイアス除去回路10とAGC回路11
の構成例を示すブロック図である。
【図7】図1の光ディスクに記録されているサーボ領域
のピットを拡大して示す図である。
【図8】図6の実施例の動作を説明するタイミングチャ
ートである。
【図9】読取ビームとクロックの位相関係を説明する図
である。
【図10】復号化回路の入出力特性を示す図である。
【図11】復号化回路の入出力特性を説明する図であ
る。
【図12】図11に示す特性を実現する復号化回路の構
成例を示す図である。
【図13】非線形の符号間干渉がない場合における復号
装置の構成を示すブロック図である。
【図14】図5の非線形イコライザ12の構成例を示す
ブロック図である。
【図15】図14の非線形イコライザ12の一部のより
詳細な構成例を示すブロック図である。
【図16】図15の実施例の動作を説明するタイミング
チャートである。
【図17】1段構成のメモリの記憶値を更新する動作を
説明する図である。
【図18】補正のための段数を変化させた場合における
復号結果を説明する図である。
【図19】図14の学習機能回路121Cの構成例を示
すブロック図である。
【図20】図5の非線形イコライザ12のさらに他の構
成例を示すブロック図である。
【図21】図20の実施例の1クロック分後の状態を説
明する図である。
【図22】図5の非線形イコライザ12の他の構成例を
示すブロック図である。
【図23】ディスクの回転位置を説明する図である。
【図24】図5の非線形イコライザ12の他の実施例の
構成例を示すブロック図である。
【図25】光ディスク1の初期値設定データエリアを説
明する図である。
【図26】図25の光ディスク1の初期値設定データエ
リアに記録するピットを説明する図である。
【図27】PTF検出回路17の構成例を示すブロック
図である。
【図28】図27の実施例の動作を説明する波形図であ
る。
【図29】図27のPTF検出回路17の出力の波形図
である。
【図30】図27のPTF検出回路17の出力特性を示
す図である。
【図31】図5の誤り検出訂正回路13における誤り発
生率とタンジェンシャルスキューとの関係を示す図であ
る。
【図32】従来のスキューセンサの構成例を示す図であ
る。
【図33】光ディスクとピックアップのスキューの関係
を説明する図である。
【符号の説明】
1 光ディスク 2 スピンドルモータ 3 ピックアップ 7 PLL回路 8 スピンドルサーボ回路 9 A/D変換回路 10 バイアス除去回路 11 AGC回路 12 非線形イコライザ 13 誤り検出訂正回路 17 PTF検出回路 18 スキューモータ 70 復号化回路 81乃至83 フリップフロップ 84乃至86 復号化回路 87 メモリ 88 加算回路 89 復号化回路 121,121A,121B,121C 学習機能回路 418 演算回路 421 平均値計算回路 422 アップダウンカウンタ 424 平均値計算回路 425 アップダウンカウンタ 601 減算回路 602 ローパスフィルタ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デジタルデータが記録されているディス
    ク媒体から前記デジタルデータを再生する再生手段と、 前記再生手段の出力から、時間的に前の第1の値、時間
    的に後の第2の値、および時間的に前記第1の値と第2
    の値の中間の第3の値を生成する生成手段と、 前記第1の値を復号する第1の復号手段と、 前記第2の値を復号する第2の復号手段と、 前記第3の値を復号する第3の復号手段と、 前記第1の復号手段の出力に第1の乗算係数を乗算する
    第1の乗算手段と、 前記第2の復号手段の出力に第2の乗算係数を乗算する
    第2の乗算手段と、 前記第3の復号手段、第1の乗算手段および第2の乗算
    手段の出力から、前記第1の乗算係数と第2の乗算係数
    を演算する演算手段と、 前記第1の乗算係数と第2の乗算係数との差を演算する
    減算手段とを備えることを特徴とするスキュー制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記演算手段は、 前記デジタルデータの理想の再生レベルを演算する理想
    値演算手段と、 前記理想の再生レベルと実際の再生レベルとの差分から
    なる誤差信号を求める誤差演算手段と、 前記誤差信号を利用して前記第1の乗算係数と第2の乗
    算係数を演算する係数演算手段とを備えることを特徴と
    する請求項1に記載のスキュー制御装置。
  3. 【請求項3】 前記係数演算手段は、前記誤差信号と、
    前記第3の復号手段が出力する前記第3の値の復号値と
    を乗算して、前記第1の乗算係数と第2の乗算係数を演
    算することを特徴とする請求項2に記載のスキュー制御
    装置。
  4. 【請求項4】 前記演算手段は、 前記係数演算手段の出力を平均化する平均手段と、 前記平均手段の出力に対応してカウント値をアップまた
    はダウンさせるカウント手段とをさらに備えることを特
    徴とする請求項3に記載のスキュー制御装置。
  5. 【請求項5】 前記第1、第2および第3の復号手段、
    並びに前記第1および第2の乗算手段からなる組が、複
    数段、縦続接続されていることを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれかに記載のスキュー制御装置。
  6. 【請求項6】 縦続接続されている前記組の段数は、偶
    数であることを特徴とする請求項5に記載のスキュー制
    御装置。
  7. 【請求項7】 前記減算手段の出力の低周波数成分を抽
    出する抽出手段と、 前記抽出手段の出力に対応して前記再生手段の前記ディ
    スク媒体に対する相対的角度を制御する制御手段とをさ
    らに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載のスキュー制御装置。
  8. 【請求項8】 前記ディスク媒体には、情報ピット列に
    沿って光ビームで走査する前記再生手段の伝達特性に応
    じて決まる再生信号の過渡期間の立上り期間よりも小な
    る所定のシフト期間に相当する範囲以内で、情報ピット
    のエッジ位置を、記録する符号に対応して、所定の基準
    位置からステップ状にシフトして、前記デジタルデータ
    が記録されていることを特徴とする請求項1乃至7のい
    ずれかに記載のスキュー制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100341056C (zh) * 2003-09-05 2007-10-03 联发科技股份有限公司 实时校正倾斜值的光学头倾斜控制方法

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