JPH08308671A - ポリジシクロペンタジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子 - Google Patents

ポリジシクロペンタジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子

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JPH08308671A
JPH08308671A JP14235295A JP14235295A JPH08308671A JP H08308671 A JPH08308671 A JP H08308671A JP 14235295 A JP14235295 A JP 14235295A JP 14235295 A JP14235295 A JP 14235295A JP H08308671 A JPH08308671 A JP H08308671A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 骨格材としての充分な強度を維持するととも
に、所要部にばね性を付与でき、しかもリサイクル時の
処理が容易で、多様な形状デザインを表現でき、軽量化
も図れるポリジシクロペンタジエン製骨格材を有するウ
レタン樹脂椅子を提供する。 【構成】 少なくとも座部および背もたれ部が、ポリジ
シクロペンタジエンより成形された骨格材と、それに一
体成形されたウレタンフォームとを備えた椅子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、骨格材としての充分な
強度を維持するとともに、所要部にバネ性を付与でき、
しかもリサイクル時の処理が容易で、多様な形状デザイ
ンを表現でき、軽量化も図れるポリジシクロペンタジエ
ン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、椅子は、その骨格材の素材と
して、金属、合成樹脂、木材などが使用されているが、
特に脚付き椅子においては、機能性の面からの強度や、
デザイン性などの面からの加工性により、金属の使用頻
度が大きい。また、これらの部材にウレタンフォーム
(例えばインテグラルフォームなど)を一体に成形し
て、アームレスト、座部、脚部を形成するのが一般的で
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、国内
外を問わずにリサイクル運動が盛んになっており、各種
のリサイクル工場が建造されている。製品のリサイクル
を行うにあたって、まず問題になるのが、素材の分別、
特にリサイクル時の処理方法が異なる複数の素材が堅固
に一体化したものの分別である。例えば、前述した椅子
などの場合においても、金属製の骨格材の表面から堅固
に付着したクッション材をきれいに剥ぎ取らなければ再
利用することができない。この作業は、製品が不特定多
数で機械化が困難であるので、従前より人手に頼ってお
り、剥がすのに手間がかかる製品であればあるほど人件
費が嵩んで、リサイクル製品のコストアップを招いてい
る。
【0004】また、骨格材の素材として、例えば一般的
なステンレスのパイプやプレートといった金属材を採用
した場合には、座席の立体的な骨格に合わせるために複
雑な加工を施さなければならず、手間がかかるとともに
コスト高にもなる。しかも、このような金属材の加工方
法は、通常、繊細な加工ができないプレス加工であるの
で骨格材の形状が制約され、デザイナーがイメージした
複雑な形状デザインを製品に表現できず、また金属は重
くて椅子全体の重量を大きくしたり、錆などにより破損
する恐れも考慮しなければならないという問題点があ
る。
【0005】そこで、これらを解消するために、熱可塑
性合成樹脂により骨格材を成形することが考えられる
が、従来の熱可塑性合成樹脂では、骨格材としての機能
を満足させるだけの充分な強度が得られないなどの問題
点がある。
【0006】本発明は、このような従来技術を背景にな
されたもので、骨格材としての充分な強度を維持すると
ともに、所要部にバネ性を付与でき、しかもリサイクル
時の処理が容易で、多様な形状デザインを表現でき、軽
量化も図れる骨格材を有する椅子を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のポリジシ
クロペンタジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子
は、少なくとも座部および背もたれ部が、ポリジシクロ
ペンタジエンより成形された骨格材と、それに一体成形
されたウレタンフォームとを備えるように構成されてい
る。
【0008】また、請求項2記載のポリジシクロペンタ
ジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子は、請求項1
記載の椅子において、少なくとも背もたれ部の骨格材
が、着座時に適度な弾発的作用を有する変位可能な形状
に構成されている。さらに、請求項3記載のポリジシク
ロペンタジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子は、
請求項2記載の椅子において、変位可能な形状が、断面
視して上部が肉厚で、下部が肉薄な形状になるように構
成されている。
【0009】
【作用】請求項1〜3記載のポリジシクロペンタジエン
製骨格材を有するウレタン樹脂椅子は、金型内におい
て、ジシクロペンタジエンを触媒の存在下で重合させて
反応射出成形により骨格材を成形するので、骨格材とし
ての充分な強度が維持できるとともに、椅子の所要部
に、身体の動きに順応した心地良いバネ性を付与するこ
ともできる。このようなバネ性を付与するために、特別
な作業や部品の追加を必要とせず、構造的にも簡略化す
ることができ、工程の簡略化、コストの低減を可能とす
ることもできる。
【0010】また、骨格材が、複雑な形状も容易に表現
できる成形により製造されるので、デザイナーがイメー
ジした多様な形状デザインを製品に表すことができ、さ
らに金属製の骨格材に比べて軽量化が図れる。また、リ
サイクル時には、骨格材とクッション材とを分別するこ
となく、一緒に細かく切断してリサクル処理工程に送っ
たり、一緒に焼却して処分することができる。
【0011】特に、請求項2記載のポリジシクロペンタ
ジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子においては、
少なくとも背もたれ部の骨格材が、着座時に適度な弾発
的作用を有する変位可能な形状となっている。この具体
例は、請求項3に記載のように、背もたれ部の骨格材
が、断面視して上部が肉厚で、下部が肉薄な形状である
ので、使用者が背もたれ部にもたれ掛かると、身体の動
きに順応して、背もたれ部の肉薄な下部が上方へねじり
上がって背中に密着し、かつその状態で背もたれ部の中
央部を中心に後方へ湾曲するので、使用者の背部に心地
良いバネ性を付与できる。なお、背もたれ部の骨格材の
座面部に近い部分を他の部分より細くしたりして、背も
たれ部全体が傾動するようなロッキングチェアー的な対
応を取ることも可能となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図1に示すように、ウレタン樹脂椅子は、
金属または木材からなる4本の脚部10と、座部20
と、背もたれ部30とを備えている。
【0013】図2に示すように、座部20は、厚さ4m
mで、周縁部が下方へ湾曲した平面視してほぼ四角形の
ポリジシクロペンタジエン製の骨格材21を有してお
り、骨格材21の上面に、表面が滑らかなスキン状のウ
レタンフォームの一例であるウレタンインテグラルフォ
ーム22が一体成形されている。ポリジシクロペンタジ
エンとウレタンフォームとは、一体成形した際の密着性
が良好であり、特に接着剤を使用しなくても剥がれるこ
とはない。また、ウレタンインテグラルフォーム22
は、その品種に合わせて軟質、半硬質、硬質と任意に選
定できる。
【0014】座部20の後部は、その前部に比べてウレ
タンインテグラルフォーム22が肉厚になっており、使
用者の臀部の着座感を良好にしている。また、骨格材2
1の裏面には、同じくポリジシクロペンタジエンからな
る前後一対の支持枠部23が一体成形されており、座部
20の各角部に脚部10がビス止めされて組み立てられ
ている。
【0015】図1に示すように、背もたれ部30は、2
本の後側の脚部10の上端部に両端部が埋め込まれて斜
め後方へアーチ状に反り返っており、図3に示すよう
に、ポリジシクロペンタジエン製の骨格材31を、表面
が滑らかなスキン状のウレタンインテグラルフォーム3
2により、楕円形に被覆するように一体成形されたもの
である。
【0016】骨格材31は、着座時に適度な弾発的作用
を有する変位可能な形状となっている。この骨格材31
の変位可能な形状として、断面視して上部が肉厚(5〜
50mm)で、下部が肉薄(2〜8mm)な勾玉状の形
状となっている。このため、背もたれ部30の着座時の
接地部分に適度な弾発的作用を有し、使用者の背部に心
地よいバネ性を付与できる。なお、骨格材31は、断面
視して上部が肉厚で、下部が肉薄な楕円形のものでもよ
い。
【0017】また、骨格材31は、背もたれ部の特定の
箇所、本実施例では平面視して門形の中央部を、徐々に
肉薄になるように細くしているので、荷重により背もた
れ部30が傾動し、荷重が無くなると元の状態に復元す
るような構造となっている。これらの変位可能な形状
は、椅子の要求機能、大きさ、構造によって、適宜決定
される。このように、本実施例のウレタン樹脂椅子によ
れば、従来、スプリングや板バネなどの異素材の組み合
わせがなければ不可能であった構造を、単一素材で可能
としている。
【0018】ここで、ポリジシクロペンタジエンの物性
値を示すと、比重1.03、曲げ弾性率19,000k
g/cm2 (試験法ASTM/D790)、曲げ強さ6
50kg/cm2 (試験法ASTM/D790)、引張
強さ450kg/cm2 (試験法ASTM/D63
8)、衝撃強度47(試験法ASTM/D256)であ
る。
【0019】また、背もたれ部30に屈曲性を与えるた
めの骨格材31の厚さ設計としては、表1に示すように
なる。
【0020】
【表1】
【0021】一般に、背もたれ部30に加えられる荷重
としては40〜60kgであり、その部位に要求される
変位は10〜20mm前後であり、また厚さ設定値は5
〜10tである。
【0022】なお、実施例の骨格材21、31を有する
ウレタン樹脂椅子の製造方法を概略説明する。それぞれ
の骨格材21、31は、反応射出用の成形金型の上下型
間に形成された反応射出成形用空隙内において、ジシク
ロペンタジエンを触媒の存在下で重合させて反応射出成
形法により成形される。使用されるジシクロペンタジエ
ンとしては、例えばジシクロペンタジエンにアルキルア
ルミニウム化合物などの触媒活性剤を添加した反応射出
成形用のA液と、ジシクロペンタジエンに対し、タング
ステン化合物含有の安定化された触媒などを適量添加し
て反応射出成形用のB液の二液で調製される。なお、反
応射出成形において、使用される成形金型の金型温度
は、30〜100℃、重合時間は、10〜15分間程度
である。
【0023】次いで、射出成形型の射出成形用空隙内
に、成形された骨格材21、31を下型側に配置して、
例えば軟質発泡ウレタンを射出成形することにより、ポ
リジシクロペンタジエンからなる骨格材21、31、ウ
レタンインテグラルフォーム22、32からなる座部2
0や背もたれ部30が製造される。
【0024】このように、成形金型内において、ジシク
ロペンタジエンを触媒の存在下で重合させて反応射出成
形により骨格材21、31を成形しているので、骨格材
としての充分な強度が維持できるとともに、椅子の所要
部に、身体の動きに順応した心地良いバネ性を付与する
こともでき、さらに従来の金属を骨格材に使用したもの
に比べて、軽量化が図れる。しかも、製造時に使用され
る反応成形用の成形金型は、熱可塑性合成樹脂用の金型
に比べて、高熱ヒータなどの設備が要らないので金型の
低コスト化が図れるとともに、成形時の熱エネルギーも
低減できる。また、骨格材21、31が、複雑な形状も
容易に表現できる成形により製造されるので、デザイナ
ーがイメージした多様な形状デザインを製品に表すこと
ができる。
【0025】また、骨格材21、31は、従来のように
金属材料でなくウレタンインテグラルフォーム22、3
2と同じ合成樹脂からなるので、リサイクル時には、骨
格材21、31とウレタンインテグラルフォーム22、
32とを分別することなく、一緒に細かく切断してリサ
クル処理工程に送ったり、一緒に焼却して処分すること
ができる。さらに、成形された背もたれ部30の骨格材
31が、断面視して上部が肉厚で、下部が肉薄な形状で
ある一方、平面視して門形の中央部が、徐々に肉薄にな
っているので、使用者が背もたれ部30にもたれ掛かる
と、身体の動きに順応して、背もたれ部30の肉薄な下
部が上方へねじり上がって背中に密着し、かつその状態
で背もたれ部30の中央部を中心に後方へ湾曲するの
で、使用者の背部に心地良いバネ性を付与できる。
【0026】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨
を逸脱しない範囲における設計変更などがあっても本発
明に含まれる。例えば、実施例では、座部および背もた
れ部だけに、ポリジシクロペンタジエンからなる骨格材
を使用したが、これに限定しなくても、例えば肘掛け部
や脚部などにもポリジシクロペンタジエンを使用しても
よい。
【0027】また、実施例では、ウレタンフォームとし
て、ウレタンインテグラルフォームを採用したが、これ
に限定しなくても、軟質、半硬質もしくは硬質ウレタン
フォーム、ウレタンエラストマーなどのその他の品種の
ウレタンフォームなどを採用してもよい。さらに、ウレ
タンフォームの表面に表皮材を被せて、椅子に高級感を
与えるようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】本発明のポリジシクロペンタジエン製骨
格材を有するウレタン樹脂椅子は、このようにフレキシ
ブル性を有するジシクロペンタジエンにより骨格材を成
形しているので、骨格材としての充分な強度が維持でき
るとともに、椅子の所要部に、身体の動きに順応した心
地良いバネ性を付与でき、また多様な形状デザインを表
現できて、軽量化も図れる。
【0029】また、リサイクル時には、骨格材とクッシ
ョン材とを分別することなく、一緒に細かく切断して焼
却処分できる。さらに、このようなバネ性を付与するた
めに、特別な作業や部品の追加を必要とせず、構造的に
も簡略化することができ、工程の簡略化、コストの低減
を可能とすることもできる。
【0030】特に、請求項2〜3記載のポリジシクロペ
ンタジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子において
は、背もたれ部の骨格材が、着座時に適度な弾発作用を
有する変位可能な形状となっているので、使用者の背部
に心地よいバネ性を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のポリジシクロペンタジエン
製骨格材を有するウレタン樹脂椅子の斜視図である。
【図2】座部の拡大断面図である。
【図3】背もたれ部の拡大断面図である。
【符号の説明】
20 座部 21 骨格材 22 ウレタンインテグラルフォーム(ウレタンフォー
ム) 30 背もたれ部 31 骨格材 32 ウレタンインテグラルフォーム(ウレタンフォー
ム)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも座部および背もたれ部が、ポ
    リジシクロペンタジエンより成形された骨格材と、それ
    に一体成形されたウレタンフォームとを備えたことを特
    徴とするポリジシクロペンタジエン製骨格材を有するウ
    レタン樹脂椅子。
  2. 【請求項2】 少なくとも背もたれ部の骨格材が、着座
    時に適度な弾発的作用を有する変位可能な形状となって
    いる請求項1記載のポリジシクロペンタジエン製骨格材
    を有するウレタン樹脂椅子。
  3. 【請求項3】 変位可能な形状が、断面視して上部が肉
    厚で、下部が肉薄な形状である請求項2記載のポリジシ
    クロペンタジエン製骨格材を有するウレタン樹脂椅子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008072407A1 (ja) * 2006-11-22 2008-06-19 Kido Inoue 椅子
JP2008149110A (ja) * 2006-11-22 2008-07-03 Kido Inoue 椅子
JP4717982B2 (ja) * 2000-05-31 2011-07-06 テイ・エス テック株式会社 車両用シート及び車両用シートの製造方法

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WO2008072407A1 (ja) * 2006-11-22 2008-06-19 Kido Inoue 椅子
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