JPH08307392A - 情報伝送方法および情報伝送装置 - Google Patents

情報伝送方法および情報伝送装置

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JPH08307392A
JPH08307392A JP10983295A JP10983295A JPH08307392A JP H08307392 A JPH08307392 A JP H08307392A JP 10983295 A JP10983295 A JP 10983295A JP 10983295 A JP10983295 A JP 10983295A JP H08307392 A JPH08307392 A JP H08307392A
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signal
transmission
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circuit
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JP10983295A
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Inventor
Kenichi Kitayama
研一 北山
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 同期カオスの原理に基づいて高速に秘話通信
を行い、送信と受信の両方の機能を併せ持つ情報伝送方
法および情報伝送装置を提供することを目的としてい
る。 【構成】 送受信機3-1a(3-1b)が有するスイッ
チ3-5によって送受信機3-1a(3-1b)の有する
OPLL#1が出力する駆動カオス信号v(t)を選択し
てOPLL#2に供給した場合、OPLL#2は情報信
号m(t)を入力して駆動カオス信号v(t)ならびに送信カ
オス信号wm(t)を送信する。一方スイッチ3-5によっ
て送受信機3-1b(3-1a)の有するOPLL#1が
出力する駆動カオス信号v(t)を選択してOPLL#2
に供給した場合、OPLL#2は駆動カオス信号v(t)
ならびに送信カオス信号wm(t)を受信して復調し、情
報信号m(t)を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高度な守秘性が要求
される秘話通信や、VOD(Video On Demand)のペ
イTV(有料TV放送)等の放送に用いて好適な情報伝
送方法および情報伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるカオスとは、決定論的な法則に
従う系において現われるランダムな挙動のことである。
このカオスは、鋭敏な初期値依存性を有するため、僅か
な初期条件の差異が、予測不可能な出力変動につなが
る。ところで、カオスの同期は一見、こういったカオス
の概念とは相反するロバスト性を有している(参考文献
1:L.M.Pecora&T.L.Carroll,Phys.Rev.Lett.64,821(19
91))。
【0003】図6は、従来の同期カオスの原理に基づく
情報伝送装置の概念的構成を示すブロック図である。図
6において1-1は送信機(駆動系)であり、サブシス
テムA(1-5)とサブシステムB(1-6)とから構成
されている。一方1-2は受信機(応答系)であり、サ
ブシステムA'(1-7)とサブシステムB'(1-8)、
および合波器1-3とLPF(低域通過フィルタ)1-9
と閾値(しきい値)回路1-10とから構成されている。
また送信機1-1と受信機1-2とは、伝送路1-4によ
って接続されている。
【0004】図6に示す構成において、サブシステムB
に情報信号m(t)(1-11)を入力することによって、送
信機1-1からカオス信号に情報信号m(t)を重畳した送
信信号vm(t)(1-12)を送信する。受信機1-2で
は、送信信号vm(t)をサブシステムB'と合波器1-3
とに供給し、送信信号vm(t)からサブシステムA'が出
力するカオス信号vr(t)(1-13)を減じて位相差信号
e(t)(1-14)を求める。位相差信号e(t)がLPF1-
9と閾値回路1-10を通過することによって情報信号m
(t)(1-11a)が取り出される。
【0005】即ち、送信信号vm(t)をサブシステムB'
に入力してサブシステムBとの同期を取り、これによっ
て同期カオス信号vr(t)を発生させ、送信信号vm(t)
との位相差信号e(t)を検出することによって、情報信
号m(t)を復調する。このように、サブシステムBとサ
ブシステムB'へサブシステムAのカオス的な状態を入
力すると、ある条件(後述)の下ではサブシステムBと
サブシステムB'のカオス的な振る舞いが、各時刻にお
いて等しくなる。このような現象をカオスの同期とい
う。上述の「ある条件」とは、サブシステムA、A'な
らびにB、B’に関する連立常微分方程式の条件付きリ
アプノフ指数が全て負となることである(参考文献2:
T.Endo&L.Chua,IEEE Trans.Circuits Syst.38,1580(19
91))。
【0006】カオスの同期(参考文献1)については前
述の通りであるが、注目すべき特徴はカオスの同期がロ
バスト性を有していることである。即ち、この同期はサ
ブシステムの回路パラメータに摂動が加わっても固有の
カオスを維持するというものであり、サブシステム#2
と#2'が全く同一でなくても、“双子”のような類似
度があれば同期が得られるということを意味している。
この性質が実用上重要であり、カオスの同期を応用した
システムを実際のデバイスを用いて実現できることを保
証するものである。
【0007】図7は、図6に示すカオス秘話通信(暗
号)の論理を示したブロック図である。図7に示す秘話
通信の論理によると、第3者が盗聴を行うためには、情
報がカオスに埋め込まれた送信信号を傍受し、その観測
データからカオス信号を逐次再現する必要がある。しか
しカオスの本来の性質上、有限時間内に観測データから
カオス信号を解読することは事実上困難であるため、こ
の通信方式は高い秘話性が保証されているといえる。
【0008】この秘話通信方式は、暗号アルゴリズム上
の分類では、いわゆる公開鍵暗号系にあたり、ビット毎
に逐次暗号化するので、同期式ストリーム暗号系に分類
できる。同期式ストリーム暗号では、一般にM系列符号
のような乱数が用いられるが、M系列ではLFSR(L
inear Feedback Shift Register)の初期状態とn−
1本の結線状態(n:段数)が暗号の鍵となり、段数が
線形複雑度として暗号学的な強さを表わす目安となる。
カオスは、このM系列符号に比べて非線形性、長周期性
および無相関性に優れているので、より解読に強い暗号
ということができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のカオスの同期論
理に基づく通信装置としては、カオス発生に用いる回路
として、ローレンツ型やChuaの回路等の非線形電子
回路や、PLL(PhaseLocked Loop)回路を用いた
もの等が種々試みられている。しかし、何れの場合にあ
っても専用の送受信機を用いていないため、これらに類
似した装置を、送信機および受信機として最低各一台ず
つ必要とした。
【0010】即ち前述の構成では、送信機1-1と受信
機1-2の各々にサブシステムを備える必要があり、こ
れら装置の小型化と経済化を妨げる要因になっていた。
また、従来はキャリア周波数がkHzと低く、高速のビ
ットレートの情報を担うことが本質的に不可能であっ
た。本発明は前述の欠点を艦みてなされたものであり、
同期カオスの原理に基づいて高速に秘話通信を行い、送
信と受信の両方の機能を併せ持つ情報伝送方法および情
報伝送装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1に記載の発明にあっては、第1の駆動
カオス信号ならびに2値の情報信号を含む送信カオス信
号を送信する送信機能と、第2の駆動カオス信号ならび
に情報信号を含む送信カオス信号を受信する受信機能と
を有する送受信機を、伝送路の両端に設置した情報伝送
装置であって、前記送受信機の各々は、基準となる信号
を発振する発振器と、前記発振器が出力する信号と位相
が同期した前記第1の駆動カオス信号を出力する第1の
位相同期回路と、前記第1の駆動カオス信号と、対応す
る送受信機が有する第1の位相同期回路が出力する第2
の駆動カオス信号との何れかを選択する選択手段と、前
記送信カオス信号、あるいは前記選択手段によって選択
された第2の前記駆動カオス信号と位相が同期した応答
カオス信号の何れかを出力する第2の位相同期回路と、
前記応答信号と、対応する送受信機が有する第2の位相
同期回路が出力する送信カオス信号とを混合して、その
位相差信号を出力する混合回路と、前記位相差信号から
前記情報信号を取り出す復調回路とを具備することを特
徴とする。
【0012】また、請求項2に記載の発明にあっては、
請求項1に記載の情報伝送装置では、前記復調回路は、
前記位相差信号を所定の継続時間で積分する積分回路
と、前記積分回路の出力を2値判定する閾値素子とから
構成されることを特徴とする。
【0013】また、請求項3に記載の発明にあっては、
請求項2に記載の情報伝送装置では、前記積分回路とし
て低域通過フィルタを用いることを特徴とする。
【0014】また、請求項4に記載の発明にあっては、
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の情報伝送装置
では、前記送受信機が(A)送信する際には、前記選択
手段は第1の位相同期回路が出力する前記第1の駆動カ
オス信号を選択し、前記第2の位相同期回路は前記情報
信号を入力して前記送信カオス信号を出力し、(B)受
信する際には、前記選択手段は対応する送受信機が有す
る第1の位相同期回路が出力する前記第2の駆動カオス
信号を選択し、前記第2の位相同期回路は前記応答カオ
ス信号を出力することを特徴とする。
【0015】また、請求項5に記載の発明にあっては、
請求項1ないし請求項4の何れかに記載の情報伝送装置
では、前記伝送路は、一対の伝送線路群から構成され、
前記伝送線路群の各々は、前記第1あるいは第2の駆動
カオス信号を伝送する第1の伝送線路と、前記送信カオ
ス信号を伝送する第2の伝送線路とから構成されること
を特徴とする。
【0016】また、請求項6に記載の発明にあっては、
請求項1に記載の情報伝送装置では、前記発振器にはレ
ーザ励振器を用い、前記第1および第2の位相同期回路
には各々光位相同期回路を用い、前記混合回路には光ミ
キサを用い、前記復調回路には光信号復調回路を用いる
ことを特徴とする。
【0017】また、請求項7に記載の発明にあっては、
請求項6に記載の情報伝送装置では、前記伝送路は、一
対の光多重伝送線路から構成され、前記光多重伝送線路
の各々は、前記第1あるいは第2の駆動カオス信号と前
記送信カオス信号とを偏波多重により伝送することを特
徴とする。
【0018】また、請求項8に記載の発明にあっては、
請求項6に記載の情報伝送装置では、前記伝送路は、一
対の光伝送線路群から構成され、前記光伝送線路群の各
々は、前記第1あるいは第2の駆動カオス信号を伝送す
る第1の伝送線路と、前記送信カオス信号を伝送する第
2の伝送線路とから構成されることを特徴とする。
【0019】また、請求項9に記載の発明にあっては、
伝送路の両端に設置された送受信機の各々によって第1
の駆動カオス信号ならびに2値の情報信号を含む送信カ
オス信号を送信し、または第2の駆動カオス信号ならび
に情報信号を含む送信カオス信号を受信する情報伝送方
法であって、発振器により基準となる信号を発振し、第
1の位相同期回路によって前記発振器が出力する信号と
位相が同期した前記第1の駆動カオス信号を出力し、前
記送受信機によって(A)送信する際には、選択手段に
よって前記第1の位相同期回路が出力する前記第1の駆
動カオス信号を選択し、前記第2の位相同期回路によっ
て前記選択手段により選択された前記第1の駆動カオス
信号と前記情報信号とを入力して前記送信カオス信号を
出力し、(B)受信する際には、前記選択手段によって
対応する送受信機が有する第1の位相同期回路が出力す
る第2の駆動カオス信号を選択し、前記第2の位相同期
回路によって前記第2の駆動カオス信号と位相が同期し
た応答信号を出力し、混合回路によって前記応答信号と
対応する送受信機が有する第2の位相同期回路が出力す
る送信カオス信号とを混合してその位相差信号を出力
し、復調回路によって前記位相差信号から前記情報信号
を取り出すことを特徴とする。
【0020】
【作用】この発明によれば、送受信機が有する選択手段
によって該送受信機が有する第1の位相同期回路が出力
する第1の駆動カオス信号を選択して第2の位相同期回
路に供給した場合、該送受信機は情報信号を入力して第
1の駆動カオス信号ならびに2値の情報信号を含む送信
カオス信号を送信する。一方選択手段により対応する送
受信機が有する第1の位相同期回路が出力する第2の駆
動カオス信号を選択して第2の位相同期回路に供給した
場合、該送受信機は第2の駆動カオス信号ならびに2値
の情報信号を含む送信カオス信号を受信して復調し、情
報信号を出力する。また2つの送受信機の間を、光伝送
路群によって接続する。
【0021】
【実施例】以下に図面を参照して、本発明の一実施例に
かかる情報伝送装置について説明する。図1は、本実施
例の情報伝送装置の構成を示す概略構成図である。なお
本実施例では、光によって情報を伝送する情報伝送装置
に適用した例を示している。
【0022】A.構成 図1において3-1aおよび3-1bは送受信機であり、
これら送受信機3-1aと送受信機3-1bとは伝送路3
-2によって接続されている。この伝送路3-2は、2本
の光ファイバから構成されており、1本は送受信機3-
1aが出力する駆動カオス信号v(t)と送信カオス信号
wm(t)とを偏波多重伝送によって送受信機3-1bに伝
送する。他の1本は、送受信機3-1bが出力する駆動
カオス信号v(t)と送信カオス信号wm(t)とを偏波多重
伝送によって送受信機3-1aに伝送する。また、送受
信機3-1aと送受信機3-1bとは、その構成が同一で
あるので、以下に送受信機3-1aの構成について説明
する。
【0023】3-3は光源である。このような光による
通信装置にあっては、一般にレーザ光が用いられてお
り、本実施例にあっても、光源としてLD(レーザダイ
オード)を用いている。光源3-3が出力するレーザ光
はOPLL(Optical PLL:光PLL)#1(3−
4)に供給される。このOPLLは、PLLを光デバイ
スで置き換えたものであり動作原理は変わらないが、V
COとして半導体レーザを用いるとロックレンジが広く
微弱な注入パワーでも位相同期がとれる。図2は、OP
LL#1の内部構成を示すブロック図である。
【0024】図2において、入力された光信号は合波器
5-2に入力される。合波器5-2には、この他に後述す
るLD5-5の出力光が入力される。合波器5-2の出力
光は、PD(Photo Detector:光検波器)5-3によ
って電気信号に変えられ、ループフィルタ5-4に供給
される。ループフィルタ5-4の出力はLD5-5を駆動
し、LD5-5が光信号を発生する。この光信号はOP
LL#1から出力されるとともに、前述の合波器5-2
に供給される。
【0025】一般にPLLは、後述するようにある条件
の下では、VCOの出力がカオス的な振る舞いを示すこ
とが知られている。一方OPLLにあっても、PLLと
同様の動作原理に基づいてカオス的な振る舞いを示すこ
とが論理的に明らかにされている。即ち、このOPLL
#1の動作原理は電気のPLLと同様であり、LD5-
5がVCO(Voltage Controled Oscillator:電圧
制御発振器)に相当し、位相検出にPD5-3が用いら
れている。即ち、入力光とVCOに相当するレーザ光の
位相差を検出し、これをLDに帰還し位相同期を行う。
【0026】OPLL#1が出力する駆動カオス信号v
(t)は、伝送路3-2によって送受信機3-1bへ伝送さ
れるとともに、スイッチ3-5の接点3-5bに接続され
ている。このスイッチ3-5の接点3-5aには、通信相
手(送受信機3-1b)のOPLL#1が出力する駆動
カオス信号v(t)が接続され、コモン接点3-5cは送信
あるいは受信に応じて、接点3-5aと接点3-5bの何
れかに接続される。即ちスイッチ3-5は、送受信機3-
1aのOPLL#1が出力する駆動カオス信号v(t)と
送受信機3-1bのOPLL#1が出力する駆動カオス
信号v(t)の内、何れかを選択する。
【0027】スイッチ3-5によって選択された駆動カ
オス信号v(t)はOPLL#2(3-6)に供給される。
また、OPLL#2には情報信号m(t)も入力され、応
答カオス信号wr(t)あるいは送信カオス信号wm(t)を
出力する。この応答カオス信号wr(t)および送信カオ
ス信号wm(t)は、送受信機3-1aおよび送受信機3-
1bが有する光ミキサ3-7に供給される。
【0028】光ミキサ3-7は、送信カオス信号wm(t)
と応答カオス信号wr(t)とを混合して出力し、この出
力信号はLPF3-8に供給される。LPF3-8の出力
信号は閾値素子3-9に供給され、閾値素子3-9からは
復調された情報信号m(t)が出力される。
【0029】B.動作 (a)以下に、本実施例の情報伝送装置におけるカオス
の同期について説明する。前述の通り送受信機3-1a
と送受信機3-1bとは互いに同一の構成であり、互い
に有するOPLL#1同志、あるいはOPLL#2同志
は等しい回路パラメータを有している。また、送受信機
3-1aおよび送受信機3-1bが有するスイッチ3-5
は、各々実線矢印側に接続されている。即ち、送受信機
3-1aを送信機として、また送受信機3-1bを受信機
として動作させる場合を例に挙げて説明する。
【0030】まず、送受信機3-1a側のOPLL#1
にFM変調した光信号を入力し、カオス信号を出力させ
る。このとき、このカオス信号を駆動信号としてOPL
L#2にカオス的な振る舞いをさせるため、入力光FM
信号の光キャリア周波数をOPLL#1のロックレンジ
のやや外側に設定する。
【0031】ここで、送受信機3-1aのOPLL#1
が出力するカオス的な位相を有するレーザ光を駆動信号
v(t)として、送受信機3-1aのOPLL#2と送受信
機3-1bのOPLL#2とに入力する。これにより、
これら各OPLL#2は同期し、ほぼ等しいカオス的な
位相を有するレーザ光を出力する。
【0032】なお、逆に送受信機3-1aを受信機とし
て、送受信機3-1bを送信機として動作させる場合、
送受信機3-1bのOPLL#1のカオス的な位相を有
する出力レーザ光を、駆動信号v(t)として各々OPL
L#2に入力すると、これら各OPLL#2の出力信号
のカオス的な位相は同期する。
【0033】(b)次にカオス信号をディジタル情報信
号によってディジタル変調する方法について説明する。
送受信機3-1aにおいて、OPLL#2の回路パラメ
ータに摂動を加えると、固有のカオスを維持した状態の
ままで、摂動に応じて出力信号がわずかに変動する。従
って、送受信機3-1aのOPLL#2の回路パラメー
タを、情報信号m(t)によって変調することで、カオス
出力に情報を埋め込むことが可能である。
【0034】この場合、変調を加える回路パラメータと
しては、例えば図2に示すループフィルタ5-4の時定
数等がある。さてここで、情報信号m(t)として2値の
情報ビット列によってループフィルタの時定数を変調す
ると、情報信号m(t)の“0”に対しては無摂動のカオ
ス的な振る舞いを示す。一方、情報信号m(t)の“1”
に対するカオスには僅かな変化が生じる。即ち結果的に
は、カオス的な位相が情報信号m(t)で変調され、位相
成分がwm(t)であるような送信信号が得られる。
【0035】送受信機3-1bでは、供給されたされた
駆動信号v(t)によってOPLL#2は送受信機3-1a
のOPLL#2と同期し、正規の(摂動のない)位相成
分がwr(t)であるようなカオス信号を出力する。この
とき、送信信号wm(t)とwr(t)との位相差、即ち同期
誤差信号e(t)は、情報m(t)と一致する。ここでe
(t)、即ちwm(t)−wr(t)は光信号の位相であるか
ら、光検波器を用いて自乗検波すれば情報信号m(t)が
得られる。
【0036】送受信機3-1bではこうして得られた電
気信号を、LPF3-8によって1ビットの継続時間に
亙り積分し、閾値素子3-9によって閾値処理すること
により“0”または“1”を判定する。これによって2
値の原情報(情報信号m(t))の再生受信が完了する。
【0037】図3は、この変調方式に基づく数値シミュ
レーションの一例を示す図であり、図3(a)は情報信
号m(t)の送信波形、図3(b)はe(t)、即ち復調波形
を示している。本実施例では、駆動信号と情報が埋め込
まれた送信信号の2信号を共に伝送する必要があるが、
伝送路として偏波保存単一モード光ファイバを用いる
と、この2つの信号光を互いに直交する偏波で同時に伝
送することが可能である。この場合、2つの偏波間の漏
話は、実際上極めて小さいので、互いの信号の干渉は無
視できる。
【0038】ところで一般のPLL回路の場合には、V
COの離調度がカオスの同期にとって最も重要な回路パ
ラメータの一つになる。図4は、送信側の送受信機3-
1aと受信側の送受信機3-1bの各々が有するPLL
#2の、正規化自由発振周波数ωvcoの差δに対する
条件付きリアプノフ指数の状態を示す図である。
【0039】ここで、送受信機3-1aと受信機3-1b
の各々において、PLL#1とPLL#2のωvcoは
等しいものとし、図4(a)はダンピング係数が小さい
場合、図4(b)はダンピング係数が大きい場合を示し
ている。図4(a)によると、δ=0.05の時点にお
いて一方のリアプノフ指数の符号が負から正に転じてい
る。これに対して図4(b)では、δ<0.3の範囲で
リアプノフ指数は共に負となり、カオスの同期が保証さ
れることがわかる。
【0040】次に、これら送受信機3-1a、3-1bを
備えた情報伝送装置において、特定の2ノード(送受信
機)間で通信を行うためのプロトコル(手順)について
述べる。図5は、このプロトコルを時空間ダイアグラム
で示した図である。なお、図5では送受信機3-1aか
ら送受信機3-1bへのアクセス(通信接続)を示して
いる。また図中のLは距離、vは光の伝播速度である。
【0041】(1)まず、送受信機3-1aのOPLL
#2と送受信機3-1bのOPLL#2とで、VCOの
ωvcoを同調させる。
【0042】(2)次に送受信機3-1aは、情報信号
m(t)の送信に先立って、OPLL#1から駆動信号v
(t)のみをプローブとして送信し、送受信機3-1bに同
期カオスを発生させる。このとき、送受信機3-1bは
同期カオスを発生させるためにTsの時間を要する。そ
こで送受信機3-1aは、時間Tsの間は駆動信号v(t)
を送信し、時間Ts経過後さらに後述する時間Taの
後、情報信号m(t)の送信を開始する。
【0043】(3)送受信機3-1aが送信を開始して
からL/v+Tsの時間が経過すると、送受信機3-1
bにおいてプローブ信号の受信が成立する。このとき受
信機3-1bは、送受信機3-1a対して受信可能である
ことを知らせるacknowledgment信号(受信可能を知ら
せるメッセージ)の返送を開始する。このacknowledgm
ent信号の返送開始に際して、前述の時間Taを要す
る。
【0044】なおこの場合、送受信機3-1bのOPL
L#1は送信機として動作し、送受信機3-1aは2・L
/v+Tsの時間が経過した後に、OPLL#1を受信
機として動作させ、acknowledgment信号を確認する。
また、送受信機3-1aのOPLL#1と送受信機3-1
bのOPLL#1とは既に同調しているので、ωvco
を変化させる必要はない。
【0045】(4)このようにして送受信機3-1a
が、Ts+Ta+2・L/vの時間が経過した後に、ac
knowledgment信号の返信を確認できたときには、情報信
号m(t)の送信を最後まで実行する。
【0046】(5)一方送受信機3-1aが、Ts+T
a+2・L/vの時間が経過した後に、acknowledgment
信号の返信を受信できなかったときには、直ちに送信を
停止し、手順(1)に戻る。
【0047】なお、以上とは逆に送受信機3-1bから
送受信機3-1aへのアクセスの場合にあっても、以上
に説明したプロトコルと同様であるので、その説明は省
略する。
【0048】以上の実施例に示した本発明の情報伝送方
式は、VCOの発振周波数を掃引するという点において
は、基本的にはWDMAと同じである。しかし、周波数
の同調範囲がWDMAと比して極めて狭く、例えばOP
LLの自然周波数ωnを4×106rad/sとする
と、δ=0.03に対して△ωvco,2に相当する周波数
は約19kHzとなる。従って、通常WDMAに用いら
れる音響光学(AO)フィルタの帯域に比べると、その
同調幅は約1/(3×106)である。即ちこれは、O
PLL自体が極めて鋭敏な光周波数フィルタであること
に他ならない。
【0049】従って、情報信号の多重数は、究極的には
OPLLの周波数選択性ではなく、信号帯域で決まるこ
とになり、「真の意味」の光FDM(Frequency Divi
sionMultipleaccess)が実現できる。この場合、1.5
5μm帯においてはEDFAの帯域が約4THzである
ことを考慮すると、10Gb/sのビットレートで20
0チャネル確保できることになる。
【0050】また、通常用いられているOPLLは、図
2に示すように判定帰還型PLLである。その論理に基
づけば、所要のBERを達成するための要求されるレー
ザのスペクトル線幅は、そのビットレートに比例する。
半導体レーザのスペクトル線幅は元来広いため、この条
件は半導体レーザをVCOとして用いる場合には、ビッ
トレートの低速化には限界がある。しかしこれが、ビッ
トレートの高速化の制約にはならないことを意味する。
【0051】従って本発明では、光をキャリア(搬送
波)としているため、ビットレートはOPLLのループ
を構成する電子デバイスの応答速度の限界まで高速化が
可能となり、これがPLLを光化することの最大のメリ
ットである。上記のような数々の利点に加えて、本発明
の情報伝送装置では送信機と受信機の機能を併せ持つ送
受信機を使用するため、ハードウェアが半分に削減で
き、装置の小型化が計れ、コストダウンも可能である。
【0052】なお、駆動カオス信号v(t)と送信カオス
信号wm(t)とを、別々の伝送媒体を用いて通信するこ
とも考えられる。即ち、ケーブル化された2本の単一モ
ード光ファイバによって、それぞれ駆動カオス信号v
(t)あるいは送信カオス信号wm(t)を伝送させることも
可能である。
【0053】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
送受信機が有する選択手段によって該送受信機が有する
第1の位相同期回路が出力する駆動カオス信号を選択し
て第2の位相同期回路に供給した場合、該送受信機は情
報信号を入力して駆動カオス信号ならびに2値の情報信
号を含む送信カオス信号を送信する。一方選択手段によ
り対応する送受信機が有する第1の位相同期回路が出力
する駆動カオス信号を選択して第2の位相同期回路に供
給した場合、該送受信機は駆動カオス信号ならびに2値
の情報信号を含む送信カオス信号を受信して復調し、情
報信号を出力するので、同期カオスの原理に基づいて秘
話通信を行い、送信と受信の両方の機能を併せ持つ情報
伝送方法および情報伝送装置が実現可能であり、また2
つの送受信機の間を光伝送路群で接続することによって
情報ビットレートの高速化が可能になるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる情報伝送装置の構成
を示す概略構成図である。
【図2】同実施例において、OPLL#1の内部構成を
示すブロック図である。
【図3】本発明の変調方式に基づく数値シミュレーショ
ンの一例を示す図である。
【図4】同実施例において、各PLL#2の正規化自由
発振周波数ωvcoの差δに対する条件付きリアプノフ
指数の状態を示す図である。
【図5】同実施例のプロトコルを時空間ダイアグラムで
示した図である。
【図6】従来の同期カオスの原理に基づく情報伝送装置
の概念的構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示すカオス情報伝送の論理を示したブロ
ック図である。
【符号の説明】
3-1a、3-1b 送受信機 3-2 伝送路 3-3 光源 3-4 OPLL#1 3-5 スイッチ 3-6 OPLL#2 3-7 光ミキサ 3-8 LPF 3-9 閾値素子 5-2 合波器 5-3 PD 5-4 ループフィルタ 5-5 LD m(t) 情報信号 v(t) 駆動カオス信号 wm(t) 送信カオス信号 wr(t) 応答カオス信号

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の駆動カオス信号ならびに2値の情
    報信号を含む送信カオス信号を送信する送信機能と、第
    2の駆動カオス信号ならびに情報信号を含む送信カオス
    信号を受信する受信機能とを有する送受信機を、伝送路
    の両端に設置した情報伝送装置であって、前記送受信機
    の各々は、 基準となる信号を発振する発振器と、 前記発振器が出力する信号と位相が同期した前記第1の
    駆動カオス信号を出力する第1の位相同期回路と、 前記第1の駆動カオス信号と、対応する送受信機が有す
    る第1の位相同期回路が出力する第2の駆動カオス信号
    との何れかを選択する選択手段と、 前記送信カオス信号、あるいは前記選択手段によって選
    択された第2の前記駆動カオス信号と位相が同期した応
    答カオス信号の何れかを出力する第2の位相同期回路
    と、 前記応答信号と、対応する送受信機が有する第2の位相
    同期回路が出力する送信カオス信号とを混合して、その
    位相差信号を出力する混合回路と、 前記位相差信号から前記情報信号を取り出す復調回路と
    を具備することを特徴とする情報伝送装置。
  2. 【請求項2】 前記復調回路は、 前記位相差信号を所定の継続時間で積分する積分回路
    と、 前記積分回路の出力を2値判定する閾値素子とから構成
    されることを特徴とする請求項1に記載の情報伝送装
    置。
  3. 【請求項3】 前記積分回路として低域通過フィルタを
    用いることを特徴とする請求項2に記載の情報伝送装
    置。
  4. 【請求項4】 前記送受信機が(A)送信する際には、 前記選択手段は第1の位相同期回路が出力する前記第1
    の駆動カオス信号を選択し、 前記第2の位相同期回路は前記情報信号を入力して前記
    送信カオス信号を出力し、(B)受信する際には、 前記選択手段は対応する送受信機が有する第1の位相同
    期回路が出力する前記第2の駆動カオス信号を選択し、 前記第2の位相同期回路は前記応答カオス信号を出力す
    ることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに
    記載の情報伝送装置。
  5. 【請求項5】 前記伝送路は、 一対の伝送線路群から構成され、 前記伝送線路群の各々は、 前記第1あるいは第2の駆動カオス信号を伝送する第1
    の伝送線路と、 前記送信カオス信号を伝送する第2の伝送線路とから構
    成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何
    れかに記載の情報伝送装置。
  6. 【請求項6】 前記発振器にはレーザ励振器を用い、 前記第1および第2の位相同期回路には各々光位相同期
    回路を用い、 前記混合回路には光ミキサを用い、 前記復調回路には光信号復調回路を用いることを特徴と
    する請求項1に記載の情報伝送装置。
  7. 【請求項7】 前記伝送路は、 一対の光多重伝送線路から構成され、 前記光多重伝送線路の各々は、 前記第1あるいは第2の駆動カオス信号と前記送信カオ
    ス信号とを偏波多重により伝送することを特徴とする請
    求項6に記載の情報伝送装置。
  8. 【請求項8】 前記伝送路は、 一対の光伝送線路群から構成され、 前記光伝送線路群の各々は、 前記第1あるいは第2の駆動カオス信号を伝送する第1
    の伝送線路と、 前記送信カオス信号を伝送する第2の伝送線路とから構
    成されることを特徴とする請求項6に記載の情報伝送装
    置。
  9. 【請求項9】 伝送路の両端に設置された送受信機の各
    々によって第1の駆動カオス信号ならびに2値の情報信
    号を含む送信カオス信号を送信し、または第2の駆動カ
    オス信号ならびに情報信号を含む送信カオス信号を受信
    する情報伝送方法であって、 発振器により基準となる信号を発振し、 第1の位相同期回路によって前記発振器が出力する信号
    と位相が同期した前記第1の駆動カオス信号を出力し、 前記送受信機によって(A)送信する際には、 選択手段によって前記第1の位相同期回路が出力する前
    記第1の駆動カオス信号を選択し、 前記第2の位相同期回路によって前記選択手段により選
    択された前記第1の駆動カオス信号と前記情報信号とを
    入力して前記送信カオス信号を出力し、(B)受信する
    際には、 前記選択手段によって対応する送受信機が有する第1の
    位相同期回路が出力する第2の駆動カオス信号を選択
    し、 前記第2の位相同期回路によって前記第2の駆動カオス
    信号と位相が同期した応答信号を出力し、 混合回路によって前記応答信号と対応する送受信機が有
    する第2の位相同期回路が出力する送信カオス信号とを
    混合してその位相差信号を出力し、 復調回路によって前記位相差信号から前記情報信号を取
    り出すことを特徴とする情報伝送方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103684264A (zh) * 2013-11-14 2014-03-26 常州大学 一种忆阻电路与非线性电路可切换的混沌信号源

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