JPH08305980A - 炎検知装置および炎検知方法 - Google Patents

炎検知装置および炎検知方法

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JPH08305980A
JPH08305980A JP7103796A JP7103796A JPH08305980A JP H08305980 A JPH08305980 A JP H08305980A JP 7103796 A JP7103796 A JP 7103796A JP 7103796 A JP7103796 A JP 7103796A JP H08305980 A JPH08305980 A JP H08305980A
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JP7103796A
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Inventor
Hideo Suzuki
英雄 鈴木
Akihiko Nishiyama
明彦 西山
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Tetsuo Kimura
徹男 木村
Satoshi Tsuchiya
悟志 土屋
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Nittan Co Ltd
Original Assignee
Nittan Co Ltd
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  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Closed-Circuit Television Systems (AREA)
  • Fire-Detection Mechanisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炎以外の要因による誤検知を防止し、炎を信
頼性良く検知することが可能である。 【構成】 本発明の炎検知装置は、撮像部1と、撮像部
1によって撮像された画像から対象物画像領域を抽出
し、該対象物画像領域の画素情報に基づいて対象物に関
する情報を割り出す画像処理部2と、画像処理部2によ
って割り出された対象物に関する情報に基づき、対象物
が炎であるか否かを判断する判断部3とを有している。
ここで、情報として、対象物画像領域の円形度,対象物
画像領域の大きさの時間的分散率,対象物画像領域の大
きさの時間変化についての自己相関を割り出し、判断部
3は、画像処理部2によって割り出された対象物画像領
域の円形度,対象物画像領域の大きさの時間的分散率,
対象物画像領域の大きさの時間変化についての自己相関
に基づいて対象物が炎であるか否かを判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火災時などに発生
する炎を検知する炎検知装置および炎検知方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、火災時などに発生する炎を検知す
る炎検知装置として、紫外線式あるいは赤外線式の感知
器(センサ)を用いたものが一般的に知られている。ここ
で、紫外線式の感知器は、紫外線に高感度特性を有する
UVトロンのような放電管を用いて、炎から放射される
紫外領域の光を感知し、紫外領域の光の光量に応じた個
数の放電パルスを出力する機能を有しており、紫外線式
の感知器を用いた炎検知装置では、紫外線式の感知器か
ら出力される放電パルスの個数に基づき炎であるか否か
の検知を行なっている。また、赤外線式の感知器は、炎
から放射される赤外領域の光,特に二酸化炭素の共鳴放
射の約4.3ミクロンの波長の光を感知する機能を有し
ており、赤外線式の感知器を用いた炎検知装置では、赤
外線式の感知器により感知された赤外領域の光の光量と
その揺らぎとに基づいて炎であるか否かの検知を行なっ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、紫外線
式の感知器は、溶接のようなアーク放電から放射される
光にも敏感であり、従って、紫外線式の感知器を用いた
炎検知装置では、溶接などの作業が行なわれるとき、誤
検知がなされることがある。また、赤外線式の感知器
は、赤外領域を含んだ太陽光にも敏感であり、従って、
赤外線式の感知器を用いた炎検知装置では、例えばさざ
波の立っている水面によって反射された太陽光(揺らぎ
(ちらつき)のある赤外領域光)などによって、誤検知が
なされることがある。
【0004】また、炎検知装置として、熱画像装置を用
いたものもあり、熱画像装置を用いた炎検知装置では、
熱画像として撮像した各画素のうち、所定の閾値以上の
画素値をもつ画素の個数(画素数,すなわち面積)を求
め、この画素数(面積)に基づき炎か否かを検知するよう
になっている。しかしながら、熱画像装置を用いた炎検
知装置では、熱画像装置が高温対象物に対して高感度特
性を有するので、炎以外の高温対象物をも撮像してしま
い、誤検知がなされることがある。
【0005】本発明は、炎以外の要因による誤検知を防
止し、炎を信頼性良く検知することの可能な炎検知装置
および炎検知方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1乃至請求項9記載の発明では、情報量の多
い対象物撮像画像データを用いて、火災時等に発生する
炎独自の特徴(他の要因と明確に区別することのできる
特徴)が良好に表現される情報を割り出して、この情報
に基づき、対象物が炎か否かを判断する。これにより、
炎であるか否かの判断の信頼性を著しく向上させること
ができる。
【0007】特に、情報として、対象物領域の大きさの
時間的分散率を割り出すことで、炎独自の特徴であるゆ
らぎを、高速フーリエ変換等の複雑な手法を用いずに、
容易に抽出することができる。また、この時間的分散率
は、対象物と撮像部(CCD)との間の距離が変わって
も、これに差程影響されないので、炎が撮像部に対して
近い位置で発生しても、また、遠い位置で発生しても、
これに影響されずに炎の特徴であるゆらぎを信頼性良く
抽出することができて、炎と炎以外の要因とを信頼性良
く識別することができる。
【0008】また、対象物領域の大きさの時間変化につ
いての自己相関を割り出すことで、炎独自の特徴である
ゆらぎの規則性(すなわち不規則性)を容易に抽出するこ
とができ、例えば回転灯などのような人為的な周期性の
ある雑音と炎とを信頼性良く識別することができる。
【0009】また、対象物領域の円形度を割り出すこと
で、炎独自の特徴である形状を容易に抽出することがで
き、炎と炎以外の要因とを信頼性良く識別することがで
きる。
【0010】さらに、対象物画像領域の重心移動度,対
象物画像領域の主軸変化率,あるいは対象物画像領域の
形状類似率を割り出すことで、これらをも炎独自の特徴
が良好に表現されている情報として用いることができ、
炎と炎以外の要因とを信頼性良く識別することができ
る。
【0011】また、請求項2,請求項4,請求項5,請
求項9記載の発明では、炎独自の特徴が良好に表現され
る情報をパラメータとしたメンバーシップ関数が予め設
定されており、炎独自の特徴が良好に表現される情報が
割り出されたとき、対象物が炎である確信度を、割り出
された情報をパラメータ値としてメンバーシップ関数か
ら求め、得られた確信度に基づいて、対象物が炎である
か否かを判断する。これにより、人間の判断に近いより
信頼性の高い炎検知判断を行なうことができる。
【0012】また、請求項7記載の発明では、撮像手段
としての2次元CCDには、可視領域の光に感度を有す
るCCDが用いられ、この場合、撮像手段は、近赤外フ
ィルタを透過した光をCCDに入光させるように構成さ
れており、通常の可視光CCDを用い、その近赤外光の
領域を火災の判断に利用しているため、比較的雑音信号
比が大きく取れ、赤外線CCDを用いる場合よりも低コ
ストの製品が提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は本発明に係る炎検知装置の構
成例を示す図である。図1を参照すると、この炎検知装
置は、撮像部1と、撮像部1によって撮像された画像か
ら対象物画像領域を抽出し、該対象物画像領域の画素情
報に基づいて対象物に関する情報を割り出す画像処理部
2と、画像処理部2によって割り出された対象物に関す
る情報に基づき、対象物が炎であるか否かを判断する判
断部3とを有している。
【0014】ここで、撮像部1は、光学系11と、光学
系11からの光を受光し電気信号に変換する光電変換部
12とを有している。図1の例では、光学系11は、所
定の対象監視領域に応じた画角(視野角)を有するレンズ
系13と、レンズ系13から光電変換部12に入光する
光のスペクトラム(波長)を制限する光学フィルタ14と
により構成されている。また、光電変換部12には、所
定の画素数を有する光電変換素子,例えば2次元のCC
Dが用いられる。
【0015】レンズ系13の画角(視野角)は、監視対象
としての炎の大きさと光電変換素子(CCD)の分解能
(総画素数)とに基づき、適切なものに設定されている。
具体的に、レンズ系13は、広角である程、視野角が大
きくなり、より広い監視領域をカバーすることができる
が、この場合には、光電変換素子(CCD)において1画
素に対応した監視領域の大きさも広くなり、炎の大きさ
が小さいとき、炎に関する情報を光電変換素子の1つの
画素からしか得ることができず、炎に関する情報量が著
しく少ないものとなってしまう。従って、レンズ系13
の視野角,すなわち光電変換素子の1画素に対応した監
視領域の大きさは、炎の大きさが小さいときでも、炎に
関する情報を十分に得るのに必要な画素数で、好ましく
は後述のように炎の形状や揺らぎなどに関する情報を確
実に得るのに必要な画素数(複数の画素)で炎を撮像(監
視)できるようなものであるのが良い。
【0016】例えば、消防法による炎検知器の型式承認
のための規格では、炎検知器の火災試験に33×33c
2の面積の火皿(33cm角火皿)を用い、この火皿に
ノルマルヘプタンをいれて着火し、30秒以内の検出性
能を要求している。この火皿でのノルマルヘプタンの燃
焼炎(以後、3.3cm角火皿の炎と称す)は、幅,高さ
がそれぞれ約50cm,約1.5m程度となるので、レ
ンズ系13の視野角(すなわち光電変換素子の1画素に
対応した監視領域の大きさ)としては、この燃焼炎に対
し所定距離隔てた位置からこの燃焼炎の揺らぎを有効に
捕えることのできる画素数で、炎を撮像(監視)できる大
きさのものであるのが良い。
【0017】また、光電変換部12の光電変換素子とし
ては、炎から放射される赤外領域の光,特に二酸化炭素
の共鳴放射の約4.3ミクロンの波長の光に高感度特性
を有する赤外線CCDが用いられるのが最も好ましい
が、可視領域の光に感度を有する通常のCCDを用いる
こともできる。
【0018】光電変換素子に赤外線CCDを用いる場合
には、光学系11の光学フィルタ14としては、4.3
ミクロン付近の波長帯域以外の光をカットし、4.3ミ
クロン付近の波長帯域の光を透過する特性を有するバン
ドパスフィルタが用いられるのが良い。また、光電変換
素子に可視領域の光に感度を有する通常のCCDを用い
る場合には、光学フィルタ14としては、近赤外の低域
フィルタ(例えば、8500Å以下の波長の光をカット
し、8500Å以上の波長の光を透過するフィルタ)が
用いられるのが良い。すなわち、光学フィルタ14は、
光電変換素子のスペクトル感度特性に応じた特性のもの
が用いられる。
【0019】また、CCDの総画素数は、前述のよう
に、約50cm,約1.5mの大きさの炎を所定距離隔
てた位置からレンズ系13を介して撮像するときに、こ
の大きさの炎に対応する画像領域が複数の画素にわたる
ような分解能のものとなっている必要がある。図2に
は、2次元CCDの画素構成例が示されており、図2の
例では、2次元CCDは、x,y方向に、それぞれN
個,M個の画素数(総画素数N×M個)をもち、対象物と
して所定の大きさの炎を所定の距離を隔てて撮像したと
き、その炎に対応する画像領域(対象物画像領域)OBJ
が5個の画素にわたるものとなっている。
【0020】また、撮像部1の光電変換部12は、所定
の時間間隔で画像を撮像して、これを画像処理部2に与
えるようになっており、画像処理部2は、撮像部1によ
り所定の時間間隔毎に撮像された図2に示すような画像
データを順次に取り込んで、炎検知に必要な所定の画像
処理を行ない、所定の情報を獲得するようになってい
る。
【0021】具体的に、画像処理部2は、光電変換部1
2からの画像データ(2次元アナログ画像データ)に対し
て、例えば2値化処理を行ない、アナログ画像データを
2値化画像データに変換するA/D変換機能を備えてい
る。ここで、2値化の閾値athは、一般に、1回の画像
データ中の最高輝度値と最低輝度値との間のある値が用
いられるが、所定の時間間隔毎に毎回得られる画像デー
タにおいて、最高輝度値と最低輝度値は常に同じ値のも
のではなく、一般に変化するので、2値化の閾値につい
ても最高輝度値,最低輝度値の変化に応じて、変化させ
るのが良い。これにより、輝度がある時点で瞬時に変化
することによる影響を取り除くことができる。また、画
像処理部2は、上記A/D変換処理において最高輝度の
画像データが飽和せずに所定のダイナミックレンジがと
れるよう光電変換部12にフィードバック制御を行なっ
て画像データの自動利得調整制御を行なう機能を具備し
ていても良い。
【0022】いずれにしろ、画像処理部2は、撮像部1
で撮像された各画素位置(x,y)のアナログ画像データ
xyに対して、例えば、axy≧athのときには、そ
の画素位置(x,y)の画素値pxyを“1”(黒画素)に
し、また、axy<athのときには、その画素位置
(x,y)の画素値pxyを“0”(白画素)にする2値化
処理を行なうことができる。このように、画像処理部2
では、撮像部1において所定の時間間隔毎に撮像された
画像に対して、A/D変換処理(2値化処理)を行ない、
所定の時間間隔毎に得られる2値化画像データに基づい
て炎検知に必要な画像処理を行なうようになっている。
【0023】炎検知に必要な画像処理としては、先ず、
所定の時間間隔毎に得られる2値化画像データから炎の
候補を対象物画像領域として抽出する処理を行なう必要
がある。このため、画像処理部2は、例えば、ある時点
の2値化画像データとその1つ前の時点の2値化画像デ
ータとを比較し、この比較の結果、前後の時点の2値化
画像データ間において、あるまとまった(連結した)画像
領域のところで所定画素数の画素値に変化があったと
き、この変化があった画像領域(連結領域)を対象物画像
領域として抽出するようになっている(対象物画像領域
を特定するようになっている)。
【0024】具体的に、例えば時刻t0の2値化画像デ
ータが図3(a)のようなものであり、次の時刻t1の2
値化画像データが図3(b)のようなものとなるとき、こ
れらの差画像データは図3(c)のようになり、画像領域
OBJで5個の画素数の画素値に変化があったと認めら
れるので(時刻t1で何らかの対象物が発生したと認めら
れるので)、この領域OBJを対象物画像領域として特
定することができる。
【0025】ところで、本発明は、火災時などに発生す
る炎が、炎以外の要因とは異なった特徴(情報)をもつこ
とに着目し、上記のように特定した対象物画像領域OB
Jの画素情報に基づいて対象物に関する情報(特徴情報)
を割り出し、割り出した対象物に関する情報に基づいて
対象物が炎であるか否かを判断するようにしている。よ
り詳細には、火災時などに発生する炎が、炎以外の要因
とは異なった所定の時間的変化特性,形状をもつことに
着目し、上記のように特定した対象物画像領域OBJが
炎特有の所定の時間的変化特性および/または形状をも
つか否かを判断することで、この対象物が炎であるか否
かを信頼性良く検知することを意図している。
【0026】なお、炎をそれ以外の要因と峻別するため
の上記時間的変化特性として、本願の発明者は、対象物
画像領域の大きさ(画素数;面積)の時間的揺らぎ特性
と、対象物画像領域の大きさ(画素数;面積)の時間的変
動の規則性とに、特に着目した。
【0027】従って、図1の画像処理部2は、上記のよ
うに、所定の時間間隔Δt毎に得られる2値化画像デー
タから炎の候補を対象物画像領域OBJを特定したとき
に、この対象物画像領域OBJの形状として円形度を求
め、および/または、この対象物画像領域OBJの大き
さ(画素数)の時間的揺らぎ特性として、対象物画像領域
OBJの大きさ(画素数)の時間的平均値に対する分散率
(分散の標準偏差値)を求め、および/または、対象物画
像領域OBJの大きさ(画素数)の時間的変動の規則性と
して、対象物画像領域OBJの大きさ(画素数)の時間変
化についての自己相関を求める処理を行なうようになっ
ている。すなわち、円形度,分散率,自己相関のうちの
少なくとも1つを求める処理を行なうようになってい
る。なお、炎の時間的揺らぎ特性などを確実に検出する
ことができるよう、撮像の時間間隔Δtは、適切なもの
(例えば、0.5秒〜2秒程度の時間間隔)である必要が
ある。
【0028】具体的に、ある1つの時点での2値化画像
データにおける対象物画像領域OBJの円形度eは、対
象物画像領域OBJ全体を構成する画素数(対象物画像
領域OBJの面積に対応)uと、この対象物画像領域O
BJの輪郭を形成する画素数(対象物画像領域OBJの
輪郭線の長さに対応)vとにより、次式のようにして求
められる。
【0029】
【数1】e=(4π・u)/v2
【0030】ここで、対象物画像領域OBJ全体を構成
する画素数(面積)uは、2値化画像データにおいて対象
物画像領域OBJの各画素が黒画素として表現されてい
る場合、対象物画像領域OBJ全体を構成する黒画素の
個数を計数することによって求めることができる。ま
た、対象物画像領域OBJの輪郭を形成する画素数(輪
郭長さ)vは、例えば2値化画像データに対してさらに
微分処理を施し、この微分画像データにおいて、対象物
に対応した黒画素の個数を計数することによって得るこ
とができる。
【0031】例えば、ある1つの時点における2値化画
像データが図4(a)のようなものであって、図4(a)に
おいて対象物画像領域がOBJであるとき、対象物画像
領域全体を構成する画素数(面積)uは、対象物画像領域
OBJ内の黒画素の総数“5”として求めることができ
る。
【0032】また、図4(a)の2値化画像データに対し
て微分処理を施すと(すなわち、図4(a)の2値化画像
データの1つの画素位置(x,y)に着目するとき、この
画素の値pxyが例えばpxy≠px-1,y-1,pxy
x-1,y,pxy≠px-1,y+1,またはpxy≠px,y-1
の場合にのみ、pxy=1(黒画素)とし、それ以外の場
合にpxy=0(白画素)とする処理を施すと)、図4
(b)のような微分画像データが得られ、図4(b)の微分
画像データにおいて、対象物の輪郭を形成する画素数
(輪郭長さ)vは、図4(a)の対象物画像領域OBJに対
応した部分の黒画素の総数“4”として求めることがで
きる。
【0033】対象物画像領域OBJが円形形状のもので
ある場合、その半径を仮りにrとすると、対象物画像領
域全体を構成する画素数uは“πr2”に比例し、ま
た、対象物画像領域の輪郭を形成する画素数vは“2π
r”に比例するので、上記円形度eは、“1.0”とな
る。換言すれば、対象物画像領域の円形度eは、対象物
画像領域の形状が円形に近いぼど、“1.0”に近づ
き、形状が複雑になる程、“0.0”に近づく。
【0034】対象物画像領域OBJの円形度は、このよ
うに、ある1時点での2値化画像データ,例えば対象物
画像領域OBJの特定を行なった時点t1での2値化画
像データだけに基づいて円形度eとして求めることがで
きるが、信頼性をより高めるため、対象物画像領域の特
定を行なった時点t1から(例えばこの時点t1をも含め
て)、所定の時間間隔Δtずつ隔てた複数(n個)の時点
1,t2,…tnでの2値化画像データに基づいてそれ
ぞれ求めたn個の対象物画像領域OBJ1,OBJ2
…,OBJnの円形度e(t1),e(t2),…,e(tn)の
平均値〈e〉として、次式のように求めることもでき
る。
【0035】
【数2】
【0036】また、対象物画像領域の時間的揺らぎ特
性、すなわち対象物画像領域の大きさ(画素数)の時間的
平均値に対する分散率(分散の標準偏差値)dは、対象物
の特定を行なった時点t1から(例えばこの時点t1をも
含めて)、所定の時間間隔Δtずつ隔てた複数(n個)の
時点t1,t2,…tnでの2値化画像データに基づいて
それぞれ求めたn個の各対象物画像領域OBJ1,OB
2,…,OBJn内の黒画素の個数w(t1),w(t2),
…,w(tn)の平均値〈w〉に対する黒画素の個数w(t
1),w(t2),…,w(tn)のばらつき(分散の標準偏差
値)として、次式のように求めることができる。
【0037】
【数3】
【0038】また、対象物画像領域の大きさ(画素数)の
時間変化についての自己相関は、所定の時間間隔Δtず
つ隔てた複数の時点での対象物画像領域内の黒画素の個
数から、次のように求めることができる。
【0039】
【数4】
【0040】なお、判断部3において、炎であるか否か
を実際に判断するために用いる自己相関cor(k)とし
ては、自己相関関数corm(k)を時間パラメータmに
ついて時間平均したものが用いられる。すなわち、画像
処理部2は、実際には、次式で与えられる自己相関値c
or(k)を判断部3に与えるようになっている。
【0041】
【数5】
【0042】ここで、mとしては、これを任意の整数値
のものにすることもできるが、mを0と設定することも
できる。mを0に設定する場合は、数5は、時刻ti
時刻(ti+tk)との間の通常良く知られた次式の自己相
関関数となる。
【0043】
【数6】
【0044】このように、画像処理部2において、対象
物画像領域の円形度e(または〈e〉;なお、以後、便
宜上、〈e〉をも含めてeと表記する),対象物画像領
域の大きさ(画素数)の時間的平均値に対する分散率(分
散の標準偏差値)d,対象物画像領域の大きさ(画素数)
の時間的変化についての自己相関cor(k)のうちの少
なくとも1つが求められると、判断部3はこれらの処理
結果に基づいて、対象物画像領域が炎であるか否かを判
断するようになっている。
【0045】本願の発明者は、対象物(光源)として、
3.3cm角火皿の炎,回転灯,白熱電球をそれぞれ用
意し、これらを撮像距離を変化させながら撮像して、各
々の対象物画像領域について、円形度eを実際に求め
た。図5は、対象物が、それぞれ、3.3cm角火皿の
炎,回転灯,白熱電球である場合に実際に求められた円
形度(撮像距離に対する円形度e)の測定結果を示す図で
ある。図5から、円形度eに基づいて、炎と回転灯と白
熱電球とを識別できることがわかる。特に、円形度eに
基づいて、炎と白熱電球とを良好に識別できる。
【0046】また、本願の発明者は、対象物(光源)とし
て、3.3cm角火皿の炎,回転灯,白熱電球を所定の
撮像距離から撮像し、これらの各対象物の2値化画像デ
ータにおける対象物画像領域の黒画素数の時間的変化を
測定した。
【0047】図6は、対象物として3.3cm角火皿の
炎を撮像した2値化画像データにおいて炎に対応した対
象物画像領域内の画素数(黒画素数)の時間的変化の測定
結果を示す図であり、また、図7は、対象物として回転
灯を撮像した2値化画像データにおいて回転灯に対応し
た対象物画像領域内の画素数(黒画素数)の時間的変化の
測定結果を示す図であり、また、図8は、対象物として
白熱電球を撮像した2値化画像データにおいて白熱電球
に対応した対象物画像領域内の画素数(黒画素数)の時間
的変化の測定結果を示す図である。
【0048】さらに、本願の発明者は、図6,図7,図
8の各対象物についての画素数(黒画素数)の時間的変化
の測定結果に基づき、各対象物ごとに分散率dと自己相
関関数corm(k)とを求めた。なお、この測定におい
て、撮像の時間間隔Δtを1秒とした。
【0049】図9は撮像距離を変えながら上記のように
して求めた3.3cm角火皿の炎,回転灯,白熱電球の
分散率(時間的分散率)dを示す図である。なお、図9に
おいては、さらに、対象物としてコンロの炎を撮像した
ときのコンロの炎についての分散率dも示されている。
【0050】図9から、対象物が3.3cm角火皿の
炎,コンロの炎である場合、分散率dは、ほぼ0.3〜
0.5の範囲にあり、対象物が回転灯である場合、分散
率dは、ほぼ0.9〜1.2の範囲にあり、また、対象物
が白熱電球である場合、分散率dは、ほぼ0となること
がわかる。このことから、分散率dに基づき、炎と回転
灯と白熱電球とを明確に識別することができる。特に、
分散率(時間的分散率)dは、撮像距離が変わっても差程
変化しないので、任意の撮像距離から撮像した場合で
も、この分散率dに基づき、対象物が炎であるか、回転
灯であるか、白熱電球であるかを、安定して容易に識別
することができる。なお、従来では、炎の揺らぎを検出
するために例えば高速フーリエ変換によるスペクトラム
を求めるようにしており、この場合には、複雑な演算を
必要とするなどの問題があったが、上記時間的分散率d
は、高速フーリエ変換のような複雑な演算を必要とせず
に、これを容易に求めることができ、また、この時間的
分散率dは、上述のように、炎と回転灯と白熱電球とを
安定して明確に識別できるので、この分散率dは、炎で
あるか否かを判断する上で、特に有用な情報となる。
【0051】また、図10は、図7の測定結果に基づい
て求めた回転灯の自己相関corm(k)を示す図であ
る。なお、図10では、撮像距離が1m,3m,5mで
ある場合の回転灯の自己相関corm(k)がそれぞれ示
されている。
【0052】また、図11は、図6の測定結果に基づい
て求めた3.3cm角火皿の炎の自己相関corm(k)を
示す図である。なお、図11では、撮像距離が4m,6
m,8m,10mである場合の炎の自己相関cor
m(k)がそれぞれ示されている。
【0053】なお、図10,図11において、mは
“0”に設定した。
【0054】図10と図11とを比べると、図10の回
転灯の自己相関corm(k)は、周期的に時間変化する
のに対して、図11の3.3cm角火皿の炎の自己相関
corm(k)は、時間的にほぼ一定であることがわか
る。回転灯では、光の出射方位が一定の回転速度で回転
し、従って、撮像部1で受光される光量は、この回転に
伴なって周期的に変化し、これに伴なって、自己相関c
orm(k)も図10のように周期的に時間変化する。こ
れに対し、炎から放射される光の光量は、回転灯のよう
に周期的には変化せず、自己相関corm(k)も図11
のように周期的には変化しない。
【0055】このように、自己相関によって、回転灯の
ような人為的な周期性のある雑音と炎とを明確に識別す
ることができる。
【0056】このように、円形度e,分散率d,自己相
関corは、対象物毎に、すなわち、炎と回転灯と白熱
電球とでそれぞれ異なったものとなり、炎か否かを判断
する上で、それぞれ有用な情報となる。
【0057】従って、判断部3では、円形度e,分散率
d,自己相関corの少なくとも1つに基づいて、対象
物が炎であるか否かを判断することができる。すなわ
ち、円形度eに基づいて炎であるか否かを判断すること
もできるし、あるいは、分散率dに基づいて炎であるか
否かを判断することもできるし、あるいは、自己相関c
orに基づいて炎であるか否かを判断することもできる
し、さらには、これらを適宜組合せて、炎であるか否か
を判断することもできる。
【0058】例えば、判断部3は、画像処理部2におい
て円形度e,分散率d,自己相関corが求められたと
き、円形度e,分散率d,自己相関corをパラメータ
とし、ファジィ理論を用いて、炎であるか否かの判断を
行なうことができる。
【0059】具体的に、円形度e,分散率d,自己相関
corの各パラメータについて、炎である確信度を表現
するメンバーシップ関数MEM(e),MEM(d),ME
M(cor)を予め設定し、画像処理部2において円形度
e,分散率d,自己相関corが求められたとき、各々
に対応したメンバーシップ関数MEM(e),MEM
(d),MEM(cor)から、それぞれ、炎である確信度
o(e),o(d),o(cor)を得ることができ、これら
の確信度o(e),o(d),o(cor)から、あるいはこ
れらの確信度を組合せて、最終的に、炎であるか否かを
検知することができる。
【0060】図12は、円形度eのパラメータ(0〜1)
について、炎である確信度を表現するメンバーシップ関
数MEM(e)の設定例を示す図であり、また、図13
は、時間的分散率dのパラメータ(0〜1)について、炎
である確信度を表現するメンバーシップ関数MEM(d)
の設定例を示す図であり、また、図14は、自己相関c
or(k)のパラメータ(0〜1)について、炎である確信
度を表現するメンバーシップ関数MEM(cor)の設定
例を示す図である。なお、回転灯については、分散率d
が1.0よりも大きくなることがあるが、1.0以上の値
については、これをパラメータ値1.0に換算して図1
3のメンバーシップ関数MEM(d)を設定した。
【0061】図12乃至図14からもわかるように、各
メンバーシップ関数MEM(e),MEM(d),MEM
(cor)は、円形度e,分散率d,自己相関corのパ
ラメータ値が炎であるとの蓋然性が最も高いときに
“1”の確信度(重み付け)を与え、また、炎であるとの
蓋然性が最も低いときに“0”の確信度(重み付け)を与
えるものである。なお、このようなメンバーシップ関数
は、人間の判断により設定でき、従って、このようなメ
ンバーシップ関数を用いることで、人間の判断に近い炎
検知判断が可能になる。また、本発明において炎検知を
行なう上で特に着目した円形度e,分散率d,自己相関
corの各情報は、このようなファジィ理論のメンバー
シップ関数のパラメータとしても良好に適合したものと
なっている。
【0062】いま、例えば、対象物が炎であって、画像
処理部2において求めたこの対象物の円形度e,分散率
d,自己相関corの各パラメータ値が、それぞれ
“0.2”,“0.3”,“0.95”であるとき、図1
2乃至図14のメンバーシップ関数から、各パラメータ
値の確信度o(0.2),o(0.3),o(0.95)は、そ
れぞれ“1.0”,“1.0”,“1.0”となる。
【0063】また、対象物が回転灯であって、画像処理
部2において求めたこの対象物の円形度e,分散率d,
自己相関corの各パラメータ値が、それぞれ“0.
2”,“1.0”,“0.5”であるとき、図12乃至図
14のメンバーシップ関数から、各パラメータ値の確信
度o(0.2),o(1.0),o(0.5)は、“1.0”,
“0.0”,“0.0”となる。
【0064】また、対象物が白熱電球(一般光源)であっ
て、画像処理部2において求めたこの対象物の円形度
e,分散率d,自己相関corの各パラメータ値が、そ
れぞれ“0.9”,“0.1”,“1.0”であるとき、
図12乃至図14のメンバーシップ関数から、各パラメ
ータ値の確信度o(0.9),o(0.1),o(1.0)は、
“0.0”,“0.0”,“0.0”となる。
【0065】このように、各パラメータ値ごとの確信度
o(e),o(d),o(cor)が得られるとき、判断部3
は、例えば、各確信度の平均値(o(e)+o(d)+o(c
or))/3を求め、この平均値が所定の閾値,例えば
“0.8”以上のときに炎であると判断し、“0.8”以
下のときに炎ではないと判断することができる。
【0066】上記の例では、対象物が炎であって、各パ
ラメータ値の確信度o(0.2),o(0.3),o(0.9
5)が、“1.0”,“1.0”,“1.0”となる場合、
この平均値は“1.0”となり、“0.8”以上となるの
で、対象物が炎であると判断できる。
【0067】これに対し、対象物が回転灯であって、各
パラメータ値の確信度o(0.2),o(1.0),o(0.
5)が、“1.0”,“0.0”,“0.0”となる場合、
この平均値は“0.33”となり、“0.8”以下である
ので、対象物が炎ではないと判断できる。
【0068】また、対象物が白熱電球であって、各パラ
メータ値の確信度o(0.9),o(0.1),o(1.0)
が、“0.0”,“0.0”,“0.0”となる場合、こ
の平均値は“0.0”となり、“0.8”以下であるの
で、対象物が炎でないと判断できる。
【0069】上述したような本発明の炎検知装置,炎検
知方法は、火災判断,火災警報への適用に特に有用であ
る。
【0070】図15は本発明の炎検知装置,炎検知方法
を適用した火災警報装置の構成例を示す図である。図1
5を参照すると、この火災警報装置は、図1に示した炎
検知装置において、その判断部3からの出力,すなわ
ち、判断部3における判断結果が炎であるときに、実火
災と判断し火災警報(異常警報)を出力する火災警報出力
部4がさらに設けられたものとなっている。
【0071】図16は図15の火災警報装置の処理動作
を説明するためのフローチャートである。この火災警報
装置では、これを実際に動作させるに先立って、各パラ
メータ(円形度,分散率,自己相関)についてのメンバー
シップ関数を例えば図12乃至図14に示したように決
定し、これを判断部3に予め設定しておく(ステップS
1)。
【0072】このような初期設定を行なった後、撮像部
1において対象物が撮像され、画像処理部2において、
この対象物が対象物画像領域として検出されると、画像
処理部2では、その後、この対象物画像領域の画素情報
に基づいて円形度,分散率,自己相関の各情報(各パラ
メータ値)を前述のようにして割り出す(ステップS
2)。
【0073】画像処理部2において各情報(各パラメー
タ値)が割り出されたとき、判断部3では、これらの各
情報(各パラメータ値)に対して、それぞれに対応したメ
ンバーシップ関数を用いて、対象物が炎である確信度
(ファジィ値)を求める(ステップS3)。そして、各パラ
メータ値について求めた確信度に基づいて(例えば各確
信度の平均値が所定閾値(例えば“0.8”)よりも大き
いか否かを調べることで)、対象物が炎であるか否かを
判断し(ステップS4)、対象物が炎であると判断したと
きには、警報出力部4に対して、警報出力を行なわせる
ための信号を出力する(ステップS5)。これにより、警
報出力部4では、判断部3において炎と判断されたとき
のみ、警報を出力することができる。
【0074】このように、図15の火災警報装置では、
炎検知装置において、情報量の多い対象物撮像画像デー
タを用いて、火災時に発生する炎独自の特徴(他の非火
災報要因と明確に区別することのできる特徴)が良好に
表現される情報を割り出して、この情報に基づき、対象
物が炎か否かを判断することができるので、火災判断の
信頼性を著しく向上させることができる。換言すれば、
紫外線式あるいは赤外線式の感知器(センサ)などを用い
た従来の火災警報装置(自火報システム)では、種々の非
火災報要因によって、誤報が出力されることがあるが、
図15の火災警報装置では、非火災報要因による誤報の
発生を極めて有効に防止することができる。
【0075】また、従来では、特開平5−303690
号,特開平6−301870号に示されているように、
火災感知器として、散乱光式煙感知器,一酸化炭素感知
器,熱感知器を採用し、これら複数の感知器からの出力
信号をファジィ理論によって推論処理して、実火災と非
火災とを識別する火災性状把握システムが知られてお
り、本発明と特開平5−303690号,特開平6−3
01870号とを比べると、両者とも、ファジィ表現と
して採用したメンバーシップ関数から事象に対する確信
度(ファジィ値)を求め、この確信度に基づき、実火災,
非火災を推論判断(識別)するという点においては、確か
に共通している。
【0076】しかしながら、特開平5−303690
号,特開平6−301870号では、事象を個々の火災
感知器からの出力信号とするようになっているのに対
し、本発明では、前述したように、個々の感知器からの
出力信号を事象とするのではなく、情報量の多い画像デ
ータを用いて、火災時に発生する炎独自の特徴を良好に
表現した情報(円形度,分散率,自己相関)を事象とする
ので、特開平5−303690号,特開平6−3018
70号に比べて、火災判断の信頼性をはるかに高めるこ
とができる。
【0077】なお、上述の構成例では、炎独自の特徴が
良好に表現されている情報として、対象物画像領域OB
Jの円形度e,分散率d,自己相関corを求めたが、
これらとともに、あるいは、これらのかわりに、さら
に、他の情報を求めることもできる。例えば、炎独自の
特徴が良好に表現されている情報として、対象物画像領
域OBJの重心移動度,主軸変化率,形状類似率を次の
ように求めることもできる。
【0078】すなわち、図1の画像処理部2は、前述の
ように、所定の時間間隔Δt毎に得られる2値化画像デ
ータから対象物画像領域OBJを特定したときに、対象
物画像領域OBJの特徴表現として、次式(数7)の慣性
モーメントMpqを先ず考える。なお、数7において、
x,yは、図2に示すようなN個,M個の画素数をもつ
撮像画像の座標軸ではなく、図17に示すように、図2
の撮像画像から対象物画像領域OBJを特定したとき
に、この対象物画像領域OBJに接する直交座標軸であ
るとする。
【0079】
【数7】
【0080】この慣性モーメントMpqの式において、p
=q=0の場合には、Mpq,すなわちM00は、次式(数
8)のように面積を表わすものとなる。
【0081】
【数8】
【0082】また、数7の慣性モーメントMpqの式にお
いて、p=1,q=0;p=0,q=1の場合には、M
pq,すなわちM10,M01は、次式(数9)となる。
【0083】
【数9】
【0084】従って、次式(数10)のように、M10/M
00,M01/M00で得られる座標Ic,Jcが、それぞれ、
対象物画像領域OBJのx方向,y方向の重心Gを表わ
す。なお、座標Ic,Jcは、M10,M01をそれぞれM00
すなわち面積で規格化しており、従って、対象物画像領
域OBJの大きさに影響されない不変な尺度のものとな
っている。
【0085】
【数10】Ic=M10/M00c=M01/M00
【0086】また、上述のような重心G=(Ic,Jc)の
まわりの慣性モーメントMfは、次式(数11)のように
なる。
【0087】
【数11】
【0088】また、上述のような重心を通る直線y=x
tanθについてのPx,yの慣性モーメントMθは、次式
(数12)のようになる。
【0089】
【数12】
【0090】なお、数11,数12に関しては、x,y
は、重心Ic,Jcを原点としたときの座標系での座標で
あるとする。
【0091】数12において、Mθが最小となる角度を
θ0とするとき、y=xtanθ0は、Px,yの慣性主軸とな
っている。数12から、Mθ=M20sin2θ−2M11sin
θcosθ+M02cos2θが成立するので、Mθを最小にす
るために、これをθで微分して0とおくと、次式(数1
3)が得られる。
【0092】
【数13】tan2θ0=2M11/(M20−M02)
【0093】これから、対象物画像領域OBJの主軸の
方向θ0は、次式(数14)のようになる。
【0094】
【数14】 θ0=(1/2)tan-1[2M11/(M02−M20)]
【0095】図17には、対象物画像領域OBJの重心
G=(Ic,Jc)とともに、上述のようにして得られる対
象物画像領域OBJの主軸の方向θ0が示されている。
【0096】上述のようにして、対象物画像領域OBJ
の重心G=(Ic,Jc)と主軸の方向θ0が求まると、こ
れらと、さらに、前述のような微分処理によって抽出し
た対象物画像領域OBJの輪郭とから、現時点(現画面)
での対象物(例えば炎)の形状を求めることができる。す
なわち、重心G=(Ic,Jc)から輪郭への距離rを角度
の関数r(θ)としてプロットすると、図18に示すよう
に、対象物に特有の2πの周期波形を描く、図18にお
いて、θ0は主軸の方向である。
【0097】このように、この距離関数r(θ)は、対象
物画像領域OBJ,すなわち対象物(例えば炎)の形状を
特徴付けるものとなっているので、この距離関数r(θ)
を用いて、例えば、前時点(前画面)での対象物画像領域
OBJの形状に対する現時点(現画面)での対象物画像領
域OBJの形状の類似率を求めることができる。
【0098】図19(a),(b)には、それぞれ前時点
(前画面),現時点(現画面)での対象物画像領域OBJお
よび距離関数r(θ)の一例が示されている。これらの形
状類似率を求める場合、これらの間の主軸の方向θ0
変わることによる影響をなくすため、それぞれ、距離関
数r(θ)の基準点を、その時点での主軸の方向θ0に合
わせる。そして、例えば、各々の距離関数r(θ)を、所
定の角度Δθ(例えば5゜)ずつ360゜までサンプリン
グする。Δθが5゜である場合には、それぞれ、72個
のサンプルr(θi)(i=1〜72)が得られる。現時点
(現画面)での対象物画像領域OBJの距離関数をr1
i)(i=1〜72)とし、前時点(前画面)での対象物画像
領域OBJの距離関数をr2i)(i=1〜72)とする
とき、これらの形状類似率fは、例えば次式によって与
えられる。
【0099】
【数15】
【0100】ここで、対象物の大きさ,移動度等による
形状類似率fへの影響をなくすため、r1i),r2
i)を規格化しておく必要がある。例えば、距離関数r
(θ)をθ=θ0のところで“1”に規格化することがで
きる(すなわち、r(θ0)=1とすることができる)。こ
れにより、r1i=θ0)=1,r2i=θ0)=1とす
ることができ、r1i)とr2i)との比を求めると
き、対象物の大きさの変化,移動度等による影響をなく
すことができる。また、この場合、Fは、r2i)がr
1i)よりも小さいときには、F(r2i)/r1i))
=r2i)/r1i)とし、r2i)がr1i)よりも
大きいときには、F(r2i)/r1i))=r1i)/r
2i)とする関数である。従って、形状類似率fは、0
≦f≦1の範囲にある。このように、現時点(現画面)の
対象物画像領域OBJの距離関数r1(θ)と前時点(前画
面)の対象物画像領域OBJの距離関数r2(θ)との類似
率(形状類似率)fを、炎独自の特徴が良好に表現されて
いる情報として用いることができる。
【0101】なお、上述の例では、r1i)とr2i)
との比を求めることによって形状類似率fを求めたが、
例えば、r1i)とr2i)との差に基づき(例えば、
これらの差の2乗に基づき)、形状類似率fを求めるこ
ともできる。この場合にも、対象物の大きさの変化,移
動度等による形状類似率fへの影響をなくすため、r
1i),r2i)を規格化しておく必要がある。すなわ
ち、r1i=θ0)=1,r2i=θ0)=1とすること
で、r1i)とr2i)との差を求めるとき、対象物の
大きさの変化,移動度等による影響をなくすことができ
る。
【0102】このように、対象物画像領域OBJの重心
G=(Ic,Jc)から輪郭への距離関数r(θ)に基づく形
状の類似率を、炎独自の特徴が良好に表現されている情
報として用いることもできる。
【0103】また、対象物画像領域OBJの重心移動度
gは、対象物の特定を行なった時点t1から(例えばこの
時点t1をも含めて)、所定の時間間隔Δtずつ隔てた複
数(n個)の時点t1,t2,…tnでの2値化画像データ
に基づいてそれぞれ求めたn個の各対象物画像領域OB
1,OBJ2,…,OBJnの重心G(t1),G(t2),
…,G(tn)の平均値〈G〉に対する重心G(t1),G
(t2),…,G(tn)のばらつき(分散の標準偏差値)とし
て、次式(数16)のように求めることができる。
【0104】
【数16】
【0105】なお、重心Gは、(Ic,Jc)のように、x
座標,y座標から構成されていることから、Icについ
て数16の演算を行ない、また、これと独立して、Jc
について数16の演算を行ない、Icについての演算結
果とJcについての演算結果とを例えば合成して、重心
移動度gを求めることができる。
【0106】また、対象物画像領域の主軸変化率hは、
対象物の特定を行なった時点t1から(例えばこの時点t
1をも含めて)、所定の時間間隔Δtずつ隔てた複数(n
個)の時点t1,t2,…tnでの2値化画像データに基づ
いてそれぞれ求めたn個の各対象物画像領域OBJ1
OBJ2,…,OBJnの主軸の方向θ0(t1),θ
0(t2),…,θ0(tn)の平均値〈θ0〉に対する主軸の
方向θ0(t1),θ0(t2),…,θ0(tn)のばらつき(分
散の標準偏差値)として、次のように求めることができ
る。
【0107】
【数17】
【0108】このように、画像処理部2は、所定の時間
間隔Δt毎に得られる2値化画像データから炎の候補を
対象物画像領域OBJを特定したときに、この対象物画
像領域OBJの円形度を求め、および/または、この対
象物画像領域OBJの大きさ(画素数)の時間的揺らぎ特
性として、対象物画像領域OBJの大きさ(画素数)の時
間的平均値に対する分散率(分散の標準偏差値)を求め、
および/または、対象物画像領域OBJの大きさ(画素
数)の時間的変動の規則性として、対象物画像領域OB
Jの大きさ(画素数)の時間変化についての自己相関を求
める処理とともに、あるいは、これらの処理にかわっ
て、対象物画像領域の重心移動度gを求め、および/ま
たは、対象物画像領域の主軸変化率hを求め、および/
または、対象物画像領域の形状類似率fを求める処理を
行なうようになっており、これらのうちの少なくとも1
つが求められると、判断部3はこれらの処理結果に基づ
いて、対象物画像領域が炎であるか否かを判断するよう
になっている。
【0109】従って、判断部3では、円形度e,分散率
d,自己相関cor,重心移動度g,主軸変化率h,形
状類似率fの少なくとも1つに基づいて、対象物が炎で
あるか否かを判断することができる。すなわち、円形度
eに基づいて炎であるか否かを判断することもできる
し、あるいは、分散率dに基づいて炎であるか否かを判
断することもできるし、あるいは、自己相関corに基
づいて炎であるか否かを判断することもできるし、ある
いは、重心移動度gに基づいて炎であるか否かを判断す
ることができるし、あるいは、主軸変化率hに基づいて
炎であるか否かを判断することができるし、あるいは、
形状類似率fに基づいて炎であるか否かを判断すること
もできるし、さらには、これらを適宜組合せて、炎であ
るか否かを判断することもできる。
【0110】例えば、判断部3は、画像処理部2におい
て分散率d,自己相関cor,重心移動度g,主軸変化
率h,形状類似率fが求められたとき、分散率d,自己
相関cor,重心移動度g,主軸変化率h,形状類似率
fをパラメータとし、ファジィ理論を用いて、炎である
か否かの判断を行なうことができる。
【0111】具体的に、例えば、形状類似率f,重心移
動度g,主軸変化率h,分散率d,自己相関corの各
パラメータについて、炎である確信度を表現するメンバ
ーシップ関数MEM(f),MEM(g),MEM(h),M
EM(d),MEM(cor)を予め設定し、画像処理部2
において形状類似率f,重心移動度g,主軸変化率h,
分散率d,自己相関corが求められたとき、各々に対
応したメンバーシップ関数MEM(f),MEM(g),M
EM(h),MEM(d),MEM(cor)から、それぞ
れ、炎である確信度o(f),o(g),o(h),o(d),
o(cor)を得ることができ、これらの確信度o(f),
o(g),o(h),o(d),o(cor)から、あるいはこ
れらの確信度を組合せて、最終的に、炎であるか否かを
検知することができる。
【0112】図20は、形状類似率fのパラメータ(0
〜1)について、炎である確信度を表現するメンバーシ
ップ関数MEM(f)の設定例を示す図であり、また、図
21は、重心移動度gのパラメータ(0〜1)について、
炎である確信度を表現するメンバーシップ関数MEM
(g)の設定例を示す図であり、また、図22は、主軸変
化率hのパラメータ(0〜1)について、炎である確信度
を表現するメンバーシップ関数MEM(h)の設定例を示
す図である。なお、分散率d,自己相関corのメンバ
ーシップ関数MEM(d),MEM(cor)については、
例えば図13,図14に示したように、設定することが
できる。
【0113】図20乃至図22からもわかるように、各
メンバーシップ関数MEM(f),MEM(g),MEM
(h)は、形状類似率f,重心移動度g,主軸変化率hの
パラメータ値が炎であるとの蓋然性が最も高いときに
“1”の確信度(重み付け)を与え、また、炎であるとの
蓋然性が最も低いときに“0”の確信度(重み付け)を与
えるものであり、このようなメンバーシップ関数は、前
述したメンバーシップ関数MEM(e),MEM(d),M
EM(cor)と同様に、人間の判断により設定でき、従
って、このようなメンバーシップ関数を用いることで、
人間の判断に近い炎検知判断が可能になる。また、形状
類似率f,重心移動度g,主軸変化率hの各情報は、前
述した円形度e,分散率d,自己相関corの各パラメ
ータ値と同様に、このようなファジィ理論のメンバーシ
ップ関数のパラメータとしても良好に適合したものとな
っている。
【0114】いま、例えば、対象物が炎であって、画像
処理部2において求めたこの対象物の分散率d,自己相
関cor,重心移動度g,主軸変化率h,形状類似率f
の各パラメータ値が、それぞれ“0.3”,“0.9
5”,“0.9”,“0.8”,“0.7”であるとき、
図13乃至図14,図20乃至図22のメンバーシップ
関数から、各パラメータ値の確信度o(0.3),o(0.
95),o(0.9),o(0.8),o(0.7)は、それぞれ
“1.0”,“1.0”,“1.0”,“1.0”,“1.
0”となる。
【0115】また、対象物が回転灯である場合、回転灯
は、撮像部のシャッタースピードと同期しないと画像に
現われないため、重心移動度g,主軸変化率h,形状類
似率fは、測定不能である。例えば、画像処理部2にお
いて求めたこの対象物(回転灯)の分散率d,自己相関c
or,重心移動度g,主軸変化率h,形状類似率fの各
パラメータ値が、それぞれ“1.0”,“0.5”,“測
定不能”,“測定不能”,“測定不能”であるとき、図
13乃至図14,図20乃至図22のメンバーシップ関
数から、各パラメータ値の確信度o(1.0),o(0.
5),o(測定不能),o(測定不能),o(測定不能)は、
“0.0”,“0.0”,“測定不能”,“測定不能”,
“測定不能”となる。
【0116】また、対象物が白熱電球(位置が固定され
た一般光源)であって、画像処理部2において求めたこ
の対象物の分散率d,自己相関cor,重心移動度g,
主軸変化率h,形状類似率fの各パラメータ値が、それ
ぞれ“0.1”,“1.0”,“1.0”,“1.0”,
“1.0”であるとき、図13乃至図14,図20乃至
図22のメンバーシップ関数から、各パラメータ値の確
信度o(0.1),o(1.0),o(1.0),o(1.0),o
(1.0)は、“0.0”,“0.0”,“0.0”,“0.
0”,“0.0”となる。
【0117】また、対象物が人為的なライトのちらつき
であって、画像処理部2において求めたこの対象物の分
散率d,自己相関cor,重心移動度g,主軸変化率
h,形状類似率fの各パラメータ値が、それぞれ“0.
4”,“0.8”,“0.5”,“0.2”,“0.5”で
あるとき、図13乃至図14,図20乃至図22のメン
バーシップ関数から、各パラメータ値の確信度o(0.
4),o(0.8),o(0.5),o(0.2),o(0.5)
は、“1.0”,“1.0”,“0.0”,“0.0”,
“0.5”となる。
【0118】このように、各パラメータ値ごとの確信度
o(d),o(cor),o(g),o(h),o(f)が得られ
るとき、判断部3は、例えば、各確信度の平均値(o
(d)+o(cor)+o(g)+o(h)+o(f))/5を求
め、この平均値が所定の閾値,例えば“0.8”以上の
ときに炎であると判断し、“0.8”以下のときに炎で
はないと判断することができる。
【0119】上記の例では、対象物が炎であって、各パ
ラメータ値の確信度o(0.3),o(0.95),o(0.
9),o(0.8),o(0.7)が、“1.0”,“1.
0”,“1.0”,“1.0”,“1.0”となる場合、
この平均値は“1.0”となり、“0.8”以上となるの
で、対象物が炎であると判断できる。
【0120】また、対象物が回転灯であって、各パラメ
ータ値の確信度o(1.0),o(0.5)が、“0.0”,
“0.0”,“測定不能”,“測定不能”,“測定不
能”となる場合、この平均値は測定不能であるので、対
象物が炎ではないと判断できる。
【0121】また、対象物が白熱電球であって、各パラ
メータ値の確信度o(0.1),o(1.0),o(1.0),
o(1.0)が、“0.0”,“0.0”,“0.0”,
“0.0”,“0.0”となる場合、この平均値は“0.
0”となり、“0.8”以下であるので、対象物が炎で
ないと判断できる。
【0122】また、対象物が人為的なライトちらつきで
あって、各パラメータ値の確信度o(0.4),o(0.
8),o(0.5),o(0.2),o(0.5)が、“1.
0”,“1.0”,“0.0”,“0.0”,“0.5”と
なる場合、この平均値は“0.5”となり、“0.8”以
下であるので、対象物が炎でないと判断できる。
【0123】このように、円形度e,分散率d,自己相
関corとともに、あるいは、これにかわって、重心移
動度g,主軸変化率h,形状類似率fをも加味すること
によって、対象物が炎であるか否かをより信頼性良く判
断することができる。
【0124】以上のように、本発明の炎検知装置,炎検
知方法によれば、情報量の多い対象物撮像画像データを
用いて、火災時等に発生する炎独自の特徴(他の要因と
明確に区別することのできる特徴)が良好に表現される
情報を割り出して、この情報に基づき、対象物が炎か否
かを判断するので、炎であるか否かの判断の信頼性を著
しく向上させることができる。
【0125】さらに、本発明では、上記情報として、特
に、対象物画像領域の円形度,対象物画像領域の大きさ
の時間的分散率,対象物画像領域の大きさの時間変化に
ついての自己相関,対象物画像領域の重心移動度,対象
物画像領域の主軸変化率,対象物画像領域の形状類似率
のうちの少なくとも1つを用いているので、対象物が炎
であるか否かを容易にかつ明確に判別することができ
る。
【0126】さらに、本発明では、上記のように割り出
した情報をパラメータ値として、ファジィ理論のメンバ
ーシップ関数(ファジィ判断)により、炎である確信度を
求め、得られた確信度に基づき、炎であるか否かを判断
するので、より人間の判断に近い炎検知判断を行なうこ
とができる。
【0127】また、上述の各構成例では、撮像部1(光
電変換部12)からのアナログ画像データに対し、画像
処理部2においてA/D変換処理として2値化処理を施
し、アナログ画像データを2値化画像データに変換した
上で、炎検知に必要な処理を行なっているが、撮像部1
(光電変換部12)からのアナログ画像データに対し、画
像処理部2においてA/D変換処理として多値化処理を
施し、アナログ画像データを多値化デジタル画像データ
に変換した上で、上述したと同様の炎検知に必要な処理
を行なうこともできる。
【0128】また、上述の各構成例では、対象物が1つ
であり、撮像画像から1つの対象物画像領域(連結領域)
OBJが特定される場合について説明したが、対象物が
複数存在し、撮像画像中に複数の対象物画像領域(複数
の連結領域)が含まれる場合にも本発明を同様に適用す
ることができ、この場合、複数の対象物画像領域のそれ
ぞれについて、前述した処理を行なうことで、各対象物
が炎か否かを信頼性良く判断することができる。
【0129】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1乃至請
求項9記載の発明によれば、情報量の多い対象物撮像画
像データを用いて、火災時等に発生する炎独自の特徴
(他の要因と明確に区別することのできる特徴)が良好に
表現される情報を割り出して、この情報に基づき、対象
物が炎か否かを判断するので、炎であるか否かの判断の
信頼性を著しく向上させることができる。
【0130】特に、情報として、対象物領域の大きさの
時間的分散率を割り出すことで、炎独自の特徴であるゆ
らぎを、高速フーリエ変換等の複雑な手法を用いずに、
容易に抽出することができる。また、この時間的分散率
は、対象物と撮像部(CCD)との間の距離が変わって
も、これに差程影響されないので、炎が撮像部に対して
近い位置で発生しても、また、遠い位置で発生しても、
これに影響されずに炎の特徴であるゆらぎを信頼性良く
抽出することができて、炎と炎以外の要因とを信頼性良
く識別することができる。
【0131】また、対象物領域の大きさの時間変化につ
いての自己相関を割り出すことで、炎独自の特徴である
ゆらぎの規則性(すなわち不規則性)を容易に抽出するこ
とができ、例えば回転灯などのような人為的な周期性の
ある雑音と炎とを信頼性良く識別することができる。
【0132】また、対象物領域の円形度を割り出すこと
で、炎独自の特徴である形状を容易に抽出することがで
き、炎と炎以外の要因とを信頼性良く識別することがで
きる。
【0133】さらに、対象物画像領域の重心移動度,対
象物画像領域の主軸変化率,対象物画像領域の形状類似
率を割り出し、これらを用いることによっても、炎と炎
以外の要因とを信頼性良く識別することができる。
【0134】また、請求項2,請求項4,請求項5,請
求項9記載の発明では、炎独自の特徴が良好に表現され
る情報をパラメータとしたメンバーシップ関数が予め設
定されており、炎独自の特徴が良好に表現される情報が
割り出されたとき、対象物が炎である確信度を、割り出
された情報をパラメータ値としてメンバーシップ関数か
ら求め、得られた確信度に基づいて、対象物が炎である
か否かを判断するので、人間の判断に近いより信頼性の
高い炎検知判断を行なうことができる。
【0135】また、請求項7記載の発明では、撮像手段
としての2次元CCDには、可視領域の光に感度を有す
るCCDが用いられ、この場合、撮像手段は、近赤外フ
ィルタを透過した光をCCDに入光させるように構成さ
れており、通常の可視光CCDを用い、その近赤外光の
領域を火災の判断に利用しているため、比較的雑音信号
比が大きく取れ、赤外線CCDを用いる場合よりも低コ
ストの製品が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炎検知装置の一実施例の構成図で
ある。
【図2】2次元CCDの画素構成例を示す図である。
【図3】撮像した画像から対象物画像領域を特定する処
理を説明するための図である。
【図4】対象物の円形度を割り出す処理を説明するため
の図である。
【図5】円形度の測定結果を示す図である。
【図6】3.3cm角火皿の炎を撮像した2値化画像デ
ータにおいて炎に対応した対象物画像領域内の画素数
(黒画素数)の時間的変化の測定結果を示す図である。
【図7】対象物として回転灯を撮像した2値化画像デー
タにおいて回転灯に対応した対象物画像領域内の画素数
(黒画素数)の時間的変化の測定結果を示す図である。
【図8】対象物として白熱電球を撮像した2値化画像デ
ータにおいて白熱電球に対応した対象物画像領域内の画
素数(黒画素数)の時間的変化の測定結果を示す図であ
る。
【図9】時間的分散率の測定結果を示す図である。
【図10】図7の測定結果に基づいて求めた回転灯の自
己相関を示す図である。
【図11】図6の測定結果に基づいて求めた3.3cm
角火皿の炎の自己相関を示す図である。
【図12】円形度eのパラメータについて、炎である確
信度を表現するメンバーシップ関数の設定例を示す図で
ある。
【図13】時間的分散率dのパラメータについて、炎で
ある確信度を表現するメンバーシップ関数の設定例を示
す図である。
【図14】自己相関cor(k)のパラメータについて、
炎である確信度を表現するメンバーシップ関数の設定例
を示す図である。
【図15】本発明の炎検知装置,炎検知方法を適用した
火災警報装置の構成例を示す図である。
【図16】図15の火災警報装置の処理動作例を示すフ
ローチャートである。
【図17】対象物画像領域OBJの重心G,主軸の方向
θ0,距離関数r(θ)を説明するための図である。
【図18】対象物画像領域OBJの距離関数r(θ)の一
例を示す図である。
【図19】対象物画像領域OBJの形状類似率fを説明
するための図である。
【図20】形状類似率fのパラメータについて、炎であ
る確信度を表現するメンバーシップ関数の設定例を示す
図である。
【図21】重心移動度gのパラメータについて、炎であ
る確信度を表現するメンバーシップ関数の設定例を示す
図である。
【図22】主軸変化率hのパラメータについて、炎であ
る確信度を表現するメンバーシップ関数の設定例を示す
図である。
【符号の説明】
1 撮像部 2 画像処理部 3 判断部 4 警報出力部 11 光学系 12 光電変換部 13 レンズ系 14 光学フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 徹男 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内 (72)発明者 土屋 悟志 東京都渋谷区幡ケ谷1丁目11番6号 ニッ タン株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撮像手段と、撮像手段によって撮像され
    た画像から対象物画像領域を抽出し、該対象物画像領域
    の画素情報に基づいて、対象物に関する情報を割り出す
    画像処理手段と、画像処理手段によって割り出された対
    象物に関する情報に基づき、対象物が炎であるか否かを
    判断する判断手段とを備え、前記画像処理手段は、前記
    情報として、対象物画像領域の円形度,対象物画像領域
    の大きさの時間的分散率,対象物画像領域の大きさの時
    間変化についての自己相関のうちの少なくとも1つを割
    り出し、前記判断手段は、画像処理手段によって割り出
    された対象物画像領域の円形度,対象物画像領域の大き
    さの時間的分散率,対象物画像領域の大きさの時間変化
    についての自己相関のうちの少なくとも1つに基づいて
    対象物が炎であるか否かを判断することを特徴とする炎
    検知装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の炎検知装置において、前
    記判断手段には、前記対象物画像領域の円形度,対象物
    画像領域の大きさ時間的分散率,対象物画像領域の大き
    さの時間変化についての自己相関の各々に対応させて円
    形度,時間的分散率,自己相関をそれぞれパラメータと
    するメンバーシップ関数が予め設定されており、前記判
    断手段は、前記画像処理手段により対象物画像領域の円
    形度,対象物画像領域の大きさの時間的分散率,対象物
    画像領域の大きさの時間変化についての自己相関の各パ
    ラメータ値が割り出されたとき、割り出された各パラメ
    ータ値に対する確信度を各々に対応した前記メンバーシ
    ップ関数により求め、各パラメータ値に対して得られた
    確信度に基づいて対象物が炎であるか否かを判断するこ
    とを特徴とする炎検知装置。
  3. 【請求項3】 撮像手段と、撮像手段によって撮像され
    た画像から対象物画像領域を抽出し、該対象物画像領域
    の画素情報に基づいて、対象物に関する情報を割り出す
    画像処理手段と、画像処理手段によって割り出された対
    象物に関する情報に基づき、対象物が炎であるか否かを
    判断する判断手段とを備え、前記画像処理手段は、前記
    情報として、対象物画像領域の大きさの時間的分散率,
    対象物画像領域の大きさの時間変化についての自己相
    関,対象物画像領域の重心移動度,対象物画像領域の主
    軸変化率,対象物画像領域の形状の類似率のうちの少な
    くとも1つを割り出し、前記判断手段は、画像処理手段
    によって割り出された対象物画像領域の大きさの時間的
    分散率,対象物画像領域の大きさの時間変化についての
    自己相関,対象物画像領域の重心移動度,対象物画像領
    域の主軸変化率,対象物画像領域の形状の類似率のうち
    の少なくとも1つに基づいて対象物が炎であるか否かを
    判断することを特徴とする炎検知装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の炎検知装置において、前
    記判断手段には、対象物画像領域の大きさの時間的分散
    率,対象物画像領域の大きさの時間変化についての自己
    相関,対象物画像領域の重心移動度,対象物画像領域の
    主軸変化率,対象物画像領域の形状類似率の各々に対応
    させて時間的分散率,自己相関,重心移動度,主軸変化
    率,形状類似率をそれぞれパラメータとするメンバーシ
    ップ関数が予め設定されており、前記判断手段は、前記
    画像処理手段により対象物画像領域の大きさの時間的分
    散率,対象物画像領域の大きさの時間変化についての自
    己相関,対象物画像領域の重心移動度,対象物画像領域
    の主軸変化率,対象物画像領域の形状類似率の各パラメ
    ータ値が割り出されたとき、割り出された各パラメータ
    値に対する確信度を各々に対応した前記メンバーシップ
    関数により求め、各パラメータ値に対して得られた確信
    度に基づいて対象物が炎であるか否かを判断することを
    特徴とする炎検知装置。
  5. 【請求項5】 撮像手段と、撮像手段によって撮像され
    た画像から対象物画像領域を抽出し、該対象物画像領域
    の画素情報に基づいて、対象物に関する情報を割り出す
    画像処理手段と、画像処理手段によって割り出された対
    象物に関する情報に基づき、対象物が炎であるか否かを
    判断する判断手段とを備え、前記判断手段には、前記対
    象物に関する情報をパラメータとするメンバーシップ関
    数が予め設定されており、前記判断手段は、前記画像処
    理手段により対象物に関する情報が割り出されたとき、
    割り出された対象物に関する情報についての確信度を前
    記メンバーシップ関数により求め、得られた確信度に基
    づいて対象物が炎であるか否かを判断することを特徴と
    する炎検知装置。
  6. 【請求項6】 請求項1,請求項3または請求項5記載
    の炎検知装置において、前記撮像手段には、所定の画素
    数を有する2次元CCDが用いられることを特徴とする
    炎検知装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の炎検知装置において、前
    記2次元CCDには、可視領域の光に感度を有するCC
    Dが用いられ、この場合、前記撮像手段は、近赤外フィ
    ルタを透過した光をCCDに入光させるように構成され
    ていることを特徴とする炎検知装置。
  8. 【請求項8】 火災時等に発生する炎独自の特徴が良好
    に表現される情報を対象物を撮像した画像データから割
    り出して、該情報に基づいて対象物が炎か否かを判断す
    ることを特徴とする炎検知方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の炎検知方法において、炎
    独自の特徴が良好に表現される情報をパラメータとした
    メンバーシップ関数が予め設定されており、炎独自の特
    徴が良好に表現される情報が割り出されたとき、対象物
    が炎である確信度を、前記割り出された情報をパラメー
    タ値として前記メンバーシップ関数から求め、得られた
    確信度に基づいて、対象物が炎であるか否かを判断する
    こと特徴とする炎検知方法。
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