JPH0830355B2 - 真空式汚水収集装置用汚水ます - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、多数の家からの汚水を収集する方式の１つ
である真空式汚水収集装置に関し、特にこの装置に用い
られる汚水ますを改良した真空式汚水収集装置用汚水ま
すに関するものである。

〔従来の技術〕 従来、多数の家からの汚水を収集する装置の１つとし
て真空式汚水収集装置がある。

この真空式汚水収集装置は、地上の各家庭から排出さ
れた汚水を、一旦地下の真空弁付汚水ますに流入させ
る。そしてこの汚水はこの真空弁付汚水ます内に一定量
溜まると、真空弁付汚水ます内の上部に取り付けられた
真空弁を介して、真空汚水管に吸い出され、真空ポンプ
場に送られるように構成されている。

ところで従来の真空弁付汚水ますの構造には２種類あ
り、その１つは真空弁付汚水ますの外壁を合成樹脂で構
成し、その内部を上下に仕切り、その上部に真空弁を設
置するとともに、その下部を汚水ますとした構造のもの
である。

またもう１つの真空弁付汚水ますは、上下の仕切りの
ないコンクリート製ますの上部に真空弁を設置した構造
のものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来の真空弁付汚水ますにあって
は以下のような問題点があった。

上記合成樹脂製の真空弁付汚水ますは強度があまり大
きくないので、通常車両荷重のかからない民家の庭等に
設置する必要があり、道路の下には設置することができ
ず、その設置場所がかなり制限されるばかりか、点検修
理等のときに一々許可が必要となり繁雑であるという問
題点があった。

また汚水ますを構成する下部と真空弁を設置する上部
とを仕切る仕切り板には人が通る人孔がなく、このため
汚水ますに大きな異物が流入してきた場合、それを取り
出すすべがなかった。また真空弁の故障等で汚水の水位
が上昇しても、この汚水が地上に溢れ出すまでその異常
を知る方法がないという問題点もあった。

また上下の仕切りの無いコンクリート製ますの上部に
真空弁を設置した構造の真空弁付汚水ますは、十分な強
度を持っているので道路に設置することが可能である
が、真空弁が設置されている部分が下部の汚水がたまる
部分と仕切られていないので、真空弁のメンテナンスを
する作業者に衛生上の問題があった。

またこの真空弁付汚水ますの場合も、真空弁の故障等
で汚水の水位が上昇しても、この汚水が地上に溢れ出す
までその異常を知ることができないという問題点があっ
た。

本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、十分
な強度を有し、仕切り板で上下を仕切ることができ、し
かも汚水ますに流入した大きな異物を取り出すこともで
き、さらに汚水の水位が異常に上昇したときにその異常
を検知できる真空弁付汚水ますを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記問題点を解決するため本発明は、強度の強い組立
て式のコンクリート製の筒状外壁の内部を合成樹脂製の
仕切り板で上下に仕切り、その上部を下部の汚水ますか
ら遮断する。

そして仕切り板の上部に真空弁を設置し、真空弁の吸
込管とセンサー管は仕切り板を貫通して下部の汚水ます
内に開口させる。

一方汚水ます底部は漏斗状に深くなる形状とし、流入
物が吸込管の位置に集まり易くする。

さらに真空弁付汚水ます内の汚水の水位が異常に上昇
した事を検知する水位検知器を設け、外部にその信号を
引き出す方式とする。

〔作用〕

上記の如く、真空弁付汚水ますの外壁をコンクリート
で構成したので十分な強度を有し、車両等の通過する道
路内にも設置できる。

また真空弁を設置する部分が、下部の汚水ますから完
全に仕切られているので、この真空弁のメンテナンスを
する作業者にとって衛生的である。

また強度を受け持つ外壁等の部分はコンクリートで構
成し、それ以外の部分は合成樹脂製としたので、低コス
ト化、軽量化が図れる。

さらに水位検出器を設けたので、真空弁付汚水ます内
の異常な水位上昇を早期に検知できる。

また汚水ますの底部を略漏斗状に構成したので、この
部分に吸込管の開口を設置すれば、流入物が吸込管の開
口部分に集まり易い。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。

第２図は本発明を適用した真空式汚水収集装置の全体
構成を示す図である。

同図に示すように、地上の各家庭30から排出された汚
水は、地中の自然流下式の流入管７を通って地下の真空
弁付汚水ます３に流れ込む。そして汚水がこの真空弁付
汚水ます３の下部に一定量溜まると、真空弁付汚水ます
３内の上部に取り付けた真空弁11が開き、真空弁付汚水
ます３内の汚水は吸込管５から吸い込まれる。そしてこ
の汚水は真空弁11を通って地中に張り巡らした真空汚水
管10に吸い込まれ、真空ポンプ場40の集水タンク41に集
められる。集水タンク41に溜った汚水は圧送ポンプ42に
よって下水処理場などへ送られる。

ここで上記真空弁11は真空汚水管10の先端近傍に取り
付けられ、該真空汚水管10を開閉する。この開閉は真空
弁付汚水ます３内の汚水の量に応じて行なわれる。

第１図は本発明にかかる真空弁付汚水ます３の詳細な
構造を示す側断面図である。

同図に示すように、この真空弁付汚水ます３は、その
側壁をコンクリート製のます上部塊31とます下部塊33で
筒状に構成し、その内部に合成樹脂製の仕切り板２を取
り付け、該仕切り板２の下部を汚水ます17とするととも
に上部に真空弁11を取り付けて構成されている。

以下各構成部分を詳細に説明する。

この真空弁付汚水ます３の側壁は、ます下部塊33の上
にます上部塊31を載せるように構成されている。ここで
これらます上部塊31とます下部塊33は周囲から土圧を受
けるため、コンクリートで構成され、その強度を強くし
ている。

またこのます下部塊33の底部にはコンクリート製の底
板35が配置され、またます上部塊31の上部にはその上面
が地表15と同一平面となるように、鉄蓋１が被せられ
る。

仕切り板２は合成樹脂で構成され、まず上部塊31とま
す下部塊33の接合部に形成した隙間に係合するように取
り付けられる。以下この仕切り板２の上部を弁ます14、
下部を汚水ます17と呼ぶ。

弁ます14内には真空弁11が設置される。そしてこの真
空弁11に接続されている吸込管５とセンサー管４は、仕
切り板２を貫通して汚水ます17の下部位置に開口してい
る。またこの真空弁11に接続されている真空汚水管10は
ます上部塊31を貫通して前記第２図に示す真空ポンプ場
40の集水タンク41まで延びている。

なおここでセンサー管４と真空弁11の内部構造は、例
えば本願出願人が先に出願した特願平１−111329号の明
細書及び図面に示すような構造のものを用いている。

また仕切り板２には人が汚水ます17に降りられるよう
に、人孔2aが設けられ、ます下部塊33の内側面にはステ
ップ８が取り付けられている。また該人孔2aには蓋12が
被せられている。

汚水ます17の底部には、合成樹脂製の漏斗型底板６が
取り付けられている。この漏斗型底板６は下方向に向か
うに従って漏斗状にすぼまるように構成され、その外側
面はモルタル16でます下部塊33に固定されている。

なお前記吸込管５の下端は、この漏斗型底板６の最も
深い部分近傍に開口している。

またます下部塊33の内側面の上方には、汚水面を検出
する水位検出器９が取り付けられている。この水位検出
器９としては、電極やフロートスイッチの他に、例え
ば、センサー管４の内部の圧力を検出する圧力スイッチ
で構成してもよい。

なおこの水位検出器９は、他の所望の場所に取り付け
てもよく、場合によっては、上部の弁ます14内の所望の
場所に取り付けてもよい。

次にこの真空弁付汚水ます３の動作について説明す
る。

まず流入管７から真空弁付汚水ます３の下部に汚水が
流入する。このとき汚水は漏斗型底板６によって吸込管
５の下端周辺に集まる。

そしてこの汚水が所定量たまると、センサー管４内の
空気圧が上昇し、この情報が真空弁11に送られ、これに
よって真空弁11が開となり、真空状態にある真空汚水管
10と吸込管５が連通し、吸込管５から真空弁付汚水ます
３内の汚水が吸入され外部に排出されるのである。

ところで、センサー管４や真空弁11の異常等によっ
て、汚水が正常に吸われず、汚水の水位が通常の制御範
囲を超えて高くなった場合は、汚水が地表15に溢れ出す
前に、その異常を水位検出器９が検知し、該水位検出器
９に接続された警報器（図示せず）から警報を発する。

またこのような異常状態のときや通常の点検時に点検
者が真空弁11を点検するには、鉄蓋１を開けて行なえば
よい。このとき下部の汚水ます17と弁ます14とは仕切り
板２によって分離されているので、衛生的である。

また汚水ます17内部を点検するときは、点検者はさら
に蓋12を開けてステップ８を使って汚水ます17内部に入
り込んで行なえばよい。

〔発明の効果〕

以上詳細に説明したように、本発明に係る真空式汚水
収集装置用汚水ますによれば以下のような優れた効果を
有する。

真空弁付汚水ます３の外壁をコンクリートで構成した
ので十分な強度を有し、車両等の通過する道路内にも設
置できる。

真空弁11を設置する部分が、下部の汚水ます17から完
全に仕切られているので、この真空弁11のメンテナンス
時の作業者に衛生上の問題が生じない。

強度を受け持つ外壁等の部分はコンクリートで構成
し、それ以外の部分は合成樹脂製としたので、低コスト
化、軽量化が図れる。

水位検出器９を設けたので、真空弁付汚水ます３内の
異常な水位上昇を、汚水が外部に溢れ出す前に検知し、
対応できる。

汚水ますの底部を略漏斗状に構成したので、この部分
に吸込管５の開口を設置すれば、流入物が吸込管５の開
口部分に集まり易い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかる真空弁付汚水ます３の詳細の構
造を示す側断面図、第２図は本発明を適用した真空式汚
水収集装置の全体構成を示す図である。 図中、２……仕切り板、３……真空弁付汚水ます、５…
…吸込管、６……漏斗型底板、９……水位検出器、10…
…真空汚水管、11……真空弁、12……蓋、30……家庭、
40……真空ポンプ場、である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多数の家から排出される汚水を汚水ますに
   溜め、該汚水ますに溜めた汚水を真空汚水管を開閉する
   真空弁を介して真空汚水管に吸入し、該真空汚水管に吸
   入した汚水をその地域に設けた真空ポンプ場に集める真
   空式汚水収集装置において、 前記汚水ますの外壁をコンクリート製の筒状体で構成す
   るとともに、該筒状体の内部に筒状体の内部を上下に仕
   切る仕切り板を取り付け、 該仕切り板の下部を汚水ますにするとともに上部に真空
   弁を設け、 前記仕切り板には人が下部の汚水ますに降りられる大き
   さの孔及びこれを塞ぐ蓋を取り付け、さらに汚水ますの
   底部は略漏斗状に構成したことを特徴とする真空式汚水
   収集装置用汚水ます。
2. 【請求項２】前記仕切り板は合成樹脂で構成したことを
   特徴とする請求項（１）記載の真空式汚水収集装置用汚
   水ます。
3. 【請求項３】前記筒状体の内部の所定位置に、該筒状体
   にたまる汚水の水位が所定の水位以上になったことを検
   知する水位検知器を設けたことを特徴とする請求項
   （１）又は（２）記載の真空式汚水収集装置用汚水ま
   す。