JPH08303325A - 高圧燃料ポンプ用流量制御弁の制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料流量を制御するための通電時間を短く
し、流量制御弁の消費電力を少なくできる高圧燃料ポン
プ用流量制御弁の制御方法を提供すること。 【構成】 流量制御弁１１は、電磁弁とし、燃料ポンプ
１の吸入口４を経てポンプ室３内に挿入されて、閉弁時
に吸入口４の周縁に当接して吸入口４を閉塞する弁体１
５を備える。弁体１５は、開弁方向へ付勢され、制御弁
１１への通電時に閉弁される。制御弁１１は、ポンプ１
のプランジャ７の燃料吐出方向への移動となる上死点へ
の移動時、制御弁１１への通電・通電停止により、吸入
口４の開閉を行なって、ポンプ室３の吐出口６からの燃
料Ｆの吐出量を調整する。制御弁１１の制御は、プラン
ジャ７の上死点への移動時において、制御弁１１への通
電後、プランジャ７の上死点前での、ポンプ室３内の圧
力が弁体１５の開弁方向への付勢力より大きくなった時
点で、通電を停止するように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の燃料噴射装
置において、燃料噴射ノズルへ燃料を圧送する高圧燃料
ポンプに組み付けられる燃料流量を調整するための流量
制御弁の制御方法に関し、特に、消費電力を小さくでき
る制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の流量制御弁としては、特
開平４−１９１４６０号公報、特開平５−２８８１３３
号公報等で知られており、図１に示すような構造であっ
た。

【０００３】すなわち、高圧燃料ポンプ１が、ボデー２
に吸入口４と吐出口６とを配置させたポンプ室３を備
え、ポンプ室３内に、回転駆動するカム９により往復移
動するプランジャ７を配設させていた。

【０００４】そして、燃料Ｆの吐出口６からの流量を調
整するための流量制御弁１１が、電磁弁から構成されて
ポンプ室３の上部に配設されていた。

【０００５】流量制御弁１１は、ボデー１２内に、電磁
コイル１３と可動鉄心１４とを配設させ、可動鉄心１４
の下部に、吸入口４を経てポンプ室３内に挿入されると
ともに閉弁時に吸入口４の周縁の弁座５に当接して吸入
口４を閉塞する外開弁形式の弁体１５を備えていた。可
動鉄心１４は、コイルばね１６により弁体１５の開弁方
向に付勢され、また、電磁コイル１３への通電時に、弁
体１５を弁座５に当接させて閉弁させるように構成され
ていた。電磁コイル１３への通電は制御回路１８の制御
によりなされていた。

【０００６】そして、流量制御弁１１の流量制御は、高
圧燃料ポンプ１の作動時において、カム９の回転によ
り、プランジャ７が上死点へ移動して、燃料Ｆを吐出口
６から吐出させようとする際、当初は、制御回路１８
が、電磁コイル１３に通電せずに弁体１５を開弁させた
状態としておき、ポンプ室３内の燃料Ｆを燃料タンク２
０側へ逃すようにしておき、所定時点で、電磁コイル１
３に通電させて弁体１５を閉弁させ、ポンプ室３内の燃
料Ｆを吐出口６から流出管２３に吐出させるようにして
いた。

【０００７】すなわち、プランジャ７の上死点への移動
時において、電磁コイル１３への通電時における弁体１
５の閉弁時から、プランジャ７の上死点へ移動するま
で、のプランジヤ７のストローク分の燃料Ｆを吐出させ
るようにして、燃料Ｆの流量を調整していた。

【０００８】一方、燃料タンク２０からポンプ室３内へ
の燃料Ｆの流入は、カム９の回転によりプランジヤ７が
上死点から下死点へ移動する際、制御回路１８が電磁コ
イル１３への通電を停止することから、コイルばね１６
の付勢力により、弁体１５が弁座５から離れて開弁し、
燃料Ｆが吸込口４を経てポンプ室３内へ流入することと
なる。

【０００９】なお、弁体１５の開弁時に作用する力は、
コイルばね１６の付勢力の他、弁体１５がポンプ室３内
に挿入された外開弁形式としているため、プランジャ７
の移動によるポンプ室３内の膨張に伴なう燃料Ｆの流入
圧や燃料タンク２０内のフィードポンプ２２の圧力も作
用することとなる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の流量制
御弁１１では、電磁コイル１３への通電時間が、図４に
示すように、プランジャ７の上死点までの移動中からプ
ランジャ７の上死点に配置されるまでの時間としていた
ことから、電磁コイル１３への通電時間が長く、消費電
力が多かった。

【００１１】本発明は、上述の課題を解決するものであ
り、燃料流量を制御するための流量制御弁への通電時間
を短くして、流量制御弁の消費電力を少なくすることが
できる高圧燃料ポンプ用流量制御弁の制御方法を提供す
ることを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明に係る制御方法
は、吸入口と吐出口とを備えたポンプ室内を往復移動す
るプランジャにより燃料の吸入・吐出を行なう高圧燃料
ポンプに、燃料流量の制御を行なう電磁弁からなる流量
制御弁が組み付けられ、該流量制御弁が、前記吸入口を
経て前記ポンプ室内に挿入されるとともに閉弁時に前記
吸入口周縁に当接して前記吸入口を閉塞する弁体を備
え、該弁体が、開弁方向へ付勢されるとともに、前記流
量制御弁への通電時に閉弁され、前記プランジャの燃料
吐出方向への移動となる上死点への移動時に、前記流量
制御弁への通電・通電停止により、前記吸入口の開閉を
行なって、前記燃料の吐出量を調整する高圧燃料ポンプ
用流量制御弁の制御方法であって、前記プランジャの上
死点への移動時において、前記流量制御弁への通電後、
前記プランジャの上死点前での、前記ポンプ室内の圧力
が前記弁体の開弁方向への付勢力より大きくなった時点
で、通電を停止させることを特徴とする。

【００１３】

【作用】本発明に係る制御方法では、プランジャの上死
点への移動時において、流量制御弁への通電後、プラン
ジャの上死点前での、ポンプ室内の圧力が弁体に作用す
る開弁方向への付勢力より大きくなった時点で、通電を
停止させる。

【００１４】この時、弁体には開弁方向への付勢力が作
用しているものの、ポンプ室内の燃料の圧力がその付勢
力よりも大きく、また、ポンプ室内に挿入された外開弁
形式の弁体が既に吸入口を閉塞していることから、弁体
が、ポンプ室内の燃料の圧力を受けて開弁方向へ移動せ
ず、プランジャの上死点までの移動中、すなわち、燃料
の吐出中に、吸入口から燃料を流出させることを防止で
き、流量制御弁への通電を停止しても、燃料の吐出量を
減少させることがない。

【００１５】そして、流量制御弁への通電時間は、通電
停止がプランジャの上死点前の時点で行なわれることか
ら、通電停止がプランジャの上死点で行なわれる従来の
場合より、短くなる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１７】実施例で使用する高圧燃料ポンプと流量制
御弁とは、従来のものと同様な図１に示すものであり、
高圧燃料ポンプ１が、ボデー２内に、吸入口４と吐出口
６とを配置させたポンプ室３を備え、ポンプ室３内に、
回転駆動するカムシャフト１０に固定されたカム９に対
して下端のカムローラ８を当接させて往復移動するプラ
ンジャ７を配設させている。

【００１８】吸入口４は、流量制御弁１１のハウジング
１７で覆われ、ハウジング１７に接続される流入管２１
を介して、燃料タンク２０と連通している。流入管２１
の燃料タンク２０内には、フィードポンプ２２が配設さ
れている。吐出口６は、チェックバルプ２４を配置させ
た流出管２３と接続されている。

【００１９】電磁弁からなる流量制御弁１１は、ハウジ
ング１７で囲まれたボデー１２内に、電磁コイル１３と
可動鉄心１４とを配設させ、可動鉄心１４の下部に、吸
入口４を経てポンプ室３内に挿入されるとともに閉弁時
に吸入口４の周縁の弁座５に当接して吸入口４を閉塞す
る弁体１５を備えている。可動鉄心１４は、ハウジング
１７に上端を当接させたコイルばね１６により、弁体１
５の開弁方向に付勢され、また、電磁コイル１３への通
電時に、弁体１５を弁座５に当接させて閉弁させるよう
に構成されている。なお、１４ａは、ハウジング１７に
当接して、弁体１５の開弁位置を規制するストッパであ
る。

【００２０】そして、流量制御弁１１への通電は、従来
と同様に、制御回路１８が行なうものの、そのタイミン
グは、プランジャ７の上死点への移動時において、流量
制御弁１１への通電後、プランジャ７の上死点前での、
ポンプ室３内の燃料Ｆの圧力がコイルばね１６の弁体１
５を開弁させようとする付勢力より大きくなった時点
で、通電を停止させるように制御している。ちなみに、
この弁体１５を開弁させようとする付勢力は、コイルば
ね１６の付勢力の他、弁体１５に作用するフィードポン
プ２２によって送られている燃料Ｆの供給圧がある。

【００２１】このポンプ室３内の圧力がコイルばね１６
の弁体１５を開弁させようとする付勢力より大きくなっ
た時点は、予め、試験を行なって検知しておく。そし
て、制御回路１８に対して、通電後から、ポンプ室３内
の燃料Ｆの圧力が弁体１５を開弁させようとする付勢力
より大きくなった時点まで、の時間を、通電時間とする
ように、プログラムすることとなる。

【００２２】そして、この流量制御弁１１の制御は、図
２に示すように、高圧燃料ポンプ１がカムシャフト１０
の回転によってプランジャ７を下死点から上死点まで往
復往復移動させる際の、プランジャ７の上死点への移動
時において、当初、制御回路１８が、電磁コイル１３に
通電せずに弁体１５を開弁させた状態として、ポンプ室
３内の燃料Ｆを吸入口４から燃料タンク２０側へ逃すよ
うにしておき、所定時点で、電磁コイル１３に通電させ
て弁体１５を閉弁させ、ポンプ室３内の燃料Ｆを吐出口
６から流出管２３に吐出させるようにする。

【００２３】その通電後、プランジャ７の上死点前で
の、ポンプ室３内の圧力が弁体１５の開弁方向への付勢
力より大きくなった時点で、制御回路１８は、通電を停
止させる。

【００２４】この時、図３に示すように、弁体１５には
開弁方向への付勢力Ｓが作用しているものの、ポンプ室
３内の燃料Ｆの圧力Ｐが、その付勢力よりも大きく、ま
た、ポンプ室３内に挿入された外開弁形式の弁体１５が
既に吸入口４を閉塞していることから、弁体１５が、Ｐ
−Ｓの力を受けて開弁方向へ移動せず、プランジャ７の
上死点までの移動中、すなわち、燃料Ｆの吐出中に、吸
入口４から燃料Ｆを流出させることを防止でき、流量制
御弁１１への通電を停止しても、燃料Ｆの吐出量を減少
させることがない。

【００２５】その後、プランジャ７が上死点を経て下死
点へ移行する場合には、ポンプ室３内が膨張することと
なり、ポンプ室３内の燃料Ｆの圧力Ｐが、低下して、弁
体１５に対する開弁方向への付勢力Ｓより小さくなるた
め、弁体１５が開弁し、吸入口４からポンプ室３内に燃
料Ｆが流入することとなる。なお、この時の弁体１５の
開弁する力は、弁体１５がポンプ室３内に挿入された外
開弁形式としていることから、コイルばね１６の付勢力
・フィードポンプ２２の燃料Ｆの供給圧の他に、プラン
ジャ７の移動によるポンプ室３の膨張に伴なう燃料Ｆの
流入圧と、が作用することとなる。

【００２６】そして、その後は、カムシャフト１０の回
転により、プランジャ７が下死点から上死点へ移動して
順次往復移動して、所定量の燃料Ｆを吐出口６から順次
流出管２３へ吐出させることとなる。

【００２７】したがって、実施例の流量制御弁１１の制
御では、電磁コイル１３に対する通電後の通電停止がプ
ランジャ７の上死点前の時点で行なわれることから、電
磁コイル１３への通電時間を、通電停止がプランジャ７
の上死点で行なわれる従来の場合より、短くしているた
め、流量制御弁の消費電力を少なくすることができる。

【００２８】なお、実施例では、電磁コイル１３への通
電後の通電停止する時点、すなわち、ポンプ室３内の圧
力Ｐが弁体１５を開弁させようとする付勢力Ｓより大き
くなった時点を、予め、試験を行なって検知しておき、
通電後からの通電時間を制御回路１８に入力させておく
制御方法を示したが、別途、カムシャフト１０に回転角
度検出センサを設けたり、プランジャ７の移動ストロー
クを検出できる近接セサを設けて、予め、試験を行なっ
て、ポンプ室３内の圧力Ｐが弁体１５を開弁させようと
する付勢力Ｓより大きくなった時点でのそのカムシャフ
ト１０の回転角度やプランジャ７の位置を検知してお
き、制御回路１８が既述のセンサからの信号を入力し
て、検知しておいた時点で電磁コイル１３への通電を停
止させるようにしても良い。さらに、ポンプ室３に圧力
センサを設け、その圧力センサからの電気信号を制御回
路１８が入力して、ポンプ室３内の圧力Ｐが弁体１５を
開弁させようとする付勢力Ｓより大きくなった時点で、
制御回路１８が電磁コイル１３への通電を停止させるよ
うに構成しても良い。

【００２９】また、実施例では、吸入口４に接続させた
流入管２１に、フィードポンプ２２を配置させたものを
示したが、流入管２１に、さらに、別途、レギュレータ
を配設させたり、あるいは、これらの機器を設けないよ
うにしても良い。ちなみに、これらの機器を設けた場合
には、弁体１５の開弁方向への付勢力が高まるため、こ
の付勢力に対向できるまでのポンプ室３内の圧力上昇
に、時間がかかることとなるが、本発明の構成では、燃
料Ｆの圧力Ｐが開弁方向への付勢力Ｓよりも非常に大き
いため、通電時間は実質的には長くならないので、流量
制御弁１１の消費電力低減の効果は低下しない。

【００３０】

【発明の効果】以上のように、本発明の流量制御弁の制
御方法では、流量制御弁に対する通電後の通電停止がプ
ランジャの上死点前の時点で行なわれることから、流量
制御弁への通電時間を、通電停止がプランジャの上死点
で行なわれる従来の場合より、短くしているため、流量
制御弁の消費電力を少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に使用する流量制御弁の使用
態様図である。

【図２】同実施例における流量制御弁の開閉のタイミン
グを示す図である。

【図３】同実施例の制御時の状態を示す拡大断面図であ
る。

【図４】従来例における流量制御弁の開閉のタイミング
を示す図である。

【符号の説明】

１…高圧燃料ポンプ、 ３…ポンプ室、 ４…吸入口、 ６…吐出口、 ７…プランジャ、 １１…流量制御弁、 １５…弁体、 Ｆ…燃料。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸入口と吐出口とを備えたポンプ室内を
   往復移動するプランジャにより燃料の吸入・吐出を行な
   う高圧燃料ポンプに、燃料流量の制御を行なう電磁弁か
   らなる流量制御弁が組み付けられ、 該流量制御弁が、前記吸入口を経て前記ポンプ室内に挿
   入されるとともに閉弁時に前記吸入口周縁に当接して前
   記吸入口を閉塞する弁体を備え、 該弁体が、開弁方向へ付勢されるとともに、前記流量制
   御弁への通電時に閉弁され、 前記プランジャの燃料吐出方向への移動となる上死点へ
   の移動時に、前記流量制御弁への通電・通電停止によ
   り、前記吸入口の開閉を行なって、前記燃料の吐出量を
   調整する高圧燃料ポンプ用流量制御弁の制御方法であっ
   て、 前記プランジャの上死点への移動時において、前記流量
   制御弁への通電後、前記プランジャの上死点前での、前
   記ポンプ室内の圧力が前記弁体の開弁方向への付勢力よ
   り大きくなった時点で、通電を停止させることを特徴と
   する高圧燃料ポンプ用流量制御弁の制御方法。