JPH08303211A - 火力発電プラント自律適応最適化制御システム - Google Patents

火力発電プラント自律適応最適化制御システム

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JPH08303211A
JPH08303211A JP7112832A JP11283295A JPH08303211A JP H08303211 A JPH08303211 A JP H08303211A JP 7112832 A JP7112832 A JP 7112832A JP 11283295 A JP11283295 A JP 11283295A JP H08303211 A JPH08303211 A JP H08303211A
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JP
Japan
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schedule
startup
correction amount
power plant
autonomous
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Application number
JP7112832A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Matsumoto
弘 松本
Akira Osawa
陽 大澤
Masae Takahashi
正衛 高橋
Kosei Akiyama
孝生 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E20/00Combustion technologies with mitigation potential
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    • Y02E40/70Smart grids as climate change mitigation technology in the energy generation sector
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    • Y04INFORMATION OR COMMUNICATION TECHNOLOGIES HAVING AN IMPACT ON OTHER TECHNOLOGY AREAS
    • Y04SSYSTEMS INTEGRATING TECHNOLOGIES RELATED TO POWER NETWORK OPERATION, COMMUNICATION OR INFORMATION TECHNOLOGIES FOR IMPROVING THE ELECTRICAL POWER GENERATION, TRANSMISSION, DISTRIBUTION, MANAGEMENT OR USAGE, i.e. SMART GRIDS
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  • Control Of Steam Boilers And Waste-Gas Boilers (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】実際の起動スケジュールを作成する際の、ファ
ジイ推論によるスケジュール修正量決定手段600から
得られるスケジュールと、ニューラルネットワークによ
る適応知識修得手段から得られるスケジュールとの採用
比率を可変とし、起動を繰り返すにつれて後者の比率を
拡大させるようにし、採用比率をファジイ推論により得
られるスケジュール修正量の大きさに対応して変更し、
1回当たりの変更幅を制限したり、前回値をも考慮した
円滑化処理をするようにした。 【効果】機器寿命や排出NOxなど機器保護基準や環境
規制値など複数の運転制限条件を同時に満足しながら起
動時間を最短化する起動スケジュールの自動作成が可能
であり、日々変動するプラントの運用条件に対して、滑
らかで、かつ着実に適応能力を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力発電プラントの制
御システムに係り、特に、種々の運転制限条件を満足し
つつ、かつ短時間でプラントを起動させるのに好適な起
動スケジュールを作成するための火力発電プラントの制
御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電プラントを急速起動しようとす
る場合、問題となるのが多くの運転制限条件と入出力間
の非線形特性と時間遅れの存在である。即ち、作成され
る起動スケジュールは燃料流量や給水流量等の操作量に
関しては勿論のこと、機器に発生する熱応力やボイラ排
出NOxなど多くのプロセス状態値は運転制限条件を満
たすものでなければならない。また、タービン昇速パタ
ーンや負荷上昇パターン、即ち、起動スケジュールを規
定する操作量であるタービン昇速率や負荷上昇率とプロ
セス状態値の間には大きな非線形性と時間遅れがあるた
め、起動中に単なるフィードバック制御では高精度に運
転制限条件を満足しながら急速な起動を実現することが
不可能であった。このようなことから、従来の第1の方
式では、特開昭63−94009 号公報に記載のように、制御
システムにプラントの全系動特性モデルを内蔵させ、実
際のプラント起動前に、これを用いた起動シミュレーシ
ョンの反復による起動特性予測により起動スケジュール
の最適化を図っていた。即ち、テーブル情報や物理式と
して非線形性をモデル化し、起動スケジュールの作成に
用いていた。また、従来の第2の方式は、特開平3−164
804 号公報に記載のように、実際の運転結果に基づいて
起動特性を評価し、この評価結果からファジィ推論によ
り起動スケジュールの修正量を算出する手段を有し、起
動の度に得られる修正量をニューラルネットワークに学
習させると共に、運転目標をニューラルネットワークに
入力したときにニューラルネットワークから出力される
値をもって前回起動時のスケジュールを修正することに
より起動スケジュールの最適化を図っていた。即ち、制
御システムにプラント全系の動特性モデルを持つことな
く、ファジィ推論により専門家の持つ定性的知識とニュ
ーラルネットワークの学習能力を活用して起動スケジュ
ールを作成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
によると、次の点が問題となる。
【0004】(1) 従来の第1の方式によると、起動特性
予測に用いる全系動特性モデルは、プラントを取り巻く
気温,湿度,水温や起動前のプラント機器の温度状態な
どの運用条件が考慮されたものにすることが必要であ
り、これを作成するのに多大な時間を要し、しかも対象
プラント毎に作成しなければならないこと。さらに、ボ
イラにおける伝熱や脱硝装置における脱硝反応などの不
確定要素が多く、動特性予測精度に限界があること。ま
た、従来の第2の方式においては、運用条件の変動や不
確定要素も勘案してファジィ推論用知識ベースを構築す
ることは、その因果関係の複雑さゆえに困難であり、多
大な時間を要するだけでなく知識ベースの信頼性が問題
となる。
【0005】(2) 従来の第1の方式によると、プラント
の全系動特性モデルを用いて実用時間内に最適起動スケ
ジュールを求めるためには、演算処理能力が高く、メモ
リ容量の大きな高性能計算機システムを必要とするこ
と。
【0006】(3) 起動前のプラント初期状態や気温等の
運用条件が異なると、過去に作成した起動スケジュール
を活用することが困難で、その都度、最適解を求めなけ
ればならないこと。即ち、制御システムは運転条件の変
化に対して適応能力がないため、起動の度に高性能計算
機のフル稼動が必要となること。また、従来の第2の方
式では、上述したように、運用条件の変動や不確定要素
も勘案してファジィ推論用知識ベースを構築することは
困難であるので、従来の第1の方式と同様に運転条件の
変化に対して適応能力がない。
【0007】本発明の目的は、(1) 発電プラントの複雑
大規模な全系動特性モデルを使用することなく運転制限
要因を監視評価できること。即ち、運転制限要因を監視
するための必要最小限の動特性モデルとすること、(2)
初回起動時から最適起動スケジュールを求めることな
く、実際の起動を繰り返す過程で起動スケジュールを最
適化できること、(3) プラント初期状態や気温等の運用
条件が異なっても、過去に作成した起動スケジュールが
適応的に活用できること、(4) さらに、起動を繰り返す
過程で運用条件の変動に対して、滑らかに適応能力を付
加できること、が可能な火力発電プラント自律適応最適
化制御システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の火力発電プラント自律適応最適化制御システ
ムは、蒸気を発生させるためのボイラと、前記ボイラに
より発生された蒸気により駆動される蒸気タービンとを
有する火力発電プラントの制御システムであっては、下
記の手段を具備することを特徴とする。
【0009】(1) 前記ボイラの点火から起動完了までの
起動スケジュールを、前記火力発電プラントの起動前に
おける温度状態に基づいて作成する基本スケジュール作
成手段、(2) 前記火力発電プラントの起動過程における
所定の運転制限要因を監視する運転制限要因監視手段、
(3) 前記運転制限要因監視手段により求められた運転制
限要因の運転制限条件に対する余裕値を評価する余裕値
評価手段、(4) 前記余裕値評価手段により得られた余裕
値に基づいて、前記起動スケジュールの修正量をファジ
ィ推論を用いて算出するスケジュール修正量算出手段
と、(5) 前記火力発電プラントの過去の起動スケジュー
ルと運用条件とをニューラルネットワークに入力値とし
て与えたとき、出力値として前記スケジュール修正量算
出手段より求められたスケジュール修正量が得られるよ
うに、前記入出力の対応関係を記憶する適応知識修得手
段、(6) 前記スケジュール修正量算出手段より求められ
たスケジュール修正量に基づいて作成された第1の起動
スケジュールと、前記適応知識修得手段により得られた
スケジュール修正量に基づいて作成された第2の起動ス
ケジュールとを用いて実際の起動スケジュールを作成す
ると共に、前記実際の起動スケジュールを作成する際の
前記第1及び第2の起動スケジュールの採用比率を規定
する自律係数λを、起動を繰り返すにつれて大きくする
ことによって、前記第2の起動スケジュールの採用比率
を拡大させる自律性管理手段、(7) 前記自律性管理手段
によって作成された起動スケジュールに従って前記火力
発電プラントを起動制御するスケジュール実行制御手
段。
【0010】また、上記スケジュール修正量算出手段
は、前記余裕値評価手段により得られた余裕値の大きさ
に対応した前記起動スケジュールのスケジュール修正量
を規定する複数のファジィルールを記憶する知識ベース
から、前記ファジィルールを取り込んでスケジュール修
正量を算出するものであってもよい。
【0011】更に、(1)〜(7)に、前記適応知識修得手
段におけるニューラルネットワークの内部接続状態を決
定することにより前記入出力対応関係を学習する学習管
理手段を付加してもよい。
【0012】ガスタービンと、前記ガスタービンの排ガ
スを用いて蒸気を発生させるための排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで発生した蒸気により駆動される蒸
気タービンとを有するコンバインドサイクル発電プラン
トの制御システムであっても、(1)〜(7)の手段もしく
は学習管理手段を設けることによって本発明の目的を達
成することができる。
【0013】また、前記所定の運転制限要因は、前記ボ
イラの過熱器出口蒸気ヘッダの応力,前記蒸気タービン
の応力,前記ボイラから排出されるNOxのうち、少な
くとも一つであってもよいし、コンバインドサイクル発
電プラントでは、前記排熱回収ボイラの過熱器出口蒸気
ヘッダの応力,前記蒸気タービンの応力,前記排熱回収
ボイラから排出されるNOxのうち、少なくとも一つで
あってもよい。
【0014】更に、前記コンバインドサイクル発電プラ
ントにおける起動スケジュールは、前記ガスタービンの
起動スケジュールと前記蒸気タービンの起動スケジュー
ルとからなり、かつ前記ガスタービンの起動スケジュー
ルは、前記起動スケジュールを規定する所定のパラメー
タにより構成され、前記所定のパラメータは、昇速率,
定格速度保持時間,初負荷,初負荷保持時間,負荷上昇
率,負荷保持時間のうち少なくとも一つであり、前記蒸
気タービンの起動スケジュールは、前記起動スケジュー
ルを規定する所定のパラメータにより構成され、前記所
定のパラメータは、高圧タービンバイパス弁操作速度,
中圧タービンバイパス弁操作速度,低圧タービンバイパ
ス弁操作速度,高圧加減弁操作速度,中圧加減弁操作速
度,低圧加減弁操作速度のうち少なくとも一つであって
もよい。
【0015】前記所定の運転制限要因は、前記排熱回収
ボイラの過熱器出口蒸気ヘッダ応力,前記蒸気タービン
の応力,前記排熱回収ボイラから排出されるNOxと
し、前記余裕値評価手段は、前記排熱回収ボイラの過熱
器出口蒸気ヘッダ応力と前記蒸気タービン応力に対して
は前記火力発電プラントの起動過程を複数区間に分割し
た各区間毎に前記運転制限値に対する最小余裕値を求
め、前記排熱回収ボイラから排出されるNOxに対して
は、瞬時値と移動平均値を求めて前記火力発電プラント
の起動過程を複数区間に分割した各区間毎に前記運転制
限値に対する最小余裕値を求めるものであってもよい。
【0016】更にまた、前記スケジュール修正量算出手
段は、前記余裕値評価手段から得られる排熱回収ボイラ
過熱器出口蒸気ヘッダ応力の最小余裕値及び蒸気タービ
ン応力の最小余裕値に基づく蒸気タービン主計画(ST
PS)用ファジィ推論と、ガスタービン広域調整(GTG
T)用ファジィ推論と、前記排熱回収ボイラ排出NOx
の最小余裕値に基づくガスタービン主計画(GTPS)用
ファジィ推論と蒸気タービン局部調整(STLT)用ファ
ジィ推論を行い、前記STPSは前記STLTと比較し
て、より広範囲のスケジュールパラメータを修正対象と
し、前記GTPSは前記GTGTと比較して、より緻密
な修正を行い、前記GTGTは前記GTPSと比較して、よ
り大局的な修正を行うものであってもよい。
【0017】更にまた、前記スケジュール修正量算出手
段は、前記STPS用,STLT用,GTPS用,GT
GT用の各ファジィ推論より得られた同一スケジュール
パラメータに対する複数の修正量の中から、優先値決定
手段により昇速率,負荷変化率,弁操作速度に関するパ
ラメータは低値を選択し、速度保持時間,負荷保持時間
に関するパラメータは高値を選択するものであってもよ
い。
【0018】更にまた、前記適応知識修得手段にて使用
するニューラルネットワークは、信号変換機能を有する
ユニットを複数個集めて少なくとも入力層と出力層から
なる多層構造を成し、前層ユニットの出力部と次層ユニ
ットの入力部との接続部に設けられた内部接続強度を設
定可能とし、入力層には前記起動スケジュールパラメー
タと運用条件に対応した数のユニットが配置され、出力
層には前記起動スケジュールパラメータに対応した数の
ユニットが配置され、入力層へ入力された信号は前記学
習管理手段により予め設定され前記内部接続強度に従っ
て変換され出力層から出力されるものであってもよい。
【0019】更にまた、前記学習管理手段は、前記火力
発電プラントの起動が繰り返される度に前記スケジュー
ル修正量算出手段より得られる新たな修正量を累積計算
するための累積修正量算出手段と、前記累積修正量算出
手段より得られた累積修正量を格納するための累積修正
量格納手段と、過去における実際の起動に適用した起動
スケジュールを格納するためのスケジュール格納手段
と、過去における実際の起動時の運用条件を格納するた
めの運用条件格納手段と、前記スケジュール格納手段と
前記運用条件格納手段からそれぞれ前記過去の起動スケ
ジュールと運用条件を取り出し、これを前記適応知識修
得手段における前記ニューラルネットワークの入力部に
入力したときに出力部から得られる出力値が、前記累積
修正量格納手段に格納された累積修正量と一致するよう
に前記ニューラルネットワークの前記内部接続強度を決
定するための学習手段と、を有するものであってもよ
い。
【0020】更にまた、前記運用条件格納手段に格納す
る運用条件は、前記火力発電プラントの停止期間,プラ
ントの機器温度,圧力,復水器冷却用水温,大気の温
度,湿度,プラント運転制限条件のうち少なくとも一つ
であってもよい。
【0021】更にまた、前記自律性管理手段は、前記ス
ケジュール修正量算出手段から得られる修正量により定
まる起動スケジュールX1 を第1の起動スケジュールと
し、X1を前記ニューラルネットワークに前記運用条件
と共に入力したとき出力部から得られる前記修正量ΔX
OUT とX1を加算して得られる起動スケジュールX2を第
2の起動スケジュールとしたとき、前記第1の起動スケ
ジュールX1 に前記自律係数の補数(1−λ)を掛けて得
られた値(1−λ)X1 と前記第2の起動スケジュールX
2に前記自律係数λを掛けて得られた値λX2を加算して
得られた起動スケジュールXR をもって実際の起動スケ
ジュールとして採用し、前記スケジュール実行制御手段
に転送するものであってもよい。
【0022】更にまた、前記自律性管理手段は、前記自
律係数λを可変とするための自律係数発生手段を有し、
初回起動時はλ=0とし、起動回数iもしくは前記スケ
ジュール修正量算出手段により得られる前記スケジュー
ル修正量に対応して、起動回数を重ねるにつれて0≦λ
≦1の範囲でλを大きくしていくものであってもよい。
【0023】更にまた、前記運転制限要因は、少なくと
も前記蒸気タービンのロータとケーシングの伸び差,前
記排熱回収ボイラのドラム等に発生する応力,前記排熱
回収ボイラから排出されるSOまたはCOであってもよ
い。
【0024】更にまた、前記自律性管理手段における起
動1回当たりのλ値の変更幅に制限を加えたり、前回の
λ値を考慮した平滑処理によりλ値を決定するものであ
ってもよい。
【0025】更にまた、上記の構成を備える火力発電プ
ラント自律適応最適化制御システムを、ガス化複合サイ
クル発電プラント,常圧及び加圧流動層ボイラ発電プラ
ントの起動制御システムに用いてもよい。
【0026】更にまた、本発明の火力発電プラント自律
適応最適化制御システムにおける起動スケジュール作成
の前記一連の手段を、プラント運転訓練用シミュレータ
における起動スケジュール作成もしくは修正のためのガ
イダンス提示手段として用いてもよい。
【0027】更にまた、本発明の火力発電プラント自律
適応最適化制御システムに、前記実際の起動スケジュー
ルを表示する手段を設けてもよい。
【0028】
【作用】本発明によれば、スケジュール修正量算出手段
より求められたスケジュール修正量に基づいて作成され
た第1の起動スケジュールと、適応知識修得手段により
得られたスケジュール修正量に基づいて作成された第2
の起動スケジュールとを用いて実際の起動スケジュール
を作成すると共に、実際の起動スケジュールを作成する
際の第1及び第2の起動スケジュールの採用比率を規定
する自律係数λを、起動を繰り返すにつれて大きくする
ことによって、第2の起動スケジュールの採用比率を拡
大させる自律性管理手段を備えているので、実際の起動
スケジュールを決定する際に、起動を繰り返すにつれて
ファジイ推論からの結論よりも、適応知識修得手段によ
り得られたニューラルネットワークからの結論に依存す
る度合を強められることになり、プラントの運用条件の
変化に対応した好適な起動スケジュールを作成すること
ができる。
【0029】即ち、上記適応知識修得手段は、プラント
起動毎にスケジュール及びプラントの運用条件と、スケ
ジュール修正量決定手段により得られた修正量との対応
関係が記憶されるニューラルネットワークを有している
ので、実際の起動スケジュールを作成する際に、ファジ
ィ推論によるスケジュール修正量決定手段からの修正量
により作成される第1のスケジュールと、適応知識修得
手段からの修正量により作成される第2のスケジュール
の採用比率(自律係数λ)を、起動を繰り返すにつれて後
者の比率を大きくすれば、実際の起動スケジュールは、
プラントの運用条件に対応して作成された第2のスケジ
ュールの割合が高くなり、プラントの起動回数が多くな
る程プラントの運用条件の変化に対応した好適な起動ス
ケジュールを作成することが可能となる。
【0030】また、上述した本発明の各手段(1)〜(7)
及び知識ベース並びに学習管理手段の機能について以下
に説明する。
【0031】(1) 基本スケジュール作成手段では、プラ
ントの温度状態と比較的相関性が高い停止期間に着目し
て、停止期間別にテーブル情報として予め準備された複
数のスケジュールの中から、中央給電指令所から指令さ
れた起動時刻に対応して該当するスケジュールを選択
し、これをもって基本スケジュールとする。これによ
り、必ずしも最適ではないがプラントを安全に起動でき
るスケジュールが作成される。
【0032】(2) 運転制限要因監視手段では、スケジュ
ール実行制御手段によりプラントが起動される過程で、
直接計測が可能なプロセス状態については計測器から得
られる信号により監視し、直接計測が困難なプロセス状
態については計測可能なプロセス状態を動特性モデルに
入力することにより運転制限要因の挙動を推定監視す
る。
【0033】(3) 余裕値評価手段では、運転制限要因監
視手段により得られる運転制限要因について制限値に対
する余裕値を全起動過程で評価する。
【0034】(4) スケジュール修正量算出手段では、余
裕値評価手段で得られた余裕値の大きさに応じてスケジ
ュールの修正量を算出する。このとき、後述する知識ベ
ースを用いてファジィ推論により算出する。
【0035】(5) 適応知識修得手段では、ニューラルネ
ットワークを用いて適応知識を修得する。ここで、適応
知識とは単にファジィルールで表されたスケジュール修
正方策だけでなく、プラント運用条件の変化にも対処で
きる適応力をもつ知識である。この知識を獲得するため
にニューラルネットワークには、プラント起動毎にスケ
ジュール及びプラント運用条件と、スケジュール修正量
決定手段により得られた修正量との対応関係が記憶され
る。
【0036】(6) 自律性管理手段では、実際の起動スケ
ジュールを決定する際に、起動を繰り返すにつれてファ
ジイ推論からの結論よりも、適応知識を修得する能力が
あるニューラルネットワークからの結論に依存する度合
を強めてゆく働きをする。即ち、ファジィ推論によるス
ケジュール修正量決定手段からの修正量により作成され
るスケジュールと適応知識修得手段からの修正量により
作成されるスケジュールの採用比率(自律係数λ)を可変
とし、起動を繰り返すにつれて後者の比率を拡大させる
ことにより運用条件の変化に対する適応能力と自律性を
高める働きをする。ここで、λ値を変更する際、変更幅
に制限を加え、また前回値を考慮した平滑処理をするこ
とで、滑らかで、かつ着実に適応能力と自律性が高めら
れる。
【0037】(7) スケジュール実行制御手段では、後述
の自律性管理手段により作成される起動スケジュールに
従って、タービン昇速制御,負荷上昇制御,蒸気圧力制
御などプラント起動に必要なプロセス状態の制御を実施
する。
【0038】また、知識ベースは、余裕値評価手段で得
られた余裕値との因果関係でスケジュール修正方策を定
めた複数のルールの集合体であり、各ルールは余裕値の
大きさに応じたスケジュールの修正方法に関する専門家
の知見を計算機で処理可能な表現にした断片的知識とし
て機能する。
【0039】更に、学習管理手段では、適応知識修得手
段に対して対応関係を学習させる。そのために、プラン
ト起動毎のスケジュール及びプラント運用条件と、スケ
ジュール修正量決定手段により得られた修正量との対応
関係を学習サンプルとしてニューラルネットワークに順
次提示し、学習させる。即ち、本学習管理手段は、ニュ
ーラルネットワークに前者を入力したときに後者が出力
されるようにニューラルネットワークの内部接続状態を
決定する働きをする。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0041】図1は本発明の火力発電プラント自律適応
最適化制御システム1000の基本構成を示す。本シス
テムは、中央給電指令所2000からの起動指令である
起動時刻TRi(iは起動次回を示し、例えばi=1は初
回起動を示す)を受けて作動し、システム内のスケジュ
ール実行制御手段300により火力発電プラント3000が
実際に起動される。
【0042】本システム1000は、基本スケジュール
作成手段100,スケジュール修正手段150,スケジ
ュール実行制御手段300,運転制限要因監視手段40
0,余裕値評価手段500,スケジュール修正量算出手
段600,知識ベース700,修正量格納手段650,
適応知識修得手段800,学習管理手段900,自律性
管理手段200より構成されている。
【0043】基本スケジュール作成手段100では、テ
ーブル情報として停止期間別に予め準備された複数のス
ケジュールの中から、中央給電指令所から指令された起
動時刻TRiに対応して該当するスケジュールを選択し、
これをもって基本スケジュールX0iとする。ここで、X
はスケジュールを規定する複数のパラメータ値からなる
ベクトル量であり、詳細については後述する。これによ
り、最適ではないがプラント起動上安全かつ確実なスケ
ジュールが作成される。
【0044】スケジュール修正手段150では、後述の
ファジィ推論を用いたスケジュール修正量算出手段60
0より得られ、修正量格納手段650に格納されている
修正量ΔXi-1 と、後述の学習管理手段900に記憶さ
れた前回の起動スケジュールXRi-1を用いて新たなスケ
ジュールXi を作成する。ここで、初回起動時(i=
1)には、ΔX0=0,X0=X01である。
【0045】スケジュール実行制御手段300では、後
述の自律性管理手段200により作成される起動スケジ
ュールXRiに従って、火力発電プラント3000におけ
るタービン速度,負荷,蒸気圧力など起動に伴うプロセ
ス状態の制御を実施する。
【0046】運転制限要因監視手段400では、スケジ
ュール実行制御手段300によりプラントが起動される
過程で、直接計測が困難なプロセス状態については計測
可能なプロセス状態を動特性モデルに入力することによ
り運転制限要因の挙動を推定監視する。また、直接計測
が可能なプロセス状態については計測器から得られる信
号により監視する。ここで監視の対象とする運転制限要
因については、後に別途具体的に述べる。
【0047】余裕値評価手段500では、運転制限要因
監視手段400により得られる運転制限要因について制
限値に対する余裕値を全起動過程で評価する。この余裕
値の定義についても後に具体的に示す。
【0048】スケジュール修正量算出手段600では、
余裕値評価手段500で得られた余裕値の大きさに応じ
てスケジュールの修正量ΔXi を算出する。このとき、
次に述べる知識ベース700を用いてファジィ推論によ
り算出する。
【0049】知識ベース700は、余裕値評価手段50
0で得られた余裕値との因果関係でスケジュール修正方
策を定めた複数のルールの集合体であり、各ルールは余
裕値の大きさに応じたスケジュールの修正方法について
専門家の知見を計算機で処理可能な表現にした断片的知
識として機能する。
【0050】修正量格納手段650では、スケジュール
修正量算出手段600より得られる修正量ΔX1〜ΔXi
を過去のプラント起動毎に対応させて格納しておく。
【0051】適応知識修得手段800では、ニューラル
ネットワークを用いて適応知識を修得する。ここで、適
応知識とは単にファジィルールで表されたスケジュール
修正方策だけでなく、プラント運用条件の変化にも対処
できる適応力をもつ知識である。この知識を獲得するた
めにニューラルネットワークには、プラント起動毎にス
ケジュール及びプラント運用条件と、スケジュール修正
量算出手段600により得られた修正量ΔX1〜ΔXi
の対応関係が記憶される。ここで、プラント運用条件と
して、本発明の実施例ではプラントの起動時温度状態に
最も影響する停止期間TSi(前回停止時刻と指令起動時
刻TRiとの経過時間を意味する),気温TAi,湿度
Ai,水温TWiを用いる。尚、これらプラント運用条件
を総称した記号は以後Ziを使用する。
【0052】学習管理手段900では、適応知識修得手
段800に対して対応関係を学習させる。そのために、
プラント起動毎のスケジュールXRi及びプラント運用条
件Zi と、スケジュール修正量算出手段600により得
られている修正量ΔXi の累積値との対応関係を学習サ
ンプルとして順次提示し、学習させる。即ち、本学習管
理手段900は、適応知識修得手段800として使用す
るニューラルネットワークの入力層にXRk(k=1〜i
−1)とZk (k=1〜i−1)を入力したときに出力層
からの出力値ΔXOUTkがΔXi の累積修正量ΔXQk(k
=1〜i−1)に一致するようにニューラルネットワー
ク内の接続状態を決定する働きをする。累積修正量ΔX
Qkに関しては別途具体的に後述する。
【0053】自律性管理手段200では、実際の起動ス
ケジュールを決定する際に、起動を繰り返すにつれてフ
ァジイ推論からの結論ΔXi よりもニューラルネットワ
ークからの結論ΔXOUTiに依存する度合を強めてゆく働
きをする。即ち、ファジィ推論によるスケジュール修正
量算出手段600から得られる修正量により作成される
スケジュールと適応知識修得手段800から得られる修
正量により作成されるスケジュールの採用比率を自律係
数λで表し、これを可変とし、起動を繰り返すにつれて
後者の比率を大きくすることにより運用条件の変化に対
する適応能力と自律性を高める働きをする。自律係数λ
に関しては別途具体的に説明する。
【0054】以上、本発明の概要を説明したが、以下、
本発明の適用対象である火力発電プラントとして、ガス
タービン,排熱回収ボイラ及び蒸気タービンから成る複
合サイクル発電プラントを例に実施例を説明する。
【0055】図2は複合サイクル発電プラント3000
の機器構成とスケジュール実行制御手段300との関係
を示す。スケジュール実行制御手段300は、更にガス
タービン制御システム330と蒸気タービン制御システ
ム360から成る。ガスタービン設備3200では、燃
料22を燃焼器23に注入し、燃焼用空気24をコンプ
レッサ20により圧入することにより燃焼で発生するエ
ネルギは、ガスタービン26で機械エネルギに変換さ
れ、これにより、共通軸28に接続された発電機35を
駆動し電気エネルギに変換すると共に一部はコンプレッ
サ20の駆動力となる。起動時にはガスタービン制御シ
ステム330からの燃料調節弁開度指令311により燃
料調節弁21を操作し、燃料流量を調節することでガス
タービン設備3200及び共通軸28に接続された蒸気
タービン設備3300と発電機35が昇速される。
【0056】また、ガスタービン26からの排ガス27
は排熱回収ボイラ設備3100に導かれ、排ガス27の
持つ熱エネルギが回収される。このとき、排ガス27に
より排熱回収ボイラ設備3100の煙道14に配置され
た各種熱交換器内の流体が熱を受け蒸発し、過熱され
る。本実施例の排熱回収ボイラ設備3100では三つの
圧力レベルを持つ蒸気系統から成り、それぞれから発生
する蒸気が高圧蒸気341,中圧蒸気342,低圧蒸気34
3である。これらの蒸気が持つ熱エネルギにより蒸気タ
ービン設備3300で、それぞれ高圧タービン31,中
圧タービン32,低圧タービン33が駆動され、共通軸
28に接続された発電機35による発電の一翼を担う。
【0057】起動時には、排熱回収ボイラ設備3100
から発生する高圧主蒸気341,中圧主蒸気342,低
圧主蒸気343をそれぞれ高圧バイパス弁334,中圧
バイパス弁335,低圧バイパス弁336を介してバイ
パスさせることにより個々の圧力を所定値に制御すると
共に、高圧加減弁331,中圧加減弁332,低圧加減
弁333を操作することにより高圧タービン31,中圧
タービン32,低圧タービン33の出力上昇がなされ
る。従って、高圧バイパス蒸気344,中圧バイパス蒸
気345,低圧バイパス蒸気346の流量は、それぞれ
のバイパス弁334,335,336の開度を大きくすれば
増加し、加減弁331,332,333の開度を大きく
すると蒸気タービンへの蒸気流入量が増加し、その分減
少する。これらのバイパス弁への開度指令324,32
5,326及び加減弁への開度指令321,322,3
23はいずれも蒸気タービン制御システム360より出
力される。また、プラントの起動中に中圧過熱蒸気1と
高圧タービン排気2の温度偏差が所定値内に入ったとき
中圧止弁337を開操作する。このときの操作信号32
7も蒸気タービン制御システム360より指令される。
また、復水器34からの復水37は、低圧給水ポンプ1
6,中圧給水ポンプ17,高圧給水ポンプ18により、
それぞれ低圧ドラム6,中圧ドラム7,高圧ドラム8の
水位を所定値内に保つように、それぞれ低圧給水3,中
圧給水4,高圧給水5として流量制御される。
【0058】ここで、運転制限要因となるのは、高圧タ
ービン31と中圧タービン32のロータに発生する応力
と、高圧過熱器11と中圧過熱器12の出口にあるヘッ
ダに発生する応力と、排熱回収ボイラ設備3100の煙
道出口15から大気へのNOx排出量である。各応力は、
ガスタービン排ガス27から熱交換器のメタルへの伝
熱,メタルから内部流体への伝熱,内部流体から着目部
メタルへの伝熱という大きな時間遅れを伴う動的過程の
結果として表れる。さらに、ロータについては遠心力,
ヘッダについては蒸気圧力に対応した機械的応力が加算
される。以下、特にことわらない場合は、これらを含め
て単に応力と呼ぶ。また、ボイラからのNOx排出量も
ガスタービン自体のNOx排出特性と煙道中に設置され
た脱硝装置13の温度特性に大きく依存する。また、各
種運転制限要因は運用条件Zi であるプラントの停止期
間TSi,気温TAi,湿度HAi,水温TWiの影響を大きく
うける。即ち、気温や湿度はガスタービンの排ガス温度
並びに排出NOxに影響し、その結果、ボイラや蒸気タ
ービンの応力特性や脱硝装置を通過後に大気排出される
NOx量に影響する。さらに、水温は蒸気タービン排気
の復水性能に影響し、プラント効率の変化によるプラン
ト全体の起動特性の変化となって影響が現れる。このこ
とにより、停止時間の影響と同様に応力、NOxの両特
性に影響を与える。そのため、これらの運転制限要因を
精度よく管理するには、各制御操作の協調性と整合性が
必要となる。よって、既に述べたように、本発明の火力
発電プラント自律適応最適化制御システム1000で
は、これらの動的挙動を監視評価するための運転制限要
因監視手段400と余裕値評価手段500を設けた。
【0059】図3は本発明の適用対象である複合サイク
ル発電プラントの起動過程と起動スケジュールパラメー
タの関係を示す。
【0060】本図に示すように、ガスタービン関係のス
ケジュールパラメータは、昇速率DN,定格速度保持時
間DTNL,初負荷LI ,初負荷保持時間DTLI,第1負
荷上昇率DL1,負荷保持時間DTHL,第2負荷上昇率
DL2,第3負荷上昇率DL3である。これらにより規定さ
れる起動スケジュールを制御目標として、操作端である
燃料調節弁21の開度を調整することによりガスタービ
ンが起動される。また、蒸気タービン関係の操作端は既
に述べたように、高圧バイパス弁(HPBV)334,中
圧バイパス弁(IPBV)335,低圧バイパス弁(LP
BV)336,高圧加減弁(HPCV)331,中圧加
減弁(IPCV)332,低圧加減弁(LPCV)33
3,中圧止弁(ISHV)337があり、スケジュールパ
ラメータとしての高圧バイパス弁操作速度DAHBV ,中
圧バイパス弁操作速度DAIBV ,低圧バイパス弁操作速
度DALBV ,低圧バイパス弁操作待期時間DTLBV ,高
圧加減弁第1操作速度DAHCV1,高圧加減弁第2操作速
度DAHCV2,低圧加減弁操作速度DALCV に従って制御
される。これらのスケジュールパラメータ以外の制御目
標及び操作タイミングは図示の通りである。ここで、蒸
気条件としてのTMSは高圧主蒸気温度、PMSは高圧主蒸
気圧力、PCRP は高圧タービン排気圧力、PISは中圧主
蒸気圧力、PLSは低圧主蒸気圧力、ΔTは中圧過熱器蒸
気温度と高圧タービン排気温度との偏差である。また、
図中、各弁の%表示は開度を示す。次に、図4とこれに
続く図を用いて制御システムの詳細構成と各手段につい
て順を追って説明する。
【0061】図4は、本発明の実施例である複合サイク
ル発電プラントを対象とした火力発電プラント自律適応
最適化制御システムの詳細構成を示す。
【0062】本システムは、中央給電指令所2000か
らの起動指令である起動時刻TRi(iは起動次回を示
し、例えばi=1は初回起動を示す)を受けて作動し、
システム内のスケジュール実行制御手段300により複
合サイクル発電プラント3000が実際に起動される。本シ
ステム1000は、基本スケジュール作成手段100,
スケジュール修正手段150,スケジュール実行制御手
段300,運転制限要因監視手段400,余裕値評価手
段500,スケジュール修正量算出手段600,知識ベ
ース700,修正量格納手段650,適応知識修得手段
800,学習管理手段900,自律性管理手段200よ
り構成されている。以下、各手段について順を追って説
明する。
【0063】図5は、基本スケジュール作成手段100
における基本スケジュール作成方式を示す。ここでは、
中央給電指令所2000からの起動時刻TRiが指令され
ると、まず、前回のプラント停止時刻TSTPiからの経過
時間である停止期間TSiを、
【0064】
【数1】 TSi=TRi−TSTPi …(数1) により求める。次に、テーブル情報として停止期間別に
予め準備された複数のスケジュールの中から、停止期間
Siに対応して該当するスケジュールを選択し、これを
もって基本スケジュールX0iとする。従って、X0iはス
ケジュールを規定する複数のパラメータ値からなるベク
トル量である。
【0065】スケジュール修正手段150では、後述の
ファジィ推論を用いたスケジュール修正量算出手段60
0より得られ、修正量格納手段650に格納されている
修正量ΔXi-1 と、後述の学習管理手段900に記憶さ
れた前回の起動スケジュールXRi-1を用いて新たなスケ
ジュールXi
【0066】
【数2】 Xi=XRi-1+ΔXi-1 …(数2) により作成する。ここで、初回起動時(i=1)には、Δ
0=0,X0=X01である。
【0067】スケジュール実行制御手段300では、後
述の自律性管理手段200により作成される起動スケジ
ュールXRiに従って、複合サイクル発電プラント300
0におけるタービン速度,負荷,蒸気圧力など起動に伴
うプロセス状態の制御を前述の方法で実施する。
【0068】運転制限要因監視手段400では、スケジ
ュール実行制御手段300によりプラントが起動される
過程で、直接計測が困難なプロセス状態である蒸気ター
ビン応力及びボイラ応力については計測可能なプロセス
状態を動特性モデルに入力することにより動的挙動を推
定監視する。また、直接計測が可能なプロセス状態であ
る排熱回収ボイラからの排出NOxについては計測器か
ら得られる信号により監視する。
【0069】図6は運転制限要因監視手段400におけ
る蒸気タービン応力の監視方式を示すもので、運転制限
要因として着目監視すべき個所である高圧タービン及び
中圧タービンのロータ表面とロータボアに発生する応力
に関する動特性モデルとして構成した。即ち、タービン
の入口蒸気条件と速度及び負荷からタービン内部の蒸気
条件(温度,圧力)及びロータ表面の熱伝達率を推定
し、ロータメタル内部の非定常温度分布を求め、ロータ
の表面とボアの熱応力を算出すると共に、遠心応力を加
算して総合応力を求める方式とした。また、排熱回収ボ
イラに発生する応力についても同様の方法で監視する。
即ち、運転制限要因として着目監視すべき個所である高
圧過熱器出口ヘッダと中圧過熱器出口ヘッダの内部熱伝
達率を蒸気条件(温度,圧力)と流量より推定し、蒸気
タービンの場合と同様にメタル内部の非定常温度分布を
求めて、ヘッダメタルの内部及び外面の熱応力を算出す
ると共に、蒸気圧力による応力を加算して総合応力を求
める方式とした。
【0070】次に、運転制限要因監視手段400により
得られた運転制限要因の制限値に対する余裕値を評価す
るための余裕値評価手段500について説明する。
【0071】図7は蒸気タービン応力の制限値に対する
余裕値評価方式を示す。まず、タービン起動開始から起
動完了後の所定時間経過するまでの時間帯(t1〜t6
を複数区間に分割(本例では5分割の場合を示す)し、
第i区間における最小応力余裕値m(i)を求める。ここ
で、応力余裕値mは、制限値をSL ,運転制限要因監視
手段400により得られた値をSとし、次式で定義す
る。
【0072】
【数3】 m=SL−S …(数3) なお、応力値が正の場合は引っ張り応力,負の場合は圧
縮応力を意味する。既に述べたように、実際には応力着
目個所が高圧タービンのロータ表面とボア及び中圧ター
ビンのロータ表面とボアの4個所であるので、求めるべ
き最小応力余裕値は区間毎に四つあり、これらをそれぞ
れ下記とする。
【0073】mHS(i):区間iにおける高圧タービンロ
ータ表面最小応力余裕値 mHB(i):区間iにおける高圧タービンロータボア最小
応力余裕値 mIS(i):区間iにおける中圧タービンロータ表面最小
応力余裕値 mIB(i):区間iにおける中圧タービンロータボア最小
応力余裕値 排熱ボイラ応力の余裕値評価方式も、基本的にはタービ
ン応力の余裕値評価方式と同様である。但し、着目すべ
き個所は高圧過熱器出口と中圧過熱器出口のヘッダ外面
の2個所である。これは、ヘッダの場合、外面に発生す
る応力が内面のそれと比較して大きいためである。従っ
て、求めるべき最小応力余裕値は区間毎に二つあり、そ
れぞれ下記とする。
【0074】mHHD(i):区間iにおける高圧過熱器ヘ
ッダ外面最小応力余裕値 mIHD(i):区間iにおける中圧過熱器ヘッダ外面最小
応力余裕値 図8は排出NOx特性の制限値に対する余裕値評価方式
を示す。本方式もタービン応力の場合と同様に、まず、
ガスタービン起動開始からプラント起動完了後の所定時
間経過するまでの時間帯(t1〜t7)を複数区間に分割
(本例では6分割の場合を示す)し、第i区間における
最小排出NOx瞬時値余裕値mPS(i)と最小排出NOx
平均値余裕値mPA(i)を求める。ここで、排出NOx瞬
時値余裕値mPS及び排出NOx平均値余裕値mPAは、そ
れぞれの制限値をPSL,PAL,計測値をPS,PAとする
と、次式で定義する。
【0075】
【数4】 mPS=PSL−PS …(数4)
【0076】
【数5】 mPA=PAL−PA …(数5) 図9は余裕値評価手段500から得られた評価結果であ
るmHS,mHB,mIS,mIB,mHHD,mIHD,mPS,mPA
を受けて、スケジュール修正量算出手段600における
スケジュール修正量算出方式の全体概要を示す。スケジ
ュール修正量算出手段600では、余裕値評価手段50
0で得られた余裕値の大きさに応じてスケジュールの修
正量ΔXi を算出する。本スケジュール修正量算出手段
600は、さらに蒸気タービン応力調整手段610,ボ
イラ応力調整手段620,排出NOx調整手段630,
優先値決定手段640から構成されている。各調整手段
は、それぞれ低値選択手段611,621,631を有
し、低値選択手段611は余裕値mHS,mHB,mIS,m
IBの中から、低値選択手段621は余裕値mHHD,mIHD
の中から、低値選択手段631は余裕値mPS,mPAの中
から、それぞれ最小余裕値を選択し、これらをそれぞれ
T,mB,mP とする。即ち、mT,mB,mP は次式に
より定義する。
【0077】
【数6】 mT=Min(−mHS,mHB,−mIS,mIB) …(数6)
【0078】
【数7】 mB=Min(mHHD,mIHD) …(数7)
【0079】
【数8】 mP=Min(mPS,mPA) …(数8) 次に、mT,mB,mPを用いてファジィ推論612,6
13,622,623,632,633によりスケジュ
ール修正量ΔXT(i),ΔXB(i),ΔXP(i)が算出さ
れる。ここで、添字のT,B,Pは、それぞれ修正量が
蒸気タービン応力,ボイラ応力,排出NOxの余裕値に
応じて決定されることを示している。
【0080】図10はこのときファジィルールで使用す
るメンバーシップ関数を示す。図10(a)に示すメンバ
ーシップ関数は、タービン応力余裕値mT 及びボイラ応
力余裕値mB から蒸気系のスケジュールを修正すること
により応力を調整するための蒸気タービン主計画STP
S用としての修正係数kS と、ガスタービン系のスケジ
ュールを修正することにより応力を調整するためのガス
タービン広域調整GTGT用としてのスケジュール修正
係数kG を規定したものである。また、図10(b)に示
すメンバーシップ関数は、排出NOx余裕値mP からガ
スタービン系のスケジュールを修正することにより排出
NOxを調整するためのガスタービン主計画GTPS用
としての修正係数kG と、蒸気系のスケジュールを修正
することにより排出NOxを調整するための蒸気タービ
ン局部調整STLT用としてのスケジュール修正係数k
S を規定したものである。さらに、具体的に説明する
と、図10(a)上は、応力評価用としてファジィルール
の条件部で用いるメンバーシップ関数を示し、四つの関
数(NS,ZO,PS,PB)より成り、下は結論部で
用いるスケジュール修正係数決定用メンバーシップ関数
を示し、五つの関数(NB,NS,ZO,PS,PB)
より成る。ここで、各メンバーシップ関数の意味付け
は、NB:Negative Big,NS:Negative Small,Z
O:Zero,PS:Positive Small,PB:Positive Big
である。図10(b)上は、排出NOx評価用としてファ
ジィルールの条件部で用いるメンバーシップ関数を示
し、四つの関数(NS,ZO,PS,PB)より成り、
(b)は結論部で用いるスケジュール修正係数決定用メン
バーシップ関数を示し、五つの関数(NB,NS,Z
O,PS,PB)より成る。ここで、各メンバーシップ
関数の意味付けは、図9(a)の場合と同じである。
【0081】次に、メンバーシップ関数を用いたファジ
ィルールについて説明する。
【0082】図11は、蒸気タービン主計画STPSで
用いるタービン応力調整ルールを示す。ここでは、四つ
の修正用スケジュールパラメータとして高圧バイパス弁
操作速度DAHBV,中圧バイパス弁操作速度DAIBV,高
圧加減弁第1操作速度DAHCV1,高圧加減弁第2操作速度
DAHCV2を、図7で示した五つの着目区間のうち第2,
3,4,5区間におけるタービン応力余裕値mT との関
係で修正するためのファジィルールを示す。即ち、第2
と第3の区間における余裕値mT(2)とmT(3)の関係で
DAHCV1とDAHCV2の修正量を定義したルールテーブル
と、第3と第4の区間における余裕値mT(3)とmT(4)
の関係でDAHCV1とDAHCV2の修正量を定義したルール
テーブルと、第4と第5の区間における余裕値mT(4)
とmT(5)の関係でDAHBV,DAIBV,DAHCV1及びD
HCV2の修正量を定義したルールテーブルから成る。但
し、ルールテーブルの空白部は、各応力余裕値とスケジ
ュールパラメータの因果関係が小さいか殆ど無いことを
意味する。
【0083】図12はガスタービン広域調整GTGTで
用いるタービン応力調整ルールを示す。ここでは、六つ
の修正用スケジュールパラメータとして昇速率DN,初
負荷保持時間DTLI,第1負荷上昇率DL1 ,負荷保持
時間DTHL,第2負荷上昇率DL2,第3負荷上昇率D
3を、図7で示した五つの着目区間におけるタービン
応力余裕値mT との関係で修正するためのファジィルー
ルを示す。即ち、第1と第2の区間における余裕値m
T(1)とmT(2)の関係でDN,DTLI及びDL1 の修正
量を定義したルールテーブルと、第2と第3の区間にお
ける余裕値mT(2)とmT(3)の関係でDTLI,DL1
DTHL及びDL2 の修正量を定義したルールテーブル
と、第3と第4の区間における余裕値mT(3)とmT(4)
の関係でDL1,DTHL,DL2及びDL3の修正量を定義
したルールテーブルと、第4と第5の区間における余裕
値mT(4)とmT(5)の関係でDTHL,DL2及びDL3
修正量を定義したルールテーブルから成る。本ルールテ
ーブルでも空白部は、各応力余裕値とスケジュールパラ
メータの因果関係が小さいか殆ど無いことを意味する。
【0084】以上、図11,図12に示したファジィル
ールはボイラ応力余裕値に基づくSTPS用及びGTG
T用としても共用する。
【0085】図13は、ガスタービン主計画GTPSで
用いる排出NOx調整ルールを示す。ここでは、八つの
修正用スケジュールパラメータとして昇速率DN,定格
速度保持時間DTNL,初負荷LI ,初負荷保持時間DT
LI,第1負荷上昇率DL1 ,負荷保持時間DTHL,第2
負荷上昇率DL2 ,第3負荷上昇率DL3 を、図8で示
した六つの着目区間における排出NOx余裕値mP との
関係で修正するためのファジィルールを示す。
【0086】即ち、第1と第2の区間における余裕値m
P(1)とmP(2)の関係でDN,DTNL,LI 及びDTLI
修正量を定義したルールテーブルと、第2と第3の区間
における余裕値mP(2)とmP(3)の関係で、DTNL,L
I,DTLI 及びDL1 の修正量を定義したルールテーブ
ルと、第3と第4の区間における余裕値mP(3)とm
P(4)の関係でDTLI,DL1,DTHL,DL2及びDL
3 の修正量を定義したルールテーブルと、第4と第5の
区間における余裕値mP(4)とmP(5)の関係でD
1,DTHL,DL2及びDL3 の修正量を定義したルー
ルテーブルから成る。本ルールテーブルでも空白部は、
各応力余裕値とスケジュールパラメータの因果関係が小
さいか殆ど無いことを意味する。
【0087】図14は、蒸気タービン局部調整STLT
で用いる排出NOx調整ルールを示す。ここでは、三つ
の修正用スケジュールパラメータとして高圧バイパス弁
操作速度DAHBV ,中圧バイパス弁操作速度DAIBV
高圧加減弁第1操作速度DAHCV1を、図8で示した六つ
の着目区間のうち第1,2,3区間における排出NOx
余裕値mP との関係で修正するためのファジィルールを
示す。即ち、第1と第2の区間における余裕値mP(1)
とmP(2)の関係でDAHBV,DAIBV及びDAHCV1の修
正量を定義したルールテーブルと、第2と第3の区間に
おける余裕値mP(2)とmP(3)の関係でDAHBV,DA
IBV及びDAHCV1の修正量を定義したルールテーブルか
ら成る。
【0088】以上述べたSTPSはSTLTと比較し
て、より広範囲のスケジュールパラメータを修正対象と
し、GTPSはGTGTと比較して、より緻密な修正を
行い、GTGTはGTPSと比較して、より大局的な修
正を行う働きをする。
【0089】図15はファジィ推論によるスケジュール
修正量算出方式を示す。本図は、一例として、蒸気系ス
ケジュール修正係数kS の算出について示す。この例で
は、或るスケジュールパラメータについて、四つのルー
ルからの結論としてのメンバーシップ関数とメンバーシ
ップ値がそれぞれ(NS,0.6),(ZO,0.8),
(PS,0.4),(PB,0.2)が得られた場合を示
す。総合評価値は、それぞれのメンバーシップ値で定ま
る台形部の重さW(i)と修正係数kS(i)の重心kSG
定義する。即ち、W(1)=0.168,W(2)=0.09
6,W(3)=0.096,W(4)=0.09であり、k
S(1)=−0.2,kS(2)=0,kS(3)=0.15,kS
(4)=0.35 であるから、kSGは次のように算出され
る。
【0090】
【数9】
【0091】従って、この起動スケジュールパラメータ
に対する修正量kSGは0.0273である。この結果を
用いて、次式に従ってスケジュール修正量ΔXTiが算出
される。
【0092】
【数10】 ΔXT=kSG(XMax−XMin) …(数10) ここで、XMax,XMinはXの上,下限値を示す。
【0093】以上述べたような方式によると、STP
S,GTGT,STPS,STLTのファジィ推論によ
り同一スケジュールパラメータに対しても複数の修正量
が算出される。そこで、全ての運転制限要因を確実に制
限値内に抑えるために、図9に示す優先値決定手段64
0で最終的修正量ΔX(i)を決定する。即ち、昇速率,
負荷変化率,弁操作速度に関するパラメータは図中の低
値選択手段LVGにより、安全側の低値が選択される。
また、速度保持時間,負荷保持時間に関するパラメータ
は高値選択手段HVGにより、安全側の高値が選択され
る。
【0094】修正量格納手段650では、スケジュール
修正量算出手段600より得られる修正量ΔX1〜ΔXi
を過去のプラント起動毎に対応させて格納しておく。
【0095】学習管理手段900では、ニューラルネッ
トワークで構成された適応知識修得手段800に対して
プラント起動毎のスケジュールXRk(k=1〜i−1)及
びプラント運用条件であるZk(k=1〜i−1)と、ス
ケジュール修正量ΔXiの累積値である累積修正量ΔX
Qk(k=1〜i−1)との対応関係を学習サンプルとして
順次提示し、学習させる。但し、プラントが起動実績を
積むにつれ学習サンプルが際限なく増加することを防止
するために、古いサンプルは除外し新しいものからr個
のサンプル(例えば、r=15)のみを学習用として格
納しておくことは当然の方策であり、以降の記述も断り
のない限りこの方策を採る。
【0096】図16は、ニューラルネットワークに提示
する学習サンプルを示す。ここでn回目まで起動が完了
しているとすると、教師データとしての累積修正量ΔX
Qiは次式で定義された値である。
【0097】
【数11】
【0098】即ち、ΔXQiは、起動が繰り返される度に
得られる新たな修正量を累積修正量算出手段910に
て、数11に従って累積計算されることにより得られ
る。また、この累積修正量ΔXQiは累積修正量格納手段
920に格納される。
【0099】本学習管理手段900は、ニューラルネッ
トワークの入力層にXRk(k=1〜i−1)とZk(k=
1〜i−1)を入力したときに出力層からの出力値ΔX
OUTk(k=1〜i−1)が累積修正量ΔXQk(k=1〜i
−1)に一致するようにニューラルネットワーク内の接
続状態を決定する働きをする。
【0100】次に、ニューラルネットワークとその学習
方式について説明する。
【0101】このニューラルネットワークは、入力層,
中間層,出力層の3層構造からなるもので、この基本構
造に関しては、ザ エム アイ ティー プレス,ニュ
ーロコンピューティング ファンデーションズ オブ
リサーチ,1988年,第318頁から362頁(The M
IT Press, Neurocomputing Foundations of research,
1988, pp318−362)に詳しく述べられている。また、本
論文では、或る入力信号パターンが入力層に与えられた
とき、出力信号パターンが所望する信号パターン、即ち
教師データと一致するように、両者の誤差に応じて中間
層及び出力層の各ユニットへの入力部の接続強度を修正
する学習アルゴリズム(バックプロパゲーションと称し
ている)が示されている。本発明の実施例でも、ニュー
ラルネットワークの構造及び学習アルゴリズムそのもの
は論文に示されたものを用いる。
【0102】図17はニューラルネットワークの構造と
入出変数の関係を示す。入力変数は起動スケジュールパ
ラメータXINと運用条件Zである。XINは、学習時には
過去の起動スケジュールを格納してあるスケジュール格
納手段950より読み出した学習サンプルXRk(k=1
〜i−1)が、起動スケジュール作成時にはスケジュー
ルパラメータXi が入力される。また、Zは、学習時に
は過去の運用条件を格納してある運用条件格納手段94
0より読み出した学習サンプルZk(k=1〜i−1)
が、起動スケジュール作成時にはZiが入力される。ニ
ューラルネットワークにXiとZiが入力されたとき、学
習により決定されている内部の接続強度により定まるΔ
OUTi が出力変数として出力される。学習時には、X
RkとZkが入力されたときΔXOUTk(k=1〜i−1)が
出力される、ΔXOUTk(k=1〜i−1)がΔXQk(k=
1〜i−1)に一致するように、ニューラルネットワー
クの内部接続強度の修正により学習がなされる。
【0103】次に、自律性管理手段200について具体
的に説明する。自律性管理手段200では、実際の起動ス
ケジュールXRiを決定する際に、起動を繰り返すにつれ
てファジイ推論からの結論ΔXi よりもニューラルネッ
トワークからの結論ΔXOUTiに依存する度合を強めてゆ
く働きをする。即ち、ファジィ推論によるスケジュール
修正量算出手段600から得られる修正量ΔXi により
作成されるスケジュールと適応知識修得手段800から
得られる修正量ΔXOUTiにより作成されるスケジュール
の採用比率である自律係数λを可変とし、起動を繰り返
すにつれて後者の比率を拡大させることにより運用条件
の変化に対する適応能力と自律性を高める働きをする。
この自律係数λは自律係数発生手段210にて決定され
る。従って、次式で定義される起動スケジュールXRi
実際の起動に採用される。
【0104】
【数12】 XRi=λ(Xi+ΔXOUTi)+(1−λ)Xi …(数12) ここで、自律係数λは、0≦λ≦1とすると、λ=0の
とき、XRi=Xi であり、λ=1のとき、
【0105】
【数13】 XRi=Xi+ΔXOUTi …(数13) となる。
【0106】即ち、前者はファジイ推論からの結論のみ
が採用され、ニューラルネットワークからの出力が利用
されていない起動スケジュールである。後者は基本スケ
ジュールをニューラルネットワークからの出力で補正し
ているため、前述のように運用条件の変化に対する適応
能力を100%活用した起動スケジュールである。従っ
て、λの値が大きくなるにつれ、本制御システムは自律
性が高くなる。しかし、ニューラルネットワークが十分
な起動経験を積む前に(学習による十分な適応能力をつ
ける前に)この自律係数λを大きくすると、作成される
起動スケジュールの最適性や高い信頼性は期待できなく
なる。従って、この自律係数λを如何に選ぶかが重要と
なる。本実施例における自律性管理手段200では、下
記の方式を適用する。
【0107】図18は自律性管理手段200における自
律係数λを決定するための自律管理方式を示す。本実施
例では、本図に示すように自律係数λの決め方により3
方式の適用を可能としている。第1の方式は、(a)に
示す飛躍成長型自律性管理方式であり、起動回数iが所
定値iA に達するまではλ=0とし、ニューラルネット
ワークはただひたすら学習し、適応能力を高めておき、
i≧iA でλ=1とすることで、一気に自律性を上げる
方式である。第2の方式は、(b)に示す線形連続成長
型自律性管理方式であり、i<iB ではλ=0とし、ニ
ューラルネットワークは学習によりある程度適応能力を
高めておき、iB≦i≦iCでは適応能力を高めながら徐
々に一定速度で自律性を上げてゆき、i≧iC でλ=1
とする方式である。第3の方式は、(c)に示す非線形
連続成長型自律性管理方式であり、λをファジィ推論に
よるスケジュール修正量算出手段600から得られる修
正量ΔXiの関数とする方式である。本方式は修正量Δ
iの減少に応じてλを上げてゆく方式である。λを定
義する関数は具体的には、次式とする。
【0108】
【数14】 λ=1−‖ΔXi‖/‖ΔX1‖ …(数14) または、次式としても同様の機能を果たすことができ
る。
【0109】
【数15】 λ=1−MAX(|ΔXi|/(XMAX−XMIN))/MAX(|ΔX1|/(XMAX−XMIN)) …(数15) 更に、第3の方式として、次式を用いても同様の機能を
果たすことができる。
【0110】
【数16】 λ=1−‖ΔXi/(XMAX−XMIN)‖/MAX‖ΔXi/(XMAX−XMIN)‖ …(数16) 上式で、MAX‖ΔXi/(XMAX−XMIN)‖は歴代の‖Δ
i/(XMAX−XMIN)‖のうち最大のものを示す。これ
は、数14と比較し、適応能力に見合った、より確実な
自律性管理が可能となる。更に、数16に示した方式と
第2の方式を組み合わせる方式も可能である。
【0111】また、全ての方式で、λの変更幅を制限す
る方式とすることにより安定な自律性管理が可能とな
る。例えば、次式による方法がある。
【0112】
【数17】 ΔλLL<λi−λi-1<ΔλUL …(数17) ここで、λiは今回値候補(即ち、数14,数15,数1
6で算出される値)、λi-1は前回値、ΔλULは上限値
(例えば、0.2)、ΔλLLは下限値(例えば、−0.1
)である。
【0113】さらに、自律性管理を安定化させるために
λ値を次式による加重平均値を使用する方法を採用して
もよい。
【0114】
【数18】 λ=kSλi+(1−kS)λi-1 …(数18) ここで、kSは安定化定数(例えば、0.5)である。
【0115】図19は本発明の自律適応最適化制御シス
テムによる最適値収束性の改善効果を示す。(a)は、
自律制御によらない場合、即ちファジィ推論のみにより
起動スケジュールの最適化を図る場合であり、(b)
は、自律適応制御による場合、即ちファジィ推論とニュ
ーラルネットワークを組み合わせることによりシステム
に適応能力を持たせ、起動スケジュールの最適化を図る
場合である。いずれも、プラントが起動を繰り返すにつ
れて初期のスケジュールから最適値に向けて収束してゆ
く様子を示すものである。しかし、(a)の場合は、前
述のように運用条件の変化に対する適応能力がないた
め、非収束領域が存在し、収束限界以上の収束性は期待
できない。一方、(b)の場合は、ニューラルネットワ
ークが運用条件と起動スケジュールの因果性も含めてス
ケジュール修正方法を修得するという適応能力があるた
め、限り無く最適値に収束することができる。このこと
を、別の角度から評価すると次のようになる。
【0116】図20は本発明の自律適応最適化制御シス
テムによるプラントの起動特性の改善効果を示すもの
で、自律適応最適化制御によらない場合と対比して示
す。上記のように、自律適応最適化制御によらない場合
は非収束領域が存在するため、作成される起動スケジュ
ールは幅を持つことになる。そのため、運転制限要因で
ある応力や排出NOxも幅を持つことになる。従って、
全てで制限条件を満足するには、作成されるスケジュー
ルは予め十分なマージンを持たせることが必要で、その
分、起動時間が長くなってしまう。これに対して、自律
適応最適化制御による場合は、前述のように運用条件の
変化にも柔軟に適応できるため、常に最適なスケジュー
ルを作成できる。従って、運転制限条件に対しても精度
良く満足できる起動スケジュールにより、必要最短時間
の起動が可能となる。
【0117】以上述べた本発明の実施例では、複合サイ
クル発電プラントを対象として具体的に説明したが、本
発明はその他のプラント、例えば、ボイラ,蒸気タービ
ン,発電機から成る通常の発電プラントや、石炭ガス化
発電プラント,常圧あるいは加圧流動層ボイラ発電プラ
ントにも適用可能なことは勿論である。また、使用燃料
としても,石炭,石油,LNGなどを限定しないことも
明らかである。
【0118】また、本発明の実施例では、蒸気タービン
及び排熱回収ボイラヘッダの応力と排出NOxを運転制
限要因として扱ったが、適用プラントの特質に応じて、
他の要因、例えば、蒸気タービンのロータとケーシング
の伸び差,排熱回収ボイラのドラム等他部所の応力,排
出SOxやCO等を考慮した方式とすることも可能であ
る。また、応力を必ずしも動特性モデルとして推定しな
くても、蒸気温度やメタル温度の変化率や変化幅などの
間接的な制限値管理とすることも本発明の本質を変える
ことなく実施できることは明らかである。
【0119】また、本発明の実施例では、運用条件とし
てプラントの停止期間,気温,湿度,水温を採用した
が、その外に気圧,風速,日射量,機器の温度,圧力な
どプラント起動特性の種々の状態量を追加することも本
発明の本質を基本原理を変えることなく実施できる。さ
らに、起動毎に運転制限条件を変更しながらプラントを
運用する場合は、この運転制限条件も運用条件の一部と
して扱うことも本発明の基本原理を変えることなく実施
できる。
【0120】さらに、本発明の実施例では、修正の対象
とする起動スケジュールパラメータをガスタービン関係
で8個,蒸気タービン関係で4個としたが、必ずしもこ
れらに限定する必要はなく、図3に示した他のパラメー
タ,加減弁の開操作タイミング条件や蒸気圧力制御用設
定値など、プラント起動パターンを規定するパラメータ
であれば本発明は基本原理を変えることなく実施できる
ことは明らかである。なお、本発明の実施例では、中央
給電指令所から指令される起動開始時刻を正確に守り、
かつ最短時間の起動スケジュールを作成できるが、中央
給電指令所から指令される起動完了時刻の代わりに、ガ
スタービン点火時刻,負荷併入時刻,目標負荷到達時刻
などであっても、基準時刻をシフトするのみで本発明の
原理を変えることなく実施できることは明らかである。
【0121】
【発明の効果】本発明の第1の効果は、火力発電プラン
トの起動制御システムで、従来方式では不可能であった
機器寿命や排出NOxなど機器保護基準や環境規制値な
ど複数の運転制限条件を同時に満足しながら起動時間を
最短化する起動スケジュールの自動作成と実行を可能と
することにある。これにより、運転員の負担が大幅に軽
減されると共に、起動時間の短縮に伴うエネルギー損失
も低減できるためプラント運用コストを大幅に低減する
ことが可能となる。
【0122】本発明の第2の効果は、火力発電プラント
の起動制御システムで、機器寿命や排出NOxなど機器
保護基準や環境規制値など複数の運転制限条件を同時に
満足しながら、中央給電指令所から指定される時刻通り
に起動を完了できることにある。これにより、電力需要
の変動に伴いプラントの頻繁な起動停止が必要となる電
力系統への安定かつ正確な電力供給が可能となる。
【0123】本発明の第3の効果は、火力発電プラント
の起動制御システムで、中央給電指令所より運転制限値
が変更されたり、起動指令時刻が変更された場合にも、
起動スケジュールの再作成とこれの実行が可能なことで
ある。これにより、柔軟かつ安全なプラント運用及び電
力系統運用が可能となる。
【0124】本発明の第4の効果は、火力発電プラント
の起動制御システムで、運用条件の変動に対する適応能
力を有するため、プラントの起動特性予測のための大規
模複雑な動特性モデルを構築し、起動制御システムに内
蔵する必要がないことである。このため、システムの設
計,構築の時間を大幅に削減でき、計算機負荷の低減と
起動スケジュール作成の高速化が可能となる。
【0125】本発明の第5の効果は、火力発電プラント
の起動制御システムで、ファジィ推論とニューラルネッ
トワークの特徴を活かして、運用条件の変動に対する適
応能力を有する起動スケジュール最適化機能を実現した
ことにより、ファジィ推論で使用する知識ベースの簡素
化が可能なことである。これにより、知識ベース構築に
要する時間を大幅に削減することが可能となる。
【0126】本発明の第6の効果は、火力発電プラント
の起動制御システムでプラントの起動を繰り返す過程
で、きめこまかな自律性管理が可能なことである。これ
により、日々変化する運用条件に対する適応能力を滑ら
か、かつ確実に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の火力発電プラント自律適応最適化制御
システムのブロック図。
【図2】本発明の複合サイクル発電プラントの機器構成
と起動スケジュール実行制御との関係を示す系統図。
【図3】本発明の複合サイクル発電プラントの起動過程
と起動スケジュールパラメータの関係を示す説明図。
【図4】本発明の実施例である複合サイクル発電プラン
トを対象とした火力発電プラント自律適応最適化制御シ
ステムのブロック図。
【図5】本発明の実施例における基本スケジュール作成
方式を示す説明図。
【図6】本発明の実施例である複合サイクル発電プラン
トの運転制限要因としての蒸気タービン応力の監視方式
を示すブロック図。
【図7】本発明の実施例である複合サイクル発電プラン
トの運転制限要因としての蒸気タービン応力の余裕値評
価方式を示す説明図。
【図8】本発明の実施例である複合サイクル発電プラン
トの運転制限要因としての排出NOxの余裕値評価方式
を示す特性図。
【図9】本発明の実施例における全運転制限要因を考慮
したスケジュール修正量算出方式のブロック図。
【図10】本発明の実施例におけるファジィルールで使
用するメンバーシップ関数を示す説明図。
【図11】本発明の実施例におけるスケジュール修正量
算出手段にて蒸気タービン主計画(STPS)用として
使用する蒸気タービン応力調整ルールを示す説明図。
【図12】本発明の実施例におけるスケジュール修正量
算出手段にてガスタービン広域調整(GTGT)用とし
て使用する蒸気タービン応力調整ルールを示す説明図。
【図13】本発明の実施例におけるスケジュール修正量
算出手段にてガスタービン主計画(GTPS)用として
使用する排出NOx調整ルールを示す説明図。
【図14】本発明の実施例におけるスケジュール修正量
算出手段にて蒸気タービン局部調整(STLT)用とし
て使用する排出NOx調整ルールを示す説明図。
【図15】本発明の実施例におけるファジィ推論による
スケジュール修正量算出方式を示す説明図。
【図16】本発明の実施例におけるニューラルネットワ
ークへの学習サンプルを示す説明図。
【図17】本発明の実施例におけるニューラルネットワ
ークの構造と入出力変数の定義を示す説明図。
【図18】本発明の実施例における自律性管理方式を示
す特性図。
【図19】本発明の自律適応最適化制御システムによる
最適値収束性の改善効果を示す説明図。
【図20】本発明の自律適応最適化制御システムによる
複合サイクル発電プラントの起動特性の改善効果を示す
特性図。
【符号の説明】
100…基本スケジュール作成手段、150…スケジュ
ール修正手段、200…自律性管理手段、300…スケ
ジュール実行制御手段、400…運転制限要因監視手
段、500…余裕値評価手段、600…スケジュール修
正量算出手段、650…修正量格納手段、700…知識
ベース、800…適応知識修得手段、900…学習管理
手段、1000…火力発電プラント自律適応最適化制御
システム、2000…中央給電指令所。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // G06F 9/44 554 7737−5B G06F 9/44 554L (72)発明者 秋山 孝生 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蒸気を発生させるためのボイラと、前記ボ
    イラにより発生された蒸気により駆動される蒸気タービ
    ンとを有する火力発電プラントの制御システムにおい
    て、 前記ボイラの点火から起動完了までの起動スケジュール
    を、前記火力発電プラントの起動前における温度状態に
    基づいて作成する基本スケジュール作成手段と、 前記火力発電プラントの起動過程における所定の運転制
    限要因を監視する運転制限要因監視手段と、前記運転制
    限要因監視手段により求められた運転制限要因の運転制
    限条件に対する余裕値を評価する余裕値評価手段と、前
    記余裕値評価手段により得られた余裕値の大きさに対応
    した前記起動スケジュールのスケジュール修正量を規定
    する複数のファジィルールを記憶する知識ベースと、前
    記知識ベースに記憶されたファジィルールを用いて前記
    スケジュール修正量をファジィ推論により算出するスケ
    ジュール修正量算出手段と、前記火力発電プラントの過
    去の起動スケジュールと運用条件とをニューラルネット
    ワークに入力値として与えたとき、出力値として前記ス
    ケジュール修正量算出手段より求められたスケジュール
    修正量が得られるように、前記入出力対応関係を記憶す
    る適応知識修得手段と、前記適応知識修得手段における
    ニューラルネットワークの内部接続状態を決定すること
    により前記入出力対応関係を学習する学習管理手段と、
    前記スケジュール修正量算出手段より求められたスケジ
    ュール修正量に基づいて作成された第1の起動スケジュ
    ールと、前記適応知識修得手段により得られたスケジュ
    ール修正量に基づいて作成された第2の起動スケジュー
    ルとを用いて実際の起動スケジュールを作成すると共
    に、前記実際の起動スケジュールを作成する際の前記第
    1及び第2の起動スケジュールの採用比率を規定する自
    律係数λを、起動を繰り返すにつれて大きくすることに
    よって前記第2の起動スケジュールの採用比率を拡大さ
    せる自律性管理手段と、前記自律性管理手段によって作
    成された起動スケジュールに従って前記火力発電プラン
    トを起動制御するスケジュール実行制御手段とを具備し
    たことを特徴とする火力発電プラントの自律適応最適化
    制御システム。
  2. 【請求項2】ガスタービンと、前記ガスタービンの排ガ
    スを用いて蒸気を発生させるための排熱回収ボイラと、
    前記排熱回収ボイラで発生した蒸気により駆動される蒸
    気タービンとを有する火力発電プラントの制御システム
    において、 前記ガスタービンの点火から起動完了までの起動スケジ
    ュールを、前記火力発電プラントの起動前における温度
    状態に基づいて作成する基本スケジュール作成手段と、
    前記火力発電プラントの起動過程における所定の運転制
    限要因を監視する運転制限要因監視手段と、前記運転制
    限要因監視手段により求められた運転制限要因の運転制
    限条件に対する余裕値を評価する余裕値評価手段と、前
    記余裕値評価手段により得られた余裕値の大きさに対応
    した前記起動スケジュールのスケジュール修正量を規定
    する複数のファジィルールを記憶する知識ベースと、前
    記知識ベースに記憶されたファジィルールを用いて前記
    スケジュール修正量をファジィ推論により算出するスケ
    ジュール修正量算出手段と、前記火力発電プラントの過
    去の起動スケジュールと運用条件とをニューラルネット
    ワークに入力値として与えたとき、出力値として前記ス
    ケジュール修正量算出手段より求められたスケジュール
    修正量が得られるように、前記入出力対応関係を記憶す
    る適応知識修得手段と、前記適応知識修得手段における
    ニューラルネットワークの内部接続状態を決定すること
    により前記入出力対応関係を学習する学習管理手段と、
    前記スケジュール修正量算出手段より求められたスケジ
    ュール修正量に基づいて作成された第1の起動スケジュ
    ールと、前記適応知識修得手段により得られたスケジュ
    ール修正量に基づいて作成された第2の起動スケジュー
    ルとを用いて実際の起動スケジュールを作成すると共
    に、前記実際の起動スケジュールを作成する際の前記第
    1及び第2の起動スケジュールの採用比率を規定する自
    律係数λを、起動を繰り返すにつれて大きくすることに
    よって前記第2の起動スケジュールの採用比率を拡大さ
    せる自律性管理手段と、前記自律性管理手段によって作
    成された起動スケジュールに従って前記火力発電プラン
    トを起動制御するスケジュール実行制御手段とを具備し
    たことを特徴とする火力発電プラントの自律適応最適化
    制御システム。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記起動スケ
    ジュールは、前記ガスタービンの起動スケジュールと前
    記蒸気タービンの起動スケジュールとからなり、かつ前
    記ガスタービンの起動スケジュールは、前記起動スケジ
    ュールを規定する所定のパラメータにより構成され、前
    記所定のパラメータは、昇速率,定格速度保持時間,初
    負荷,初負荷保持時間,負荷上昇率,負荷保持時間のう
    ち少なくとも一つであり、前記蒸気タービンの起動スケ
    ジュールは、前記起動スケジュールを規定する所定のパ
    ラメータにより構成され、前記所定のパラメータは、高
    圧タービンバイパス弁操作速度,中圧タービンバイパス
    弁操作速度,低圧タービンバイパス弁操作速度,高圧加
    減弁操作速度,中圧加減弁操作速度,低圧加減弁操作速
    度のうち少なくとも一つである火力発電プラント自律適
    応最適化制御システム。
  4. 【請求項4】請求項1及び2において、前記自律性管理
    手段は、前記スケジュール修正量算出手段から得られる
    修正量により定まる起動スケジュールX1 を第1の起動
    スケジュールとし、X1 を前記ニューラルネットワーク
    に前記運用条件と共に入力したとき出力部から得られる
    前記修正量ΔXOUTとX1を加算して得られる起動スケジ
    ュールX2 を第2の起動スケジュールとしたとき、前記
    第1の起動スケジュールX1 に前記自律係数の補数(1
    −λ)を掛けて得られた値(1−λ)X1と前記第2の起
    動スケジュールX2に前記自律係数λを掛けて得られた
    値λX2を加算して得られた起動スケジュールXR をも
    って実際の起動スケジュールとして採用し、前記スケジ
    ュール実行制御手段に転送する火力発電プラント自律適
    応最適化制御システム。
  5. 【請求項5】請求項1または2において、前記自律性管
    理手段は、前記自律係数λを可変とするための自律係数
    発生手段を有し、初回起動時はλ=0とし、起動回数i
    もしくは前記スケジュール修正量算出手段により得られ
    る前記スケジュール修正量に対応して、起動回数を重ね
    るにつれて0≦λ≦1の範囲でλを大きくしていく火力
    発電プラント自律適応最適化制御システム。
  6. 【請求項6】請求項4または5において、前記自律係数
    λは前記スケジュール修正量が小さくなるにつれ大きく
    する自律性管理手段。
  7. 【請求項7】請求項4,5または6において、前記自律
    係数λとして今回の起動時に使用する値は、前回の起動
    時に使用された値に対して変化幅を制限する自律性管理
    手段。
  8. 【請求項8】請求項4,5,6または7において、前記
    自律係数λとして今回の起動時に使用する値は、今回値
    の候補として算出された値と前回の起動時に使用された
    値との荷重平均とする自律性管理手段。
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JP7112832A Pending JPH08303211A (ja) 1995-05-11 1995-05-11 火力発電プラント自律適応最適化制御システム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014181569A (ja) * 2013-03-18 2014-09-29 Hitachi Ltd 蒸気タービン起動制御システム

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