JPH08301619A - コバルト酸リチウムの製造法 - Google Patents

コバルト酸リチウムの製造法

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JPH08301619A
JPH08301619A JP7111449A JP11144995A JPH08301619A JP H08301619 A JPH08301619 A JP H08301619A JP 7111449 A JP7111449 A JP 7111449A JP 11144995 A JP11144995 A JP 11144995A JP H08301619 A JPH08301619 A JP H08301619A
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heat treatment
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heating
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彰 橋本
Junjiro Awano
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Teruyuki Nishiura
照行 西浦
Shigeru Hanaoka
茂 花岡
Yasuhiko Shiyouji
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リチウム2次電池用正極活物質等に用いられ
る放電特性に優れたコバルト酸リチウムを得ることがで
きる製造法を提供する。 【構成】 第1の熱処理工程が外部から加熱され内面に
連続するら旋状の溝を有した回転するロータリー円筒
に、リチウム化合物とコバルト化合物の混合物を連続的
に供給し、ロータリー円筒の回転数、回転方向を任意に
制御して、混合物を酸素雰囲気下で800℃までの温度
で概ね合成反応が完了するまで加熱するものであり、第
2の熱処理工程が合成反応物をバッチ炉またはコンベア
炉で850〜950℃の温度で制御しながら加熱するも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電池、例えばリチウム
2次電池の正極活物質等に用いるコバルト酸リチウムの
製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、コバルト酸リチウムは、特開平
5−182667号公報に記載されているように、コバ
ルト化合物とリチウム化合物とを混合し、加熱すること
により合成できることは知られている。その合成に用い
る装置としては、特開平5−62678号公報に記載さ
れているような、ルツボを用いた静置式の製造装置が一
般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】コバルト酸リチウムの
合成方法において、リチウム化合物として炭酸リチウム
や硝酸リチウムを用い、コバルト化合物として酸化コバ
ルトや炭酸コバルトを用いた場合、それらの合成反応を
進めるには酸素もしくは空気中の酸素が必要となる。ル
ツボのような容器内にリチウム化合物とコバルト化合物
の混合物を充填し、この容器を加熱炉中で静置した状態
で合成反応を行なわせるには、混合物中への酸素もしく
は空気の供給が十分になるように充填量を少なくする必
要があり、合成物を大量に得るには大がかりな合成炉が
必要であった。また容器内の混合物充填層の中でも酸素
もしくは空気雰囲気に近い混合物と遠い混合物との間で
は合成状態に違いが生じ、品質的に好ましくない結果と
なっていた。
【0004】本発明は、リチウム化合物とコバルト化合
物の反応を十分かつ円滑に進めるため、それらの混合物
に酸素を十分に供給し、品質的にも優れ、小規模な合成
設備でも大量のコバルト酸リチウムが得られる製造法を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の製造法はリチウム化合物とコバルト化合物
を加熱することによってコバルト酸リチウムを合成する
際の加熱工程が、外部から加熱され内面に連続するら旋
状の溝または突条を有した回転するロータリー円筒を用
いて、この円筒の一端から内部に供給されるリチウム化
合物とコバルト化合物の混合物を円筒内で順次移動さ
せ、かつ酸素または空気を導入しながら合成反応が概ね
完了するまで600〜800℃で所定時間加熱する第1
の熱処理工程と、その後前記第1の熱処理物を850〜
950℃の温度で所定時間加熱する第2の熱処理工程と
からなることを特徴とする。
【0006】また、第1の熱処理工程ではロータリー円
筒の回転方向を定期的に正逆に切り替えるように制御し
ながら前記混合物を加熱処理するものである。
【0007】さらに好ましくは、リチウム化合物とコバ
ルト化合物を混合し加熱することによってコバルト酸リ
チウムを合成する製造法において、加熱工程が、外部か
ら加熱され内面に連続するら旋状の溝または突条を有
し、正転、逆転を順次くり返すロータリー円筒を用いて
円筒の一端から内部に供給されるリチウム化合物とコバ
ルト化合物の混合物を円筒内で順次移動させながら60
0〜800℃までの温度で、酸素または空気を導入しつ
つ合成反応が概ね完了するまで4〜10時間加熱する第
1の熱処理工程と、この第1の熱処理物をバッチ炉また
はコンベア炉内に導入し、850〜950℃の温度で2
〜10時間加熱する第2の熱処理工程とからなるもので
ある。
【0008】
【作用】この製造法によれば、リチウム化合物とコバル
ト化合物の混合物はロータリー円筒の一端からその内部
に供給され、ロータリー円筒の回転により混合物は連続
するら旋状の溝または突条に沿って一端の方向に移動す
る。ロータリー円筒の回転数、回転方向は任意に制御で
き、回転方向が一方(正転)の時混合物はもう一端の方
向に移動し、回転方向が反対(逆転)の時は混合物は供
給口に戻ってくる。ここでの正転の回転時間の方が逆転
の回転時間より長いように設定することにより混合物は
もう一端の方向に順次移動する。この過程で混合物は酸
素または空気中の酸素と接触し、同時にロータリー円筒
の壁面からの熱により徐々に加熱され合成反応を進め
る。最高温度が800℃までの温度で、概ね合成反応が
完了するまで加熱されロータリー円筒のもう一端から連
続的に排出される。この工程が第1の熱処理工程であ
り、この第1の熱処理工程から取り出された反応物はそ
の後容器に移し換え、バッチ炉またはコンベア炉で85
0〜950℃の温度で制御しながら加熱することによっ
て反応物が望ましい結晶形態粒子径に整粒される。これ
が第2の熱処理工程である。
【0009】コバルト化合物とリチウム化合物の混合物
の合成反応を十分かつ円滑に進め、望ましい特性を有す
るコバルト酸リチウムを合成するには、(1)反応時点
で酸素または空気中の酸素が混合物に十分供給され続け
ること。(2)合成反応の初期(第1熱処理の初期)に
おける混合物の昇温パターンが望ましいカーブの範囲に
入ること。(3)第1、第2の熱処理工程での最高温度
及びその温度での加熱キープ時間が所定の範囲で守られ
ること。の3点が重要である。
【0010】本発明のコバルト酸リチウムの製造方法で
は第1の熱処理工程において、回転するロータリー円筒
中に混合物を供給し、円筒の回転により混合物を常に動
かし、酸素または空気中の酸素を常に供給しながら加熱
してゆくため、上記(1)の要件が満たされる。
【0011】さらに本発明では回転するロータリー円筒
の内面に連続するら旋状の溝または突条を有しており、
この溝内または突条に沿って混合物が順次移動する構成
であるので、円筒内への供給時間が異なる混合物がロー
タリー円筒内で混ざることのない構造となっている。連
続する溝内または突条に沿っての混合物の移動速度は、
ロータリー円筒の回転数によって決まるが、回転数を速
くする方が混合物への酸素または空気中の酸素の接触は
良くなる。また混合物塊の表面層と中央部分の温度差も
回転数が速いほど小さくなる。ところが回転数が速いと
混合物は速くロータリー円筒中を移動するため、所定の
加熱キープ時間を得るためには連続するら旋状の溝また
は突条のピッチを小さくするか、全長の長いロータリー
円筒が必要になる。
【0012】本発明ではロータリー円筒の回転数ととも
にその回転方向も任意に制御できるような構成であり、
回転方向が正転の時混合物は供給口とは反対側(排出
口)に移動し、回転方向が逆転の時は混合物は供給口側
に戻ってくる。この円筒の正転の時間の方が逆転の時間
より長いように設定することにより、混合物は全体とし
て排出口の方向に順次移動するが、この時間差を変える
ことによって円筒の昇温カーブ、加熱キープ時間を任意
に制御することができる。すなわち(2)の要件と
(3)の要件のうち、第1の熱処理に関連する部分が満
たされる。また第1の熱処理を経た反応物を容器に移し
バッチ炉またはコンベア炉で温度制御しながら第1の熱
処理温度よりも高い温度で熱処理する第2熱処理工程を
経ることにより(3)の要件も満たされる。
【0013】
【実施例】以下、図面とともに本発明の実施例を説明す
る。
【0014】図1は、コバルト酸リチウムを合成するた
めの第1の熱処理に用いる炉を示し、1は炉本体、2は
加熱ヒーターを示す。加熱ヒーターはいくつかのゾーン
に区切られそれぞれ単独で温度を調整できるように制御
されている。3はこのヒーターにより外側から加熱され
内面に連続するら旋状の溝を有した回転するロータリー
円筒を示す。4は送気配管であり、その一端が5のエア
ーポンプもしくは酸素供給機に接続され、他端が円筒3
内に空気または酸素を供給する。図1に示すようにロー
タリー円筒内に酸素または空気中の酸素を導入しなが
ら、リチウム化合物とコバルト化合物の混合物は、6に
示すロータリー円筒の一端(供給口)から内部に供給さ
れ、連続する溝内に供給される。そしてロータリー円筒
の回転により混合物は、連続する溝内を他端(排出口)
7の方向に順次移動する。ロータリー円筒の回転数、回
転方向は任意に制御でき、回転方向が正転の時混合物は
他端の方向に移動し、回転方向が逆転の時は混合物は供
給口に戻る。ここで正転の時間の方が逆転の時間よりも
長いように設定することにより、混合物は全体的に他端
7の方向に移動し、円筒外へ連続的に排出される。この
ようにロータリー円筒内の連続した溝内に供給された混
合物は、酸素または空気中の酸素と接触し、同時にロー
タリー壁面からの熱により徐々に加熱され合成反応を進
める。ロータリー炉の回転数、正転,逆転の時間、ヒー
ターの設定温度を調整し、混合物は最高温度が800℃
までの温度で、概ね合成反応が完了するまで4〜10時
間、ここでは5時間加熱され、ロータリー円筒の他端7
から連続的に排出される。この排出された反応物は第2
の熱処理工程に進む。
【0015】図2に第2の熱処理工程に用いるコンベア
炉を示す。第1の熱処理を終えた反応物は、8で示すセ
ラミックもしくは金属製の容器に移し換えられコンベア
炉9に導入される。ここで反応物は850〜950℃の
温度で制御しながら2〜10時間の間の一定時間加熱さ
れ望ましい粒子径に整粒される。この第2の熱処理工程
を経てコバルト酸リチウムが完成する。第2の熱処理工
程に用いる炉はコンベア炉の他バッチ炉であってもよ
い。
【0016】(表1)に合成の条件を変更して試験した
結果を示す。各熱処理工程の時間は5時間一定とし、温
度条件のみを変化させたものであって、第1の熱処理工
程では空気を導入している。評価は試験合成したコバル
ト酸リチウムを正極とし、対極をリチウム金属とした試
験セルを作製し、初期の放電特性の比較を実施した。表
中の数値は放電容量でmAh/gで示してある。(表
1)からわかるように好ましい第1の熱処理温度は65
0〜800℃の範囲であり、第2の熱処理温度が850
〜950℃の場合には放電容量が150mAh/g以上
となっている。
【0017】
【表1】
【0018】比較のため、リチウム化合物とコバルト化
合物を混合し、アルミナ製のルツボに入れ、バッチ炉を
もちいて加熱昇温し一定温度で熱処理したものの評価を
実施した。熱処理時の最高温度でのキープ時間は5時間
として実験を行った。
【0019】ここで最高温度を600〜1000℃まで
の間で変化させる実験を実施し評価したが、いずれも実
施例と同様の評価法では100mAh/g以上のものは
得られなかった。
【0020】
【発明の効果】以上のように、本発明で得られるコバル
ト酸リチウムは、リチウム2次電池の正極活物質として
十分な放電容量を得ることができ、優れたリチウム2次
電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の熱処理を施す炉の説明図
【図2】本発明の第2の熱処理を施す炉の説明図
【符号の説明】
1 炉本体 2 加熱ヒーター 3 内面に連続する溝を有して回転するロータリー円筒 4 送気配管 5 エアーポンプ 6 供給口 7 排出口 8 容器 9 コンベア炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花岡 茂 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 庄司 易彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウム化合物とコバルト化合物を混合し
    加熱することによってコバルト酸リチウムを合成する製
    造法において、 前記加熱工程が、外部から加熱され内面に連続するら旋
    状の溝または突条を有した回転するロータリー円筒を用
    いて、この円筒の一端から内部に供給されるリチウム化
    合物とコバルト化合物の混合物を円筒内で順次移動さ
    せ、かつ酸素または空気を導入しながら、合成反応が概
    ね完了するまで600〜800℃で所定時間加熱する第
    1の熱処理工程と、 その後前記第1の熱処理物を850〜950℃の温度で
    所定時間加熱する第2の熱処理工程とからなることを特
    徴としたコバルト酸リチウムの製造法。
  2. 【請求項2】第1の熱処理工程が、ロータリー円筒の回
    転方向を定期的に正逆に切り替えるように制御しながら
    前記混合物を加熱処理する請求項1記載のコバルト酸リ
    チウムの製造法。
  3. 【請求項3】リチウム化合物とコバルト化合物を混合し
    加熱することによってコバルト酸リチウムを合成する製
    造法において、 前記加熱工程が、外部から加熱され内面に連続するら旋
    状の溝または突条を有し、正転、逆転を順次くり返すロ
    ータリー円筒を用いて円筒の一端から内部に供給される
    リチウム化合物とコバルト化合物の混合物を円筒内で順
    次移動させながら600〜800℃までの温度で、酸素
    または空気を導入しつつ合成反応が概ね完了するまで4
    〜10時間加熱する第1の熱処理工程と、 この第1の熱処理物をバッチ炉またはコンベア炉内に導
    入し、850〜950℃の温度で2〜10時間加熱する
    第2の熱処理工程とからなることを特徴としたコバルト
    酸リチウムの製造法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0942481A1 (en) * 1998-03-13 1999-09-15 Toshiba Battery Co., Ltd. Production method of active material for positive electrode of alkaline secondary battery, positive electrode using the active material, and production method of alkaline secondary battery using the positive electrode
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