JPH08300351A - 繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール系樹脂とからなる複合ウェブの製造方法 - Google Patents

繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール系樹脂とからなる複合ウェブの製造方法

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JPH08300351A
JPH08300351A JP12922295A JP12922295A JPH08300351A JP H08300351 A JPH08300351 A JP H08300351A JP 12922295 A JP12922295 A JP 12922295A JP 12922295 A JP12922295 A JP 12922295A JP H08300351 A JPH08300351 A JP H08300351A
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fiber
resin
sheet
powdery
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JP12922295A
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Naoto Yoshinaga
直人 吉永
Yoshiaki Hirai
良明 平井
Yoshiaki Kubota
義昭 久保田
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール系樹脂と
からなる繊維/樹脂分散液を同一のすき網上に注ぎ込む
工程と、該分散液を脱液しシート状複合ウェブを得る工
程とを繰り返し行う。シート状複合ウェブを重ね合わせ
た積層体を得る。この積層体の上面及び下面よりそれぞ
れ少なくとも1層を除去する。 【効果】繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール系樹脂と
からなる、目付けの大きい複合ウェブを容易且つ効率よ
く得ることができる。炭化させた際に、デラミネーショ
ンやクラックといった欠陥を生ずることがない。繊維強
化炭素複合材料を製造するのに好適な複合ウェブが得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維と合成樹脂とから
なる複合ウェブに係り、更に詳しくは繊維強化炭素複合
材料の製造に適した、繊維材料と粉末状熱硬化性フェノ
ール系樹脂とからなる厚手の複合ウェブの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】繊維強化炭素複合材料は軽量かつ高強度
であり、優れた耐熱性を有するため、例えば炭素繊維強
化炭素複合材料(以下「C/C複合材料」という)は、
ロケットのノーズコーンや、車輌のブレーキ材料あるい
は航空機等の用途に極めて好適なものである。C/C複
合材料は、通常、炭素繊維と熱硬化性樹脂バインダーと
からなる複合ウェブを成形し、この複合ウェブの空孔を
炭素質で充填、緻密化することにより製造されている。
ここで、複合ウェブの空孔を充填緻密化する方法として
は、樹脂の含浸と炭化とを繰り返す方法やCVD法と称
する方法等が一般的に行われている。
【0003】従来、繊維材料と粉末状熱硬化性樹脂とか
らなる複合ウェブを製造する方法としては、特開平6−
99431号公報に開示された湿式による方法が知られ
ている。この方法は、繊維と粉末状樹脂とを特定の粘度
の粘稠性液体中で攪拌することにより強化繊維を十分解
繊すると共に、樹脂粉末を均一に分散せしめて抄造し、
複合ウェブを得るものである。
【0004】しかしながら上記方法は、例えば目付け5
00g/m2 以下の小さな目付けの複合ウェブを製造す
るには良好な方法であるが、大きな目付けの複合ウェブ
を製造するに際しては、脱液に長時間を要するという問
題点があった。これは、すき網上に堆積する複合ウェブ
の目付けが大きくなるほど該堆積物内での圧力損失が大
きくなり、吸引操作を行っても脱液を速やかに行うこと
ができないためである。
【0005】これらの問題点を解消して比較的大きな目
付けの複合ウェブを製造する方法としては、例えば抄造
法により繊維/樹脂分散液を脱液・乾燥して、まず小さ
な目付けのシート状複合ウェブを多数製造し、これらを
複数枚重ね合わせる方法が考えられる。しかし、この方
法により製造した複合ウェブを加熱加圧成形した後、定
法に従い不活性ガス雰囲気下において高温で炭化した場
合、重ね合わせた時点では接合一体化していたシート状
複合ウェブ同士が、炭化後に積層界面にて剥離するとい
う問題点がある。更に、製造工程が煩雑となり、生産効
率も悪いとうい問題点もある。
【0006】この他、同一のすき網上で、繊維/樹脂分
散液の注入と脱液とを繰り返し行い、徐々に厚みの厚い
目付けの大きい複合ウェブを形成させる方法も考えられ
る。しかしながら、この方法で得られた複合ウェブを成
形し炭化した場合は、特に両側の表層部分において、層
間剥離(デラミネーション)現象が発生し易いという問
題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上述の
問題点に鑑み鋭意研究した結果、本発明を完成したもの
であって、本発明の目的は、繊維材料と粉末状熱硬化性
フェノール系樹脂とからなり、目付けが500g/m2
以上であって、前記樹脂を炭化させた際にデラミネーシ
ョンやクラックといった欠陥を生ずることのない、繊維
強化炭素複合材料を製造するのに好適な複合ウェブの製
造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、繊維材
料と粉末状熱硬化性フェノール系樹脂とからなる複合ウ
ェブを抄造法により製造するに際し、繊維材料と粉末状
熱硬化性フェノール系樹脂とからなる繊維/樹脂分散液
をすき網上に注ぎ込む工程と、該分散液を脱液しシート
状複合ウェブ得る工程とを繰り返し行い、前記すき網上
にシート状複合ウェブの積層体を形成せしめ、該積層体
の上面及び下面よりそれぞれ少なくとも1層を除去する
ことを特徴とする繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール
系樹脂とからなる複合ウェブの製造方法により達成され
る。
【0009】本発明に用いられる粉末状熱硬化性フェノ
ール系樹脂とは、アルデヒド類とフェノール類とから合
成される熱硬化性の粉末状あるいは粒状の樹脂である。
特に、C/C複合材料を製造するプリフォームとして用
いる場合には、残炭率の高い樹脂を用いるのが炭素質の
充填回数を減らすことができる点で好ましい。
【0010】上記粉末状熱硬化性フェノール系樹脂とし
ては、レゾール樹脂のほか例えば特公昭62−3021
1号公報あるいは特公昭62−30213号公報で提案
され、商品名「ベルパール」(鐘紡製)として市販され
ている特殊フェノール樹脂を挙げることができる。この
特殊フェノール樹脂は残炭率が高く好ましいものである
が、特にこれに限定されるものではない。
【0011】尚、上記特殊フェノール樹脂は、粒径が
0.1〜100μmで且つその50重量%が100タイ
ラーメッシュの篩を通過し得る大きさであり、実質的に
非水溶性のものである。ここで、実質的に非水溶性と
は、大部分が水に不溶であって、また水中で軟化あるい
は表面のべたつき等を起こさず、分散が可能であること
を言う。
【0012】上記の100タイラーメッシュの篩通過量
T(重量%)とは、乾燥試料を必要に応じ手で十分に揉
みほぐした後、その約10gを取り、これを精秤し、5
分間かけて少しずつ100タイラーメッシュの篩い振と
う機(篩の寸法:200mmφ、振とう条件:200r
pm)に投入し、試料投入完了後さらに10分間振とう
させ、次式にて求めることができる。 T(重量%)=Wb /Wa ×100 ここで、Wa は投入量(g)、Wb は100タイラーメ
ッシュ篩を通過した量(g)である。
【0013】粉末状熱硬化性フェノール系樹脂として
は、得られる複合ウェブの繊維から構成されている網目
構造の大きさよりも粒径の大きな場合には、上記した凝
集操作を行うことなく、本発明の方法に従って良好な複
合ウェブを得ることが出来る。粒径の大きな粉末状フェ
ノール樹脂としては、例えば平均粒径300μの『ユニ
ベックスUA』(商品名、ユニチカ(株)製)を挙げる
ことが出来る。
【0014】本発明で用いる繊維材料としては、上記粉
末状フェノール系樹脂を高温で炭化しても、強化繊維と
しての物性が保持される繊維であればよく、例えば炭素
繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維を挙げること
ができ、就中炭素繊維が好適である。繊維材料の繊維長
は、好ましくは3〜100mm、更に好ましくは5〜7
0mm程度である。
【0015】また、繊維材料は分散液中で十分に分散や
解繊されることが好適であり、分散液中において脱糊剤
処理してもよいが、予め焼却、精練、溶媒洗浄等の適宜
な方法で脱糊剤処理を施したものを用いてもよい。
【0016】本発明の方法は、基本的には抄造法に従っ
て行われるものであり、抄造液として上記繊維材料と上
記粉末状熱硬化性フェノール系樹脂(以下、「粉末状樹
脂」と略記することがある)とを水性媒体に分散した繊
維/樹脂分散液を用いるものである。該繊維/樹脂分散
液をすき網上に注ぎ込み、これを脱液した後、得られた
シート状複合ウェブの上から更に同様の繊維/樹脂分散
液を注ぎ込み、脱液せしめる。かかる繊維/樹脂分散液
を注ぎ込む工程と、脱液せしめる工程とを繰り返し行う
ことで、シート状複合ウェブからなる層を重ね合わせた
積層体が得られる。
【0017】次いで、得られたシート状複合ウェブの積
層体を取り出し、その上面及び下面からそれぞれ少なく
とも1層を除去する。通常は、最外層のシート状複合ウ
ェブを1層除去すればよいが、必要に応じ2層ないし数
層を除去してもよい。本発明において、シート状複合ウ
ェブの積層体の最外層を除去しない場合は、得られる複
合ウェブを炭化したときに、その表層部分にクラックや
デラミネーションを発生することがある。
【0018】図1は、各層のシート状複合ウェブ層の目
付けが200g/m2 となるように調製された繊維/樹
脂分散液を用いて抄造操作を13回繰り返し行って得ら
れた複合ウェブを各層に分割し、それぞれに含まれるバ
インダー樹脂の歩留まりを測定した結果を示すものであ
る。シート状複合ウェブの連続抄造積層体における粉末
状樹脂の歩留まりは、驚くべきことに最上層及び最下層
のみで低いことが明らかにされた。
【0019】本発明者等は上述の結果より、炭化の際に
発生するデラミネーションやクラックの発生原因が、結
合材としての粉末状樹脂の濃度が、シート状複合ウェブ
積層体の内層に比べて、最上層及び最下層の方が低いた
めであることを見出した。即ち、上下の両表層部分は内
層部分に比べて結合材である粉末状樹脂の含有量が低く
なり、成形により一体化したものであっても、炭化処理
の際に繊維同士あるいは繊維と樹脂との結合力が小さく
なるため、デラミネーションが発生すると共に、炭化処
理に伴う変形によってクラックが発生するのである。
【0020】そこで、シート状複合ウェブの積層体にお
いて粉末状樹脂の含有量の少ない層を取り除けば、その
後の積層,成形,炭化操作によっても、デラミネーショ
ンやクラックといった欠陥を生ずることがない。しかし
ながら、シート状複合ウェブからなる積層体の目付けが
例えば200g/m2 といった低い場合には、複合ウェ
ブの最上層及び最下層を取り除くことが作業的にも困難
であり、また取り除かれる割合も高くなるため経済的で
はない。
【0021】なお、複合ウェブ積層体の最上層の粉末状
樹脂の含有量が低下するのは、最上層では堆積層の圧力
損失のため脱液するのに時間がかかり、分散液中で該粉
末状樹脂が漏出するためと推測される。また、最下層で
は脱液時にまだ堆積層ができていないため粉末状樹脂が
捕捉されず、更に堆積層による圧力損失が無いために脱
液速度が大きくなり、粉末状樹脂が漏出しやすいためと
推測される。一方、内層部においては、上層から漏出し
た粉末状樹脂を捕捉するため、粉末状樹脂の含有量が低
下しないものと推測される。
【0022】本発明の製造方法において、繊維/樹脂分
散液を得る方法としては、分散媒中に上記繊維材料と上
記粉末状樹脂とを投入して一緒に分散混合してもよい
が、予め別々に分散させた液を調製し、これを混合して
更に分散させるのが好ましい。
【0023】本発明の製造方法は、例えば次のような工
程からなるものである。即ち、(イ)粉末状樹脂を湿式
分散させる工程、(ロ)炭素繊維を解繊すると共に、湿
式分散させる工程、(ハ)粉末状樹脂の分散液と炭素繊
維の分散液とを混合して、繊維/樹脂分散液を得る工
程、(ニ)繊維/樹脂分散液を所定量、すき網上に注ぎ
込み脱液し、シート状複合ウェブを得る工程、(ホ)得
られたシート状複合ウェブの上から、繊維/樹脂分散液
を更に所定量注ぎ込んだのち脱液する工程を所定回数繰
り返し、シート状複合ウェブを重ね合わせた積層体を得
る工程、(ヘ)得られたシート状複合ウェブの積層体を
取り出し、該積層体の上層部分と下層部分とを剥離除去
した後、乾燥する工程、の各工程から構成されるもので
ある。
【0024】上記の工程(イ)において、粉末状樹脂
は、そのまま分散して用いてもよいが、粒径の小さな樹
脂の場合は粉末状樹脂を凝集させるのが好ましい。粉末
状樹脂を凝集せしめる方法は特に限定されるものでな
く、その目的に応じ適宜選定すればよいが、例えば凝集
剤として界面活性剤を用いる方法、あるいは界面活性剤
にアニオン性及びカチオン性の水溶性高分子を併用する
デュアルシステムなどの方法を挙げることができる。
【0025】ここで粉末状樹脂を凝集せしめる界面活性
剤としては、例えばポリエチレングリコール型ノニオン
系界面活性剤を挙げることができる。ポリエチレングリ
コール型ノニオン系界面活性剤とは、界面活性作用を有
する非イオン性分子である。このような界面活性剤とし
ては、例えばポリエチレングリコールラウリルアルコー
ル付加物等のポリエチレングリコールの高級アルコール
付加物、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテ
ル,ポリエチレングリコールオクチルフェノール等のポ
リエチレングリコールの長鎖アルキル置換フェノール付
加物、ポリエチレングリコールステアリン酸付加物等の
ポリエチレングリコールエステル型ノニオン系界面活性
剤、あるいはポリエチレングリコール/ポリプロピレン
グリコールの共重合体等を挙げることができる。特にポ
リエチレングリコール/ポリプロピレングリコールの共
重合体は、発泡性が小さく、凝集力が強いため好ましい
ものである。
【0026】上記ポリエチレングリコール型ノニオン系
界面活性剤は、前記粉末状樹脂同士を凝集せしめる効果
を奏するものである。また、上記ポリエチレングリコー
ル型ノニオン系界面活性剤を、前記粉末状樹脂を分散す
る液体中に添加する量は、界面活性剤の種類、水温及び
その目的に応じ適宜選定すればよいが、通常0.01〜
1重量%である。過剰に添加しても、その効果は飽和す
ることになる。
【0027】また、上述のような界面活性剤を用いた場
合は分散液が発泡し難くなり、繊維が浮上分離するとい
った不都合も起こり難いため、地合の良好な複合ウェブ
を容易に得ることができる。更に、繊維へ樹脂を固着せ
しめるに際し結合剤を用いる必要がないため、粉末状樹
脂の特性を損なうこともない。また、濾液も非発泡性で
あるために排水処理時の泡による阻害を未然に防ぐこと
ができる。なお、粉末状樹脂を凝集させる場合は、例え
ば1リットルの水に対して粉末状樹脂を10〜100g
程度の割合で投入するのが良好である。
【0028】ここで添加する粉末状樹脂の量は、その目
的に応じ適宜選定すればよいが、炭素繊維/粉末状樹脂
の重量比は、好ましくは10/90〜98/2であり、
更に好ましくは20/80〜80/20である。
【0029】前記工程(ロ)において得られる繊維分散
液は、例えば通常の抄紙法と同様にして繊維材料を水性
の分散媒中に分散せしめることで得られる。分散媒に投
入する繊維材料は、繊維長が長くなるほど絡まり易くな
り、且つ分散液の粘度も高くなる傾向にある。そのた
め、例えば長さ50mm程度の繊維を用いる場合の投入
量は、分散媒の重量に対し好ましくは1重量%程度まで
である。
【0030】また、炭素繊維等の繊維束を形成している
繊維材料を用いる場合は、分散媒中で解繊されるのが好
適であり、そのため分散媒中で脱糊剤処理してもよい
が、焼却、精練、溶媒洗浄等の適宜な方法で予め脱糊剤
処理したものを用いてもよい。
【0031】また上記繊維材料の分散液中には、ポリエ
チレンオキサイドやポリアクリルアミドなどの水溶性高
分子や界面活性剤などを、繊維材料の分散助剤として添
加することもできる。
【0032】上記工程(ハ)は、工程(イ)で得られた
粉末状樹脂の分散液と、工程(ロ)で得られた繊維材料
の分散液とを混合撹拌し、繊維/樹脂分散液を得る工程
である。分散液を混合攪拌する方法は特に限定されるも
のではなく、例えば傾胴型ミキサー、回転ドラムミキサ
ー、オムニミキサー、強制練りミキサー等を使用するこ
とができる。繊維長に比して細い撹拌羽根や回転部を有
する撹拌機の場合は、該繊維が分散中に絡み付き、良好
な分散や解繊が行われなかったり、連続運転ができない
といった場合が生じるので注意が必要である。
【0033】撹拌羽根を持たない特殊撹拌機としては、
具体的にはオムニミキサー(千代田工業(株)製)を挙
げることができる。この装置によれば、撹拌力が撹拌機
底面全体で伝えられ、可動な突起物が無いために、繊維
長の比較的長い繊維も互いに絡むことなく分散される。
【0034】更に上記繊維/樹脂分散液中には、必要に
応じてアルミナ、シリカ、タルク、カーボンブラック、
黒鉛、二硫化モリブデン等の添加物を加えることもでき
る。
【0035】工程(ニ)は、上記工程(ハ)で得られた
繊維/樹脂分散液を、例えば特開昭60−158227
号公報に記載されているような通常行われている抄造操
作、、即ち繊維/樹脂分散液を金網等のすき網上に注
ぎ、堆積せしめた後、脱液しシート状複合ウェブを得る
ものである。
【0036】通常、抄造操作は繊維分散液を脱液して得
られたシート状ウェブを取り出し、これを乾燥するもの
であるが、本発明においては、脱液後のシート状複合ウ
ェブを取り出さないで、得られたシート状複合ウェブの
上から更に繊維/樹脂分散液を注ぎ込まれる。
【0037】工程(ホ)は、同一のすき網上に繊維/樹
脂分散液の注ぎ込みと、脱液とを繰り返し行うものであ
る。かかる繰り返し操作は、シート状複合ウェブの積層
体が所定の目付けに達するまで行われる。本発明の方法
においては、上記工程の繰り返し回数により得られる複
合ウェブの厚さや目付けを調節することが可能である。
【0038】次いで得られたシート状複合ウェブの積層
体を取り出し、該積層体の上下両側の表層部分及び下層
部分のシート状複合ウェブを剥離し取り除く。ここで剥
離除去されるシート状複合ウェブは、少なくとも上下各
1層、好ましくは作業性の点で最上層及び最下層の各1
層づつであるが、必要に応じシート状複合ウェブを表面
から2層ないし数層を剥離除去してもよい。本発明はか
かる工程(ヘ)をその特徴的な構成要件とするものであ
る。
【0039】上層部分と下層部分とを剥離除去して得ら
れたシート状複合ウェブの積層体は、引き続き乾燥され
る。乾燥は、例えば市販されている熱風乾燥機等を用い
て行えばよい。この際、熱硬化性樹脂を用いているた
め、乾燥による熱履歴のために成形接着性をあまり低下
させないように、乾燥条件を適宜選定する必要がある。
【0040】上記本発明の方法で製造された複合ウェブ
は、加熱加圧成形することで繊維強化複合材料とするこ
とができる。また、繊維として炭素繊維等の高耐熱性繊
維を用いて得られたものを、例えば窒素ガス雰囲気下約
1000℃で炭化すれば、気孔率の比較的小さなC/C
複合材料の前駆体を得ることができる。
【0041】
【実施例】以下、本発明をその実施例により更に詳しく
説明する。尚、その前に本明細書における各種測定法に
ついて説明する。
【0042】〈欠陥の有無〉得られた複合ウェブを定法
に従い成形・炭化後、ダイヤモンドソーで切断し、断面
を目視により観察した。繊維配向面に沿ったひび割れを
デラミネーション、繊維配向面を越えて生じているひび
割れをクラックとした。
【0043】〈目付斑〉得られた500mmφの円柱状
複合ウェブから,9cm×9cmの試料片を10枚切り
出し、それぞれの重量を精秤し目付けを算出する。目付
けの最大値をA(g/m2 )、目付けの最小値をB(g
/m2 )、目付けの平均値をC(g/m2 )とする。目
付け斑は次式により算出される。 (目付斑)=(A−B)/C×100 (%)
【0044】実施例1 粉末状熱硬化性フェノール系樹脂(商品名:ベルパー
ル、鐘紡(株)製)3.2kgを50リットルの水に分
散せしめた後、これにポリエチレングリコール系界面活
性剤(商品名:アデカプルロニックL101、旭電気化
学(株)製)40gを加えて撹拌をし、粉末状樹脂の凝
集体分散液を得た。
【0045】これとは別に、長さ50mmの炭素繊維1
2000本からなる炭素繊維束4kgを、オムニミキサ
ー(千代田工業(株)製)中で800リットルの変性ポ
リアクリルアミド水溶液(濃度0.02重量/容量%)
と共に85秒間撹拌した後、先の粉末状樹脂の凝集体分
散液を加え、更に5秒間撹拌し、繊維/樹脂分散液を得
た。
【0046】得られた繊維/樹脂分散液の内、目付けが
200g/m2 の相当する量を底部にすき網を有する5
00φの円筒状をした抄造タンクに注ぎ込み、該分散液
をすき網で脱液してシート状複合ウェブを得た。得られ
たシート状複合ウェブの上に更に目付け約200g/m
2 に相当する同様の繊維/樹脂分散液を注ぎ込み脱液し
た。この分散液の注液と脱液とを繰り返し行い、13層
のシート状複合ウェブを積層してなるシート状複合ウェ
ブ積層体を得た。得られた積層体を取り出し、最上層部
及び最下層部のシート状複合ウェブをそれぞれ剥離除去
し、複合ウェブを製造した。これと同様の複合ウェブを
6枚積層したのち乾燥して、厚手の複合ウェブを得た。
【0047】得られた厚手の複合ウェブは、目付け約1
2kg/m2 であった。この厚手の複合ウェブを定法に
従い加熱加圧成形したのち炭化し、C/C複合材料の前
駆体を得た。結果は、表1に示す通りであった。
【0048】実施例2 実施例1で用いたのと同様の炭素繊維束4kgを、オム
ニミキサー(千代田工業(株)製)中で800リットル
の変性ポリアクリルアミド水溶液(濃度0.02重量/
容量%)と共に撹拌し分散せしめた後、平均粒径300
μmの粉末状熱硬化性フェノール系樹脂(商品名:「ユ
ニベックスUA」、ユニチカ(株)製)3.2kgを加
え更に撹拌し分散せしめ、繊維/樹脂分散液を得た。
【0049】得られた繊維/樹脂分散液を実施例1と同
様の方法で抄造操作を繰り返し行い、13層のシート状
複合ウェブからなる積層体を得た。以下、実施例1と同
様にして、得られた積層体の最上層部分及び最下層部分
を剥離除去し、複合ウェブを製造した。同様にして得た
複合ウェブを6枚積層したのち乾燥して、厚手の複合ウ
ェブを得た。
【0050】得られた厚手の複合ウェブは、目付け約1
2kg/m2 であった。この厚手の複合ウェブを定法に
従い成形したのち炭化し、C/C複合材料の前駆体を得
た。結果は、表1に示す通りであった。
【0051】比較例1 実施例1において行った、繊維/樹脂分散液の注液操作
と脱液操作との繰り返し回数を13回に代えて11回と
し、且つ得られた積層体の上下両面の剥離除去操作を行
わない以外は、実施例1と同様にして得られた複合ウェ
ブを6枚積層して目付け約12kg/m2 の厚手の複合
ウェブを得た。この厚手の複合ウェブを定法に従い成形
したのち炭化し、C/C複合材料の前駆体を得た。結果
は、表1に示す通りであり、目付け約2kg/m2 のシ
ート状複合ウェブ同士の積層界面にデラミネーションが
発生した。
【0052】比較例2 実施例1と同様にして得られた繊維/樹脂分散液を、目
付けが12kg/m2の相当する量を、実施例1で用い
たのと同様の抄造タンクに注ぎ込み、該分散液をすき網
で脱液し、厚手の複合ウェブを得た。得られた複合ウェ
ブを定法に従い成形したのち炭化し、C/C複合材料の
前駆体を得た。結果は、表1に示す通りであり、目付斑
が大きく、また繊維配向面が一定していないため、欠陥
を生じていた。また、製造する際に抄造体による圧力損
失が大きいため、脱液に長時間を要した。
【0053】比較例3 実施例1において行った、注液/脱液操作毎に得られた
目付け約200g/m2 のシート状複合ウェブをその都
度取り出し、これを60枚積層して、約12kg/m2
目付けの複合ウェブを得た。これを定法に従い成形した
のち炭化した。結果は、表1に示す通りであり、シート
状複合ウェブ同士の積層界面にデラミネーションが発生
した。
【0054】比較例4 比較例3と同様にして得られた60枚の目付け200g
/m2 の各シート状複合ウェブの上面表層部分と下面表
層部分とを剥離除去し、これらを積層した以外は比較例
3と同様にして、厚手の複合ウェブを得た。得られた厚
手の複合ウェブを定法に従い成形したのち炭化した。結
果は、表1に示す通りであり、積層したシート状複合ウ
ェブ同士の積層界面でのデラミネーションは発生しなか
ったが、剥離除去部分が多量であったため、目付が大き
く減少しており、更に剥離除去が不均一に行われたため
目付斑が大きかった。
【0055】比較例5 実施例2において行った注液/脱液操作の繰り返し回数
を13回に代えて11回とし、且つ実施例1で行ってい
た最上層シート部分及び最下層シート部分との剥離除去
を行わない以外は、実施例1と同様にして得た複合ウェ
ブを6枚積層して、厚手の複合ウェブを得た。該厚手の
複合ウェブを定法に従い成形したのち炭した。結果は、
表1に示す通りであった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の方法は、樹脂歩留りの悪い部分
を剥離除去するため、得られる複合ウェブを加熱加圧し
て得られた成形品は、炭化した際にデラミネーションや
クラック等の欠陥を発生することがない。また、本発明
の方法によれば、目付け斑の小さい複合ウェブを得るこ
とができる。
【0058】本発明の方法で得られた複合ウェブ同士を
積層することで、厚手の複合ウェブを容易に得ることが
でき、これを加熱加圧して得られた成形品は、炭化した
際にデラミネーションやクラック等の欠陥が発生するこ
とがない。したがって、本発明の方法によれば、極めて
目付けの大きい複合ウェブを容易に効率よく製造するこ
とができる。
【0059】本発明の方法で得られた複合ウェブを用い
れば、目付けの大きな厚手のC/C複合材料の前駆体を
容易に製造することができ、C/C複合材料を製造する
工程を大きく簡便化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】13層からなるシート状複合ウェブの積層体に
おける、各シート状複合ウェブの粉末状樹脂の歩留まり
を示すグラフ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール系
    樹脂とからなる複合ウェブを抄造法により製造するに際
    し、繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール系樹脂とから
    なる繊維/樹脂分散液をすき網上に注ぎ込む工程と、該
    分散液を脱液しシート状複合ウェブを得る工程とを繰り
    返し行い、前記すき網上にシート状複合ウェブの積層体
    を形成せしめ、該積層体の上面及び下面よりそれぞれ少
    なくとも1層を除去することを特徴とする繊維材料と粉
    末状熱硬化性フェノール系樹脂とからなる複合ウェブの
    製造方法。
JP12922295A 1995-04-27 1995-04-27 繊維材料と粉末状熱硬化性フェノール系樹脂とからなる複合ウェブの製造方法 Pending JPH08300351A (ja)

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