JPH08298730A - 車両用発電装置 - Google Patents

車両用発電装置

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JPH08298730A
JPH08298730A JP7098978A JP9897895A JPH08298730A JP H08298730 A JPH08298730 A JP H08298730A JP 7098978 A JP7098978 A JP 7098978A JP 9897895 A JP9897895 A JP 9897895A JP H08298730 A JPH08298730 A JP H08298730A
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梅田  敦司
Makoto Taniguchi
真 谷口
Hirohide Sato
博英 佐藤
Arata Kusase
草瀬  新
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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02JCIRCUIT ARRANGEMENTS OR SYSTEMS FOR SUPPLYING OR DISTRIBUTING ELECTRIC POWER; SYSTEMS FOR STORING ELECTRIC ENERGY
    • H02J7/00Circuit arrangements for charging or depolarising batteries or for supplying loads from batteries
    • H02J7/14Circuit arrangements for charging or depolarising batteries or for supplying loads from batteries for charging batteries from dynamo-electric generators driven at varying speed, e.g. on vehicle
    • H02J7/1469Regulation of the charging current or voltage otherwise than by variation of field
    • H02J7/1484Regulation of the charging current or voltage otherwise than by variation of field by commutation of the output windings of the generator

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Control Of Eletrric Generators (AREA)
  • Control Of Charge By Means Of Generators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両用同期発電機の進相電流または遅相電流通
電を簡単な回路構成で実施し、短絡スイッチの遮断不能
時におけるバッテリ保護も可能とする。 【構成及び効果】 交流発電機1の所定の出力端間に、
相間短絡手段を構成する半導体スイッチング素子(短絡
スイッチ)41〜43を介設し、各短絡スイッチ41〜
43を所定のタイミングで開閉して電機子巻線11〜1
3に進相電流(短絡電流)を通電する。このようにすれ
ば、進相用のコンデンサを用いることなく進相電流給電
が可能であり、装置の小型軽量化及び出力増大が可能な
車両用発電装置を提供することができる。また、回転数
に依存することなく所望の進相電流を給電可能な車両用
発電装置を提供することができる。本発明では、短絡ス
イッチ41〜43が遮断不良となってもバッテリ10の
放電は防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用発電装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の車両用発電装置では、収納スペー
スの縮小などにより小型軽量高出力化が要求されてい
る。従来の三相交流発電機では、各相の電機子巻線の出
力端(以下、相出力端ともいう)間を進相用コンデンサ
で接続して各電機子巻線に進相電流(電圧に対し位相が
進んだ電流)を給電して、電磁効果により出力を向上す
る進相電流給電方式が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の進相電流給電方式では、進相電流量が周波数す
なわち回転数の関数となり、しかも車両用発電装置では
特に出力電流の増大が要求される低回転域で進相電流が
低減してしまうので都合が悪かった。また、発電機のイ
ンダクタンスが大きいので、この進相用コンデンサの容
量増大の必要性からコンデンサの体格が大きくなりすぎ
るという問題もあった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、上記進相用のコンデンサを用いることなく進相電
流給電が可能であり、また、遅相電流の制御も可能な装
置の小型軽量化が可能な車両用発電装置を提供すること
を、その目的としている。また本発明は、回転数に依存
することなく所望の進相電流または遅相電流を給電可能
な車両用発電装置を提供することを、他の目的としてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成は、
多相の電機子巻線を有する交流発電機と、前記電機子巻
線から出力される電力を整流して電気負荷に給電する交
直電力変換手段とを備える車両用発電装置において、半
導体スイッチング素子で構成されて前記電機子巻線の所
定の出力端間を短絡する相間短絡手段と、前記半導体ス
イッチング素子を所定のタイミングで開閉して前記電機
子巻線の進相電流を通電する制御手段と、を備えること
を特徴とする車両用発電装置である。
【0006】本発明の第2の構成は、上記第1の構成に
おいて更に、前記制御手段は、前記半導体スイッチング
素子を所定のタイミングで開閉して、前記電気子捲線の
電圧と異なる位相の電気子電流を通電するものであるこ
とを特徴としている。本発明の第3の構成は、上記第1
又は第2の構成において更に、前記交直電力変換手段
が、前記電機子巻線の出力端にアノードが高位直流電源
端にカソードが接続されるハイサイドのダイオードと、
前記電機子巻線の出力端にカソードが低位直流電源端に
アノードが接続されるローサイドのダイオードとをもつ
整流器からなることを特徴としている。
【0007】本発明の第4の構成は、上記第1又は第2
の構成において更に、前記交直電力変換手段が、前記電
機子巻線の出力端と高位直流電源端とを接続する半導体
スイッチング素子からなるハイサイドスイッチと、前記
電機子巻線の出力端と低位直流電源端とを接続する半導
体スイッチング素子からなるローサイドスイッチとから
なる正逆両方向通電開閉回路からなることを特徴として
いる。
【0008】本発明の第5の構成は、上記第1又は第2
の構成において更に、一個の前記半導体スイッチング素
子が前記電機子巻線の所定の一対の出力端間に介設され
ることを特徴としている。本発明の第6の構成は、上記
第5の構成において更に、前記交流発電機が三相交流発
電機であり、前記相間短絡手段は、△結線されているこ
とを特徴としている。
【0009】本発明の第7の構成は、上記第3又は第4
の構成において更に、複数の前記半導体スイッチング素
子は、前記電機子巻線の各出力端と共通接続点との間に
個別に介設されて、前記相間短絡手段が星型接続回路を
構成することを特徴としている。本発明の第8の構成
は、上記第1乃至第7のいずれかの構成において更に、
前記半導体スイッチング素子が、MOSFETからなる
ことを特徴としている。
【0010】本発明の第9の構成は、前記MOSFET
は、寄生ダイオードの導通を阻止する高抵抗体を有する
ことを特徴している。本発明の第10の構成は、上記第
8又は第9の構成において更に、前記MOSFETが、
SiCを素材として形成されることを特徴としている。
本発明の第11の構成は、上記第1乃至第10のいずれ
かの構成において更に、前記半導体スイッチング素子
が、一方向に電流が流れる単方向性半導体スイッチング
素子を互いに逆向きかつ並列に接続して構成されること
を特徴としている。
【0011】本発明の第12の構成は、上記第1乃至第
11のいずれかの構成において更に、前記交直電力変換
手段がバッテリに給電するものであることを特徴として
いる。本発明の第13の構成は、上記第1乃至第12の
いずれかの構成において更に、前記制御手段が、進相電
流目標値に対応して決定した所定の導通期間の間、所定
の導通時点から前記半導体スイッチング素子を導通させ
るものであることを特徴としている。
【0012】本発明の第14の構成は、上記第13の構
成において更に、前記発電機の回転数に関連する物理量
を検出する検出手段を有し、前記制御手段が、前記物理
量に基づいて前記回転数に応じて決定した最大導通期間
の範囲内で前記導通期間を設定するものであることを特
徴としている。本発明の第15の構成は、上記第1乃至
第14のいずれかの構成において更に、前記電機子巻線
の電流に関連する状態量を検出する検出手段を有し、前
記進相電流制御手段が、前記物理量に基づいて前記半導
体スイッチング素子を開閉して前記進相電流を制御する
ものであることを特徴としている。
【0013】本発明の第16の構成は、上記第15の構
成において更に 前記制御手段が、前記固定子巻線の出
力端と前記交直電力変換手段の高位直流電源端又は低位
直流電源端との間の電位差が所定の絶対値以下となった
時点で前記半導体スイッチング素子を導通するものであ
ることを特徴としている。本発明の第17の構成は、上
記第15の構成において更に 前記制御手段が、前記固
定子巻線の出力端と前記交直電力変換手段の高位直流電
源端又は低位直流電源端との間の電位差が所定の絶対値
以下となっった時点から所定遅延時間経過後、前記半導
体スイッチング素子を遮断するものであることを特徴と
している。
【0014】
【作用及び発明の効果】本発明の第1及び2の構成で
は、交流発電機(以下、単に発電機ともいう)の所定の
出力端間に、相間短絡手段を構成する半導体スイッチン
グ素子(以下、単に短絡スイッチともいう)を介設し、
各短絡スイッチを所定のタイミングで開閉して電機子巻
線に電圧と位相の異なる電流(進相電流遅相電流)を通
電する。
【0015】このようにすれば、進相用のコンデンサを
用いることなく進相電流給電が可能であり、装置の小型
軽量化及び出力増大が可能な車両用発電装置を提供する
ことができる。また、回転数に依存することなく所望の
進相電流を給電可能な車両用発電装置を提供することが
できる。さらに、同様に遅相電流給電も可能であり、こ
の場合界磁量一定で出力を低下できる。すなわち発電量
を調整することができる。
【0016】また、進相電流通電が不要な場合には進相
電流を停止することができ、無駄な電流の通電を防止す
ることができる。本発明の第3の構成では、上記第1又
は第2の構成において更に、交直電力変換手段としてダ
イオード構成の全波整流器を用いるので、全体の回路構
成を簡素とすることができる。すなわち、相数以下の個
数の短絡スイッチと簡単なダイオードブリッジと短絡ス
イッチ制御用のコントローラで回路を構成でき、簡単で
ある。
【0017】本発明の第4の構成では、上記第1又は第
2の構成において更に、交直電力変換手段が、半導体ス
イッチング素子からなる正逆両方向通電開閉回路(イン
バータ回路)で構成されるので、上記第3の構成と同様
に、相数以下の個数の短絡スイッチと簡単な半導体スイ
ッチング素子によるブリッジと短絡スイッチ制御用のコ
ントローラで回路を構成でき、簡単である。
【0018】本発明の第5又は第6の構成では、上記第
1又は第2の構成において更に、一個の前記半導体スイ
ッチング素子が前記電機子巻線の所定の一対の出力端間
に介設されることを特徴としている。特に、各相出力端
を隣接する相同士、順番に接続することが好ましい。こ
のようにすれば。上記短絡スイッチの導通により、後続
する位相の電圧を有する相出力端からこの短絡スイッチ
を通じて先行する位相の電圧を有する相出力端へ進相電
流を流すことができ、相間短絡手段を簡単に構成するこ
とができる。
【0019】本発明の第7の構成では、上記第3又は第
4の構成において更に、各短絡スイッチを星型接続した
ものである。この星型接続型の相間短絡手段は、上記第
5又は第6の構成のいわゆるΔ(環状)接続型の相間短
絡手段に比較して、同一機能を実現できる。ただ、一対
の相出力端間で短絡電流を流すには2個の短絡スイッチ
をオンする必要がある。
【0020】本発明の第8の構成では、上記第1乃至第
7のいずれかの構成において更に、、前記半導体スイッ
チング素子が、双方向性のMOSFETからなるので、
半導体スイッチング素子を単一の素子で構成することが
できる。本発明の第9の構成では、寄生ダイオードの導
通を阻止する高抵抗体を有するので、双方向の短絡電流
の制御が可能である。
【0021】本発明の第10の構成では、上記第8の構
成において更に、前記MOSFETが、SiCを素材と
して形成される。このようにすれば、半導体スイッチン
グ素子の損失を低減することができる。本発明の第11
の構成では、上記第1乃至第10のいずれかの構成にお
いて更に、半導体スイッチング素子が、例えばバイポー
ラトランジスタ、IGBT、サイリスタなどの一方向に
電流が流れる単方向性半導体スイッチング素子を互いに
逆向きかつ並列に接続して構成される。このようにすれ
ば大きな短絡電流を流すことができる。
【0022】本発明の第12の構成では、上記第1乃至
第10のいずれかの構成において更に、交直電力変換手
段がバッテリに給電する。このようにすれば、相間短絡
手段が故障して遮断不能となっても、バッテリが放電し
てしまうという問題を防止することができる。交直電力
変換手段がバッテリに給電する場合、第5図の点線で示
す様に原理的に、各相電流が0になる期間(発電電流非
出力期間ともいう)が生じる。すなわち、発電機の相間
電圧がバッテリ電圧以下であれば、発電電流は出力され
ず、このために発電機の出力電流はこの分だけ正弦波形
から変形し、その分、電機子電流による合成反作用磁界
が変動するなどの不具合が生じる。
【0023】したがって、この発電電流非出力期間にお
いて上記短絡スイッチをオンすれば、交直電力変換手段
からバッテリへ流出できない電流を短絡電流として流す
ことができるので、これにより連続した正弦波形に近い
電機子電流が流れ、安定した有効な反作用磁界の強化が
でき、出力増大を図ることができる。すなわち、発電電
流をバッテリに出力する場合には、各相の発電電流非出
力期間において時限的に波形を正弦波に近づける方向へ
電流を流すことにより、徒に多くの進相電流を通電する
ことなく、出力増大を行うことができる。同時に、反作
用変動に伴う発電機の振動、騒音も低減できる。
【0024】本発明の第13の構成では、上記第1乃至
第12のいずれかの構成において更に、進相電流目標値
に対応して決定した所定の導通期間の間、所定の導通時
点から前記半導体スイッチング素子を導通させる。すな
わち、進相電流目標値が大きい場合には進相電流通電期
間を延長し、小さい場合には短縮する。このようにすれ
ば簡単に必要な進相電流を通電することができる。
【0025】なお、短絡スイッチの導通時点すなわち進
相電流の通電開始時点は、上記で説明した理由から上記
発電電流非出力期間の開始時点近傍に設定することが好
ましい。本発明の第14の構成では、上記第13の構成
において更に、発電機の回転数に応じて決定した進相電
流の最大導通期間を設定し、この期間内に導通期間を設
定する。好ましくは、上記で説明した理由から上記発電
電流非出力期間に等しく設定された進相電流導通期間内
に進相電流の通電を終了する。このようにすれば、進相
電流の無駄な通電を防止することができる。
【0026】本発明の第15の構成では、上記第1乃至
第14のいずれかの構成において更に、電機子巻線の電
流に基づいて進相電流すなわち短絡電流を制御するの
で、短絡制御が簡単となる。本発明の第16の構成で
は、上記第15の構成において更に、固定子巻線の出力
端と交直電力変換手段の高位直流電源端又は低位直流電
源端との間の電位差が所定の絶対値以下となった時点で
半導体スイッチング素子を導通するので、簡単に発電電
流非出力期間の開始時点近傍にて進相電流の通電を開始
することができる。なお、固定子巻線に直列に電流検出
用の低抵抗を設けてこの電位差を検出してもよく、ま
た、交直電力変換手段を構成する素子であるダイオード
や半導体スイッチング素子の電位差を検出することもで
きる。なお、交直電力変換手段がダイオードで構成され
る場合、その順方向電圧降下は1V以下であるので、上
記電位差は当然、それ以下とされる。
【0027】本発明の第17の構成では、上記第15の
構成において更に、上記進相電流通電開始時点から所定
時間後、進相電流の遮断時点を決定する。このようにす
れば進相電流の停止タイミングを簡単に決定することが
できる。
【0028】
【実施例】
(実施例1)本発明の一実施例を図1を参照して説明す
る。この車両用発電装置は、ランデル型界磁極を有する
車両用三相同期発電機(オルタネータ)1と、その交流
発電電流を整流する三相全波整流器(交直電力変換手
段)3と、短絡回路(相間短絡手段)4と、短絡回路4
を制御するコントローラ7と、界磁電流制御用のレギュ
レータ8とからなる。
【0029】三相同期発電機1は、ステータコアに巻装
された三相の電機子巻線11〜13と、ロータコアに巻
装された界磁巻線2とを有し、エンジンにより駆動され
るいわゆるオルタネータである。良く知られているよう
に、レギュレータ8から界磁巻線2へ必要な界磁電流を
通電し、エンジンによりロータコアを回転することによ
り、電機子巻線11〜13に三相交流電圧Va、Vb、
Vcが誘導される。
【0030】コントローラ7は、マイコンを内蔵し、入
力されるバッテリ電圧VB、各電機子巻線11〜13の
出力電圧(相電圧)Va〜Vcに基づいて短絡回路4の
各短絡スイッチ41〜43を制御して所定の量の進相電
流を所定のタイミングで各電機子巻線11〜13に給電
させる回路である。レギュレータ8は、バッテリ電圧V
Bを一定とするためにバッテリ電圧VBと一定の参照電
圧とを比較してその比較結果により界磁電流Ifの導通
率を決定し、この導通率でスイッチングトランジスタ8
2を制御する導通率決定回路部81を有しており、スイ
ッチングトランジスタ82は界磁巻線2へ通電する界磁
電流を断続制御する。
【0031】三相全波整流器3は、図1に示すように、
通常のものであり、発電機1の出力電圧を整流してバッ
テリ10及び電気負荷9に給電するものである、10a
は三相全波整流器31の高位直流電源端であり、10b
は三相全波整流器3の低位直流電源端であり、接地され
ている。短絡回路4は、それぞれSiCを素材として作
成された電力用MOSFETからなる短絡スイッチ41
〜43をデルタ接続してなり、短絡スイッチ41〜43
の接続点はそれぞれ各電機子巻線11〜13の出力端に
接続されている。なお、MOSFETは図2に示すよう
に、ソースS側の寄生ダイオードDsに並列に高抵抗体
120を接続している。図2において、Ddはドレイン
D側の寄生ダイオードである。この図2の構成により、
寄生ダイオードの導通を阻止し、双方向の短絡電流の導
通制御が可能となる。
【0032】次に、上記装置の制御動作の一例を説明す
る。本実施例では、車両負荷が小さい場合は、従来と同
じくレギュレータ8だけでバッテリ電圧VBを制御す
る。このレギュレータ8による界磁電流制御式の出力制
御及び三相全波整流器3による整流動作自体は周知であ
るので説明を省略する。車両負荷が増加して所定のデュ
ーティ値以上となった場合、コントローラ7により短絡
回路4を制御して後述する進相電流制御を実施する。
【0033】この進相電流制御について図3〜図5のフ
ローチャートを参照して以下に説明する。なお、本明細
書において、相電圧Vaは相電圧Vbより120度進ん
でおり、相電圧Vbは相電圧Vcより120度進んでい
るものとする。また、ここでは説明を簡単とするため、
三相全波整流器3の各ダイオード31〜36の順方向電
圧降下は無視する。
【0034】まず最初に、バッテリ電圧VBを読み込み
(100)、バッテリ電圧VBが所定値VBrefを下
回るかどうかを調べ(102)、以上であればステップ
116へ進み、下回れば界磁電流Ifが所定値Ifre
fを超えるかどうかを調べ(104)、以下であればス
テップ116へ進み、超えれば重負荷状態すなわち発電
不足状態と判定して相電圧Vaを読み込み(106)、
次に、相電圧Vaの波形からその周期Tを決定する(1
08)。この周期はピーク値間の時間を求めてもよく、
ゼロクロス点間の時間を求めて2倍してもよい。次に、
求めた周期Tから進相電流給電期間(短絡期間)の最大
値である最大遅延時間ΔTmaxを決定する(11
0)。本実施例では、最大遅延時間ΔTmaxは周期T
に所定比率kを掛けて求めるが、車両用発電装置では周
期が短くなるほど(高速回転となるほど)発電電圧の立
ち上がりが良くなって進相電流を通電するほうが好適な
期間すなわち進相電流給電期間は短縮されるので、所定
比率kは周期が短くなるに応じて小さくしてもよい。次
に、進相電流給電時間である短絡時間ΔTに所定の小値
αを加えてステップ114に進む。なお、ステップ11
2において、ルーチンの最初の時点ではΔTを記憶する
レジスタは初期設定により零にリセットされている。
【0035】ステップ114では、後述する短絡(進相
電流給電)サブルーチンの実行を指令するフラグを1に
セットし、ステップ116では、このフラグを0にリセ
ットする。次に、図4及び図5を参照して、上記短絡
(進相電流給電)サブルーチンを説明する。このサブル
ーチンは、一定時間毎に優先実施される割り込みルーチ
ンであって、実行周期はステップ108で決定した周期
Tの例えば2%の長さの周期とされる。
【0036】まず、この短絡制御の実施を指令するフラ
グFが1であるかどうかを調べ(200)、0であれば
短絡制御の実施指令無しとしてメインルーチン(図3)
にリターンし、1であれば短絡制御の実施指令有りとし
てステップ201に進む。ステップ201では相電圧V
a〜Vcを読み込み、読み込んだ相電圧Vaがバッテリ
電圧VBより小さいかどうかを調べ(202)、小さく
なければステップ203に進み、小さければステップ2
12に進む。ステップ203では相電圧Vaが接地電圧
VE(=0V)より大きいかどうかを調べ、大きくなけ
ればステップ204に進み、大きければステップ212
に進む。ステップ212では、短絡スイッチ41の導通
時間を設定するためのタイマaをスタートさせ、直ちに
短絡スイッチ41をオンし(214)、ステップ300
へ進む。
【0037】ステップ204では相電圧Vbがバッテリ
電圧VBより小さいかどうかを調べ、小さくなければス
テップ206に進み、小さければステップ216に進
む。ステップ206では相電圧Vbが接地電圧VE(=
0V)より大きいかどうかを調べ、大きくなければステ
ップ208に進み、大きければステップ216に進む。
ステップ216では、短絡スイッチ42の導通時間を設
定するためのタイマbをスタートさせ、直ちに短絡スイ
ッチ42をオンし(218)、ステップ300へ進む。
【0038】ステップ208では相電圧Vcがバッテリ
電圧VBより小さいかどうかを調べ、小さくなければス
テップ210へ進み、小さければステップ220に進
む。ステップ210では相電圧Vcが接地電圧VE(=
0V)より大きいかどうかを調べ、大きくなければステ
ップ300に進み、大きければステップ220に進む。
ステップ220では、短絡スイッチ43の導通時間を設
定するためのタイマcをスタートさせ、直ちに短絡スイ
ッチ43をオンし(222)、ステップ300へ進む。
【0039】なお、ステップ214、222、218終
了後、直ちにステップ300へ飛ぶのは、図4、図5の
ルーチンは定期的かつ頻繁に実施されており、短絡スイ
ッチ41〜43の位相差によりそれらが1回のルーチン
巡回時間内において一所にオンされることはないからで
ある。また、タイマa、b、cには、ステップ112で
算出された遅延時間ΔTがセットされているものとす
る。
【0040】次のステップ300では、タイマaのカウ
ント値がそれにセットされた短絡時間ΔTに達したかど
うかを調べ、達していなければステップ304へ進み、
満了していれば短絡スイッチ41をオフし、タイマaを
リセットして(302)、ステップ304へ進む。次の
ステップ304では、タイマbのカウント値がそれにセ
ットされた短絡時間ΔTに達したかどうかを調べ、達し
ていなければステップ308へ進み、満了していれば短
絡スイッチ42をオフし、タイマbをリセットして(3
06)、ステップ304へ進む。
【0041】次のステップ308では、タイマcのカウ
ント値がそれにセットされた短絡時間ΔTに達したかど
うかを調べ、達していなければメインルーチン(図2)
にリターンし、満了していれば短絡スイッチ43をオフ
し、タイマcをリセットして(310)、メインルーチ
ンにリターンする。なお、ステップ112は短絡時間を
順次増大するように構成しているが、このルーチンが余
り素早く巡回すると、短絡時間の増大が早すぎるので、
図3のルーチンは所定時間毎に実施することが好まし
い。
【0042】上記動作により、各電機子巻線11〜13
には、流出電流が0になった後、短絡スイッチ41〜4
3を通じて進相電流(短絡電流)が流入し、また、流入
電流が0になった後、短絡スイッチ41〜43を通じて
進相電流(短絡電流)が流出し、これにより図6に示す
ように、電流を進相する状態で波形を正弦波形に近づけ
る。これにより出力が増大し、かつ騒音、振動が減少す
る。
【0043】更に、図6を参照しつつX相を例に具体的
に説明すると、時点t1にてX相の電機子電圧VaがV
Bより小さくなる。この時、短絡スイッチ41によりX
相と後続する位相の電圧を有するY相を短絡すると、2
相間の電圧差でY相である電機子巻線12からX相であ
る電機子巻線11へ短絡電流が流れ、進相電流Δi1が
流れる。時点t2はVaが0V以下となる時点であり、
これ以後は、短絡スイッチ41を遮断しても電機子巻線
11に電流が流れ込むので短絡スイッチ41をオンする
必要がない。すなわち、時点t1〜t2期間は最大の短
絡時間ΔTmaxとなることがわかる。電流方向が逆と
なるだけで全く同様に、時点t3と時点t4との間の期
間は最大の短絡時間ΔTmaxとなり、この期間におい
て、短絡スイッチ41が所定の短絡期間ΔTだけ短絡さ
れ、進相電流Δi2が電機子巻線11から電機子巻線1
2へ流出することがわかる。
【0044】尚、本実施例では、進相電流を給電するタ
イミングで、短絡スイッチを導通させているが、異なる
スイッチ(例えば時刻t1 〜t2 で、短絡スイッチ4
3)を短絡すれば、方向の異なる遅相電流を流すことが
できる。この場合、出力電流を減少させることができ、
界磁量を調整することなく、電力を調整することができ
る。
【0045】本実施例では、短絡期間ΔTを調節するこ
とにより進相電流量を制御しているが、進相電流量を時
点t1〜t2、t3〜t4の間でPWM制御して調節す
ることもできる。PWM制御自体は周知であるので説明
を省略する。また、上記実施例では、各短絡スイッチ1
1〜13はそれぞれ各半周期毎に必ず短絡させている
が、間引きして例えば所定周期に1回だけ短絡させても
よい。なお、短絡時における短絡スイッチ41〜43の
オン抵抗を予め好適な値に設計しておくことにより過大
な短絡電流を防止することができる。ただ、電機子巻線
11〜13のインダクタンスが存在するため、過大な短
絡電流が流れるという可能性は小さい。
【0046】次に、図6において、短絡スイッチ41を
時点t1〜t2の間にて遮断してから時点t2までの期
間の電磁現象について以下に説明する。短絡時間が終了
した時点(以下、t1 ’とする)において、上記短絡電
流が通電されてない場合には、相電圧Vaは通常、低位
直流電源端の電圧(0V)より大きい値であり、時点t
1 ’後、相電流Ixが低位直流電源端から固定子巻線1
1へ流れ込むことはない。
【0047】しかし、時点t1 ’まで固定子巻線11a
短絡相電流を流入させると、時点t 1 ’における短絡ス
イッチ41の遮断時に各固定子巻線11〜13に発生す
る逆起電力が固定子巻線11の出力端の電位すなわち相
電圧Vaを低下させる向きに発生し、この逆起電力の分
だけ相電圧Vaが低下して低位直流電源端(0V)の電
位より低下し、その結果として、発電電流が低位直流電
源端からダイオード34を通じて固定子巻線11に流入
することになる。
【0048】言い換えれば、短絡電流(進相電流)の通
電により固定子巻線11〜13に電磁エネルギが有効に
蓄積され、この電磁エネルギが時点t1 ’以後に放出さ
れると考えられる。なお、この時点t1 ’以後の発電電
流は高位直流電源端からバッテリ10により回収され
る。また、本実施例では上記した短絡スイッチ41〜4
3により進相電流の給電を行うので、万一、これらのス
イッチが遮断不能となってもバッテリ10が放電するこ
とがなく、安全であるという優れた効果を奏する。
【0049】なお、電機子巻線11〜13は図1の星型
接続の他に、Δ接続としてもよく、また相数も三相に限
定されないことは当然である。図9及び図10にこの実
施例の変形態様を示す。これらの変形態様は、図1の実
施例の部分実施であって、図9では2相だけを短絡し、
図10は1相だけを短絡したものである。このようにす
れば回路構成を簡素化しつつ進相電流効果を実現するこ
とができる。
【0050】(実施例2)他の実施例を図7を参照して
説明する。本実施例では、短絡スイッチ411〜413
をスター接続して短絡回路4aを構成したものである。
当然、本実施例では、図1における短絡スイッチ41
の導通時に短絡スイッチ411、412を導通すればよ
く、図1における短絡スイッチ42の導通時に短絡スイ
ッチ412、413を導通すればよく、図1における短
絡スイッチ43の導通時に短絡スイッチ411、413
を導通すればよく、このようにすれば実施例1と同様の
効果を奏する。 (実施例3)他の実施例を図8を参照して説明する。
【0051】本実施例では、図1の短絡スイッチ41の
代わりにIGBT421、431を用い、図1の短絡ス
イッチ42の代わりにIGBT422、432を用い、
図1の短絡スイッチ43の代わりにIGBT423、4
33を用いて、Δ接続型の短絡回路4bを構成したもの
である。当然、IGBT421、431は互いに逆方向
に短絡電流を流すように並列接続され、IGBT42
2、432は互いに逆方向に短絡電流を流すように並列
接続され、IGBT423、433は互いに逆方向に短
絡電流を流すように並列接続されている。そして各IG
BT421〜423、424〜426はそれぞれ短絡通
電可能な半波期間に導通される。導通期間の設定自体は
実施例1と同じである。
【0052】なお、上記した実施例では、ダイオード3
1〜36の両端の電位差に基づいて短絡タイミングを決
定したが、ダイオード31〜36と直列に電流検出用の
低抵抗を接続し、その電位差に基づいて短絡タイミング
を決定してもよい。また、発電機のロータの絶対回転角
度をロータリーエンコーダにより検出し、それに基づい
て短絡タイミングを決定することもできる。
【0053】(変形態様)なお、三相全波整流器3は、
図10に示すように、例えばMOSFETなどの半導体
スイッチング素子からなる三相インバータ回路3bに変
更できることはもちろん。この場合、コントローラ7は
各MOSFETを断続制御する。これにより、モータ発
電切替え動作をする回転機に於いて、発電時に進相電流
を給電でき発電量を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用交流発電装置の一実施例を示す
回路図である。
【図2】実施例1におけるMOSFETの等価回路図で
ある。
【図3】実施例1におけるコントローラ7の具体動作例
を示すフローチャートである。
【図4】実施例1におけるコントローラ7の具体動作例
を示すフローチャートである。
【図5】実施例1におけるコントローラ7の具体動作例
を示すフローチャートである。
【図6】電機子巻線の相電圧Va、Vbと、電機子巻線
11の電流(X相電流)と、短絡回路41の導通タイミ
ングとの関係を示すタイミングチャートである。
【図7】他の実施例を示す回路図である。
【図8】他の実施例を示す回路図である。
【図9】他の実施例を示す回路図である。
【図10】他の実施例を示す回路図である。
【図11】他の実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
1は三相同期発電機(交流発電機)、4は短絡回路(相
間短絡手段)、11〜13は電機子巻線、3は三相全波
整流器(交直電力変換手段)、41〜43は短絡スイッ
チ(半導体スイッチング素子)、7はコントローラ(制
御手段)、3bは三相インバータ回路(正逆両方向通電
開閉回路)、10はバッテリ、ステップ108は回転数
に関連する物理量を検出する検出手段、ステップ201
は電流に関連する状態量を検出する検出手段である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 草瀬 新 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多相の電機子巻線を有する交流発電機と、
    前記電機子巻線から出力される電力を整流して電気負荷
    に給電する交直電力変換手段とを備える車両用発電装置
    において、 半導体スイッチング素子で構成されて前記電機子巻線の
    所定の出力端間を短絡する相間短絡手段と、 前記半導体スイッチング素子を所定のタイミングで開閉
    して前記電機子巻線の前記短絡の電流を通電する制御手
    段と、 を備えることを特徴とする車両用発電装置。
  2. 【請求項2】前記制御手段は、前記半導体スイッチング
    素子を所定のタイミングで開閉して、前記電気子捲線の
    電圧と異なる位相の電気子電流を通電するものである第
    1項記載の車両用発電装置。
  3. 【請求項3】前記交直電力変換手段は、前記電機子巻線
    の出力端にアノードが高位直流電源端にカソードが接続
    されるハイサイドのダイオードと、前記電機子巻線の出
    力端にカソードが低位直流電源端にアノードが接続され
    るローサイドのダイオードとをもつ整流器からなる請求
    項1または2記載の車両用発電装置。
  4. 【請求項4】前記交直電力変換手段は、前記電機子巻線
    の出力端と高位直流電源端とを接続する半導体スイッチ
    ング素子からなるハイサイドスイッチと、前記電機子巻
    線の出力端と低位直流電源端とを接続する半導体スイッ
    チング素子からなるローサイドスイッチとからなる正逆
    両方向通電開閉回路からなる請求項1または2記載の車
    両用発電装置。
  5. 【請求項5】一個の前記半導体スイッチング素子が前記
    電機子巻線の所定の一対の出力端間に介設される請求項
    1または2記載の車両用発電装置。
  6. 【請求項6】前記交流発電機は三相交流発電機であり、
    前記相間短絡手段は、△結線されている請求項5記載の
    車両用発電装置。
  7. 【請求項7】複数の前記半導体スイッチング素子は、前
    記電機子巻線の各出力端と共通接続点との間に個別に介
    設されて、前記相間短絡手段が星型接続回路を構成する
    請求項3又は4記載の車両用発電装置。
  8. 【請求項8】前記半導体スイッチング素子は、MOSF
    ETからなる請求項7記載の車両用発電装置。
  9. 【請求項9】前記MOSFETは、寄生ダイオードの導
    通を阻止する高低抗体を有する請求項8記載の車両用発
    電装置。
  10. 【請求項10】前記MOSFETは、SiCを素材とし
    て形成される請求項8または9記載の車両用発電装置。
  11. 【請求項11】前記半導体スイッチング素子は、一方向
    に電流が流れる単方向性半導体スイッチング素子を互い
    に逆向きかつ並列に接続して構成される請求項1乃至1
    0のいずれか記載の車両用発電装置。
  12. 【請求項12】前記交直電力変換手段はバッテリに給電
    するものである請求項1乃至11のいずれか記載の車両
    用発電装置。
  13. 【請求項13】前記制御手段は、進相電流目標値に対応
    して決定した所定の導通期間の間、所定の導通時点から
    前記半導体スイッチング素子を導通させるものである請
    求項11乃至12のいずれか記載の車両用発電装置。
  14. 【請求項14】前記発電機の回転数に関連する物理量を
    検出する検出手段を有し、前記制御手段は、前記物理量
    に基づいて前記回転数に応じて決定した最大導通期間の
    範囲内で前記導通期間を設定するものである請求項13
    記載の車両用発電装置。
  15. 【請求項15】前記電機子巻線の電流に関連する状態量
    を検出する検出手段を有し、前記進相電流制御手段は、
    前記物理量に基づいて前記半導体スイッチング素子を開
    閉して前記進相電流を制御するものである請求項1乃至
    14のいずれか記載の車両用発電装置。
  16. 【請求項16】前記制御手段は、前記固定子巻線の出力
    端と前記交直電力変換手段の高位直流電源端又は低位直
    流電源端との間の電位差が所定の絶対値以下となった時
    点で前記半導体スイッチング素子を導通するものである
    請求項15記載の車両用発電装置。
  17. 【請求項17】前記制御手段は、前記固定子巻線の出力
    端と前記交直電力変換手段の高位直流電源端又は低位直
    流電源端との間の電位差が所定の絶対値以下となった時
    点から所定遅延時間経過後、前記半導体スイッチング素
    子を遮断するものである請求項15記載の車両用発電装
    置。
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