JPH08298430A - 弾性表面波共振子 - Google Patents

弾性表面波共振子

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JPH08298430A
JPH08298430A JP12956896A JP12956896A JPH08298430A JP H08298430 A JPH08298430 A JP H08298430A JP 12956896 A JP12956896 A JP 12956896A JP 12956896 A JP12956896 A JP 12956896A JP H08298430 A JPH08298430 A JP H08298430A
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reflector
surface acoustic
grating
acoustic wave
reflectance
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JP12956896A
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Yasuo Ehata
泰男 江畑
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グレーティング反射器の反射体一本当りの反
射率を大きくしても、放射バルク波へのモード変換損に
よるQの劣化が生じず、高Qで小形の弾性表面波共振子
を得ること。 【解決手段】 この圧電体基板1上に複数のグレーティ
ング反射器3と、グレーティング反射器の間にインター
ディジタル変換器2を配置した弾性表面波共振子におい
て、グレーティング反射器の反射体5に隣接するインタ
ーディジタル変換器の電極指4の、表面波からバルク波
への変換量を、反射体の表面波からバルク波への変換量
と実質的に等しくし、相互に隣接する反射体と電極指と
の間隔dをバルク波同志が干渉して相殺される距離に設
定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は弾性表面波を応用
した共振子に関する。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波を応用した共振子の構成は、
クリントン・シルベスター・ハートマンらによって提案
(USP3886504、特公昭56-46289号公報)されている。そ
の基本的構造は、図2に示すように電気←→弾性表面波
の変換器であるインターディジタル形変換器(2) と、そ
の両側に隣接して配置された格子構造の弾性表面波反射
器(3) (以下グレーティング反射器と呼ぶ)とから成
る。その動作原理はインターディジタル変換器で励振さ
れた両側に伝搬する弾性表面波が両側の対向するグレー
ティング反射器によって反射され、両反射器間で弾性表
面波の共振が生ずる。この表面波エネルギーはインター
ディジタル変換器によって電気エネルギーに再変換され
る。このようにインターディジタル変換器、及びグレー
ティング反射器の配置を適当な位置に設計することによ
って、インターディジタル変換器端子からみた弾性表面
波共振子は電気的に共振尖鋭度(Q)の高い共振回路と
等価な動作が可能である。一般に反射器の反射体(5)
は、弾性表面波の半波長に等しいくり返し周期すなわち
P=λ/2で配列された時、各々の反射体からの弾性表
面波の反射波は同位相となって相加される為、最も反射
量が大きくなる。また、インターディジタル変換器の電
極(4) についても一般にはソリッド構造電極が使われる
ので電極間隔は表面波の半波長に等しく設計される。
【0003】一方インターディジタル変換器の電極指
と、グレーティング反射器の反射体との間隔dは、弾性
表面波波長をλとした時、d=(N/2±1/8)・λ
に設定する。ここでNは自然数で複号の正負は、反射体
構造によって決まる反射係数の正負に対応していずれか
に決まるものである。いずれにせよdはλ/2とはなら
ず、インターディジタル変換器電極とグレーティング反
射器の反射体のピッチとは等しくなっていない。
【0004】一般に反射体の構造には図3(a)〜
(c)に断面図として示すものが良く知られている。図
3(a)はニオブ酸リチウム基板(6) の上に薄膜導体
(7) で構成された反射体である。表面波反射発生のメカ
ニズムは基板表面上を導体膜で被われている部分といな
い部分での音響インピーダンスの違いによる反射で反射
体1本当りの反射率は基板の電気一機械結合係数Kに比
例し、Y-Z Li Nb O3 基板では約1.5 %の反射率であ
る。しかしながらK2 の小さい基板ではこのような構造
では十分な反射率が得られない為、図3(b)、(c)
で示すように基板(8) 表面に溝を掘ったグルーブ(9) や
基板(10)の表面に誘電体あるいは金属による幾何学的段
差(11)を形成し、段差部の音響的反射を利用する方法が
とられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】優れた弾性表面波共振
子として挙げられる評価項目はいくつかあるが、代表的
なものとしてQの大きいものが、発振器あるいは共振子
フィルタへの応用などに強く望まれている。弾性表面波
共振子においてQは、対向するグレーティング反射器間
を伝搬中に生ずる損失によって決定される。その損失に
は 〔1〕基板自体の伝搬損失 〔2〕グレーティング反射器外へ漏れ出る弾性表面波に
よる損失 〔3〕グレーティング反射器の終端部における弾性表面
波からバルク波モードへのモード変換損 などが代表的なものと考えられる。
【0006】〔1〕の損失は結晶固有のものであり、電
極設計によるQの改善は望めず、これによって決まるQ
をマテリアルQと呼ぴQの上限値とされている。しかし
実際の弾性表面波共振子では〔2〕、〔3〕による損失
が加わり、一般にマテリアルQを大幅に下回るQの共振
子しか実現されてない。
【0007】〔2〕の損失を減少させるには、グレーテ
ィング反射器の反射体の本数を増加させることで可能で
あるが、素子の大きさが大きくなってしまう。素子の大
きさを小さく抑える為には反射体1本当りの反射率を大
きくすることで実現できるが、反射率の増加に伴い、ほ
ぽ2乗で〔3〕のモード変換損失が大きくなってしま
い、Qの低下につながってしまう。Qの高い弾性表面波
共振子を得るには、反射率が高くかつモード変換損の少
ないグレーティング反射器が必要であった。
【0008】このようなグレーティング反射器構造とし
てアール・シー・エム・リー(R.C.M.Li)らはEIectron
ics Letters (1977 Sept.15th Vol.13, No.19 )のp
p.380-381に、グレーティング反射器の終端部を、徐々
に反射率が大きくなるようなテーパ状の深さを有するグ
ルーブ構造を提案している。
【0009】一般に弾性表面波の半波長より短いピッチ
の無限周期の表面摂動では、弾性表面波から放射バルク
波へのモード変換は生じない。
【0010】しかしながらこの周期が定常ではないグレ
ーティング反射器の内、インターディジタル変換器電極
と所定間隔をおいて隣接する端部反射器付近では放射バ
ルク波の相殺が生じない為モード変換が生ずる。
【0011】そこでモード変換が生ずるグレーティング
反射器の上記反射器端部ではグルーブを浅くし、反射率
を抑え、放射バルク波の生じないグレーティング反射器
内部ではグルーブを十分深くして反射率を上げたもので
ある。
【0012】この方法によりQが2倍になったとしてい
る。
【0013】しかしながら、テーパー状のグルーブを形
成するには、製造プロセスが複雑になり量産性は極めて
悪い。
【0014】この発明は上述の欠点を改良したもので、
従来一般に行なわれている弾性表面波共振子の製造プロ
セスと何ら変わることなく、反射体本数が少なくすなわ
ち小形でQの高い弾性表面波共振子を得ることを目的と
する。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、圧電体基体
と、この圧電体基体上に配置された複数のグレーティン
グ反射器と、 前記圧電体基体上に配置され、かつこの
グレーティング反射器の間に配置された少なくとも1個
のインターディジタル変換器とからなる弾性表面波共振
子において、前記グレーティング反射器の反射体に隣接
する前記インターディジタル変換器の電極指の表面波か
らバルク波への変換量を前記反射体の表面波からバルク
波への変換量と実質的に等しくし、前記相互に隣接する
反射体と前記電極指との間隔を前記バルク波同志が干渉
して相殺される距離に設定したことを特徴とする弾性表
面波共振子を提供するものである。
【0016】本発明によれば従来から行なわれてきた弾
性表面波共振子の製造プロセスを何ら変更することな
く、グレーティング反射器の反射体一本当りの反射率を
大きくしても、放射バルク波へのモード変換損によるQ
の劣化が生じない弾性表面波共振子が実現できる。
【0017】このことは従来、高Qの弾性表面波共振子
はグレーティング反射器の反射体本数が多い構造すなわ
ち素子サイズの大きいものでだけ実現されたが、小形で
かつ高Qの弾性表面波共振子が可能となる。
【0018】上述した弾性表面波共振子は媒体中を無損
失で伝搬するいわゆるレーリー波モードを利用した共振
子である。
【0019】これに対し、表面波エネルギーの一部がバ
ルク波として放射されるいわゆるリーキー波(擬似表面
波)を利用する共振子においても同様なQの大幅な向上
が実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の態様を図1を参照
して詳細に説明する。圧電体基体例えば圧電基板(1) と
して、Li2 B4 O7 単結晶の<110> 面を選んだ。この面上
を弾性表面波(以下SAWという)がZ軸方向に伝搬す
るように、インターディジタル変換器(2) 及びグレーテ
ィング反射器(3) を図1に示すように配置した。インタ
ーディジタル変換器及びグレーティング反射器はいずれ
も、アルミニウム薄膜(膜厚6000A(オングストロー
ム))で形成している。Li2 B4 O7 基板はアルミニウム
のエッチング液に対しエッチングされる為、インターデ
ィジタル変換器(2) 及びグレーティング反射器(3) の形
成法はリフトオフ法により形成している。この為、電
極、反射体の端部は急峻な形状をしている。グレーティ
ング反射器の反射体は28.0μm周期(ピッチ)(pg=2
8.0 μm)で線幅約14μmとし、インターディジタル
変換器の電極周期(ピッチ)は27.66 μm(pt=27.66
μm)で線幅約14μmとしている。またインターディジ
タル変換器の電極指とグレーティング反射器の反射体と
の間隔は、互いに所定間隔をおいて隣接するインターデ
ィジタル変換器の電極指とこれに隣接するグレーティン
グ反射器の端部反射体の中心距離dを指すものとし、d
=28.0 μmとしている。インターディジタル変換器の電
極本数は60本、両グレーティング反射器内の反射体本数
は150 本としてある。また電極交差幅は0.7mm である。
【0021】以上の設計値で試作したSAW共振子は、
共振周波数61.23MHz) 共振抵抗30Ω、Q=14500が得られ
た。
【0022】比較の為に試作した従来形SAW共振子す
なわち、インターディジタル変換器の電極周期及びグレ
ーティング反射器の反射体周期は28.0μm、かつ両線幅
を約14μmとし、インターディジタル変換器の電極とグ
レーティング反射器の反射体との間隔を10.5μmとし、
他は全て前述と同じとしたものに比べ、Qは3倍向上し
ている。
【0023】ここで、Qの向上の要因を図4を用いて説
明する。
【0024】従来例の電極指及び反射体の配置では、イ
ンターディジタル変換器とグレーティング反射器との間
隔がその両側のインターディジタル変換器内部及びグレ
ーティング反射器内部での電極及び反射体周期(1/2
波長)と大幅にずれており、図4(a)に示すようにS
AW変位に対する相対位置が変わっている為、この部分
での放射バルク波へのモード変換が避けられない。
【0025】一方、図4(b)に示す本発明の構成で
は、図4(a)に示す従来のような放射バルク波のモー
ド変換が生ずるもの(インターディジタル変換器とグレ
ーティング反射器との境界部の間隔が1/2波長より狭
いタイプ)に対し、インターディジタル変換器の電極指
から生じる放射バルク波量とこれに隣接するグレーティ
ング反射器の端部反射体から生じる放射バルク波量とを
同等とし、かつこれらの間隔をほぼ1/2波長とするこ
とによって、発生したバルク波が干渉しあい相殺され、
みかけ上の隣接反射体の放射バルク波変換量が減り、モ
ード変換によるバルク波の発生はほとんどなく放射バル
ク波としてのエネルギー損失は発生せず、再び弾性表面
波に変換され反射されることになる。
【0026】すなわち本発明によれば、従来生じていた
インターディジタル変換器に隣接するグレーティング反
射器の境界部での放射バルク波へのモード変換による損
失が大幅に減少しQの向上につながっていると考えられ
ることに加え、インターディジタル変換器の電極ピッチ
を良好な共振を生じるよう弾性表面波波長の1/2より
狭くし、グレーティング反射器周期よりせいぜい5%以
下の範囲で狭めることにより共振特性の向上がはかれ
る。
【0027】この変化量は、主としてインターディジタ
ル変換器の電極1本当りのSAW反射率及び電極本数等
によって決まる。本実施例ではSAW反射率は3.5 %
(アルミニウム膜厚6000A(オングストローム))、イ
ンターディジタル変換器の電極周期はグレーティング反
射器反射体周期の0.988 倍とした。
【0028】前述のように、電極及び反射体の1本当り
の反射率が増加するに従いその約2乗でパルク波へのモ
ード変換損は上昇する為、本発明の効果は電極及び反射
体の反射率が大きくなるに従い顕著になる。
【0029】次に本発明の効果を、電極及び反射体1本
当りの反射率を変えた場合について実験結果を示す。
【0030】図5は、本実施例として用いたLi2 B4 O7
基板の<110> 面をZ軸方向に伝搬するSAWのアルミニ
ウム膜による電極及び反射体の1本当りの反射率をアル
ミニウム膜厚に対して求めた結果である。
【0031】この結果からアルミニウム膜厚によって反
射率が自由に変えられることがわかる。
【0032】次にアルミニウム膜厚を500 Aから8000A
まで変えて、本発明による電極配置のものと従来配置の
もののSAW共振子を試作しそのQの変化を実測した。
【0033】図6は横軸に電極及び反射体の反射率、縦
軸に各々の電極配置の場合のQを示す。なお、用いたS
AW共振子は図5と同じくLi2 B4 O7 基板の<110> 面を
Z軸方向に伝搬するSAW共振子であり、アルミニウム
膜厚を6000Aとした。図中、実線は本発明による電極配
置(図1)、破線は従来配置(図2)のものを示す。
【0034】この図からわかるように破線で示す従来の
電極配置のものでは反射率が2〜3%を越えると、バル
クモードへのモード変換損失が急増したことによると思
われる、Qの低下が観測される。
【0035】一方、本発明による電極配置のものでは、
反射率が2%を越えても、前述のようにバルク変換損の
増加が少ない為、Qの劣化はほとんど見られない。
【0036】なお、図5、図6と同様の実験をLiTa03、
水晶を基板とした場合もQの絶対値は基板の固有損に応
じて異なるが傾向は図6と同様の結果が得られた。図6
実線、破線いずれも反射率が小さい時Qが小さい値をと
るが、これは反射体本数が150 本と少ない為でグレーテ
ィング反射器外へSAWが漏れ出ることによるQの低下
である。
【0037】反射率の増加にともないQは増加するが破
線に示す従来パターンでは、反射率2.5 %でQはほぼ80
00の最大値をとり、それ以上では、前述のバルク波モー
ド変換損によりQは低下し、前述の6000Aのアルミニウ
ム膜厚の時、反射率は3.5 %でQはほぼ5000となる。
【0038】一方、本発明による実線では反射体の反射
率の増加に対し前述のようにバルク波モード変換損の増
加が少ないので、Qは向上し反射率3%以上ではグレー
ティング反射器外へ漏れ出すSAWは完全に無視できる
為Qは一定値となる。
【0039】前述のように6000Aのアルミニウム膜厚、
すなわち反射率3.5 %ではQは図6に示すように3倍の
改善がある。
【0040】また、図6からわかるように反射率が1%
を越え、さらに2%以上で本発明の効果が一層高まる。
【0041】一方、グレーティング反射器の反射体本数
を十分多くした時、反射率が小さい時でもグレーティン
グ反射器外へ漏れ出すSAWの損失は無視できるのでQ
の低下は防げる。
【0042】反射率とバルクモード変換損失を使って、
グレーティング反射器の反射体本数を無限大としてシミ
ュレーション計算して求めた結果が図7に示したもので
ある。実線は本発明、破線は従来パターンのものであ
る。
【0043】この結果でも反射率1%以上において本発
明の効果が顕著となることがわかる。これは一般に反射
体の反射率が1%を越える付近でバルク波モードへの変
換損が基板固有の伝搬損を越えるからである。
【0044】以下に、本実施例と従来例(PIDT =PRA
=間隔dの共振子タイプ)において、電極1本当たり
の反射率を一定とし、インターディジタル変換器の電極
ピッチ(PIDT )と、グレーティング反射器の反射体ピ
ッチ(PRA)に関して共振損失値をシミュレーション計
算によって得た各3例について、図12〜図17を参照
して説明する。
【0045】なお、図12〜図17に用いたSAW共振
子は共振周波数が100MHZである。その条件はIDT対数
(電極指の対数)が19対、反射器の反射体の本数が500
本、アパーチャが0.38mm、電気機械結合係数が0.8 、容
量が2.4pF/cm本、IDT−反射器間隔が0.5 λ、負荷が
50Ωに設定したものである。
【0046】まず、図12、図13は電極1本当たりの
反射率を1%、図14、図15は電極1本当たりの反射
率を3%、図16、図17は電極1本当たりの反射率を
5%とした例であり、図12、図14、図16は本発明
の実施例、図13、図15、図17は従来例を示す。
【0047】各図は横軸に周波数(単位 MHZ)、縦軸に
通過レベル[50Ω系通過特性(振幅)](dB)と、反射器
の反射率特性(反射率の絶対値)をとり、設定共振周波
数100MHZによる反射器の反射率特性(反射率の絶対値)
(dB)に対する通過レベル50Ω系通過特性(振幅)(dB)の
特性データである。
【0048】例えば図12の実施例はPIDT /PRA=0.9
849 (IDTピッチは反射器ピッチよりl.51%狭い)の
例を示し、図13の実施例はPIDT /PRA =1.0 (I
DTと反射器は同ピッチ)の例を示している。
【0049】図12によればSAW共振子の50Ω通過レ
ベルは100MHzの共振点における共振損失Arは1.6dB であ
るのに対し、図13ではSAW共振子の50Ω通過レベル
は共振点が99.68MHzであり、共振損失Arは6.8dB と損失
が増大していることがわかる。加えて、得ようとする共
振周波数100MHzに対し、0.32MHz ずれる結果となってい
る。このような違いは電極1本当たりの反射率を3%と
する第14図の実施例と第15図の従来例、さらに電極
1本当たりの反射率を5%とする第16図の実施例と第
17図の従来例からもわかるとおり、各実施例が対応す
る各従来例に対し、著しく良好な共振を生じることが明
白である。
【0050】
【実施例】
(1) 実施例ではインターディジタル変換器及びグレ
ーティング反射器の電極、反射体の構造がアルミニウム
薄膜から構成されていたが、これに限定されることなく
AlにCuやSiなどの不純物を微量ドープした組成のもの、
AuやTiとAu,CrとAuなどの二層構造のものなど導電体材
料からできたものであれば本発明の効果は適用される。
また図8に示すように金属膜の上に誘電体膜を形成した
もの、図9に示すように金属膜をマスクとして基板にグ
ルーブを掘ったもの、図10のように金属膜の上に誘電
体層を設け表面にグルーブを形成したものなどにも本発
明を適用することにより、効果が考えられる。
【0051】(2) 他の実施例として、基板がLi Nb
O3などK2 の大きい基板では、反射体の金属膜を薄くし
ても反射率はK2 /πとなりK2 > 0.03 のものでは反
射率が1%を越える為、バルクモード変換を小さくする
ことは不可能であった。
【0052】この為、Li Nb O3では従来、グルーブでは
Q>3万の共振子が実現されていたが、金属反射体では
どの報告でもQ> 8000 のものは報告されてない。
【0053】本発明に述べたような電極、反射体配置に
することにより、グルーブ構造SAW共振子に匹敵する
Q値を有するSAW共振子が極めてシンプルなプロセス
で実現できる。
【0054】(3) 更に他の実施例として、Li Ta O3
36°YカットX伝搬や、水晶35°YカットZ´伝搬な
どの疑似表面波では一般にわずかづつ基板内部にバルク
波を放射しながら表面を伝搬する為、見かけ上、極めて
伝搬損失が大きい。
【0055】しかしながらこれら表面波は表面に金属や
誘電体の薄膜を形成することによりエネルギーを表面に
集中させ、バルク波を非放射とすることができる。この
為、十分な膜厚のアルミニウムなどの金属膜でインター
ディジタル変換器、グレーティング反射器を構成したS
AW共振子では、インターディジタル変換器内及びグレ
ーティング反射器内では伝搬損失が小さい。
【0056】しかしながら、これらの隣接部では従来の
パターン配置では、深さ方向へのモード分布が大きく異
なる為、バルク波の放射モードが存在することとなりQ
の高い共振子は望めなかった。
【0057】本発明のパターンによればインターディジ
タル変換器、グレーティング反射器ともにモード分布が
一様となる為、エネルギーは完全に表面に集中した状態
で共振を生じることとなり、SAW共振子の高Q化がは
かれる。
【0058】(4) 他の実施例として、いわゆる2ポ
ート形SAW共振子への適用がある。SAW共振子には
実施例で説明したいわゆる1ポート形共振子の変形例と
して対向する1組のグレーティング反射器の間に複数の
インターディジタル変換器が設けられたものが知られて
いる。
【0059】本発明の主旨はSAWの定在波が存在する
部分において、反射体ピッチ、反射器と電極との間隔を
1/2波長、電極ピッチを良好な共振を生じるよう弾性
表面波波長の1/2より狭くし、同一材料、同一構造の
反射体、電極を設けることであるから、この主旨を2ポ
ート形SAW共振子に適用すると、図11のようにな
る。
【0060】すなわちグレーティング反射器(3) 、イン
ターディジタル変換器(2) の隣接問隔dは全て±5%以
内の精度でSAWの1/2波長とすること、複数のイン
ターディジタル変換器が隣接している場合はその間隔も
±5%以内の精度でSAWの1/2波長とし、インター
ディジタル変換器がある間隔を保って設けられている場
合は、その間に外側に設けられたものと同構造で、所定
の反射体本数からなるグレーティング反射器(15)を設
け、前記インターディジタル変換器の電極と反射体との
間隔d′も±5%の精度でSAWの1/2波長とする。
【0061】
【発明の効果】以上により、反射体の反射率を高めて2
%以上にしても放射バルク波へのモード変換損失を低減
できQの大幅な向上が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の弾性表面波共振子を示す平
面図と断面図、
【図2】従来の弾性表面波共振子の一例を示す平面図、
【図3】(a)(b)(c)はグレーティング反射器の
代表的構造を示す断面図、
【図4】(a)(b)は放射バルク波発生を説明するた
めの説明図、
【図5】Li2 B4 O7 基板上に形成したアルミニウム膜に
よる反射体の膜厚と反射率を示す関係図、
【図6】従来例と本発明によるQの向上の実験結果を示
す図、
【図7】従来例と本発明によるQの向上のシミュレーシ
ョン結果を示す図、
【図8】本発明の弾性表面波共振子の他の実施例におけ
る電極、反射体の構造を示す断面図、
【図9】本発明の弾性表面波共振子の他の実施例におけ
る電極、反射体の構造を示す断面図、
【図10】本発明の弾性表面波共振子の他の実施例にお
ける電極、反射体の構造を示す断面図、
【図11】2ポート形SAW共振子への本発明の応用例
を示す図、
【図12】本発明の各実施例の特性データを示す図、
【図13】本発明の各実施例に対応する従来例の特性デ
ータを示す図、
【図14】本発明の各実施例の特性データを示す図、
【図15】本発明の各実施例に対応する従来例の特性デ
ータを示す図、
【図16】本発明の各実施例の特性データを示す図、
【図17】本発明の各実施例に対応する従来例の特性デ
ータを示す図。
【符号の説明】
1・・・ 圧電基板 2・・・ インターディジタル変換器 3・・・ グレーティング反換器 4・・・ 電極指 5・・・ 反射体 pt …インターディジタル変換器の電極ピッチ pg …グレーティング反射器の反射体ピッチ d …互いに所定間隔をおいて隣接するインターディジ
タル変換器の電極指とグレーティング反射器の端部反射
体の中心距離

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体基体と、 この圧電体基体上に配置された複数のグレーティング反
    射器と、 前記圧電体基体上に配置され、かつ前記グレーティング
    反射器の間に配置された少なくとも1個のインターディ
    ジタル変換器とからなる弾性表面波共振子において、 前記グレーティング反射器の反射体に隣接する前記イン
    ターディジタル変換器の電極指の表面波からバルク波へ
    の変換量を前記反射体の表面波からバルク波への変換量
    と実質的に等しくし、前記相互に隣接する反射体と前記
    電極指との間隔を前記バルク波同志が干渉して相殺され
    る距離に設定したことを特徴とする弾性表面波共振子。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9148121B2 (en) 2012-08-17 2015-09-29 Taiyo Yuden Co., Ltd. Acoustic wave filter, duplexer, and module

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US9148121B2 (en) 2012-08-17 2015-09-29 Taiyo Yuden Co., Ltd. Acoustic wave filter, duplexer, and module

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