JPH08297080A - 小型試験片による破壊靭性試験方法 - Google Patents

小型試験片による破壊靭性試験方法

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JPH08297080A
JPH08297080A JP12451595A JP12451595A JPH08297080A JP H08297080 A JPH08297080 A JP H08297080A JP 12451595 A JP12451595 A JP 12451595A JP 12451595 A JP12451595 A JP 12451595A JP H08297080 A JPH08297080 A JP H08297080A
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JP
Japan
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test piece
fracture toughness
small
toughness value
test
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Application number
JP12451595A
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English (en)
Inventor
Masao Toyoda
政男 豊田
Masanao Fujii
正直 藤井
Katsuya Kajimoto
勝也 梶本
Ryosuke Murai
亮介 村井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Priority to JP12451595A priority Critical patent/JPH08297080A/ja
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  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、従来「無効」と判断されていた小型
試験片からも「有効」な破壊靭性値が得られる小型試験
片による破壊靭性試験方法を提供する。 【構成】本発明は、小型試験片2の疲労予亀裂部4の両
側近傍を炭酸ガスレーザによる局部焼入れによって硬化
処理しておき、この小型試験片2の三点曲げ試験を行
い、得られた荷重Pと亀裂開口変位Vg とから破壊靭性
値K1Cを算出する。これにより、疲労予亀裂部4の両側
近傍を硬くして塑性変形し難くし、亀裂先端部の三軸拘
束度を増大させ、小型試験片2からでも、破壊力学で重
要となる平面ひずみ状態の破壊靭性値K1Cを得られるよ
うにして、従来「無効」と判断されていた小型試験片2
からも「有効」な破壊靭性値が得られるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば化学プラントな
ど高温機器など構成する実部材の破壊靭性値を求めるの
に適した小型試験片による破壊靭性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化学プラント等では高温機器の長期使用
により、同機器において各種の経年変化や割れを生じる
ことがある。
【0003】そのため、その余寿命診断を行う機会が増
大している。その際は、機器を構成する実部材の破壊靭
性値をいかに正確に求められるかが重要となる。
【0004】こうした実部材の破壊靭性値K1Cは、図2
6に示すリアクタなど実機1から、図27および図28
に示されるような三点曲げタイプの試験片2を採取し、
この試験片2の破壊試験を行うことで得られる結果に基
づいて算出している。
【0005】すなわち、通常、破壊靭性値K1Cは、図2
8にも示されるように三点曲げ機αを用い、三点曲げタ
イプの試験片2の中央から荷重Pを加えて三点曲げを施
し、このときクリップゲージ3で反対側の疲労予亀裂部
で生じる亀裂開口変位Vg を検出し、結果をアンプ5を
通じてX−Yレコーダ6に出力するという破壊試験を行
い、そのときに得られる荷重Pと亀裂開口変位Vg との
関係線図(P−Vg 線図)より、破壊靭性試験基準(JS
ME S 001)に基づいて算出される。
【0006】ついで、この破壊靭性値K1Cを評価して、
有効な破壊靭性値K1Cであるか否かを判定している。
【0007】この評価手順は、まず、小規模降伏条件
(線形破壊力学による条件)を満足するか否かを判定す
る。
【0008】この判定は、図29、図30に示されてい
るように試験による関係線図で得られる最大荷重Pmax
と95%傾き線と接するときの荷重PQ の比(Pmax
Q)でもって、Pmax /PQ が1.1以下のときは
「満足」、1.1以上のときは「満足せず」と判定され
る。
【0009】ここで、「満足」と判定されると、そのと
き求めた荷重PQ と試験片2の寸法値により図30で示
されるように与式にしたがって破壊靭性値K1Cは得られ
ることとなる。
【0010】また「満足せず」と判定されたときでも、
大規模降伏条件、すなわち図31および図32に示され
る弾塑性破壊力学(J積分法)の条件を満足すれば、そ
こで求まるJ値により破壊靭性値K1Cが得られる。
【0011】具体的には、弾塑性破壊力学による評価に
必要なJ値は、図31に示すP−Vg 曲線下の部位の面
積Aにより、与式にしたがい試験片2の寸法値に基づき
求められる。
【0012】ここで、求めたJ値を材料の降伏強度σy
で割って25倍した値が、板厚Bかリガメント幅b0
小さい方の寸法より小さいときは、そのJ値は「有効」
と判定され、与式にしたがいそのJ値より有効な破壊靭
性値K1Cは得られる。
【0013】しかし、25(J/σy )の値が、板厚B
かリガメント幅b0 の小さい方の寸法より大きいとき
は、そのJ値は「無効」と判定され、有効な破壊靭性値
1Cは得られなくなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的に試
験片サイズが小さくなると、試験部(疲労予亀裂先端
部)の三軸拘束度が緩和され、P−Vg 線図の湾曲度が
大きくなり、破壊力学で重要となる平面ひずみ状態の破
壊靭性値K1Cは得られなくなる。
【0015】つまり、試験片サイズが小さくなると、J
値の算出に必要なP−Vg 曲線下の面積Aが大きくなり
すぎて、J値は無効となり、破壊靭性値K1Cは得られな
くなる。
【0016】したがって、有効な破壊靭性値を得るため
には、試験片サイズを大きくする必要がある。
【0017】そこで、通常は試験片厚さB≧20〜50
mmの試験片サイズを用いる。
【0018】ところが、試験片サイズを大きくすると、
実機に与えるダメージが大きくなるため問題がある。
【0019】このため、実際には廃却する機器から試験
片を切り出し、その試験結果をつぎの機器の設計に適用
するのみで、現在稼働中の機器の余寿命診断に適用する
までには至っていない。
【0020】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、従来「無効」と判断され
ていた小型試験片からも「有効」な破壊靭性値が得られ
るようにした小型試験片による破壊靭性試験方法を提供
することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載した発明は、小型試験片の疲労予亀裂
部の両側近傍を硬化処理した後、三点曲げ試験を行い、
得られた荷重と亀裂開口変位とから破壊靭性値を算出す
ることにある。
【0022】請求項2に記載した発明は、上記目的に加
え、常に「有効」な破壊靭性値が得られるようにするた
めに、請求項1に記載の小型試験片を、疲労予亀裂に平
行な部分(b0 )が2.5以上5.0mm以下の範囲に規
定したことにある。
【0023】請求項3に記載した発明は、上記目的に加
え、好ましい硬化処理が行えるよう、請求項1の硬化処
理に、炭酸ガスレーザによる焼入れ又は電子ビームによ
る焼入れ、拡散溶接による超硬補助部材の溶接又は電子
ビームによる超硬補助部材の溶接を用いたことにある。
【0024】
【作用】請求項1に記載した発明によると、小型試験片
は、疲労予亀裂部(試験部)の両側近傍が硬くなる。
【0025】この硬い部分は塑性変形し難いため、その
近傍の亀裂先端部(試験部)の三軸拘束度(変形拘束
度)が増大する。
【0026】このことは、小さい試験片からでも、破壊
力学で重要となる平面ひずみ状態の破壊靭性値が得られ
るようになり、従来「無効」と判断されていた小型試験
片からも「有効」な破壊靭性値が得られるようになる。
【0027】この結果、機器の余肉部からの試験片の採
取が可能となり、稼働中の機器の余寿命診断が可能とな
る。
【0028】請求項2に記載した発明によると、常に
「有効」な破壊靭性値が得られるようになる。
【0029】請求項3に記載した発明によると、試験に
適した好ましい硬化処理が行えるようになる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を図1ないし図23にもとづい
て説明する。
【0031】図1および図2に示されるように疲労予亀
裂部4の両側近傍を硬化処理した試験片2を製作した。
なお、試験片2の全体は、全て実部材1aである。
【0032】これには、つぎの表1に示されるような試
験片の種類、焼入れを施していない比較例(原厚の試験
片を含む)を用意した。
【0033】
【表1】 すなわち、試験片2の板厚Bは、原厚の20mm(以降、
原厚試験片)と、小型の5mm(以降、板厚5mm小型試験
片)、2.5mm(以降、2.5mm小型試験片)の三種類
がある。
【0034】そして、板厚5mm小型試験片と板厚2.5
mm小型試験片には、疲労予亀裂部の両側近傍を局部的に
硬くするために疲労予亀裂が入る位置を挟んで両側に予
め炭酸ガスレーザに局部焼入れを施したものも用意し
た。2aは、その焼入れが施された炭酸ガスレーザ焼入
れ部を示している。
【0035】炭酸ガスレーザ焼入れ条件は、母材部と焼
入れ部2aとの硬度差を[Hv max/HV B ]=2.7
倍にするために、板厚5mm小型試験片はレーザ出力を
1.8kw、レーザトーチの走査速度を1.0m/min に設
定し、板厚2.5mm小型試験片はレーザ出力を1.0k
w、レーザトーチの走査速度を1.5m/min に設定し
た。更に板厚5mm小型試験片には、母材部と焼入れ部2
aの硬度差を約2.0倍にした(レーザ出力;1.5k
w、レーザトーチの走査速度を1.2m/min )ものも用
意した。
【0036】図3および図4には、この母材部と焼入れ
部2aの硬度差を2.7倍に設定してレーザ焼入れを施
した板厚5mm小型試験片の図2中、AーA線に沿う部位
の断面マクロ組織(金属組織)の顕微鏡写真および硬さ
の分布例が示され、図6および図7には、更に硬度差を
2.0倍に設定してレーザ焼入れを施した板厚5mm小型
試験片の図5中、CーC線に沿う部位の断面マクロ組織
(金属組織)の顕微鏡写真および硬さの分布例が示して
ある。
【0037】このときの疲労予亀裂部4の組織および硬
さは母材部と同様であり、レーザ焼入れによる材質変化
の影響は認められない。
【0038】焼入れを施すと、疲労予亀裂部4の両側近
傍は、塑性変形し難い硬い部分となるため、試験部(亀
裂先端部)の三軸拘束度が増大するものである。
【0039】こうした試験片を用いて、試験部の変形拘
束度の増大効果試験、三点曲げ試験を行い、得られた荷
重Pと亀裂開口変位(クリップゲージ開口変位)Vg と
から破壊靭性値K1Cを算出した。
【0040】この破壊靭性試験結果をつぎに説明する。
【0041】図9は、図8に示されている板厚20mmの
原厚試験片(比較例1)の試験結果を示し、つぎの数式
は、この試験結果にしたがい破壊靭性値K1Cを求めるま
での手順を示してある。
【0042】
【数1】 すなわち、荷重Pと亀裂開口変位(クリップゲージ開口
変位)Vg の関係を示すP−Vg 曲線はほぼ直線関係を
示し、弾塑性破壊力学によるJ値は「有効」と判定さ
れ、そのJ値から換算された破壊靭性値K1Cは「176
kgf/mm3 / 2 」であった。
【0043】なお、線形破壊力学による評価の平面ひず
み破壊条件は、試験片の板厚Bが必要板厚に対して若干
小さく、満足していない。
【0044】図11は、図10に示されている変形拘束
なしの板厚5mm小型試験片(比較例2)の試験結果を示
し、つぎの数式は、この試験結果にしたがい破壊靭性値
1Cを求めるまでの手順を示してある。
【0045】
【数2】 すなわち、P−Vg 曲線は大きく湾曲した塑性的挙動を
呈している。このP−Vg 曲線より得られる弾塑性破壊
力学によるJ値は「無効」と判定され、有効な破壊靭性
値K1Cは得られなかった。
【0046】図13は、図12に示されている、変形拘
束のために、疲労予亀裂部4の中心からレーザ焼入れ部
2aの中心までの距離eを2.5mm(e=0.5B)に
し、更にレーザ焼入れ部2aの最高硬さを母材硬さに対
して2.7倍(Hv max =2.7Hv B )に設定して、
レーザ焼入れを施した板厚5mm小型試験片(実施例1)
の試験結果を示し、つぎの数式は、この試験結果にした
がい破壊靭性値K1Cを求めるまでの手順を示してある。
【0047】
【数3】 これによると、PーVg 曲線は、先の変形拘束なし(板
厚5mm)のときの曲線より改善されているが、まだ大き
く湾曲し塑性的挙動を呈している。このP−Vg 曲線よ
り得られる弾塑性破壊力学によるJ値は「無効」と判定
され、有効な破壊靭性値K1Cは得られなかった。
【0048】図15は、図14に示されている、変形拘
束のために、疲労予亀裂部4の中心からレーザ焼入れ部
2aの中心までの距離eを1.5mm(e=0.3B)に
し、更にレーザ焼入れ部2aの最高硬さを母材硬さに対
して2.7倍(Hv max =2.7HV B )に設定して、
レーザ焼入れを施した板厚5mm小型試験片(実施例2)
の試験結果を示し、つぎの数式は、この試験結果にした
がい破壊靭性値K1Cを求めるまでの手順を示してある。
【0049】
【数4】 これによると、P−Vg 曲線は、先の変形拘束なし(板
厚5mm)ときの曲線に比べて大きく改善されて、ほぼ直
線関係を示した。このP−Vg 曲線より得られる弾塑性
破壊力学によるJ値は「有効」と判定され、J値から換
算された破壊靭性値K1Cは「173kgf/mm3 / 2 」であ
り、先の板厚20mmの原厚試験片の結果と同様の値を示
した。
【0050】図17は、図16に示されている、変形拘
束のために、疲労予亀裂部4の中心からレーザ焼入れ部
2aの中心までの距離eを1.5mm(e=0.3B)に
し、更にレーザ焼入れ部2aの最高硬さを母材硬さに対
して2.0倍(Hv max =2.0HV B )に設定して、
レーザ焼入れを施した板厚5mm小型試験片(実施例3)
の試験結果を示し、つぎの数式は、この試験結果にした
がい破壊靭性値K1Cを求めるまでの手順を示してある。
【0051】
【数5】 これによると、P−Vg 曲線は、先のレーザ焼入れ部2
aの最高硬さと母材硬さとの比(Hv max /Hv B )を
2.7に設定したものと同様に、ほぼ直線関係を示し
た。このP−Vg 曲線より得られる弾塑性破壊力学によ
るJ値は「有効」と判定され、J値から換算された破壊
靭性値K1Cは「186kgf/mm3 / 2 」であり、先の板厚
20mmの原厚試験片の結果と同様の値を示した。
【0052】図19は、図18に示されている変形拘束
なしの板厚2.5mm小型試験片(比較例3)の試験結果
を示し、つぎの数式は、この試験結果にしたがい破壊靭
性値K1Cを求めるまでの手順を示してある。
【0053】
【数6】 すなわち、P−Vg 曲線は、先の板厚5mm小型試験片
(変形拘束なし)のときの曲線より湾曲度が大きく、塑
性的挙動を呈した。このP−Vg 曲線より得られる弾塑
性破壊力学によるJ値は「無効」と判定され、有効な破
壊靭性値K1Cは得られなかった。
【0054】図21は、図20に示されている、変形拘
束のために、疲労予亀裂部4の中心からレーザ焼入れ部
2aの中心までの距離eを1.5mm(e=0.6B)に
し、更にレーザ焼入れ部2aの最高硬さを母材硬さに対
して2.7倍(Hv max =2.7HV B )に設定して、
レーザ焼入れを施した板厚2.5mm小型試験片(実施例
4)の試験結果を示し、つぎの数式は、この試験結果に
したがい破壊靭性値K1Cを求めるまでの手順を示してあ
る。
【0055】
【数7】 これによると、P−Vg 曲線は、先の変形拘束なし(板
厚2.5mm)のときの曲線に比べて若干改善されている
が湾曲度はなお大きい。このP−Vg 曲線より得られる
弾塑性破壊力学によるJ値は「無効」と判定され、有効
な破壊靭性値K1Cは得られなかった。
【0056】図23は、図22に示されている、変形拘
束のために、疲労予亀裂部4の中心からレーザ焼入れ部
2aの中心までの距離eを1.0mm(e=0.4B)に
し、更にレーザ焼入れ部2aの最高硬さを母材硬さに対
して2.7倍(Hv max =2.7Hv B )に設定して、
レーザ焼入れを施した板厚2.5mm小型試験片(実施例
5)の試験結果を示し、つぎの数式は、この試験結果に
したがい破壊靭性値K1Cを求めるまでの手順を示してあ
る。
【0057】
【数8】 これによると、P−Vg 曲線は、先の変形拘束なし(板
厚2.5mm)のときの曲線に比べて大きく改善されてお
り、ほぼ直線関係を示した。このP−Vg 曲線より得ら
れる弾塑性破壊力学によるJ値は「有効」と判定され、
J値から換算された破壊靭性値K1Cは「173kgf/mm3
/ 2 」であり、先の板厚20mmの原厚試験片の結果と同
様の値を示した。
【0058】以上の試験結果をまとめると、つぎに示す
表2のようになる。
【0059】
【表2】 これらの試験結果により、小型試験片からも大型試験片
並の有効な破壊靭性値K1Cを得るためには、疲労予亀裂
部4の両側近傍を硬化処理で硬くしてやればよいことが
わかる。
【0060】つまり、硬い部分が塑性変形し難いため
に、その近傍の亀裂先端部(試験部)の三軸拘束度が増
大するという理由から、破壊力学で重要となる平面ひず
み状態の破壊靭性値K1Cが得られるようになり、従来、
「無効」と判断されていた小型試験片からも有効な破壊
靭性値K1Cが得られるようになる。
【0061】この小型の試験片ですむ結果、機器の余肉
部(くされ代)からの試験片の採取が可能となり、稼働
中の機器の余寿命診断が可能となる。
【0062】特に、疲労亀裂に平行な部分(b0 )が、
2.5以上5.0mm以下である範囲に定めた小型試験片
であると、常に「有効」な破壊靭性値K1Cが算出される
ことがわかった。
【0063】しかも、疲労予亀裂部4の両側近傍を局部
的に硬化する適性条件は、疲労予亀裂部4から焼入れ中
心までの距離eが試験片板厚Bの0.4倍以下(e/B
≦0.4)、焼入れ部2aの最高硬さ母材硬さの2倍以
上必要であることがわかった。
【0064】なお、硬化処理として、炭酸ガスレーザに
よる焼入れを採用したが、電子ビームによる焼入れでも
よい。
【0065】また全てが実部材1aで構成された試験片
に硬化処理を施して硬い部分を得るのではなく、図24
に示されるように小片となる実部材1bを用い、この疲
労予亀裂部4の両側近傍となる実部材1bの両端部に超
硬材等の補助部材7(超硬補助部材)を電子ビーム溶接
で接合して試験片を構成するという、試験片を部分的に
硬くする処理で、必要な硬い部分を得てもよい。なお、
7aは電子ビーム溶接部分を示す。
【0066】この他、図25に示されるように小片とな
る実部材1bを用い、この疲労予亀裂部4の両側近傍と
なる実部材1bの両端部にSKH鋼等の超硬材8(超硬
補助部材)を拡散接合で接合して試験片を構成するとい
う、試験片を部分的に硬くする処理で、必要な硬い部分
を得てもよい。なお、8aは拡散接合部分を示す。
【0067】このようにしても、先に述べたのと同様、
従来、「無効」と判断されていた小型試験片からも有効
な破壊靭性値K1Cが得られる。
【0068】こうした試験片でも、硬い部分に係わる適
性条件は同様であった。
【0069】すなわち、前者の電子ビームによる超硬補
助部材の溶接は、疲労予亀裂部4から焼入れ中心までの
距離eが試験片板厚Bの0.4倍以下(e≦0.4
B)、電子ビーム溶接部8の最高硬さHv max が母材
(疲労予亀裂部)硬さHV B の2倍以上であり、後者の
拡散溶接による超硬補助部材の溶接は、疲労予亀裂部4
から超硬補助部材の端部までの距離eが試験片板厚Bの
0.4倍以下(e≦0.4B)、超硬補助部材のHv
max が母材(疲労予亀裂部)硬さHv B の2倍以上であ
った。
【0070】むろん、いずれのときも疲労亀裂に平行な
部分(b0 )が、2.5以上5.0mm以下である範囲に
定めた小型試験片であると、常に「有効」な破壊靭性値
1Cが算出されるものであった。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発
明によれば、小さい試験片からでも、破壊力学で重要と
なる平面ひずみ状態の破壊靭性値が得られるようにな
り、従来「無効」と判断されていた小型試験片からも
「有効」な破壊靭性値が得られるようになる。
【0072】この小型の試験片ですむ結果、機器の余肉
部からの試験片の採取が可能となり、稼働中の機器の余
寿命診断が可能となる。
【0073】請求項2に記載の発明によれば、上記請求
項1の発明の効果に加え、小型試験片で、常に「有効」
な破壊靭性値が得られるようになる。
【0074】請求項3に記載の発明によれば、上記請求
項1の発明の効果に加え、試験に適した好ましい硬化処
理が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試験方法に用いられる疲労予亀裂部の
両側近傍を硬化処理した小型試験片を示す斜視図。
【図2】レーザ焼入れが疲労予亀裂部の両側近傍に施さ
れた「Hv max /Hv B =2.7」の板厚5mm小型試験
片の外観を示す斜視図。
【図3】同試験片の図2中、A−A線に沿う断面の金属
組織を拡大して示す顕微鏡写真。
【図4】同断面部分の硬さ分布を示す線図。
【図5】レーザ焼入れが疲労予亀裂部の両側近傍に施さ
れたHv max /Hv B =2.0の板厚5mm小型試験片の
外観を示す斜視図。
【図6】同試験片の図5中、C−C線に沿う断面の金属
組織を概略的に示す断面図。
【図7】同断面部分の硬さ分布を示す線図。
【図8】原厚試験片の外形を各部の寸法と共に示す斜視
図。
【図9】同原厚試験片による破壊靭性試験で得られたP
ーVg 曲線を示す線図。
【図10】変形拘束の無い板厚5mm小型試験片の外形を
各部の寸法と共に示す斜視図。
【図11】同変形拘束の無い板厚5mm小型試験片による
破壊靭性試験で得られたPーVg曲線を示す線図。
【図12】炭酸ガスレーザ焼入れが施され、e=0.5
B、Hv max =2.7Hv B に設定された板厚5mm小型
試験片を各部の寸法と共に示す斜視図。
【図13】同板厚5mm小型試験片による破壊靭性試験で
得られたPーVg 曲線を示す線図。
【図14】炭酸ガスレーザ焼入れが施され、e=0.3
B、Hv max =2.7HV B に設定された板厚5mm小型
試験片を各部の寸法と共に示す斜視図。
【図15】同板厚5mm小型試験片による破壊靭性試験で
得られたPーVg 曲線を示す線図。
【図16】炭酸ガスレーザ焼入れが施され、e=0.3
B、Hv max =2.0Hv B に設定された板厚5mm小型
試験片を各部の寸法と共に示す斜視図。
【図17】同板厚5mm小型試験片による破壊靭性試験で
得られたPーVg 曲線を示す線図。
【図18】変形拘束の無い板厚2.5mm小型試験片の外
形を各部の寸法と共に示す斜視図。
【図19】同板厚2.5mm小型試験片による破壊靭性試
験で得られたPーVg 曲線を示す線図。
【図20】炭酸ガスレーザ焼入れが施され、e=0.6
B、Hv max =2.7Hv B に設定された板厚2.5mm
小型試験片の外形を各部の寸法と共に示す斜視図。
【図21】同板厚2.5mm小型試験片による破壊靭性試
験で得られたPーVg 曲線を示す線図。
【図22】炭酸ガスレーザ焼入れが施され、e=0.4
B、Hv max =2.7Hv B に設定された板厚2.5mm
小型試験片の外形を各部の寸法と共に示す斜視図。
【図23】同板厚2.5mm小型試験片による破壊靭性試
験で得られたPーVg 曲線を示す線図。
【図24】疲労予亀裂部の両側近傍に超硬補助部材を電
子ビーム溶接により接合した小型試験片を示す斜視図。
【図25】疲労予亀裂部の両側近傍に超硬補助部材を拡
散溶接により接合した小型試験片を示す斜視図。
【図26】試験片が採取されることを説明するための実
機を示す図。
【図27】同試験片による破壊靭性試験を説明するため
の図。
【図28】同試験片を説明するための斜視図。
【図29】小規模降伏の場合の破壊靭性値K1Cの測定の
要領を説明するための線図。
【図30】線形破壊力学による破壊靭性値K1Cの算出を
説明するための図。
【図31】大規模降伏の場合の破壊靭性値K 1c の測定の
要領を説明するための線図。
【図32】弾塑性破壊力学による破壊靭性値K1Cの算出
を説明するための図。
【符号の説明】 1a…実部材 2…試験片 2
a…焼入れ部 3…クリップゲージ 4…疲労予亀裂部 7,8…補助部材,超硬材(超硬補助部材) 7
a…電子ビーム溶接部 8a…拡散接合部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村井 亮介 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小型試験片の疲労予亀裂部の両側近傍を
    硬化処理した後、三点曲げ試験を行い、得られた荷重と
    亀裂開口変位とから破壊靭性値を算出することを特徴と
    する小型試験片による破壊靭性試験方法。
  2. 【請求項2】 前記小型試験片は、疲労予亀裂に平行な
    部分が2.5以上5.0mm以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の小型試験片による破壊靭性試験方法。
  3. 【請求項3】 前記硬化処理は、炭酸ガスレーザによる
    焼入れ又は電子ビームによる焼入れ、拡散溶接による超
    硬補助部材の溶接又は電子ビームによる超硬補助部材の
    溶接であることを特徴とする請求項1に記載の小型試験
    片による破壊靭性試験方法。
JP12451595A 1995-04-26 1995-04-26 小型試験片による破壊靭性試験方法 Pending JPH08297080A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100370240C (zh) * 2005-05-16 2008-02-20 河海大学 土体断裂参数的测试方法及其测试仪
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JP2010160028A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Toshiba Corp 異材継手部の破壊強度評価方法
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