JPH08295480A - 吊り上げ・設置用把持装置及びブロック搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】荷重均等な吊り上げと斜面への安全かつ円滑な
設置をおこなうために、対象物品ごとに取替え可能な把
持部アタッチメントを有してその把持を確実・容易なも
のとし、設置場所の直上に接近したとき、吊持した物品
の把持姿勢を設置面の傾斜とほぼ平行に傾斜制御してゆ
るやかに設置できるように改善する。 【構成】本実施例装置Ｙが斜面の保護工等に使用される
中空コンクリートブロックマットを吊り上げるための専
用の把持部アタッチメント１(11,12,13,14) と、概略天
秤型の骨格構造を有した姿勢保持手段２(21,22,23,24)
と、把持姿勢を可変調整するための傾斜制御機構３(31,
31a,31b,32) を具備する。把持部アタッチメント１は対
象物品ごとに取替え可能であり、本体構造は吊り上げ・
設置用把持装置Ｘとして汎用される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、クレーン等により物品
の吊り上げ・設置をおこなう際に使用される物品の把持
装置に係り、詳しくは、斜面の保護工等に使用されるコ
ンクリート製品等（特に、中空コンクリートブロック列
又はマットに代表される。）の把持に適した把持部アタ
ッチメントを有し、設置場所の直上に接近したとき、吊
持した物品の把持姿勢を設置面の傾斜とほぼ平行に傾斜
制御してゆるやかに設置できるように改善した吊り上げ
・設置用把持装置及びブロック搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、クレーン等によりコンクリート製
品等重量物の吊り上げ・設置をおこなう際には、吊持し
た物品の把持姿勢をほぼ水平又は垂直に保持して空中で
のバランスを崩さないように留意することが一般的であ
った。

【０００３】この形態で法面等の施工場所にコンクリー
ト製品を吊り上げて設置する場合、設置平面と物品の据
付け面（把持姿勢）とが平行にならないので安全かつ円
滑な据付けが難しかった。

【０００４】近年、斜面の保護工等において中空コンク
リートブロックマットを連続敷設して、地表侵食を防止
するとともに積極的な緑化を図ることへの要請が高まっ
ており、ブロックマットを工場生産する場合も多い。こ
こでは、施工時のみならず輸送時の作業性も考慮されな
ければならない。

【０００５】この場合、従来的にはマットの縁を専用の
把持装置により吊り下げた状態で搬送し敷設する方法が
とられていた。この手段と方法では、ブロックとマット
の固着力やマットの強度が不足すると、ブロックがマッ
トから脱落したり、ブロックマット全体が落下したりす
ることがあった。また、ブロックマットを吊り下げた状
態で搬送、敷設するため着地位置が不正確になり易く、
作業者による位置修正が必要となり、このための労力と
時間を割いてきた。

【０００６】したがって、荷役、施工の工費を低減する
ことが困難であり、しかもブロックとマットの固着力や
マットの強度が要求されるため材料費等製造コストが嵩
むという問題があった。

【０００７】こうしたなかで本出願人は、先に「中空コ
ンクリートブロックマット製造用型枠及び中空部の形成
方法」（特願平６−３２９６８３号）を提案しており、
その要旨は、主に中空コンクリートブロックマットの製
造技術に関するものであるが、記載内容の一部に輸送時
や施工時の作業上の目的効果についても示唆している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、施工上
の課題に対する具体的な解決手段を開示するまでには至
らなかった。

【０００９】すなわち、この種のブロックマットは面積
及び重量が比較的大きな物品となるので、荷重均等な吊
り上げと斜面への安全かつ円滑な設置は作業上重要な問
題となっていた。

【００１０】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
のであって、荷重均等な吊り上げと斜面への安全かつ円
滑な設置をおこなうために、対象物品ごとに取替え可能
な把持部アタッチメントを有してその把持を確実・容易
なものとし、設置場所の直上に接近したとき、吊持した
物品の把持姿勢を設置面の傾斜とほぼ平行に傾斜制御し
てゆるやかに設置できるように改善した吊り上げ・設置
用把持装置及びブロック搬送装置を提供することを目的
とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、把持手段を装着して吊持した物品の把持姿
勢を保持するための姿勢保持手段と把持姿勢を可変調整
するための傾斜制御機構とを具備して吊持した物品の把
持姿勢を少なくとも水平長手方向に傾斜制御するように
した吊り上げ・設置用把持装置であって、その特徴的構
成は、把持手段が物品を多点で把持又は掛止してバラン
ス吊持可能かつ物品ごとに取替え可能な把持部アタッチ
メントとして構成されるものであり；姿勢保持手段が把
持部アタッチメントを着脱自在に装設可能なレバーアー
ムと、このレバーアームの重心位置に回動自在な連結部
材を介して立設される吊りビームと、この吊りビームの
吊り端からレバーアームに立脚し、かつ、それぞれが独
立又は連携して伸縮可能な等脚アームからなり、概略天
秤型の骨格構造を有したものであり；傾斜制御機構が傾
斜角度設定手段の角度設定に基づいて外部付設の動力源
により圧力調整された作動流体を上記等脚アームに動力
伝達し吊りビームに対するレバーアームの水平姿勢を傾
斜制御するものである。ようにしたことを特徴とするも
のである。

【００１２】また、上記吊り上げ・設置用把持装置を本
体として、斜面の保護工等に使用される中空コンクリー
トブロック列又は中空コンクリートブロックマット（以
下、ブロック列又はマットという。）を吊り上げるため
の専用の把持部アタッチメントを結合したブロック搬送
装置であって、把持部アタッチメントが筏様のフレーム
を有してブロック列又はマット概外形に相応し、かつ、
ブロック中空部に対峙するフレームの多点位置に中空部
造形用の中子と相似する形状の把持部を設けて一体的に
構成されるとともに、前記把持部が独立したエアーシー
ケンス回路を有して中子様本体に組み込まれた掛止用可
動爪を有してなり、この掛止用可動爪をブロック中空部
進入時及びブロック列又はマットの吊持移動時には本体
周部から外方に開いてブロックの掛止部に係合して掛止
するとともに、ブロック列又はマットの設置時には本体
内に閉じて設置後のブロック列又はマットから離脱する
ものとしたことを特徴とするものである。

【００１３】ここで、上記ブロック搬送装置のレバーア
ームおよび／または把持部アタッチメントのフレームに
関節部を設け、設置面の凹凸に対応するように構成する
場合がある。

【００１４】

【作用】傾斜制御機構により、姿勢保持手段の等脚アー
ムを伸縮作動させ、レバーアームを水平長手方向に所定
角度傾斜することができる。

【００１５】ブロック列又はマット用の把持部アタッチ
メントを結合したブロック搬送装置については、上記傾
斜制御機構と動力源を一にする独立したエアーシーケン
ス回路により、把持部の掛止用可動爪を開閉動作し、多
点掛止と多点離脱を一時におこなわせる。

【００１６】すなわち、掛止用可動爪が中子様本体に組
み込まれ、ブロック中空部進入時及び吊持移動時には本
体周部から外方に開いてブロックの掛止部に係合し、ブ
ロック列又はマット設置時には本体内に閉じて設置後の
ブロック列又はマットから離脱するものである。

【００１７】

【実施例】本発明の一実施例を添付図面にしたがって以
下に説明する。

【００１８】例示の装置（以下、実施例装置という。）
は、把持手段をブロック列又はマットを吊り上げ・設置
するために専用の把持アタッチメントを有するものとし
たブロック搬送装置であって、請求項２又は３に係る発
明と対応するものである。ここで、主要部の姿勢保持手
段及び傾斜制御機構は請求項１記載の吊り上げ・設置用
把持装置の本体構造と共通しており、実施例装置がこれ
を包含するものとなっているので、請求項１に係る発明
の実施例記載は省略する。

【００１９】図１はブロック搬送装置の正面図、側面図
及び平面図である。

【００２０】図２は同じく傾斜制御機構を含む把持状態
を説明する正面図、側面図及び平面図である。

【００２１】各図に共通して１が把持部アタッチメント
（把持手段）、２が姿勢保持手段、３が傾斜制御機構、
11がフレーム、12が把持部（中子様本体）、21がレバー
アーム、22が吊りビーム、23が等脚アーム、24がエアー
シリンダー、31が角度計（傾斜角度設定手段）、32がリ
ミットスイッチ（傾斜角度設定手段）、33が制御ボック
ス、Ｘが本体構造（吊り上げ・設置用把持装置）及びＹ
がブロック搬送装置（本実施例装置）である。

【００２２】図示するように、本実施例装置（Ｙ）の姿
勢保持手段（２）は概略天秤型の骨格構造を有したもの
であり、物品を多点で把持又は掛止してバランス吊持可
能かつ物品ごとに取替え可能な把持部アタッチメント
（１）を着脱自在に装設可能なレバーアーム（21）と、
このレバーアーム（21）の重心位置に回動自在な連結部
材を介して立設される吊りビーム（22）と、この吊りビ
ーム（22）の吊り端からレバーアーム（21）に立脚し、
かつ、それぞれが独立又は連携して伸縮可能なエアーシ
リンダー（24）〔作動流体を変更してオイルシリンダー
とされる場合がある。〕を有した等脚アーム（23）から
なっている。

【００２３】傾斜制御機構（３）は、等脚アーム（23）
のエアーシリンダー（24）を伸縮作動させてレバーアー
ム（21）を水平長手方向に傾斜制御するための機能構成
であって、外部付設の動力源（図示省略）及びエアーシ
ーケンス回路（図示省略）と傾斜角度設定手段（31）と
制御ボックス（32）からなるものである。

【００２４】この傾斜角度設定手段（31）は、例えば角
度計（31ａ）とリミットスイッチ（31ｂ）を結合したも
のとされレバーアーム（21）に設けられる。

【００２５】図示のものはブロック列又はマットを吊り
上げるための専用の把持部タッチメント（１）であり、
筏様のフレーム（11）を有してブロックマット概外形に
相応し、かつ、ブロック中空部に対峙するフレーム（1
1）の多点位置に中空部造形用の中子と相似する形状の
ブロック把持部（12）を有して一体的に構成されてい
る。

【００２６】ここで、レバーアームおよび／または把持
部アタッチメントのフレームに関節部を設け、設置面の
凹凸に対応するように構成する場合がある。（図示省
略）

【００２７】ブロック把持部（12）の詳細を図３に示
す。図中、13が掛止用可動爪及び14がエアーシリンダー
である。

【００２８】このブロック把持部（12）を構成する中子
様本体に組み込まれた掛止用可動爪（13）は、独立した
エアーシーケンス回路を有するエアーシリンダー（14）
により駆動され、ブロック中空部進入時及び吊持移動時
には本体周部から外方に開いてブロックの掛止部に係合
しブロック列又はマットを掛止するものであり、ブロッ
ク列又はマット設置時には本体内に閉じて設置後のブロ
ック列又はマットから離脱するものとされる。この動力
源は上記傾斜制御機構（３）における動力源と同一であ
る。

【００２９】そこで、把持から吊り上げ・設置にいたる
一連の機器動作又は機器操作を説明すると、まず、対象
物品に適した把持部アタッチメント（１）を選択して姿
勢保持手段（２）のレバーアーム（21）に取付け、物品
にセットするとともに把持を完了する。

【００３０】クレーン等により物品及び本実施例装置
（Ｙ）を吊り上げ、設置場所の直上に移送し、中空で吊
持した物品の把持姿勢（据付け面）を設置面の傾斜とほ
ぼ平行になるように傾斜制御機構（３）を機能させてレ
バーアーム（21）を水平長手方向に所定角度傾斜させ
る。この状態で設置場所（施工場所）に接近してゆき、
ゆるやかに設置する。

【００３１】ここで、上記実施例装置（Ｙ）の活用事例
を以下〜に列挙する。

【００３２】ブロック列又はマットの施工において、
全ブロック又はブロック列の外周ないしはこれが不十分
な場合は外周以外の要所のブロックを把持する等、把持
部アタッチメントへのブロック把持部の装備を適宜に選
択することができるので、必ずしもブロック全数を把持
することなく安全にかつ能率よく搬送及び敷設すること
ができる。

【００３３】把持部アタッチメントのフレーム等に植
物の種子や顔料等の排出器を組み込み敷設時に自動制御
又は手動操作して植生や彩色等の付随的な作業手段を搭
載兼備することができるので、従来的な植生マット（マ
ットの布に植物の種子を織り込んだもの）を使用する必
要がなくなる。

【００３４】実施例装置ではブロック列を把持搬送す
る構造としているが、ブロック把持部を１個とする把持
部アタッチメントを構成しても構わない。

【００３５】実施例装置の傾斜制御手段ではエアーシ
ーケンス（回路）と可撓ケーブルを接続した操作箱によ
る遠隔操作を採用しているが、操作箱は装置に固定して
使用することも可能である。また、電気制御に代替する
ことも可能であり、この場合は無線操作とすることもで
きる。

【００３６】また、陸上のブロック敷設のみならず、
水面下のブロック敷設においても敷設面を干水すること
なく所望のブロック列を敷設することが可能である。

【００３７】したがって、把持部アタッチメント（１）
は、実施例装置（Ｙ）に代表されるようにその利用先で
ある把持対象物品に応じて自由に改変されてよく、本発
明の保護範囲が上記実施例に限定されることはない。

【００３８】

【発明の効果】本発明は以上の構成よりなるものであ
り、これによれば設置場所の直上に接近したとき、吊持
した物品の把持姿勢を設置面の傾斜とほぼ平行に傾斜制
御するので、荷重均等な吊り上げと斜面への安全かつ円
滑な設置が可能である。

【００３９】把持部アタッチメントが対象物品ごとに取
替え可能であり、専用の把持部アタッチメントを使用し
てその把持を確実・容易なものとし、作業性を大幅に改
善することができる。

【００４０】ブロック列又はマット専用の把持部アタッ
チメントを搭載したブロック搬送装置については、マッ
ト平面上に規則的に配置された多数のブロックの全て又
は一部を一時に多点掛止してバランスよく吊り上げ、搬
送し、設置できるので、施工はもとより貯蔵又は運搬等
の荷役においても作業能率や作業安全性を向上する等有
益な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例であるブロック搬送装置の正
面図、側面図及び平面図である。

【図２】同じく傾斜制御機構を含む把持状態を説明する
正面図、側面図及び平面図である。

【図３】同じく把持部の詳細を示す部分拡大断面概略図
である。

【符号の説明】

１ 把持部アタッチメント（把持手段） ２ 姿勢保持手段 ３ 傾斜制御機構 11 フレーム 12 把持部（中子様本体） 13 掛止用可動爪 14 エアーシリンダー 21 レバーアーム 22 吊りビーム 23 等脚アーム 24 エアーシリンダー 31 傾斜角度設定手段 31ａ 角度計（傾斜角度設定手段） 31ｂ リミットスイッチ（傾斜角度設定手段） 32 制御ボックス Ｘ 本体構造（吊り上げ・設置用把持装置） Ｙ ブロック搬送装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０２Ｄ 17/20 １０３ Ｅ０２Ｄ 17/20 １０３Ｈ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クレーン等により物品の吊り上げ・設置
   をおこなう際に使用される物品の把持装置において、把
   持手段を装着して吊持した物品の把持姿勢を保持するた
   めの姿勢保持手段と把持姿勢を可変調整するための傾斜
   制御機構とを具備して吊持した物品の把持姿勢を少なく
   とも水平長手方向に傾斜制御するようにした吊り上げ・
   設置用把持装置であって、把持手段が物品を多点で把持
   又は掛止してバランス吊持可能かつ物品ごとに取替え可
   能な把持部アタッチメントとして構成されるものであ
   り；姿勢保持手段が、把持部アタッチメントを着脱自在
   に装設可能なレバーアームと、このレバーアームの重心
   位置に回動自在な連結部材を介して立設される吊りビー
   ムと、この吊りビームの吊り端からレバーアームに立脚
   し、かつ、それぞれが独立又は連携して伸縮可能な等脚
   アームからなり、概略天秤型の骨格構造を有したもので
   あり；傾斜制御機構が傾斜角度設定手段の角度設定に基
   づいて外部付設の動力源により圧力調整された作動流体
   を上記等脚アームに動力伝達し吊りビームに対するレバ
   ーアームの水平姿勢を傾斜制御するものであることを特
   徴とする吊り上げ・設置用把持装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の吊り上げ・設置用把持装
   置を本体として、斜面の保護工等に使用される中空コン
   クリートブロック列又は中空コンクリートブロックマッ
   ト（以下、ブロック列又はマットという。）を吊り上げ
   るための専用の把持部アタッチメントを結合したブロッ
   ク搬送装置であって、把持部アタッチメントが筏様のフ
   レームを有してブロック列又はマット概外形に相応し、
   かつ、ブロック中空部に対峙するフレームの多点位置に
   中空部造形用の中子と相似する形状の把持部を設けて一
   体的に構成されるとともに、前記把持部が独立したエア
   ーシーケンス回路を有して中子様本体に組み込まれた掛
   止用可動爪を有してなり、この掛止用可動爪をブロック
   中空部進入時及びブロック列又はマットの吊持移動時に
   は本体周部から外方に開いてブロックの掛止部に係合し
   て掛止するとともに、ブロック列又はマットの設置時に
   は本体内に閉じて設置後のブロック列又はマットから離
   脱するものとしたことを特徴とするブロック搬送装置。
3. 【請求項３】 レバーアームおよび／または把持部アタ
   ッチメントのフレームに関節部を設け、設置面の凹凸に
   対応するようにした請求項２記載のブロック搬送装置。