JPH08294950A - 射出成形機の型駆動方法および型駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 型開閉シリンダ装置の径が比較的小さく高速
で駆動できるにも拘らず、オーバーパック等の現象が生
じたときでも、型開きすることができる、射出成形機の
型駆動方法を提供する。 【構成】 比較的断面積の大きい型締ピストン・シリン
ダ装置（１２’、１２’、…）で型締めし、比較的断面
積の小さい型開閉ピストン・シリンダ装置（２０）で型
閉じ方向と型開き方向とに駆動する型駆動方法におい
て、型開閉ピストン・シリンダ装置（２０）により金型
タッチ位置から型を開くとき、型締ピストン・シリンダ
装置（１２’、１２’、…）に型開き方向に供給する時
間または位置を設定する。零時間または零位置を設定す
ると型剥離工程は無視されて、型開閉ピストン・シリン
ダ装置（２０）により直ちに高速で型開きされる。所定
時間を設定すると、設定時間だけ圧油が供給されて、型
締ピストン・シリンダ装置（１２’、１２’、…）によ
り型剥離工程が行なわれる。その後は型開閉ピストン・
シリンダ装置（２０）により高速で型開きされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、比較的断面積の大きい
型締ピストン・シリンダ装置で型締めし、比較的断面積
の小さい型開閉ピストン・シリンダ装置で型を駆動する
型駆動方法およびこの方法の実施に直接使用される射出
成形機の型駆動装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】射出成形機の型駆動装置の１つに直圧式
の型締装置が知られている。直圧式の型締装置は、周知
のように、基台に固定された型締ハウジングを備えてい
る。そしてこの型締ハウジングに比較的大径の型締シリ
ンダが取り付けられている。型締シリンダのピストンは
直接可動盤に接続されている。したがって、型締シリン
ダの例えばシリンダヘッド側に圧油を供給すると、可動
盤が固定盤の方へ駆動され型締めされる。またロッド側
に供給すると、可動盤が固定盤から離間する。このよう
に、直圧式の型締装置は、型締シリンダによって直接可
動盤が駆動されるようになっているので、トグル機構を
備えた型締装置に比較して構造が簡単であり、また型厚
調整が不要という特徴を有する。しかしながら、キャビ
テイに射出された樹脂圧により金型が開かないような大
きな型締め力を得るために、型締装置のシリンダの径は
比較的大きく選定されているので、ピストンの動きが遅
く、可動盤の駆動速度が小さく、射出成形サイクルが長
くなる欠点がある。そこで、型開閉専用の比較的小径の
シリンダからなる型開閉シリンダを備えた直圧式の型締
装置が提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
直圧式型締機も、型開閉シリンダを備えているので、型
締めするときは金型タッチ位置まで高速で駆動し、射出
成形後も型開閉シリンダで金型を高速で開き、射出成形
サイクルを短縮することはできるので、通常は格別問題
はない。しかしながら、樹脂が金型に多く入りすぎるオ
ーバーパック等の現象が生じると、型開閉シリンダの駆
動力は、型締シリンダの約１／２０に設定されているの
で開かないことがある。これに対処するために型開閉シ
リンダの径を大きくすると、金型の駆動速度が小さくな
って射出成形サイクルが長くなってしまう。また、型開
閉シリンダで金型を金型タッチ位置まで駆動したら、今
度は型締シリンダにより型締め動作に入るが、この時型
締シリンダ内に作動油が満たされていないと、作動油が
満たされ、そして型締め圧力が生じるまでに時間がかか
り、結局、射出成形サイクルが長くなることになる。本
発明は、上記したような問題点を解決した射出成形機の
型駆動方法および型駆動装置を提供しようとするもの
で、具体的には型開閉シリンダ装置の径が比較的小さく
高速で駆動できるにも拘らず、オーバーパック等の現象
が生じたときでも、型開きすることができる、射出成形
機の型駆動方法およびこの方法の実施に直接使用される
型駆動装置を提供することを目的としている。また、他
の発明は上記目的に加えて金型タッチ位置まで金型を駆
動すると、直ちに型締め動作に入ることのできる射出成
形機の型駆動装置を提供することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、比較的断面積の大きい型締ピストン・シ
リンダ装置で型締めし、比較的断面積の小さい型開閉ピ
ストン・シリンダ装置で型閉じ方向と型開き方向とに駆
動する型駆動方法において、前記型開閉ピストン・シリ
ンダ装置により金型タッチ位置から型を開くとき、前記
型締ピストン・シリンダ装置に型開き方向に設定時間ま
たは設定位置分だけ圧油を供給して、型剥離工程を行う
ように構成される。請求項２記載の発明は、固定金型が
取り付けられる固定盤に対して、可動金型が取り付けら
れる可動盤を型締め方向と型開き方向とに駆動する比較
的断面積の大きい型締ピストン・シリンダ装置と、前記
可動盤を同様に型締め方向と型開き方向とに駆動する比
較的断面積の小さい型開閉ピストン・シリンダ装置とを
備え、前記型締ピストン・シリンダ装置は、第１油圧回
路により、そして前記型開閉ピストン・シリンダ装置は
第２油圧回路により駆動されるようになっている型駆動
装置であって、前記第１油圧回路には、前記型締ピスト
ン・シリンダ装置に設定時間または設定位置分だけ型開
き方向に圧油を供給する型剥離駆動手段が設けられてい
る。請求項３記載の発明は、請求項２記載の型剥離駆動
手段は、第１油圧回路に介装され、型締ピストン・シリ
ンダ装置に給排する圧油の方向を切り替える電磁方向切
替弁であり、請求項４記載の発明は、請求項２または３
記載の型締ピストン・シリンダ装置のピストンの両側に
画成される油圧室と油室の受圧面積は等しいと共に、前
記油圧室と油室は開閉弁が介装されている連絡管路で接
続されている。そして請求項５記載の発明は、請求項２
〜４のいずれかの項に記載の型開閉ピストン・シリンダ
装置と型締ピストン・シリンダ装置とが、固定盤１に固
定されている。

【０００５】

【作用】型開閉ピストン・シリンダ装置で可動盤を金型
タッチ位置から直接型開きできるような時には、例えば
制御装置のタイマに、型締ピストン・シリンダ装置に型
開き方向に圧油を供給する設定時間または設定位置を零
に設定する。そうすると、型剥離工程は無視されて金型
タッチ位置から型開閉シリンダ装置により高速で型開き
される。型閉じ方向にも高速で駆動される。オーバーパ
ック等の現象が生じる恐れがあるときは、制御装置に型
開き方向に供給する供給時間または設定位置を適宜設定
する。そうすると、型締シリンダ装置に型開き方向に圧
油が供給される。可動盤は、型締ピストン・シリンダ装
置により大きな力で制御装置のタイマに設定した所定時
間すなわち所定距離だけ開かれ、型剥離工程が行われ
る。その後、型開閉ピストン・シリンダ装置で高速で型
開きされる。請求項３記載の発明においては、型締ピス
トン・シリンダ装置の型開き方向への圧油の供給が電磁
方向切替弁で行われる。請求項４記載の発明において
は、型開閉ピストン・シリンダ装置で可動盤を金型タッ
チ位置から直接型開きできるような時には、例えば制御
装置のタイマに、型締ピストン・シリンダ装置に型開き
方向に供給する設定時間を零に設定する。また連絡管路
の開閉弁を「開」にしておく。そうすると、剥離工程は
無視されて型開き方向に型開閉ピストン・シリンダ装置
により直ちに高速で駆動される。このとき、油圧室と油
室は連通しているので、可動盤が駆動されるとき、すな
わち型締シリンダが移動するとき、一方の油室中の作動
油は他方の油圧室に開閉弁を通ってそっくり移動する。
可動盤の金型が固定盤の金型にタッチすると、型締ピス
トン・シリンダ装置に圧油を供給して型締め動作に入
る。このとき、一方の油室中の作動油は他方の油圧室に
そっくり移動して満たされているので、直ちに型締めさ
れる。型締めするときは、開閉弁は閉鎖しておく。オー
バーパック等の現象が生じる恐れがあるときは、例えば
制御装置のタイマに型開き方向に圧油を供給する供給時
間を適宜設定する。このとき、連絡管路の開閉弁は閉鎖
しておく。そうすると、型締ピストン・シリンダ装置に
型開き方向に設定時間だけ圧油が供給される。可動盤
は、型締ピストン・シリンダ装置により大きな力で制御
装置のタイマに設定した所定時間すなわち所定距離だけ
開かれ、型剥離工程が行われる。その後、型開閉ピスト
ン・シリンダ装置で高速で型開きされる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。本実施例
に係わる型駆動装置の第１実施例は、図１に示されてい
るように、複数本例えば４本のタイロッド１０、１０、
…と、これらのタイロッド１０、１０、…のそれぞれと
協働するシリンダ１３、１３、…と、型締シリンダ装置
１２’、１２、’、…と、型開閉シリンダ装置２０と、
第１、２の油圧回路６０、７０とから概略構成されてい
る。この型駆動装置で駆動される型装置は、周知のよう
に、基台Ｋ上に固定されている固定盤１と、同様に基台
Ｋ上に固定されている固定プレート２と、基台Ｋ上のレ
ール３上を図において左右方向に移動自在に設けられて
いる可動盤４とから概略構成されている。そして固定盤
１には固定金型５が、また可動盤４には可動金型６が取
り付けられている。

【０００７】固定プレート２に、タイロッド１０、１
０、…の一方の端部が固定または挿入されている。そし
て他方の端部はナット１１、１１、…で固定盤１に固定
されている。これにより固定盤１と固定プレート２は、
４本のタイロッド１０、１０、…で所定間隔に結合され
ている。そして可動盤４は、これらのタイロッド１０、
１０、…により左右方向に移動自在に案内されるように
なっている。タイロッド１０、１０、…は、型締シリン
ダ・ピストン装置１２’、１２’、…のピストンロッド
の作用も奏し、可動盤４と固定プレート２との間に位置
する部分にピストン１２、１２、…が形成されている。
そしてピストン１２、１２…を取り囲むようにしてシリ
ンダ１３、１３、…が設けられている。それぞれのシリ
ンダ１３、１３、…の端部は、可動盤４に固定されてい
る。

【０００８】タイロッド１０、１０、…の、少なくとも
シリンダ１３、１３、…内に位置する部分の径は同じで
ある。したがって、ピストン１２、１２、…によって、
その両側に形成されている、右側に位置する油圧室１
４、１４、…と、左側に位置する油室１５、１５、…の
受圧面積は等しい。

【０００９】可動盤４を固定盤１の方へ駆動する、ある
いは離間する方向へ駆動する型開閉シリンダ装置２０
も、シリンダ２１と、このシリンダ２１内に移動自在に
設けられているピストン２２とからなるピストン・シリ
ンダ機構として構成されている。シリンダ２１の端部
は、可動盤４と一体のフランジ２３に固定されている。
そしてピストン棒２４は、フランジ２３を摺動自在に貫
通して固定盤１のフランジ２５にナット２６により固定
されている。なお、この型開閉シリンダ装置２０は、シ
リンダ内径が小さいものが使用され、また速度を早くす
るためには、吐出圧は比較的低いが、吐出量は大きいポ
ンプが適用されることも考えられる。したがって、ピス
トン２２の右側の駆動室２７に圧油を供給すると、可動
盤４が固定盤１の方向に高速で駆動され、左側の戻し室
２８に圧油を供給すると、可動盤４が固定盤１から離間
する型開きの方向に高速で駆動される。

【００１０】シリンダ１３、１３、…の油圧室１４、１
４、…に圧油を供給すると共に、油圧室１４、１４、…
と油室１５、１５、…との間に作動油を給排あるいは交
換するための第１油圧回路６０は、図１の（ロ）に示さ
れているように、ポンプ４０の吐出管路４１、型締管路
４４、戻管路４５、連絡管路４７等から構成されてい
る。そして吐出管路４１には３ポジション電磁弁４２が
接続され、パイロット操作逆止弁４３を通った圧油は、
型締管路４４から油圧室１４に供給されるようになって
いる。３ポジション電磁弁４２の出口ポートには戻管路
４５が接続され、この戻管路４５はシリンダ１３の他方
の油室１５に接続されている。また型締管路４４には、
油圧室１４側への作動油の流れを許容するパイロット操
作逆止弁４３が介装され、戻管路４５には油室１５側へ
の作動油の流れを許容するパイロット操作逆止弁４６が
それぞれ介装されている。そしてパイロット操作逆止弁
４３は、戻管路４５からのパイロット圧が印加されると
タンクＴ側へ導通し、パイロット操作逆止弁４６は、型
締管路４４からのパイロット圧が印加されると同様にタ
ンクＴ側へ導通するようになっている。

【００１１】また、シリンダ１３の油圧室１４と油室１
５を接続している連絡管路４７にはパイロット操作開閉
弁４８が介装されている。パイロット操作開閉弁４８
は、パイロット圧が作用しないときは、油圧室１４と油
室１５との間に自由に作動油が流れるが、型締管路４４
から分岐しているパイロットライン４９ｃまたはポンプ
４０の吐出管路４１から分岐しているパイロットライン
４９ａによりバネ付勢の電磁弁４９えお介してパイロッ
ト圧が作用すると、閉鎖されるようになっている。

【００１２】このように、型締管路４４と戻管路４５に
はパイロット操作逆止弁４３、４６がそれぞれ介装され
ているので、次の実施例の作用の箇所で説明するよう
に、油圧室１４と油室１５との間を作動油が移動すると
きに、油圧室１４あるいは油室１５に作動油が不足する
と、タンクＴからパイロット操作逆止弁４３あるいは４
６を通って油圧室１４あるいは油室１５に自吸される。
したがって、油圧室１４、油室１５、連絡管路４７等の
系は作動油で常に満たされていることになる。

【００１３】ポンプ４０の吐出管路４１からは、第２の
油圧回路７０が分岐している。すなわち分岐管路７１に
は３ポジション電磁弁７２が介装され、この３ポジショ
ン電磁弁７２と型開閉シリンダ装置２０の左側の戻し室
２８と、右側の駆動室２７は、戻し管路７３と駆動管路
７４とでそれぞれ接続されている。なお、本実施例の型
駆動装置は、図には示されていないが、制御装置を備え
ており、３ポジション電磁弁４２、７２、バネ付勢の電
磁弁４９等は制御装置からの信号により切り替えられる
ようになっている。また、制御装置には設定可能なタイ
マも備えており、これらの弁、特に３ポジション電磁弁
４２の切り替え時期が設定されるようになっている。

【００１４】次に、上記第１実施例の作用について説明
する。図１の（イ）に示されているように、固定盤１に
は固定金型５が、そして可動盤４には可動金型６が取り
付けられ、型締めするときから説明する。第２油圧回路
の３ポジション電磁弁７２をＢポジションに切り替え
る。そうすると、ポンプ４０から分岐管７１を通って型
開閉シリンダ装置２０のピストン２２の右側の駆動室２
７に圧油が供給される。ピストン棒２４は固定盤１に固
定されているので、シリンダ２１により可動盤４が固定
盤１の方向へ高速で駆動される。すなわち金型タッチ位
置まで高速で駆動される。

【００１５】このとき、３ポジション電磁弁４２および
バネ付勢の電磁弁４９は、図１の（ロ）に示されている
ように、Ｃおよびａポジションにそれぞれ在るので、シ
リンダ１３の左側に位置する油室１５、１５、…の作動
油は、連絡管路４７により、パイロット操作開閉弁４８
を通って油圧室１４、１４、…に還流する。油室１５、
１５、…と油圧室１４、１４、…との受圧面積は等しい
ので、油室１５、１５、…中の作動油は、そっくり油圧
室１４、１４、…に移動することになる。

【００１６】可動金型６が、型開閉シリンダ装置２０に
より金型タッチ位置まで高速で駆動されたら、リミット
スイッチの検知信号や図示していない制御装置からの位
置信号により３ポジション電磁弁４２はＢポジション
に、そしてバネ付勢の電磁弁４９もｂポジションにそれ
ぞれ切り替わる。そうすると、ポンプ４０から高圧の圧
油が型締管路４４およびパイロット操作逆止弁４３を通
って油圧室１４、１４、…に供給される。同時にパイロ
ット操作開閉弁４８が型締管路４４からのパイロット圧
により閉じられる。タイロッド１０、１０、…すなわち
ピストン１２、１２、…は、固定されているので可動盤
４が固定盤１に対して型締め方向に駆動される。このと
き油圧室１４、１４、…には既に作動油が満たされてい
るので、圧油を供給すると直ちに型締め作用が生じる。
従来周知のようにして、固定金型５と可動金型６に形成
されているキャビテイに溶融樹脂を射出して成形する。

【００１７】制御装置のタイマに型剥離工程の時間を設
定する。すなわち３ポジション電磁弁４２をＡポジショ
ンにしておく時間を設定する。射出した溶融樹脂が冷却
固化した後に３ポジション電磁弁４２をＡポジション
に、またバネ付勢の電磁弁４９はｂポジションに切り替
える。そうすると、ポンプ４０から戻管路４５に圧油が
供給され、型締シリンダ装置１２’、１２’、…の油室
１５、１５、…に圧油が供給される。パイロット操作開
閉弁４８には、吐出管路４１のパイロット圧がパイロッ
トライン４９ａおよびバネ付勢の電磁弁４９を介して印
加されているので閉じている。したがって、可動盤４は
型締シリンダ装置１２’、１２’、…により大きな力で
制御装置のタイマに設定した時間または設定距離だけ開
かれる。その後、３ポジション電磁弁４２をＣポジショ
ンに、そしてバネ付勢の電磁弁４９をａポジションに切
り替えて、型締管路４４および戻管路４５をタンクＴに
導通し、パイロット操作逆止弁４３、４６を閉じた状態
にする。そすると、型締管路４４中の作動油はパイロッ
ト圧として作用しなくなり、パイロット操作開閉弁４８
は開放され、連絡管路４７は導通し油圧室１４、１４、
…と油室１５、１５、…との間は自由に作動油が流れる
状態になる。

【００１８】次いで、３ポジション電磁弁７２をＡポジ
ションに切り替える。そうすると、ポンプ４０から分岐
管７１を通って型開閉シリンダ装置２０のピストン２２
の左側の戻し室２８に圧油が供給される。前述した理由
により、可動盤４が高速で開かれる。従来周知のように
エジェクタピンにより成形品が突き出される。取出機等
により成形品を取り出す。この型開き動作中は、バネ付
勢の電磁弁４９をａポジションに切り替えているので、
パイロット操作開閉弁４８は開放され、油圧室１４、１
４、…中の作動油は、前述したように、連絡管路４７を
通ってそっくり油室１５、１５、…へ流れる。なお、制
御装置のタイマに零時間を設定すると、型剥離工程は無
視されて金型タッチ位置から型開閉シリンダ装置２０に
より直接高速で型開きされる。

【００１９】シリンダ１３の油圧室１４、１４、…中の
作動油を抜くときは、３ポジション電磁弁４２をＡポジ
ションに、そしてバネ付勢の電磁弁４９をｂポジション
にする。そうすると、ポンプ４０からの圧油がパイロッ
ト圧としてパイロット操作逆止弁４３に作用し、パイロ
ット操作逆止弁４３のみが導通状態になる。型開閉シリ
ンダ装置２０により、可動盤４を型開き方向に駆動する
と、シリンダ１３の油圧室１４、１４、…中の作動油が
パイロット操作逆止弁４３を通ってタンクＴに排出され
る。

【００２０】上記実施例によると、第１油圧回路６０を
使用して作動油を所定温度に昇温することもできる。ま
た、可動盤４を所定位置に保持することもできる。すな
わち、３ポジション電磁弁４２をａポジションに切り換
える。そうすると、作動油はポンプ４０から吐出管路４
１、３ポジション電磁弁４２、戻管路４５、パイロット
操作逆止弁４６、油室５、連絡管路４７、パイロット操
作開閉弁４８、油圧室１４、型締管路４４および戻管路
４５中のパイロット圧で開いているパイロット操作逆止
弁４３を通ってタンクＴへ還流あるいは循環する。循環
するときに管路４１、４５、、弁４２、４６、、等の流
体抵抗により昇温する。上記のように、例えば温度セン
サが所定温度になったことを検知するまで循環させるこ
とにより作動油を加温することができる。なお、３ポジ
ション電磁弁４２をｂポジションに切り換えて、逆方向
に循環せせて加温できることは明らかである。

【００２１】例えば、図示しない制御装置が可動盤４が
型開き設定位置に達したことを検知すると、型保持動作
に入ることができる。すなわち３ポジション電磁弁４２
は、既にＣポジションに切り替わり、型締管路４４およ
び戻管路４５中の作動油はタンクＴに開放されパイロッ
ト操作逆止弁４３、４６は閉じた状態になっているの
で、バネ付勢の電磁弁４９をｂポジションに切り換え
る。そうすると、ポンプ４０の吐出管路４１から分岐し
ているパイロットライン４９ａにより、パイロット圧が
パイロット操作逆止弁４８に作用し、パイロット操作逆
止弁４８は閉じられる。したがって、油室１５と油圧室
１４との間の作動油の行き来が阻止され、シリンダ１３
がロックされる。シリンダ１３がロックされるので、可
動盤４がロックされ可動金型６が保持される。従来周知
のようにエジェクタピンにより成形品が突き出される
間、例えばエジェクタ待機時間、エジェクタピンの前
進、保持、後退および予備時間中型を保持する。

【００２２】型駆動装置の第２実施例が、図２に示され
ている。第１実施例では型締シリンダ装置１２’、１
２、’、…は可動盤４に固定されているが、第２実施例
では固定盤１の方に固定されている。したがって、タイ
ロッド１０、１０、…の一方の端部は可動盤４に固定さ
れ、他方は固定プレート２に対して軸方向に移動自在に
設けられている。このように型締シリンダ装置１２’、
１２、’、…が可動盤４に固定されているので、型開閉
シリンダ装置２０のシリンダ２１も固定盤１に固定さ
れ、ピストン棒２４の端部は可動盤４に固定されてい
る。型締シリンダ装置１２’、１２、’、…を可動盤４
に固定しても、図１の（ロ）に示されている油圧回路６
０がそっくり適用でき、同じような効果が得られること
が明らかであるので、同じような作用を奏する主な部材
に同じ参照符号を付けて重複説明はしないが、第２実施
例によると、射出装置を４個の型締シリンダ装置１
２’、１２、’、…の内側空間に配置でき、全体がコン
パクトになる効果が得られる。

【００２３】本発明は、色々な形で実施できる。例えば
上記実施例では、型剥離工程中には３ポジション電磁弁
４２により型締ピストン・シリンダ装置に圧油が供給さ
れているが、３ポジション電磁弁４５に代えて他の弁を
設けても供給できるし、また別の油圧回路から供給する
ように実施することもできる。ただ、上記実施例のよう
に３ポジション電磁弁４２により供給すると、弁４２が
共用できて構造が簡単になり、安価になる効果が得られ
る。さらには、連絡管路４７には、パイロット操作開閉
弁４８が介装されているが、この弁に代えて電磁開閉弁
を設けることもできる。そうして型締めするときと、型
剥離工程を行うときは、この電磁開閉弁を閉じ、可動盤
４を駆動するときは開くようにする。また、パイロット
操作逆止弁４３、４６は、型締管路４４あるいは戻し管
路４５のパイロット圧により開放されるようになってい
るので、作動が確実であると共に回路構成が簡潔になっ
ているが、これらのパイロット操作逆止弁４３、４６お
よび開閉弁４８は型開閉シリンダ装置２０の駆動と関連
して、あるいは型締め動作に関連して発生するパイロッ
ト圧により開放するように実施できることも明らかであ
る。さらには、上記実施例では可動盤４を固定盤１の方
へ駆動する、あるいは離間する方向へ駆動する駆動装置
には型開閉シリンダ装置２０が適用されているが、他の
駆動手段例えばモータと、このモータで回転駆動される
スクリュウによっても同様に実施できる。なお、上記実
施例の作用は、型剥離工程以外は手動的に操作されるよ
うに説明したが、制御装置により自動的に操作できるこ
とは明らかである。また、図１の（ロ）には、１個のポ
ンプ４０から１個の型締シリンダ装置１２’のシリンダ
１３に圧油が供給されるように示されているが、４個の
シリンダ１３、１３、…に同時に供給できることも明ら
かである。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、本発明によると、比較的
断面積の大きい型締ピストン・シリンダ装置で型締め
し、比較的断面積の小さい型開閉ピストン・シリンダ装
置で型閉じ方向と型開き方向とに駆動するので、高速で
型を駆動することができると共に大きな力で型締め出来
る。そして型開閉ピストン・シリンダ装置により金型タ
ッチ位置から型を開くとき、型締ピストン・シリンダ装
置に型開き方向に設定時間または設定位置分だけ圧油を
供給して、型剥離工程を行うので、オーバーパック等の
現象が生じたときでも、型開きすることができ、さらに
は設定時間または設定位置を零に設定することにより従
来のように型開閉ピストン・シリンダ装置により直ちに
型開きできる、という本発明特有の効果が得られる。請
求項３記載の発明によると、型剥離駆動手段が第１油圧
回路に介装され、型締ピストン・シリンダ装置に給排す
る圧油の方向を切り替える電磁方向切替弁であるので、
射出成形機の型駆動装置が簡単になる効果が得られる。
請求項４記載の発明によると、型締ピストン・シリンダ
装置のピストンの両側に画成される油圧室と油室の受圧
面積は等しいと共に、油圧室と油室は開閉弁が介装され
ている連絡管路で接続されているので、上記発明の効果
に加えて、開閉弁を開いて型開閉ピストン・シリンダ装
置により可動盤を駆動するときは、型締ピストン・シリ
ンダ装置の一方の油室の作動油は、他方の油圧室にそっ
くり移動する。したがって、油圧室は、常に作動油で満
たされ、圧油を油圧室に供給すると直ちに型締め作用が
得られるという効果が付加される。請求項５記載の発明
によると、型締シリンダ装置が固定盤に固定されている
ので、射出機を型締シリンダ装置の内側空間に配置で
き、全体がコンパクトになる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる型駆動装置の第１実施例を示す
図で、その（イ）は型駆動装置の模式的断面図で、その
（ロ）は油圧回路図である。

【図２】本発明に係わる型駆動装置の第２実施例の模式
的断面図である。

【符号の説明】

１ 固定盤 ２ 固定プレート ４ 可動盤 １０ タイロッド １２’ 型締ピストン・シリンダ装置 １２ ピストン １３ シリンダ １４ 油圧室 １５ 油室 ２０ 型開閉シリンダ装置 ４２ ３ポジション電磁弁 ４４ 型締管路 ４５ 戻管路 ４７ 連絡管路 ６０ 第１油圧回路 ７０ 第２油圧回路

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 比較的断面積の大きい型締ピストン・シ
   リンダ装置（１２’、１２’、…）で型締めし、比較的
   断面積の小さい型開閉ピストン・シリンダ装置（２０）
   で型閉じ方向と型開き方向とに駆動する型駆動方法にお
   いて、 前記型開閉ピストン・シリンダ装置（２０）により金型
   タッチ位置から型を開くとき、前記型締ピストン・シリ
   ンダ装置（１２’、１２’、…）に型開き方向に設定時
   間または設定位置分だけ圧油を供給して、型剥離工程を
   行うことを特徴とする射出成形機の型駆動方法。
2. 【請求項２】 固定金型（５）が取り付けられる固定盤
   （１）に対して、可動金型（６）が取り付けられる可動
   盤（４）を型締め方向と型開き方向とに駆動する比較的
   断面積の大きい型締ピストン・シリンダ装置（１２’、
   １２’、…）と、前記可動盤（４）を同様に型締め方向
   と型開き方向とに駆動する比較的断面積の小さい型開閉
   ピストン・シリンダ装置（２０）とを備え、前記型締ピ
   ストン・シリンダ装置（１２’、１２’、…）は、第１
   油圧回路（６０）により、そして前記型開閉ピストン・
   シリンダ装置（２０）は第２油圧回路（７０）により駆
   動されるようになっている型駆動装置であって、 前記第１油圧回路（６０）には、前記型締ピストン・シ
   リンダ装置（１２’、１２’、…）に設定時間または設
   定位置分だけ型開き方向に圧油を供給する型剥離駆動手
   段（４２）が設けられていることを特徴とする射出成形
   機の型駆動装置。
3. 【請求項３】 請求項２記載の型剥離駆動手段（４２）
   は、第１油圧回路（６０）に介装され、型締ピストン・
   シリンダ装置（１２’、１２’、…）に給排する圧油の
   方向を切り替える電磁方向切替弁（４２）である射出成
   形機の型駆動装置。
4. 【請求項４】 請求項２または３記載の型締ピストン・
   シリンダ装置（１２’、１２’、…）のピストン（１
   ２、１２、…）の両側に画成される油圧室（１４、１
   ４、…）と油室（１５、１５、…）の受圧面積は等しい
   と共に、前記油圧室（１４、１４、…）と油室（１５、
   １５、…）は開閉弁（４８）が介装されている連絡管路
   （４７）で接続されている射出成形機の型駆動装置。
5. 【請求項５】 請求項２〜４のいずれかの項に記載の型
   開閉ピストン・シリンダ装置（２０）と型締ピストン・
   シリンダ装置（１２’、１２’、…）とが、固定盤１に
   固定されている射出成形機の型駆動装置。