JPH0829342A - 顕微鏡および屈折率測定方法 - Google Patents

顕微鏡および屈折率測定方法

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JPH0829342A
JPH0829342A JP6162380A JP16238094A JPH0829342A JP H0829342 A JPH0829342 A JP H0829342A JP 6162380 A JP6162380 A JP 6162380A JP 16238094 A JP16238094 A JP 16238094A JP H0829342 A JPH0829342 A JP H0829342A
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evanescent wave
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probe
light
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JP6162380A
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English (en)
Inventor
Hisao Osawa
日佐雄 大澤
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】試料表面の屈折率分布のみを独立して測定でき
る装置を提供すること。 【構成】試料台に試料を載置しておき、該試料台中を透
過可能な光を、前記試料の上面で全反射するように、試
料に照射する構成にする。そして、処理手段は、まず、
移動手段を駆動し、探針と試料が接する状態にし、この
ときのエバネセント波の強度(Is)を求める。次に、
エバネセント波の強度が、前記強度(Is)の、1/A
(Aは、実数)になるまで移動手段を駆動し、前記探針
と前記試料を離し、接近状態からの移動量(Z1)を求
める。そして、A=exp(−(4πZ1/λ)・(√
2sin2θ−1))(λは、光の波長、θは、光の入
射角)なる式より、屈折率nを求める処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料の屈折率のみを独
立して計測可能な顕微鏡、特に、屈折率情報のみを独立
して抽出可能なフォトン走査型トンネル顕微鏡に関す
る。
【0002】
【従来の技術】最近、生物学における各種試料の分析
や、各種半導体デバイス開発等の広範な分野において、
試料を破壊せずに、さらに、試料との接触部を有さず
に、高い分解能で、試料の表面形状等を観測する顕微鏡
のニーズが高まっている。
【0003】従来使用されてきた光学顕微鏡において
は、試料を破壊せずに、さらに、試料との接触部を有さ
ずに、試料が観測可能であるという優れた特性を備えて
いる。
【0004】しかしながら、試料の像を所定の位置に結
像させるための、結像光学系を設けた構成になっている
ため、結像光学系の回折限界により、試料の計測分解能
が制限されてしまい、試料の物理量を測定する場合に
は、その使用分野は限られたものとなっていた。
【0005】そこで、このような問題を解決すべく、走
査型電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査型トンネル顕微
鏡(以下「STM」と略す)、原子間力顕微鏡(以下
「AFM」と略す)、フォトン走査型トンネル顕微鏡
(以下「PSTM」と略す。なお、本顕微鏡は、「近接
場走査型顕微鏡」とも称される)等の各種の顕微鏡の開
発が行われてきたが、試料の光学的な特性を、高い分解
能で計測しようとする場合には、PSTMが唯一の手段
であると言える。
【0006】さて、このPSTMを使用した、試料の有
する物理量の測定方法について説明する。
【0007】まず、試料台に試料を載置し、試料の表面
で全反射条件を満たすように、光を試料に照射する。
【0008】全反射条件を満たすように、光が試料に照
射されると、試料の表面には、いわゆるエバネセント波
と称される電場が発生する。
【0009】このエバネセント波は、試料表面からの距
離とともに、その強度が指数関数的に減衰し、照射する
光の波長程度の高さで、試料表面における強度の「l/
e」程度になる(ここで、eは、自然対数の底であ
る)。
【0010】したがって、このエバネセント波の強度を
検出することにより、高い縦分解能(縦は、試料表面に
垂直な方向を意味する)を得ることができる。すなわ
ち、エバネセント波の強度は、試料表面からの距離に対
して指数関数的に変化するため、エバネセント波の強度
を測定することにより、試料表面の形状等を、高い分解
能で測定可能である。
【0011】また、エバネセント波の強度を測定する探
針に、照射光の波長よりも小さな開口部を設けた構成と
することにより、エバネセント波を検出する試料表面の
領域を限定することによって、従来の光学顕微鏡と比較
し、高い横分解能(横は、試料表面に平行な方向を意味
する)を有して、試料の有する各種物理量を計測するこ
とも可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、エバネセン
ト波の強度は、前述のように試料表面から探針までの距
離のみによって変化するのではなく、試料表面における
局所的な光学的特性(例えば、屈折率、吸光度、反射
率、旋光性)によっても変化する。
【0013】例えば、高い分解能で、試料の光学的特性
のみを測定する場合には、試料自体の表面形状が平坦で
あるか、表面形状が平坦であると仮定して(表面形状が
平坦でない場合の誤差を無視することになる)、試料の
光学的特性を、計測することが行なわれていた。
【0014】このように、PSTMを利用すれば、試料
の光学的特性および表面形状を得ることはできるもの
の、元来、これら二つの情報は、独立に分離されている
ものではないため、屈折率等の光学的特性を測定する際
には、その測定精度は、極めて悪いものであった。
【0015】したがって、試料の有する光学的特性のみ
を、正確に計測したい場合には、何らかの方法で、前記
二つの情報を分離する必要があった。
【0016】この問題を解決すべく開示された技術とし
ては、例えば、特開平4−505653号公報によるも
のがある。
【0017】本公報で開示されている技術では、試料表
面で発生するエバネセント波を測定する際に、異なる波
長の光を出射する光源を複数個備えた構成とし、特定の
波長の光を利用して、試料の有する光学的特性を測定す
る機構を設け、さらに、他の波長の光で、探針と試料表
面との距離を一定に保つように制御する装置を提供する
ものである。
【0018】しかしながら、この装置では、探針と試料
表面との距離を一定に保つように制御するために使用す
る光源の波長を、試料ごとに選択しなければならず、未
知の試料に対して、測定が行えないという問題点があっ
た。また、所望の波長の光を出射する光源が存在しない
場合もある。
【0019】また、AFMとPSTMとを組み合わせた
構成とし、PSTMにより、光学的特性の計測も行なう
と同時に、AFMが備える、いわゆる光てこ検出系を構
成する探針を使用して、探針と試料表面との距離を制御
し、この制御量から試料の表面形状を観測する装置も提
案されている(例えば、「N.F.van Hulst,M.H.P.Moers,
O.F.Noordman,R.G.Tack,F.B.Segerink,Appl.Phys.Let
t.,Vol.62,p461-463,1993年」に開示されている)。
【0020】この技術により、光学的特性のうち、吸光
度の情報に関しては、試料の表面形状の情報と、完全に
分離した状態で計測することが可能となった。
【0021】しかしながら、試料が有する光学的特性、
特に、屈折率に関しては、依然として、分離して計測す
ることができないという問題は残った。これは、以下に
示す理由による。
【0022】前述したように、エバネセント波の強度
は、試料表面からの距離にしたがって、指数関数的に減
衰する。その様子を詳しく述べる。なお、以下に示す数
式は、一般的に良く知られているため、数式の導出過程
等の説明は省略する。
【0023】試料表面からの高さzにおけるエバネセン
ト波強度(I)は、光の波長をλ、試料の屈折率をn、
全反射条件を満足するように試料に照射する光の入射角
をθ、入射光強度をIsとすると、以下のような関係式
が成立する。
【0024】
【数1】
【0025】上式を参照すると、試料表面に屈折率分布
が存在する場合でも、高さ0、すなわちz=0における
エバネセント波強度は、Isとなるため、屈折率の情報
は、エバネセント波強度には影響を与えず、エバネセン
ト波強度が減衰する速さ、即ち、数1における、 「(4π/λ・√(n2sin2θ−1)」なる部分のみ
に影響を与えることがわかる。
【0026】また、試料表面上で吸光度の分布を有する
試料の場合には、このIsの値も試料表面の各点におい
て異なってくる。
【0027】ところで、従来のAFMとPSTMとを組
み合わせて構成した顕微鏡においては、AFMの動作距
離が、試料表面と探針とが接触しているコンタクトモー
ドでは「0」であり、試料表面と探針とが非接触である
ノンコンタクトモードでも、前記動作距離は10(n
m)程度である。
【0028】このように、どちらのモードにおいても、
カンチレバーは、試料面から一定の高さを保っているた
め、屈折率分布のみを測定することができない。
【0029】さらに、PSTMとSTMとを組み合わせ
た構成とし、STMによって、探針と試料表面との距離
を制御し、同時に、PSTMによる観察も行なうという
技術(例えば、D.W.Pohl,U,Ch.Fischer,U.T.During,SPI
E Vol.897,Scanning Microscopy Technologies and App
lications,p84-90,1988年)もあるが、STMの原理
上、測定対象となる試料は、導電性を有する物でなけれ
ばならず、測定対象となる試料の種類が限定されてしま
うという不都合がある。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、以下の手段が考えられる。
【0031】試料を載置する試料台と、出射した光が前
記試料台に載置された試料の上面で全反射するように固
定されるエバネセント波検出用光源と、エバネセント波
を散乱させる探針を有する走査部材と、該走査部材と前
記試料台とを相対的に移動させる移動手段と、前記探針
によるエバネセント波の散乱により発生する伝搬光の強
度を検出するエバネセント波強度検出手段と、前記移動
手段を駆動する処理、および、前記エバネセント波強度
検出手段による検出強度を参照して、予め定めた関係式
に基づいて、前記試料の屈折率を求める処理を行う処理
手段と、求めた屈折率(n)を出力する出力手段とを有
した構成にする。
【0032】そして、前記処理手段は、前記探針と前記
試料が接するように、前記移動手段を駆動し、このとき
の前記エバネセント波強度検出手段により検出した強度
(Is)を求めておく手段と、前記エバネセント波強度
検出手段により検出されるエバネセント波の強度(Im)
が、前記強度(Is)の、1/A(Aは、予め定められ
ている実数)になるまで、前記移動手段を駆動して前記
探針を前記試料台平面に対して垂直方向に移動させ、移
動後の探針の位置と、探針の前記試料との接触位置との
距離Z1を求める手段と、 A=exp(−(4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
1))(λは、エバネセント波検出用光源の出射光の波
長、θは、エバネセント波検出用光源の出射光の試料上
面への入射角)なる式より、屈折率nを求める演算手段
とを備えた構成をとる手段である。
【0033】また、上記処理手段を、以下のような手段
にしても良い。
【0034】すなわち、処理手段が、前記探針と前記試
料が接するように、前記移動手段を駆動させ、このとき
の前記エバネセント波強度検出手段により検出した強度
(Is)を求めておく手段と、前記移動手段を駆動して
前記探針を前記試料台平面に対して垂直方向に移動さ
せ、移動後の探針の位置と、探針の前記試料との接触位
置との距離を所定の距離(Z1)とする手段と、移動後
の、前記エバネセント波強度検出手段により検出される
エバネセント波の強度Imを求める手段と、 Im=Is・exp(−(4πZ1/λ)・(√n2si
2θ−1))(λは、エバネセント波検出用光源の出
射光の波長、θは、エバネセント波検出用光源の出射光
の試料上面への入射角)なる式より、屈折率nを求める
演算手段とを備えた構成となっている手段である。
【0035】また、試料と探針との距離の制御を行うた
め、AFMの検出系を利用した構成も考えられる。この
一例として、以下に示す手段が考えられる。
【0036】すなわち、試料を載置する試料台と、出射
した光が前記試料台に載置された試料の上面で全反射す
るように固定されるエバネセント波検出用光源と、エバ
ネセント波を散乱させる探針を有し、上面に反射面を有
するカンチレバーと、前記探針によるエバネセント波の
散乱により発生する伝搬光の強度を検出するエバネセン
ト波強度検出手段と、前記カンチレバーの反射面に光を
照射する光源と、前記反射面による反射光を受光する受
光手段と、前記カンチレバーを固定し、前記カンチレバ
ーと前記試料台とを相対的に移動させる移動手段と、前
記移動手段を駆動する第1の処理、前記受光手段からの
出力に対応し、前記カンチレバーの撓み量を、予め定め
た所定量にするための前記移動手段に与える駆動量に応
じて、試料の形状を計測する第2の処理、および、前記
エバネセント波強度検出手段による検出強度を参照し
て、予め定めた関係式に基づいて、前記試料の屈折率を
求める第3の処理を行う処理手段と、計測した試料の形
状情報、求めた屈折率(n)を出力する出力手段とを有
した構成とする。
【0037】そして、前記処理手段は、前記カンチレバ
ーの撓み量を前記所定量にするように、前記移動手段を
駆動し、このときの駆動量に応じて試料の形状を求める
手段と、前記エバネセント波強度検出手段により検出し
たエバネセント波の強度(Is)を求めておく手段と、
前記エバネセント波強度検出手段により検出されるエバ
ネセント波の強度(Im)が、前記強度(Is)の、1/
A(Aは、予め定められている実数)になるまで、前記
移動手段を駆動して前記探針を前記試料台平面に対して
垂直方向に移動させ、移動後の探針の位置と、探針の前
記試料との接触位置との距離Z1を求める手段と、 A=exp(−(4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
1))(λは、エバネセント波検出用光源の出射光の波
長、θは、エバネセント波検出用光源の出射光の試料上
面への入射角)なる式より、屈折率nを求める演算手段
とを備えた手段である。
【0038】
【作用】上述の理由から、試料表面と探針との距離が
「0」近傍の点でのエバネセント波の強度を測定しただ
けでは、試料の屈折率を測定することができないことが
わかる。
【0039】また、ただ単に、探針を試料表面から適当
な距離だけ離してエバネセント波の強度を測定するだけ
では、試料表面上に分布する、試料の吸光度の影響を分
離することができないため、屈折率の測定のためには不
十分である。そこで、試料表面における屈折率の分布を
正確に測定する場合には、探針と試料表面とが適当な距
離離れたときのエバネセント波の強度を測定し、距離
「0」の場合のエバネセント波の強度と比較をして、試
料の屈折率を求める必要がある。
【0040】まず、第1の態様による作用は、以下のよ
うになる。
【0041】試料台に試料を載置しておき、該試料台中
を透過可能な光を、前記試料の上面で全反射するよう
に、エバネセント波検出用光源を使用して、前記試料に
照射する。
【0042】まず、移動手段を駆動し、前記エバネセン
ト波を散乱させる探針と前記試料が接する状態にして、
このときの前記探針によるエバネセント波の散乱により
発生する伝搬光の強度(Is)を、エバネセント波強度
検出手段によって求める。
【0043】次に、前記エバネセント波の強度(Im)
が、前記強度(Is)の、1/A(Aは、予め定められ
ている実数)になるまで、移動手段を駆動し、前記探針
と前記試料を離し、接近状態からの移動量(Z1)を求
める。
【0044】そして、λを、エバネセント波検出用光源
の出射光の波長、θを、エバネセント波検出用光源の出
射光の試料上面への入射角として、 A=exp(−(4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
1))なる式より屈折率nを求める。
【0045】なお、以下、λ、θは、それぞれ、エバネ
セント波検出用光源の出射光の波長、エバネセント波検
出用光源の出射光の試料上面への入射角を表す。
【0046】次に、第2の態様による作用は、以下のよ
うになる。
【0047】与えられた試料の屈折率の測定を行う方法
であって、試料台に試料を載置しておき、該試料台中を
透過可能な光を、前記試料の上面で全反射するように、
エバネセント波検出用光源を使用して、前記試料に照射
する。
【0048】まず、移動手段を駆動し、前記エバネセン
ト波を散乱させる探針と前記試料が接する状態にして、
このときの前記探針によるエバネセント波の散乱により
発生する伝搬光の強度(Is)を求める。
【0049】次に、移動手段を駆動し、前記探針と前記
試料が、所定距離(Z1)だけ離れた状態にし、このと
きの前記探針によるエバネセント波の散乱により発生す
る伝搬光の強度Imを、エバネセント波強度検出手段に
より求める。
【0050】そして、 Im=Is・exp(−(4πZ1/λ)・√(n2si
2θ−1))なる式より、屈折率nを求める。
【0051】このような動作を、移動手段を駆動し試料
表面上を、前記探針を走査しながら行うことによって、
試料の有する屈折率の分布を測定できる。なお、測定さ
れた屈折率の分布のデータは、表示手段等の出力手段に
出力すれば良い。
【0052】また、AFMとPSTMとを組合せた手段
によれば、以下のようにして屈折率を求める。
【0053】探針を備え、表面に反射面を有するカンチ
レバーと、該カンチレバーの反射面に光を照射する光源
と、前記反射面による反射光を受光する受光手段とを有
して、AFMにおける、光てこ検出系を構成する。そし
て、カンチレバーは、移動手段によって移動するように
制御される。
【0054】このとき、処理手段は、前記移動手段を駆
動する第1の処理、前記受光手段からの出力に対応し、
前記カンチレバーの撓み量を、予め定めた所定量にする
ための前記移動手段に与える駆動量に応じて、試料の形
状を計測する第2の処理、および、エバネセント波強度
検出手段による検出強度を参照して、予め定めた関係式
に基づいて、前記試料の屈折率を求める第3の処理を少
なくとも行う。
【0055】さらに具体的には、まず、前記カンチレバ
ーの撓み量を前記所定量にするように、前記移動手段を
駆動し、このときの駆動量に応じて試料の形状を求め、
さらに、エバネセント波強度検出手段により検出した強
度(Is)も求める。
【0056】次に、エバネセント波強度検出手段により
検出される強度(Im)が、前記強度(Is)の、1/A
(Aは、予め定められている実数)になるまで、前記探
針と前記試料が離れるように前記移動手段を移動させ、
そのときの移動量をZ1とする。そして、 A=exp((4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
1))なる式より、屈折率nを求める。
【0057】このような動作によって、試料の表面形状
と屈折率とを、それぞれ求めることができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して詳細に説明する 図1に、本発明にかかる実施例の一構成例を示す。
【0059】1は、試料2を載置するための試料台であ
る。なお、試料台は、後述するエバネセント波検出用光
源6が出射する光を透過可能な透明体であり、試料2の
観測位置で、前記光を全反射可能な部材である。試料台
1は、例えば、本実施例の三角柱状の形状を有するプリ
ズムにて実現できるが、これに限られるものではなく、
例えば、半円柱状の形状を有するプリズム等を用いても
良い。
【0060】試料2としては、細胞膜等の生物試料、光
ディスク等、各種各様の試料が考えられる。試料台1に
載置可能な試料であれば、いかなるものでもよい。
【0061】3は、可撓性を有するカンチレバーであ
り、さらに詳しくは、図2に示す。
【0062】図2に、カンチレバー3の構造の一例を示
す。
【0063】カンチレバー先端部は、約200(μm)の
長さを有する三角形状の形状となっており、カンチレバ
ー先端部には、例えば、先端部が鋭利な形状を有する四
角錐状の探針15が形成されている。
【0064】このカンチレバー3全体は、後に示すエバ
ネセント波検出用光源6の波長を透過する、すなわち、
該波長領域で透明体として機能する。カンチレバー3
は、例えば、Si34、ガラス等の材料を用いて実現可
能であり、カンチレバー3の上面には、図2に示すよう
に、反射膜14が形成されている。なお、反射膜14
は、Au、Pt、Al等の材料を用いて形成可能であ
る。
【0065】7は、カンチレバー3の有する反射膜14
に光を照射するためのカンチレバーの撓み量測定用光源
であり、例えば、半導体レーザによって実現される。
【0066】8は、反射膜14による反射光を検出する
受光手段である。受光手段8は、2つの受光部から構成
される、いわゆる二分割光検出器となっており、例え
ば、フォトダイオード等の光電変換素子によって実現で
きる。
【0067】9は、受光手段8を構成する2つの受光部
からの出力を入力し、その差動出力を、所定量だけ増幅
して出力する差動増幅器であり、例えば、オペアンプ等
の電子デバイスにて実現できる。また、カンチレバーの
撓み量測定用光源7から放射され、カンチレバー3の有
する反射膜14に照射され反射した光を、受光手段8で
受光する光学系は、いわゆる「光てこ」を構成してい
る。この光てこは、光てこ方式の原子間力顕微鏡が備え
ている手段である。なお、前記光てこは、具体的には、
カンチレバー3の撓み角の、2倍の角度の反射角度を有
して、カンチレバー3の有する反射面で、撓み量測定用
光源7の光が反射する構成になっているものである。
【0068】6は、試料台1に載置された試料2に光を
照射するための光源である、エバネセント波検出用光源
6であり、例えば、半導体レーザによって実現される。
【0069】なお、エバネセント波検出用光源6によっ
て、試料2に光を照射する際には、試料表面で、全反射
が条件を満足するように、光を照射する構成にする。こ
れにより、試料上面近傍には、一種の電場であるエバネ
セント波が発生することになる。なお、試料のおおよそ
の屈折率が知られている場合には、式2を充分に満足す
る角度で、試料に光が照射されるようにすればよい。
【0070】13は、前記エバネセント波が前記探針1
5により散乱され、伝搬光となったものを、受光し、エ
バネセント波の強度を測定するための光検出器であり、
例えば、フォトダイオードやフォトマルチプライヤによ
って実現できる。
【0071】なお、光検出器13は、検出立体角を多く
とるために、カンチレバー3に可能な限り近づけて配置
することが好ましい。
【0072】10は、差動増幅器9の出力を入力し、こ
れを参照して、後に説明する制御手段11に制御信号を
送信する処理や、試料の表面形状や屈折率を求める処理
を少なくとも行う処理手段である。なお、具体的な処理
については後述する。
【0073】20は、測定された試料の屈折率や表面形
状を表示する機能を有する表示手段であり、例えばCR
Tディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって実現され
る。
【0074】なお、測定された試料の屈折率や表面形状
は、必ずしも表示出力しなくても良く、信号出力用の端
子を介して、測定された試料の屈折率や表面形状のデー
タが出力される構成としても良い。
【0075】21は、試料の屈折率測定を行うために、
本装置を起動するための命令を、処理手段に送るための
入力手段であり、例えば、キーボード、マウス等によっ
て実現される。測定時に、入力手段21を介して、本装
置を起動するための命令を入力し、入力された命令を処
理手段10が受け付けた時点で、本装置の動作が開始す
る構成としておけば良い。
【0076】12は、上面にカンチレバー3を設け、試
料2と探針15とを相対移動させるためのカンチレバー
駆動手段であり、また、11は、処理手段10により与
えられた信号にしたがって、カンチレバー駆動手段12
に、電圧を印加し、カンチレバー駆動手段12によるカ
ンチレバー3の移動を制御する制御手段である。
【0077】ここで、カンチレバー駆動手段12の一例
について説明する。
【0078】従来から、カンチレバー駆動手段12の一
例として用いられるアクチュエータとして最も一般的な
手段は、チューブスキャナと称される移動手段である。
かかるチューブスキャナは、図3に示すように、例え
ば、PZT等の材料を使用して製造された、円筒型のチ
ューブの外周上に、4つの電極を分割して貼り付け、X
YZ3方向の動きを可能にしたアクチュエータである。
【0079】具体的には、図3に示すように座標系を設
定すると、電極61a、61bに、大きさが同じで符号
の異なる電圧を印加することにより、X軸方向の走査が
可能となり、また、同様に、電極62a、62bに、大
きさが同じで符号の異なる電圧を印加することによりY
軸方向の走査が可能となる。
【0080】また、チューブの内周には、共通電極63
が設けられており、該共通電極と、すべての電極61
a、61b、62a、62bとの間に、所定の電圧を印
加することにより、チューブをZ方向に伸縮させること
も可能である。したがって、例えば、図3に示すチュー
ブスキャナの上面に、カンチレバー3を固定した構成に
して、カンチレバー駆動手段12を実現すると、試料に
対して、探針をX、Y、Z3軸方向に移動させることが
可能となり、探針と試料との相対的移動が可能となる。
【0081】さて、以下、本装置における動作を説明す
る。
【0082】まず、エバネセント波検出用光源6から試
料2に照射される光は、試料台1を透過する。そして、
試料表面で全反射されるように、エバネセント波検出用
光源6が配置されているものとする。全反射条件を満た
すように、光が試料2に照射される結果、一種の電場で
あるエバネセント波が発生することになる。
【0083】さて、試料台1上に載置された試料2の屈
折率、表面形状を観察する際には、制御手段11がチュ
ーブスキャナに印加する電圧を制御することによって、
アクチュエータの各軸方向における移動量を制御し、X
Y平面上の所定領域で、試料2に対し探針15を相対移
動させ、試料の表面を走査する。
【0084】今、ある点での屈折率を求める処理を説明
する。
【0085】まず、探針15と試料2が近接した状態を
実現しておくために、以下の処理を行なう。
【0086】制御手段11の制御により、カンチレバー
駆動手段12を駆動し、試料2の表面に、カンチレバー
先端部に設けた探針15を接近させる。そうすると、探
針15と試料表面との間に、いわゆる原子間力である斥
力が作用し、カンチレバー3が撓む。この撓み量の検出
は、カンチレバーの撓み量検出用光源7の前記反射膜1
4での反射光を、受光手段8により受光し、2つの受光
部の差動増幅値を検出することにより行われる。すなわ
ち、カンチレバー3の撓み量と、差動増幅器9の出力
は、一意に対応するため、処理手段10は、この対応関
係を予め記憶しておき、差動増幅器9の出力および前記
対応関係を参照して、カンチレバー3の撓み量を検出で
きることになる。
【0087】したがって、探針15と試料2が近接した
ときの、カンチレバー3の撓みによる差動増幅器9の出
力値を予め求めておき、この出力値が検出されるまで、
制御手段11が、カンチレバー駆動手段12を制御し、
探針15を試料2に接近させることによって、探針15
と試料2が近接した状態を実現することができる。
【0088】すなわち、撓み量が、予め定めた所定値と
なるまで、探針15と試料3を接近させるが、このと
き、前記予め定めておく撓み量を、充分小さい値に設定
しておくことにより、探針15と試料表面との距離は、
「0」とすることができる。
【0089】なお、ここで、前記充分小さい値とは、以
下のような値である。
【0090】探針15と試料3との距離を、原子間力が
作用しない距離から徐々に短くしていったとき、探針1
5と試料3との間に引力が作用し始め、さらに、両者間
の距離を短くしていくと、作用する力が0となり、今度
は、探針15と試料3との間に斥力が作用し始める。
【0091】この斥力が作用し始める領域での、探針1
5と試料3との距離に対応するカンチレバー3の撓み量
を、前記充分小さい値としておけばよい。
【0092】そして、このときの探針15によるエバネ
セント波の散乱により発生する伝搬光の強度(Is)を
求めておく。
【0093】試料表面に発生するエバネセント波は、エ
バネセント波に対して透明な、カンチレバー3先端部に
備えられた探針15により散乱され、カンチレバー3の
上方へと伝搬する。エバネセント波は、既に伝搬光とな
っているため、カンチレバー3上方に配置されている光
検出器13によって、その強度が検出される。このエバ
ネセント波の強度信号は、処理手段10に送られる。
【0094】なお、カンチレバー3は、通常、散乱光に
対して透明であるが、必ずしも透明とする必要はなく、
それ自体によって、エバネセント波を散乱させる手段で
あれば良い。この場合、散乱光を検出する光検出器13
は、カンチレバー3の上方ではなく、試料台1上で、カ
ンチレバー3の横に配置しておけばよい。
【0095】次に、エバネセント波の強度が、前記強度
(Is)の、1/A(Aは、予め定められている実数)
になるまで、前記探針と前記試料を離し、近接状態から
の移動量(Z1)を求める。
【0096】すなわち、処理手段10は、光検出器13
の出力を参照しながら、制御手段11に信号を与えるこ
とによって、カンチレバー駆動手段12を駆動し、エバ
ネセント波の強度が、前記Isの、1/A(Aは、実
数)になるまで、探針15と試料2とを離して、近接状
態からの移動量(Z1)を求める処理を行う。
【0097】そして、処理手段10は、 A=exp(−(4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
1))なる式を満たす屈折率nを求め、測定点における
屈折率を測定する。
【0098】なお、ここで、λは、エバネッセント波検
出用光源の出射光の波長、θは、エバネッセント波検出
用光源の出射光の試料上面への入射角であり、以下に記
載する、λ、θも同じである。
【0099】また、演算処理の負担を軽減するために、
上式の替わりに、次のような近似式を利用して屈折率を
測定しても良い。まず、近似式について説明する。
【0100】試料表面における、全反射の臨界角をθc
とすると、入射角θは、通常、臨界角より若干大きくな
る(大きくなる量を、Δθとする)ように、光学系が設
定されるため、
【0101】
【数2】
【0102】と表せる。ここで、入射角θが全反射臨界
角にほぼ等しいと仮定する。すなわち、
【0103】
【数3】
【0104】として、前述の数1の近似を行うと、以下
の近似式が導かれる。
【0105】
【数4】
【0106】したがって、処理手段10は、数4を用い
て、即ち、 A=exp(−(4πZ1n/λ)・√(Δθsin2
θc))なる式を満たす、屈折率nを求め、測定点にお
ける屈折率を測定する処理を行なっても良い。
【0107】また、次のような屈折率の測定法も考えら
れる。
【0108】まず、上述のようにして、探針15と試料
2が近接した状態を実現しておく。
【0109】そして、処理手段10は、光検出器13の
出力を参照し、このときの、探針15によるエバネセン
ト波の散乱により発生する伝搬光の強度(Is)を求め
ておく。
【0110】次に、処理手段10は、制御手段11に信
号を与えることによって、カンチレバー駆動手段12を
駆動し、探針15と試料2が、所定距離(Z1)だけ離
れた状態にし、このときの前記探針によるエバネセント
波の散乱により発生する伝搬光の強度を、光検出器13
によって検出し、Imとする。
【0111】そして、処理手段10は、 Im=Is・exp(−(4πZ1/λ)・√(n2si
2θ−1))なる式を満たす屈折率nを求め、測定点
における屈折率を測定する。
【0112】なお、この場合も、前述と同様に、近似式
を用いて屈折率を測定してもよい。
【0113】すなわち、処理手段10は、数4を用い
て、即ち、 Im=Is・exp(−(4πZ1n/λ)・√(Δθ
sin2θc))なる式を満たす、屈折率nを求め、測
定点における屈折率を測定する処理を行なっても良い。
【0114】以上の処理を、探針15を試料2に対して
走査させながら行っていくことにより、試料の表面形状
と、屈折率分布を測定することができるようになる。な
お、測定結果は、表示手段20に表示させるようにして
おけばよい。
【0115】なお、探針15を試料2に対して走査させ
る処理を行なう処理手段と、試料の屈折率を測定する処
理手段とを2つ設けた構成として、上述の処理を行なっ
ても良い。
【0116】なお、カンチレバー先端部に、エバネセン
ト波検出用光源6からの照射光の波長よりも、小さな開
口を有する探索部を形成し、該探索部を通過して伝搬す
るエバネセント波に応じた光の強度を光検出器によって
検出するようにしてもよい。
【0117】このとき、集光光学系をカンチレバー先端
部上方に設け、光検出器13に、伝搬光となったエバネ
セント波が入射される構成としておくことが好ましい。
【0118】また、屈折率を測定する方法として、以下
の態様も考えられる。
【0119】本方法は、探針15を振動させながら、屈
折率を測定する方法であり、いわゆる「ノンコンタクト
モード AFM」の技術を用いるものである。
【0120】「ノンコンタクトモード AFM」では、
探針15を備えるカンチレバー3を、カンチレバー3の
共振点近傍で振動させる。これは、制御手段13が、Z
方向においてチューブスキャナを振動させるように、印
加電圧を制御することにより実現できる。なお、カンチ
レバー3の振動専用の圧電素子を新たに設け、該圧電素
子に電圧を印加し、カンチレバー3を振動させる構成に
しても良い。
【0121】また、カンチレバー3を振動させる周波数
は、カンチレバー3固有の振動の共振周波数に比べ、若
干高めか、または、若干低めに設定しておく。
【0122】このとき、カンチレバー3の振動振幅(カ
ンチレバー3の振動の中心から「はじ」までの距離)
を、1〜10(nm)としておく。
【0123】ここでは、例えば、10(nm)とする。
【0124】そして、カンチレバー3が、一番、試料に
接近したときのエバネセント波の強度をIs’、また、
カンチレバー3が、一番、試料から遠ざかったときのエ
バネセント波の強度をI’とすると、Is’、I’は、
次式で表される。
【0125】すなわち、 Is’=Is・exp(−(4π(Z0−ΔZ)/λ)
・√(n2sin2θ−1))、 I’=Is・exp(−(4π(Z0+ΔZ)/λ)・
√(n2sin2θ−1)) となる。
【0126】ここで、expは、自然対数の底のべき
乗、λは、エバネセント波検出用光源6の出射光の波
長、θは、エバネセント波検出用光源6の出射光の試料
上面への入射角、Z0は、予め定めた、試料表面から振
動基準位置までの距離、ΔZは、振動基準位置からの振
動幅であり、本実施例では、振動振幅を10(nm)と
しているので、ΔZ=10(nm)となる。また、Z0
は、振動振幅よりやや大きい値にしておく。
【0127】上2式の両辺同士の除算を行なうと、以下
の式が導かれる。
【0128】Is’/I’=exp(−(8πΔZ/
λ)・√(n2sin2θ−1)) となる。ここで、処理手段10は、光検出器13によっ
て、Is’、I’を検出し、こらの値と、既知のパラメ
ータΔZ、λ、θとを用い、上式によって、未知数n、
即ち屈折率を求める。
【0129】なお、前述のように、近似式を利用して、
即ち、 Is’/I’=exp(−(8πΔZn/λ)・√(Δ
θsin2θc))なる式を利用して、屈折率nを求め
てもよい。
【0130】このように、カンチレバー3を振動させる
ことによっても、試料の屈折率を求めることができる。
【0131】次に、本実施例のうちカンチレバーを試料
表面上に接触させ測定する構成においては、試料の表面
形状も測定可能なので、表面形状を測定する方法につい
て述べる。
【0132】まず、制御手段11の制御により、カンチ
レバー駆動手段12を駆動し、試料2の表面に、カンチ
レバー先端部に設けた探針15を接近させる。
【0133】そうすると、探針15と試料表面との間
に、いわゆる原子間力である斥力が作用し、カンチレバ
ー3が撓む。
【0134】この撓み量の検出は、カンチレバーの撓み
量検出用光源7の前記反射膜14での反射光を、受光手
段8により受光し、2つの受光部の差動増幅値を検出す
ることにより行われる。すなわち、カンチレバー3の撓
み量と、差動増幅器9の出力は、一意に対応するため、
処理手段10は、この対応関係を予め記憶しておき、差
動増幅器9の出力および前記対応関係を参照して、カン
チレバー3の撓み量を検出できることになる。
【0135】そして、カンチレバーの撓み量が、予め定
めた所定値になるように、フィードバック制御しなが
ら、試料を走査していくことにより、前記フィードバッ
ク制御量に対応して、試料の表面形状が求まる。
【0136】すなわち、差動増幅器9の差動出力が所定
の値(例えば、探針15と試料表面との距離が「0」で
ある場合に対応する値)となるように、前記チューブス
キャナに印加する電圧を、制御手段11が制御して、探
針15を試料に垂直な方向に移動する制御を行えば良
い。このとき、制御手段11の制御により行なわれた探
針15の移動に対する、移動量を測定すれば、表面形状
を測定するAFMとして動作することになる。すなわ
ち、AFMの通常動作である、前記移動量と一意に対応
する表面形状を求める処理を、処理手段10が行うこと
によって、試料の表面形状が求まることになる。
【0137】以上の処理によって、試料の表面形状も求
まることになる。
【0138】なお、本発明において、屈折率を測定する
ためには、単に、探針15と試料2が近接した状態を実
現する手段が備えられておれば良く、必ずしも、上述の
ような、光てこ光学系を利用しなくてもよい。
【0139】したがって、探針15と試料2が近接した
状態を実現する手段は、公知公用の手段が多く存在し、
これらの手段を利用すれば良い。
【0140】例えば、カンチレバー裏面にトンネルプロ
ーブを接近させ、探針の試料表面に対する距離を検出す
る方法や、光干渉計を備えた構成とし、探針の試料表面
に対する距離(高さ)を検出する方法、試料と探針との
間に作用する静電力を検出して、探針の試料表面に対す
る距離を検出する方法等、詳細な説明は避けるが、各種
の方法が提案されており、いずれかの方法を利用して、
探針15と試料2が近接した状態を実現すればよい。
【0141】以上のように、本発明によれば、高い空間
分解能を保ったまま、試料表面の屈折率分布のみを独立
して測定することが可能となる。
【0142】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、高い空
間分解能を保ったまま、試料表面の屈折率分布のみを独
立して測定することができる装置を提供することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる実施例の構成図である。
【図2】本発明にかかるカンチレバーの一例の構成図で
ある。
【図3】カンチレバー駆動手段の一例の構成図である。
【符号の説明】
1…試料台、2…試料、3…カンチレバー、6…エバネ
セント波検出用光源、7…カンチレバーの撓み量測定用
光源、8…受光手段、9…差動増幅器、10…信号処理
手段、11…制御手段、12…カンチレバー駆動手段、
13…光検出器、14…反射膜、15…探針

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料を載置する試料台と、出射した光が前
    記試料台に載置された試料の上面で全反射するように固
    定されるエバネセント波検出用光源と、エバネセント波
    を散乱させる探針を有する走査部材と、該走査部材と前
    記試料台とを相対的に移動させる移動手段と、前記探針
    によるエバネセント波の散乱により発生する伝搬光の強
    度を検出するエバネセント波強度検出手段と、前記移動
    手段を駆動する処理、および、前記エバネセント波強度
    検出手段による検出強度を参照して、予め定めた関係式
    に基づいて、前記試料の屈折率を求める処理を行う処理
    手段と、求めた屈折率(n)を出力する出力手段とを有
    し、 前記処理手段は、前記探針と前記試料が接するように、
    前記移動手段を駆動し、このときの前記エバネセント波
    強度検出手段により検出した強度(Is)を求めておく
    手段と、 前記エバネセント波強度検出手段により検出されるエバ
    ネセント波の強度(Im)が、前記強度(Is)の、1/
    A(Aは、予め定められている実数)になるまで、前記
    移動手段を駆動して前記探針を前記試料台平面に対して
    垂直方向に移動させ、移動後の探針の位置と、探針の前
    記試料との接触位置との距離Z1を求める手段と、 A=exp(−(4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
    1))(λは、エバネセント波検出用光源の出射光の波
    長、θは、エバネセント波検出用光源の出射光の試料上
    面への入射角)なる式より、屈折率nを求める演算手段
    とを備えたことを特徴とする顕微鏡。
  2. 【請求項2】試料を載置する試料台と、出射した光が前
    記試料台に載置された試料の上面で全反射するように固
    定されるエバネセント波検出用光源と、エバネセント波
    を散乱させる探針を有する走査部材と、前記走査部材と
    前記試料台とを相対的に移動させる移動手段と、前記探
    針によるエバネセント波の散乱により発生する伝搬光の
    強度を検出するエバネセント波強度検出手段と、前記移
    動手段を駆動する処理、および前記エバネセント波強度
    検出手段による検出強度を参照して、予め定めた関係式
    に基づいて、前記試料の屈折率を求める処理を行う処理
    手段と、求めた屈折率(n)を出力する出力手段とを有
    し、 前記処理手段は、前記探針と前記試料が接するように、
    前記移動手段を駆動させ、このときの前記エバネセント
    波強度検出手段により検出した強度(Is)を求めてお
    く手段と、 前記移動手段を駆動して前記探針を前記試料台平面に対
    して垂直方向に移動させ、移動後の探針の位置と、探針
    の前記試料との接触位置との距離を所定の距離(Z1
    とする手段と、移動後の、前記エバネセント波強度検出
    手段により検出されるエバネセント波の強度Imを求め
    る手段と、 Im=Is・exp(−(4πZ1/λ)・(√n2si
    2θ−1))(λは、エバネセント波検出用光源の出
    射光の波長、θは、エバネセント波検出用光源の出射光
    の試料上面への入射角)なる式より、屈折率nを求める
    演算手段とを備えることを特徴とする顕微鏡。
  3. 【請求項3】与えられた試料の屈折率の測定を行う方法
    であって、 試料の表面で全反射するように、前記試料に光を照射
    し、 まず、試料表面上でのエバネセント波の強度(Is)を
    求めておき、 次に、前記エバネセント波の強度が、前記強度(Is)
    の、1/A(Aは、予め定められている実数)になると
    きの、試料表面からの距離(Z1)を求め、 A=exp((4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
    1))(λは、前記試料の表面で全反射する光の波長、
    θは、エバネセント波の強度を求めるために、光を試料
    上面へ入射させる入射角)なる式より、屈折率nを求め
    ることを特徴とする屈折率測定方法。
  4. 【請求項4】与えられた試料の屈折率の測定を行う方法
    であって、 試料の表面で全反射するように、前記試料に光を照射
    し、 まず、試料表面上でのエバネセント波の強度(Is)を
    求めておき、 次に、試料表面から、所定距離(Z1)だけ離れた点で
    のエバネセント波の強度Imを求め、 Im=Is・exp(−(4πZ1/λ)・√(n2si
    2θ−1))(λは、エバネセント波検出用光源の出
    射光の波長、θは、エバネセント波の強度を求めるため
    に、光を試料上面へ入射させる入射角)なる式より、屈
    折率nを求めることを特徴とする屈折率測定方法。
  5. 【請求項5】試料を載置する試料台と、出射した光が前
    記試料台に載置された試料の上面で全反射するように固
    定されるエバネセント波検出用光源と、エバネセント波
    を散乱させる探針を有し、上面に反射面を有するカンチ
    レバーと、前記探針によるエバネセント波の散乱により
    発生する伝搬光の強度を検出するエバネセント波強度検
    出手段と、前記カンチレバーの反射面に光を照射する光
    源と、前記反射面による反射光を受光する受光手段と、
    前記カンチレバーを固定し、前記カンチレバーと前記試
    料台とを相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段
    を駆動する第1の処理、前記受光手段からの出力に対応
    し、前記カンチレバーの撓み量を、予め定めた所定量に
    するための前記移動手段に与える駆動量に応じて、試料
    の形状を計測する第2の処理、および、前記エバネセン
    ト波強度検出手段による検出強度を参照して、予め定め
    た関係式に基づいて、前記試料の屈折率を求める第3の
    処理を行う処理手段と、計測した試料の形状情報、求め
    た屈折率(n)を出力する出力手段とを有し、 前記処理手段は、前記カンチレバーの撓み量を前記所定
    量にするように、前記移動手段を駆動し、このときの駆
    動量に応じて試料の形状を求める手段と、 前記エバネセント波強度検出手段により検出したエバネ
    セント波の強度(Is)を求めておく手段と、 前記エバネセント波強度検出手段により検出されるエバ
    ネセント波の強度(Im)が、前記強度(Is)の、1/
    A(Aは、予め定められている実数)になるまで、前記
    移動手段を駆動して前記探針を前記試料台平面に対して
    垂直方向に移動させ、移動後の探針の位置と、探針の前
    記試料との接触位置との距離Z1を求める手段と、 A=exp(−(4πZ1/λ)・√(n2sin2θ−
    1))(λは、エバネセント波検出用光源の出射光の波
    長、θは、エバネセント波検出用光源の出射光の試料上
    面への入射角)なる式より、屈折率nを求める演算手段
    とを備えることを特徴とする顕微鏡。
  6. 【請求項6】試料を載置する試料台と、出射した光が前
    記試料台に載置された試料の上面で全反射するように固
    定されるエバネセント波検出用光源と、エバネセント波
    を散乱させる探針を有し、上面に反射面を有するカンチ
    レバーと、前記探針によるエバネセント波の散乱により
    発生する伝搬光の強度を検出するエバネセント波強度検
    出手段と、前記カンチレバーの反射面に光を照射する光
    源と、前記反射面による反射光を受光する受光手段と、
    前記カンチレバーを固定し、前記カンチレバーと前記試
    料台とを相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段
    を駆動する第1の処理、前記受光手段からの出力に対応
    し、前記カンチレバーの撓み量を、予め定めた所定量に
    するための前記移動手段に与える駆動量に応じて、試料
    の形状を計測する第2の処理、および、前記エバネセン
    ト波強度検出手段による検出強度を参照して、予め定め
    た関係式に基づいて、前記試料の屈折率を求める第3の
    処理を行う処理手段と、計測した試料の形状情報、求め
    た屈折率(n)を出力する出力手段とを有し、 前記処理手段は、前記カンチレバーの撓み量を前記所定
    量にするように、前記移動手段を駆動し、このときの駆
    動量に応じて試料の形状を求める手段と、 前記エバネセント波強度検出手段により検出したエバネ
    セント波の強度(Is)を求めておく手段と、 前記移動手段を駆動して前記探針を前記試料台平面に対
    して垂直方向に移動させ、移動後の探針の位置と、探針
    の前記試料との接触位置との距離を所定の距離(Z1
    とする手段と、移動後の、前記エバネセント波強度検出
    手段により検出されるエバネセント波の強度Imを求め
    る手段と、 Im=Is・exp(−(4πZ1/λ)・√(n2si
    2θ−1))(λは、エバネセント波検出用光源の出
    射光の波長、θは、エバネセント波検出用光源の出射光
    の試料上面への入射角)なる式より、屈折率nを求める
    演算手段とを備えることを特徴とする顕微鏡。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5994691A (en) * 1996-12-03 1999-11-30 Olympus Optical Co., Ltd. Near-field scanning optical microscope
KR101492574B1 (ko) * 2012-08-29 2015-02-23 명지대학교 산학협력단 원자 현미경의 탐침과 시료 간 거리측정 방법 및 그 방법이 적용되는 원자 현미경

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5994691A (en) * 1996-12-03 1999-11-30 Olympus Optical Co., Ltd. Near-field scanning optical microscope
KR101492574B1 (ko) * 2012-08-29 2015-02-23 명지대학교 산학협력단 원자 현미경의 탐침과 시료 간 거리측정 방법 및 그 방법이 적용되는 원자 현미경

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