JPH08292808A - ボールエンドミルによる切削加工方法および装置 - Google Patents

ボールエンドミルによる切削加工方法および装置

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JPH08292808A
JPH08292808A JP12434895A JP12434895A JPH08292808A JP H08292808 A JPH08292808 A JP H08292808A JP 12434895 A JP12434895 A JP 12434895A JP 12434895 A JP12434895 A JP 12434895A JP H08292808 A JPH08292808 A JP H08292808A
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ball end
work
tool
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Makoto Nakamura
誠 中村
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Makino Milling Machine Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 三次元曲面を有したワークの表面をボールエ
ンドミルによって、能率よくかつ高品位に加工可能な切
削加工方法および装置を提供する。 【構成】 入力・設定部1に使用ボールエンドミルの工
具半径r、刃数nおよび回転速度N、ワークに形成され
るカスプの高さh、ワークの加工形状および加工モード
等を入力し、f・p演算部3で、前記入力したrおよび
hから1刃当たりの送り量fを算出し、更にピックフィ
ード量pをこのfと等しく設定する。工具経路生成部7
は、このpと前記入力した加工形状および加工モードと
から工具経路データを生成し、NC装置13へ送出し工
作機械15で切削加工を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は三次元自由曲面等で形成
されるワーク表面をボールエンドミルを用いて切削加工
するボールエンドミルによる切削加工方法および装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に金型や航空機部品等の三次元曲
面加工は、ボールエンドミルを用い、送りとピックフィ
ードを与えて切削加工している。ボールエンドミルの移
動態様を規定する加工モードには、往復モード、一方向
モード、等高線に沿った輪郭モード等がある。どの加工
モードを採用して加工しても、大抵の場合ピック溝(図
3(a)参照)が残ってしまう。このピック溝が残らな
ければ金型加工の後工程の磨き作業を省略または短縮で
きる。航空機部品においては応力集中の回避にもつなが
る。一方、トヨタ技術、第37巻第2号(昭和62年1
2月)の第221ページに高速型彫り技術の開発(第1
報)──ボールエンドミルにおける切削メカニズムの解
析──と題した論文が開示されている。この論文による
とピックフィード量とボールエンドミル1刃当たりの送
り量とを等しくすることにより、最大の加工能率と最良
の仕上げ面あらさが得られると結論づけている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、前述のピ
ック溝を残さない加工に上記先行文献の技術が応用でき
るかを確認するために実験を行った。その加工結果を図
3に示す。図3(a)は、工具送り方向の1刃当たりの
送り量fを工具送り方向とは別のピック方向のピックフ
ィード量pの数分の1にした従来よく用いられた加工条
件で加工した場合、図3(b)は、上記先行文献に開示
の工具送り方向の1刃当たりの送り量fと工具送り方向
とは別のピック方向のピックフィード量pとを等しくし
て加工した場合のワークの加工面を拡大表示した斜視図
である。先端が球形をしたボールエンドミルでワークの
表面を加工すると、いくら1刃当たりの送り量fやピッ
クフィード量pを細かく設定しても隣接する球形の加工
面同志の間にはどうしても削り残し部分が生じ、これを
カスプと称している。図3(a)において、このカスプ
の高さの大きい部分が送り方向に稜線状に連なり、ピッ
ク方向に複数本等ピッチで縞状に観察され、縞と縞の間
に断面が円弧状になったピック溝が複数本形成されてい
る。このピック溝を消す磨き作業は通常手作業で行い、
大変時間と熟練を要する作業である。図3(b)におい
ては、あたかも球形の圧痕が送り方向にもピック方向に
も等ピッチで整然と付けられたような模様が観察でき、
ピック溝は形成されていない。カスプ高さの最大値は図
3(a)の場合と同じであり、磨き作業で研摩するカス
プ高さは同じであるが、ピック溝がないので磨く方向が
特定されず、形状に沿った作業性の良い方向に磨くこと
ができる。また、1刃当たりの送り量fとピックフィー
ド量pの値をできるだけ小さくすれば、磨きを省略でき
ることもある。図3(a)の場合には、1刃当たりの送
り量fとピックフィード量pの値をどんなに小さくして
もピック溝は形成され、磨きを省略することはできな
い。このように、ピック溝を残さない加工に上記先行文
献の技術が応用できることは確認できたが、実際のNC
工作機械を用いた加工に際して、1刃当たりの送り量f
とピックフィード量pの値をどのように設定し、設定し
た1刃当たりの送り量fとピックフィード量pをどのよ
うにNC工作機械の加工プログラムに反映させてボール
エンドミルによる切削加工を自動的に行えるようにする
かという具体的な加工方法と加工装置については未解決
のままである。
【0004】よって、本発明の目的は、ボールエンドミ
ルによる三次元曲面を有したワーク表面の切削加工にお
いて、工具送り方向の1刃当たりの送り量fおよびピッ
ク方向のピックフィード量pを最適値に設定し、設定し
たf,pの値をNCデータへ取り込み、自動的に工具経
路データを生成してNC加工を行える、実用性の高いボ
ールエンドミルによる切削加工方法および装置を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明では、ボールエンドミルを用い三次元曲面でなる
ワーク表面を切削加工する切削加工方法において、使用
ボールエンドミルの送り方向の1刃当たりの送り量fを
使用ボールエンドミルの工具半径rと切削加工したとき
ワークに形成されるカスプの高さhとから演算し、前記
送り方向とは別のピック方向のピックフィード量pを前
記演算した1刃当たりの送り量fと等しく設定し、設定
したピックフィード量pと予め入力した加工形状データ
およびボールエンドミルの移動態様を規定する加工モー
ドとに基づいて使用ボールエンドミルの工具経路データ
を生成し、生成された工具経路データをNC工作機械の
NC装置へ送出して切削加工を行うようにしたボールエ
ンドミルによる切削加工方法が提供される。
【0006】また、ボールエンドミルを主軸に装着して
回転させワークと の間で相対移動して三次元曲面でな
るワーク表面を切削加工するNC工作機械と、使用ボー
ルエンドミルの工具半径r、刃数nおよび回転速度N、
ワークに形成されるカスプの高さh、ワークの加工形
状、ボールエンドミルの移動態様を規定する加工モード
等を入力する入力手段と、前記入力手段で入力した前記
工具半径rおよびカスプの高さhから使用ボールエンド
ミルの送り方向の1刃当たりの送り量fを演算し、前記
送り方向とは別のピック方向のピックフィード量pを前
記演算した1刃当たりの送り量fと等しく設定する第1
演算手段と、前記第1演算手段で算出した1刃当たりの
送り量fと前記入力手段で入力した刃数nおよび回転速
度Nとから送り速度Fを演算する第2演算手段と、前記
第1演算手段で設定したピックフィード量pと前記入力
手段で入力したワークの加工形状および加工モードとに
基づいて使用ボールエンドミルの工具経路データを生成
する工具経路生成手段と、を具備し、前記第2演算手段
で算出した送り速度Fと前記工具経路生成手段で生成し
た工具経路データを前記NC工作機械のNC装置へ送出
して切削加工を行うボールエンドミルによる切削加工装
置が提供される。
【0007】
【作用】使用ボールエンドミルの工具半径r、刃数nお
よび回転速度N、ワークに形成されるカスプの高さhお
よびワークの加工形状、加工モードを予め入力し、設定
しておく。そして、互いに等しい使用ボールエンドミル
1刃当たりの送り量fとピックフィード量pとを上記使
用ボールエンドミルの工具半径rとワークに形成される
カスプの高さhを用いた式で算出する。算出した1刃当
たりの送り量fから送り速度Fを演算し、NC装置へ送
出する。一方、予め入力してあるワークの加工形状およ
び加工モードと前記算出したピックフィード量pとから
ボールエンドミルの工具経路データを生成し、NC装置
へ送出する。予め入力してある回転速度Nの値もNC装
置に取り込み、上記工具経路データに沿ってボールエン
ドミルによる切削加工を行う。すると、略カスプの高さ
がhとなるようにワークがNC工作機械によって自動的
に加工される。
【0008】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照しな
がら説明する。図1は、本発明のボールエンドミルによ
る切削加工装置の一実施例の構成ブロック図、図2は、
本発明のボールエンドミルによる切削加工方法のステッ
プを表したフローチャートである。入力・設定部1に使
用ボールエンドミルの工具半径r(mm)、刃数nおよび回
転速度N(min-1) 、加工後ワークに形成されるカスプの
高さh(mm)、切込み量t(mm)、ワークの加工形状、ボー
ルエンドミルの移動態様を規定する加工モード等を予め
入力し、設定する(ステップS1)。f・p演算部3は
入力・設定部1に入力されている数値を用いて f=p=√(8rh) ・・・・・・・・・・ 式(1) を演算し、使用ボールエンドミル1刃当たりの送り量f
(mm)とピックフィード量p(mm)を算出する(ステップS
2)。式(1)の説明は後述する。送り速度演算部5
は、f・p演算部3で算出した使用ボールエンドミル1
刃当たりの送り量f(mm)と、入力・設定部1に入力され
ている刃数nおよび回転速度N(min-1) の値とを受け取
り、 F=nfN ・・・・・・・・・・ 式(2) を演算し、送り速度F( mm/min )を算出する(ステップ
S3 )。
【0009】工具経路生成部7 は、f・p演算部3で算
出した使用ボールエンドミルのピックフィード量p(mm)
と、入力・設定部1に入力したワークの加工部分の加工
形状、およびボールエンドミルをワークに対して相対移
動させるときの移動態様を規定する加工モード(例え
ば、往復モード、輪郭モード等)を受け取り、ボールエ
ンドミルの工具経路データを生成する(ステップS
4)。ここでワークの加工形状は、自動プログラミング
装置やCAMシステムで予め直線近似データ、点群デー
タ、関数データ等で表して入力・設定部1に入力してお
く。この加工形状データに加工モード、ピックフィード
量pのデータを付加することにより、加工開始点からど
の方向にボールエンドミルが移動し、どこでピックフィ
ードがpだけかかり、今度はどの方向にボールエンドミ
ルが移動し、・・・という工具経路を加工終了点まで全
行程について決定するのである。
【0010】一方、加工時間演算部9は、工具経路生成
部7で生成した工具経路データを受け、工具の全移動距
離L(mm)を算出し、送り速度演算部5から送出された送
り速度Fで除して加工時間T(min) を算出する(ステッ
プS5)。算出した加工時間Tは、表示部11に表示さ
れ(ステップS6)、作業者は、この加工がいつ頃終了
するかの目安を得ることができる。NC装置13は、入
力・設定部1から回転速度N(min-1) と切込み量t(m
m)、送り速度演算部5から送り速度F、工具経路生成部
7から工具経路データを受け取り、補間演算などを行っ
て加工指令を工作機械15へ送出し加工を開始する(ス
テップS7)。このように本発明では、各種データを入
力・設定部1に予め入力すれば、f=pなる条件で切削
加工が自動的に遂行されるのである。
【0011】次に式(1)が成り立つ説明をする。図4
は、図3(b)の点A、Cを通る垂直平面で切った断面
をX−Xの水平方向から見た拡大部分断面図である。図
3(b)からわかるように、ボールエンドミルによる加
工面のカスプの稜線で囲まれた1つの四辺形DEGHは
略正方形をしており、図4からわかるように断面は、ボ
ールエンドミルの工具半径rの円弧が連なる形状をして
いる。これがボールエンドミルによる加工面である。弧
ABはボールエンドミルの工具中心が点O1 に位置して
いるときの加工面、弧BCはボールエンドミルの工具中
心が点O2 に位置しているときの加工面である。距離O
1 2 がピックフィード量pに相当する。円弧ABおよ
びBCの最下面を結んだ接線が磨きによってカスプを取
り除いた後に得るべき理想面である。点A,BまたはC
と得るべき理想面との距離がカスプの高さhである。な
お、図4はrを極端に小さく描き、カスプを誇張した図
である。
【0012】ここでこのカスプの高さhを幾何学的に求
める。点O1 から点Aと点Bの中点Jを通り弧ABに引
いた直線と弧ABの交点をIとする。距離ABはピック
フィード量pと等しく、距離BJはその半分のp/2に
相当する。直角三角形O1 BJにおいて、辺O1 Bの長
さはr、辺BJの長さはp/2であるから辺O1 Jの長
さは√{r2 −(p/2)2 }となる。カスプの高さh
は点Bから得るべき理想面に引いた垂線の足を点Kとす
ると距離BKで表され、これは取りも直さず距離IJと
等しい。距離O1 Iは工具半径rであるから距離IJは
距離O1 Iから距離O1 Jを引いたもの、すなわち h=r−√{r2 −(p/2)2 }・・・・・・・・・・式(3) が成り立つ。式(3)の{ }内を(X+Y)2 の形に
すべく(p2 /8r)2 と−(p2/8r)2 なる項を
便宜的に導入して、 h=r−√{r2 −(p/2)2 +(p2 /8r)2
(p2 /8r)2 } と変形する。通常pの値はrと比べるとはるかに小さい
ので−(p2 /8r)2は十分無視できる。よって h=r−√(r−p2 /8r)2 =r−(r−p2 /8r) =p2 /8r なる近似式が成り立つ。したがってpは、 p=√(8rh) となる。
【0013】図4はピック方向に切断した断面において
考察したが、これを工具送り方向に切断した断面におい
て考察しても同じことがいえる。つまり、円弧ABはあ
る瞬間にボールエンドミルのある切刃が加工した加工面
であり、円弧BCは1刃当たりの送り量fだけボールエ
ンドミルが送られ、次の切刃が加工した加工面である。
このときピックフィード量pに換え1刃当たりの送り量
fを用いれば、同様の論法で f=√(8rh) が成り立つ。結局 f=p=√(8rh) となり、式(1)が成り立つことがわかる。この式
(1)は若干の近似をしているが、その近似誤差は実用
上問題とならない。もちろん、近似していない式(3)
を用いて、f,pを算出しても良いことは言うまでもな
い。
【0014】図3(b)に図示した加工形状は、往復モ
ードで加工し、行きと戻りの加工位置が完全に一致する
理想的な場合を示したので、略正方形の加工痕が送り方
向にもピック方向にも規則正しく並んだ状態になった
が、実際の加工では、行きと戻りの行程間にずれが生
じ、1つ1つの加工痕は略正方形であるが、ピック方向
に隣接する加工痕はピック毎にずれることになる。よっ
て図3(b)に示したように加工痕が規則正しく並んだ
場合のカスプの最大高さは点D,E,G,H等の頂点の
位置で発生し、点A,B,C等で発生するカスプ高さの
約2倍である。よって式(1)で算出したfおよびpの
値で加工を行うと、加工後のカスプ高さは実際にはhか
ら2hの間にばらつくことになる。このことを予め念頭
に置いてカスプの高さhの設定値を入力しなければなら
ない。
【0015】次に、入力・設定部1に予め入力する各種
数値等について説明する。使用ボールエンドミルの工具
半径rは、加工形状のコーナ半径、工具の長さ対直径比
によって決められる。使用ボールエンドミルの回転速度
Nは、工具半径、工具材質、ワーク材質、工具寿命等を
考慮した工作機械の主軸最高回転速度を越えないように
決められる。加工後のワークのカスプの高さhは、加工
図面等で指定されている場合と、後工程の磨き作業をど
の位短縮する必要があるかによって決める場合とがあ
る。切込み量tは、荒加工、仕上げ加工の別によって適
宜決める。加工モードには、往復モード、一方向モー
ド、等高線に沿った輪郭モード等の種類があり、加工形
状、荒加工、仕上げ加工の別等によって適宜選定する。
【0016】ボールエンドミルによる仕上げ加工で目標
とするカスプの高さhが例えば10μm以下の場合、ボ
ールエンドミルの切刃部の不揃いの値の方が大きくな
り、複数刃のボールエンドミルを使用しても1回転の間
に切削に寄与するのは1枚の刃だけという現象が生じ
る。この場合、fは1刃当たりの送り量ではなく、1回
転当たりの送り量と考えなければならない。
【0017】本発明は、fやpの値を演算したり、工具
経路データを生成したりする工程を自動化しているが、
この工程を手計算で行い、工具経路を指定するNCプロ
グラムを手動で生成する場合、近似していない式(3)
を用いるより近似した式(1)を用いれば、容易にfや
pの値を算出できる利点がある。
【0018】次に、加工時間Tを算出する他の方法を説
明する。入力・設定部1で入力した加工形状から加工面
積Aを算出する。ここで、単位時間当たりの加工面積S
は S=Fp=nfNp f=pであるから、 S=nNp2 となる。よって、加工時間Tは、 T=A/S=A/nNp2 である。式(1)からp=√(8rh)であるから、 T=A/nN{√(8rh)}2 =A/8nNrh ・・・・・・・・・・ 式(4) となる。式(4)でA/8nrは、工具が決まれば定数
となる。よって、加工時間Tは回転速度Nが高い程、ま
た、カスプの高さhが大きい程小さくなる。よって、加
工を行う前に予測した加工時間Tを検討し、加工時間が
長すぎる場合は、Nまたはhを設定し直して加工時間の
短縮を図る必要がある。この方法も手動でNCプログラ
ムを生成する場合には加工時間Tが容易に算出でき好都
合である。
【0019】次に仕上げ加工における工具摩耗について
説明する。ボールエンドミルによる仕上げ加工での切込
み量tは0.1mm程度と少なく設定するが、このような
仕上げ加工における工具摩耗は切刃とワークの接触回数
で決まり、1刃当たりの送り量には大きく影響されな
い。f=pでの加工と、f=p/4の従来方法による加
工とで工具摩耗を比較した。単位時間当たりのワークと
工具の接触回数は両条件で等しい。従って、加工時間で
見た場合には、両条件の工具摩耗に大きな差はない。す
なわち送りの速いf=pの方が送りの遅いf=p/4よ
り、1本の工具で広い面積を加工できることとなる。加
工面積で見た場合の工具摩耗比較実験結果を図5に示
す。図5の実験条件は、工具半径r=3mmの超硬コーテ
ィングボールエンドミルを用い、金型鋼(ロックウェル
硬度50)の45°の傾斜面を等高線に沿った一方向モ
ードのダウンカットにより切削加工したもので、回転速
度14000( min-1)、ピックフィード量p=0.4
4mm、切込み量t=0.1mmに設定したものである。工
具逃げ面摩耗幅VB が0.04mmに達するまでにf=p
とf=p/4でボールエンドミルが加工した面積は、f
=pの方がf=p/4の約3倍広かった。すなわち従来
加工の条件に比較して本発明の方法で加工した場合、1
本の工具での仕上げ加工面積が広くなるか、同じ面積を
加工しても工具摩耗が少ない。この結果、工具間の面の
つなぎ段差は縮小する。
【0020】
【発明の効果】こうして本発明によるボールエンドミル
による切削加工方法および装置によれば、ピック溝がな
く、均一な凹凸が均等に分布した金型等の加工面を得ら
れ、後工程の磨き作業に方向性がなく、形状に沿って磨
けるようになり、磨き作業の時間短縮が実現すると共に
作業が楽に行えるようになった。また、工具摩耗の点か
ら加工面のつなぎ段差を縮小できる。そして、この1刃
当たりの送り量fとピックフィード量pとを等しく設定
する切削加工を遂行するに当たり、必要な加工条件を入
力すると、それに適合した1刃当たりの送り量fとピッ
クフィード量pとを算出し、自動的に工具経路データを
生成して三次元曲面を有したワークをNC工作機械によ
って切削加工できる実用性の高いボールエンドミルによ
る切削加工方法および装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボールエンドミルによる切削加工装置
の構成ブロック図である。
【図2】本発明のボールエンドミルによる切削加工方法
のステップを表したフローチャートである。
【図3】ボールエンドミルを用い、(a)はfをpの数
分の1に、(b)はf=pに設定して切削加工したとき
の加工面の状態を表した斜視図である。
【図4】図3(b)の矢視X−Xから見た拡大部分断面
図である。
【図5】工具の逃げ面摩耗幅VB とワークの加工面積と
の関係をf=p/4とf=pとで比較したグラフであ
る。
【符号の説明】
1…入力・設定部 3…f・p演算部 5…送り速度演算部 7…工具経路生成部 9…加工時間演算部 11…表示部 13…NC装置 15…工作機械

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボールエンドミルを用い三次元曲面でな
    るワーク表面を切削加工する切削加工方法において、 使用ボールエンドミルの送り方向の1刃当たりの送り量
    fを使用ボールエンドミルの工具半径rと切削加工した
    ときワークに形成されるカスプの高さhとから演算し、 前記送り方向とは別のピック方向のピックフィード量p
    を前記演算した1刃当たりの送り量fと等しく設定し、 設定したピックフィード量pと予め入力した加工形状デ
    ータおよびボールエンドミルの移動態様を規定する加工
    モードとに基づいて使用ボールエンドミルの工具経路デ
    ータを生成し、 生成された工具経路データをNC工作機械のNC装置へ
    送出して切削加工を行うようにしたことを特徴とするボ
    ールエンドミルによる切削加工方法。
  2. 【請求項2】 ボールエンドミルを主軸に装着して回転
    させワークとの間で相対移動して三次元曲面でなるワー
    ク表面を切削加工するNC工作機械と、 使用ボールエンドミルの工具半径r、刃数nおよび回転
    速度N、ワークに形成されるカスプの高さh、ワークの
    加工形状、ボールエンドミルの移動態様を規定する加工
    モード等を入力する入力手段と、 前記入力手段で入力した前記工具半径rおよびカスプの
    高さhから使用ボールエンドミルの送り方向の1刃当た
    りの送り量fを演算し、前記送り方向とは別のピック方
    向のピックフィード量pを前記演算した1刃当たりの送
    り量fと等しく設定する第1演算手段と、 前記第1演算手段で算出した1刃当たりの送り量fと前
    記入力手段で入力した刃数nおよび回転速度Nとから送
    り速度Fを演算する第2演算手段と、 前記第1演算手段で設定したピックフィード量pと前記
    入力手段で入力したワークの加工形状および加工モード
    とに基づいて使用ボールエンドミルの工具経路データを
    生成する工具経路生成手段と、を具備し、前記第2演算
    手段で算出した送り速度Fと前記工具経路生成手段で生
    成した工具経路データを前記NC工作機械のNC装置へ
    送出して切削加工を行うことを特徴としたボールエンド
    ミルによる切削加工装置。
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