JPH08283766A - 電気粘性流体 - Google Patents

電気粘性流体

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JPH08283766A
JPH08283766A JP7093793A JP9379395A JPH08283766A JP H08283766 A JPH08283766 A JP H08283766A JP 7093793 A JP7093793 A JP 7093793A JP 9379395 A JP9379395 A JP 9379395A JP H08283766 A JPH08283766 A JP H08283766A
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silica particles
polyhydric alcohol
silica
ammonia
bonded
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JP7093793A
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Mikiya Shinohara
幹弥 篠原
Kazuo Yajima
和男 矢島
Yukio Senda
幸雄 千田
Sachiko Inoue
祥子 井上
Koji Shima
耕司 島
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Mitsubishi Chemical Corp
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気粘性効果の優れた電気粘性流体を得る。 【構成】 電気絶縁性液体中に、シリカ粒子とアンモニ
ア及び水を含有してなる電気粘性流体であって、シリカ
粒子の表面シラノール基に多価アルコールがエステル結
合している電気粘性流体。 【効果】 電気粘性効果が大幅に増加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気粘性流体に関するも
ので、特に電気絶縁性液体中にシリカ粒子とアンモニア
及び水を含有する電気粘性流体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリコンオイルなどの電気絶縁性液体を
分散媒とし、アンモニア水などの電解質溶液を含有する
シリカを分散粒子とする系は、特開平2−209997
号公報に記載されているように、エチルシリケートを加
水分解して得られた、粒径0.56μmの球状シリカを
250℃16時間乾燥させた後に、シリコンオイル中に
濃アンモニア水(シリカに対し1〜10wt%)ととも
に添加するか、あるいは、エチルシリケートを加水分解
するときに使用される、加水分解反応の触媒としてのア
ンモニア水をそのまま含有する球状シリカを、シリコン
オイルなどとボールミルなどによって混合し、製造して
いる。
【0003】また同公報には、高温での長期安定性のた
めに、用いる電解質溶液の溶媒に水などの低沸点溶媒の
替わりに、例えばエチレングリコールなどの高沸点極性
溶媒を、シリカ粒子の水洗、乾燥後に、電解質、電気絶
縁性液体とともにボールミルなどで混合するか、あるい
はシリカ粒子を電解質溶液に含浸させるなどの方法で、
含有させる方法が開示されている。また、同様な方法と
して、特開平2−91195号公報に記載されている、
エチレングリコールなどの多価アルコール、または多価
アルコールと水及び塩と塩基などとともに、シリカゲル
などの多孔質固体粒子を鉱油などの絶縁性液体中に混
合、分散させた電気粘性流体が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のいずれの系も電
気粘性効果を発現するが、依然、より大きな電気粘性効
果を得ることが待望されている。例えば、特開平2−2
09997号公報に記載されているシリコンオイル、及
びアンモニア水が含有されている球状シリカの系は、共
軸回転二重円筒型粘度計で測定した電気粘性効果は、無
電界時せん断応力が8Pa,2kV/mmの電界印加時
には210Pa程度であった(せん断速度:365s-1
で測定)。一方特開平2−91195号公報に記載され
ている、エチレングリコールなどの多価アルコール、ま
たは多価アルコールと水、及び塩と塩基などとともに、
シリカゲルなどの多孔質固体粒子を鉱油などの絶縁性液
体中に混合、分散させた系では、具体的な電気粘性効果
による誘起せん断応力の記載はないが、1.4kV/m
mの電圧印加による粘度増加率が高々4倍程度であり、
電気粘性効果としても非常に小さく、実デバイスに使用
できる性能とはいい難い。
【0005】電気粘性流体を用いた実デバイスには、2
00Pa程度の誘起せん断応力では、得られる電気粘性
効果により発生される応力がまだ小さく、電極面積をさ
らに増大させる、あるいは、印加する電界をさらに増大
させるなどの必要があり、設計上複雑な構造になった
り、装置が大型化するなどという、大きな問題点があ
り、電気粘性効果の向上は実用化のための大きな問題点
であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決すべく鋭意検討した結果、電気絶縁性液体中に、シリ
カ粒子とアンモニア及び水を含有してなる電気粘性流体
において、シリカ粒子の表面シラノール基に多価アルコ
ールがエステル結合したシリカ粒子を用いることによっ
て、従来のシリカにアンモニア及び水を含有した系に比
較して、その電気粘性効果が大きく改良されることを見
いだし、本発明に至った。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いるシリカ粒子及び多価アルコールは次のように公知
の方法を用いて得ることが出来る。シリカ粒子は、例え
ばメチルシリケート(テトラメトキシシラン:TMO
S)、あるいはエチルシリケート(テトラエトキシシラ
ン:TEOS)などの加水分解縮合可能なアルコキシシ
ランを、水溶液中に添加して、加水分解、縮合を行い、
ゲルを生成させる。上記水溶液にはメタノール、あるい
はエタノールなどを適宜含有させる。この時、ゲルの性
状、例えば単分散の球状粒子あるいは不定形状のゲルを
得るなどの、それぞれの場合に応じて、触媒の量、水の
濃度が適宜選択される。通常、触媒としては、アンモニ
ア水、エタノールアミンなどが用いられる。該反応水溶
液の濃度としては、アルコキシシランとして0.05〜
50モル/リットル、水としては0.1〜50モル/リ
ットル、触媒としては0.1〜10モル/リットル、水
/アルコキシシランのモル比は1〜150の範囲で行う
のが一般的である。また加水分解、縮合反応は0〜10
0℃、好ましくは0〜80℃の範囲で数10分〜100
時間撹拌することによって行われる。ゲルが生成した後
に、ゲルの分離、乾燥、必要に応じて粉砕などを行っ
て、球状、あるいは不定形状のシリカゲルを得る。
【0008】粒径としては0.1〜数10μmのものが
好ましく、小さすぎると流体の粘度が高くなり不都合で
あり、また、粒径が大きすぎると、沈降してしまい同様
に不都合である。単分散球状粒子の場合では粉砕せずに
そのまま使用し、不定形ゲルの場合は粉砕などで所定の
粒径に調整する。乾燥は通常100〜250℃で数〜数
10時間程度行うのが好ましい。これ以上温度を上げる
と、シリカ表面のシラノール基が減少してしまうので好
ましくない。例えば、空気中で200℃まで加熱した場
合、加熱重量減少が0.1〜20wt%、好ましくは1
〜10wt%になるように乾燥する。
【0009】多価アルコールは、例えば、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、
ヘキサンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジ
オール、ジエチレングリコール、グリセリンなどが、入
手が容易なことから適当であり、例えば100℃程度の
温度で容易に揮散しない程度の蒸気圧あるいは沸点、例
えば100℃以上の沸点を持つことが好ましい。特に好
ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、グリセリンである。
【0010】多価アルコールとシリカ粒子表面のシラノ
ールをエステル結合するには、次の様に公知の方法で行
うことができる。例えば、表面 vol.11,No.
10,p591〜609,654〜670(1973)
(宇津木 弘)に記載されているように、大きく分けて
(1)蒸気と接触して反応させる(2)反応液とともに
煮沸、還流する還流法(3)オートクレーブ中で高温、
高圧下で反応させる方法などがある。(1)については
通常200℃でシリカゲルを8時間程度真空賦活し、1
-4torr程度の真空度とし、アルコールを導入後3
00℃、数時間反応させ、200℃で排気することによ
り行っている。(2)については、例えば、150℃2
0時間乾燥したシリカ粒子を、用いる多価アルコールの
沸点直下で、1から数10時間、該多価アルコールを加
熱、還流させて、シリカ粒子と多価アルコールを反応せ
しめ、その後、分離、乾燥させる。
【0011】(3)については、日本化学会誌(vo
l.1972 No.9 p1557)に記載されてい
るように、ゲルの表面水酸基数の2〜10倍量のアルコ
ールとヘキサン、シリカゲルとを混合し、このスラリー
をオートクレーブ中でヘキサンの臨界点(30atm,
235℃)付近に昇温、加圧し、約30〜60分保つ。
その後オートクレーブから取り出し、ヘキサン、アセト
ン、エタノールなどで洗浄し乾燥させる。上記多価アル
コールは、用いるシリカ粒子のシラノール量にもよる
が、シリカ粒子は通常表面積が数10〜数100m2
gあるので、得られるエステル結合を有するシリカ粒子
に対し2〜20wt%、好ましくは5〜15wt%がシ
リカ粒子の表面にエステル結合した多価アルコール由来
の付着基とすることができる。
【0012】付着基の量は、上記公知文献にも詳述され
ているように、元素分析による炭素含有量と表面積値と
から求めることができる。このほか、前述のシリカ粒子
を作製する時に、エチレングリコールなどの多価アルコ
ールを反応溶液中に添加させてもシリカ粒子の表面シラ
ノール基とエステル結合させることができる。例えばメ
チルシリケート(テトラメトキシシラン:TMOS)、
あるいはエチルシリケート(テトラエトキシシラン:T
EOS)などのアルコキシシランを、多価アルコールが
溶解している水溶液中に添加して、加水分解、縮合を行
い、ゲルを生成させるなどの方法で行う。多価アルコー
ルの添加量としては、多価アルコール/水の重量比とし
て0.5〜10の範囲で行う。
【0013】また、シラノール基と多価アルコールがエ
ステル結合していることの確認は次のように行う。ま
ず、図1に示すように示差熱分析(DTA)、熱重量分
析(TG)により、エステル化されているシリカ粒子
は、多価アルコールの種類にもよるが、熱分解、酸化に
相当する、発熱部分とそれに伴う重量減少が300〜5
00℃に観測される。これは、該多価アルコールの沸点
は約200〜300℃であるが、エステル結合している
ために、この温度範囲では蒸発しないために、蒸発によ
る吸熱反応が観測されず、より高温で熱分解、酸化反応
されるためである。また、昇温速度にも依存するが、エ
ステル化した多価アルコールの量が多いときは、500
℃でも燃焼しきれない炭素が600℃でも燃焼すること
による大きな発熱反応を生ずることもある。このほか、
簡易的には良く洗浄、乾燥させたシリカ粒子中の炭素含
有量を測定することによっても、エステル化量は推定で
きる。このほか、図2に示すように、フーリエ変換赤外
分光法(FT−IR)による赤外線吸収スペクトルの測
定により、エステル化により、シラノールと結合した多
価アルコール分子内のアルキル基などのCH伸縮振動に
帰属される特性吸収が2800〜3000cm-1に、C
Hの変角振動に帰属される特性吸収が1500cm-1
近にそれぞれ観測される。ただし、シリカ粒子を、エチ
ルシリケート、メチルシリケートなどを加水分解して作
製する場合には、反応溶液中に含まれる、エタノール、
あるいはメタノールが、シリカ粒子のシラノール基とエ
ステル結合して同様な赤外吸収スペクトルが観測される
ため、この測定だけでは、多価アルコールがエステル結
合されているかどうかは判定できない(図4)。この場
合は、示差熱分析、熱重量分析を行えば、発熱ピークが
150〜250℃に観測されるので区別できる(図
3)。これは、エステル化されていないシリカ粒子、例
えば、単にシリカ粒子と多価アルコール混合したり、室
温で含浸しただけのシリカ粒子を、水、アセトン、エタ
ノールなどで洗浄、乾燥などを行うと、示差熱分析での
発熱ピークが、300℃以上では観測されない、あるい
は、これらの赤外線吸収スペクトルの特性吸収が非常に
小さいか、あるいは観測されない(図3、4)。すなわ
ち、多価アルコールがシリカ粒子表面のシラノール基と
化学結合していないので、容易に洗浄、乾燥などで脱離
してしまうためである。
【0014】上記のように得られた、多価アルコールと
シリカ粒子表面シラノールがエステル結合したシリカ粒
子(以下エステル化されたシリカ粒子と呼ぶ)は、絶縁
性液体、アンモニア及び水とともに混合されるが、該エ
ステル化されたシリカ粒子の添加量としては、10〜7
5wt%、特に好ましくは35〜50wt%であること
が好ましい。10wt%より少ないと、大きな電気粘性
効果を示さず、また75wt%より多いと、無電界時粘
度が高くなり不都合となる。
【0015】アンモニア水は、エステル化されたシリカ
粒子、絶縁性液体などとともに混合する際に添加する。
また、アンモニアガスを水蒸気とともに、あるいは、雰
囲気中の水分とともにあらかじめエステル化されたシリ
カ粒子に吸収させても同様な効果がある。アンモニアの
添加量は、濃度28wt%のアンモニア水を用いる場合
は、エステル化されたシリカ粒子に対し1〜10wt
%、特に好ましくは2〜8wt%が好ましい。1%より
少ないと電気粘性効果が小さく、また10%より多い
と、電圧印加時に電流量が大きく電極間で短絡してしま
う現象が発生するので好ましくない。またアンモニアガ
スを用いるときは、数10〜数100ml/分の流量で
1〜10時間程度、使用するエステル化されたシリカ粒
子と接触させる。この時、シリカ粒子とアンモニアガス
の接触をよくするために、流動床を用いる、あるいは撹
拌などの操作を行うことが好ましい。
【0016】電気絶縁性液体は、高絶縁抵抗であれば何
でも良く、特別の制限を受けるものではない。この種の
液体としては、例えば、鉱油や合成潤滑油があり、具体
的には、ナフテン系、パラフィン系の各鉱油、シリコー
ンオイル、ポリオール、ポリオールエステル、リン酸エ
ステル、合成芳香族炭化水素などから適宜選ばれる。ま
た、これら電気絶縁性液体の粘度は25℃で5〜200
cpのものが好ましい。
【0017】この他、シリカ粒子の分散を向上させる目
的で、適宜分散剤が添加される。分散剤は慣用のものが
用いられ、用いる電気絶縁性液体の種類によって選択さ
れる。例えば、絶縁性液体がシリコンオイルであればア
ミノ変性、ヒドロキシ変性などのシリコンオイル系の分
散剤などが用いられる。この他、この種の分散剤として
は、例えば、スルフォネート類、ホスフォネート類、フ
ェネート類、アミン類、エステル類、非イオン系分散剤
などがある。
【0018】電気絶縁性液体、シリカ粒子、及びアンモ
ニア水などの混合は通常、一般的に用いられる方法によ
り行う。例えば、振動ボールミル、ペイントシェーカー
などによって、数時間から数十時間混合を行う。また特
願平6−143249に示すように、混合後に熱処理を
行うことが好ましい。混合後の熱処理は、40〜90℃
程度で数〜数十時間、上記混合体を、容器などに入れ、
恒温槽中に置いて行なわれる。90℃より高温の場合
は、添加したアンモニア水の蒸発が多く、電気粘性効果
が大きく低下する。また、40℃より低温で処理をする
と、処理効果が小さく、長時間を要し不都合である。ま
た、熱処理時間は高温であればあるほど、短時間の処理
となるが、流れる電流量、発生する電気粘性効果を測定
しながら随時、決定される。例えば、80℃で交流50
Hzで、2kV/mmの電圧を印加したとき、電気粘性
流体に流れる電流密度が10〜20μA/cm2 程度に
流れるように調製する。通常、90℃では10〜30時
間程度、80℃では40〜100時間程度、40℃では
400〜500時間程度行う。
【0019】一方、エチレングリコールなどの多価アル
コールを絶縁性液体、シリカ粒子とともにボールミルな
どで混合する、あるいは含浸させるなどの通常の手法を
用いて、添加する系に関しては、特開平2−20999
7に記載されているように、その目的は水の代わりに沸
点の高い物質を用いることによって、高温耐久性を改善
するために、添加することが示されている。しかしなが
ら、電気粘性効果を大きく増加させるということに関し
ては、何も示されていない。この点に関しては、後述
(比較例2)するように、絶縁性液体、シリカ粒子とと
もに混合される時に、エチレングリコールを同時に添加
しても、電気粘性効果は増加しないことが確認されてい
る。さらに特開平2−91195に記載されている、エ
チレングリコールなどの多価アルコール、または多価ア
ルコールと水、及び塩と塩基をシリカゲルなどの多孔質
粒子とともに混合、分散させる系では、本出願と異な
り、アンモニア水を用いることは記載されていない。さ
らに、多価アルコールの添加法は具体的に開示されてお
らず、単に「多孔質固体粒子に吸着している」「固体粒
子の表面に膜を形成している」という記述のみであり、
実施例にも、ある組成で「調製した」という記述しかな
い。すなわち、用いられている多価アルコールは本出願
と同じであるが、具体的にシリカ粒子表面のシラノール
基とエステル結合がされているということは何も記載が
ないばかりか、調製法の記載がいっさい無く、単に多価
アルコールと多孔質粒子を混合したことをうかがわせる
のみである。
【0020】即ち、エチレングリコールなどの多価アル
コールを単に添加しただけでは、電気粘性効果の大きな
増加は得られず、従って多価アルコールがシリカ粒子表
面のシラノール基とエステル結合されており、さらには
アンモニア及び水が同時に存在することが電気粘性効果
を大きく増加させることが判った。
【0021】
【作用】シリカ粒子にアンモニア水を添加して絶縁性液
体とともに混合してなる液体が、電気粘性効果を発現す
る機構は良く判っていないが、つぎのように推測され
る。シリカ粒子の表面に多くのシラノール基が存在し、
このシラノールは酸性を示すことが知られている。従っ
て、アンモニアが存在すると、アンモニアはアルカリな
ので、シラノールと中和反応により、シラノールと結合
する。この時、電場がかけられると、このシラノールに
結合したアンモニアイオンが、電場によりその位置を少
しずらす、あるいは電子分布が変形する、あるいは周囲
の自由水または束縛水を介して、アンモニアイオンが粒
子の片側に集められるなどにより、分極状態が発生し、
その結果、シリカ粒子として全体が大きく分極し、電気
粘性効果を発現すると考えられる。
【0022】これに対し、多価アルコールをシリカ粒子
表面のシラノール基とエステル結合させたシリカ粒子に
アンモニアを添加した場合は、シラノール基はまず多価
アルコールの一つの−OH基とエステル結合を生ずる。
一方、アルコール性の−OH基のHはきわめて弱い酸と
して働くことが知られているが、シラノール基と結合し
ていない残りの−OH基は、アンモニアと非常に弱い
が、上述のシラノール基と同様に、アンモニアと中和反
応を起こして、緩くアンモニアと結合していることが推
察される。このアンモニアイオンは、シラノール基との
結合より弱い結合と考えられるので、電場の印加によ
り、シラノール基と直接結合しているアンモニアイオン
より、同様な機構で容易に分極状態を生じ易いと考えら
れる。その結果、シリカにアンモニアを添加した系と比
較して、大幅な電気粘性効果の増加をもたらしたと推察
される。以下、実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はその要旨を越えないかぎり、以下の実施例
に限定されるものではない。また、実施例、比較例全て
の電気粘性効果の測定結果を表1にまとめて記す。
【0023】(実施例1) 分散粒子:テトラメトキシシラン1molに対し、水5
molを添加、混合し、45℃で加水分解、縮合して、
ゲルを得た。その後、分離し、120℃で1時間真空乾
燥を行って、乾燥シリカゲルを得た。さらに得られたシ
リカゲルをジェットミルによって粉砕、分級して粒径が
1〜20μmのシリカ粒子を得た。この時の比表面積は
550m2 /gであった。
【0024】この粒子をエチレングリコール中に添加
し、撹拌しながら、沸点の197℃で加熱、還流を5時
間行い、濾過分離後アセトンで充分に洗浄後150℃2
0時間乾燥させて、シリカ粒子表面のシラノール基とエ
チレングリコールがエステル化されたシリカ粒子を得
た。エステル結合ができていることの確認は、赤外線吸
収スペクトル(FT−IR)及び示差熱分析(DT
A)、熱重量分析(TG)によって確認した。エステル
化によってシリカ粒子と反応した、エチレングリコール
の量は、3.2gであった。
【0025】上記のようにして得られた、シリカ粒子4
0gに、電気絶縁性液体としてシリコンオイル(東レダ
ウシリコン「SH200」10cs)50.4g、分散
剤としてアミノ変性シリコンオイル(東レダウシリコン
「BY16」5.6g、28%アンモニア水3.2gを
ペイントシェーカーで2.5時間混合した。混合後10
0ccのガラスビーカーに入れ、恒温槽内に入れて、8
0℃70時間熱処理を行った。こうして得られた流体
の、電気粘性効果による誘起せん断応力の測定結果を表
1に示す。但し、電気粘性効果の測定は、交流50Hz
の電圧を印加し、また、365S-1のせん断速度下で、
40℃で共軸二重円筒型回転粘度計によって行った。
【0026】(実施例2) 分散粒子:エチルシリケート(試薬特級)186.0g
をエタノール(試薬特級)670.7gに溶解したA液
と28wt%アンモニア水223.6g、水173.9
gを同じくエチルアルコール1999.5gに溶解した
B液を混合し、直径0.56μmの球状のシリカ粒子を
得た。得られた粒子を150℃20時間乾燥後、実施例
1と同様に、エチレングリコール中に添加し、撹拌しな
がら、沸点の197℃で加熱、還流を行い、濾過分離後
アセトンで充分に洗浄後150℃20時間乾燥させて、
シリカ粒子にエチレングリコールがエステル結合した多
孔質シリカ粒子を得た。エステル結合した、エチレング
リコールの量は、TG−DTA測定によって3.6gで
あった。
【0027】上記のようにして得られたシリカ粒子を用
いて、以下実施例1と同じ方法によって電気粘性流体を
作製し、電気粘性効果の測定を行った。また得られた流
体を、60℃200時間恒温槽中に保持したのちに、同
様に電気粘性効果を測定したところ、恒温槽に保持する
前の電気粘性効果(誘起せん断応力)に対し95%の維
持率であり、ほとんど劣化は無かった。
【0028】(実施例3)市販の単分散球状シリカ(日
本触媒化成製)を用い、150℃20時間乾燥後、以下
実施例1と同様にしてエステル化を行い得られたシリカ
粒子を用いて電気粘性流体を作製し、電気粘性効果の測
定を行った。 (実施例4)実施例2のエチレングリコールの替わり
に、グリセリンを用い、同様にグリセリンの沸点290
℃で加熱、還流を行いエステル化処理を行った以外は、
実施例1と同様にして電気粘性流体を得た。
【0029】(実施例5)実施例2のエチレングリコー
ルの替わりに、1,3プロピレングリコールを用い、同
様にプロピレングリコールの沸点188℃で加熱、還流
を行いエステル化処理を行った以外は、実施例1と同様
にして電気粘性流体を得た。
【0030】(実施例6) 分散粒子:エチルシリケート(試薬特級)186.0g
をエタノール(試薬特級)670.7gに溶解したA液
と、28wt%アンモニア水223.6g、水173.
9g、エチルアルコール1499.5g、エチレングリ
コール500gを混合溶解したB液の二つの液を混合
し、直径1.50μmの球状のシリカ粒子を得た。得ら
れた粒子を150℃20時間乾燥後、TG−DTAによ
りシリカ粒子とエステル結合したエチレングリコールの
量は、TG−DTA測定によって3.3gであった。上
記のようにして得られたシリカ粒子を用いて、以下実施
例1と同じ方法によって電気粘性流体を作製し、電気粘
性効果の測定を行った。
【0031】(比較例1)実施例2において、エチレン
グリコールを添加しないで(即ちエステル化処理も行わ
ずに)、アンモニア水のみを添加し、あとは実施例2と
同様に作製し、電気粘性効果を測定した。 (比較例2)実施例2において、エチレングリコールは
添加したが、エステル化処理を行わずに、ペイントシェ
ーカーによる混合時に他の添加物と同時に添加、混合し
た。添加したエチレングリコールの量は、実施例2で測
定されたエチレングリコールの量と同量の3.6g添加
した。以下実施例2と同様にして電気粘性効果を測定し
た。
【0032】(比較例3)エチレングリコールの添加を
次の様な方法により行った。まず、実施例2で用いたシ
リカ粒子50gをエチレングリコール200cc中に分
散させ、室温下で、数ミリトールの圧力まで減圧し、そ
のまま10分保持後、常圧に戻す操作を3回繰り返して
シリカ粒子をエチレングリコールに含浸させる処理を行
った。その後、遠心分離を行い、さらにアセトンで洗
浄、遠心分離を3回繰り返し、150℃20時間乾燥し
た。この様にして得られたシリカ粒子を用いて、以下実
施例2と同様にして電気粘性流体を作製し、また電気粘
性効果を測定した。
【0033】(比較例4)比較例2において、用いた絶
縁性液体をシリコンオイルの代わりに鉱油(三菱石油P
TF A26)50.4g、分散剤としてアミノ変性オ
イルの代わりにコハク酸イミド5.6gを用い、エチレ
ングリコールの添加などの、他の操作は比較例2と同様
にして、電気粘性流体を作製し、電気粘性効果を測定し
た。
【0034】(比較例5)比較例3で用いたエチレング
リコールの含浸処理を行ったシリカ粒子40gを用い、
電気絶縁性液体として鉱油(三菱石油(株)「PTF
A26」)50.4g中に、分散剤としてコハク酸イミ
ド5.6g、28%アンモニア水3.2gとともにペイ
ントシェーカーで2.5時間混合した。混合後さらに8
0℃70時間熱処理を行って、同様に電気粘性効果を測
定した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の電気粘性流体によれば、従来系
の2倍以上の電気粘性効果が発現し、従来得られなかっ
た大きな電気粘性効果を得る事が出来た。また、比較的
高温下でも安定した電気粘性効果を発現するなど、電気
粘性効果を利用したデバイスの実用化に大きな貢献を示
すことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるシリカ粒子のTG−DTA曲
線。
【図2】実施例1におけるシリカ粒子の赤外線吸収スペ
クトル曲線。
【図3】多価アルコールによるエステル化未処理のシリ
カ粒子のTG−DTA曲線。
【図4】多価アルコールによるエステル化未処理のシリ
カ粒子の赤外吸収スペクトル曲線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 107:50 125:26 125:20) C10N 30:00 40:14 70:00 (72)発明者 千田 幸雄 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 井上 祥子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 島 耕司 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性液体中に、シリカ粒子とアン
    モニア及び水を含有してなる電気粘性流体であって、シ
    リカ粒子の表面シラノール基に多価アルコールがエステ
    ル結合していることを特徴とする電気粘性流体。
JP7093793A 1995-04-19 1995-04-19 電気粘性流体 Pending JPH08283766A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8062541B2 (en) 2007-08-01 2011-11-22 Lord Corporation Non-settling glycol based magnetorheological fluids

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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