JPH08283587A - 硬化性エマルジョン組成物 - Google Patents
硬化性エマルジョン組成物Info
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- JPH08283587A JPH08283587A JP10997895A JP10997895A JPH08283587A JP H08283587 A JPH08283587 A JP H08283587A JP 10997895 A JP10997895 A JP 10997895A JP 10997895 A JP10997895 A JP 10997895A JP H08283587 A JPH08283587 A JP H08283587A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 加水分解性シリル基を有する硬化性重合体か
らなり、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜が得られ、
かつ貯蔵安定性に優れる硬化性エマルジョン組成物の提
供。 【構成】 加水分解性シリル基を有する重合体からなる
水性エマルジョンと酸性基を有する重合体からなる水性
エマルジョンとを混合してなる硬化性エマルジョン組成
物。
らなり、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜が得られ、
かつ貯蔵安定性に優れる硬化性エマルジョン組成物の提
供。 【構成】 加水分解性シリル基を有する重合体からなる
水性エマルジョンと酸性基を有する重合体からなる水性
エマルジョンとを混合してなる硬化性エマルジョン組成
物。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解性シリル基を
有する硬化性重合体からなる硬化性エマルジョン組成物
に関するものであり、本発明のエマルジョン組成物は、
塗料または接着剤などの用途に好ましく使用できる。
有する硬化性重合体からなる硬化性エマルジョン組成物
に関するものであり、本発明のエマルジョン組成物は、
塗料または接着剤などの用途に好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】アルコキシシリル基に
代表される加水分解性シリル基を有する硬化性重合体
は、有機溶剤に溶解された溶剤型製品として、従来から
接着剤、シーリング材、塗料またはコーティング剤など
の用途に広く使用されている。しかしながら、これらの
用途分野においては、有機溶剤による環境汚染等の回避
のために、有機溶剤を使用しない水性型の材料が求めら
れており、加水分解性シリル基を有する硬化性重合体
(以下シリル系硬化性重合体という)についても、水性
エマルジョン化の検討が行われている。
代表される加水分解性シリル基を有する硬化性重合体
は、有機溶剤に溶解された溶剤型製品として、従来から
接着剤、シーリング材、塗料またはコーティング剤など
の用途に広く使用されている。しかしながら、これらの
用途分野においては、有機溶剤による環境汚染等の回避
のために、有機溶剤を使用しない水性型の材料が求めら
れており、加水分解性シリル基を有する硬化性重合体
(以下シリル系硬化性重合体という)についても、水性
エマルジョン化の検討が行われている。
【0003】シリル系硬化性重合体は、加水分解しなが
ら架橋するという性質を本来有しているために、安定な
水性エマルジョンで得ることは容易ではなく、水性エマ
ルジョン化に関して様々な手段の検討がされている。一
例として安定な水性エマルジョンを得ることができて
も、硬化性に劣るものもあり、そのような場合には、硬
化促進剤として有機スズ化合物を使用して硬化させる方
法が提案されている(特開平3−227312号公
報)。
ら架橋するという性質を本来有しているために、安定な
水性エマルジョンで得ることは容易ではなく、水性エマ
ルジョン化に関して様々な手段の検討がされている。一
例として安定な水性エマルジョンを得ることができて
も、硬化性に劣るものもあり、そのような場合には、硬
化促進剤として有機スズ化合物を使用して硬化させる方
法が提案されている(特開平3−227312号公
報)。
【0004】しかしながら、シリル系硬化性重合体から
なる水性エマルジョンと有機スズ化合物を混合した組成
物は保存安定性が悪く、混合後は常温でも短時間しか使
用できなかった。この点を改良する手段として、界面活
性剤で乳化された有機金属化合物を硬化促進剤として添
加する方法も提案されている(特開平6−228367
号公報)。上記公報記載の方法によれば、シリル系硬化
性重合体からなる水性エマルジョンの常温における安定
性はかなり改善されたが、高温ではやはり短期間しか使
用できず、より保存安定性に優れるものが求められてい
るのが現状である。
なる水性エマルジョンと有機スズ化合物を混合した組成
物は保存安定性が悪く、混合後は常温でも短時間しか使
用できなかった。この点を改良する手段として、界面活
性剤で乳化された有機金属化合物を硬化促進剤として添
加する方法も提案されている(特開平6−228367
号公報)。上記公報記載の方法によれば、シリル系硬化
性重合体からなる水性エマルジョンの常温における安定
性はかなり改善されたが、高温ではやはり短期間しか使
用できず、より保存安定性に優れるものが求められてい
るのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明は、加水分解性シリル基を
有する重合体からなる水性エマルジョンと酸性基を有す
る重合体からなる水性エマルジョンとを混合してなる硬
化性エマルジョン組成物である。
を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明は、加水分解性シリル基を
有する重合体からなる水性エマルジョンと酸性基を有す
る重合体からなる水性エマルジョンとを混合してなる硬
化性エマルジョン組成物である。
【0006】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明における加水分解性シリル基を有する重合体
すなわちシリル系硬化性重合体としては、該加水分解性
シリル基を有するラジカル重合性単量体と他のラジカル
重合性単量体を共重合して得られる重合体が好ましい。
加水分解性シリル基としては、アルコキシシリル基が好
ましく、該アルコキシシリル基を有するラジカル重合性
単量体〔以下単量体(A)という〕としては、ビニルメ
チルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシ
ランおよびγ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン等が挙げられる。アルコキシシリル基以外の加水分解
性シリル基としては、ハロゲノシリル基、アシロキシシ
リル基、アミドシリル基およびアミノシリル基等が挙げ
られる。
る。本発明における加水分解性シリル基を有する重合体
すなわちシリル系硬化性重合体としては、該加水分解性
シリル基を有するラジカル重合性単量体と他のラジカル
重合性単量体を共重合して得られる重合体が好ましい。
加水分解性シリル基としては、アルコキシシリル基が好
ましく、該アルコキシシリル基を有するラジカル重合性
単量体〔以下単量体(A)という〕としては、ビニルメ
チルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシ
ランおよびγ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン等が挙げられる。アルコキシシリル基以外の加水分解
性シリル基としては、ハロゲノシリル基、アシロキシシ
リル基、アミドシリル基およびアミノシリル基等が挙げ
られる。
【0007】上記単量体(A)と共重合可能なラジカル
重合性単量体〔以下単量体(B)という〕としては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸2ーエチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の
(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸2−
メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−エトキシプロピル、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2ーヒ
ドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロア
ルキル、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル
酸N,Nージエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル
酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチ
レン、αーメチルスチレンなどが挙げられる。
重合性単量体〔以下単量体(B)という〕としては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸2ーエチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の
(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸2−
メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−エトキシプロピル、(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2ーヒ
ドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロア
ルキル、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル
酸N,Nージエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル
酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチ
レン、αーメチルスチレンなどが挙げられる。
【0008】シリル系硬化性重合体における好ましい単
量体単位の割合は、全単量体単位の合計量を基準にし
て、単量体(A)単位0.5〜50重量%、炭素数1〜8
個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単
量体〔以下単量体(B1)という〕単位50〜99.5重
量%およびその他のラジカル重合性単量体単位0〜30
重量%であり、さらに好ましい割合は、単量体(A)単
位1〜30重量%、単量体(B1)単位70〜90重量
%およびその他のラジカル重合性単量体単位0〜20重
量%である。単量体(A)単位の割合が、0.5重量%未
満であると、得られる硬化性エマルジョン組成物から形
成される皮膜の表面硬度が不足し易く、一方50重量%
を越えるとエマルジョン組成物の安定性が低下する。単
量体(B1)単位の割合が、50重量%未満であると、
得られる塗膜の耐候性が低下し易い。その他のラジカル
重合性単量体単位の割合が、30重量%を越える場合
も、同様に塗膜の耐候性が低下し易い。
量体単位の割合は、全単量体単位の合計量を基準にし
て、単量体(A)単位0.5〜50重量%、炭素数1〜8
個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単
量体〔以下単量体(B1)という〕単位50〜99.5重
量%およびその他のラジカル重合性単量体単位0〜30
重量%であり、さらに好ましい割合は、単量体(A)単
位1〜30重量%、単量体(B1)単位70〜90重量
%およびその他のラジカル重合性単量体単位0〜20重
量%である。単量体(A)単位の割合が、0.5重量%未
満であると、得られる硬化性エマルジョン組成物から形
成される皮膜の表面硬度が不足し易く、一方50重量%
を越えるとエマルジョン組成物の安定性が低下する。単
量体(B1)単位の割合が、50重量%未満であると、
得られる塗膜の耐候性が低下し易い。その他のラジカル
重合性単量体単位の割合が、30重量%を越える場合
も、同様に塗膜の耐候性が低下し易い。
【0009】上記シリル系硬化性重合体からなる水性エ
マルジョンは、水性エマルジョンの合成法として一般的
に採用される乳化重合法、または以下に概要を説明する
ミクロ懸濁重合法によって製造できる。すなわち、ミク
ロ懸濁重合法においては、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル、t−ブチルハイドロパーオキシドまたはt
−ブチルパーオキシピバレート等の油溶性ラジカル重合
開始剤を使用し、かかる油溶性ラジカル重合開始剤を溶
解した単量体混合液を水および乳化剤の存在下に、1μ
以下または0.5μ以下の分散粒子に乳化分散させた後
に、重合を開始させる。
マルジョンは、水性エマルジョンの合成法として一般的
に採用される乳化重合法、または以下に概要を説明する
ミクロ懸濁重合法によって製造できる。すなわち、ミク
ロ懸濁重合法においては、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル、t−ブチルハイドロパーオキシドまたはt
−ブチルパーオキシピバレート等の油溶性ラジカル重合
開始剤を使用し、かかる油溶性ラジカル重合開始剤を溶
解した単量体混合液を水および乳化剤の存在下に、1μ
以下または0.5μ以下の分散粒子に乳化分散させた後
に、重合を開始させる。
【0010】乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジアル
キルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン性
界面活性剤、およびポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン性界面
活性剤などが使用できる。
ム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジアル
キルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン性
界面活性剤、およびポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン性界面
活性剤などが使用できる。
【0011】重合開始剤の使用量は、単量体の合計量に
対して、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重
量%がより好ましい。また、乳化剤の使用量は、単量体
の合計量に対して、0.5〜5重量%程度である。重合操
作としては、重合媒体の水の一部を予め重合器に仕込ん
でおき、攪拌下にその重合器中に、滴下ロートから重合
開始剤を内在する単量体混合液の水性乳化分散体を徐々
に滴下させながら、重合を進行させることが好ましい。
重合温度は、用いる重合開始剤によって異なるが、通常
40〜100℃程度である。
対して、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重
量%がより好ましい。また、乳化剤の使用量は、単量体
の合計量に対して、0.5〜5重量%程度である。重合操
作としては、重合媒体の水の一部を予め重合器に仕込ん
でおき、攪拌下にその重合器中に、滴下ロートから重合
開始剤を内在する単量体混合液の水性乳化分散体を徐々
に滴下させながら、重合を進行させることが好ましい。
重合温度は、用いる重合開始剤によって異なるが、通常
40〜100℃程度である。
【0012】本発明におけるシリル系硬化性重合体から
なる水性エマルジョンには、水性媒体のpHを6〜10
に保持するpH緩衝剤が添加されていることが好まし
い。pHを6〜10に保持するpH緩衝剤としては、炭
酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモ
ニウム、リン酸ーナトリウム、リン酸ーカリウム、リン
酸一アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリ
ウムおよびリン酸二アンモニウム等が挙げられる。pH
緩衝剤の好ましい使用量は、エマルジョン中の水媒体に
対して、0.01〜5重量%である。pH緩衝剤は、前
記単量体の重合時にあらかじめ水性媒体中に添加してお
いても良いし、また重合終了後に得られた水性エマルジ
ョンに添加しても良い。
なる水性エマルジョンには、水性媒体のpHを6〜10
に保持するpH緩衝剤が添加されていることが好まし
い。pHを6〜10に保持するpH緩衝剤としては、炭
酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモ
ニウム、リン酸ーナトリウム、リン酸ーカリウム、リン
酸一アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリ
ウムおよびリン酸二アンモニウム等が挙げられる。pH
緩衝剤の好ましい使用量は、エマルジョン中の水媒体に
対して、0.01〜5重量%である。pH緩衝剤は、前
記単量体の重合時にあらかじめ水性媒体中に添加してお
いても良いし、また重合終了後に得られた水性エマルジ
ョンに添加しても良い。
【0013】次に、酸性基を有する重合体からなる水性
エマルジョンについて説明する。本発明における重合体
中の酸性基としては、カルボキシル基またはリン酸基が
好ましく、酸性基を有する重合体(以下酸性重合体とい
う)としては、かかる酸性基を有するラジカル重合性単
量体と他のラジカル重合性単量体を共重合して得られる
重合体が好ましい。酸性基を有するラジカル重合性単量
体〔以下単量体(C)という〕としては、(メタ)アク
リル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク
酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸な
どのカルボキシル基含有単量体;モノ(2−アクリロイ
ルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メ
タクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートなど
のリン酸基含有単量体等が挙げられ、好ましくは、カル
ボキシル基含有単量体である。
エマルジョンについて説明する。本発明における重合体
中の酸性基としては、カルボキシル基またはリン酸基が
好ましく、酸性基を有する重合体(以下酸性重合体とい
う)としては、かかる酸性基を有するラジカル重合性単
量体と他のラジカル重合性単量体を共重合して得られる
重合体が好ましい。酸性基を有するラジカル重合性単量
体〔以下単量体(C)という〕としては、(メタ)アク
リル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク
酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸な
どのカルボキシル基含有単量体;モノ(2−アクリロイ
ルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メ
タクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートなど
のリン酸基含有単量体等が挙げられ、好ましくは、カル
ボキシル基含有単量体である。
【0014】上記酸性基含有ラジカル重合性単量体と共
重合させるラジカル重合性単量体としては、前記シリル
系硬化性重合体に関する説明で述べたラジカル重合性単
量体(B)と同様な単量体が使用できる。さらに、該単
量体(B)とともに、ジビニルベンゼン、ジアリルフタ
レート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびテ
トラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートのよう
な架橋性単量体を併用することが好ましい。
重合させるラジカル重合性単量体としては、前記シリル
系硬化性重合体に関する説明で述べたラジカル重合性単
量体(B)と同様な単量体が使用できる。さらに、該単
量体(B)とともに、ジビニルベンゼン、ジアリルフタ
レート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびテ
トラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートのよう
な架橋性単量体を併用することが好ましい。
【0015】酸性重合体における好ましい単量体単位の
割合は、全単量体単位の合計量を基準にして、単量体
(C)単位0.5〜20重量%、前記単量体(B1)単位
50〜99.5重量%およびその他の単量体単位0〜30
重量%であり、さらに好ましくは、単量体(C)単位1
〜10重量%、前記単量体(B1)単位50〜90重量
%およびその他の単量体単位0〜20重量%である。架
橋性単量体が併用される場合に、該単量体単位の好まし
い割合は、0.1〜1重量%である。単量体(C)単位の
量が、0.5重量%未満であるとエマルジョン組成物から
得られる塗膜の機械的強度が低く、一方20重量%を越
えるとエマルジョン組成物の安定性が低下し易い。架橋
性単量体単位の割合が、0.1重量%未満であると得られ
る塗膜の表面硬度が低く、一方1重量%を越えると表面
の平滑な塗膜が得られ難い。酸性重合体からなる水性エ
マルジョンは、前記した各種の単量体を公知の乳化重合
法によって共重合させることによって製造できるし、イ
ソプロピルアルコールなどの親水性溶剤を用いた溶液重
合によって得た共重合体を有機アミンなどの塩基性物質
で中和し、次いで水中に乳化分散させることによっても
得られる。さらに前記の加水分解性シリル基を有する重
合体エマルジョンを得たのと同様にミクロ懸濁重合法を
採用しても良い。
割合は、全単量体単位の合計量を基準にして、単量体
(C)単位0.5〜20重量%、前記単量体(B1)単位
50〜99.5重量%およびその他の単量体単位0〜30
重量%であり、さらに好ましくは、単量体(C)単位1
〜10重量%、前記単量体(B1)単位50〜90重量
%およびその他の単量体単位0〜20重量%である。架
橋性単量体が併用される場合に、該単量体単位の好まし
い割合は、0.1〜1重量%である。単量体(C)単位の
量が、0.5重量%未満であるとエマルジョン組成物から
得られる塗膜の機械的強度が低く、一方20重量%を越
えるとエマルジョン組成物の安定性が低下し易い。架橋
性単量体単位の割合が、0.1重量%未満であると得られ
る塗膜の表面硬度が低く、一方1重量%を越えると表面
の平滑な塗膜が得られ難い。酸性重合体からなる水性エ
マルジョンは、前記した各種の単量体を公知の乳化重合
法によって共重合させることによって製造できるし、イ
ソプロピルアルコールなどの親水性溶剤を用いた溶液重
合によって得た共重合体を有機アミンなどの塩基性物質
で中和し、次いで水中に乳化分散させることによっても
得られる。さらに前記の加水分解性シリル基を有する重
合体エマルジョンを得たのと同様にミクロ懸濁重合法を
採用しても良い。
【0016】本発明の硬化性エマルジョン組成物は、前
記シリル系硬化性重合体エマルジョンと酸性重合体エマ
ルジョンを混合して得られるが、それらのエマルジョン
の好ましい混合割合は、シリル系硬化性重合体と酸性重
合体の重量比で、シリル系硬化性重合体80〜60重量
%および酸性重合体20〜40重量%である。シリル系
硬化性重合体として、単量体(A)単位1〜30重量
%、単量体(B1)単位70〜90重量%およびその他
のラジカル重合性単量体単位0〜20重量%の構成の重
合体を用い、かつ酸性重合体として、単量体(C)単位
1〜10重量%、単量体(B1)単位50〜90重量%
およびその他の単量体単位0〜20重量%の構成の酸性
重合体を用いる場合に、上記重合体の混合割合は、特に
好ましい。酸性重合体の割合が、20重量%未満である
と硬化のための架橋反応が不十分になりやすく、一方4
0重量%を越えると相対的にシリル系硬化性重合体の割
合が低くなり、いずれの場合にも得られる塗膜の機械的
強度が低下する。
記シリル系硬化性重合体エマルジョンと酸性重合体エマ
ルジョンを混合して得られるが、それらのエマルジョン
の好ましい混合割合は、シリル系硬化性重合体と酸性重
合体の重量比で、シリル系硬化性重合体80〜60重量
%および酸性重合体20〜40重量%である。シリル系
硬化性重合体として、単量体(A)単位1〜30重量
%、単量体(B1)単位70〜90重量%およびその他
のラジカル重合性単量体単位0〜20重量%の構成の重
合体を用い、かつ酸性重合体として、単量体(C)単位
1〜10重量%、単量体(B1)単位50〜90重量%
およびその他の単量体単位0〜20重量%の構成の酸性
重合体を用いる場合に、上記重合体の混合割合は、特に
好ましい。酸性重合体の割合が、20重量%未満である
と硬化のための架橋反応が不十分になりやすく、一方4
0重量%を越えると相対的にシリル系硬化性重合体の割
合が低くなり、いずれの場合にも得られる塗膜の機械的
強度が低下する。
【0017】本発明の硬化性エマルジョン組成物は、エ
マルジョン中に別個に存在するシリル系硬化性重合体粒
子と酸性重合体粒子とが、成膜する時に初めて接触し、
シリル基による硬化反応を酸性基が促進させる、という
特徴を有しており、そのため後記した実施例からも明ら
かなとおり、温度60℃で2ケ月間放置されても安定な
エマルジョン状態を維持し、しかも優れた硬化性能を保
持している。本発明においては、上記のようにシリル系
硬化性重合体のエマルジョンと酸性重合体のエマルジョ
ンが混合されるが、加水分解性シリル基と酸性基の両方
を有する重合体では、本発明によって奏されるような優
れた効果は得られない。すなわち、比較例3で具体的に
示したとおり、加水分解性シリル基と酸性基の両方を有
する重合体の水性エマルジョンは、貯蔵中に加水分解し
やすく、製造後しばらくしたものでは、良好な硬化塗膜
が得られない。
マルジョン中に別個に存在するシリル系硬化性重合体粒
子と酸性重合体粒子とが、成膜する時に初めて接触し、
シリル基による硬化反応を酸性基が促進させる、という
特徴を有しており、そのため後記した実施例からも明ら
かなとおり、温度60℃で2ケ月間放置されても安定な
エマルジョン状態を維持し、しかも優れた硬化性能を保
持している。本発明においては、上記のようにシリル系
硬化性重合体のエマルジョンと酸性重合体のエマルジョ
ンが混合されるが、加水分解性シリル基と酸性基の両方
を有する重合体では、本発明によって奏されるような優
れた効果は得られない。すなわち、比較例3で具体的に
示したとおり、加水分解性シリル基と酸性基の両方を有
する重合体の水性エマルジョンは、貯蔵中に加水分解し
やすく、製造後しばらくしたものでは、良好な硬化塗膜
が得られない。
【0018】硬化性エマルジョン組成物を使用する際に
は、必要によって、使用前に硬化触媒を配合しても良い
し、また無機酸を加えてエマルジョンのpHを1〜5、
好ましくは3〜5程度に調整すると、一層機械的強度に
優れる皮膜を得ることができる。硬化触媒としては、イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタルート、イソプロ
ピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等
の有機チタネート化合物、ジオクチル酸錫、ジブチル錫
ジラウレート、ジブチル錫マレート等の有機錫化合物お
よびパラトルエンスルフォン酸等が挙げられる。
は、必要によって、使用前に硬化触媒を配合しても良い
し、また無機酸を加えてエマルジョンのpHを1〜5、
好ましくは3〜5程度に調整すると、一層機械的強度に
優れる皮膜を得ることができる。硬化触媒としては、イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタルート、イソプロ
ピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等
の有機チタネート化合物、ジオクチル酸錫、ジブチル錫
ジラウレート、ジブチル錫マレート等の有機錫化合物お
よびパラトルエンスルフォン酸等が挙げられる。
【0019】硬化性エマルジョン組成物は、被覆剤とし
て特に好適であり、例えばガラス、スレート、金属、木
材、またはプラスチック等からなる建材用の塗料、耐酸
性雨用塗料、防汚性塗料、無機建材用溌水剤、電気電子
部品の防湿コーティング剤、磁気テープのバックコート
剤および繊維用の硬化仕上げ剤・溌水剤等に用いること
ができる。
て特に好適であり、例えばガラス、スレート、金属、木
材、またはプラスチック等からなる建材用の塗料、耐酸
性雨用塗料、防汚性塗料、無機建材用溌水剤、電気電子
部品の防湿コーティング剤、磁気テープのバックコート
剤および繊維用の硬化仕上げ剤・溌水剤等に用いること
ができる。
【0020】
【実施例】以下、参考例、実施例および比較例を挙げ
て、本発明をさらに具体的に説明する。各例における
「部」は「重量部」である。 <参考例1> (シリル系硬化性重合体エマルジョンの製造)以下の単
量体を使用して、その混合溶液中に重合開始剤を溶解さ
せた溶液と、以下の水性媒体をホモミキサーで混合し、
さらにホモジナイザー(ゴーリン製)で処理し、pH
8.5の単量体エマルジョンを得た。 (a)単量体:n−ブチルメタクリレート 43部 n−ブチルアクリレート 20部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5部 γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 12部 開始剤:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部 (b)水性媒体:脱イオン水 100部 界面活性剤:ポリオキシエチレンノニルフェニル エーテル硫酸ナトリウム 3部 pH緩衝剤:炭酸水素ナトリウム 0.3部
て、本発明をさらに具体的に説明する。各例における
「部」は「重量部」である。 <参考例1> (シリル系硬化性重合体エマルジョンの製造)以下の単
量体を使用して、その混合溶液中に重合開始剤を溶解さ
せた溶液と、以下の水性媒体をホモミキサーで混合し、
さらにホモジナイザー(ゴーリン製)で処理し、pH
8.5の単量体エマルジョンを得た。 (a)単量体:n−ブチルメタクリレート 43部 n−ブチルアクリレート 20部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5部 γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 12部 開始剤:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部 (b)水性媒体:脱イオン水 100部 界面活性剤:ポリオキシエチレンノニルフェニル エーテル硫酸ナトリウム 3部 pH緩衝剤:炭酸水素ナトリウム 0.3部
【0021】次に攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入
管、温度計および冷却器を備えたフラスコに、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムが1
0重量%の濃度で溶解された脱イオン水40部を仕込
み、窒素ガスを導入しつつ液温を85℃に昇温した。つ
いで、フラスコ内の水性媒体を高速で攪拌しながら、前
記単量体エマルジョンを4時間かけて滴下した。滴下終
了後、2時間85℃に維持した後、室温まで冷却した。
重合期間中、フラスコ内壁に凝集物がわずかに付着した
以外、液分離またはブロッキングは起こらず、重合は安
定に行われた。上記重合により、固形分濃度が40重量
%で、重合体粒子の平均粒径が0.13μmで、エマル
ジョンのpHが8.5の重合体エマルジョンを得た。得ら
れたエマルジョンにおけるグリッドの含有量は(該エマ
ルジョンを200メッシュのネットで濾過した時の未通
過物)は0.1重量%以下であった。
管、温度計および冷却器を備えたフラスコに、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムが1
0重量%の濃度で溶解された脱イオン水40部を仕込
み、窒素ガスを導入しつつ液温を85℃に昇温した。つ
いで、フラスコ内の水性媒体を高速で攪拌しながら、前
記単量体エマルジョンを4時間かけて滴下した。滴下終
了後、2時間85℃に維持した後、室温まで冷却した。
重合期間中、フラスコ内壁に凝集物がわずかに付着した
以外、液分離またはブロッキングは起こらず、重合は安
定に行われた。上記重合により、固形分濃度が40重量
%で、重合体粒子の平均粒径が0.13μmで、エマル
ジョンのpHが8.5の重合体エマルジョンを得た。得ら
れたエマルジョンにおけるグリッドの含有量は(該エマ
ルジョンを200メッシュのネットで濾過した時の未通
過物)は0.1重量%以下であった。
【0022】<参考例2〜5> (シリル系硬化性重合体エマルジョンの製造)参考例1
と同様の方法で、表1に示す単量体を用いて、重合体エ
マルジョンを製造した。
と同様の方法で、表1に示す単量体を用いて、重合体エ
マルジョンを製造した。
【0023】
【表1】
【0024】<参考例イ> (酸性重合体エマルジョンの製造)攪拌機、滴下ロー
ト、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えたフラ
スコに、脱イオン水40部を仕込み、窒素ガスを導入し
つつ液温を50℃に昇温し、t−ブチルハイドロパーオ
キサイド1部を仕込んだ後、下記成分からなるプレエマ
ルジョンを連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了
後、70℃に昇温し2時間維持した後、室温まで冷却し
pHが7.0で固型分濃度が40%になるように、アン
モニア水と脱イオン水を添加して調整し、重合体エマル
ジョン(イ)を得た。得られたエマルジョンの平均粒子
径は、0.12μmであった。 プレエマルジョン: n−ブチルメタクリレート 36部 n−ブチルアクリレート 32部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 メタクリル酸 5部 ジビニルベンゼン 0.5部 ロンガリット 0.7部 脱イオン水 100部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸 ナトリウム 7部
ト、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えたフラ
スコに、脱イオン水40部を仕込み、窒素ガスを導入し
つつ液温を50℃に昇温し、t−ブチルハイドロパーオ
キサイド1部を仕込んだ後、下記成分からなるプレエマ
ルジョンを連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了
後、70℃に昇温し2時間維持した後、室温まで冷却し
pHが7.0で固型分濃度が40%になるように、アン
モニア水と脱イオン水を添加して調整し、重合体エマル
ジョン(イ)を得た。得られたエマルジョンの平均粒子
径は、0.12μmであった。 プレエマルジョン: n−ブチルメタクリレート 36部 n−ブチルアクリレート 32部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 メタクリル酸 5部 ジビニルベンゼン 0.5部 ロンガリット 0.7部 脱イオン水 100部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸 ナトリウム 7部
【0025】<参考例ロ〜ニ> (酸性重合体エマルジョンの製造)参考例イと同様の方
法で、表2に示す単量体を用いて、重合体エマルジョン
を製造した。
法で、表2に示す単量体を用いて、重合体エマルジョン
を製造した。
【0026】
【表2】
【0027】
【実施例1〜6】表3に示す割合で、参考例1〜5で得
られたシリル系硬化性重合体エマルジョンと参考例イ〜
ニ得られた酸性重合体エマルジョンを混合することによ
り、硬化性エマルジョン組成物を得た。得られた硬化性
エマルジョン組成物について、以下の方法により、エマ
ルジョンとしての安定性および塗膜物性を評価した。そ
の結果は表3に併記した。なお、塗膜の耐水性について
は、各実施例とも良好であった。 塗膜の耐溶剤性;硬化性エマルジョン組成物を剥離紙
に塗布して、常温10日間放置乾燥することにより0.
5mm程度の塗膜を作製した。得られた乾燥塗膜を常温
のアセトンに24時間日浸漬し、その皮膜の膨潤率(線
膨張率)と、ゲル分率(乾燥後の重量を測定し、初めの
重量に対する割合)を測定した。 塗膜の耐水性;上記で作製した乾燥塗膜を常温の水
に7日間浸漬し、その後の塗膜の透明度を目視によって
評価した。 エマルジョンの安定性;硬化性エマルジョン組成物を
密封容器に入れて、2ケ月間60℃に保持した後、シリ
ル基が加水分解して生成するメタノールまたはエタノー
ル量の定量分析を行い、シリル基の加水分解率を求め
た。
られたシリル系硬化性重合体エマルジョンと参考例イ〜
ニ得られた酸性重合体エマルジョンを混合することによ
り、硬化性エマルジョン組成物を得た。得られた硬化性
エマルジョン組成物について、以下の方法により、エマ
ルジョンとしての安定性および塗膜物性を評価した。そ
の結果は表3に併記した。なお、塗膜の耐水性について
は、各実施例とも良好であった。 塗膜の耐溶剤性;硬化性エマルジョン組成物を剥離紙
に塗布して、常温10日間放置乾燥することにより0.
5mm程度の塗膜を作製した。得られた乾燥塗膜を常温
のアセトンに24時間日浸漬し、その皮膜の膨潤率(線
膨張率)と、ゲル分率(乾燥後の重量を測定し、初めの
重量に対する割合)を測定した。 塗膜の耐水性;上記で作製した乾燥塗膜を常温の水
に7日間浸漬し、その後の塗膜の透明度を目視によって
評価した。 エマルジョンの安定性;硬化性エマルジョン組成物を
密封容器に入れて、2ケ月間60℃に保持した後、シリ
ル基が加水分解して生成するメタノールまたはエタノー
ル量の定量分析を行い、シリル基の加水分解率を求め
た。
【0028】
【表3】
【0029】
【比較例1】参考例1で得られたシリル系硬化性重合体
エマルジョンそのものについて、実施例1と同様にエマ
ルジョンとしての安定性及び塗膜の物性を評価した。そ
の結果は、つぎのとおりであった。 塗膜耐溶剤性──膨潤率150%,ゲル分率85%。 塗膜の耐水性──不良。 エマルジョンの加水分解率──2%。
エマルジョンそのものについて、実施例1と同様にエマ
ルジョンとしての安定性及び塗膜の物性を評価した。そ
の結果は、つぎのとおりであった。 塗膜耐溶剤性──膨潤率150%,ゲル分率85%。 塗膜の耐水性──不良。 エマルジョンの加水分解率──2%。
【0030】
【比較例2】参考例1で得られたシリル系硬化性重合体
エマルジョン100部に、ジブチルスズジラウレートを
10重量%含有する下記乳化液を10部添加し、室温で
1時間撹拌したエマルジョンについて、安定性及び塗膜
の物性を評価した。ジブチルスズジラウレートの乳化液
の製造:下記組成の液をホモミキサーで混合乳化し、ジ
ブチルスズジラウレートを10重量%含有する乳化液を
得た。 ジブチルスズジラウレート 10部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 2部 脱イオン水 88部 評価結果は、つぎのとおりであった。 塗膜耐溶剤性──膨潤率108%,ゲル分率99%。 塗膜の耐水性──良好。 エマルジョンの加水分解率──83%。
エマルジョン100部に、ジブチルスズジラウレートを
10重量%含有する下記乳化液を10部添加し、室温で
1時間撹拌したエマルジョンについて、安定性及び塗膜
の物性を評価した。ジブチルスズジラウレートの乳化液
の製造:下記組成の液をホモミキサーで混合乳化し、ジ
ブチルスズジラウレートを10重量%含有する乳化液を
得た。 ジブチルスズジラウレート 10部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 2部 脱イオン水 88部 評価結果は、つぎのとおりであった。 塗膜耐溶剤性──膨潤率108%,ゲル分率99%。 塗膜の耐水性──良好。 エマルジョンの加水分解率──83%。
【0031】
【比較例3】以下の単量体を使用して、参考例1と同様
な方法により、加水分解性シリル基と酸性基の両方を有
する1種の重合体からなる水性エマルジョンを製造し
た。 (a)単量体:n−ブチルメタクリレート 38部 n−ブチルアクリレート 20部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5部 メタクリル酸 5部 γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 12部 開始剤:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部 (b)水性媒体:脱イオン水 100部 界面活性剤:ポリオキシエチレンノニルフェニル エーテル硫酸ナトリウム 3部 pH緩衝剤:炭酸水素ナトリウム 0.3部 得られた硬化性重合体エマルジョンは貯蔵安定性に劣
り、製造後室温で1週間経過したエマルジョンを用いて
得られた塗膜の物性は不良だった。
な方法により、加水分解性シリル基と酸性基の両方を有
する1種の重合体からなる水性エマルジョンを製造し
た。 (a)単量体:n−ブチルメタクリレート 38部 n−ブチルアクリレート 20部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5部 メタクリル酸 5部 γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 12部 開始剤:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 1部 (b)水性媒体:脱イオン水 100部 界面活性剤:ポリオキシエチレンノニルフェニル エーテル硫酸ナトリウム 3部 pH緩衝剤:炭酸水素ナトリウム 0.3部 得られた硬化性重合体エマルジョンは貯蔵安定性に劣
り、製造後室温で1週間経過したエマルジョンを用いて
得られた塗膜の物性は不良だった。
【0032】
【発明の効果】本発明の硬化性エマルジョン組成物は、
加水分解性シリル基を有する重合体の水性エマルジョン
であるにも拘らず、貯蔵安定性に優れており、しかも基
材に塗布された場合に硬化性に優れ、架橋密度の高い硬
化皮膜を形成する。
加水分解性シリル基を有する重合体の水性エマルジョン
であるにも拘らず、貯蔵安定性に優れており、しかも基
材に塗布された場合に硬化性に優れ、架橋密度の高い硬
化皮膜を形成する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 201/10 PDP C09D 201/10 PDP C09J 133/08 JDD C09J 133/08 JDD 201/08 JBC 201/08 JBC 201/10 JBC 201/10 JBC
Claims (3)
- 【請求項1】 加水分解性シリル基を有する重合体から
なる水性エマルジョンと酸性基を有する重合体からなる
水性エマルジョンとを混合してなる硬化性エマルジョン
組成物。 - 【請求項2】 加水分解性シリル基を有する重合体を構
成する単量体単位の割合が、全単量体単位の合計量を基
準にして、加水分解性シリル基を有するラジカル重合性
単量体単位0.5〜50重量%、炭素数1〜8個のアルキ
ル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位5
0〜99.5重量%およびその他のラジカル重合性単量体
単位0〜30重量%であり、また酸性基を有する重合体
を構成する単量体単位の割合が、全単量体単位の合計量
を基準にして、酸性基を有するラジカル重合性単量体単
位0.5〜20重量%、炭素数1〜8個のアルキル基を有
する(メタ)アクリル酸アルキル単量体単位50〜99.
5重量%およびその他のラジカル重合性単量体単位0〜
30重量%である請求項1記載の硬化性エマルジョン組
成物。 - 【請求項3】 加水分解性シリル基を有する重合体と酸
性基を有する重合体の重量比が、加水分解性シリル基を
有する重合体80〜60重量%対酸性基を有する重合体
20〜40重量%である請求項1または請求項2記載の
硬化性エマルジョン組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10997895A JPH08283587A (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 硬化性エマルジョン組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10997895A JPH08283587A (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 硬化性エマルジョン組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08283587A true JPH08283587A (ja) | 1996-10-29 |
Family
ID=14523983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10997895A Pending JPH08283587A (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 硬化性エマルジョン組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08283587A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004300308A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-28 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 外装塗料用水性被覆組成物 |
JPWO2005108519A1 (ja) * | 2004-05-07 | 2008-03-21 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 接着剤用水性樹脂分散体及びその組成物 |
-
1995
- 1995-04-11 JP JP10997895A patent/JPH08283587A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004300308A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-28 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 外装塗料用水性被覆組成物 |
JPWO2005108519A1 (ja) * | 2004-05-07 | 2008-03-21 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 接着剤用水性樹脂分散体及びその組成物 |
JP4649404B2 (ja) * | 2004-05-07 | 2011-03-09 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 接着剤用水性樹脂分散体及びその組成物 |
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