JPH08277215A - マイクロエマルジョンを生じる経口摂取可能な組成物 - Google Patents

マイクロエマルジョンを生じる経口摂取可能な組成物

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JPH08277215A
JPH08277215A JP7072069A JP7206995A JPH08277215A JP H08277215 A JPH08277215 A JP H08277215A JP 7072069 A JP7072069 A JP 7072069A JP 7206995 A JP7206995 A JP 7206995A JP H08277215 A JPH08277215 A JP H08277215A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有効成分の生体内での溶解を促進し、その生
物学的利用率を改善できる、マイクロエマルジョンを生
じる経口摂取可能な組成物を提供する。 【構成】 医薬または美容用途の組成物であり、少なく
とも、有効成分と、グリセリドと脂肪酸エステルの混合
物から構成される親油性相と、界面活性剤(TA)と、
補助界面活性剤(CoTA)と、親水性相とを含有す
る。親油性相がC8からC18のポリグリコール・グリ
セリドの混合物から構成され、親水親油バランス(HL
B)が16より小さく、かつ親油性相は組成物総重量の
1%から75%であり、界面活性剤(TA)がC8から
C10の飽和ポリグリコール・グリセリドとポリグリセ
リン・オレインエステルから構成されるグループから選
択されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体の生体液と反応し
て生体内においてマイクロエマルジョンを生じることが
可能な、医薬または美容用途の、特に経口的に摂取可能
な組成物に関するものである。さらに具体的には、本発
明は、専門的に英語で「SMEDDS」(self micro e
mulsifying drug delivery system) と呼ばれる自己マ
イクロエマルジョン形成薬物投与システムにより形成さ
れる組成物に関するものである。このシステムは、人の
体温と同じ温度の水で乳化するという特性を持ってい
る。この組成物は、溶解性の大小を問わず、1種類ある
いは2種類以上の有効成分を組織に到達させ、人体の生
体液によってマイクロエマルジョンを生じさせて、マイ
クロエマルジョン中に溶解する1種類あるいは2種類以
上の有効成分の生物学的利用率を改善することを目的と
するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、マイクロエマルジョン
は、均質で、流動性のある安定した溶液であり、親水性
相、親油性相、少なくとも1種類の界面活性剤(T
A)、および少なくとも1種類の補助界面活性剤(Co
TA)の主要4成分から構成されている。マイクロエマ
ルジョンは、石油の回収に関して幅広く検討された。こ
の点については、ここでは、詳述しない。
【0003】界面活性剤は、親水性の高い極性基または
イオン基と、多少の程度の差こそあれ長鎖の脂肪族を含
む疎水基の2つを備えている化合物である。この極めて
親水性の高い化合物は、水溶液中と有機溶媒中とを問わ
ず、ミセルを形成することを目的としている。補助界面
活性剤は、同様に「補助表面活性剤」と呼ばれることも
あり、界面活性剤と同じような化合物であるが、疎水性
が高く、マイクロエマルジョンの水相と油相の相互可溶
作用を生じさせることを目的としている。
【0004】本発明は、難溶性有効成分をマイクロエマ
ルジョンで可溶化させて、その生物学的利用率を高める
ことを目的としている。
【0005】ヨーロッパ特許公開公報EP−A−033
4777において、出願人は、製薬工業でマイクロエマ
ルジョンが利用できることを実証した。また、PCT公
開公報WO93/12766において、出願人は、医薬
品として利用される特定の組成物を説明したが、それは
直腸液を親水性相とし、坐薬として調製されることを目
的としたマイクロエマルジョンであった。この方法は坐
薬については優れた成果を発揮するが、経口的に摂取さ
れる組成物には適さない。これは、胃または腸内の生体
液の方が直腸内よりもずっと大量な(数デシリットル)
ためである。一方、PCT公開公報WO93/1276
6に記述したようなマイクロエマルジョンが形成される
ためには、ごく少量の水(数ミリリットル)しか必要と
しない。
【0006】ヨーロッパ特許公開公報EP−A−015
2294では、C2−C4オレインアルコールないしア
ルコール極性エステルと、C8−C12脂肪酸から形成
される親油性相と、界面活性剤としてのエトキシルグリ
セリンとから成り、35から85重量%の水分を含む混
合物である当該システムについて記述した。この処方
は、かなりの量の水分を含んでいるので、カプセル剤に
はならない。しかも、水分を含む組成物は、生体内でマ
イクロエマルジョンではなく、マクロエマルジョンを生
じるので、生物学的利用率が著しく低下する。
【0007】この出願の優先日の後で公開されたPCT
公開公報WO93/23083では、無水親水性相がC
8−C10短鎖ポリグリコール・グリセリドから構成さ
れるシステムについて説明した。このシステムは、有効
成分の膜拡散に著しい改善はもたらさない。親水性有効
成分を到達させることはできず、エマルジョンを形成す
ることも、いわんやマイクロエマルジョンを生体内で形
成することができないので、生物学的利用率には変化は
ない。
【0008】製薬工業および化粧品業界では、カプセル
剤、錠剤、硬膏の方がパッケージがしやすいため、水相
を含まない組成物に対する需要が次第に高まってきてい
る。カプセル剤、とりわけ、上記の文書に記述されたカ
プセル剤の製造に関して今日まで知られている組成物
は、これら混合物に含まれる水分がカプセル剤製造技術
には適していないので、好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な諸問題を解決することを課題としたものである。本発
明は、経口摂取可能な組成物、とりわけ医薬または美容
用途の組成物で、親油性相、少なくとも1種類の界面活
性剤、および少なくとも1種類の補助界面活性剤から構
成されており、混合され、生体液に触れてマイクロエマ
ルジョンを生じさせ、有効成分の生体内での溶解を促進
し、その生物学的利用率を改善することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る経口摂取可
能な組成物は、マイクロエマルジョンを生じさせること
ができる組成物であって、少なくとも有効成分と、グリ
セリドと脂肪酸エステルの混合物から構成される親油性
相と、界面活性剤(TA)と、補助界面活性剤(CoT
A)と、親水性相とを含有し、前記親油性相がC8から
C18のポリグリコール・グリセリドの混合物から構成
され、親水親油バランス(HLB)が16より小さく、
かつ前記親油性相は組成物総重量の1%から75%であ
り、界面活性剤(TA)がC8からC10の飽和ポリグ
リコール・グリセリドとポリグリセリン・オレインエス
テルから構成されるグループから選択され、HLBが1
6より小さく、補助界面活性剤(CoTA)がプロピレ
ングリコール・ラウリンエステル、ポリグリセリン・オ
レインエステルおよびジグリコールエチルから構成され
るグループから選択され、TA/CoTAの比率は0.
5から6であり、最終的マイクロエマルジョンの親水性
相が、消化環境の生体液による摂取の後で形成されるこ
とを特徴とするものである。
【0011】要するに、本発明は、特定の親油性相を選
定した後、それと、特定の界面活性剤と補助界面活性剤
とを組合せ、人または動物の胃や腸の生体液によってマ
イクロエマルジョンを生じさせるところに特徴がある。
従って、マイクロエマルジョンを生じさせるために外部
の親水性相を投入する必要がない。この組成物は、生体
内での有効成分の生物学的利用率を改善する。本発明に
よる組成物は、従って、効果的に経口摂取できる。
【0012】驚くべきことに、長鎖親油性相を利用する
と、有効成分の膜拡散と血液中への通過が著しく改善さ
れる。なお、本明細書において、「ポリグリコール・グ
リセリド」は、分子量が200から600の、モノグリ
セリド、ジグリセリドとトリグリセリド、およびポリエ
チレングリコール(PEG)モノエステルとジエステル
の混合物、あるいはグリセリンと遊離PEGの混合物
で、HLB値がPEGの鎖の長さによって調整され、融
点が脂肪酸、PEGおよび脂肪鎖の飽和度の鎖の長さ、
つまり初期油の鎖の長さによって調整される混合物を指
す。
【0013】また、「C8からC18(C8−C18)
の脂肪酸」は、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C1
0)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C1
4)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C1
8)をそれぞれ一定以上の様々の割合で組み合わせた混
合物で、これらの酸が飽和状態にあると否とを問わず、
C8−C18の混合物を指す。これらの脂肪酸の比率
は、初期油によって決まる。
【0014】親油性相のポリグリコール・グリセリドが
飽和状態にあるので、温度が外気温の固体と人の体温の
液体とを混合することができる。この混合物のHLBは
16より低く、できれば9から15とし、約14程度で
あれば好ましく、出願人が「GELUCIRE 44/
14」の登録商標で商品化したものと同じタイプであ
る。実際、HLB値が16を超える場合には、混合物の
親水性が高くなりすぎるので、マイクロエマルジョンに
は好ましくない。HLB値が約14の時に最も幅広い範
囲でマイクロエマルジョンを生じさせることができるの
で、最良の結果が得られることが確認されている。
【0015】本発明の別の実施態様では、HLBが6の
不飽和のC8−C18ポリグリコール・グリセリドと温
度が外気温の液体の混合物、例えば、出願人が「LAB
RAFIL WL 2609 BS」の登録商標で商品
化している混合物を使用することができる。
【0016】親油性相の重量比は、組成物の1%から7
5%、できれば10%から75%であれば好ましい。こ
の範囲では、十分に希釈できるマイクロエマルジョンが
生じないことが確認されている。
【0017】界面活性剤(TA)は、HLBが16未
満、できれば5から14であれば好ましいC8−C10
ポリグリコール・グリセリドから成り、出願人が「LA
BRAFAC CM 10」、「LABRAFAC H
YDROPHILE」あるいは「LABRASOL」の
登録商標で商品化しているのと同じような界面活性剤で
ある。
【0018】本発明の別の実施態様では、界面活性剤
(TA)は、HLBが10のポリグリセリン・オレイン
エステルから成り、出願人が「PLUROL OLEI
QUE」の登録商標で商品化しているのと同じタイプの
界面活性剤である。補助界面活性剤(CoTA)は、ジ
グリコールエチル(ジエチレングリコール・モノエチル
エーテルとも呼ばれる)で、出願人が「TRANSCU
TOL」の登録商標で商品化しているものと同様の補助
界面活性剤である。本発明の別の実施態様では、補助界
面活性剤(CoTA)は、プロピレングリコール・ラウ
リンエステルから成り、出願人が「LAUROGLYC
OL」の登録商標で商品化しているタイプの補助活性剤
である。
【0019】本発明のもう一つの実施態様では、補助界
面活性剤(CoTA)は、ポリグリセリン・オレインエ
ステルから成り、出願人が「PLUROL OLEIQ
UE」の登録商標で商品化しているタイプの補助界面活
性剤である。TA/CoTAの比率は、0.5から6
で、できれば1から2であれば好ましい。6を超える、
また、0.5より下になると、組成物は、希釈性の強い
マイクロエマルジョンを生じることができない。
【0020】本発明の主要な長所の一つは、人または動
物の胃液または腸液の液量を問わず(数デシリットル程
度)、その液量と組成物から成る混合物から有効成分が
溶解しやすいマイクロエマルジョンが生じ、生体液が大
量であっても、その生物学的利用率を高めることができ
る点である。
【0021】従って、そのマイクロエマルジョンを生じ
させる範囲を決定する必要がある。この点については、
界面活性剤TA/補助界面活性剤CoTAの比率を1に
維持したまま、疑似三成分図を描いた。比率を変えて、
親油性相+TA+CoTAの混合物をつくった。それか
ら、この混合物のそれぞれが透明の溶液になるまで親水
性相を滴下添加した。この添加量は、マイクロエマルジ
ョンが生じる範囲に到達するのに必要最少限の親水性相
の割合である。いわゆる入口割合である。それから、曇
りが生じるまで親水性相を添加し続ける。添加量は、い
わゆる出口割合に相当する。
【0022】疑似三成分図の作図方法は、「滴定法」と
呼ばれる。マイクロエマルジョン、すなわち透明溶液が
生じる範囲は、分散相が乳白色を呈するエマルジョンを
生じる2つの範囲の間である。
【0023】初期組成物は摂取されることを目的とし、
水分を含んでいないことを前提とするが、用途によって
は水分を含んでいる方が有効なこともある。但し、この
初期水分が最終的マイクロエマルジョンの発生に関与し
ないことを条件とする。
【0024】実際、組成物が液体の場合、つまりもとも
と吸湿性があり、しかも、カプセル剤としてパッケージ
される場合には、少量の水分は、カプセル内の水分の調
整をするのに役立つ。この水分が最終的マイクロエマル
ジョンの発生には関与しないで、単にカプセル剤を安定
させて、カプセルがもろく割れやすくなるのを避けるた
めに役立つということは明白である。
【0025】図1および図2は、本発明の好ましい2種
類の組成物の疑似三成分図である。いずれの場合も、界
面活性剤(TA)と補助界面活性剤(CoTA)の混合
物は同じものである。ただし、親油性相は異なる。2つ
の図を見ると、マイクロエマルジョンの生じる範囲は極
めて広く、親水性相の割合が高い場合(図1では0%か
ら60%、図2では0%から70)にも対応しているこ
とがはっきりと分かる。つまり、マイクロエマルジョン
は、生体液が大量にある消化器官(数デシリットル程
度)の中でも生じるということである。
【0026】
【実施例】以下に本発明に係るマイクロエマルジョンを
生じる経口摂取可能な組成物の好ましい実施例を挙げ、
本発明の効果を説明する。ただし、有効成分の含有量
は、摂取する有効成分の用量によって決まることは言う
までもない。
【0027】これらすべての実施例では、組成物の10
0重量%の補体は、実施例1から8、11および12で
はインドメタシン、実施例9ではヒドロコルチゾン、実
施例10ではジクロフェナックナトリウムの抗炎症剤と
なっている。
【0028】[実施例1]親油性相として、融点が48
℃、HLBが9である、飽和したC8−C18ポリグリ
コール・グリセリド、出願人が「GELUCIRE 4
8/09」の商品名で商品化している製品を使用した。
この親油性相は、最終組成物の総重量の73.7%であ
る。
【0029】界面活性剤(TA)と補助界面活性剤(C
oTA)の混合物は、HLBが10のC8−C10ポリ
グリコール・グリセリド(TA)、出願人が「LABR
AFAC CM 10」の商品名で商品化している製品
と、プロピレングリコール・ラウリンエステル(CoT
A)、出願人が「LAUROGLYCOL」の商品名で
商品化している製品の混合物である。この混合物の重量
比は組成物の18.5%で、TA/CoTAの比率は
0.5である。
【0030】こうして得られる組成物は、温度が外気温
に等しい固体で、37℃で液化する。この組成物は、同
じ有効成分を使用する従来の処方と比較すると、数多く
の長所を備えている。この有効成分は親油性であるにも
かかわらず、消化環境内において優れた可溶性、すなわ
ち優れた生物学的利用率を示すことを指摘することがで
きる。
【0031】pH=1.2の消化環境のガラス容器内で
行った溶解試験では、この処方の場合には、1時間後に
溶けた有効成分の割合が48%になることが証明でき
た。比較実験を行うため、純粋有効成分(インドメタシ
ン)を使用して試験したところ、1時間が経過しても、
この有効成分はせいぜい5%程度しか溶解しなかった。
同様に、現在商品化されているこの有効成分のカプセル
剤を使用して比較実験をすると、1時間後の溶解度はわ
ずか4.7%であった。本発明による組成物がこれ程ま
でに有効成分の溶解性を改善(約10倍)するとは、誰
も予見できなかった。
【0032】[実施例2]親油性相として、融点が44
℃、HLBが14の飽和したC8−C18ポリグリコー
ル・グリセリドの混合物、出願人が「GELUCIRE
44/14」の商品名で商品化している製品を使用し
た。この混合物は、最終組成物総重量の52.5%であ
る。
【0033】界面活性剤と補助界面活性剤の混合物とし
ては、実施例1と同じ組成を使用した。このTA+Co
TAの混合物の重量比は組成物の35%で、TA/Co
TAの比率は0.5である。この実施例2においても、
実施例1と同じ特性が確認できた。
【0034】[実施例3]実施例2と同じ親油性相を、
同じ比率だけ使用した。界面活性剤と補助界面活性剤の
混合物は、実施例1および実施例2と同じ界面活性剤
に、ジグリコールエチルから成り、出願人が「TRAN
SCUTOL」の商品名で商品化している補助界面活性
剤を組み合わせたものである。このTA+CoTAの混
合物は最終組成の総重量の35%で、TA/CoTAの
比率は0.5である。
【0035】[実施例4]実施例2と同じ親油性相を使
用した。この親油性相は、最終組成物の総重量の73.
7%である。実施例2と同じTA+CoTAの混合物を
使用する。この混合物の重量比は最終組成物の18.5
%で、TA/CoTAの比率は0.5である。
【0036】[実施例5]実施例2と同じ親油性相を同
じ比率だけ使用する。界面活性剤と補助界面活性剤の混
合物は、HLBが10のポリグリセリン・オレインエス
テルから成り、出願人が「PLUROL OLEIQU
E」の商品名で商品化している界面活性剤と、実施例3
と同じ補助界面活性剤との混合物とする。この混合物の
重量比は組成物の35%で、TA/CoTAの比率は1
である。
【0037】図1は、この実施例の特性を示す疑似三成
分図である。この図の中で、Lは親油性相を、Hは親水
性相を示す。マイクロエマルジョンが生じる範囲は極め
て広く、水分の割合が高い場合にも対応している(0%
から60%)。従って、これらの有効成分を含む組成物
は、極めて希釈性が高いので、消化系において優れた可
溶作用を得て、有効成分の生物学的利用率が高まる。今
までこれだけ優れた結果は得られなかった。
【0038】[実施例6]親油性相として、融点が42
℃、HLBが12の飽和したC8−C18ポリグリコー
ル・グリセリドの混合物、出願人が「GELUCIRE
42/12」の商品名で商品化している製品を使用し
た。実施例1と同じ界面活性剤と補助界面活性剤の組合
せを使用して、親油性相を融点が42℃、HLBが12
の飽和したC8−C18ポリグリコール・グリセリドに
代えた。図2は、この実施例の特性を示す疑似三成分図
である。マイクロエマルジョンが生じる範囲は極めて広
く、水分の割合が高い場合にも対応している(0%から
70%)。
【0039】[実施例7]親油性相として、融点が44
℃、HLBが14の飽和したC8−C18ポリグリコー
ル・グリセリドの混合物、出願人が「GELUCIRE
44/14」の商品名で商品化している製品を使用し
た。この親油性相は、最終組成物の総重量の45.2%
である。界面活性剤TAとしては、実施例1と同じ混合
物を使用し、組成物総重量の3.7%とする。補助活性
剤としては、実施例5と同じ組成物の「PLUROL
OLEIQUE」と呼ばれる製品を、ここでは、補助界
面活性剤として7.5%の比率で使用した。TA/Co
TAの比率は1で、有効成分(インドメタシン)は全体
の43.5%である。
【0040】[実施例8]インドメタシンを有効成分と
してラットに使用して、生体実験を行った。この混合物
の各成分の重量比は、次の通りである。 界面活性剤: LABRASOL 44.90% 補助界面活性剤: PLUROLOLEIQUE 15.00% 親油性相: LABRAFIL WL 2609 BS 39.90% 有効成分: インドメタシン 0.20%
【0041】まず、上記の組成物によるインドメタシン
を経口摂取させた。その結果、1時間後には、血奬濃度
は1ミリリットルあたり5から7マイクログラム(μg
/ml)になり、2時間後には7μg/mlから13μ
g/mlになった。
【0042】2回目の実験では、その場で懸濁させた粉
末のインドメタシンの経口摂取を行った。1時間後に血
奬濃度は1μg/mlから5μg/mlになり、2時間
後には1μg/mlから4μg/mlになるのが確認さ
れた。得られる反応速度は不規則で、実験動物によって
異なる。生物学的利用率は、本発明による摂取の場合に
は約2倍優れている。
【0043】[実施例9]この実施例では、消化環境内
(pH=1.2)におけるヒドロコルチゾンの溶解速度
を比較した。実施例8と同じ親油性相および同じTA/
CoTA混合物を下記の比率で使用した。 ヒドロコルチゾン 4.0% 親油性相 19.2% 界面活性剤 57.6% 補助界面活性剤 19.2%
【0044】この実験の結果、生体内の溶解速度は45
分間で50%まで達したが、粉末状のヒドロコルチゾン
の溶解は45分間で10%であることが分かった。
【0045】[実施例10]この実施例では、粉末状の
ジクロフェナックナトリウムがほとんど溶けない消化環
境内(pH=1.2)における溶解速度を生体実験によ
り比較した。この混合物の各成分の重量比は、次の通り
である。 界面活性剤: LABRASOL 38.40% 補助界面活性剤:PLUROLOLEIQUE 38.40% 親油性相: LABRAFIL WL 2609 BS 19.20% 有効成分: ジクロフェナックナトリウム 4.00%
【0046】この実験において、溶解速度は30分間で
86%まで達したが、粉末状のジクロフェナックナトリ
ウムの溶解は同じ時間で1%しかないことが分かった。
【0047】[実施例11]この実施例では、インドメ
タシン単独で、5%未満の溶解速度を示す消化環境内
(pH=1.2)における溶解速度を生体実験により比
較した。この混合物の各成分の重量比は、次の通りであ
る。 界面活性剤: LABRASOL 57.60% 補助界面活性剤:PLUROLOLEIQUE 19.20% 親油性相: LABRAFIL WL 2609 BS 19.20% 有効成分: インドメタシン 4.00%
【0048】この実験からは、30分間で57.1%の
溶解速度が得られた。
【0049】[実施例12]この実施例では、上記の例
と同じ成分を、次のような比率で使用した。 界面活性剤: LABRASOL 43.40% 補助界面活性剤:PLUROLOLEIQUE 14.40% 親油性相: LABRAFIL WL 2609 BS 38.40% 有効成分: インドメタシン 4.00%
【0050】この実験からは、30分間で90%の溶解
速度が得られた。親油性相を増加すると、著しく溶解度
が高まるのが分かった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るマイ
クロエマルジョンを生じる経口摂取可能な組成物は、こ
れまでに知られている組成物と比較すると数多くの長所
を備えている。水相を使用しないので、これらの医薬組
成物は、特にカプセル剤、軟カプセル剤、錠剤または硬
膏等として容易にパッケージできる。すなわち、本発明
は、経口摂取が可能な組成物である。
【0052】本発明により、医薬または美容用途の組成
物のパッケージと摂取方法における選択の幅が広がるこ
ととなる。つまり、本発明による組成物の工業生産は容
易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る組成物の実施例5の特性を示す疑
似三成分図である。
【図2】本発明の実施例6の特性を示す疑似三成分図で
ある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロエマルジョンを形成する医薬ま
    たは美容用途の組成物であり、少なくとも、 有効成分と、 グリセリドと脂肪酸エステルの混合物から構成される親
    油性相と、 界面活性剤(TA)と、 補助界面活性剤(CoTA)と、 親水性相とを含有し、 前記親油性相がC8からC18のポリグリコール・グリ
    セリドの混合物から構成され、親水親油バランス(HL
    B)が16より小さく、かつ前記親油性相は組成物総重
    量の1%から75%であり、 前記界面活性剤(TA)がC8からC10の飽和ポリグ
    リコール・グリセリドとポリグリセリン・オレインエス
    テルから構成されるグループから選択され、HLBが同
    様に16より小さく、 前記補助界面活性剤(CoTA)がプロピレングリコー
    ル・ラウリンエステル、ポリグリセリン・オレインエス
    テルおよびジグリコールエチルから構成されるグループ
    から選択され、 TA/CoTAの比率は0.5から6であり、 最終的マイクロエマルジョンの親水性相が、消化環境の
    生体液による摂取の後で形成されることを特徴とするマ
    イクロエマルジョンを生じる経口摂取可能な組成物。
  2. 【請求項2】 前記親油性相のポリグリコール・グリセ
    リドが飽和しており、外気温で固体であることを特徴と
    する請求項1記載のマイクロエマルジョンを生じる経口
    摂取可能な組成物。
  3. 【請求項3】 前記親油性相のポリグリコール・グリセ
    リドが不飽和であり、外気温で液体であることを特徴と
    する請求項1記載のマイクロエマルジョンを生じる経口
    摂取可能な組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリグリコール・グリセリドの混合
    物のHLBが約14であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載のマイクロエマルジョンを生じる経
    口摂取可能な組成物。
  5. 【請求項5】 前記ポリグリコール・グリセリドの混合
    物のHLBが6で、外気温で液体であることを特徴とす
    る請求項3記載のマイクロエマルジョンを生じる経口摂
    取可能な組成物。
  6. 【請求項6】 前記親油性相の重量比が組成物総重量の
    50%から75%であることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載のマイクロエマルジョンを生じる経口
    摂取可能な組成物。
  7. 【請求項7】 前記界面活性剤(TA)は、HLBが1
    0のポリグリセリン・オレインエステルから構成されて
    いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    マイクロエマルジョンを生じる経口摂取可能な組成物。
  8. 【請求項8】 TA/CoTAの比率が1から2である
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマイ
    クロエマルジョンを生じる経口摂取可能な組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60208927A (ja) * 1984-02-23 1985-10-21 ベルント・ヴイリ・ヴエルナ−・ミユラ− 薬用多成分系組成物及びその製法

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