JPH08273633A

JPH08273633A - ハロゲン電球および反射型ハロゲン電球ならびに照明装置

Info

Publication number: JPH08273633A
Application number: JP7076150A
Authority: JP
Inventors: Tsutomu Watanabe; 力渡辺; Hiroshi Kamata; 博士鎌田
Original assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Current assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority date: 1995-03-31
Filing date: 1995-03-31
Publication date: 1996-10-18

Abstract

(57)【要約】【目的】フィラメントに材料を確実に補充でき、長寿
命の電球を提供することを目的とする。【構成】透光性バルブ１内に配設されたフィラメント
５と、このバルブ内に封入されたフィラメント素材と同
材質のハロゲン化酸化物質からなるフィラメント材料補
充材６および不活性ガスとを有するハロゲン電球Ｌおよ
び反射型ハロゲン電球ＲＬならびにこれら電球を装着し
た照明装置。【効果】フィラメントへ同じ素材を速やかに補充する
ことができ、フィラメントの局部的なやせ細りなどを防
止して、ホットスポットなどの起こらない発光特性およ
び光束維持特性の向上した長寿命の電球を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は透光性バルブの内部にフ
ィラメントを備えるとともにハロゲン化物を封入したハ
ロゲン電球に関する。

【０００２】

【従来の技術】ハロゲン電球は小形で高効率、長寿命の
電球として各種の光源として多用されている。この電球
は、不活性ガスとともにハロゲン元素（よう素、しゅう
素、塩素、弗素）をバルブ内に封入することによって、
フィラメントから蒸発したタングステンとハロゲン元素
との間の化学的な循環反応（ハロゲンサイクル）に基づ
いて、蒸発したタングステンを元に戻すという作用から
考えられたものである。ハロゲン電球は、このハロゲン
サイクルを点灯中円滑に行わすために、バルブ壁面温度
が２５０℃以上になるように設計されており、その結果
としてはバルブが細径となって小形化され、点灯中のバ
ルブ内の圧力が高められ、ハロゲンサイクルによってフ
ィラメントの温度を高めてもバルブ壁面は黒化せず、フ
ィラメントの消耗を抑制できるので長寿命化がはかれる
ものである。

【０００３】しかし、ハロゲン電球は一般の電球よりは
長寿命であるが、やはり断線する。これは蒸発したタン
グステンがバルブ内において比較的温度の低い排気管部
分等に徐々に付着して消耗され、フィラメントの一部が
徐々にやせ細り、ついには、断線して寿命となってしま
っていた。

【０００４】ハロゲン電球の寿命は理論的には半永久的
とも考えられるが、フィラメントが徐々にやせ細り断線
に至るほか、点灯中にフィラメントに局部的なやせ細り
が起こり、細くなった部分は高抵抗となるから他の部分
に比べますます高温度（通常、ホットスポットと呼ばれ
ている。）となり、このためタングステンの蒸発が加速
され短時間のうちに進み早期に断線して寿命となってし
まっていた。

【０００５】これは、フィラメントに通電して点灯して
も、封入したハロゲンの全てが直ちに作用するものでは
なく、バルブ内に十分なハロゲンサイクルが起こるまで
には少々の時間（数十秒〜数分間）がかかる。このハロ
ゲンサイクルが起こるまでにもフィラメントからはタン
グステンの蒸発が続き、このとき飛散したタングステン
は適性なハロゲンサイクルが起こった後にも大部分がフ
ィラメントに戻っていない。

【０００６】そして、フィラメントはコイル製作時に発
生したピッチむら部分などの高抵抗形成部や素材の欠陥
部などが高温度となり特に蒸発が甚だしく、局部的な細
りを起こして上記のホットスポットを生じる。そして、
一旦このホットスポットが生じると、この高温度部分
（ホットスポット）はタングステンの蒸発が激しく、ま
すます細くなってさらに温度が上り、また、この高温部
分にはハロゲンサイクルによるタングステンの戻りもな
く、この部分は短時間のうちにやせ細って電流や振動衝
撃に耐えられなくなって断線してしまっていた。

【０００７】そこで、このハロゲンサイクルにのせてフ
ィラメントのタングステンだけでなく、フィラメントと
同材質のタングステンを別途にバルブ内に封入してお
き、点灯時に別途封入したタングステンをフィラメント
に補充して長寿命化を図ることが、たとえば特公昭４８
−６１０６号公報に記載されている。

【０００８】この公報によれば、封止前のタングステン
フィラメントの表面にハロゲン化タングステン粉末の混
合液を塗布しておき、乾燥塗布した後にバルブ内に配設
して封止し、排気工程においてフィラメントを点火して
表面に被着しているハロゲン化タングステンを昇華させ
て、タングステンをバルブ内壁などに付着させるととも
にバルブ内にハロゲンを発生封入するようにしている。
そして、電球完成後の点灯において、同材質のタングス
テンをハロゲンサイクルにのせてフィラメントに補充し
長寿命化できるようにしている。

【０００９】このようにバルブ内のフィラメントの表面
にハロゲン化タングステンを塗布しておけば、適宜フィ
ラメントにタングステンが補充され電球の長寿命化がは
かれる。

【００１０】しかしながら、このようにしてフィラメン
トにタングステンを補充しても中には短寿命となるもの
が発生している。この短寿命品について検討するに、こ
れはフィラメント表面に付着されたハロゲン化タングス
テンに起因するものと推測される。

【００１１】上記のフィラメント表面にハロゲン化タン
グステンの粉末を付着させた場合、気化温度が高く、ま
た、その速度が遅い。このため、通電によって電球で最
も高温度となるフィラメント中間部などの表面において
ハロゲン化タングステン粉末が蒸発するとき、フィラメ
ントを構成するタングステン素地部分をもハロゲンが浸
蝕して粉末の蒸発跡地部分には凹部が形成されることが
ある。この凹部が形成されることはフィラメントの断面
積を小さくして高抵抗部分を生じることとなり、上記の
ように短寿命の原因となっていた。なお、このホットス
ポットはフィラメントの１か所のみに発生するとは限ら
ない。

【００１２】また、上記公報記載のようにフィラメント
の表面に直接にタングステンを水などの水溶液やアルコ
ールなどの溶液を塗布したものでは、後々までフィラメ
ント上には異物が残り、フィラメントを劣下して早期に
断線したりバルブ内に水分を残すことになり不純ガス発
生の基となって短寿命となり好ましくない。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】このようにハロゲンサ
イクルを利用してフィラメントに材料を補充しようとし
ても、材料の配設や補充方法によっては十分にその機能
を発揮できないことがあった。

【００１４】本発明は上記の事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、フィラメントに材料を確
実に補充でき、長寿命の電球を提供するものである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
のハロゲン電球は、透光性バルブと、このバルブ内に配
設されたフィラメントと、上記バルブ内に封入されたフ
ィラメント素材と同材質のハロゲン化酸化物質からなる
フィラメント材料補充材および不活性ガスとを具備した
ことを特徴としている。

【００１６】本発明の請求項２に記載のハロゲン電球
は、フィラメント素材およびフィラメント補充材の主材
質がタングステンであることを特徴としている。

【００１７】本発明の請求項３に記載のハロゲン電球
は、フィラメント材料補充材およびハロゲンが、ＷＯ₂
Ｂｒ₂、ＷＯ₂Ｃｌ₂またはＷＯ₂Ｉ₂の形態で封入さ
れたうちの少なくとも１種であることを特徴としてい
る。

【００１８】本発明の請求項４に記載のハロゲン電球
は、フィラメント材料補充材がバルブ内に固体状で封入
されていることを特徴としている。

【００１９】本発明の請求項５に記載のハロゲン電球
は、フィラメント材料補充材が、バルブ内に気体状で封
入されていることを特徴としている。

【００２０】本発明の請求項６に記載のハロゲン電球
は、フィラメント材料補充材が、バルブ内容積１ｃｃ当
たり０．１ｍｇ以上封入されていることを特徴としてい
る。

【００２１】本発明の請求項７に記載のハロゲン電球
は、フィラメント材料補充材が、フィラメントを除く電
球点灯時に２５０℃以上の温度となる部分に封入されて
いることを特徴としている。

【００２２】本発明の請求項８に記載のハロゲン電球
は、バルブ内にはＴａ、Ｚｒ、Ｔｉ等の少なくとも１種
からなるゲッタが封入されていることを特徴としてい
る。

【００２３】本発明の請求項９に記載のハロゲン電球
は、透光性バルブの表面に光干渉膜が形成されているこ
とを特徴としている。

【００２４】本発明の請求項１０に記載の反射型ハロゲ
ン電球は、上記請求項１ないし請求項９に記載のハロゲ
ン電球と、このハロゲン電球のバルブの一端部側を固定
した反射鏡とを具備していることを特徴としている。

【００２５】本発明の請求項１１に記載の反射型ハロゲ
ン電球は、反射鏡の表面に光干渉膜が形成されているこ
とを特徴としている。

【００２６】本発明の請求項１２に記載の照明装置は、
基体と、この基体に取付けられたソケットと、このソケ
ットとに装着された上記請求項１ないし請求項９に記載
のハロゲン電球あるいは請求項１０または請求項１１に
記載の反射型ハロゲン電球とを具備していることを特徴
としている。

【００２７】

【作用】請求項１および請求項７の発明においては、ハ
ロゲン化酸化物は蒸気圧が高くバルブ内において電球点
灯時直ちに蒸発し、蒸発物質を速やかにフィラメントに
補充してフィラメントのやせ細りを防ぐ。

【００２８】請求項２の発明においては、ハロゲン化酸
化タングステンは蒸気圧が高くバルブ内において電球点
灯時直ちに蒸発し、蒸発タングステンを速やかにフィラ
メントに補充してフィラメントのやせ細りを防ぐ。

【００２９】請求項３ないし請求項５の発明において
は、封入物を一体物として製造できるとともに封入作業
も容易に行える。

【００３０】請求項６の発明においては、フィラメント
材料補充材の封入量が、バルブ内容積（ｃｃ）当たり１
ｍｇを下回ると、ハロゲンサイクルが不十分となって黒
化する原因となる。また、封入量の上限は特に限定され
ないが大量になると、ハロゲンが低温度部に溜まって着
色し外観低下を起こす虞がある。

【００３１】請求項８の発明においては、バルブ内に残
存する不純ガスおよび点灯後に発生する不純ガスを除去
できる。

【００３２】請求項９の発明においては、赤外線をフィ
ラメントへ戻したり、所望外へ放出したりすることがで
きる。

【００３３】請求項１０および請求項１１の発明におい
ては、反射鏡を有する電球において、上記請求項１ない
し請求項９に記載の作用と同様の作用を奏する。

【００３４】請求項１２の発明においては、上記請求項
１ないし請求項１１に記載の電球を装着した照明装置に
おいて、上記請求項１ないし請求項１１に記載の作用と
同様の作用を奏する。

【００３５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００３６】図１はたとえば片端封止形のハロゲン電球
Ｌを示し、図中１は石英ガラスあるいはアルミノシリケ
ートガラスなどの硬質ガラスからなる管形の透光性バル
ブ、１１はバルブ１の一端部に形成した圧潰封止部で、
この圧潰封止部１１内にはモリブデンなどの金属箔導体
２、２が封着されている。この金属箔導体２、２にはバ
ルブ１内に延出するモリブデンなどからなる内部リード
線３、３と、バルブ１外に延出する外部リード線４、４
とがそれぞれ接続されている。これら内部リード線３，
３間にはタングステン線を巻回したコイル状のフィラメ
ント５が架設されている。また、このバルブ１内にはよ
う素Ｉ、しゅう素Ｂｒ、塩素Ｃｌ、弗素Ｆなどの少なく
とも一種のハロゲンがアルゴンなどの不活性ガスととも
に封入されている。

【００３７】また、６はバルブ１内のこの電球Ｌ動作
（点灯）時に２５０℃以上となる封止部３上に設けられ
た、ハロゲン化酸化タングステン粉末を固め粒状にした
フィラメント材料補充材である。

【００３８】このような構成のハロゲン電球Ｌの製造
は、一端に排気管１２が接続されたたとえば石英ガラス
からなるバルブ１の他端開口部側に金属箔導体２、２を
介在させて、このバルブ１の他端側を加熱溶融してピン
チャにより圧潰して気密な圧潰封止部１１を形成する。
つぎに、この封止済みバルブ１の排気管１２部を排気装
置に接続してバルブ１を加熱しながら排気し、適度の真
空度になったら排気管１２を通じてバルブ１内にハロゲ
ン化酸化タングステンからなる粒状のフィラメント材料
補充材６を投入する。（このハロゲン化酸化タングステ
ンの取扱いは、活性度が高いので真空チャンバ内や排気
装置に投入手段を設けるのが好ましい。）このフィラメント材料補充材６の投入と同時あるいは投
入後に排気管１２を通じてバルブ１内に所定量のアルゴ
ンなどの不活性ガスを封入するとともにバルブ１に近い
排気管１２部分を溶断して、バルブ１内を外気とは全く
気密に遮断した状態にする。

【００３９】そして、このバルブ１に必要に応じ口金を
付けた後、電球Ｌを点灯させると、フィラメント５の点
灯熱によってバルブ１内に封入した粒状のハロゲン化酸
化タングステンからなるフィラメント材料補充材６は蒸
気圧が高いので、ハロゲンとタングステンとが直ちに気
体状となり、補充材６から蒸発した一部のタングステン
はフィラメント５に付着する。さらに、点灯により温度
が上るとバルブ１内にハロゲンサイクルが生起する。こ
のハロゲンサイクルはフィラメント５およびフィラメン
ト材料補充材６から蒸発したタングステンがハロゲンと
結合してタングステンハライドを形成し、このタングス
テンハライドはバルブ１壁面が２５０℃以上の温度にな
っている限りそこに付着することはなく、バルブ１内を
移動し高温度のフィラメント５近傍でタングステンとハ
ロゲンとに分解する。この分解したタングステンはフィ
ラメント５上あるいはその近くに付着し、一方ハロゲン
はバルブ１壁面に向かって拡散し、上記の循環反応を繰
り返す。

【００４０】このハロゲン電球Ｌは、バルブ１内に粒状
のフィラメント材料補充材６がフィラメント５から離れ
た箇所に封入されているため、当初に蒸発したタングス
テン粉末は高濃度のハロゲンが付着しておらず、また、
適性なハロゲンサイクル生起後はハロゲンと分解したタ
ングステンのみがフィラメント５に付着するので、フィ
ラメント５の表面がハロゲンによって浸蝕されることが
少ない。すなわち、フィラメント５の表面に局部的な凹
部が形成されることが少なく、その結果としてフィラメ
ント５に高温度部分（ホットスポット）の発生がなく、
フィラメント５の局部的なやせ細らせを防げるので長寿
命の電球Ｌを得ることができる。

【００４１】また、フィラメント５には別個に封入した
フィラメント材料補充材６から蒸発したタングステンが
補充付着されるので、その損耗の進度は遅く電球Ｌは長
寿命化できる。

【００４２】また、バルブ１内へのハロゲンおよびフィ
ラメント材料補充材６の封入方法は上記に限らず、それ
ぞれは個別に、フィラメント材料補充材６は酸化タング
ステン粉末のみを固形化した粒状として、ハロゲンは不
活性ガスとともに封入してもよい。

【００４３】この封入による電球Ｌも、電球Ｌを点灯さ
せるとフィラメント５の点灯熱によってバルブ１内にハ
ロゲンサイクルが生起するとともにフィラメント材料補
充材６の温度が上り、このフィラメント材料補充材６か
らタングステンが蒸発して気体状となる。

【００４４】そして、このハロゲンサイクルはフィラメ
ント５およびフィラメント材料補充材６から蒸発したタ
ングステンがハロゲンと結合・分解して上記と同様の循
環反応を繰り返し、長寿命の電球Ｌを得ることができ
る。

【００４５】また、図２は投光用や複写機などの露光用
の光源として用いられる両端封止型のハロゲン電球Ｌ
で、図中図１と同一部分には同一の符号を付してその説
明は省略する。

【００４６】この電球Ｌはバルブ１内にタングステン線
をコイル状に巻回した長尺なフィラメント５を備え、フ
ィラメント５の中間部には垂下や弛みを防ぐための線を
巻回したり板状をしたアンカ３ａ、３ａ、…が取付けら
れている。また、バルブ１の中間部には排気管１２が設
けられている。また、上記アンカ３ａ、３ａには粒状の
フィラメント材料補充材６が設けられている。

【００４７】この実施例の電球Ｌは、フィラメント５へ
アンカ３ａ、３ａ、…を取付けるときに、一部のアンカ
３ａ、３ａに粒状のフィラメント材料補充材６を設けた
ものである。そして、排気工程あるいは排気以後の工程
において、フィラメント５通電時にフィラメント５から
の熱によってフィラメント材料補充材６を分解させ、フ
ィラメント材料補充材６から蒸発したタングステンをハ
ロゲンサイクルを利用してフィラメント５に補充でき、
上記実施例と同様に長寿命の電球Ｌを得ることができ
る。

【００４８】また、ハロゲン電球Ｌに封入されるハロゲ
ンＸとしてはＢｒ（しゅう素）、Ｃｌ（塩素）、Ｉ（よ
う素）、Ｆ（弗素）が、また、フィラメント材料補充材
６としては酸化タングステンＷＯあるいはＷＯ₂Ｂ
ｒ₂、ＷＯ₂Ｃｌ₂、ＷＯ₂Ｉ₂などのハロゲン化酸化
タングステンＷＯＸの形態でよい。

【００４９】この酸化タングステンＷＯの封入方法は、
ン化酸化タングステンＷＯＸの酸化物の形態で封入した
場合は、酸化物としないものに比べ融点が高くなり排気
作業時に不純ガス出しの高温度でのベーキングが可能と
なり、バルブ１内に残存する不純ガスの量を低減できて
電球Ｌをより長寿命化できる。

【００５０】また、このバルブ１内に残存する不純ガス
および点灯後に発生する不純ガスの除去のために、内部
リード線３などへタンタルＴａ、ジルコニウムＺｒ、チ
タンＴｉ等のゲッタを設けるか塗布してあってもよい。

【００５１】また、このハロゲン電球Ｌの上記バルブ１
の内または外表面に可視光透過赤外線反射膜や可視光反
射赤外線透過膜などの光干渉膜を形成して発光効率を向
上させるようにしてもよい。これはたとえばバルブ１の
外表面に酸化チタンＴｉＯ₂、酸化タンタルＴａ₂Ｏ₃
や酸化ジルコニウムＺｒＯ₂などからなる高屈折率層と
酸化けい素ＳｉＯ₂やふっ化マグネシウムＭｇＦなどか
らなる低屈折率層とを交互に複数層形成して可視光透過
赤外線反射膜を構成させている。

【００５２】たとえば可視光透過赤外線反射膜を形成し
たハロゲン電球は、フィラメントから放射された光のう
ち、可視光はそのまま透過し赤外線を反射してフィラメ
ントに戻し、それによってフィラメントをさらに加熱し
て発光効率を高めるとともにバルブ外放射光のうちの赤
外線放射量を減らしたものである。

【００５３】特に上記のフィラメント材料補充材を封入
したバルブに可視光透過赤外線反射膜を形成したハロゲ
ン電球は、バルブ内の温度が通常のハロゲン電球より高
温となってハロゲンサイクルを活発化でき、フィラメン
ト材料補充材からのタングステンの蒸発を容易にするこ
とができるなどの利点がある。

【００５４】また、バルブ１内に封入するフィラメント
材料補充材の封入量は、バルブ内容積（ｃｃ）当たり
０．１ｍｇ以上あればよく、多量でもよいが量が多くな
るとバルブ１等の低温部に溜まり易く着色して外観を損
なうばかりか、特性の向上も認められず、好ましくは
０．１〜１ｍｇ／ｃｃ程度の封入量で十分である。

【００５５】図３は投光用や光学機器用などの光源とし
て用いられる反射型ハロゲン電球ＬＲを示し、図中図１
と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略す
る。

【００５６】この電球ＬＲは図１に示す片封止型の電球
Ｌを反射鏡７に取付けたものである。この反射鏡７は硬
質ガラスや石英ガラスなどのガラス、セラミック、合成
樹脂あるいは金属などからなるたとえばガラス製のもの
で、凹面をなす椀状体７１の中央部には後方に突出した
基体部７２とこの基体部７２を貫通して（貫通していな
くてもよい。）透孔７３が設けてある。

【００５７】この椀状体７１の内面にはアルミニウムや
クロームあるいは可視光反射赤外線透過膜などの光干渉
膜からなる反射面７４が形成され、透孔７３内には片封
止型の電球Ｌの封止部１１が収容され接着剤７５を介し
て固定されている。

【００５８】そして、この電球ＬＲはショーウインドな
ど商品展示用の投光用の光源として用いられ、上記実施
例の電球と同様なハロゲンサイクルが行われ、長寿命の
反射型電球ＬＲを得ることができる。

【００５９】また、上記図１、図２に示すハロゲン電球
Ｌや図３に示す反射型ハロゲン電球ＬＲは、封止部１１
や反射鏡７の基体部７２に口金などの取付け部材が設け
られ、この取付け部材を器具本体のソケットや係止部を
介して放物面や楕円面などからなる反射体を有する（特
に反射型ハロゲン電球ＬＲは反射体が必須のものではな
い。）照明器具や照明装置の所定箇所に装着されて点灯
される。

【００６０】なお，本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、その要旨を変えない範囲で種々の実施が可
能である。たとえば実施例では透光性バルブの形状は図
示のＴ形（管状）のものに限らず、Ａ形、ＢＴ形、Ｇ
形、ＰＳ形、ＰＳ形、Ｒ形など他の形状であってもよ
く、その材質も石英ガラスに限らず硬質ガラスなど他の
材質のガラスであっても差支えない。また、バルブは二
重管式のものであってもよい。

【００６１】また、バルブ内に封入する酸化タングステ
ンＷＯやハロゲン化酸化タングステンＷＯＸからなるフ
ィラメント材料補充材は粉末を固めた粒状のものに限ら
ず、粉末のままあるいはハロゲンと化合させ気体化して
封入してもよい。

【００６２】また、その具体的な封入方法としてつぎに
述べる方法もある。バルブ内に酸化タングステン（ＷＯ
₃）を封入しておき、排気時によくべーキングして不純
ガスを除去した後、ハロゲン単体あるいはけい化ハロゲ
ン（ＳｉＣｌ₄やＳｉＢｒ₄やＳｉＩ₄等）を封入し
て、３００℃以上の高温で酸化タングステン（ＷＯ₃）
とハロゲンとを反応させ、バルブ１内においてハロゲン
化酸化タングステンを形成させるようにしてもよい。上
記でけい化ハロゲンを用いた場合、反応後の副生成物は
Ｓｉでバルブ１の材質と同じであり特に問題はない。

【００６３】また、ハロゲンの封入形態は、しゅう素Ｂ
ｒ、塩素Ｃｌ、よう素Ｉ、弗素Ｆなどの少なくとも一種
がＷＯなどのタングステン酸化物あるいはＷＯ₂Ｂ
ｒ₂、ＷＯ₂Ｃｌ₂等のハロゲン化酸化タングステンと
してであってもよい。

【００６４】また、上記フィラメント材料補充材は、バ
ルブ内の壁面や内部リード線、アンカなどのフィラメン
トを除く電球点灯時に２５０℃以上の温度となる部分に
封入されていればよく、ハロゲン化酸化タングステンは
単なるハロゲン化タングステンに比べ蒸発する温度が低
く（気化温度が低く約２５０℃）蒸発速度が速い。

【００６５】さらに、本発明ハロゲン電球の用途として
は一般照明用、店舗などの投光照明用、ビデオ撮影用、
光学機器用などに使用でき、照明装置、照明装置として
も上記実施例に限らず広く適用が可能である。

【００６６】

【発明の効果】請求項１、請求項２および請求項７の発
明においては、フィラメントへ補充材から短時間のうち
にフィラメントと同じ素材を補充することができ、フィ
ラメントの局部的なやせ細りなどを防止して、ホットス
ポットなどの起こらない光束維持特性の向上した長寿命
の電球を提供できる。

【００６７】請求項３ないし請求項５の発明において
は、封入物の製造および封入が容易になり、生産性を向
上できる。

【００６８】請求項６の発明においては、フィラメント
材料補充材の封入量を規制することにより、黒化の少な
い光束維持特性の向上した長寿命の電球を提供できる。

【００６９】請求項８の発明においては、不純ガスを除
去することにより、光束維持特性の向上した長寿命の電
球を提供できる。

【００７０】請求項９ないし請求項１１の発明において
は、発光効率の向上した電球を提供できる。

【００７１】請求項１２の発明においては、発光効率お
よび光束維持特性の向上した長寿命の電球を備えた照明
装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す片端封止型ハロゲン電球
の正面図である。

【図２】本発明の他の実施例を示す両端封止型ハロゲン
電球の正面図である。

【図３】本発明の他の実施例を示す反射型ハロゲン電球
の断面正面図である。

【符号の説明】

Ｌ：ハロゲン電球ＬＲ：反射型ハロゲン電球１：バルブ１１：封止部３：内部リード線５：フィラメント６：フィラメント材料補充材７：反射鏡

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｈ０１Ｋ 7/00 9508−2ＧＨ０１Ｋ 7/00 Ａ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】透光性バルブと；このバルブ内に配設さ
れたフィラメントと；上記バルブ内に封入されたフィラ
メント素材と同材質のハロゲン化酸化物質からなるフィ
ラメント材料補充材および不活性ガスと；を具備したこ
とを特徴とするハロゲン電球。
【請求項２】上記フィラメント素材およびフィラメン
ト補充材の主材質がタングステンであることを特徴とす
る請求項１に記載のハロゲン電球。
【請求項３】上記フィラメント材料補充材およびハロ
ゲンが、ＷＯ₂Ｂｒ₂、ＷＯ₂Ｃｌ₂またはＷＯ₂Ｉ₂
の形態で封入されたうちの少なくとも１種であることを
特徴とする請求項２に記載のハロゲン電球。
【請求項４】上記フィラメント材料補充材は、バルブ
内に固体状で封入されていることを特徴とする請求項１
または請求項２に記載のハロゲン電球。
【請求項５】上記フィラメント材料補充材は、バルブ
内に気体状で封入されていることを特徴とする請求項１
または請求項２に記載のハロゲン電球。
【請求項６】上記フィラメント材料補充材が、バルブ
内容積１ｃｃ当たり０．１ｍｇ以上封入されていること
を特徴とする請求項１ないし請求項５のいずれか一に記
載のハロゲン電球。
【請求項７】上記フィラメント材料補充材は、フィラ
メントを除く電球点灯時に２５０℃以上の温度となる部
分に封入されていることを特徴とする請求項１ないし請
求項６のいずれか一に記載のハロゲン電球。
【請求項８】上記バルブ内にはＴａ、Ｚｒ、Ｔｉ等の
少なくとも１種からなるゲッタが封入されていることを
特徴とする請求項１ないし請求項７のいずれか一記載の
ハロゲン電球。
【請求項９】上記透光性バルブの表面には光干渉膜が
形成されていることを特徴とするハロゲン電球。
【請求項１０】上記請求項１ないし請求項９に記載の
ハロゲン電球と；このハロゲン電球のバルブの一端部側
を固定した反射鏡と；を具備していることを特徴とする
反射型ハロゲン電球。
【請求項１１】上記反射鏡は表面に光干渉膜が形成さ
れていることを特徴とする請求項１０に記載の反射型ハ
ロゲン電球。
【請求項１２】基体と；この基体に取付けられたソケ
ットと；このソケットとに装着された上記請求項１ない
し請求項９に記載のハロゲン電球あるいは請求項１０ま
たは請求項１１に記載の反射型ハロゲン電球と；を具備
していることを特徴とする照明装置。