JP2009140846A - 車輌用放電灯 - Google Patents
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Abstract
【課題】 セラミック発光管のクラックの発生を防止して耐久性の向上を図る。
【解決手段】 セラミックによって形成され内部に所定の気体が封入されたセラミック発光管5と、該セラミック発光管に保持された一対の電極9、10と、ガラスによって形成されセラミック発光管と一対の電極を内部空間に収納する外管6とを設け、セラミック発光管を、内部で一対の電極による放電が行われることによって発光を行うための発光部7と、該発光部の前後両端部にそれぞれ連続され外径が発光部の外径より小さくされた一対の細管部8、8とによって構成し、セラミック発光管の発光部における上面と該上面に対向して位置する外管の内面との距離をH(mm)とし、外管の厚みをt(mm)としたときに、距離Hを0.3以上3.0以下とし、厚みtを0.5以上2.5以下とし、距離Hと厚みtの積H・tを0.3以上3.0以下とした。
【選択図】 図1
Description
本発明は車輌用放電灯に関する。詳しくは、セラミック発光管と外管に関する寸法を所定の範囲に設定してセラミック発光管のクラックの発生を防止し耐久性の向上を図る技術分野に関する。
車輌用前照灯には、例えば、光源として白熱灯(白熱バルブ)又はハロゲン灯(ハロゲンバルブ)が用いられたタイプや光源として放電灯(放電バルブ)が用いられたタイプがある。
光源として白熱灯やハロゲン灯が用いられた車輌用前照灯にあっては、白熱灯やハロゲン灯のフィラメントが略均一に発光して棒状の発光部となるため、リフレクター等を用いた反射型の灯具として用いる場合に、リフレクターの反射面の形状による配光制御が行い易いと言う長所がある。
一方、光源として放電灯が用いられた車輌用前照灯にあっては、放電灯が白熱灯やハロゲン灯に比較して光量が大きいため輝度の向上を図ることができ、また、白熱灯及びハロゲン灯に比較して放電灯の寿命が長いと言う長所がある。
このように、放電灯は白熱灯やハロゲン灯と比較して輝度が高く寿命が長いため、近年、車輌用前照灯として放電灯を備えたものが普及している。
車輌用放電灯としては、一対の電極を保持し内部に希ガス等の気体が封入された発光管が透明な石英ガラスによって形成されたものがあるが、石英ガラスによって形成された発光管であるガラス発光管は、内部に封入されている金属ハロゲン化物により腐食が進み、寿命末期において黒化や失透現象が生じて適正な配光が得られなくなってしまったり暗くなってしまうと言う短所がある。
そこで、このようなガラス発光管に代えて、金属ハロゲン化物に対する腐食性が少なく、かつ、耐熱性の高い透光性セラミックによって形成されたセラミック発光管を備えた車輌用放電灯が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された車輌用放電灯にあっては、セラミック発光管に一対の電極が保持され、セラミック発光管の内部に密閉された空間が形成されている。セラミック発光管の内部に形成された密閉空間には、キセノンガス等の希ガスと金属ハロゲン化物が封入されている。セラミック発光管はガラスによって形成された外管に覆われており、セラミック発光管と外管の間にも密閉空間が形成されている。
このようにして構成された車輌用放電灯は、セラミック発光管が金属ハロゲン化物に対して安定であるため、ガラス発光管を有する車輌用放電灯に比べて寿命が長いという長所がある。
ところが、発光管を形成する材料として用いられたセラミックは急激な温度変化に対する強度が低いため、特許文献1に記載された従来の車輌用放電灯にあっては、点灯が終了したときの消灯時に、セラミック発光管にクラックが生じることがあると言う問題を有している。
即ち、セラミック発光管が消灯時に急激に冷却されると、セラミック発光管に対する熱衝撃が大きく、点灯により膨張していたセラミック発光管において、外面側が先に冷却されて収縮し、この収縮により内面側にクラックが発生し易いと言う問題がある。特に、クラックは、放電時に高温となり易いセラミック発光管の上端部において生じ易い。
このようなクラックの発生は、セラミック発光管の破裂を生じるおそれがある。
そこで、本発明車輌用放電灯は、セラミック発光管のクラックの発生を防止して耐久性の向上を図ることを課題とする。
車輌用放電灯は、上記した課題を解決するために、セラミックによって形成され内部に所定の気体が封入されたセラミック発光管と、該セラミック発光管に保持された一対の電極と、ガラスによって形成され前記セラミック発光管と前記一対の電極を内部空間に収納する外管とを設け、前記セラミック発光管を、内部で前記一対の電極による放電が行われることによって発光を行うための発光部と、該発光部の前後両端部にそれぞれ連続され外径が前記発光部の外径より小さくされた一対の細管部とによって構成し、前記セラミック発光管の前記発光部における上面と該上面に対向して位置する前記外管の内面との距離をH(mm)とし、前記外管の厚みをt(mm)としたときに、前記距離Hを0.3以上3.0以下とし、前記厚みtを0.5以上2.5以下とし、前記距離Hと前記厚みtの積H・tを0.3以上3.0以下としたものである。
従って、車輌用放電灯にあっては、保温性と耐熱性の良好なバランスが保持される。
また、車輌用放電灯において、前記距離Hと前記厚みtの積H・tを0.3以上2.5以下とすることにより、保温性と耐熱性の一層良好なバランスが保持される。
本発明車輌用放電灯は、セラミックによって形成され内部に所定の気体が封入されたセラミック発光管と、該セラミック発光管に保持された一対の電極と、ガラスによって形成され前記セラミック発光管と前記一対の電極を内部空間に収納する外管とを備えた車輌用放電灯であって、前記セラミック発光管を、内部で前記一対の電極による放電が行われることによって発光を行うための発光部と、該発光部の前後両端部にそれぞれ連続され外径が前記発光部の外径より小さくされた一対の細管部とによって構成し、前記セラミック発光管の前記発光部における上面と該上面に対向して位置する前記外管の内面との距離をH(mm)とし、前記外管の厚みをt(mm)としたときに、前記距離Hを0.3以上3.0以下とし、前記厚みtを0.5以上2.5以下とし、前記距離Hと前記厚みtの積H・tを0.3以上3.0以下としたことを特徴とする。
従って、保温性と耐熱性の良好なバランスが保持され、セラミック発光管のクラックの発生を防止して耐久性の向上を図ることができる。
請求項2に記載した発明にあっては、前記距離Hと前記厚みtの積H・tを0.3以上2.5以下としたので、セラミック発光管のクラックの発生を防止して一層の耐久性の向上を図ることができる。
請求項3に記載した発明にあっては、前記一対の電極にそれぞれ接続され少なくとも一部が前記外管の内部空間に位置された一対のリード線を設け、前記一対のリード線の少なくとも一方に、前記外管の内面に当接又は近接して位置された位置決め部を設けたので、セラミック発光管の発光部における上面と外管の内面との距離Hを一定に保つことができる。
以下に、本発明車輌用放電灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
放電灯(車輌用放電灯)1は車輌用前照灯に備えられている。
放電灯1は本体2と外部リード線3がソケット4に接続されることにより構成されている(図1参照)。
本体2はセラミック発光管5と該セラミック発光管5を覆う外管6とを有している。
セラミック発光管5はセラミックによって形成され、発光部7と該発光部7の前後両端部にそれぞれ連続する細管部8、8とが一体に形成されて成る。発光部7と細管部8、8はそれぞれ前後に延びる略円筒状に形成され、細管部8、8の外径が発光部7の外径より小さくされている。
発光部7の内部には金属ハロゲン化物と希ガスとしてキセノンガスやアルゴンガス等が封入されている。
細管部8、8にはそれぞれ前後に長く形成された前側電極9と後側電極10が保持されている。
前側電極9は放電電極部11と該放電電極部11の前端部に接合された接合用電極部12とから成る。放電電極部11は、例えば、タングステンによって形成され、接合用電極部12は、例えば、モリブデンによって形成されている。
後側電極10は放電電極部13と該放電電極部13の後端部に接合された接合用電極部14とから成る。放電電極部13は、例えば、タングステンによって形成され、接合用電極部14は、例えば、モリブデンによって形成されている。
前側電極9と後側電極10はそれぞれ接合用電極部12、14が、例えば、フリットガラス15、15によってセラミック発光管5の細管部8、8に接合されている。前側電極9と後側電極10がそれぞれフリットガラス15、15によって細管部8、8に接合されることにより、セラミック発光管5の内部に密閉空間が形成される。
外管6は略円筒状に形成された筒部6aと該筒部6aの前側の開口を閉塞する閉塞部6bと該閉塞部6bの中央部に前方へ突出して設けられた封止突部6cとが石英ガラスによって一体に形成されて成る。外管6の内部は収納空間16として形成されている。
前側電極9には前後に延びる第1のリード線17が接続されている。第1のリード線17は、後端部が前側電極9に接合され、前端部が外管6の封止突部6cから前方へ突出されている。
収納空間16には第1のリード線17に取り付けられたゲッター18が配置されている。ゲッター18は収納空間16に存在し得る不純物を吸着して発光効率の向上等を図る機能を有する。
第1のリード線17の中間部にはモリブデン箔19が介在され、該モリブデン箔19は外管6の封止突部6cに埋設された状態で封止されている。
外管6の材料である石英ガラスとモリブデン箔19の材料であるモリブデンとの熱膨張率が多少異なるが、上記したように、モリブデン箔19を用いることにより、温度変化に対して外管6とモリブデン箔19の膨張量及び収縮量に大きな差が生じることがなく、封止状態の安定化を図ることができる。
尚、上記には、第1のリード線17の外管6による封止を、モリブデン箔19を用いることにより行う例を示したが、第1のリード線17の外管6による封止はモリブデン箔19を用いることに限られることはなく、例えば、第1のリード線17にモリブデン箔19を設けることなく行うようにしてもよい。第1のリード線17を封止突部6cによって封止する場合には、該封止突部6cを石英ガラスに代えて第1のリード線17と略同じ熱膨張率を有する硬質ガラスによって形成することが望ましい。
後側電極10には前後に延びる第2のリード線20が接続されている。第2のリード線20は、前端部が後側電極10に接合され、後端部がソケット4に設けられた図示しない第1の接続端子に接続されている。
第2のリード線20は、前後に延びる前端部21と該前端部21の後端に連続された中間部22と該中間部22の後端に連続され前後に延びる後端部23とから成る。中間部22は略前後方向で2回折り曲げられた横倒しの略Z形状に形成され、折り曲げられた部分がそれぞれ上方又は下方へ凸の位置決め部22a、22bとして設けられている。
位置決め部22aは外管6の円筒部6aにおける上端側の内面に近接又は当接され、位置決め部22bは外管6の円筒部6aにおける下端側の内面に近接又は当接されている。位置決め部22a、22bはセラミック発光管5と外管6を位置決めして両者の間の距離、特に、セラミック発光管5の発光部7における上面と外管6の内面との距離H(図1参照)を一定の距離に保持する機能を有する。
第1のリード線17には外部リード線3が接続されている。外部リード線3は前後に延びる水平部3aと該水平部3aの前端部から上方へ屈曲され上下方向に延びる垂直部3bとから成る。外部リード線3は垂直部3bの上端部が第1のリード線17の前端部に接続され、水平部3aの後端部がソケット4に設けられた図示しない第2の接続端子に接続されている。
外部リード線3の水平部3aには絶縁スリーブ24が被着されている。絶縁スリーブ24は、例えば、ガラス又はセラミック等の絶縁材料によって形成されている。
放電灯1は、ソケット4が車輌用前照灯の内部に設けられた図示しないリフレクターに取り付けられることにより、車輌用前照灯の内部に配置される。
以下に、上記した放電灯1に関して行った実験について説明する(図2及び図3参照)。
実験においては、セラミック発光管5の発光部7における上面と該上面に対向して位置する外管6の内面との距離H(mm)(図1参照)と、外管6の円筒部6aの厚みt(mm)(図1参照)とをパラメーターとしたときの外管6の透明性及びセラミック発光管5の耐久時間(h)を測定した。
実験において、外管6の透明性については外管6に失透現象が生じるか否かを目視により検査し、セラミック発光管5の耐久時間については、放電灯1を電力25Wで点灯させ、点灯後1500時間以上セラミック発光管5にクラックが発生しないことを第1の目標値として設定し、点灯後3000時間以上セラミック発光管5にクラックが発生しないことを第2の目標値として設定した。
尚、失透現象とは、ガラスが長時間加熱されることにより結晶化が引き起こされて不透明になり脆弱化する現象である。
図2は、パラメーターとされた発光部7の上面と外管6の内面との距離H=0.1〜5.0(mm)、円筒部6aの厚みt=0.3〜3.0(mm)の範囲で行った測定結果を示すデーターである。
図3は、図2の測定結果に基づき、横軸を距離Hとし、縦軸を厚みtとし、距離Hと厚みtの積H・tをグラフ化したデーターである。
図2において、「失透」は外管6に失透現象が生じたデーターであり、「Cr」は点灯後1500時間未満でセラミック発光管5にクラックが生じたデーターである。
また、図2において、「○」は点灯後3000時間以上セラミック発光管5にクラックが生じなかったデーターであり、「△」は点灯後1500時間以上3000時間未満でセラミック発光管5にクラックが生じなかったデーターであり、図3において、「×」は失透現象が生じたか点灯後1500時間未満でセラミック発光管5にクラックが生じたデーターである。
図2に示すように、距離Hが小さい場合には、外管6に対してセラミック発光管5に発生する熱の影響が大きくなるため失透現象が生じ易いと言う結果が得られ、距離Hが大きい場合には、消灯時における外管6によるセラミック発光管5の発光部7に対する保温効果が小さくなるためクラックが生じ易いと言う結果が得られた。
また、図2に示すように、厚みtが小さい場合には、外管6に対してセラミック発光管5に発生する熱の影響が大きくなるため失透現象が生じたり外管6の破損が生じ易いと言う結果が得られ、厚みtが大きい場合には、外管6の熱容量が大きくなって該外管6の温度が上昇され難く外管6によるセラミック発光管5の発光部7に対する保温効果が小さくなるためクラックが生じ易いと言う結果が得られた。
図2及び図3に示すように、失透現象を生じることなく、かつ、点灯後1500時間以上セラミック発光管5にクラックが発生しない第1の目標値を達成した範囲は、距離H=0.3〜3.0(mm)、厚みt=0.5〜2.5(mm)、距離Hと厚みtの積H・t=0.3〜3.0の3つの条件を満足する範囲であった(図3に斜線で示す範囲)。
従って、これらの3つの条件を満足する範囲で放電灯1を形成することにより、セラミック発光管5のクラックの発生を防止して耐久性の向上を図ることができる。
また、図2及び図3に示すように、失透現象を生じることなく、かつ、点灯後3000時間以上セラミック発光管5にクラックが発生しない第2の目標値を達成した範囲は、距離H=0.3〜3.0(mm)、厚みt=0.5〜2.5(mm)、距離Hと厚みtの積H・t=0.3〜2.5の3つの条件を満足する範囲であった。
従って、これらの3つの条件を満足する範囲で放電灯1を形成することにより、セラミック発光管5のクラックの発生を防止して一層の耐久性の向上を図ることができる。
また、放電灯1にあっては、外管6の内部空間である収納空間16に位置決め部22a、22bを配置しているため、セラミック発光管5の発光部7における上面と外管6の内面との距離Hを一定に保つことができる。
尚、上記には、位置決め部22a、22bをセラミック発光管5の後方に位置された第2のリード線20に設けた例を示したが、位置決め部を第1のリード線17に設けることも可能である。但し、位置決め部22a、22bをセラミック発光管5の後方に位置された第2のリード線20に設けることにより、発光部7から出射される光の出射方向である前方に位置決め部22a、22bが存在しないため、配光上のロスが少なくなり、発光部7から出射される光の利用効率の向上を図ることができる。
さらに、位置決め部22a、22bを、第2のリード線20を所定の方向へ折り曲げることにより形成しているため、別に専用の位置決め部を必要とせず、部品点数の低減及び放電灯1の小型化を図ることができる。
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
1…放電灯、5…セラミック発光管、6…外管、7…発光部、8…細管部、9…前側電極、10…後側電極、17…第1のリード線、20…第2のリード線、22a…位置決め部、22b…位置決め部
Claims (3)
- セラミックによって形成され内部に所定の気体が封入されたセラミック発光管と、該セラミック発光管に保持された一対の電極と、ガラスによって形成され前記セラミック発光管と前記一対の電極を内部空間に収納する外管とを備えた車輌用放電灯であって、
前記セラミック発光管を、内部で前記一対の電極による放電が行われることによって発光を行うための発光部と、該発光部の前後両端部にそれぞれ連続され外径が前記発光部の外径より小さくされた一対の細管部とによって構成し、
前記セラミック発光管の前記発光部における上面と該上面に対向して位置する前記外管の内面との距離をH(mm)とし、
前記外管の厚みをt(mm)としたときに、
前記距離Hを0.3以上3.0以下とし、
前記厚みtを0.5以上2.5以下とし、
前記距離Hと前記厚みtの積H・tを0.3以上3.0以下とした
ことを特徴とする車輌用放電灯。 - 前記距離Hと前記厚みtの積H・tを0.3以上2.5以下とした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用放電灯。 - 前記一対の電極にそれぞれ接続され少なくとも一部が前記外管の内部空間に位置された一対のリード線を設け、
前記一対のリード線の少なくとも一方に、前記外管の内面に当接又は近接して位置された位置決め部を設けた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用放電灯。
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