JPH08271906A - 強誘電性液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents

強誘電性液晶表示素子とその製造方法

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JPH08271906A
JPH08271906A JP9770195A JP9770195A JPH08271906A JP H08271906 A JPH08271906 A JP H08271906A JP 9770195 A JP9770195 A JP 9770195A JP 9770195 A JP9770195 A JP 9770195A JP H08271906 A JPH08271906 A JP H08271906A
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ferroelectric liquid
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electrode
ferroelectric
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JP9770195A
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Katsuto Sakamoto
克仁 坂本
Jun Ogura
潤 小倉
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 らせんピッチが短い強誘電性液晶材料を用
い、SBF液晶素子として動作させることが可能な強誘
電性液晶表示素子及びその製造方法を提供することであ
る。 【構成】 液晶表示素子の配向膜15、16の厚さを1
0nmより小さくし、膜厚が増加するに従って小さくな
る表面エネルギーの極性力成分が強誘電性液晶21の液
晶分子のねじれ力よりも小さくなるように設定する。表
面エネルギーの極性力成分がねじれ力よりも強いため、
強誘電性液晶21の分子は螺旋構造を維持するよりも、
第1又は第2の配向方向のいずれかに配向し易くなる。
ただし、そのしきい値に幅があり、その幅の範囲内で
は、第1の配向状態の液晶分子と第2の配向状態の液晶
分子とが混在する状態となり、印加電圧によりその平均
的なダイレクタの方向を変化させることができ、SBF
液晶素子として動作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、強誘電性液晶表示素
子に関し、特に、配向膜の膜厚を制御することにより、
強誘電性液晶をSBF(Short pitch Bistable Ferroel
ectric)液晶として動作させる強誘電性液晶表示素子に
関する。
【0002】
【従来の技術】近時、階調表示が可能な強誘電性液晶表
示素子として、カイラルスメクティック相の螺旋ピッチ
が極めて短く且つ表示素子の基板間隔より短くした強誘
電性液晶を用いるものが注目されている。この種の強誘
電性液晶は、メモリ性を有するものはSBF液晶と呼ば
れ、非メモリ性のものはDHF(Deformed Helix Ferro
electric)液晶と呼ばれている。
【0003】SBF液晶を用いる強誘電性液晶表示素子
では、SBF液晶が螺旋構造をもった状態で基板間に封
入される。SBF液晶は、液晶層を挟んで対向する電極
間に絶対値が所定値以上の電圧を印加したとき、印加電
圧の極性に応じて、第1の配向状態と第2の配向状態と
のいずれかに配列する。第1の配向状態は液晶分子の長
軸の方向(ダイレクタ)が第1の方向にほぼ配向した状
態であり、第2の配向状態は液晶分子のダイレクタが第
2の方向にほぼ配向した状態である。また、SBF液晶
は、印加電圧の絶対値が前記所定値以下の場合、ダイレ
クタが第1の方向に配向した液晶分子とダイレクタが第
2の方向に配向した液晶分子が混在した中間の配向状態
になり、平均的なダイレクタの方向は印加する電圧の値
に応じて第1の方向と第2の方向の間の任意の方向とな
る。
【0004】このため、SBF液晶は、第1と第2の配
向状態を用いた2値表示と、中間の配向状態を用いた階
調表示のいずれにも適する。しかも、メモリ性を有して
いるので、単純マトリクス方式の液晶セルを用いたマル
チプレックス駆動による階調表示が可能になる。
【0005】DHF液晶を用いる強誘電性液晶表示素子
では、DHF液晶が螺旋構造をもった状態で基板間に封
入されている。DHF液晶は、液晶層を挟んで対向する
電極間に絶対値が所定値以上の電圧を印加したとき、印
加電圧の極性に応じて、第1の配向状態と第2の配向状
態とのいずれかに配列する。第1の配向状態は液晶分子
のダイレクタが第1の方向にほぼ配向した状態であり、
第2の配向状態は液晶分子のダイレクタが第2の方向に
ほぼ配向した状態である。また、印加電圧の絶対値が前
記所定値以下の場合、DHF液晶は、分子配列の螺旋の
歪みにより、液晶分子のダイレクタの平均的な方向が印
加された電圧の値に応じて前記第1と第2の方向の間と
なる中間の配向状態になる。
【0006】このため、液晶表示素子をアクティブマト
リクスタイプとして、中間的な配向状態を維持する電圧
を非選択期間も保持するようにすれば、DHF液晶を用
いて階調表示が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来、SBF液晶素子
は、メモリー性を持ったSBF用液晶材料を用い、この
液層材料が一対の基板間で、初期配向状態のときにらせ
ん構造をもち、電圧を印加したときにメモリー性を有す
るように、配向膜材料、配向処理条件及びセルギャップ
などを設定しなければならなかった。しかし、上述した
SBF用液晶材料と配向膜材料等の最適な組み合わせを
選定することは、液晶材料及び配向膜材料が多数存在す
るため、膨大な作業量を要求されるものであり、極めて
困難であった。
【0008】この発明は、上記実状に鑑みてなされたも
ので、らせんピッチが短い強誘電性液晶材料を用いてS
BF液晶素子として動作する強誘電性液晶表示素子及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の第1の観点にかかる強誘電性液晶表示素
子は、第1の電極と該第1の電極の上に形成された第1
の配向膜とが形成された第1の基板と、前記第1の電極
に対向する第2の電極が形成され、その上に第2の配向
膜が形成された第2の基板と、自己のねじれ力により分
子の螺旋構造を有した状態で、前記第1と第2の配向膜
の間に配置された強誘電性液晶と、を具備する強誘電性
液晶表示素子において、前記第1と第2の配向膜の表面
は、液晶分子との間に働く力が前記強誘電性液晶のねじ
れ力よりも大きくなる表面エネルギーを有する、ことを
特徴とする。
【0010】また、この発明の第2の観点にかかる強誘
電性液晶表示素子の製造方法は、第1の電極と第1の電
極の上に形成された第1の配向膜がそれぞれ形成された
第1の基板と、前記第1の電極に対向する第2の電極が
形成され、その上に第2の配向膜が形成された第2の基
板と、前記第1と第2の配向膜の間に配置された強誘電
性液晶と、を具備する強誘電性液晶表示素子の製造方法
において、前記第1と第2の配向膜を、その膜厚に応じ
て変化する前記強誘電性液晶との間に働く力が前記強誘
電性液晶のねじれ力よりも大きくなる厚さに形成するこ
とにより、前記強誘電性液晶を、前記第1と第2の電極
間に印加する電圧に応じて、ダイレクタが第1の方向に
配向した液晶分子とダイレクタが第2の方向に配向した
液晶分子が混在した状態に配向しうるSBF液晶として
動作させる、ことを特徴とする。
【0011】
【作用】上記構成の強誘電性液晶表示素子及びその製造
方法によれば、第1と第2の配向膜の配向規制力が強誘
電性液晶のねじれ力よりも大きい。即ち、液晶分子の螺
旋構造を維持する力よりも液晶分子の配向を規制する力
の方が強く、液晶分子の描く螺旋が解け易い。このた
め、強誘電性液晶は、第1と第2の電極間に絶対値が所
定値以上の電圧を印加したとき、印加電圧の極性に応じ
て、液晶分子のダイレクタが第1の方向にほぼ配向した
第1の配向状態と液晶分子のダイレクタが第2の方向に
ほぼ配向した第2の配向状態のいずれかになり、印加電
圧の絶対値が前記所定値以下の場合、ダイレクタが第1
の方向に配向した液晶分子とダイレクタが第2の方向に
配向した液晶分子が混在した配向状態になり、SBF液
晶として動作する。SBF液晶はメモリ性を有するた
め、マルチプレックス駆動が可能である。
【0012】強誘電性液晶の螺旋ピッチが約0.3μm
のとき、第1と第2の配向膜の各厚さを10nmより小
さく形成する。螺旋ピッチが0.3μmよりも増減した
場合には、増減率に応じた率で第1と第2の配向膜の膜
厚を増減する。
【0013】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。まず、この実施例にかかる強誘電性液晶表示素
子の構成を図1を参照して説明する。
【0014】この実施例の強誘電性液晶表示素子は、単
純マトリクス方式のものであり、一対の透明な基板(例
えば、ガラス基板)11、12を有する。基板11には
透明な信号電極13がストライプ状に形成されている。
基板12には透明な走査電極14が、信号電極13に直
交するようにストライプ状に形成されている。
【0015】基板11と基板12の電極形成面には、そ
れぞれ配向膜15、16が設けられている。配向膜1
5、16は、例えば、化学式1に示す分子構造を有す
る、ポリイミド等の有機高分子化合物からなる水平配向
膜であり、その対向面にはラビングによる配向処理が施
されている。
【0016】
【化1】 R1:4価の化合物R2:ジアミン成分
【0017】配向膜15、16の厚さは、強誘電性液晶
21を、後述するように、SBF液晶と、DHF液晶
と、SBF液晶の動作とDHF液晶の動作を兼ね備えた
液晶とのいずれとして使用するかに応じて設定される。
この実施例では、強誘電性液晶21をSBF液晶として
動作させるために、10nm(100オングストロー
ム)以下の厚さ、例えば、8nmに設定されている。
【0018】基板11と基板12は、スペーサ22と枠
状のシール材SCを介して接着されている。基板11、
12とシール材SCで囲まれた領域には強誘電性液晶2
1が封入されている。
【0019】強誘電性液晶21は、カイラルスメクティ
ックC相の螺旋ピッチが可視光帯域の光の波長よりも短
い0.3μm、コーン角θが50°、自発分極が80n
C/cm2、0℃以上でSc*相、59℃以上でSa相、
66℃以上でIso相を取る。また、その層厚は、例え
ば、5〜6μmに形成される。
【0020】強誘電性液晶21はカイラルスメクティッ
クC相が有する層構造の層の法線を配向膜15、16の
配向処理の方向に向けて均一な層構造を形成する。ま
た、その螺旋ピッチが基板間隔より小さいため、螺旋構
造をもった状態で基板11、12の間に封入されてい
る。
【0021】各画素は、信号電極13と走査電極14と
の対向部分とその間の強誘電性液晶21により形成され
る。強誘電性液晶21には、信号電極13に印加される
駆動信号の電圧と走査電極14に印加される走査信号の
電圧の差分が印加される。各画素の選択期間には、液晶
分子を任意の配向状態に設定する書き込み電圧が印加さ
れ、非選択期間には液晶分子の配向状態を維持させる維
持電圧が印加される。
【0022】液晶表示素子の上下には、一対の偏光板2
3、24が配置されている。偏光板23、24の透過軸
と強誘電性液晶21の液晶分子の配向方向との関係を図
2を参照して説明する。
【0023】正極性でかつ絶対値が所定の値以上の電圧
を強誘電性液晶21に印加したとき、強誘電性液晶21
は、第1の配向状態となり、液晶分子は図2に実線で示
す第1の配向方向21Aに配向する。負極性でかつ絶対
値が所定の値以上の電圧を強誘電性液晶21に印加した
とき、強誘電性液晶21は第2の配向状態となり、液晶
分子は破線で示す第2の配向方向21Bに配向する。
【0024】偏光板23、24のうち、一方の偏光板、
例えば、偏光板23の透過軸23Aは、強誘電性液晶2
1の2つの配向方向21A、21Bの一方、例えば、第
2の配向方向21Bとほぼ平行になっている。偏光板2
4の透過軸24Aは、偏光板23の透過軸23Aとほぼ
直交している。
【0025】偏光板23、24の透過軸23A、24A
を図2に示すように設定した強誘電性液晶表示素子は、
液晶分子を第1の配向方向21Aに配向させたときに透
過率が最も高く(表示が最も明るく)なり、液晶分子を
第2の配向方向21Bに配向させたときに透過率が最も
低く(表示が最も暗く)なる。そして、液晶分子の平均
的な配向方向が第1の配向方向21Aと第2の配向方向
21Bの間にあるとき、その平均的な配向方向に応じて
透過率が連続的に変化する。
【0026】図3(A)〜(C)は、強誘電性液晶21
の層の厚さを5μmとし、ピーク−ピークが±10V
で、60Hz程度の三角波を信号電極13と走査電極1
4間に印加したときの印加電圧と透過光量の関係を示す
グラフであり、それぞれ、配向膜15、16の厚さが1
0、25、40nmの場合の特性である。
【0027】図3(A)に示すように、配向膜15、1
6の膜厚が10nmの場合は、電圧−透過光量特性のヒ
ステリシスが大きく、そのしきい値(及び透過光量が最
小になる電圧と最大になる電圧の差)は小さい。また、
透過光量が最大の状態から印加電圧を低減して、印加電
圧をほぼ0にしても、透過光量は維持される。同様に、
透過光量が最小の状態から印加電圧を増加して、印加電
圧をほぼ0にしても、透過光量は維持される。即ち、配
向状態のメモリ性を有する。
【0028】−10V〜−2Vを印加したとき、ほとん
ど画素全体が暗状態になり、透過光量は、図3(A)に
示すように最低である。0V近傍の中間電圧を印加した
状態では、図4(A)に示すように、各画素内に暗い微
小領域と明い微小領域が混在し、印加電圧が高くなるに
従って、明るい微小領域の割合が増加する。このため、
画素全体としては、図3(A)に示すように透過光量が
徐々に増加する。+2V〜+10Vを印加した状態で
は、ほとんど画素全体が明状態になり、透過光量は図3
(A)に示すように最大となる。即ち、配向膜15、1
6の膜厚が10nmの場合は、印加電圧の変化に伴っ
て、明るい微小領域と暗い微小領域の割合が変化し、全
体としては表示階調が変化する。
【0029】これらの実験結果より、配向膜15、16
の厚さが10nmの場合は、強誘電性液晶21はSBF
液晶として動作していることがわかる。
【0030】図3(C)に示すように、配向膜15、1
6の膜厚が40nmの場合は、電圧−透過光量特性のヒ
ステリシスの幅が比較的小さく、しきい値が高い。ま
た、メモリ性を有していない。−10V〜−4Vを印加
したとき、ほとんど画素全体が暗状態になり、透過光量
は、図3(C)に示すように最低である。0V近傍の中
間電圧を印加した状態では、図4(C)に示すように、
画素内各部の透過率がほぼ均一に徐々に明るくなる。そ
して、電圧が高くなるに従って、透過率が高くなる。こ
のため、画素全体としては、図3(C)に示すように透
過光量が徐々に増加する。+4V〜+10Vを印加した
状態では、ほとんど画素全体が明状態になり、透過光量
は図3(C)に示すように最大となる。
【0031】これらの実験結果から、配向膜15、16
の厚さが40nmの場合は、強誘電性液晶21がDHF
液晶として動作することがわかる。
【0032】図3(B)に示すように、配向膜の膜厚が
25nmの場合は、電圧−透過光量特性のヒステリシス
の幅が中間の状態である。また、メモリ性は有していな
い。−10V〜−3Vを印加したとき、ほとんど画素全
体が暗状態になり、透過光量は、図3(B)に示すよう
に最低である。0V近傍の中間電圧を印加した状態で
は、図4(B)に示すように、各画素内に暗の微小領域
と明の微小領域と中間調の微小領域が混在する。そし
て、印加電圧が高くなるに従って、画素の面積に対する
明の微小領域の割合が高くなり、更に、中間調の微小領
域も徐々に明るくなる。このため、画素全体としては、
図3(B)に示すように透過光量が徐々に増加する。+
3V〜+10Vを印加した状態では、ほとんど画素全体
が明状態になり、透過光量は図3(B)に示すように最
大となる。
【0033】これらの実験結果から、配向膜15、16
の厚さが25nmの場合は、強誘電性液晶21はSBF
液晶としての動作とDHF液晶としての動作とを兼ね備
えた液晶として機能することがわかる。
【0034】以上説明したように、強誘電性液晶21
は、その構造(分子構造)が同一の場合でも、配向膜1
5、16の膜厚が10nm以下の場合はSBF液晶とし
て動作し、膜厚が40nm以上の場合はDHF液晶とし
て動作し、15nm〜35nmの場合は、SBF液晶と
DHF液晶との両方の動作を兼ね備えた強誘電性液晶と
なる。即ち、可視光の波長よりも短いらせんピッチをも
ったカイラルスメクティックC相の強誘電性液晶21
は、配向膜15、16との関係で、SBF液晶素子とD
HF液晶素子のいずれにも適用できる。
【0035】このように強誘電性液晶21の特性が変化
する理由は、配向膜15、16と液晶分子の間に働く力
と強誘電性液晶のねじれ力の大小関係が変化するためで
ある。
【0036】図5は、配向膜15、16の厚さと表面エ
ネルギーの極性力成分[erg/cm2]との関係を示
す。この特性は、配向膜15、16の表面をラビング
後、ラビングに対し平行方向の成分を測定したものであ
る。このグラフから明らかなように、配向膜15、16
の膜厚が厚くなるに従って配向膜15、16と液晶分子
の間に働く力である表面エネルギーの極性力成分は小さ
くなる。
【0037】一方、強誘電性液晶21は、カイラルスメ
クティックC相の液晶であり、固有のピッチで螺旋構造
を描いて配向している。この液晶分子に螺旋構造を描か
せる力がねじり力であり、ピッチの短い液晶物質ほどこ
のねじり力が大きい。
【0038】そして、表面エネルギーの極性力成分がね
じり力よりも十分に大きい状態では、液晶分子の螺旋構
造を維持する力よりも配向を安定させる力の方が強くな
り、液晶分子の描く螺旋が解け易い。また、液晶分子の
電圧しきい値が一定にならず、しきい値に幅ができる。
従って、その幅の範囲の電圧では、オンとオフの2つの
安定状態が混在する。このため、上述のように、強誘電
性液晶21はSBF液晶として動作する。
【0039】表面エネルギーの極性力成分がねじり力よ
りも十分に小さい状態では、ねじり力が強いため、電界
をかけると液晶分子は螺旋構造を維持したまま、その螺
旋構造が歪む。透過率等の巨視的な物理量は螺旋構造に
わたって平均化され、一様な階調を得ることができる。
このため、上述のように、強誘電性液晶21はDHF液
晶として動作する。
【0040】表面エネルギーの極性力成分とねじり力が
ほぼ等しく、且つ、無電界状態で液晶分子が螺旋構造を
維持している状態では、表面エネルギーの極性力成分と
ねじり力とが拮抗しているため、しきい値に幅ができ
て、その幅の範囲の電圧では、螺旋が解けてオンとオフ
の2つの安定状態が混在する微小領域と、螺旋構造を維
持したまま、その螺旋構造が歪む微小領域が混在する。
このため、強誘電性液晶21がSBF液晶として動作す
る微小領域とDHF液晶として動作する微小領域とが混
在することになる。そして、SBF液晶として動作する
領域とDHF液晶として動作する領域の割合は、表面エ
ネルギーの極性力成分とねじり力の大小に応じて変化す
る。
【0041】即ち、図6に示すように、配向膜15、1
6の表面エネルギーの極性力成分が液晶分子のねじり力
よりも十分に大きい場合は、強誘電性液晶21はSBF
液晶として動作し、表面エネルギーの極性力成分がねじ
り力よりも十分に小さい場合は強誘電性液晶21はDH
F液晶として動作し、表面エネルギーの極性力成分とね
じり力がほぼ等しい場合は、SBF液晶とDHF液晶と
の動作を兼ね備えた強誘電性液晶として機能する。
【0042】この実施例では、図1の構成において、配
向膜15、16の厚さを10nmより薄く形成している
ので、配向膜15、16の表面エネルギーの極性力成分
が、ピッチが0.3μmである強誘電性液晶21のねじ
り力よりも十分に小さい。従って、強誘電性液晶21
は、SBF液晶として動作する。
【0043】このため、信号電極13と走査電極14間
に正極性で絶対値が所定値以上の電圧を印加したとき、
液晶分子は、ダイレクタが第1の配向方向21Aにほぼ
配向した第1の配向状態となり、負極性で絶対値が所定
値以上の電圧を印加したとき、ダイレクタが第2の配向
方向21Bにほぼ配向した第2の配向状態となり、印加
電圧の絶対値が前記所定値以下の場合、第1の配向状態
の分子と第2の配向状態の分子が混在する中間の配向状
態になる。従って、この中間の配向状態を用いた階調表
示が可能となる。
【0044】尚、上述のSBF液晶表示素子は、基板1
1上に信号電極13を形成し、基板12上に走査電極1
4を形成した後で、ポリアミック酸の0.01〜40%
溶液を塗布し、100〜350℃で加熱することによ
り、厚さ10nm未満の配向膜15、16を形成する。
続いて、配向膜15、16を形成した基板11、12を
シール材SCを介して接合して液晶セルを形成する。次
に、真空注入法等を用いて液晶セルに強誘電性液晶21
を注入する。その後、偏光板23、24を配置して、S
BF液晶表示素子を完成する。
【0045】次に、上記構成の強誘電性液晶表示素子の
駆動方法について説明する。図7(A)は走査電極14
に印加する走査信号の波形、図7(B)は信号電極13
に印加するデータ信号の波形、図7(C)は強誘電性液
晶21に印加される電圧の波形をそれぞれ示す。なお、
図7(A)〜(C)に示すTSは選択期間、TOは非選
択期間を示す。
【0046】図7(A)、(B)に示す走査信号とデー
タ信号を走査電極14と信号電極13に印加することに
より、各画素の強誘電性液晶21には、図7(C)に示
すように、選択期間TSの後半に、液晶分子の配向状態
を設定するための書き込み電圧VDが印加され、非選択
期間TOには、液晶分子の配向状態を維持するための維
持電圧が印加される。従って、印加電圧VDを調整する
ことにより、任意の階調画像を表示できる。なお、SB
F液晶表示素子の駆動方法は、図7(A)〜(C)に示
す方法に限定されず、従来知られた任意の駆動方法を使
用できる。
【0047】この発明は、上記実施例に限定されず、種
々の変形応用が可能である。例えば、上記実施例では配
向膜15、16の膜厚を10μm以下としたが、15μ
m以下とすれば、ほぼSBF液晶の特性が得られる。し
かし、望ましくは、上述のように、10μm以下とす
る。また、上記実施例では、強誘電性液晶21の螺旋ピ
ッチが0.3μmで、配向膜15、16の膜厚を10μ
m以下としたが、異なる螺旋ピッチの強誘電性液晶21
を使用する場合には、配向膜15、16の膜厚をほぼ同
一の割合で増減すればよい。即ち、螺旋ピッチが0.3
・P(Pは正の実数)μmの強誘電性液晶を使用する場
合には、配向膜15、16の厚さを10・Pnm以下と
すればよい。
【0048】配向膜15、16の材質も変更可能であ
る。
【0049】また、上記実施例では、液晶表示素子を単
純マトリクス方式としたが、図8に断面で示すようにア
クティブマトリクス構造としてもよい。図8では、基板
11上に画素電極31とスイッチング素子(TFT又は
MIM)32をマトリクス状に配置し、この上に配向膜
15を形成する。また、基板12上に対向電極33と配
向膜16を配置する。この場合も、配向膜15、16
を、その膜厚に応じて変化する液晶分子との間に働く力
が強誘電性液晶のねじれ力よりも大きくなる厚さに形成
する。また、上記実施例では、液晶表示素子を透過型と
したが、反射型でもよい。
【0050】なお、偏光板23、24は、偏光板23の
透過軸23Aを強誘電性液晶21の第1の配向方向21
Aにほぼ平行にし、偏光板24の透過軸24Aを透過軸
23Aにほぼ直交させてもよい。また、一方の偏光板の
透過軸又は吸収軸を強誘電性液晶21が有するカイラル
スメクティック相の層構造の層の法線方向に一致させ、
他方の偏光板の透過軸又は吸収軸を一方の偏光板の透過
軸又は吸収軸に直交又は平行としてもよい。また、透過
軸と吸収軸を入れ替えてもよい。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、らせんピッチの短い強誘電性液晶を用いてSBF液
晶表示素子を形成することができ、また、製造が容易に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる強誘電性液晶表示素
子の構造を示す断面図である。
【図2】偏光板の透過軸の方向と配向方向との関係を示
す図である。
【図3】(A)は配向膜の膜厚が10nmの場合の印加
電圧と透過光量の関係を示すグラフである。(B)は配
向膜の膜厚が25nmの場合の印加電圧と透過光量の関
係を示すグラフである。(C)は配向膜の膜厚が40n
mの場合の印加電圧と透過光量の関係を示すグラフであ
る。
【図4】(A)は配向膜の膜厚が10nmで中間電圧を
印加したときの、各画素の表示状態を示す図である。
(B)は配向膜の膜厚が25nmで中間電圧を印加した
ときの、各画素の表示状態を示す図である。(C)は配
向膜の膜厚が40nmで中間電圧を印加したときの、各
画素の表示状態を示す図である。
【図5】配向膜の膜厚と表面エネルギーの極性力成分の
関係を示すグラフである。
【図6】強誘電性液晶のねじり力と配向膜の表面エネル
ギーの極性力成分と液晶との関係を示す図である。
【図7】(A)〜(C)はこの実施例の強誘電性液晶表
示素子の駆動方法により、走査電極に印加される走査信
号と、信号電極に印加されるデータ信号と、強誘電性液
晶に印加される電圧の波形をそれぞれ示す図である。
【図8】この発明の実施例にかかる液晶表示素子の他の
構造を示す断面図である。
【符号の説明】
11・・・基板、12・・・基板、13・・・信号電極、14・・・
走査電極、15・・・配向膜、16・・・配向膜、21・・・強
誘電性液晶、23・・・偏光板、24・・・偏光板、31・・・
画素電極、32・・・スイッチング素子、33・・・対向電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の電極と該第1の電極の上に形成され
    た第1の配向膜とが形成された第1の基板と、 前記第1の電極に対向する第2の電極が形成され、その
    上に第2の配向膜が形成された第2の基板と、 自己のねじれ力により分子の螺旋構造を有した状態で、
    前記第1と第2の配向膜の間に配置された強誘電性液晶
    と、 を具備する強誘電性液晶表示素子において、 前記第1と第2の配向膜の表面は、液晶分子との間に働
    く力が前記強誘電性液晶のねじれ力よりも大きくなる表
    面エネルギーを有する、 ことを特徴とする強誘電性液晶表示素子。
  2. 【請求項2】前記第1と第2の配向膜は、その膜厚に応
    じて変化する前記液晶分子との間に働く力が前記強誘電
    性液晶のねじれ力よりも大きくなる厚さに形成され、 前記強誘電性液晶は、前記第1と第2の電極間に絶対値
    が所定値以上の電圧を印加したとき、印加電圧の極性に
    応じて、液晶分子のダイレクタが第1の方向にほぼ配向
    した第1の配向状態と、液晶分子のダイレクタが第2の
    方向にほぼ配向した第2の配向状態のいずれかに配列
    し、印加電圧の絶対値が前記所定値以下のとき、ダイレ
    クタが第1の方向に配向した液晶分子とダイレクタが第
    2の方向に配向した液晶分子が混在した中間の配向状態
    に配列する、 ことを特徴とする請求項1に記載の強誘電性液晶表示素
    子。
  3. 【請求項3】前記第1と第2の配向膜と前記液晶分子と
    の間に働く力は、表面エネルギーの極性力成分であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の強誘電性液晶表
    示素子。
  4. 【請求項4】第1の電極と該第1の電極の上に形成され
    た第1の配向膜とが形成された第1の基板と、 前記第1の電極に対向する第2の電極が形成され、その
    上に第2の配向膜が形成された第2の基板と、 前記第1と第2の配向膜の間に配置され、螺旋ピッチが
    0.3・P(Pは正の実数)μmである強誘電性液晶
    と、を備え、 前記第1と第2の配向膜は10・Pnmより小さい厚さ
    を有し、前記強誘電性液晶をSBF液晶として動作させ
    る、ことを特徴とする強誘電性液晶表示素子。
  5. 【請求項5】前記強誘電性液晶表示素子をマルチプレッ
    クス駆動する手段を備えることを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれか1つに記載の強誘電性液晶表示素子。
  6. 【請求項6】第1の電極と第1の電極の上に形成された
    第1の配向膜がそれぞれ形成された第1の基板と、前記
    第1の電極に対向する第2の電極が形成され、その上に
    第2の配向膜が形成された第2の基板と、前記第1と第
    2の配向膜の間に配置された強誘電性液晶と、を具備す
    る強誘電性液晶表示素子の製造方法において、 前記第1と第2の配向膜を、その膜厚に応じて変化する
    前記強誘電性液晶との間に働く力が前記強誘電性液晶の
    ねじれ力よりも大きくなる厚さに形成することにより、
    前記強誘電性液晶を、前記第1と第2の電極間に印加す
    る電圧に応じて、ダイレクタが第1の方向に配向した液
    晶分子とダイレクタが第2の方向に配向した液晶分子が
    混在した状態に配向しうるSBF液晶として動作させ
    る、 ことを特徴とする強誘電性液晶表示素子の製造方法。
  7. 【請求項7】前記第1と第2の配向膜と前記液晶分子と
    の間に働く力は、表面エネルギーの極性力成分であるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の強誘電性液晶表示素子
    の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5936689A (en) * 1997-03-14 1999-08-10 Kabushiki Kaisha Toshiba Liquid crystal display device

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5936689A (en) * 1997-03-14 1999-08-10 Kabushiki Kaisha Toshiba Liquid crystal display device

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