JPH08270639A - 高摩擦部材およびその製造方法 - Google Patents

高摩擦部材およびその製造方法

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JPH08270639A
JPH08270639A JP7482895A JP7482895A JPH08270639A JP H08270639 A JPH08270639 A JP H08270639A JP 7482895 A JP7482895 A JP 7482895A JP 7482895 A JP7482895 A JP 7482895A JP H08270639 A JPH08270639 A JP H08270639A
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powder
porous sintered
friction member
sintered layer
layer
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JP7482895A
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Toronron Tan
トロンロン タン
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩擦係数の制御が容易で、高摩擦係数が容易
に得られると共に、耐久性に優れた高摩擦部材およびそ
の製造方法を提供する。 【構成】 金属基材1の表面に金属粉末2の多孔質焼結
層3、あるいは金属粉末とセラミックス材料等からなる
高耐摩耗性物質との複合多孔質焼結層を設けた高摩擦部
材である。このような高摩擦部材は、金属粉末単独また
は金属粉末と高耐摩耗性物質との混合体に有機バインダ
を混合し、この有機バインダとの混合物を金属基材の表
面に塗布または吹付け、この混合物の塗布層または吹付
け層を焼成することによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高摩擦部材およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プロッタ、プリンタ、複写機、フ
ァックス等の高速化や高機能化を図るために、紙、フィ
ルムシートやペンカートリッジ等を適切に、かつ正確に
高速送りすることが要求されている。例えば、送りロー
ラにおいては、紙やフィルムシート等をスリップさせる
ことなく、高精度にかつ高速で送る必要があり、そのた
めに高摩擦係数を有することが要求されている。
【0003】従来、上述したような高摩擦ローラとして
は、例えば特開平 3-76668号公報に記載されているよう
に、金属ローラの表面にタングステンカーバイド・コバ
ルト超硬合金粉末、もしくはセラミックス材料粉末の溶
射被膜を形成したローラが提案されている。しかし、こ
のような溶射被膜により高摩擦化したローラは、ローラ
表面の超硬合金粉末やセラミックス材料粉末が連続した
溶射層を形成して高摩擦係数を得ているため、表面凹凸
の制御が困難であるという問題を有していた。また、最
表面の凹凸部が摩耗してしまうと、摩擦係数が極端に低
下する等、耐久性に難点を有していた。
【0004】また、特開平 5-70011号公報には、金属ロ
ーラの外周面にドット状のレジストパターンを成形し、
このレジストを介して金属ローラをエッチング処理する
ことによって、金属ローラの全周に微細な突起を形成し
た高摩擦ローラが記載されている。しかし、このような
金属製高摩擦ローラは、その作製時にレジストパターン
の形成工程やエッチング工程等が必要となるため、その
製造工程が繁雑となると共に、コスト高となるという難
点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、紙や
フィルムシート等の移動(送り)の高速化および高精度
化を図るために、高摩擦ローラに対する要求が強まって
いるものの、従来の高摩擦ローラは、摩擦係数の制御が
困難、摩擦面の耐久性が低い、ローラの製造工程が繁
雑、製造コストが高い等という問題を有していた。
【0006】このようなことから、プロッタ、プリン
タ、複写機、ファックス等の高速化、高機能化、高寿命
化等を達成するために、摩擦係数の制御が容易であると
共に、高摩擦係数を容易に得ることができ、かつ耐久性
に優れ、安価な高摩擦部材の出現が強く望まれている。
【0007】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、摩擦係数の制御が容易で、高摩擦係
数が容易に得られると共に、耐久性に優れた安価な高摩
擦ローラおよびその製造方法を提供することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段と作用】本発明における第
1の高摩擦部材は、請求項1に記載したように、金属基
材と、前記金属基材の表面に設けられた金属粉末の多孔
質焼結層とを具備することを特徴としている。
【0009】また、本発明における第2の高摩擦部材
は、金属基材と、前記金属基材の表面に設けられた金属
粉末と高耐摩耗性物質との複合多孔質焼結層とを具備す
ることを特徴としている。
【0010】本発明の高摩擦部材の製造方法は、金属粉
末単独または金属粉末と高耐摩耗性物質との混合体に有
機バインダを混合し、この有機バインダとの混合物を金
属基材の表面に塗布または吹付ける工程と、前記混合物
の塗布層または吹付け層を焼成して、金属粉末の多孔質
焼結層または金属粉末と高耐摩耗性物質との複合多孔質
焼結層を形成する工程とを有することを特徴としてい
る。
【0011】本発明の高摩擦部材における金属基材とし
ては、鉄やステンレス等の鉄系材料に限らず、アルミニ
ウムやアルミニウム合金、マグネシウムやマグネシウム
合金等の軽金属材料を用いることもできる。軽金属材料
を用いた場合、特に高摩擦部材の軽量化を図ることがで
き、例えば高摩擦ローラのような高摩擦部材の高速駆動
化等に寄与する。金属基材の形状は、高摩擦部材の使用
用途に応じて適宜選択されるものであり、例えば本発明
の高摩擦部材を高摩擦ローラとして用いる場合には、円
筒状や円柱状の金属基材が使用される。
【0012】本発明の第1の高摩擦部材は、例えば図1
に示すように、上述したような金属基材1の表面に、摺
動相手材との接触面を形成する金属粉末2の多孔質焼結
層3を設けたものである。このような金属粉末の多孔質
焼結層は、その出発材料となる金属粉末の粒子径や多孔
質焼結層の空間率等を適宜選定することによって、摩擦
係数の制御が容易で、高摩擦係数が容易に得られると共
に、当初の最表面層が摩耗しても随時同様な高摩擦係数
を有する新しい表面が得られるため、高摩擦部材の耐久
性を大幅に向上させることができる。ここで、多孔質焼
結層による摩擦係数は、高摩擦部材の使用用途、相手材
の摩擦係数、相手材との接触圧や接触面積等によって適
宜選択するものとする。
【0013】上記したような高摩擦係数を得るために
は、多孔質焼結層の空間率を10〜 90%の範囲とすること
が好ましい。多孔質焼結層の空間率が 10%未満である
と、良好な摩擦係数が得られないおそれがあり、また空
間率が 90%を超えると多孔質焼結層の強度等が低下し、
耐久性等が損われるおそれがある。多孔質焼結層の空間
率のより好ましい値は、同様な理由から30〜 70%の範囲
である。
【0014】上述した多孔質焼結層の出発材料となる金
属粉末としては、上述した金属基材の構成材料と同様な
金属材料の粉末が例示され、その焼結温度等を考慮して
金属基材と適宜組合せて使用される。出発材料となる金
属粉末の平均粒子径は、 5〜150μm の範囲であること
が好ましい。金属粉末の平均粒子径が 5μm 未満である
と、多孔質焼結層を十分に高摩擦係数化することが困難
となる。一方、平均粒子径が 150μm を超えると、多孔
質焼結層からの金属粒子の脱落等が生じやすくなるおそ
れがある。金属粉末のより好ましい平均粒子径は、同様
な理由から10〜100μm の範囲である。
【0015】また、上記したような金属粉末の多孔質焼
結層の厚さは、10μm 〜 1mmの範囲とすることが好まし
い。多孔質焼結層の厚さが10μm 未満であると、多孔質
焼結層の耐久性を十分に高めることができないおそれが
あり、一方 1mmを超えると、多孔質焼結層自体の剥離等
が生じやすくなるおそれがある。
【0016】本発明の第2の高摩擦部材は、上述したよ
うな金属基材の表面に、摺動相手材との接触面を形成す
る金属粉末と高耐摩耗性物質との複合多孔質焼結層を設
けたものである。このような複合多孔質焼結層は、上記
金属粉末の多孔質焼結層と同様に高摩擦係数や優れた耐
久性が得られる上に、高耐摩耗性物質の存在によって一
層優れた摩擦係数や耐久性を容易に得ることができる。
この複合多孔質焼結層の空間率や厚さ、また複合多孔質
焼結層の一方の出発材料となる金属粉末の平均粒子径等
は、上記金属粉末の多孔質焼結層と同様な値とすること
が好ましい。
【0017】上述した複合多孔質焼結層の一方の出発材
料となる金属粉末としては、前述した金属基材の構成材
料と同様な金属材料の粉末を用いることができ、特にア
ルミニウムやアルミニウム合金、マグネシウムやマグネ
シウム合金等の軽金属材料のように、比較的耐摩耗性の
低い金属粉末を用いる場合に効果的である。
【0018】複合多孔質焼結層の他方の出発材料となる
高耐摩耗性物質としては、セラミックス粒子、セラミッ
クスウィスカー、セラミックス短繊維等のセラミックス
材料が例示され、これらは単独でまたは 2種以上の混合
物として用いることができる。これらセラミックス材料
の具体的な材質としては、例えばAl、Si、Ti、Zr、Ta、
Cr、Be、B 等の酸化物、窒化物、炭化物、あるいはこれ
らの複合化物等が例示され、具体的には炭化ケイ素、窒
化ケイ素、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジル
コニア、ベリリア、炭化ボロン、炭化チタンおよびホウ
酸アルミニウムから選ばれる少なくとも 1種を用いるこ
とが好ましい。
【0019】上記セラミックス粒子、セラミックスウィ
スカー、セラミックス短繊維としては、平均直径が 5〜
500μm の範囲のものを用いることが好ましい。上記し
たようなセラミックス材料の平均直径が 5μm 未満であ
ると、十分に高摩擦係数化することが困難となるおそれ
がある。一方、平均直径が 500μm を超えると、セラミ
ックス材料の脱落等が生じやすくなることから、耐久性
が低下するおそれがある。セラミックス材料の平均直径
のより好ましい値は、同様な理由から10〜 200μm の範
囲である。また、セラミックスウィスカーやセラミック
ス短繊維を用いる場合には、平均アスペクト比が数100
以下程度であることが好ましい。
【0020】第2の高摩擦部材における複合多孔質焼結
層中におけるセラミックス材料等からなる高耐摩耗性物
質の体積比率は、セラミックス材料等の形状や大きさに
よっても異なるが、 5〜 50%の範囲とすることが好まし
い。高耐摩耗性物質の体積比率が5%未満では、摩擦係数
や耐摩耗性の向上効果を十分に得ることができないおそ
れがあり、また 50%を超えてセラミックス材料等の高耐
摩耗性物質を含有させても、それ以上の効果が期待でき
ない。より好ましい高耐摩耗性物質の体積比率は同様な
理由から10〜 30%の範囲である。
【0021】次に、本発明の高摩擦ローラの製造方法に
ついて説明する。
【0022】まず、上述したような金属粉末、あるいは
金属粉末とセラミックス材料等からなる高耐摩耗性物質
との混合体に、適当量の有機バインダを混合する。この
有機バインダの混合量は、特に限定されるものではない
が、目的とする多孔質焼結層または複合多孔質焼結層の
空間率等に応じて適宜設定する。次いで、上記有機バイ
ンダとの混合物を金属基材の表面に塗布または吹付け
る。
【0023】そして、上記混合物の塗布層または吹付け
層を焼成して、金属粉末の多孔質焼結層または金属粉末
と高耐摩耗性物質との複合多孔質焼結層を形成する。焼
成温度は、金属粉末の多孔質焼結層の場合には、用いた
金属粉末の材質や粒子径に応じて設定するものとし、ま
た金属粉末と高耐摩耗性物質との複合多孔質焼結層の場
合には、一方の出発材料である金属粉末の材質や粒子径
に応じて設定するものとする。複合多孔質焼結層におい
ては、金属粉末がセラミックス材料等からなる高耐摩耗
性物質間の結合材的な機能を果たし、高耐摩耗性物質の
脱落等を抑制することができる。
【0024】上述したよう製造方法で得られる高摩擦部
材は、そのままの状態で使用してもよいし、またその表
面に機械加工やエッチング処理等を施して、摩擦係数の
調整や増大を図ることもできる。
【0025】本発明の高摩擦部材は、例えばプロッタ、
プリンタ、複写機、ファックス等の紙やフィルムシ−ト
等の高摩擦送りローラ、プロッタやプリンタ等における
ペンカートリッジ駆動部等となる金属ベルト用の高摩擦
駆動ローラ等に好ましく用いられ、また昇降機や自動車
等のブレーキ等として使用することも可能である。特
に、紙やフィルムシ−ト等の高摩擦送りローラに好適で
ある。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0027】実施例1 まず、平均粒子径10μm のステンレスSUS304粉末を適当
量のポリビニルアルコールと混合した。この液状の混合
物をスプレーガンにより、外径15mm、肉厚 1mm、長さ 3
00mmのステンレスSUS304製の円筒体の表面に吹付け、厚
さ約50μm の粉末吹付け層を形成した。
【0028】次に、上記粉末吹付け層を有するSUS304製
円筒体を、423K×10分の条件で乾燥させ、続いて0.13Pa
の真空中にて 1023K× 4時間の条件で脱バインダ処理を
行った後、 1.3×10-3Paの真空中にて 1423K× 1時間の
条件で粉末吹付け層を焼結させて、SUS304製円筒体の表
面に空間率約 40%のSUS304粉末の多孔質焼結層を有する
円筒体を得た。
【0029】そして、上記SUS304粉末の多孔質焼結層を
有する円筒体の内側に、外径13mm、内径 5mmのアルミニ
ウム製のパイプを挿入して焼嵌めし、外径15mm、内径 5
mm、長さ 300mmで、表面にSUS304粉末の多孔質焼結層を
有する高摩擦ローラを得た。この高摩擦ローラは、その
外周面に機械加工を施して、表面粗さRmax が約30μm
となるように調整した。
【0030】このようにして得た高摩擦ローラを、図2
に構成を示すプロッタの紙送りローラ11として設置し
て、実機試験を行った。なお、図2に示すプロッタにお
いては、ローラ12、13とステンレス鋼ベルト14と
によりペンカートリッジ15の駆動機構が構成されてお
り、ローラ12に接続されたY軸モータ16によりペン
カートリッジ15は、Y方向に移動自在とされている。
また、作図用紙17は、X軸モータ18に接続された紙
送りローラ11とピンチローラ19とよりX方向に移動
自在とされており、これらの移動動作により作図が行わ
れる。
【0031】まず、上記プロッタで各種製図用紙の紙送
りを行ったところ、全ての製図用紙を高精度に送ること
ができ、製図精度の向上が図れることを確認した。次
に、上記実機試験を 100時間連続して行った後に、紙送
りローラの表面を観察したところ、耐久試験前とほとん
ど変化しておらず、また紙送り精度も維持されており、
優れた耐久性を有することを確認した。
【0032】実施例2 まず、平均粒子径 100μm のステンレスSUS430粉末を適
当量のポリアクリル酸アンモニウムと混合した。この液
状の混合物をスプレーガンにより、外径15mm、肉厚 1m
m、長さ 300mmのステンレスSUS430製の円筒体の表面に
吹付け、厚さ約300μm の粉末吹付け層を形成した。
【0033】次に、上記粉末吹付け層を有するSUS430製
円筒体を、423K×10分の条件で乾燥させ、続いて0.13Pa
の真空中にて 1023K× 4時間の条件で脱バインダ処理を
行った後、 1.3×10-3Paの真空中にて 1423K× 1時間の
条件で粉末吹付け層を焼結させて、SUS304製円筒体の表
面に空間率約 50%のSUS430粉末の多孔質焼結層を有する
円筒体を得た。
【0034】そして、上記SUS430粉末の多孔質焼結層を
有する円筒体の内側に、外径13mm、内径 5mmのアルミニ
ウム製のパイプを挿入して焼嵌めし、外径15mm、内径 5
mm、長さ 300mmで、表面にSUS430粉末の多孔質焼結層を
有する高摩擦ローラを得た。この高摩擦ローラは、その
外周面に機械加工を施して、表面粗さRmax が約50μm
となるように調整した。
【0035】このようにして得た高摩擦ローラを実施例
1と同様に、プロッタの紙送りローラとして用いて実機
試験を行った。その結果、各種製図用紙を高精度に送る
ことができ、製図精度の向上が図れることを確認した。
次に、上記実機試験を 100時間連続して行った後に、紙
送りローラの表面を観察したところ、耐久試験前とほと
んど変化しておらず、また紙送り精度も維持されてお
り、優れた耐久性を有することを確認した。
【0036】実施例3 まず、平均粒子径 500μm の炭素鋼S45C粉末を適当量の
ポリメタクリル酸エステルと混合した。この液状の混合
物をスプレーガンにより、外径15mm、肉厚 1mm、長さ 3
00mmの炭素鋼S45C製の円筒体の表面に吹付け、厚さ約 1
mmの粉末吹付け層を形成した。
【0037】次に、上記粉末吹付け層を有するS45C製円
筒体を、423K×10分の条件で乾燥させ、続いて0.13Paの
真空中にて 1023K× 4時間の条件で脱バインダ処理を行
った後、 1.3×10-3Paの真空中にて 1423K× 1時間の条
件で粉末吹付け層を焼結させて、S45C製円筒体の表面に
空間率約 60%のS45C粉末の多孔質焼結層を有する円筒体
を得た。
【0038】そして、上記S45C粉末の多孔質焼結層を有
する円筒体の内側に、外径13mm、内径 5mmのアルミニウ
ム製のパイプを挿入して焼嵌めし、外径15mm、内径 5m
m、長さ 300mmで、表面にS45C粉末の多孔質焼結層を有
する高摩擦ローラを得た。この高摩擦ローラは、その外
周面に機械加工を施して、表面粗さRmax が約 500μm
となるように調整した。
【0039】このようにして得た高摩擦ローラを実施例
1と同様に、プロッタの紙送りローラとして用いて実機
試験を行った。その結果、各種製図用紙を高精度に送る
ことができ、製図精度の向上が図れることを確認した。
次に、上記実機試験を 100時間連続して行った後に、紙
送りローラの表面を観察したところ、耐久試験前とほと
んど変化しておらず、また紙送り精度も維持されてお
り、優れた耐久性を有することを確認した。
【0040】実施例4 まず、平均粒子径10μm のステンレスSUS304粉末と平均
粒子径20μm の炭化ケイ素粉末とを体積比が 5:1となる
ように混合し、この混合粉末を適当量のポリビニルアル
コールと混合した。この液状の混合物をスプレーガンに
より、外径15mm、肉厚 1mm、長さ 300mmのステンレスSU
S304製の円筒体の表面に吹付け、厚さ約100μm の粉末
吹付け層を形成した。
【0041】次に、上記粉末吹付け層を有するSUS304製
円筒体を、423K×10分の条件で乾燥させ、続いて0.13Pa
の真空中にて 1023K× 4時間の条件で脱バインダ処理を
行った後、 1.3×10-3Paの真空中にて 1423K× 1時間の
条件で粉末吹付け層を焼結させて、S45C製円筒体の表面
に空間率約 70%のSUS304粉末と炭化ケイ素粉末との複合
多孔質焼結層を有する円筒体を得た。
【0042】そして、上記SUS304粉末と炭化ケイ素粉末
との複合多孔質焼結層を有する円筒体の内側に、外径13
mm、内径 5mmのアルミニウム製のパイプを挿入して焼嵌
めし、外径15mm、内径 5mm、長さ 300mmで、表面にSUS3
04粉末と炭化ケイ素粉末との複合多孔質焼結層を有する
高摩擦ローラを得た。この高摩擦ローラは、その外周面
に機械加工を施して、表面粗さRmax が約30μm となる
ように調整した。
【0043】このようにして得た高摩擦ローラを実施例
1と同様に、プロッタの紙送りローラとして用いて実機
試験を行った。その結果、各種製図用紙を高精度に送る
ことができ、製図精度の向上が図れることを確認した。
次に、上記実機試験を 100時間連続して行った後に、紙
送りローラの表面を観察したところ、耐久試験前とほと
んど変化しておらず、また紙送り精度も維持されてお
り、優れた耐久性を有することを確認した。
【0044】実施例5 まず、粒子径77μm 以下のステンレスSUS304粉末と平均
粒子径 100μm の炭化ケイ素粉末とを体積比が 4:1とな
るように混合し、この混合粉末を適当量のポリメタクリ
ル酸エステルと混合した。この液状の混合物をスプレー
ガンにより、外径15mm、長さ 300mmのステンレスSUS304
製の円筒体の表面に吹付け、厚さ約 100μm の粉末吹付
け層を形成した。
【0045】次に、上記粉末吹付け層を有するSUS304製
円筒体を、423K×10分の条件で乾燥させ、続いて0.13Pa
の真空中にて 1023K× 4時間の条件で脱バインダ処理を
行った後、 1.3×10-3Paの真空中にて 1423K× 1時間の
条件で粉末吹付け層を焼結させて、SUS304製円筒体の表
面に空間率約 60%のSUS304粉末と炭化ケイ素粉末との複
合多孔質焼結層を有する高摩擦ローラを得た。この高摩
擦ローラは、その表面に平均粒子径10μm のガラスビー
ズを用いて0.2MPaの空気圧で 1分間ブラスト処理を施
し、炭化ケイ素粒子より柔らかいステンレスSUS304を深
さ約20μm の範囲で除去して炭化ケイ素粒子を突出させ
た。
【0046】このようにして得た高摩擦ローラを実施例
1と同様に、プロッタの紙送りローラとして用いて実機
試験を行ったところ、各種製図用紙を高精度に送ること
ができ、製図精度の向上が図れることを確認した。次
に、上記実機試験を 100時間連続して行った後に、紙送
りローラの表面を観察したところ、耐久試験前とほとん
ど変化しておらず、また紙送り精度も維持されており、
優れた耐久性を有することを確認した。
【0047】実施例6 まず、平均粒子径50μm の6061Al合金粉末と平均粒子径
100μm のアルミナ粉末とを体積比が 9:1となるように
混合し、この混合粉末を適当量のポリビニルアルコール
と混合した。この液状の混合物をスプレーガンにより、
外径15mm、内径5mm、長さ 300mmの6061Al合金製の円筒
体の表面に吹付け、厚さ約 300μm の粉末吹付け層を形
成した。
【0048】次に、上記粉末吹付け層を有する6061Al合
金製円筒体を、423K×10分の条件で乾燥させ、続いて0.
13Paの真空中にて673K× 4時間の条件で脱バインダ処理
を行った後、 1.3×10-3Paの真空中にて793K× 1時間の
条件で粉末吹付け層を焼結させて、6061Al合金製円筒体
の表面に空間率約 70%の6061Al合金粉末とアルミナ粉末
との複合多孔質焼結層を有する高摩擦ローラを得た。こ
の高摩擦ローラはその外周面に機械加工を施して、表面
粗さRmax が約50μm となるように調整した。このよう
にして得た高摩擦ローラを実施例1と同様に、プロッタ
の紙送りローラとして用いて実機試験を行った。その結
果、各種製図用紙を高精度に送ることができ、製図精度
の向上が図れることを確認した。次に、上記実機試験を
100時間連続して行った後に、紙送りローラの表面を観
察したところ、耐久試験前とほとんど変化しておらず、
また紙送り精度も維持されており、優れた耐久性を有す
ることを確認した。
【0049】比較例1 実施例1と同形状、同寸法の6061アルミニウム合金製の
円筒体の外周面に、タングステンカーバイト・コバルト
超合金粉末を溶射して、表面粗さRmax が 100μm の溶
射被膜を形成した。
【0050】次に、実施例1と同様に、上記ローラをプ
ロッタの紙送りローラとして用いて実機試験を行った。
当初は各種製図用紙を高精度に送ることができたが、10
時間の耐久試験後に、タングステンカーバイト・コバル
ト超合金粉末の脱落が発生して紙送り精度が低下し、耐
久性に問題があった。
【0051】なお、上記各実施例においては、本発明の
高摩擦部材を図2に示したプロッタの紙送りローラ11
として使用したが、プリンタ、複写機、ファックス等の
紙やフィルムシ−ト等の送りローラ、さらには前述した
プロッタのペンカートリッジ駆動部となるローラ12、
13等として用いることもできる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高摩擦部
材によれば、摩擦係数の制御が容易で、高摩擦係数が容
易に得られ、かつそのような高摩擦係数を長期間にわた
って安定して維持することが可能となる。また、本発明
の高摩擦部材の製造方法によれば、そのような高摩擦部
材を再現性よく、かつ安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高摩擦部材の一構造例を模式的に示
す断面図である。
【図2】 本発明の実施例で作製した高摩擦ローラを適
用したプロッタの構造を示す図である。
【符号の説明】
1……金属基材 2……金属粉末 3……金属粉末の多孔質焼結層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材と、前記金属基材の表面に設け
    られた金属粉末の多孔質焼結層とを具備することを特徴
    とする高摩擦部材。
  2. 【請求項2】 金属基材と、前記金属基材の表面に設け
    られた金属粉末と高耐摩耗性物質との複合多孔質焼結層
    とを具備することを特徴とする高摩擦部材。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の高摩擦部材において、 前記高耐摩耗性物質は、セラミックス粒子、セラミック
    スウィスカーおよびセラミックス短繊維から選ばれる少
    なくとも 1種であることを特徴とする高摩擦部材。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の高摩擦部
    材において、 前記高摩擦部材は、高摩擦ローラであることを特徴とす
    る高摩擦部材。
  5. 【請求項5】 金属粉末単独または金属粉末と高耐摩耗
    性物質との混合体に有機バインダを混合し、この有機バ
    インダとの混合物を金属基材の表面に塗布または吹付け
    る工程と、 前記混合物の塗布層または吹付け層を焼成して、金属粉
    末の多孔質焼結層または金属粉末と高耐摩耗性物質との
    複合多孔質焼結層を形成する工程とを具備することを特
    徴とする高摩擦部材の製造方法。
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