JPH0742562B2 - 連続溶融金属めっき用ロール及びそれを用いた装置 - Google Patents

連続溶融金属めっき用ロール及びそれを用いた装置

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JPH0742562B2
JPH0742562B2 JP1214086A JP21408689A JPH0742562B2 JP H0742562 B2 JPH0742562 B2 JP H0742562B2 JP 1214086 A JP1214086 A JP 1214086A JP 21408689 A JP21408689 A JP 21408689A JP H0742562 B2 JPH0742562 B2 JP H0742562B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、連続溶融金属めっき用ロール、該ロールを用
いた連続溶融金属めっき装置及び該ロールの製造方法に
係り、特に溶融金属によるロールの浸食と、ロール軸及
び軸受間の摺動面による磨耗に対して優れた性能を有す
る、前記連続溶融金属めっき用ロール等に関する。
〔従来の技術及び問題点〕
従来、ロール軸及び軸受に用いられる材料は金属が一般
的であり、溶融金属めっき浴中で使用されるロールにつ
いても例外ではなかった。したがって、連続溶融金属め
っき用ロールの軸や軸受には耐食性に優れたステンレス
鋼や高クロム鋼などが肉盛溶接やスリーブの形で用いら
れてきた。
しかしこれらの材料も、長時間使用すると、溶融金属の
浸食作用とロール軸と軸受との間の摺動による磨耗とに
より損傷し、ロール軸と軸受との間にがたが生ずる。
例えば、従来の金属材料を用いたロール軸受及び軸は磨
耗損傷が大きいため、アルミニウム溶融めっき浴中で4
日、亜鉛溶融めっき浴中では7日ほど連続使用すると、
ロール軸及び軸受の磨耗によりロール軸と軸受の間のが
たが大きくなって振動が起こり、均一なめっき鋼板(ス
トリップ)が得られなくなる。したがって、上記期間の
うちに一旦めっき作業を中止して、ロール及び軸受を交
換しなければならなかった。このため生産性は低下し、
ライン停止により不良鋼板が増加する、交換費用等がコ
スト高の原因になる等の問題点があった。
上記の諸問題に対処し、防食や耐磨耗性の向上をはかる
ために種々の手段が講じられてきた。(例えば特開昭62
−205254号公報、特開昭62−205255号公報参照)。
また、セラミックスの桁違いに大きい耐食性や耐磨耗性
を利用して、連続溶融金属めっき用ロールの軸受摺動面
をセラミックス化することも知られている。例えば特開
昭60−208626号公報及び特開昭61−92320号公報に高
温、腐食などの特殊環境で使用するコロ軸受において、
内外輪と転動体の表面をセラミックスで形成することが
記載されている。
しかしながら、これら先行技術には、セラミックスをど
のようにして被覆するか、或いはどのようなセラミック
スを選択使用するか又その理由、適用製品の規格・寸
法、適用の評価結果、等については記載されておらず、
セラミックスを用いたロール軸受をどのようにして製造
するのか、具体的にはどのようなものであるかというこ
とについて何ら明らかにされていなかった。
またたセラミックスを用いた例である特開昭60−208626
号公報及び特開昭62−92320号公報に記載されたコロ軸
受は、部品点数が多く、更にコロ軸受であるため、各部
品の寸法精度に対する要求が厳しく、非常にコスト高と
なるという欠点を有している。
更に、被覆によりセラミックスを表面につける方法によ
り製造したものは、セラミックスの厚みに限界がある。
セラミックスといえども数ミクロンや数十ミクロンの磨
耗は容易に生じ、前記厚みの限界を越えて磨耗するの
で、ロール及び軸受の耐用期間を大幅に伸ばし交換頻度
を著しく減らすことも期待できない。
本発明の発明者らは、本発明に先立ち、ロール軸受にセ
ラミックスを用いたすべり軸受を開発した(特願昭63−
145754号)。該軸受の開発によりロール軸受の磨耗は激
減したが、ロール軸の磨耗は解決されなかったため、ダ
ウンタイムを短縮させることはできなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、ロール軸及び軸受の摺動面にセラミッ
クスを用いることにより、上記従来技術における問題点
を解消し、ロール軸及び軸受の耐食性・耐磨耗性を向上
させ、ロール軸及び軸受の長寿命化を図り、ダウンタイ
ムの削減による生産性の向上、めっき不良鋼板の低減、
ロール交換費用の削減などにより、製品のトータルコス
トを低減することのできる連続溶融金属めっき用ロール
及びそれを用いた装置及び前記ロールの製造方法を提供
することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、溶融金属中で軸受に支持されて回転するロー
ルにおいて、軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方が溶
融金属と濡れるセラミックスで構成されていることを特
徴とする連続溶融金属めっき用ロールであり、前記溶融
金属と濡れるセラミックスとは、具体的には例えば、溶
融金属との接触角が90度以下であるセラミックス、また
は開気孔を有する多孔質セラミックス、所望の大きさ及
び深さの複数個の孔を穿けたセラミックス、所望の大き
さ及び深さの複数の溝を切ったセラミックスである。そ
して本発明の実施に当たっての好ましい態様として、前
記孔あるいは溝中に溶融金属を含浸させたのちに前記ロ
ールを使用するものである。
また本発明は、溶融金属めっき浴中に1本のシンクロー
ルと少なくとも1本のサポートロールを有するめっき装
置において、請求項1〜8のいずれか記載の連続溶融金
属めっき用ロールをシンクロールとして用いることを特
徴とする連続溶融金属めっき装置であり、さらに溶融金
属めっき浴中に1本のシンクロールと少なくとも1本の
サポートロールを有するめっき装置において、請求項1
〜8のいずれか記載の連続溶融金属めっき用ロールをサ
ポートロールとして用いることを特徴とする連続溶融金
属めっき装置である。
そして本発明は、溶融金属中で軸受に支持されて回転す
るロールにおいて、軸及び軸受の摺動面のすくなくとも
一方を緻密質セラミックスで構成し、該緻密質セラミッ
クスにレーザービームを用いて、所望の大きさ及び深さ
の複数個の孔を穿けることを特徴とする、連続溶融金属
めっき用ロールの製造方法であり、また前記緻密質セラ
ミックスに放電電極を用いて、所望の大きさ及び深さの
複数個の孔を穿けることを特徴とする、連続溶融金属め
っき用ロールの製造方法である。
また本発明は、溶融金属中で軸受に支持されて回転する
ロールにおいて、軸及び軸受の少なくとも一方を緻密質
セラミックスで構成し、該緻密質セラミックスにレーザ
ービームを用いて、所望の大きさ及び深さの溝を切るこ
とを特徴とする、連続溶融金属めっき用ロールの製造方
法であり、さらには前記緻密質セラミックスに放電電極
を用いて、所望の大きさ及び深さの溝を切ることを特徴
とする、連続溶融金属めっき用ロールの製造方法であ
り、上記のような加工を行ったのち、加工面を研削する
ことを特徴とする、連続溶融金属めっき用ロールの製造
方法である。
そしてまた、本発明は、上記本発明の方法により製造し
たロールに、減圧雰囲気中で溶融金属を含浸させること
を特徴とする連続溶融金属めっき用ロールの製造方法で
ある。
前述した本発明の主たる目的、すなわち、軸及び軸受の
長寿命化を達成するための好ましい構成としては、たと
えば、金属製ロール軸にリング状のセラミックスを嵌合
し、更に金属製軸受シェルに備えられるリング状のセラ
ミックス摺動部材をロール軸に対して平行に装置したす
べり軸受よりなる構成を挙げることができる。
以下に、本発明の添付図面に基づいてさらに詳細に説明
する。
第1図に示すものは、連続溶融金属めっきシステムの概
要である。
スナウト1を経て供給させるストリップ2はめっき槽3
の中でシンクロール4により方向を変えられ、サポート
ロール5によりストリップの動きが安定させられる。更
にめっき浴6から引き出されたストリップはワイピング
7によりめっき厚みが調整させるようになっている。
連続溶融金属めっき浴中で使用されるサポートロール及
びシンクロール軸8及び軸受9は、溶融金属により潤滑
されるので、軸受はすべり軸受が最も普及したものとな
っている。
一般にこれらのロールは長時間運転されるので、ロール
軸や軸受は溶融金属による浸食とストリップに与えれた
張力とにより、摺動摩擦が起きる。浸食や摩擦が進む
と、ロール軸と軸受間のがたが大きくなり、ストリップ
走行中に振動がでて、安定した作業ができなくなる。し
たがってロール軸及び軸受間のがたを防止することは、
連続的にめっき作業を行うための重要な課題である。
摺動部材であるセラミックスは溶融金属中で耐食性に優
れ、また高温での耐磨耗性に優れた材質を選ぶ必要があ
る。更に大型のリングを作るための成形性や焼結性にも
優れていなければならない。
先ず耐食性について考察すると、溶融金属による浸食に
おいては一般に融液がセラミックスを濡らす度合いが浸
食速度に影響し、濡れ難い材料は耐食性が大きいものと
考えられている。
一方耐磨耗性について考察すると、摺動面における摩擦
係数が大きく影響する。摩擦係数に及ぼす因子は種々あ
るが潤滑効果は見逃せない因子である。一般に融液中で
の摺動は融液潤滑摩擦と見做されているが、融液と濡れ
難い材料を両方の摺動部材として用いると、乾式摩擦と
同一現象が起こり、摩擦係数は大きく、また磨耗も激し
い。
以上の考察から、耐食性を若干犠牲にしても、ある程度
融液に濡れるセラミックスを少なくとも一方の摺動部材
には用いることが望ましい。又、融液に濡れ難いセラミ
ックス同士を用いる場合には、融液潤滑がなされるよう
に溶融金属を摺動面に引き入れ、保持するような構造で
ある必要がある。
前者にたいしては、金属の種類やめっき条件により、融
液とセラミックスとの接触角が異なるので、接触角の小
さい材料の中から適切なものを選ぶ必要がある。また後
者に対しては、摺動面に融液が保持されるような多孔質
セラミックスを用いる、または後加工によりセラミック
ス表面に孔や溝を設けることで解決される。
またセラミックスはリング状にして軸または軸受に装着
してもよいし、あるいはブロック状にして装着してもよ
く、更には円周方向及び軸方向に分割して装着すること
も可能である。
ロール軸及び軸受の摺動部材としてはAl2O3,BeO,ZrO2,M
gO,CaO,Cr2O3,3Al2O3・2SiO3,MgO・SiO3,2MgO・2Al2O3,
5SiO2などの酸化物、SiC,B4C,TiC,WC,VC,ZrCなどの炭化
物、Si3N4,AlN,TiN,ZrNなどの窒化物、BN,ZrB2,TiB2
どの硼化物、更にはSiaionなどの酸窒化物やSi3N4−Si
c,Si3N4−BN,Sialon−Sicなどに代表される複合セラミ
ックスなど多くのセラミックス材料が考えられ、いずれ
のセラミックスも鉄系の金属材料に比較して溶融金属中
での耐食性や融液潤滑の期待できる摩擦条件下での耐磨
耗性に優れている。
しかしながら前記セラミックスを無作為に選んでも融液
潤滑が得られず潤滑下と同様の対磨耗性は期待できな
い。一般にめっきする金属としては、AlやZnが用いられ
るので、これらの融液中で融液潤滑がなされるような材
料と材料の組み合わせを選ぶ必要がある。この融液潤滑
は溶融金属とセラミックスとの濡れ具合、すなわち溶融
金属とセラミックスとの接触角の大きさが大きく影響す
る。この接触角はセラミックスの種類により異なってい
る。
例えば、700℃のZn及び1000℃のAl溶湯とアルミナ(Al2
O3),ジルコニア(ZrO2),ベリリア(BeO),窒化硼
素(BN),炭化ケイ素(SiC),窒化ケイ素(Si3N4),
サイアロン(Si5.5Al0.50.57.5)セラミックス間の
接触角をアルゴン雰囲気中で測定したところ、700℃のZ
nとの接触角はいずれのセラミックスにおいても180度に
近く、700℃のZnと前記したセラミックスではほとんど
濡れず、また、浸食深さも2μm以下と浅く、ほとんど
反応していないことがわかった。従って、Zn浴中でこれ
らのセラミックスを用いた場合の融液潤滑は期待できな
いということがわかる。
これに対し、1000℃のAlと前記セラミックスとの接触角
は最大がBNの158度、最小はSiCの34度で、セラミックス
の種類によって大幅に変化する。また、浸食深さは接触
角の大きいものほど小さく、接触角が小さくなると浸食
深さは深くなる。
第2図は1000℃のAlと前記セラミックスとの濡れ状態を
示す図である。縦軸に接触角、横軸に浸食深さをプロッ
トしてある。この図からセラミックスの種類、接触角、
浸食深さがほぼ1本の線に乗っていることがわかる。
このことから、BN,Si3N4,Si5.5Al0.5−O0.57.5の接
触角は90度よりかなり大きく、また浸食深さは浅くて、
これらのセラミックスとAlとの濡れは少ないが、Al2O3,
ZnO2,BeOの酸化物やSiCの炭化物は90度以下の接触角で
浸食量も大きく、Alと濡れていることがわかる。以上の
点から、具体的にはたとえば、Al2O3,ZnO2,BeOの酸化物
やSiCの炭化物などのような酸化物や炭化物系のセラミ
ックスを用いることがより好ましい態様となる。
また濡れは溶融金属の種類や温度のほかに、セラミック
スの表面の粗さや不純物及び密度などにも影響される。
セラミックスの表面に開気孔や溝などを有するのは、そ
れらを有さないものに比べ濡れが大きい。
開気孔の面積率は潤滑性に影響し、5%以上を必要とす
るが、あまり面積率が高くなると強度が低下する。本発
明において実験的にわかった面積率の許容範囲は、30%
以下である。
また、孔の直径や深さ及び中心間の距離、更には孔の占
める面積率は磨耗や強度に影響を及ぼすが、本発明者ら
の実験による検討から、直径が20μm以下になると減圧
下でもAlを含浸させることが困難であり、また500μm
以上になると運転中に欠けが生ずることがわかった。さ
らに孔の深さが浅すぎると溶湯を保持することができ
ず、最も浅い場合でも直径の2分の1、すなわち半径以
上、が必要であることがわかった。そして孔と孔の間隔
が近いと、応力の干渉により孔が欠けやすく、孔の中心
間の距離は少なくとも直径の2.5倍は必要であることも
わかった。孔の占める面積率についても開気鉱の場合と
同様であることがわかった。
さらに溝の場合、幅は20〜500μm、深さは溝の幅の2
分の1以上、中心間距離は溝の幅の2.5倍以上、溝の占
める面積率は5〜30%とすることが最も長寿命となるこ
とが孔の場合と同様に確認できた。
次に、種々のセラミックスの溶融金属浴中での摺動磨耗
性能を実験により調べた。
実験は、溶融Al中で円盤を回転させ、該円盤の側面に試
験片を押し付ける摺動磨耗試験法により行った。
回転円盤の材質としては接触角の大きいSi3N4を選ん
だ。試験片としては、Si3N4,Sialon,Al2O3,BeO,反応焼
結Si3N4(RBSN)及び反応焼結SiC(RBSC)を用いた。
実験条件は以下の通りである。
回転円盤の寸法:直径100mm,厚さ5mm 試験片の寸法 :縦・横30mm,厚さ5mm 面 圧:10kg/cm2 摺 動 速 度:100m/min. 試 験 時 間:5h. 試 験 温 度:1000℃ 以上の試験結果をまとめて第3図に示す。
この結果から、Si3N4やSialonのように濡れ難いセラミ
ックス同士の摺動磨耗試験においては、セラミックスと
いえども磨耗が激しいことがわかる。
それに対し、Al2O3のように接触角が90度より小さいも
のになると溶融Alに濡れ、融液潤滑が期待できるように
なり磨耗は減少する。
更にBeOやSiCではAl2O3の半分以下まで磨耗が減少す
る。
また、1000℃のAl溶湯中で、開気孔を有するRBSNやRBSC
材にAlを含浸させたものでは潤滑効果が顕著に現れ、磨
耗は更に少なくなっている。
〔作 用〕
本発明の連続溶融金属めっき用ロールは、軸及び軸受の
摺動面の少なくとも一方が、溶融金属との接触角が90度
以下であって溶融金属と濡れるセラミックス、または開
気孔を有する多孔質セラミック、あるいは所望の大きさ
及び深さの孔を穿けた緻密質セラミックス、もしくは所
望の大きさ及び深さの溝を切った緻密質セラミックスで
構成されているから、溶融金属と濡れるセラミックスの
特性として溶融金属とよく濡れ、あるいは、前記開気
孔、孔、溝の中に溶融金属が入り込むすなわち摺動面に
溶融金属が引き入れられ、保持されるので、融液潤滑が
期待できるようになり、潤滑効果が顕著になって磨耗が
減少する。
更に本発明のロールの製造方法においては、前記孔、溝
をレーザービームもしくは放電電極を用いて加工するも
のであるから、前記孔、溝の大きさ、深さ、形状等を任
意に、精密に加工することができ、所望の大きさ及び深
さの孔、溝を選択することにより、融液潤滑をさらに確
実なものとすることができる。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例について詳述する。
〈実施例1〉 第1図に示したようなシンクロールのロール軸8の摺動
面に、第4図に示すようにセラミックスリング10を装着
し、軸受9の摺動面には、第5図に示すようにセラミッ
クスブロック11を装着したものである。
○シンクロールの構成 胴部の直径:422mm,長さ:1160mm, 軸の直径 :130mm,長さ:160mm, 材 質:Ni−Cr−Mo鋼,ブリネルかたさで320に調質
したもの リング10に用いるセラミックスは、サイアロンを選択す
る。化学式は、Si6-zAl Oz N8-zで表され、zは0〜4.2
の間で任意のものが製造可能であり、βサイアロンと呼
ばれているものである。
本実施例では、z=0.5の組成のサイアロン粉を用い、
少量のバインダーを添加したのち、メタノール中で湿式
混練し、スプレードライ法により造粒する。次いで冷間
静水圧プレスを用いて1500kg/cm2の圧力で成形する。
成形体を仮焼成したのち、本焼成による寸法変化と仕上
げ加工代を勘案し、旋盤により所定の寸法に加工する。
本焼成は1750℃とし、窒素ガス中で行う。
仕上げ加工後の寸法は、外径150mm,内径130.6mm,長さ18
0mmである。本ロールは650℃のAlめっき浴中でテスト使
用されるので、650℃でロール軸にリングが固定され、
しかもリングに割れの発生しないような寸法を設定した
ものである。
次に第5図に示したような軸受を製作する。
使用するセラミックスとしてBeOを選択し、該セラミッ
クスにより幅50mm,厚さ20mm,長さ180mmに加工したブロ
ック11を、第1図においてストリップ2とシンクロール
4によって作られるベクトル方向及び該方向とほぼ90度
ずつ離れた前後2ケ所に装着する。
セラミックスブロック装着後、粒度5000番のダイアモン
ド砥石を用いて摺動面をロール軸の摺動面の曲率半径よ
り0.5mm大きくなるように研削加工する。
本実施例によるシンクロールを650℃のAl浴中で連続め
っき作業に使用した結果、従来の鋼ロール軸及び軸受の
磨耗による寿命が4日間であったのに対し、本実施例の
ものは1ケ月連続使用しても異常な磨耗は見れず、均一
なめっき作業を行うことができた。
〈実施例2〉 軸受の摺動面にRBSN材を用いたロールである。
RBSNは粒径0.8μmのSi粉末に少量のバインダーを添加
したのち、メタノール中で湿式混練し、スプレードライ
法により造粒する。
次いで冷間静水圧プレスを用いて1500kg/cm2の圧力で成
形し、窒素ガス中で仮焼成を行ったのち所定の寸法に加
工する。この際、RBSNは本焼成時にほとんど寸法変化し
ないので仕上げ加工代のみ残したニアネットシェーブと
した。
本焼成は1380℃、窒素ガス中で行う。
焼結体を研削加工により、幅50mm,厚さ20mm,長さ180mm
に仕上げ、摺動面は円弧状に加工仕上げする。
このようにして作ったセラミックスブロックには、50〜
100μmの大きさ、面積率約17%の開気孔が存在してい
る。
これらのブロックを650℃のAl浴槽に入れ、10Torr.に減
圧しながら開気孔にAlを含浸させる。
上記のように形成したセラミックスブロックを軸受の摺
動面に実施例1と同様に装着し、シンクロールを構成す
る。
本実施例のシンクロールを650℃のAl浴中で連続めっき
作業に使用した結果、従来の鋼ロール軸及び軸受の磨耗
による寿命が4日間であったのに対し、本実施例のもの
は2ケ月間連続使用しても異常な磨耗は見られず、均一
なめっき作業を行うことができた。
〈実施例3〉 軸受の摺動面に装着するセラミックスブロックを緻密質
サイアロンにより製作し、該サイアロンに直径150μm,
深さ1000μm,中心間距離500μmの孔をレーザービーム
を用いて穿けたのち、粒度5000番のダイアモンド砥石を
用いて、表面を直径で約10μm研削加工する。
次いでブロックを650℃のAl浴槽に入れ、10Torr.に減圧
して孔にAlを含浸させる。
上記のセラミックスブロックを、シンクロールの軸受に
実施例1の場合と同様に装着する。
本実施例によるシンクロールを650℃のAl浴中で連続め
っき作業に使用した結果、従来の鋼ロール軸及び軸受に
比較して15倍以上の連続運転に耐えうることがわかっ
た。
〈実施例4〉 軸受の摺動面に装着するセラミックスブロックを緻密質
サイアロンにより製作し、該サイアロンに細い溝を切っ
たものである。
サイアロンに40%の窒化チタン(TiN)を混合し、導電
性を持ったセラミックスを得る。該セラミックスブロッ
クの摺動面に、放電電極を用いて、幅150μm、深さ800
μm、中心間の距離が500μmの溝を螺旋状に切る。
次いで粒度5000番のダイアモンド砥石を用いて表面を直
径で約10μm研削加工する。
Alの含浸、ブロックの軸受への装着は実施例3と同様で
ある。
本実施例によるシンクロールを実施例3と同様のやり方
で使用した結果は、孔を穿けた場合と変わるものではな
かった。
なお、実施例3の場合においても導電性セラミックスを
用いれば、放電加工により孔を穿けることができ、その
場合における性能の変化は認められないし、実施例4の
場合において、レーザービームを用いて加工しても全く
同じ性能のものを得ることができる。
〔発明の効果〕 以上述べたように、本発明の連続溶融金属めっき用ロー
ルは、溶融金属中で軸受に支持されて回転するロールに
おいて、軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方が溶融金
属との接触角が90度以下であって溶融金属と濡れるセラ
ミックス、もしくは開気孔を有するセラミックス、もし
くは所望の大きさ及び深さの複数の孔を穿けた緻密質の
セラミックス、もしくは溝を切ったセラミックス、で構
成されており、さらに本発明においてはロール軸及び軸
受を減圧雰囲気下で溶融金属を含浸させ、溶融金属を含
浸させたのちに使用するものであるから、前記ロールは
溶融金属めっき浴中で溶融金属とよく濡れた状態で、あ
るいは融液潤滑される状態で使用され、ロール軸または
軸受の磨耗を飛躍的に低減させ、軸または軸受を長寿命
化して長時間の連続使用に耐えさせ得る、という大きな
効果を呈する。
また本発明は、溶融金属めっき浴中に1本のシンクロー
ルと少なくとも1本のサポートロールを有するめっき装
置において、前記シンクロールもしくはサポートロール
として上記本発明の連続溶融金属めっき用ロールを使用
した連続溶融金属めっき装置であり、本発明の連続溶融
金属めっき用ロールは上記したように長寿命であり、長
時間の連続使用に耐えるものであるから、装置における
ロール軸及び軸受の組替え頻度を著しく減少することが
でき、装置を長時間連続運転させることができることと
あいまって、めっき作業も長時間連続して行うことがで
きることから、生産性を顕著に向上させ、めっき不良ス
トリップを激減させるという卓越した効果を有する。
更にコスト高の一因であったロールの交換費用を減らす
ことができるという高い経済効果をも期待できるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の連続溶融金属めっき装置に関する部分
概略説明図、第2図は種々のセラミックスの、アルミ溶
湯との濡れ性能の試験結果を示す線図、第3図は各種セ
ラミックスの摺動磨耗試験結果を示す棒グラフ、第4図
はロール軸へのセラミックスリングの装着状況を示す断
面図、第5図は軸受へのセラミックスブロックの装着状
況を示す断面図である。 1:スナウト,2:ストリップ,3めっき槽, 4:シンクロール,5:サポートロール, 6:めっき浴,7:ワイピングノズル, 8:ロール軸,9:ロール軸受, 10:セラミックスリング, 11:セラミックスブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 可児 保宣 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 大河内 敬彦 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会社 日立製作所勝田工場内 (72)発明者 酒井 淳次 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 平1−316443(JP,A) 実公 昭52−8738(JP,Y2)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融金属中で軸受に支持されて回転するロ
    ールにおいて、軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方が
    溶融金属との接触角が90度以下であるセラミックスで構
    成されていることを特徴とする連続溶融金属めっき用ロ
    ール。
  2. 【請求項2】前記セラミックスが酸化物、または炭化物
    系のセラミックスであることを特徴とする、請求項1記
    載の連続溶融金属めっき用ロール。
  3. 【請求項3】溶融金属中で軸受に支持されて回転するロ
    ールにおいて、軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方が
    開気孔を有する多孔質セラミックスで構成されているこ
    とを特徴とする連続溶融金属めっき用ロール。
  4. 【請求項4】セラミックスの開気孔の面積率が5〜30%
    であることを特徴とする、請求項3記載の連続溶融金属
    めっき用ロール。
  5. 【請求項5】溶融金属中で軸受に支持されて回転するロ
    ールにおいて、軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方
    が、所望の大きさ及び深さの複数個の孔を穿けた緻密質
    のセラミックスで構成されていることを特徴とする連続
    溶融金属めっき用ロール。
  6. 【請求項6】孔の大きさは、直径が20〜500μm、深さ
    が直径の2分の1より深く、孔の中心間距離が直径の2.
    5倍以上、孔の占める面積率が5〜30%であることを特
    徴とする、請求項5記載の連続溶融金属めっき用ロー
    ル。
  7. 【請求項7】溶融金属中で軸受に支持されて回転するロ
    ールにおいて、軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方が
    溝を切ったセラミックスで構成されていることを特徴と
    する連続溶融金属めっき用ロール。
  8. 【請求項8】溝の大きさは、幅が20〜500μm、深さが
    溝の幅の2分の1より深く、溝の中心間距離が溝の幅の
    2.5倍以上、溝の占める面積率が5〜30%であることを
    特徴とする、請求項7記載の連続溶融金属めっき用ロー
    ル。
  9. 【請求項9】連続溶融金属めっき用ロールの軸及び軸受
    の摺動面の孔もしくは溝に、溶融金属が含浸されている
    ことを特徴とする、請求項3乃至8のいずれか記載の連
    続溶融金属めっき用ロール。
  10. 【請求項10】溶融金属めっき浴中に1本のシンクロー
    ルと少なくとも1本のサポートロールを有するめっき装
    置において、前記シンクロールとして請求項1乃至8の
    いずれか記載のロールを用いることを特徴とする、連続
    溶融金属めっき装置。
  11. 【請求項11】溶融金属めっき浴中に1本のシンクロー
    ルと少なくとも1本のサポートロールを有するめっき装
    置において、前記サポートロールとして請求項1乃至8
    のいずれか記載のロールを用いることを特徴とする、連
    続溶融金属めっき装置。
  12. 【請求項12】溶融金属中で軸受に支持されて回転する
    ロールの軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方を緻密質
    セラミックスで構成し、該緻密質セラミックスに、レー
    ザービームを用いて所望の大きさ及び深さの孔を穿ける
    ことを特徴とする、連続溶融金属めっき用ロールの製造
    方法。
  13. 【請求項13】溶融金属中で軸受に支持されて回転する
    ロールの軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方を緻密質
    セラミックスで構成し、該緻密質セラミックスに、放電
    電極を用いて所望の大きさ及び深さの孔を穿けることを
    特徴とする、連続溶融金属めっき用ロールの製造方法。
  14. 【請求項14】溶融金属中で軸受に支持されて回転する
    ロールの軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方を緻密質
    セラミックスで構成し、該緻密質セラミックスに、レー
    ザービームを用いて所望の大きさ及び深さの溝を加工す
    ることを特徴とする、連続溶融金属めっき用ロールの製
    造方法。
  15. 【請求項15】溶融金属中で軸受に支持されて回転する
    ロールの軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方を緻密質
    セラミックスで構成し、該緻密質セラミックスに、放電
    電極を用いて所望の大きさ及び深さの溝を加工すること
    を特徴とする、連続溶融金属めっき用ロールの製造方
    法。
  16. 【請求項16】溶融金属中で軸受に支持されて回転する
    ロールの軸及び軸受の摺動面の少なくとも一方を緻密質
    セラミックスで構成し、該緻密質セラミックスに請求項
    11乃至15のいずれか記載の加工を行った後、加工面を研
    削することを特徴とする、連続溶融金属めっき用ロール
    の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項11乃至16のいずれか記載の方法に
    より製造した連続溶融金属めっき用ロールの軸及び軸受
    を、減圧雰囲気中で、溶融金属に含浸させることを特徴
    とする、連続溶融金属めっき用ロールの製造方法。
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