JPH08269723A - めっき層を有する樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents
めっき層を有する樹脂成形品及びその製造方法Info
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- JPH08269723A JPH08269723A JP6831895A JP6831895A JPH08269723A JP H08269723 A JPH08269723 A JP H08269723A JP 6831895 A JP6831895 A JP 6831895A JP 6831895 A JP6831895 A JP 6831895A JP H08269723 A JPH08269723 A JP H08269723A
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- filler
- pipe body
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Abstract
(57)【要約】
【目的】成形品の物性の低下を招くことなく、めっき層
の基材に対する密着強度の向上を図ることのできる樹脂
成形品及びその製造方法を提供する。 【構成】フューエルフィラーパイプ1は、パイプ本体2
及びその外側面の無電解めっき層3Aと電気めっき層3
Bとからなるめっき層3を備える。パイプ本体2は、高
密度ポリエチレンを主材として、マイカ等の充填材11
が混入されている。パイプ本体2から突出した充填材1
1はエッチング時に溶けず、これらが無電解めっき層3
A形成の起点となり、当該無電解めっき層3Aの成長が
促進される。そして、形成された無電解めっき層3A
は、エッチングにより形成された微細な凹凸のアンカー
効果に加えて、エッチングにより表層の不活性部分の除
去された充填材11との間で、一種化学的な結合をす
る。このため、充填材11を介してのパイプ本体2及び
無電解めっき層3A間の強力な接合力が確保される。
の基材に対する密着強度の向上を図ることのできる樹脂
成形品及びその製造方法を提供する。 【構成】フューエルフィラーパイプ1は、パイプ本体2
及びその外側面の無電解めっき層3Aと電気めっき層3
Bとからなるめっき層3を備える。パイプ本体2は、高
密度ポリエチレンを主材として、マイカ等の充填材11
が混入されている。パイプ本体2から突出した充填材1
1はエッチング時に溶けず、これらが無電解めっき層3
A形成の起点となり、当該無電解めっき層3Aの成長が
促進される。そして、形成された無電解めっき層3A
は、エッチングにより形成された微細な凹凸のアンカー
効果に加えて、エッチングにより表層の不活性部分の除
去された充填材11との間で、一種化学的な結合をす
る。このため、充填材11を介してのパイプ本体2及び
無電解めっき層3A間の強力な接合力が確保される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、めっき層を有する樹脂
成形品に係り、詳しくは、高密度ポリエチレン等の如
く、比較的低極性の樹脂素材にめっきの施されてなる樹
脂成形品及びその製造方法に関するものである。
成形品に係り、詳しくは、高密度ポリエチレン等の如
く、比較的低極性の樹脂素材にめっきの施されてなる樹
脂成形品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば車両の燃料給油口と燃
料タンクとの間を連結する手段として、フューエルフィ
ラーパイプが使用されている。このパイプは、通常、鉄
等の金属を主材とするものである。しかし、金属製のフ
ューエルフィラーパイプは、その名のとおり金属により
構成されているため、パイプ自体の重量の増大を招く。
殊に近年では、自動車用部品の軽量化が要求されてお
り、上記の如く素材として金属を採用することは時代の
要請に逆行するものであった。
料タンクとの間を連結する手段として、フューエルフィ
ラーパイプが使用されている。このパイプは、通常、鉄
等の金属を主材とするものである。しかし、金属製のフ
ューエルフィラーパイプは、その名のとおり金属により
構成されているため、パイプ自体の重量の増大を招く。
殊に近年では、自動車用部品の軽量化が要求されてお
り、上記の如く素材として金属を採用することは時代の
要請に逆行するものであった。
【0003】これに対し、高密度ポリエチレン(HDP
E)等の樹脂によりフューエルフィラーパイプを構成
し、軽量化を図ることも考えられる。ところで、このパ
イプの内部には、ガソリン等の燃料が通過するため、当
該パイプには、十分なガスバリヤ性が要求される。つま
り、ガスバリヤ性において所定の基準を満たしていない
とガソリン等が外部に透過してしまうおそれがあり、昨
今では、その基準及び種々の環境規制が厳格なものとな
ってきている。このため、このようなHDPE製の基材
表面にめっきを施し、形成されためっき層により、ガソ
リンの透過を抑制することが考えられる。
E)等の樹脂によりフューエルフィラーパイプを構成
し、軽量化を図ることも考えられる。ところで、このパ
イプの内部には、ガソリン等の燃料が通過するため、当
該パイプには、十分なガスバリヤ性が要求される。つま
り、ガスバリヤ性において所定の基準を満たしていない
とガソリン等が外部に透過してしまうおそれがあり、昨
今では、その基準及び種々の環境規制が厳格なものとな
ってきている。このため、このようなHDPE製の基材
表面にめっきを施し、形成されためっき層により、ガソ
リンの透過を抑制することが考えられる。
【0004】ところが、HDPE等は比較的低極性であ
るため、たとえエッチングを施したとしても、めっき層
が形成されないか、或いは形成されたとしても、めっき
層の基材に対する化学的な吸着力が弱く、めっき層の密
着強度が著しく低いものとなってしまっていた。
るため、たとえエッチングを施したとしても、めっき層
が形成されないか、或いは形成されたとしても、めっき
層の基材に対する化学的な吸着力が弱く、めっき層の密
着強度が著しく低いものとなってしまっていた。
【0005】一方、かかる不具合を解消するための技術
として、HDPE等の基材中に炭酸カルシウム(以下、
「炭カル」という)よりなる粒状の充填材を混入させる
技術が考えられる。この技術では、エッチング工程に際
し、強酸によって基材表面に露出した炭カルが溶解さ
れ、当該溶解部分には、たこつぼ状の穴が形成される。
そして、この穴がめっき層の成長に際しての起点とな
り、めっき層の成長が促進される。そして、形成された
めっき層は、当該穴のアンカー効果により基材に対する
接合が図られる。
として、HDPE等の基材中に炭酸カルシウム(以下、
「炭カル」という)よりなる粒状の充填材を混入させる
技術が考えられる。この技術では、エッチング工程に際
し、強酸によって基材表面に露出した炭カルが溶解さ
れ、当該溶解部分には、たこつぼ状の穴が形成される。
そして、この穴がめっき層の成長に際しての起点とな
り、めっき層の成長が促進される。そして、形成された
めっき層は、当該穴のアンカー効果により基材に対する
接合が図られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記技
術では、充填材として炭カルが設けられていたため、以
下に示すような不具合の発生するおそれがあった。すな
わち、まず、炭カル自身は、単なる増量材に過ぎず、H
DPE等に対する補強効果を有していなかった。このた
め、添加量の増大に伴って、機械的強度等の製品の物性
が著しく低下することとなっていた。
術では、充填材として炭カルが設けられていたため、以
下に示すような不具合の発生するおそれがあった。すな
わち、まず、炭カル自身は、単なる増量材に過ぎず、H
DPE等に対する補強効果を有していなかった。このた
め、添加量の増大に伴って、機械的強度等の製品の物性
が著しく低下することとなっていた。
【0007】また、上記技術では、エッチング時に形成
された穴のアンカー効果によりめっき層の基材に対する
接合力を確保する、いわゆる単なる物理的吸着に依存す
るものであったため、適用製品によっては、めっき層の
密着強度は必ずしも充分なものとはいえなかった。
された穴のアンカー効果によりめっき層の基材に対する
接合力を確保する、いわゆる単なる物理的吸着に依存す
るものであったため、適用製品によっては、めっき層の
密着強度は必ずしも充分なものとはいえなかった。
【0008】さらに、上記技術では、エッチング液に炭
カルが溶出するため、エッチング液組成の変化が大きい
ものとなり、当該液の管理が煩雑なものとなっていた。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであ
って、その目的は、めっき層を有する樹脂成形品におい
て、成形品の物性の低下を招くことなく、めっき層の基
材に対する密着強度の向上を図ることのできる樹脂成形
品及びその製造方法を提供することにある。
カルが溶出するため、エッチング液組成の変化が大きい
ものとなり、当該液の管理が煩雑なものとなっていた。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであ
って、その目的は、めっき層を有する樹脂成形品におい
て、成形品の物性の低下を招くことなく、めっき層の基
材に対する密着強度の向上を図ることのできる樹脂成形
品及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明においては、少なくとも補強
機能を有する充填材の混入されてなる低極性の熱可塑性
樹脂材料によって所定形状に成形され、かつ、その表面
が酸でエッチングされてなる基材と、前記基材表面に設
けられためっき層とを備えためっき層を有する樹脂成形
品において、前記充填材は酸に不溶性で、かつ、前記基
材表面上にその一部が露出した状態で存在していること
をその要旨としている。
め、請求項1に記載の発明においては、少なくとも補強
機能を有する充填材の混入されてなる低極性の熱可塑性
樹脂材料によって所定形状に成形され、かつ、その表面
が酸でエッチングされてなる基材と、前記基材表面に設
けられためっき層とを備えためっき層を有する樹脂成形
品において、前記充填材は酸に不溶性で、かつ、前記基
材表面上にその一部が露出した状態で存在していること
をその要旨としている。
【0010】また、請求項2に記載の発明においては、
請求項1に記載のめっき層を有する樹脂成形品におい
て、前記充填材は、板状又は鱗片状をなしていることを
その要旨としている。
請求項1に記載のめっき層を有する樹脂成形品におい
て、前記充填材は、板状又は鱗片状をなしていることを
その要旨としている。
【0011】さらに、請求項3に記載の発明において
は、請求項1又は2に記載のめっき層を有する樹脂成形
品において、前記充填材は、タルク及びマイカのうち少
なくとも一方により構成されていることをその要旨とし
ている。
は、請求項1又は2に記載のめっき層を有する樹脂成形
品において、前記充填材は、タルク及びマイカのうち少
なくとも一方により構成されていることをその要旨とし
ている。
【0012】併せて、請求項4に記載の発明において
は、請求項1乃至3に記載のめっき層を有する樹脂成形
品において、前記熱可塑性樹脂材料は、高密度ポリエチ
レンであることをその要旨としている。
は、請求項1乃至3に記載のめっき層を有する樹脂成形
品において、前記熱可塑性樹脂材料は、高密度ポリエチ
レンであることをその要旨としている。
【0013】加えて、請求項5に記載の発明において
は、少なくとも補強機能を有し、酸に不溶性の充填材の
混入されてなる低極性の熱可塑性樹脂材料を所定形状に
成形して基材を得る工程と、前記基材の表面を酸でエッ
チングすることで、前記充填材の一部を前記基材の表面
に露出させる工程と、前記エッチングされた前記基材の
表面にめっきを施す工程とを備えためっき層を有する樹
脂成形品の製造方法をその要旨としている。
は、少なくとも補強機能を有し、酸に不溶性の充填材の
混入されてなる低極性の熱可塑性樹脂材料を所定形状に
成形して基材を得る工程と、前記基材の表面を酸でエッ
チングすることで、前記充填材の一部を前記基材の表面
に露出させる工程と、前記エッチングされた前記基材の
表面にめっきを施す工程とを備えためっき層を有する樹
脂成形品の製造方法をその要旨としている。
【0014】
【作用】上記請求項1に記載の発明によれば、充填材の
混入されてなる低極性の熱可塑性樹脂材料によって所定
形状に成形された基材の表面が酸でエッチングされる。
このとき、酸によって、基材表面に微細な凹凸が形成さ
れるが、基材の表面に一部露出した充填材は溶解されな
い。そして、その表面にめっき層が形成されるのである
が、この際、上記微細な凹凸がめっき層形成の起点とな
り、めっき層の成長が促進される。そして、形成された
めっき層は、当該凹部のアンカー効果により基材に対す
る接合力の向上が図られる。
混入されてなる低極性の熱可塑性樹脂材料によって所定
形状に成形された基材の表面が酸でエッチングされる。
このとき、酸によって、基材表面に微細な凹凸が形成さ
れるが、基材の表面に一部露出した充填材は溶解されな
い。そして、その表面にめっき層が形成されるのである
が、この際、上記微細な凹凸がめっき層形成の起点とな
り、めっき層の成長が促進される。そして、形成された
めっき層は、当該凹部のアンカー効果により基材に対す
る接合力の向上が図られる。
【0015】また、形成されためっき層は、表面に露出
し、かつ、エッチングにより表層の不活性部分の除去さ
れた充填材との間で、一種化学的な結合をするものと推
察される。このため、上記アンカー効果に加えて、充填
材を介しての基材及びめっき層間に強固な接合力が確保
されることとなる。
し、かつ、エッチングにより表層の不活性部分の除去さ
れた充填材との間で、一種化学的な結合をするものと推
察される。このため、上記アンカー効果に加えて、充填
材を介しての基材及びめっき層間に強固な接合力が確保
されることとなる。
【0016】さらに、充填材は少なくとも補強機能を有
しているので、該充填材の混入により、基材の物性が著
しく低下するのが抑制されうる。併せて、本発明では、
エッチング液中に充填材が溶解することがないため、エ
ッチング液組成に変化がほとんど起こらない。
しているので、該充填材の混入により、基材の物性が著
しく低下するのが抑制されうる。併せて、本発明では、
エッチング液中に充填材が溶解することがないため、エ
ッチング液組成に変化がほとんど起こらない。
【0017】また、請求項2に記載の発明によれば、上
記請求項1に記載の発明の作用に加えて、充填材は、板
状又は鱗片状をなしているため、充填材の混入重量に対
する、充填材が基材を構成する樹脂素材及びめっき層に
接触する面積の向上が図られうる。このため、充填材の
混入量が少なくても、めっき層の密着力が充分確保され
ることなり、樹脂成形品の機械的物性の低下が回避され
うる。
記請求項1に記載の発明の作用に加えて、充填材は、板
状又は鱗片状をなしているため、充填材の混入重量に対
する、充填材が基材を構成する樹脂素材及びめっき層に
接触する面積の向上が図られうる。このため、充填材の
混入量が少なくても、めっき層の密着力が充分確保され
ることなり、樹脂成形品の機械的物性の低下が回避され
うる。
【0018】さらに、請求項3に記載の発明によれば、
請求項1又は2に記載の発明の作用に加えて、前記充填
材は、タルク及びマイカのうち少なくとも一方により構
成されているため、上記作用が一層確実なものとなる。
請求項1又は2に記載の発明の作用に加えて、前記充填
材は、タルク及びマイカのうち少なくとも一方により構
成されているため、上記作用が一層確実なものとなる。
【0019】併せて、請求項4に記載の発明によれば、
請求項1乃至3に記載の発明の作用に加えて、前記熱可
塑性樹脂材料は、高密度ポリエチレンであるため、自身
の凝集力が比較的高く、充填材は、この高密度ポリエチ
レンにより強固に保持されうる。このため、めっき層の
さらなる密着力の向上が図られうる。
請求項1乃至3に記載の発明の作用に加えて、前記熱可
塑性樹脂材料は、高密度ポリエチレンであるため、自身
の凝集力が比較的高く、充填材は、この高密度ポリエチ
レンにより強固に保持されうる。このため、めっき層の
さらなる密着力の向上が図られうる。
【0020】加えて、請求項5に記載の発明によれば、
少なくとも補強機能を有し、酸に不溶性の充填材の混入
されてなる低極性の熱可塑性樹脂材料が所定形状に成形
され、基材が得られる。次に、基材の表面が酸でエッチ
ングされ、このエッチングにより、基材の表面に微細な
凹凸が形成されるとともに、充填材の一部が基材表面に
確実に露出されることとなる。そして、前記エッチング
された基材の表面にめっきが施される。このような製造
方法によれば、上記請求項1に記載の作用を奏する樹脂
成形品が得られる。
少なくとも補強機能を有し、酸に不溶性の充填材の混入
されてなる低極性の熱可塑性樹脂材料が所定形状に成形
され、基材が得られる。次に、基材の表面が酸でエッチ
ングされ、このエッチングにより、基材の表面に微細な
凹凸が形成されるとともに、充填材の一部が基材表面に
確実に露出されることとなる。そして、前記エッチング
された基材の表面にめっきが施される。このような製造
方法によれば、上記請求項1に記載の作用を奏する樹脂
成形品が得られる。
【0021】
【実施例】以下、本発明のめっき層を有する樹脂成形品
をフューエルフィラーパイプに具体化した一実施例を図
面に基づいて説明する。
をフューエルフィラーパイプに具体化した一実施例を図
面に基づいて説明する。
【0022】図2は、本実施例における樹脂成形品とし
てのフューエルフィラーパイプ1を示す斜視図であり、
図3はその一部の断面図であり、図4はさらにその一部
を拡大して示す模式的断面図である。フューエルフィラ
ーパイプ1は、車両の燃料給油口と燃料タンクとの間を
連結するためのものである。フューエルフィラーパイプ
1は、基材としてのパイプ本体2及びパイプ本体2の外
側面に設けられてなるめっき層3を備えている。
てのフューエルフィラーパイプ1を示す斜視図であり、
図3はその一部の断面図であり、図4はさらにその一部
を拡大して示す模式的断面図である。フューエルフィラ
ーパイプ1は、車両の燃料給油口と燃料タンクとの間を
連結するためのものである。フューエルフィラーパイプ
1は、基材としてのパイプ本体2及びパイプ本体2の外
側面に設けられてなるめっき層3を備えている。
【0023】パイプ本体2は、高密度ポリエチレン(H
DPE)を主材として、例えば公知のブロー成形法によ
り成形されている。また、パイプ本体2は、主として給
油口から導入されたガソリンを燃料タンクに導くための
筒状の本体部4と、燃料タンク上部に連通され、給油時
にタンク内のエア抜きを行うためのリターン部5とから
なっている。また、図4に示すように、前記めっき層3
は、無電解めっき層3Aと電気めっき層3Bとからなっ
ている。無電解めっき層3Aはニッケルにより、厚さ
「0.3〜1μm」程度に形成されている。また、電気
めっき層3Bは、厚さ「20〜30μm」程度に形成さ
れ、ニッケルよりなるストライクめっき層と、銅めっき
層と、半光沢ニッケルめっき層と、光沢ニッケルめっき
層と、クロムめっき層と(いずれも図示せず)により形
成されている。
DPE)を主材として、例えば公知のブロー成形法によ
り成形されている。また、パイプ本体2は、主として給
油口から導入されたガソリンを燃料タンクに導くための
筒状の本体部4と、燃料タンク上部に連通され、給油時
にタンク内のエア抜きを行うためのリターン部5とから
なっている。また、図4に示すように、前記めっき層3
は、無電解めっき層3Aと電気めっき層3Bとからなっ
ている。無電解めっき層3Aはニッケルにより、厚さ
「0.3〜1μm」程度に形成されている。また、電気
めっき層3Bは、厚さ「20〜30μm」程度に形成さ
れ、ニッケルよりなるストライクめっき層と、銅めっき
層と、半光沢ニッケルめっき層と、光沢ニッケルめっき
層と、クロムめっき層と(いずれも図示せず)により形
成されている。
【0024】前記本体部4の給油口側には、金属製のリ
テーナ6が設けられている。さらに、本体部4の中央部
には、フューエルフィラーパイプ1を車両本体に対し取
付けるためのフランジ7が一体形成されている。
テーナ6が設けられている。さらに、本体部4の中央部
には、フューエルフィラーパイプ1を車両本体に対し取
付けるためのフランジ7が一体形成されている。
【0025】なお、前記本体部4の燃料タンク側には、
ゴム製のホース8A,8Bがクランプ9A,9Bにより
締付けられ、燃料タンクへの取付を容易ならしめるよう
になっている。
ゴム製のホース8A,8Bがクランプ9A,9Bにより
締付けられ、燃料タンクへの取付を容易ならしめるよう
になっている。
【0026】さて、本実施例では、図1に示すように、
上記パイプ本体2を構成するHDPE中には、平板状の
タルク又は鱗片状のマイカよりなる充填材11が所定量
(本実施例では例えば5重量%以上)混入されている。
上記パイプ本体2を構成するHDPE中には、平板状の
タルク又は鱗片状のマイカよりなる充填材11が所定量
(本実施例では例えば5重量%以上)混入されている。
【0027】次に、上記のフューエルフィラーパイプ1
を製造するための製造方法について説明する。まず、公
知のブロー成形法により、上記パイプ本体2を成形す
る。このとき、HDPE中には、上記充填材11が混入
される。
を製造するための製造方法について説明する。まず、公
知のブロー成形法により、上記パイプ本体2を成形す
る。このとき、HDPE中には、上記充填材11が混入
される。
【0028】次に、前記パイプ本体2をプラコン工程に
供する。すなわち、硫酸80g/l、プラコン10g/
lを含有してなる60℃水溶液中に125秒間前記パイ
プ本体2を浸漬させる。すると、パイプ本体2表面の脂
肪分が除去(脱脂)され、それまで付着していた異物が
取り除かれる。
供する。すなわち、硫酸80g/l、プラコン10g/
lを含有してなる60℃水溶液中に125秒間前記パイ
プ本体2を浸漬させる。すると、パイプ本体2表面の脂
肪分が除去(脱脂)され、それまで付着していた異物が
取り除かれる。
【0029】続いて、プラコン工程を経たパイプ本体2
をエッチング工程に供する。すなわち、硫酸380g/
l、六価クロム420g/l、三価クロム40g/lを
含有してなる65℃水溶液中に604秒間、前記パイプ
本体2を浸漬させる。この処理を経ることにより、図5
に示すように、パイプ本体2の表面はエッチングされ、
表面に微細な凹部が多数形成される。但し、このとき、
表面に露出した充填材11は、上記酸によって溶解され
ることがなく、依然として露出したままとなる。また、
このエッチングにより、充填材11の表層の不活性部分
(例えば酸化膜のようなもの)が除去されることとな
り、充填材11そのものが露出する恰好となる。
をエッチング工程に供する。すなわち、硫酸380g/
l、六価クロム420g/l、三価クロム40g/lを
含有してなる65℃水溶液中に604秒間、前記パイプ
本体2を浸漬させる。この処理を経ることにより、図5
に示すように、パイプ本体2の表面はエッチングされ、
表面に微細な凹部が多数形成される。但し、このとき、
表面に露出した充填材11は、上記酸によって溶解され
ることがなく、依然として露出したままとなる。また、
このエッチングにより、充填材11の表層の不活性部分
(例えば酸化膜のようなもの)が除去されることとな
り、充填材11そのものが露出する恰好となる。
【0030】次に、上記エッチング工程を経たパイプ本
体2を中和工程に供する。すなわち、塩酸60m/l、
CR−200(クロム廃液処理剤)8ml、硫酸ヒドラ
ジン2g/lを含有してなる水溶液中に室温で60秒
間、前記パイプ本体2を浸漬させる。すると、パイプ本
体2の表面に付着した酸が中和される。
体2を中和工程に供する。すなわち、塩酸60m/l、
CR−200(クロム廃液処理剤)8ml、硫酸ヒドラ
ジン2g/lを含有してなる水溶液中に室温で60秒
間、前記パイプ本体2を浸漬させる。すると、パイプ本
体2の表面に付着した酸が中和される。
【0031】続いて、上記中和工程を経たパイプ本体2
を触媒付与工程に供する。本実施例における触媒付与工
程は、キャタリスト工程及びアクセレータ工程よりな
る。すなわち、キャタリスト工程においては、中和工程
を経たパイプ本体2を硫酸180ml/l、キャタリス
ト−C(触媒付与剤)30ml/lを含有してなる34
℃水溶液中に215秒間浸漬させる。すると、パイプ本
体2の表面、特に、エッチングにより凹部の形成された
箇所及び充填材11の露出(突出)した部分には、パラ
ジウム・錫(Pd・Sn)錯化合物が吸着される。
を触媒付与工程に供する。本実施例における触媒付与工
程は、キャタリスト工程及びアクセレータ工程よりな
る。すなわち、キャタリスト工程においては、中和工程
を経たパイプ本体2を硫酸180ml/l、キャタリス
ト−C(触媒付与剤)30ml/lを含有してなる34
℃水溶液中に215秒間浸漬させる。すると、パイプ本
体2の表面、特に、エッチングにより凹部の形成された
箇所及び充填材11の露出(突出)した部分には、パラ
ジウム・錫(Pd・Sn)錯化合物が吸着される。
【0032】さらに、アクセレータ工程においては、そ
のパイプ本体2を硫酸100ml/l、硫酸ヒドラジン
2g/l、アクセレータX(活性化促進剤)0.5g/
lを含有してなる45℃水溶液中に208秒間浸漬させ
る。すると、Pd・Sn錯化合物のうちの錫が除去さ
れ、パラジウムが金属化され、触媒核が形成される。
のパイプ本体2を硫酸100ml/l、硫酸ヒドラジン
2g/l、アクセレータX(活性化促進剤)0.5g/
lを含有してなる45℃水溶液中に208秒間浸漬させ
る。すると、Pd・Sn錯化合物のうちの錫が除去さ
れ、パラジウムが金属化され、触媒核が形成される。
【0033】次に、上記の触媒付与工程を経たパイプ本
体2を無電解めっき(無電解ニッケルめっき)工程に供
する。すなわち、パイプ本体2を金属ニッケル6g/
l、次亜リン酸ナトリウム18g/l、亜リン酸ナトリ
ウム60g/l、硫酸ニッケル30g/lを含有してな
る33℃水溶液中に553秒間浸漬させる。すると、ニ
ッケルよりなる無電解めっき層3Aが形成される。
体2を無電解めっき(無電解ニッケルめっき)工程に供
する。すなわち、パイプ本体2を金属ニッケル6g/
l、次亜リン酸ナトリウム18g/l、亜リン酸ナトリ
ウム60g/l、硫酸ニッケル30g/lを含有してな
る33℃水溶液中に553秒間浸漬させる。すると、ニ
ッケルよりなる無電解めっき層3Aが形成される。
【0034】この無電解めっき層3Aが形成されるに際
し、上記微細な凹凸及び突出した充填材11が無電解め
っき層3A形成の起点となり、当該無電解めっき層3A
の成長が促進される。そして、形成された無電解めっき
層3Aは、当該凹部のアンカー効果によりパイプ本体2
に対し強固に接合されうる。また、形成された無電解め
っき層3Aは、表面に突出し、かつ、エッチングにより
表層の不活性部分の除去された充填材11との間で、一
種化学的な結合をするものと推察される。このため、上
記アンカー効果に加えて、充填材11を介してのパイプ
本体2及び無電解めっき層3A間の強力な接合力が確保
されることとなる。
し、上記微細な凹凸及び突出した充填材11が無電解め
っき層3A形成の起点となり、当該無電解めっき層3A
の成長が促進される。そして、形成された無電解めっき
層3Aは、当該凹部のアンカー効果によりパイプ本体2
に対し強固に接合されうる。また、形成された無電解め
っき層3Aは、表面に突出し、かつ、エッチングにより
表層の不活性部分の除去された充填材11との間で、一
種化学的な結合をするものと推察される。このため、上
記アンカー効果に加えて、充填材11を介してのパイプ
本体2及び無電解めっき層3A間の強力な接合力が確保
されることとなる。
【0035】その後、無電解めっき工程を経たパイプ本
体2を電気めっき工程に供する。ここで、上記電気めっ
き層3Bを構成する各金属めっきを形成する際の各種め
っき溶液について説明する。まず、電気めっき層の最下
層をなすストライクめっき層を形成する際のめっき溶液
は、硫酸ニッケル250g/l、塩化ニッケル30g/
l及び硼酸30g/lを含有している。また、銅めっき
層を形成する際のめっき溶液は、硫酸銅200g/l、
硫酸50g/l、塩酸0.01g/l及び微量の光沢剤
を含有している。さらに、半光沢ニッケルめっき層を形
成する際のめっき溶液は、硫酸ニッケル280g/l、
塩化ニッケル45g/l、硼酸40g/l及び微量の光
沢剤を含有している。併せて、光沢ニッケルめっき層を
形成する際のめっき溶液は、硫酸ニッケル240g/
l、塩化ニッケル45g/l、硼酸30g/l並びに微
量の光沢剤及び添加剤を含有している。加えて、クロム
めっき層を形成する際のめっき溶液は、無水クロム酸2
50g/l、ケイフッ化ナトリウム10g/l、硫酸1
g/lを含有している。
体2を電気めっき工程に供する。ここで、上記電気めっ
き層3Bを構成する各金属めっきを形成する際の各種め
っき溶液について説明する。まず、電気めっき層の最下
層をなすストライクめっき層を形成する際のめっき溶液
は、硫酸ニッケル250g/l、塩化ニッケル30g/
l及び硼酸30g/lを含有している。また、銅めっき
層を形成する際のめっき溶液は、硫酸銅200g/l、
硫酸50g/l、塩酸0.01g/l及び微量の光沢剤
を含有している。さらに、半光沢ニッケルめっき層を形
成する際のめっき溶液は、硫酸ニッケル280g/l、
塩化ニッケル45g/l、硼酸40g/l及び微量の光
沢剤を含有している。併せて、光沢ニッケルめっき層を
形成する際のめっき溶液は、硫酸ニッケル240g/
l、塩化ニッケル45g/l、硼酸30g/l並びに微
量の光沢剤及び添加剤を含有している。加えて、クロム
めっき層を形成する際のめっき溶液は、無水クロム酸2
50g/l、ケイフッ化ナトリウム10g/l、硫酸1
g/lを含有している。
【0036】そして、これら各溶液に無電解めっき層3
Aの形成されたパイプ本体2を順次浸漬させるととも
に、それぞれの段階において所定時間電気的に導通させ
る。すると、下側から順にストライクめっき層、銅めっ
き層、半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層
及びクロムめっき層よりなる電気めっき層3Bが形成さ
れ、無電解めっき層3A及び電気めっき層3Bよりなる
めっき層3が形成される。その後、洗浄工程等を経た
後、結果として、パイプ本体2表面にめっき層3の形成
されてなるフューエルフィラーパイプ1が得られる。
Aの形成されたパイプ本体2を順次浸漬させるととも
に、それぞれの段階において所定時間電気的に導通させ
る。すると、下側から順にストライクめっき層、銅めっ
き層、半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層
及びクロムめっき層よりなる電気めっき層3Bが形成さ
れ、無電解めっき層3A及び電気めっき層3Bよりなる
めっき層3が形成される。その後、洗浄工程等を経た
後、結果として、パイプ本体2表面にめっき層3の形成
されてなるフューエルフィラーパイプ1が得られる。
【0037】以上のようにして製造されたフューエルフ
ィラーパイプ1によれば、その総重量は、HDPEを主
材としてなるパイプ本体2に依存する。このパイプ本体
2の比重は金属に比して著しく小さいものであるため、
全体としての重量は比較的小さくて済む。その結果、車
両全体として著しい軽量化を図ることができる。
ィラーパイプ1によれば、その総重量は、HDPEを主
材としてなるパイプ本体2に依存する。このパイプ本体
2の比重は金属に比して著しく小さいものであるため、
全体としての重量は比較的小さくて済む。その結果、車
両全体として著しい軽量化を図ることができる。
【0038】また、本体部4及びリータン部5のパイプ
本体2の外側面に設けられためっき層3により、パイプ
本体2の内部に存在しうるガソリン等の燃料が外部と確
実に遮蔽されうる。特に、本実施例では、無電解めっき
層3A上に電気めっき層3Bを形成するようにしたた
め、めっき層3全体が一層厚膜、かつ、稠密なものとな
り、強固なものとなる。従って、ガソリン等の燃料の透
過を確実に防止することができる。
本体2の外側面に設けられためっき層3により、パイプ
本体2の内部に存在しうるガソリン等の燃料が外部と確
実に遮蔽されうる。特に、本実施例では、無電解めっき
層3A上に電気めっき層3Bを形成するようにしたた
め、めっき層3全体が一層厚膜、かつ、稠密なものとな
り、強固なものとなる。従って、ガソリン等の燃料の透
過を確実に防止することができる。
【0039】さらに、本実施例では、HDPEという極
性の低い素材をパイプ本体2として採用したにもかかわ
らず、上述のめっき方法を採用することにより、確実に
めっき層3を形成することが可能である。すなわち、本
実施例においては、パイプ本体2の表面、特に、エッチ
ングにより凹部の形成された箇所及び充填材11の露出
(突出)した部分が無電解めっき層3A形成の起点とな
り、当該無電解めっき層3Aの成長が促進される。そし
て、形成された無電解めっき層3Aは、当該凹部のアン
カー効果によりパイプ本体2に対し強固に接合されう
る。また、形成された無電解めっき層3Aは、表面に突
出し、かつ、エッチングにより表層の不活性部分の除去
された充填材11との間で、一種化学的な結合をする。
このため、上記アンカー効果に加えて、充填材11を介
してのパイプ本体2及び無電解めっき層3A間の強力な
接合力が確保される。その結果、めっき層3のパイプ本
体2に対する密着強度の向上を図ることができる。
性の低い素材をパイプ本体2として採用したにもかかわ
らず、上述のめっき方法を採用することにより、確実に
めっき層3を形成することが可能である。すなわち、本
実施例においては、パイプ本体2の表面、特に、エッチ
ングにより凹部の形成された箇所及び充填材11の露出
(突出)した部分が無電解めっき層3A形成の起点とな
り、当該無電解めっき層3Aの成長が促進される。そし
て、形成された無電解めっき層3Aは、当該凹部のアン
カー効果によりパイプ本体2に対し強固に接合されう
る。また、形成された無電解めっき層3Aは、表面に突
出し、かつ、エッチングにより表層の不活性部分の除去
された充填材11との間で、一種化学的な結合をする。
このため、上記アンカー効果に加えて、充填材11を介
してのパイプ本体2及び無電解めっき層3A間の強力な
接合力が確保される。その結果、めっき層3のパイプ本
体2に対する密着強度の向上を図ることができる。
【0040】併せて、本実施例では、充填材11とし
て、少なくとも補強機能を有するタルク又はマイカを採
用したので、かかる充填材を混入したとしても、パイプ
本体2の物性が著しく低下するのが抑制されうる。
て、少なくとも補強機能を有するタルク又はマイカを採
用したので、かかる充填材を混入したとしても、パイプ
本体2の物性が著しく低下するのが抑制されうる。
【0041】加えて、上記充填材11は、板状又は鱗片
状をなしているため、充填材11の混入重量に対する、
充填材11がHDPE及び無電解めっき層3Aに接触す
る面積の向上が図られうる。このため、充填材11の混
入量が少なくても、無電解めっき層3Aの密着力が充分
確保されることなり、充填材11の混入量増大に伴う機
械的物性の低下を回避することができる。
状をなしているため、充填材11の混入重量に対する、
充填材11がHDPE及び無電解めっき層3Aに接触す
る面積の向上が図られうる。このため、充填材11の混
入量が少なくても、無電解めっき層3Aの密着力が充分
確保されることなり、充填材11の混入量増大に伴う機
械的物性の低下を回避することができる。
【0042】また、パイプ本体2を構成する熱可塑性樹
脂材料としてHDPEを採用するようにした。このHD
PEは自身の凝集力が比較的高く、充填材11は、この
HDPEにより強固に保持されうる。このため、無電解
めっき層3Aのさらなる密着力の向上が図られうる。
脂材料としてHDPEを採用するようにした。このHD
PEは自身の凝集力が比較的高く、充填材11は、この
HDPEにより強固に保持されうる。このため、無電解
めっき層3Aのさらなる密着力の向上が図られうる。
【0043】併せて、本実施例では、エッチング液中に
充填材11が溶解することがないため、エッチング液組
成に変化がほとんど起こらない。そのため、当該エッチ
ング液の管理が煩雑なものとなるのを確実に防止するこ
とができる。
充填材11が溶解することがないため、エッチング液組
成に変化がほとんど起こらない。そのため、当該エッチ
ング液の管理が煩雑なものとなるのを確実に防止するこ
とができる。
【0044】さらに、本実施例の付随的効果として、本
体部4の燃料給油口側は金属製のリテーナ6が設けられ
ており、めっき層3が前記リテーナ6に接触させられて
いる。しかも、パイプ本体2には、車両本体に対し取付
けるためのフランジ7が一体形成されているため、本体
部4の外側面に設けられためっき層3は、当該フランジ
7を介して車両本体に接触することとなる。このため、
リテーナ6、めっき層3間は電気的に導通されることと
なり、かつ、めっき層3、車両本体間も電気的に導通さ
れることとなる。従って、フューエルフィラーパイプ1
自体が帯電してしまうのを確実に防止することができ、
スパークの発生を確実に回避することができる。
体部4の燃料給油口側は金属製のリテーナ6が設けられ
ており、めっき層3が前記リテーナ6に接触させられて
いる。しかも、パイプ本体2には、車両本体に対し取付
けるためのフランジ7が一体形成されているため、本体
部4の外側面に設けられためっき層3は、当該フランジ
7を介して車両本体に接触することとなる。このため、
リテーナ6、めっき層3間は電気的に導通されることと
なり、かつ、めっき層3、車両本体間も電気的に導通さ
れることとなる。従って、フューエルフィラーパイプ1
自体が帯電してしまうのを確実に防止することができ、
スパークの発生を確実に回避することができる。
【0045】次に、上述しためっき層3(無電解めっき
層3A)の接合を強固なものとすることができるという
本実施例の主たる効果を確認するべく、以下に示すよう
な実験を行った。すなわち、充填材として種々の粒径を
有する炭酸カルシウム(炭カル)、タルク、マイカをH
DPE中に混入させ、上述の方法でめっき層を形成し
た。そのときの、密着強度を表1に示す。なお、表中、
粒径は平均粒径を示しており、添加量の単位は「重量
%」である。
層3A)の接合を強固なものとすることができるという
本実施例の主たる効果を確認するべく、以下に示すよう
な実験を行った。すなわち、充填材として種々の粒径を
有する炭酸カルシウム(炭カル)、タルク、マイカをH
DPE中に混入させ、上述の方法でめっき層を形成し
た。そのときの、密着強度を表1に示す。なお、表中、
粒径は平均粒径を示しており、添加量の単位は「重量
%」である。
【0046】また、密着強度は、JIS H8630に
従って、ピーリング幅「10mm」、ピーリング速度
「30mm/min」、ピーリング角度「90°」の条
件で測定した。
従って、ピーリング幅「10mm」、ピーリング速度
「30mm/min」、ピーリング角度「90°」の条
件で測定した。
【0047】
【表1】
【0048】上記表1に示すように、所定粒径の板状の
タルク又は鱗片状のマイカを所定量以上混入させた場合
には、従来技術と同等若しくはそれ以上の密着強度が得
られることが分かる。
タルク又は鱗片状のマイカを所定量以上混入させた場合
には、従来技術と同等若しくはそれ以上の密着強度が得
られることが分かる。
【0049】また、上記結果から、特に板状のタルクに
関しては平均粒径が「1.8μm」以上が好ましく、ま
た、混入量は「5重量%」以上が好ましいことがいえ
る。また、鱗片状のマイカに関しては、平均粒径が
「4.7μm」以上、「20μm」以下が好ましく、ま
た、混入量は「5重量%」以上が好ましいことがいえ
る。
関しては平均粒径が「1.8μm」以上が好ましく、ま
た、混入量は「5重量%」以上が好ましいことがいえ
る。また、鱗片状のマイカに関しては、平均粒径が
「4.7μm」以上、「20μm」以下が好ましく、ま
た、混入量は「5重量%」以上が好ましいことがいえ
る。
【0050】尚、本発明は上記各実施例に限定されず、
例えば次の如く構成してもよい。 (1)前記各実施例におけるフューエルフィラーパイプ
1の形状等は上記実施例のものに何ら限定されるもので
はない。従って、例えばリターン部5、リテーナ6、フ
ランジ7等を省略する構成としても差し支えない。ま
た、樹脂成形品としては、上述したフューエルフィラー
パイプ1に限定されるものではなく、その外の樹脂成形
品に具体化することもできる。
例えば次の如く構成してもよい。 (1)前記各実施例におけるフューエルフィラーパイプ
1の形状等は上記実施例のものに何ら限定されるもので
はない。従って、例えばリターン部5、リテーナ6、フ
ランジ7等を省略する構成としても差し支えない。ま
た、樹脂成形品としては、上述したフューエルフィラー
パイプ1に限定されるものではなく、その外の樹脂成形
品に具体化することもできる。
【0051】(2)前記各実施例では、ポリオレフィン
として、HDPEを主材として採用したが、その他のポ
リオレフィン、例えば通常のポリエチレン、低密度ポリ
エチレン、ポリプロピレン等、或いは、ポリエチレンテ
レフタレート等のポリエステル、又はその外の樹脂を主
材としても本発明の趣旨を逸脱するものではない。
として、HDPEを主材として採用したが、その他のポ
リオレフィン、例えば通常のポリエチレン、低密度ポリ
エチレン、ポリプロピレン等、或いは、ポリエチレンテ
レフタレート等のポリエステル、又はその外の樹脂を主
材としても本発明の趣旨を逸脱するものではない。
【0052】(3)前記各実施例では、パイプ本体2を
ブロー成形法により成形するようにしたが、通常の射出
成形等、いかなる方法により成形したものであってもよ
い。 (4)前記各実施例では、めっき層3を無電解めっき層
3A及び電気めっき層3Bにより構成するようにした
が、電気めっき層3Bを省略する構成としてもよい。す
なわち、無電解めっき層3Aだけでも十分にその機能を
発揮しうるものであれば、無電解めっき層3Aのみをも
ってめっき層3としてもよい。
ブロー成形法により成形するようにしたが、通常の射出
成形等、いかなる方法により成形したものであってもよ
い。 (4)前記各実施例では、めっき層3を無電解めっき層
3A及び電気めっき層3Bにより構成するようにした
が、電気めっき層3Bを省略する構成としてもよい。す
なわち、無電解めっき層3Aだけでも十分にその機能を
発揮しうるものであれば、無電解めっき層3Aのみをも
ってめっき層3としてもよい。
【0053】また、各めっき層及びめっき用溶液の組成
並びにめっきの厚さは上記実施例のものに何ら限定され
るものではない。従って、そのときどきの目的用途に応
じて組成等は変更しうるものである。
並びにめっきの厚さは上記実施例のものに何ら限定され
るものではない。従って、そのときどきの目的用途に応
じて組成等は変更しうるものである。
【0054】(5)前記各実施例では、パイプ本体2を
成形した後、プラコン工程に供するようにしたが、当該
工程を省略したとしても差し支えない。 (6)前記各実施例での各処理工程における処理温度、
処理時間、処理用薬品等は、上記実施例のものに限定さ
れるものではなく、そのときどきに応じて変更しうるも
のである。
成形した後、プラコン工程に供するようにしたが、当該
工程を省略したとしても差し支えない。 (6)前記各実施例での各処理工程における処理温度、
処理時間、処理用薬品等は、上記実施例のものに限定さ
れるものではなく、そのときどきに応じて変更しうるも
のである。
【0055】(7)前記各実施例では、触媒付与工程
は、キャタリスト工程及びアクセレータ工程よりなる方
法を採用したが、センシタイジング工程及びアクチベー
ション工程により触媒を付与するようにしてもよい。
は、キャタリスト工程及びアクセレータ工程よりなる方
法を採用したが、センシタイジング工程及びアクチベー
ション工程により触媒を付与するようにしてもよい。
【0056】(8)前記各実施例では、フランジ7を一
体形成するようにしたが、車両本体に取付可能な構成で
あれば、フランジ7の代わりに例えばリング等を採用し
てもよい。
体形成するようにしたが、車両本体に取付可能な構成で
あれば、フランジ7の代わりに例えばリング等を採用し
てもよい。
【0057】特許請求の範囲の各請求項に記載されない
ものであって、上記実施例から把握できる技術的思想に
ついて以下にその効果とともに記載する。 (a)請求項5に記載の樹脂成形品の製造方法であっ
て、前記充填材は、板状又は鱗片状をなしていることを
特徴とする。
ものであって、上記実施例から把握できる技術的思想に
ついて以下にその効果とともに記載する。 (a)請求項5に記載の樹脂成形品の製造方法であっ
て、前記充填材は、板状又は鱗片状をなしていることを
特徴とする。
【0058】(b)請求項5又は上記付記(a)に記載
の樹脂成形品の製造方法であって、前記充填材は、タル
ク及びマイカのうち少なくとも一方により構成されてい
ることを特徴とする。
の樹脂成形品の製造方法であって、前記充填材は、タル
ク及びマイカのうち少なくとも一方により構成されてい
ることを特徴とする。
【0059】(c)請求項5又は上記付記(a)若しく
は(b)に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記
熱可塑性樹脂材料は、高密度ポリエチレンであることを
特徴とする。
は(b)に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記
熱可塑性樹脂材料は、高密度ポリエチレンであることを
特徴とする。
【0060】(d)請求項1〜5又は上記付記(a)〜
(d)に記載の樹脂成形品又はその製造方法において、
前記充填材は、前記基材の重量に対し5重量%以上混入
されていることを特徴とする。かかる構成とすることに
より、めっき層の密着強度の向上をより一層確実ならし
めることができる。
(d)に記載の樹脂成形品又はその製造方法において、
前記充填材は、前記基材の重量に対し5重量%以上混入
されていることを特徴とする。かかる構成とすることに
より、めっき層の密着強度の向上をより一層確実ならし
めることができる。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のめっき層
を有する樹脂成形品及びその製造方法によれば、成形品
の物性の低下を招くことなく、めっき層の基材に対する
密着強度の向上を図ることができるという優れた効果を
奏する。
を有する樹脂成形品及びその製造方法によれば、成形品
の物性の低下を招くことなく、めっき層の基材に対する
密着強度の向上を図ることができるという優れた効果を
奏する。
【図1】フューエルフィラーパイプを模式的に示す拡大
断面図である。
断面図である。
【図2】フューエルフィラーパイプを示す斜視図であ
る。
る。
【図3】フューエルフィラーパイプを示す断面図であ
る。
る。
【図4】フューエルフィラーパイプの部分断面図であ
る。
る。
【図5】パイプ本体にエッチングを施した状態を示す断
面図である。
面図である。
【図6】パイプ本体に無電解めっき層を設けた状態を示
す断面図である。
す断面図である。
1…樹脂成形品としてのフューエルフィラーパイプ、2
…基材としてのパイプ本体、3…めっき層、11…充填
材。
…基材としてのパイプ本体、3…めっき層、11…充填
材。
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも補強機能を有する充填材(1
1)の混入されてなる低極性の熱可塑性樹脂材料によっ
て所定形状に成形され、かつ、その表面が酸でエッチン
グされてなる基材(2)と、 前記基材(2)表面に設けられためっき層(3)とを備
えためっき層を有する樹脂成形品において、 前記充填材(11)は酸に不溶性で、かつ、前記基材
(2)表面上にその一部が露出した状態で存在している
ことを特徴とするめっき層を有する樹脂成形品。 - 【請求項2】 請求項1に記載のめっき層を有する樹脂
成形品において、 前記充填材(11)は、板状又は鱗片状をなしているこ
とを特徴とするめっき層を有する樹脂成形品。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のめっき層を有す
る樹脂成形品において、 前記充填材(11)は、タルク及びマイカのうち少なく
とも一方により構成されていることを特徴とするめっき
層を有する樹脂成形品。 - 【請求項4】 請求項1乃至3に記載のめっき層を有す
る樹脂成形品において、 前記熱可塑性樹脂材料は、高密度ポリエチレンであるこ
とを特徴とするめっき層を有する樹脂成形品。 - 【請求項5】 少なくとも補強機能を有し、酸に不溶性
の充填材(11)の混入されてなる低極性の熱可塑性樹
脂材料を所定形状に成形して基材(2)を得る工程と、 前記基材(2)の表面を酸でエッチングすることで、前
記充填材(11)の一部を前記基材(2)の表面に露出
させる工程と、 前記エッチングされた前記基材(2)の表面にめっきを
施す工程とを備えたことを特徴とするめっき層を有する
樹脂成形品の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6831895A JPH08269723A (ja) | 1995-03-27 | 1995-03-27 | めっき層を有する樹脂成形品及びその製造方法 |
US08/531,696 US5803131A (en) | 1994-09-26 | 1995-09-21 | Fuel filler pipe |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6831895A JPH08269723A (ja) | 1995-03-27 | 1995-03-27 | めっき層を有する樹脂成形品及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08269723A true JPH08269723A (ja) | 1996-10-15 |
Family
ID=13370360
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6831895A Pending JPH08269723A (ja) | 1994-09-26 | 1995-03-27 | めっき層を有する樹脂成形品及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08269723A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7434599B2 (en) | 2005-03-22 | 2008-10-14 | Tokai Rubber Industries, Ltd. | Hose and method of producing the same |
US7820279B2 (en) | 2003-07-23 | 2010-10-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Resin substrate having a resin-metal composite layer and method for manufacturing thereof |
JP2021183724A (ja) * | 2017-09-28 | 2021-12-02 | エスアールジー グローバル リリア ソシエダッド リミターダ | ポリマー材料をコーティング前に媒染するための製剤 |
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1995
- 1995-03-27 JP JP6831895A patent/JPH08269723A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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