JPH08267268A - 溶接検査方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接部の金属表面の焼けの有無に関わりなく
未溶接の判断を適正に行なう。 【構成】 検査対象部品１の溶接部２に向けて切削方向
に対して垂直な方向と切削方向に沿った方向から斜め方
向に光を照射する第１と第２の照明手段３ａ、３ｂと、
溶接部２を撮像するテレビカメラ４と、テレビカメラ４
で撮像した二次元画像をＡ／Ｄ変換し、部分領域の濃度
平均を計算する画像処理部５とを備え、第１と第２の照
明手段３ａ、３ｂを切り換えて溶接部２を撮像し、撮像
した二次元画像中における溶接線上の位置と溶接線以外
の位置の部分領域の濃度平均を求めてそれらの差の大小
によって未溶接箇所を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のギヤトランス
ミッションなどの金属製切削部品において溶接が正しく
なされているかどうか、特に切削方向に沿って溶接され
た部品の溶接検査を自動的に行なうための溶接検査方法
及び装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の溶接検査装置の一例について、図
７を参照しながら説明する。１１は溶接された円筒形の
金属部品から成る検査対象部品で、円周方向に切削され
ており、同じく円周方向に溶接部１２を有している。こ
の溶接部１２の検査時には、照明手段１３から部品１１
の切削方向に沿って光が当てられ、画像がテレビカメラ
１４によって撮像され、撮像された画像が画像処理部１
５にて処理され、溶接部１２における未溶接箇所の検査
が行なわれる。

【０００３】次に、画像処理部１５における画像処理と
溶接検査方法を具体的に説明する。

【０００４】検査対象部品１１の撮像画を示す図５にお
いて、９は溶接線上に設定された部分領域（以下、ウィ
ンドウと呼ぶ）、１０は溶接線外に設定されたウィンド
ウであり、これらのウィンドウ９、１０のそれぞれの濃
度平均を計算する。図６に比較のために未溶接の部品の
撮像画を示す。

【０００５】表面が平坦な金属部品に照明手段１３から
光を当てた場合には、図１０に示すように、鏡面反射に
よって入射角度θと同一の反射角度θで反射する。その
ため、図１１に示すように、照明手段１３から切削方向
に沿って斜めに光を当てた場合、その反射光は正反射の
方向１８と物体表面上で切削方向に対して垂直な直線１
９を含む平面上に扇形に広がって分布するため、上方に
配置されたテレビカメラ１４には反射光が入射しない。
一方、溶接された部分においては表面の凹凸が多く、乱
反射するために反射光は上方にも広がり、上方に配置さ
れたテレビカメラ１４に反射光が入射する。したがっ
て、溶接された部分は上方から光って見えるが、その他
の切削処理のままの部分は、切削方向に沿った照明では
殆ど光らない。

【０００６】そのため図５に示した溶接品の場合、ウィ
ンドウ９の濃度平均は大きく、ウィンドウ１０の濃度平
均は小さい。一方、図６に示した未溶接品の場合、ウィ
ンドウ９、１０は共に濃度平均が小さくなる。かくし
て、画像処理部１５でウィンドウ９、１０の濃度平均計
算を行い、両ウィンドウ９、１０の濃度平均の差が大き
ければ溶接、小さければ未溶接と判断している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶接は
加熱によって行なわれるため、酸化によって金属表面が
焼けて黒くなることがあり、その場合溶接部に光を当て
ても光らないために、未溶接との判断がつけられない場
合があるという問題があった。

【０００８】本発明は、上記従来の問題点に鑑み、溶接
部の金属表面の焼けの有無に関わりなく、未溶接の判断
を適正に行なうことができる溶接検査方法及び装置を提
供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の溶接検査方法
は、検査対象部品の溶接部に向けて切削方向に対して垂
直な方向と切削方向に沿った方向から斜め方向に光を照
射してそれぞれ溶接部を撮像し、撮像した二次元画像中
における溶接線上の位置と溶接線以外の位置の部分領域
の濃度平均を求めてそれらの差の大小によって未溶接箇
所を判定することを特徴とする。

【００１０】また、本発明の溶接検査装置は、検査対象
部品の溶接部に向けて切削方向に対して垂直な方向と切
削方向に沿った方向から斜め方向に光を照射する第１と
第２の照明手段と、溶接部を撮像するテレビカメラと、
テレビカメラで撮像した二次元画像をＡ／Ｄ変換し、部
分領域の濃度平均を計算する画像処理部とを備えたこと
を特徴とする。

【００１１】

【作用】本発明によれば、検査対象部品の溶接部に向け
て切削方向に対して垂直な方向から斜め方向に光を照射
すると、切削面では切削方向に垂直な面内に沿って光が
乱反射して上方から光って見え、焼けのない溶接部では
全方向に乱反射するので若干暗くなるが光って見えるの
に対して、焼けのある溶接部では黒くて反射されないの
で光らず、一方検査対象品の溶接部に向けて切削方向に
沿った方向から斜め方向に光を照射すると、焼けのない
溶接部では全方向に乱反射するので若干暗くなるが上方
から光って見えるのに対して、切削面では正反射するの
で上方では光って見えず、焼けのある溶接部でも黒くて
反射されない。かくして、検査対象品の溶接部に向けて
切削方向に沿った方向から斜め方向に光を照射したとき
に溶接部が光って見えた場合は溶接と判断でき、溶接部
が暗かった場合は切削方向に対して垂直な方向から斜め
方向に光を照射したときに溶接部が暗かったら溶接と判
断でき、光っていると未溶接と判断することができる。
従って、照明を切り換えて２枚の画像を撮像し、それぞ
れの濃度平均の比較判定結果を組み合わせることによ
り、溶接部に焼けが発生している場合も、発生していな
い場合も溶接部の検査を確実に行なえる。

【００１２】また、本発明の溶接検査装置によれば、上
記検査方法を適切に実施することができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例の溶接検査装置につ
いて、図１〜図６を参照して説明する。

【００１４】図１において、１は溶接された円筒形の金
属部品から成る検査対象部品で、円周方向に切削されて
おり、同じく円周方向に溶接部２を有している。この溶
接部２に検査時に照明光を照射する第１と第２の照明手
段３ａ、３ｂが配設されている。第１の照明手段３ａは
部品１の切削方向に対して垂直な方向から斜めに光を照
射し、第２の照明手段３ｂは部品１の切削方向に沿った
方向から斜めに光を照射するように配設されるととも
に、検査時に交互に切り換えて照明するように構成され
ている。４はテレビカメラで、照明手段３ａ、３ｂによ
る照明を切り換えて溶接部２を上方から撮像する。照明
を切り換えて撮像された２枚の画像が画像処理部５にて
処理され、溶接部２における未溶接箇所の検査が行なわ
れる。

【００１５】画像処理部５は、図２に示すように構成さ
れ、撮像された画像がＡ／Ｄ変換部６でＡ／Ｄ変換さ
れ、画像記憶部（以下、フレームメモリと呼ぶ）７に格
納される。そして、中央演算処理部（以下、ＣＰＵと呼
ぶ）８にて、画像上に適宜設定された部分領域の濃度平
均を計算したり、数値の演算、大小比較判定などを行
い、未溶接箇所の判定を行なう。

【００１６】次に、画像処理と溶接検査方法を具体的に
説明する。

【００１７】表面に凹凸がある金属部品に凹凸のある方
向に沿って照明手段３ａから光を当てた場合には、図８
に示すように光が乱反射する。したがって、図９に示す
ように、照明手段３ａから切削方向に対して垂直方向に
沿って斜めに光を照射すると、照射された光は光の照射
方向に沿いかつ部品１の表面に垂直な平面に沿って乱反
射し、その他の角度に散乱することはない。

【００１８】かくして、照明手段３ａから照明光を照射
してテレビカメラ４にて撮像すると、溶接部品の場合に
は図３に示すように、また未溶接部品の場合には図４に
示すように、それぞれ部品１からの反射光が帯状に分布
した画像が得られる。この帯状の分布を光沢部と呼ぶ。
また、帯の太さは照明手段３ａの発光部の大きさに比例
する。

【００１９】溶接部品１においては、図３に示すよう
に、溶接された溶接線上の部分では照明光が全方向に乱
反射するために、光沢部において溶接線上では若干暗く
なって光り、それ以外の切削部では明るく光るために多
少明るさに差を生じ、溶接部２に焼けが発生していて黒
くなっている場合には照明光が溶接部２で殆ど反射しな
いので大きな差を生じる。

【００２０】一方、未溶接部品においては、図４に示す
ように、光沢部のパターンが溶接線によって乱れること
はなく、反射光は溶接線上とそれ以外の部分で明るさに
大きな差を生じない。

【００２１】そこで、図３、図４に示すように、光沢部
において溶接線上とそれ以外の部分に対応する位置にそ
れぞれ濃度平均計算用のウィンドウ９、１０を設定し、
それぞれの領域内の濃度平均を取り、さらに各ウィンド
ウ９、１０がそれぞれ複数あれば、全ウィンドウにわた
る平均を用いて濃度平均を取ることによって溶接部と切
削部の明るさの差を検出する。このように、切削方向に
対して垂直方向から照明光を照射して撮像したときに
は、溶接部２に焼けがない場合、表面の凹凸は不規則な
ので溶接部２以外の部分との濃淡差は生じてもその濃淡
差は少ないが、焼けがある場合は溶接部２が光らないの
で濃淡差が大きくなる。この検査工程では、溶接部が酸
化によって黒くなっている場合に的確に検査できる。

【００２２】次に、照明手段３ｂから切削方向に沿った
方向から照明光を照射してテレビカメラ４にて撮像する
と、溶接部２に焼けのない溶接部品の場合には図５に示
すような画像が、また未溶接部品の場合には図６に示す
ような画像がそれぞれ得られる。従来例で説明したよう
に、図５に示した溶接品の場合はウィンドウ９の濃度平
均が大きく、ウィンドウ１０の濃度平均は小さい。一
方、図６に示した未溶接品の場合、ウィンドウ９、１０
は共に濃度平均が小さくなる。そこで画像処理部５でウ
ィンドウ９、１０の濃度平均計算を行い、両ウィンドウ
９、１０の濃度平均の差が大きければ溶接、小さければ
未溶接又は溶接部２に焼けがあると判断する。この検査
工程では溶接部２に焼けのない場合に的確に検査でき
る。

【００２３】かくして、第２の照明手段３ｂにて切削方
向に沿った方向から斜め方向に光を照射したときに溶接
部２が光って見え、濃度平均の差が大きい場合は溶接と
判断でき、溶接部２が暗く濃度平均の差が小さい場合は
第１の照明手段３ａにて切削方向に対して垂直な方向か
ら斜め方向に光を照射したときに溶接部２が暗くて濃度
平均の差が大きいかどうかを判定し、濃度平均の差が大
きかったら溶接と判断でき、光って濃度平均の差が小さ
かったら未溶接と判断することができる。このように、
照明手段３ａ、３ｂからの照明を切り換えて撮像し、そ
れぞれの画像についてウィンドウ９、１０の濃度平均の
差を比較判断することによって溶接部２の焼けの有無に
関わらずに確実に溶接検査を行なうことができる。

【００２４】なお、判断基準は対象物の材質、形状など
によって異なるため、現場で濃度を測定して決めれば、
信頼性の高い検査が可能である。具体例では、濃度に２
倍以上の差がなければ、溶接、そうでなければ未溶接と
判断している。

【００２５】また、上記実施例ではウィンドウ１０を複
数設けているが、ウィンドウ９、１０の数が多いほど統
計的結果が得られるので、測定ばらつきを小さくでき、
有利である。

【００２６】

【発明の効果】本発明の溶接検査方法によれば、以上の
説明から明らかなように、検査対象部品の溶接部に向け
て切削方向に沿った方向から斜め方向に光を照射したと
きに溶接部が光って見え濃度平均の差が大きい場合は溶
接と判断でき、溶接部が暗く濃度平均の差が小さい場合
には切削方向に対して垂直な方向から斜め方向に光を照
射したときに溶接部が暗く濃度平均の差が大きかったら
溶接部に焼けが発生しているので溶接と判断でき、溶接
部が光って濃度平均の差が小さいと未溶接と判断するこ
とができ、従って照明を切り換えて２枚の画像を撮像
し、それぞれの濃度平均の比較判定結果を組み合わせる
ことにより、溶接部に焼けが発生している場合も、発生
していない場合も溶接部の検査を確実に行なえる。

【００２７】また、本発明の溶接検査装置によれば、上
記検査方法を適切に実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の溶接検査装置の概略構成を
示す斜視図である。

【図２】同実施例の画像処理部の構成図である。

【図３】同実施例において切削方向に対して垂直方向か
ら照明した場合の溶接品の撮像画の説明図である。

【図４】同実施例において切削方向に対して垂直方向か
ら照明した場合の未溶接品の撮像画の説明図である。

【図５】同実施例において切削方向に沿って照明した場
合の溶接品の撮像画の説明図である。

【図６】同実施例において切削方向に沿って照明した場
合の未溶接品の撮像画の説明図である。

【図７】従来例の溶接検査装置の概略構成を示す斜視図
である。

【図８】表面に凹凸のある金属部品に照明を当てた場合
の反射方向の説明図である。

【図９】切削方向に対して垂直方向から照明した場合の
照明光の散乱の様子の説明図である。

【図１０】表面が平坦な金属部品に照明を当てた場合の
反射方向の説明図である。

【図１１】切削方向に沿って照明した場合の照明光の散
乱の様子の説明図である。

【符号の説明】

１ 検査対象部品 ２ 溶接部 ３ａ 第１の照明手段 ３ｂ 第２の照明手段 ４ テレビカメラ ５ 画像処理部 ９ ウィンドウ（部分領域） １０ ウィンドウ（部分領域）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 検査対象部品の溶接部に向けて切削方向
   に対して垂直な方向と切削方向に沿った方向から斜め方
   向に光を照射してそれぞれ溶接部を撮像し、撮像した二
   次元画像中における溶接線上の位置と溶接線以外の位置
   の部分領域の濃度平均を求めてそれらの差の大小によっ
   て未溶接箇所を判定することを特徴とする溶接検査方
   法。
2. 【請求項２】 検査対象部品の溶接部に向けて切削方向
   に対して垂直な方向と切削方向に沿った方向から斜め方
   向に光を照射する第１と第２の照明手段と、溶接部を撮
   像するテレビカメラと、テレビカメラで撮像した二次元
   画像をＡ／Ｄ変換し、部分領域の濃度平均を計算する画
   像処理部とを備えたことを特徴とする溶接検査装置。