JPH08266676A

JPH08266676A - 消火液複合噴射ノズル

Info

Publication number: JPH08266676A
Application number: JP7412195A
Authority: JP
Inventors: Tsuyoshi Ri; 堅李; Shigeru Hashigami; 茂橋上
Original assignee: Nohmi Bosai Ltd
Current assignee: Nohmi Bosai Ltd
Priority date: 1995-03-30
Filing date: 1995-03-30
Publication date: 1996-10-15

Abstract

(57)【要約】【目的】軽油等の油火災、その他水損を避けたい対象
物の消火に当たり、ハロゲンや炭酸ガス等の人体有害物
を使用せずに、水蒸気爆発を起こし火災の拡大させる危
険性のある消火薬剤としての水を使用可能とし、さらに
消火薬剤としての水を放水した場合の水損を避けること
が出来る消火液噴射ノズルを提供するものである。【構成】噴射ノズル（１）のヘッダーの頭部（２）に
大粒径の消火液粒子放出ノズル（３）と小粒径の消火液
噴霧ノズル（４）を同一方向に放射可能に配置し、小粒
径消火液噴霧ノズルから噴霧された霧（フォグ）状の水
滴（ＷＦ）を、大粒径消火液放出ノズルから噴射された
噴霧流に乗せて火点に到達させ、火源を覆って窒息冷却
消火する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は軽油等の油火災や水損
を避けたい対象物の消火に使用する消火液噴射ノズルに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、軽油等の油火災や水損を避けたい
対象物の消火において、ハロゲンや炭酸ガスが利用され
ていたが、ハロン規制や人体有害ということで、別の消
火方法が求められていた。

【０００３】その消火方法の一つとしてスプリンクラー
設備のスプリンクラーヘッドより水を散水する消火方法
があるが、このスプリンクラーヘッドよりの散水は、水
を大雨状に散水するので、特に誤放水した場合の水損が
甚だしいため適さなかった。

【０００４】また、他の消火方法としてスプリンクラー
設備と同様に消火液として水を使用する微噴霧消火設備
を設置し、当該消火設備の微噴霧ノズルより水を霧雨状
にして火源を全体的に包み込むように放水し火源を覆っ
て窒息冷却消火する方法がある。この、水微噴霧消火方
法は、人体に無害、あるいは強化液を使用した場合でも
害が少なくて済み、水損も殆ど無く、火災も表面積の大
きな微噴霧の気化水蒸気包囲による窒息冷却作用などの
優れた消火性能により消火できる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この微
噴霧消火は、その散布される液滴が数十μｍと微細のフ
ォグ状態にあるため、火炎上では上昇する熱気流により
煽られ、その微噴霧気流は火災を避けてしまい火点に消
火液が到達しないので、微噴霧ノズルは使えない問題が
ある。

【０００６】また、従来微噴霧ノズルの噴霧粒子はスプ
リンクラーヘッド等の噴射粒子に比べ小さいので、その
窒息消火性能は勝っている反面射程が短く、より遠方の
火災には対応できない問題がある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、上述の問題
点を解決するために、粒子径が大粒径の消火液と粒子径
が小粒径の消火液を、同時に同一方向に放射可能な消火
液複合噴射ノズルに構成したことである。

【０００８】また、大粒径消火液放出ノズルと小粒径消
火液噴霧ノズルを、同一方向へ放射可能にそれぞれ複数
個、ヘッダーに搭載した消火液複合噴射ノズルに構成し
たことである。

【０００９】さらに、ヘッダーに搭載されている大粒径
消火液放出ノズルを中心として、その周辺に小粒径消火
液噴霧ノズルを複数個配設した消火液複合噴射ノズルに
構成したことである

【００１０】さらにまた、大粒径消火液放出ノズルから
噴射される消火液が、平均粒径７０μｍ以上４００μｍ
以下の粒径とし、一方、小粒径の消火液噴霧ノズルから
噴射される消火液が平均粒径７０μｍ以下の粒径とした
消火液複合噴射ノズルに構成したことである。

【００１１】大粒径消火液放出ノズルから噴射される消
火液の平均粒径が、小粒径消火液噴霧ノズルから噴霧さ
れる消火液の平均粒径の平均２倍以上としたことであ
る。

【００１２】なお、複合噴射ノズルから噴射する消火液
としては、水、または水にグリセリン、エチレングリコ
ール、あるいはエタノール等の添加液を混入した水を用
いるものである。

【００１３】

【作用】大粒径（７０μｍ以上４００μｍ以下）の消火
液放出ノズルと、小粒径（７０μｍ以下）の消火液噴霧
ノズルをそれぞれ１個以上ヘッダーに搭載し、同時に同
一方向へ放射可能な消火液複合噴射ノズルに構成したの
で、大粒径消火液放出ノズルを火点に向けて放射する
と、全ての大粒径消火液が揃って火点に向けて放出され
る。これらの大粒径消火液は慣性が大きいので、火炎の
上昇気流に抗して火点に到達、あるいは、遠方の火点に
到達し得る。

【００１４】平均粒径が７０μｍ以下の小粒径の消火液
を噴霧する小粒径消火液噴霧ノズルは、大粒径の消火液
放出ノズルと同じヘッダーに搭載されているいるので、
小粒径消火液噴霧ノズルから放射された平均粒径が７０
μｍ以下の浮遊状態の小粒径消火液は、大粒径消火液の
放射流により発生した気流に吸引誘導され、火炎の上昇
気流に抗して火炎に到達包囲し、あるいは、遠方の火点
にまで到達し、火炎の熱で気化することにより火炎の熱
を奪うと共に、発生した水蒸気により窒息消火に至る。

【００１５】

【実施例】この発明の消火液複合噴射ノズルの一実施例
を図により説明する。図１はこの発明の消火液複合噴射
ノズルを設置した状態を示す図で、図２は要部の断面
図、図３は噴射ノズルのヘッダーの平面図、図４は大粒
径消火液放出ノズルの断面図、図５は小粒径消火液噴霧
ノズルの断面図である図１において、１は消火液複合噴
射ノズルであり、当該消火液複合噴射ノズル１のヘッダ
ーの頭部２に、平均粒径１００μｍ程度の大粒径の消火
液を放出可能な１個の大粒径消火液放出ノズル３を取り
付け、また、図２および図３に示す如く、当該大粒径消
火液放出ノズル３の回りを囲むように、平均粒径３０μ
ｍ程度の小粒径の消火液を噴霧する小粒径消火液噴霧ノ
ズル４を、６個配設したスプリンクラー型消火液複合噴
射ノズルに構成する。なお、図３中２ａは大粒径消火液
放出ノズル取付部、２ｂは小粒径消火液噴霧ノズル取付
部である。

【００１６】また、大粒径消火液放出ノズル３は、図２
及び４に示す様にノズル本体３ａの流路３ｂに、中央孔
３ｃと旋回孔３ｄとを備えたスパイラル部材３ｅが配設
されており、前記旋回孔３ｄにより旋回流を形成しなが
ら消火液である水Ｗを噴射して平均粒径１００μｍ程度
の大きさの水滴ＷＬＤを発生させるものである。

【００１７】また、小粒径消火液噴霧ノズル４は、図２
および図５に示す様に、ノズル本体４ａのオリフィス４
ｂの前面に針状のデフレクタ４ｃを配設し、ストレーナ
４ｄからの消火液である水Ｗを、該デフレクタ４ｃに衝
突拡散させるもので、この拡散衝突により平均粒径３０
μｍ前後の粒径を有する水滴、所謂フォグＷＦを生成さ
せるものである。図５中４ｅは流路である。

【００１８】上記の小粒径消火液噴霧ノズル４は、単独
で放水すると中空円錐状の放射パターンを呈し、また、
ノズル直近では中空円錐状であるが、ある程度離れると
浮遊状態とになり、煙霧状態ＷＦを呈する。一方、大粒
径の消火液ＷＬＤを放射する大粒径消火液放出ノズル３
は、単独で放射するとノズル直近では中実円錐状である
が、下方に放射された場合、ある距離以遠では円筒状に
降水する。大粒径の消火液ＷＬＤを放射する大粒径消火
液放出ノズル３を火点２０に向け放射すると、その大粒
径消火液ＷＬＤの大きな慣性のため火点の上昇気流に抗
して火点２０に到達する。

【００１９】そこで、同じヘッダー２に大粒径消火液放
出ノズル３を取り巻く様に搭載されている小粒径消火液
噴霧ノズル４から大粒径消火液ＷＬＤの放射と同時に小
粒径消火液を噴霧すると、浮遊状態の小粒径消火液ＷＦ
は、大粒径消火液ＷＬＤの放射流により発生した気流Ａ
１に吸引誘導され、火炎の上昇気流に抗して火炎に接近
包囲し、火災の熱で気化することにより火災の熱を奪う
と共に、発生した水蒸気により窒息消火に至らせる。

【００２０】図６及び図７はこの発明の消火液複合噴射
ノズルの他の実施例である。図６において、１１は消火
液複合噴射ノズルであり、当該消火液複合噴射ノズル１
１のヘッダーの頭部１２に、平均粒径１ｍｍ程度の粒径
で消火液を扁平に、且つ平行に放射する一つの大粒径消
火液放出ノズル（扇形ノズル）１３と、該大粒径放出ノ
ズルの上位に取り付けられた平均粒径０．３ｍｍ程度の
小粒径の消火液を噴霧放射する３個の小粒径消火液噴霧
ノズル（噴霧ノズル）１４とを有している消火液複合噴
射ノズル１１に構成する。

【００２１】上記の小粒径消火液噴霧ノズル１４の単体
での放射パターンは、ノズル直近では中実円錐状を呈
し、一方大粒径消火液放出ノズル１３の単体での放射パ
ターンは、ノズル直近では扇形であり、ある距離以遠で
は帯状に放水される。

【００２２】そこで、図７に示す様に同じヘッダー１２
に搭載した大粒径消火液放出ノズル１３と、該大粒径消
火液放出ノズル１３の上位に設けた小粒径消火液噴霧ノ
ズル１４とを、図６に示す様に火点２０の方向に同時に
向けて放射すると、大粒径消火液ＷＬＤの噴霧流ＷＰは
慣性が大きいため遠方の火点２０に到達する。小粒径の
消火液ＷＦを噴霧する小粒径消火液噴霧ノズル１４は、
大粒径消火液放出ノズル１３が搭載されている同じヘッ
ダー１２の上位に搭載さているので、小粒径消火液噴霧
ノズル１４から放射された小粒径消火液ＷＦの噴霧流Ｗ
Ｆ１，ＷＦ２は、大粒径消火液の散水流Ｗにかぶさる様
に放射され、大粒径消火液の散水流ＷＬＤにより発生し
た気流Ａ２に吸引誘導され、小粒径消火液の噴霧流ＷＦ
１，ＷＦ２は合流噴霧流ＷＦ３となり遠方の火点２０に
到達包囲し、火炎の熱で気化することにより火炎の熱を
奪うとともに、発生した水蒸気により窒息消火に至らせ
る。

【００２３】なお、上記第１実施例の微噴霧ノズルにお
いては、平均粒径が１００μｍ程度の噴霧粒子を放射す
る大粒径消火液放出ノズルと、平均粒径３０μｍ程度の
噴霧粒子を放射する小粒径消火液噴霧ノズルを備えた消
火液複合噴射ノズルの場合を示したが、水損が避けられ
るために、平均粒径が７０μｍ以上で４００μｍ以下の
噴霧粒子を放射する大粒径消火液放出ノズルと、平均粒
子径７０μｍ以下の噴霧粒子を放射する小粒径消火液噴
霧ノズルとを備えた消火液複合噴射ノズルとするのが望
ましい。

【００２４】また、上記第２実施例の散水ノズルにおい
ては、平均粒径が１ｍｍ程度の消火液粒子を放射する大
粒径消火液放出ノズルと、平均粒径が０．３ｍｍ程度の
噴霧粒子を放射する小粒径消火液放出ノズルとを備えた
消火液複合噴射ノズルの場合を示したが、射程に応じて
は小さな粒子、例えば平均粒径が５００μｍの消火液粒
子を放射する大粒径消火液放出ノズルと、平均粒径が１
００μｍの噴霧粒子を放射する小粒径消火液放出ノズル
とを備えた消火液複合噴射ノズルとしてもよい。また、
大粒径消火液放出ノズルからの放射粒子の射程を伸ばす
ために、大粒径消火液放出ノズルからの放射粒子の平均
粒径を小粒径消火液噴霧ノズルからの放射粒子の平均粒
径の２倍以上とした消火液複合噴射ノズルとするとよ
い。

【００２５】大粒径消火液放出ノズルが複数設けられた
場合は、全部揃って同一方向に向いている例えば、棒状
ノズルの大粒径消火液放出ノズルであって、この棒状ノ
ズルが格子状に並び、噴霧ノズルがその間に交互に配置
されているようにしてもよい。

【００２６】上記には粒径を大小２段階のものを述べた
が、粒径が数段階になるよう複数種類のノズルをヘッダ
ーに備えてもよい。また、上記には消火液として水を用
いたが、表面張力を減少させて微粒化し易くするため
に、グリセリン、エチレングリコール、あるいはエタノ
ール等の添加液を混入した水であってもよい。

【００２７】なお、前述の平均粒径とは、物質移動や燃
焼に用いられる「体積表面積平均粒径」を採用し、その
算出法は以下の数式１に示すとおりである。

【００２８】

【数１】

【００２９】

【発明の効果】以上の構成により、大粒径消火液の強い
流れが、小粒径の弱い流れを補足し、火炎に到達せしむ
ることができるので、小粒径の粒子の持つ優れた消火能
力を十分に働かせることが可能な消火用複合ノズルが得
られる。また、大粒径の消火液のみを使用するのとこと
なり、水噴霧消火を併用するので水損を防げるとともに
油火災の消火にも好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の消火液複合噴射ノズルの
使用状態を示す図である。

【図２】同上の消火液複合噴射ノズルの断面図である。

【図３】同上のヘッダーの平面図である。

【図４】同上の大粒径消火液放出ノズルの断面図であ
る。

【図５】同上の小粒径消火液噴霧ノズルの断面図であ
る。

【図６】この発明の他の実施例の消火液複合噴射ノズル
の使用状態を示す図である。

【図７】同上の消火液複合噴射ノズルの断面図である。

【符号の説明】

１．消火液複合噴射ノズル２．ヘッダーの頭部２ａ．大粒径消火液放出ノズル取付部２ｂ．小粒径消火液噴霧ノズル取付部３．大粒径消火液放出ノズル３ａ．ノズル本体３ｂ．流路３ｃ．中央孔３ｄ．旋回孔３ｅ．スパイラル部材４．小粒径消火液噴霧ノズル４ａ．ノズル本体４ｂ．オリフィス４ｃ．デフレクタ４ｄ．ストレーナ４ｅ．流路Ｗ．水ＷＬＤ．大粒径水滴ＷＦ．小粒径水滴（フォグ）１１．消火液複合噴射ノズル１２．ヘッダーの頭部１３．大粒径消火液放出ノズル（扇形ノズル）１４．小粒径消火液噴霧ノズルＡ１，Ａ２．ＷＬＤによる気流ＷＰ．大粒径消火液放出ノズルからの噴霧流ＷＦ１．小粒径消火液噴霧ノズルからの噴霧流ＷＦ２．小粒径消火液噴霧ノズルからの噴霧流ＷＦ３．ＷＦ１，ＷＦ２の合流噴霧流２０．火点

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】粒子径が大粒径の消火液と粒子径が小粒
径の消火液を同時に同一方向に放射可能な消火液複合噴
射ノズル。
【請求項２】粒子径が大粒径の消火液放出ノズルと粒
子径が小粒径の消火液噴霧ノズルが同一方向へ放射可能
に、それぞれ１個以上、ヘッダーに搭載されていること
を特徴とする消火液複合噴射ノズル。
【請求項３】ヘッダーに搭載されている大粒径の消火
液放出ノズルを中心として、その周辺に小粒径の消火液
噴霧ノズルを複数個配設したことを特徴とする請求項１
〜２記載の消火液複合噴射ノズル。
【請求項４】前記大粒径消火液放出ノズルから噴射さ
れる消火液が、平均粒径７０μｍ以上４００μｍ以下の
大粒径であり、また、小粒径の消火液噴霧ノズルから噴
射される消火液が、平均粒径７０μｍ以下の小粒径であ
ることを特徴とする請求項１〜３記載の消火液複合噴射
ノズル。
【請求項５】前記大粒径消火液放出ノズルから放射さ
れる消火液の平均粒径が、小粒径消火液噴霧ノズルから
放射される消火液の平均粒径の平均２倍以上とした請求
項１〜４記載の消火液複合噴射ノズル。
【請求項６】前記大粒径及び小粒径の消火液が、水、
または水にグリセリン、エチレングリコール、あるいは
エタノール等の添加液を混入した水であることを特徴と
する請求項１〜５記載の消火液複合噴射ノズル。