JPH0826434B2 - 高硬度高靭性低合金高速度工具鋼 - Google Patents

高硬度高靭性低合金高速度工具鋼

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JPH0826434B2
JPH0826434B2 JP1270920A JP27092089A JPH0826434B2 JP H0826434 B2 JPH0826434 B2 JP H0826434B2 JP 1270920 A JP1270920 A JP 1270920A JP 27092089 A JP27092089 A JP 27092089A JP H0826434 B2 JPH0826434 B2 JP H0826434B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、主として一般切削工具、ならびに冷間加工
用工具に使用される高硬度高靱性低合金高速度工具鋼に
関するものである。
〔従来の技術〕
低合金高速度工具鋼の一般的なものとしては、特公昭
50-10808号公報に開示されている0.65%C、0.3%Si、
4%Cr、4.2%W、4%Mo、1.5%Vからなる高速度工具
鋼、特公昭55-49148号公報に開示された0.65%C、1.4
%Si、4%Cr、2.8%Mo、1.8%Vからなる高速度工具鋼
などが知られているが、これらの公知例では、Ceq=0.2
4+0.033W+0.063Mo+0.2VとΔC=C-Ceqで計算される
ΔCの値がΔC≒−0.1〜−0.3で靱性は優れているもの
の熱処理後の硬さがHRC60〜62程度しか得られない。
さらに高硬度が得られる低合金高速度工具鋼として、
0.95%C、4%Cr、1.7%W、5%Mo、1.2%Vの高速度
工具鋼や、特公昭62-8503号公報に開示されているよう
な上記成分を基本としてC/V比を0.70〜0.94まで高め、
さらにCoを1.0〜6.0%添加することにより、極めて硬い
マルテンサイト地鉄と高温での硬さの維持能力を高めた
高速度工具鋼も知られている。
また、HRC66前後の高硬度が得られる低合金高速度工
具鋼として、下記の主要合金元素を含有するものが知ら
れている。この鋼は0.75%C、0.3%Si、4%Cr、1%
W、5%Mo、0.9%V、8%Coとしており、この鋼の特
徴は、前記計算式によるΔCを約±0とし、かつCo含有
量を8%まで高めることにより、マトリックスを高硬度
化したことにある。
〔発明が解決しようとする課題〕
切削工具および冷間加工工具の分野においても、近
来、被加工物の高硬度化に伴い、HRC66以上の熱処理硬
さが得られ、かつ欠け等が生じない、より優れた靱性を
有する工具が要求されている。
本発明者はこの問題点を解決するために、前記工具に
ついて使用部位の詳細な調査を行なった。その結果、工
具の欠けは主として炭化物に起因する場合が多く、炭化
物の少ない低合金高速度鋼が有利であることがわかっ
た。そして、主に炭化物の少ない分の耐摩耗性を補う意
味で硬さがHRC66以上が望ましいことが推定できた。
しかし、特公昭50-10808号公報や特公昭55-49148号公
報等に開示された一般的な低合金高速度鋼具鋼では、Δ
Cが−0.1〜−0.3と低く、硬さは最高HRC63前後しか得
られず、HRC66以上の高硬度を得るという目的を満足で
きない。
特公昭62-8503号公報等に知られるような4%Cr-1.7
%W−5%Moを基本成分にC/V比を0.7〜0.94まで高めた
鋼は、ΔCが+0.1〜+0.2と極めて高く、高硬度が得ら
れるものの、靱性が著しく低下し、欠けや割れ等が発生
しやすい。
主要合金元素が、0.75%C、4%Cr、1%W、5%M
o、0.9%V、8%Coからなる鋼は、ΔCが±0でHRC66
前後の硬度が得られるが、V含有量が低く、結晶粒が粗
大であり、靱性が著しく低下する。
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、熱処理後HRC66
以上の高硬度が得られ、かつ優れた靱性を有する高硬度
高靱性低合金高速度工具鋼を提供することである。本発
明による高速度工具鋼はメタルバンドソーをはじめとす
る切削工具、ならびに冷間加工用工具に適用されるもの
である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、重量%でC0.75〜0.9%、Si0.1〜1.5%、Mn
0.6%以下、Cr3.0〜5.0%、W0.5%以上7.0%未満、Mo1.
5〜6.0%(ただし、W+2Mo:9%以上12%未満)、V1.0
〜1.4%、Co6.0〜10.0%、残部Feおよび不可避的不純物
からなり、かつC-Ceqで計算されるΔC(ただしCeq=0.
24+0.033W+0.063Mo+0.2V)が−0.05〜0.05の範囲で
あることを特徴とし、より望ましくは、Nbを0.01〜0.3
%含有する高硬度高靱性低合金高速度工具鋼である。こ
こで、ΔCは基地中に固溶してマルテンサイトを生ずる
炭素量であり、ΔC=C-Ceq(ただしCeq=0.24+0.033W
+0.063Mo+0.2(V+1/2Nb))で定義される値であ
る。
本発明において、低合金量で高硬度を得るために従来
の高速度工具鋼の主要強化機構である炭化物の析出強化
は必要最小限にとどめ、C、CoあるいはSi含有量を高め
ることによる固溶強化によって高硬度化を行なった。
しかしながら、単にC、CoあるいはSiを増しただけで
は結晶粒が粗大化し易く、靱性が著しく低下するので、
本発明はC量を適度なバランスに保ち、かつVおよびNb
の添加による結晶粒微細化を同時に行なった。すなわ
ち、本発明はΔC量の調整、および6〜10%の高Co含有
による高硬度化と1.0〜1.4%のV添加、さらには0.01〜
0.3%のNb添加による高靱性化の両作用によって従来に
ない優れた特性を見出したものである。
〔作用〕
以下、本発明の数値限定理由について詳細に述べる。
Cは0.75〜0.9%でかつΔC=−0.05〜0.05である。
Cは本発明で最も重要な元素の1つである。CはCeq
で計算されるC量は、Cr、W、Mo、V量の炭化物形成元
素と優先的に結合し、残りのΔC量が基地中に固溶して
硬いマルテンサイトを生ずる。ΔCが−0.05未満では十
分な硬度が得られず、0.05を越えると、マルテンサイト
組織が粗くなり靱性が著しく低下する。C量は、Cr、
W、Mo、V、Nbの合金量に合せてΔCが−0.05〜0.05の
範囲内に入るようにして0.75〜0.9%の範囲で調整す
る。
Siは脱酸剤として鋼中に含まれるが、さらにマトリッ
クス中に固溶し、マトリックスの硬度を高める効果があ
る。ただし、1.5%を越えて過度に添加すると鋼の中心
偏析等を増長し、靱性が低下するので上限を1.5%とし
た。
MnもSi同様に脱酸剤として添加されるが、0.6%を越
えて添加すると、Mn化合物を析出し、靱性が劣化するの
で0.6%以下とした。
Crは、Cと結合して炭化物を形成し、耐摩耗性を向上
させると共に、焼入性を高める効果がある。3.0%未満
ではその効果が不十分で、5.0%を越えると、偏析が著
しくなり靱性が低下するので、Crは3.0〜5.0%とした。
Wは0.5%以上7.0%未満、Moは1.5〜6.0%とし、W+
2Moを9%以上12%未満とする。
WとMoはCと結合し、硬質の炭化物を形成して耐摩耗
性を付与する。W+2Mo量は9%未満では十分な熱処理
硬さ耐摩耗性が得られず、12%以上では原料のコスト
面、靱性面で問題点が生ずるので9%以上12%未満とし
た。
Vは本発明で最も重要な元素の1つである。合金量の
少ない鋼では、高硬度を得る目的で焼入温度を上げる
と、結晶粒が粗大化する傾向が著しく、却って靱性を阻
害する。Vを添加すると、Cと結合し極めて硬い炭化物
を形成し、耐摩耗性を向上させるとともに結晶粒微細化
に効果がある。
上述の効果を十分ならしめるためには、1.0%以上必
要である。1.4%を越えて添加すると粗大なV系炭化物
を晶出し、靱性を低下するので上限を1.4%とした。
Nbは少量でVと同様に結晶粒微細化に効果があり、靱
性が改善される。特にNb炭化物はV炭化物よりも高温で
安定な性質を有しており、結晶粒成長を抑える効果がよ
り強い。しかし、本合金系で0.3%を越えてNbを含有さ
せると一部にNbCの巨炭が晶出し、被研削性の低下を引
き起こすことのあることが判明した。そこで、Nb含有量
は0.01〜0.3%とした。0.01%未満ではNbCによる結晶粒
成長抑止効果は認められなかった。
Coは、本発明で最も重要な元素の1つである。
Coは焼もどし過程における析出炭化物の凝集を抑制す
るので高硬度が得られ、かつ軟化抵抗性をも高める作用
のあることが知られている。しかし、従来の低合金高速
度工具鋼では、高価な元素であることもあって、添加さ
れないことが多い。しかし、本発明の目的である炭化物
に起因する工具のチッピングの発生を抑え、かつ耐摩耗
性の優れた特性を付与するために、Coの効果を積極的に
引き出し活用することに着眼した。
すなわち、Cの他、W、Mo、Si、等の合金含有量を上
記に限定すると同時に、6%以上のCoを含有させると、
本発明の目的である、HRC66以上の高硬度を低合金高速
度鋼であっても得ることができる。10.0%を越えて添加
すると原料コストが高くなるので10.0%以下とした。
〔実施例〕
次に一実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明す
る。
第1表に示す組成の高速度工具鋼を、高周波溶解炉に
て10kg溶製し18mmの角材に熱間加工を行なった後、焼な
ましをし、さらに鍛伸方向に平行に5mmφ×75mmlの抗折
試験片を製作した。
1150℃で塩浴焼入を行ない、560℃で1時間3回繰り
返し焼もどしを行なった後、スパン50mmの中央一点荷重
方式で抗折試験を行なった。その結果を第1表に併示す
る。本発明鋼CないしHは、HRC66以上の高硬度が得ら
れ、かつ従来鋼や比較鋼と比べて抗折力が顕著に向上す
るのが認められる。また、これらの結果をΔC量との関
係でプロットして第1図に示す。
第1図によれば、HRC66以上の硬さを得るためにはΔ
C量が−0.05以上必要であり、またHRC66以上の高硬度
領域で従来鋼A、B以上の優れた靱性を得るためには、
ΔC量0.05以下にする必要があることがわかる。またNb
の添加により、靱性向上に効果が大きいことが確認され
た。
比較鋼LはΔC量、V量は本発明鋼の範囲内である
が、Coが少ないため熱処理後HRC66以上の硬さが得られ
ない。
第2図に従来鋼A,Bおよび本発明鋼Dのミクロ組織写
真を示す。従来鋼A、BはV量、ΔC量の影響でマルテ
ンサイト組織が粗くなっているが、本発明鋼Dは従来鋼
A、Bに比べ結晶粒が微細であり、靱性が高いことがわ
かる。
〔発明の効果〕
本発明によれば合金量を低く抑えたままで高硬度が得
られるので耐摩耗性が向上し、且つ結晶粒の微細化によ
り靱性が向上し工具の耐欠け性を改善できる。このた
め、切削工具や冷間加工用工具の寿命を延ばすことがで
き、工業上の効果が大である。
本発明の高速度工具鋼をメタルバンドソーの刃材とし
て使用したところ、刃材の寿命を従来のSKH58クラスの
寿命の1.7倍に延ばすことができた。
【図面の簡単な説明】
第1図はΔC量と硬さおよび抗折力の関係を示すグラ
フ、第2図は従来鋼ならびに本発明鋼のミクロ組織を示
す顕微鏡金属組織写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でC0.75〜0.9%、Si0.1〜1.5%、Mn
    0.6%以下、Cr3.0〜5.0%、W0.5%以上7.0%未満、Mo1.
    5〜6.0%(ただし、W+2Mo:9%以上12%未満)、V1.0
    〜1.4%、Co6.0〜10.0%、残部Feおよび不可避的不純物
    からなり、かつC-Ceqで計算されるΔC(ただしCeq=0.
    24+0.033W+0.063Mo+0.2V)が−0.05〜0.05の範囲で
    あることを特徴とする高硬度高靱性低合金高速度工具
    鋼。
  2. 【請求項2】重量%でC0.75〜0.9%、Si0.1〜1.5%、Mn
    0.6%以下、Cr3.0〜5.0%、W0.5%以上7.0%未満、Mo1.
    5〜6.0%(ただし、W+2Mo:9%以上12%未満)、V1.0
    〜1.4%、Co6.0〜10.0%、Nb0.01〜0.3%、残部Feおよ
    び不可避的不純物からなり、かつC-Ceqで計算されるΔ
    C(ただしCeq=0.24+0.033W+0.063Mo+0.2(V+1/2
    Nb))が−0.05〜0.05の範囲であることを特徴とする高
    硬度高靱性低合金高速度工具鋼。
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