JPH08264160A - 無電極放電ネオンランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 始動電圧を低くすると共に、寿命を長くす
る。 【構成】 内部がネオンガスを封入されて気密封止され
た透光性バルブ１と、透光性バルブ１の外周壁に沿って
巻回された誘導コイル４とを備え、誘導コイル４に数MH
z 乃至数十MHz の高周波電流を通電することにより、透
光性バルブ１内に封入されたネオンガスを励起発光させ
る無電極放電ネオンランプにおいて、ネオンガスの封入
圧を３(Torr)以下とすると共に、透光性バルブ１の内部
には、非蒸発型ゲッター５であるアルミニウム・ジルコ
ニウムゲッターを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、無電極放電ネオンラン
プに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】透光性バルブの内部に発光物質としてネ
オンガスを封入したランプとして、電極を有してなる低
圧ネオンランプが知られている。低圧ネオンランプは、
蛍光ランプに比べて寿命中の光束劣化が少ないことや、
温度依存性が少ないこと、及び始動後の光束の時間的変
化が少ない等の特長を有するが、その放電開始電圧が蛍
光ランプに比べて高く、特に冷陰極を使用したネオンサ
インにおいては、その問題が顕著であった。この放電開
始電圧が高いことは、その点灯装置の設計等を含めて、
使用上で不利となる点が多い。

【０００３】そこで、従来より、その放電開始電圧を低
下させる幾つかの試みがなされてきており、その１つと
して特開昭５８−６８８６２号公報に開示された従来の
低圧ネオンランプ（第１の従来例）が知られている。こ
の低圧ネオンランプは、電極として予熱形電極を使用し
て放電開始電圧を低下させると共に、透光性バルブの内
部にネオンガスと共にアルゴンガスを、その混合ガス圧
をＰ(Torr)、アルゴン混合比をＡ(%) とした場合に、次
式 Ａ≦５Ｐ^-2(%) を満足するように封入させて、ペニング効果を利用して
さらに放電開始電圧の低下を図ったものである。

【０００４】また、従来の別の低圧ネオンランプ（第２
の従来例）として、特開昭５８−６８８６３号公報に開
示された低圧ネオンランプも知られている。この低圧ネ
オンランプは、電極として予熱形電極を使用して放電開
始電圧を低下させると共に、透光性バルブの内部にネオ
ンガスと共にクリプトンガスを、その混合ガス圧をＰ(T
orr)、クリプトン混合比をＢ(%) とした場合に、次式 Ｂ≦８Ｐ^-2(%) を満足するように封入させて、ペニング効果によりさら
に放電開始電圧の低下を図ったものである。

【０００５】また、従来のさらに別の低圧ネオンランプ
（第３の従来例）として、図５に示すような、電極を持
たない、所謂無電極放電ネオンランプも知られている。
この無電極放電ネオンランプは、実開平４−４７２５２
号公報のマイクロフィルムに開示された美顔健康用放電
管であって、この美顔健康用放電管は、電極を持たない
透光性バルブ１の内部に数乃至１０数(Torr)程度のネオ
ンガスを封入して、透光性バルブ１を気密封止し、その
透光性バルブ１の一端側内周面に、バリウムゲッターの
加熱によってバリウム金属膜２を被着させると共に、透
光性バルブ１のバリウム金属膜２を設けた部分近傍の外
周面側に、高周波電圧が印加される導電端子３を配設し
て構成されたものである。

【０００６】そして、この美顔健康用放電管は、導電端
子３に２０KHz 〜５０KHz 程度の周波数で約２０００Ｖ
程度の高周波電圧を印加させて、透光性バルブ１の内部
に封入したネオンガスを励起発光させ、透光性バルブ１
を透過して放射される近赤外線により、皮膚の表面やそ
の浅層を数度上昇させて細胞の活性化並びに新陳代謝を
促進させ、美顔健康増進に寄与させるようにしようとし
たものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成された第１及び第２の従来例に示す低圧ネオン
放電灯は、ネオン発光を利用した有電極の低圧ネオン放
電灯であり、電極部分からの不純ガスの発生や、電極に
塗布した電極物質の消耗によりランプ寿命に至り、無電
極のランプと比べて寿命が著しく短いという問題点があ
った。

【０００８】また、第３の従来例に示す美顔健康用放電
管にあっては、導電端子３に２０KHz 〜５０KHz 程度の
高周波電圧を印加させて、その電界により放電を生じさ
せる構成であるために、導電端子３には約２０００Ｖの
高電圧を印加させる必要があって、その放電開始電圧が
高く、また、ゲッターは封入されたガス中に含まれる不
純ガスや、点灯中に発生する不純ガスを吸着させるもの
であるが、このゲッターが蒸発型のバリウムゲッターで
あるために、点灯中にゲッターが吸着された不純ガスと
共に再蒸発・再付着して光束の低下を招くという問題点
があった。

【０００９】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、始動電圧が低く、寿命
の長い無電極放電ネオンランプを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、請求項１記載の発明にあっては、内部にネオ
ンガスが封入されて気密封止された透光性バルブ１と、
該透光性バルブ１の外周壁に沿って巻回された誘導コイ
ル４とを備えてなり、該誘導コイル４に高周波電流を通
電することにより、前記透光性バルブ１内に封入された
ネオンガスを励起発光させる無電極放電ネオンランプに
おいて、前記ネオンガスの封入圧を３(Torr)以下とした
ことを特徴とするものである。

【００１１】また、請求項２記載の発明にあっては、請
求項１記載の無電極放電ネオンランプにおいて、前記誘
導コイル４に、数MHz 乃至数十MHz の高周波電流を通電
させたことを特徴とするものである。

【００１２】また、請求項３記載の発明にあっては、請
求項１、又は請求項２記載の無電極放電ネオンランプに
おいて、前記透光性バルブ１の内部に、非蒸発型ゲッタ
ー５を設けたことを特徴とするものである。

【００１３】

【作用】上述のように本発明は、請求項１、または請求
項２記載の発明にあっては、透光性バルブ１にネオンガ
スを封入すると共に、誘導コイル４に高周波電流を流す
ことにより生ずる高周波電磁界によりネオンガスを励起
発光させたため、電極や電極に塗布される電極物質を必
要とせず、このため点灯中に不純ガスが発生したり電極
物質が消耗することもなく、長寿命の無電極放電ネオン
ランプが得られる。また、透光性バルブ１にネオンガス
を３(Torr)以下のガス圧で封入したため、始動開始電圧
や点灯維持電圧が低くなり、高輝度の無電極放電ネオン
ランプが得られる。

【００１４】また、請求項３記載の発明にあっては、請
求項１、または請求項２記載の無電極放電ネオンランプ
の作用に加えて、ゲッターが非蒸発型ゲッター５である
ため、点灯中にゲッターは蒸発することはなく、このた
め、ネオンガス封入時に吸着した不純ガスも非蒸発型ゲ
ッター５に吸着されたままであって、ゲッターの蒸発
や、ゲッターに吸着された不純ガスの再蒸発・再付着に
よる光束劣化がなくなる。

【００１５】

【実施例】図１乃至図４は、本発明の無電極放電ネオン
ランプの一実施例を示すものであり、この無電極放電ネ
オンランプは、例えば装飾用として使用されるもので、
透光性バルブ１と、誘導コイル４、及び非蒸発型ゲッタ
ー５とを有して構成されている。

【００１６】透光性バルブ１は、一般の白熱ランプであ
るシリカ電球と略同形状に形成された透明のバルブであ
って、内部には放電ガスとしてのネオンガスが、３(Tor
r)以下の封入圧で封入されて気密に封止されている。ま
た、その透光性バルブ１の一端側には、透光性バルブ１
を機械的に固定させるための口金１ａが設けられてい
る。

【００１７】誘導コイル４は、透光性バルブ１の外周壁
に沿って２ターン巻回されてなり、図示はしないが、数
MHz 〜数十MHz の周波数の高周波電源である例えば13.5
6MHzの周波数の電源に接続され、その高周波電流によっ
て生ずる高周波電磁界により、透光性バルブ１の内部に
封入されたネオンガスを励起発光させる。

【００１８】非蒸発型ゲッター５は、透光性バルブ１の
内部に口金１ａ側から突設されてなるもので、非蒸発型
の例えばアルミニウム・ジルコニウムゲッターであっ
て、透光性バルブ１内の不純ガスを吸着させるものであ
り、ランプの点灯中に存在する不純ガスの吸着は勿論、
ネオンガスの封入時に封入された不純ガスをも吸着させ
るものである。

【００１９】本願発明者等は、上述のような構成の無電
極放電ネオンランプを、封入する放電ガスであるネオン
ガスの封入圧をそれぞれ、０．５，１，３，５，７，及
び１０(Torr)と変化させて製作し、周囲温度２５°Ｃ
で、始動電圧（放電開始電圧）と、点灯維持電圧及びラ
ンプの輝度のそれぞれと、ネオンガスの封入圧との関係
を測定し、図２乃至図４に示すような結果を得た。

【００２０】始動電圧においては、図２に示すようにネ
オンガスの封入圧が低い程、ランプの始動電圧は低く、
５(Torr)では約４００Ｖ、３(Torr)では約３６０Ｖであ
った。また、点灯維持電圧については、図３に示すよう
に入力電力が１５Ｗ、及び２０Ｗのどちらの場合におい
ても、特にネオンガスの封入圧が略１〜３(Torr)の間で
は約１３０Ｖ以下となり、最も低い値を示している。ま
た、ランプの輝度においても、図４に示すように入力電
力が１５Ｗ、及び２０Ｗのどちらの場合においても、ネ
オンガスの封入圧が低い程、輝度が高くなっている。

【００２１】このように構成されているため、本実施例
における無電極放電ネオンランプにおいては、ランプが
無電極であり、したがって、電極に塗布する電極物質も
必要なく、このため点灯中に電極や電極物質等から不純
ガスが発生したり、電極物質が消耗して寿命に至ること
もなく、電極を有するランプと比べて長寿命の無電極放
電ネオンランプが得られる。また、透光性バルブ１にネ
オンガスを３(Torr)以下の封入圧で封入したため、始動
電圧や点灯維持電圧が低くなり、高輝度の無電極放電ネ
オンランプが得られる。

【００２２】さらには、ゲッターが非蒸発型ゲッター５
であるアルミニウム・ジルコニウムゲッターため、点灯
中に非蒸発型ゲッター５が蒸発することはなく、このた
め、ネオンガス封入時に吸着した不純ガスも非蒸発型ゲ
ッター５に吸着されたままであって、ゲッターの蒸発
や、それに伴うゲッターに吸着された不純ガスの再蒸発
・再付着がなくなって、それらによる光束劣化がなくな
り、ランプの点灯寿命特性が向上する。

【００２３】なお、前記実施例においては、透光性バル
ブ１の形状を一般の白熱ランプであるシリカ電球状とし
て説明を行ったが、本発明はこれに限らず、その形状は
例えばレフ型電球状や円筒状等のどのようなものであっ
ても良い。また、前記実施例においては、誘導コイル４
が透光性バルブ１に２ターン巻回されて形成されるもの
として説明を行ったが、本発明はこれに限らず、何ター
ン巻回されて形成されたものであっても良い。

【００２４】

【発明の効果】このように本発明は、請求項１、または
請求項２記載の発明にあっては、透光性バルブにネオン
ガスを封入すると共に、誘導コイルに高周波電流を流す
ことにより生ずる高周波電磁界によりネオンガスを励起
発光させたため、電極や電極に塗布される電極物質を必
要とせず、不純ガスが発生したり電極物質が消耗するこ
ともなく、長寿命の無電極放電ネオンランプが得られ
る。また、透光性バルブにネオンガスを３(Torr)以下の
封入圧で封入したため、始動開始電圧や点灯維持電圧が
低くなり、高輝度の無電極放電ネオンランプが得られ
る。

【００２５】また、請求項３記載の発明にあっては、請
求項１、または請求項２記載の発明の効果に加えて、ゲ
ッターが非蒸発型ゲッターであるため、点灯中にゲッタ
ーは蒸発することはなく、このため、ネオンガス封入時
に吸着した不純ガスも非蒸発型ゲッターに吸着されたま
まであって、ゲッターの蒸発や、ゲッターに吸着された
不純ガスの再蒸発・再付着による光束劣化がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の無電極放電ネオンランプの一実施例を
示す一部断面正面図である。

【図２】同上の封入ネオンガス圧と始動電圧の関係を示
す特性図である。

【図３】同上の封入ネオンガス圧と点灯維持電圧の関係
を示す特性図である。

【図４】同上の封入ネオンガス圧と輝度の関係を示す特
性図である。

【図５】従来のさらに別の無電極放電ネオンランプ（第
３の従来例）を示す一部断面正面図である。

【符号の説明】

１ 透光性バルブ ４ 誘導コイル ５ 非蒸発型ゲッター

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部にネオンガスが封入されて気密封止
   された透光性バルブと、該透光性バルブの外周壁に沿っ
   て巻回された誘導コイルとを備えてなり、該誘導コイル
   に高周波電流を通電することにより、前記透光性バルブ
   内に封入されたネオンガスを励起発光させる無電極放電
   ネオンランプにおいて、前記ネオンガスの封入圧を３(T
   orr)以下としたことを特徴とする無電極放電ネオンラン
   プ。
2. 【請求項２】 前記誘導コイルに、数MHz 乃至数十MHz
   の高周波電流を通電させたことを特徴とする請求項１記
   載の無電極放電ネオンランプ。
3. 【請求項３】 前記透光性バルブの内部に、非蒸発型ゲ
   ッターを設けたことを特徴とする請求項１、または請求
   項２記載の無電極放電ネオンランプ。