JPH08264156A

JPH08264156A - セラミックス放電灯およびその点灯装置，ならびに照明装置

Info

Publication number: JPH08264156A
Application number: JP6303895A
Authority: JP
Inventors: Kazuyoshi Okamura; 和好岡村; Akira Ito; 彰伊藤; Kazuo Uchida; 一生内田; Takayuki Aoki; 貴之青木
Original assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Current assignee: Toshiba Lighting and Technology Corp
Priority date: 1995-03-22
Filing date: 1995-03-22
Publication date: 1996-10-11

Abstract

(57)【要約】【目的】光束維持率を向上させると共に、光色変化を抑
制する。【構成】透光性アルミナセラミックスよりなる発光管２
と；この発光管２内に封入されるキセノンＸｅと；発光
管２内にその単位容積当り０．１mg／ccに以下に封入さ
れるナトリウムと；発光管２内にその単位容積当り３．
４mg／ccに以下に封入される水銀と；発光管２内に放電
を発生せしめる手段と；発光管２の少なくとも内表面
に、この発光管２の構成材料であるアルミナ（Ａｌ₂Ｏ
₃）セラミックスと窒素とを置換してなる窒化改質層９
と；を具備する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、透光性アルミナセラミ
ックスよりなる発光管内に少なくともナトリウム（Ｎ
ａ）を封入した高圧ナトリウムランプ等のセラミックス
放電灯およびその点灯装置ならびに照明装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の高圧ナトリウムランプの
発光管としては、ナトリウムに対して安定であり、しか
も強度，耐熱，透光性にも優れた透光性アルミナ（Ａｌ
₂Ｏ₃）セラミックスよりなる発光管が使用されてい
る。

【０００３】そして、この透光性アルミナセラミックス
製の発光管内には、適量の水銀およびナトリウム（Ｎ
ａ）と、例えばキセノン（Ｘｅ）を封入し、そのキセノ
ンガス圧を高めてランプ効率の大幅な向上を図ってい
る。

【０００４】しかしながら、このような高圧ナトリウム
ランプでは、発光管の構成材料であるアルミナ（Ａｌ₂
Ｏ₃）と発光金属のナトリウム（Ｎａ）が反応して反応
物を生成し、いわゆるナトリウム消失を生ずる。このた
めに、光束維持率が低下し、光色の変化も大きい。

【０００５】特開昭６２−２６２３５８号公報には、ア
ルミナ発光管の内面に窒化アルミニウムコーティングを
施してこの発光管の中央部の温度を下げ、これによりナ
トリウム消失を軽減させる従来技術が開示されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来技術は発光管の内面に格別な窒化アルミニウムの被膜
を形成した構造であるから、発光管材料とこれら被膜と
の熱膨張差が異なることに起因して、窒化珪素の被膜や
窒化アルミニウムの被膜にひび割れや，剥離，脱落など
を発生する虞がある。

【０００７】この点について、従来技術の公報には窒化
アルミニウムの被膜の膜厚を５μｍ以下にすればよいと
開示されているが、膜厚を５μｍ以下にしてもひび割れ
などが発生することがあり、十分に効果のある被膜を形
成することが難しく、このような被膜は現在に至っても
実用化されていない。

【０００８】そこで本発明は、発光金属と発光管材料と
の反応を防止して光束維持率を向上することと、光色変
化を抑制することができるセラミックス放電灯およびそ
の点灯装置，ならびに照明装置を提供することを目的と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明のセラミ
ックス放電灯は、透光性アルミナセラミックスよりなる
発光管と；発光管内に封入される熱伝導率の低い希ガス
と；発光管内に封入されて、点灯中ほぼ完全に蒸発する
ナトリウムおよび水銀と；発光管内に放電を発生せしめ
る手段と；発光管の少なくとも内表面に形成された窒素
原子を含む層と；を具備している。

【００１０】ここで、窒素原子を含む層とは例えば発光
管の構成材料であるアルミナセラミックスの酸素成分と
窒素とを置換してなる窒化改質層である。なお、窒化改
質層は発光管の外表面にも形成してもよい。この窒化改
質層は熱伝導性を向上させる性質があるので、局部的に
高温になる部分の熱を他の温度の低い部分に効果的に逃
がすようになるから、熱歪の発生がなくなり、破損を防
止することができる。この点から発光管の耐久性が向上
することになる。希ガスとしては、熱伝導率の低いキセ
ノンＸｅ，クリプトンＫｒ，アルゴンＡｒ等を封入して
発光管の動作温度を下げて、それぞれ始動させるのにパ
ルスを使用している。

【００１１】請求項２の発明のセラミックス放電灯は、
ナトリウムは、発光管内にその単位容積当り０．１mg／
cc以下封入され、水銀は、発光管内にその単位容積当り
３．４mg／cc以下封入されている。

【００１２】請求項３の発明のセラミックス放電灯は、
発光管が筒状本体とその軸方向両端部とを一体に成形し
てなる。

【００１３】請求項４の発明のセラミックス放電灯は、
発光管が筒状本体とその軸方向両開口端にそれぞれ気密
に封着される両端部とを別体に形成してなる。

【００１４】請求項５の発明の点灯回路は、請求項１〜
４のいずれか１項に記載のセラミックス放電灯と；この
放電灯に電力を給電して安定的に点灯せしめる点灯回路
と；を具備している。

【００１５】請求項６の発明の照明装置は、請求項１〜
４のいずれか１項に記載のセラミックス放電灯と；この
放電灯を収容する器具本体と；を具備している。

【００１６】請求項７の発明の照明装置は、請求項５記
載の点灯装置と；放電灯を収容する器具本体と；を具備
している。

【００１７】

【作用】請求項１〜４の各発明においては、透光性アル
ミナセラミックス製の発光管の少なくとも内面に窒化改
質層等の窒素を含む層を形成し、且つ、熱伝導率の低い
希ガスを始動ガスとして使用して発光管の動作温度を下
げているので、この窒化改質層により、発光物質のナト
リウムと発光管のアルミナとの反応を有効に防止するこ
とができる。したがって、発光物質であるナトリウムの
消失を有効に防止することができる。加えて発光管の単
位容積当りのナトリウムの封入量を０．１mg／cc以下、
同じく水銀の封入量を３．４mg／cc以下に規定している
ので、点灯中の封着部と余剰アマルガムの反応が抑制で
き、光束維持率の向上と光色変化の抑制を図ることがで
きる。

【００１８】また、この窒化改質層は、発光管を構成す
るアルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）と窒素（Ｎ₂）とが置換され
た反応構造からなる層であるから、径方向に傾斜構造に
なっていて、ひび割れや剥離，脱落などが発生する心配
がない。

【００１９】請求項４の点灯装置と、請求項５または６
の照明装置は、請求項１〜３のいずれかのセラミックス
放電灯を具備しているので、これらセラミックス放電灯
と同一の作用を奏する。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１〜図４に基づい
て説明する。なお、図１〜図４中、同一または相当部分
には同一符号を付している。

【００２１】図１は本発明を高圧ナトリウムランプに適
用した場合の一実施例の部分縦断面図であり、この図に
おいて、高圧ナトリウムランプ１は例えば１０００Ｖ以
上の始動電圧で点灯されるものであって、発光管２を、
透光性アルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）セラミックスにより例え
ば密閉円筒状に形成しており、その円筒状本体２ａと、
その軸方向両端部２ｂ，２ｃとを一体に成形してモノリ
シック形に構成している。この両端部２ｂ，２ｃの中央
部には貫通孔３ａ，３ｂを形成しており、これら貫通孔
３ａ，３ｂにはニオビウムＮｂ，またはニオビウムＮｂ
とジルコニウムＺｒとの合金等からなる導電体４ａ，４
ｂを挿入しており、この導電体４ａ，４ｂをガラス封着
剤５ａ，５ｂにより貫通孔３ａ，３ｂ内に気密に接合し
ている。

【００２２】導電体４ａ，４ｂの発光管２内に突出する
各内端には電極６ａ，６ｂを溶接している。各電極６
ａ，６ｂは、例えばタングステンからなる電極軸７ａ，
７ｂの先端部にタングステンからなる電極コイル８ａ，
８ｂを複数回巻回して構成されており、これら電極コイ
ル８ａ，８ｂには、例えばＢａＯ−ＣａＯ−ＷＯ₃など
のような電子放射物質（エミッタ）を塗布している。

【００２３】このような構成の発光管２は例えば全長５
５mm，外径φ９．５mm，内径φ８．０mm，肉厚０．７５
mmであり、この発光管２内には、発光管２の単位容積当
り３．４mg／cc以下の水銀Ｈｇと、発光管２の単位容積
当り０．１mg／ccの発光物質であるナトリウムＮａとを
封入すると共に、始動用ガスとして熱伝導率の低い希ガ
スであるキセノンＸｅ，クリプトンＫｒ，アルゴンＡｒ
等のいずれかを適量封入している。例えば発光管２の容
積が２．５ccのとき、Ｈｇを５．４３mg，Ｎａを０．１
７mg，Ｘｅを２５torrでそれぞれ封入しており、Ｈｇと
Ｎａの封入量は点灯中にそのほぼ全量が蒸発する量であ
る。

【００２４】そして、透光性アルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）セ
ラミックス製の発光管２は、少なくともその内表面に窒
化改質層９を形成している。この窒化改質層９は、発光
管２を構成するアルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）を窒素（Ｎ₂）
に置換した反応構造からなる窒素原子を含む層であり、
この層の深さは例えば０．０５μｍ以上であればよく、
実質は５０μｍ程度に形成されている。

【００２５】このような構成の高圧ナトリウムランプ
は、透光性アルミナセラミック製の発光管２の内表面に
窒化改質層９を形成しているので、発光物質のナトリウ
ムの消失を防止することができる。このため光束の低下
を抑止し、光束維持率を高く、また、光色変化を小さく
することができる。この効果については、例えば、上記
したように容積が２．５ccの発光管２内に、Ｈｇを５．
４３mg，Ｎａを０．１７mg，Ｘｅを２５torrで封入した
高圧ナトリウムランプ１を、定格電源電圧で５．５時間
点灯（ｏｎ）と０．５時間消灯（ｏｆｆ）のサイクル点
灯を行なったところ、６０００時間点灯後のランプ電圧
変化が−５．０〜−０．２Ｖ、光束維持率が９７％以
上、色温度（Ｔｃ）が２４５０Ｋ以上であり、初期点灯
時の２５００Ｋに比して光色変化も殆どなく、本実施例
の効果が確認されている。

【００２６】また、この窒化改質層９は、発光管２を構
成するアルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）の中の酸素（Ｏ₂）成分
と窒素（Ｎ₂）とが置換された反応構造からなる層であ
るから、径方向に傾斜構造になっていて、ひび割れや剥
離，脱落などが発生する心配がない。

【００２７】なお、発光管２としては、図２で示す分割
形のアルミナセラミックス製の発光管２ｄでもよい。こ
の発光管２ｄは円筒状本体２ｅと、その軸方向両端部２
ｆ，２ｇとを予め別体により形成し、これら両端部２
ｆ，２ｇをガラス封着剤１０によりそれぞれ気密に封着
した点に特徴がある。

【００２８】図３は図１で示す高圧ナトリウムランプ１
の発光管２を、例えば硬質ガラス等よりなる透光性の外
管２２内に収容した高圧ナトリウムランプ２１を示して
いる。すなわち、高圧ナトリウムランプ２１は外管２２
を硬質ガラスにより形成しており、その中央部に膨出部
を形成し、その上下部に小径なトップ部２３ａとネック
部２３ｂを形成して、いわゆるＢＴ形をなしている。ネ
ック部２３ｂ端部には口金２４を被着している。外管２
２内は真空に保たれている。

【００２９】外管２２内には例えば図１で示す発光管２
（図２で示す発光管２ｄでもよい）を収容しており、こ
の発光管２は外管２２内において、サポートワイヤ２５
により支持されている。サポートワイヤ２５はステンレ
スのような導電性ワイヤを四角の枠状に形成したもので
あり、上部が弾性片２６を介して外管２２のトップ部２
３ａ内に係止されていると共に、下部はステム２７に封
着した一方の封着線２８ａに溶接されている。

【００３０】発光管２の上端から導出された一方の導電
体４ａは、導電線を兼用する上部導電性ホルダ２９ａを
介して上記サポートワイヤ２５に電気的および機械的に
接続されている。発光管２の下端から導出された他方の
導電体４ｂは導電コネクター３４を介して他の下部ホル
ダー２９ｂに機械的に支持されている。

【００３１】発光管２の下部導電体４ｂは、導電コネク
ター３４，下部ホルダー２９ｂを介してステム２７に封
着した他の封着線２８ｂに電気的に接続されている。こ
れら封着線２８ａ，２８ｂは口金２４のシェル２４ａお
よアイレット２４ｂに接続されている。

【００３２】発光管２の外面には始動補助のための近接
導体３１が接近して配置され、あるいはスパイラルに巻
回されている。この近接導体３１は、例えばモリブデ
ン，タングステン，タンタル，ニオビウム，鉄，ニッケ
ル等の少なくとも１種からなる高融点金属からなり、一
端がバイメタル３３片に支持されていると共に、他端は
サポートワイヤ２５に形成した係止部３５に支持されて
いる。なお、３２はゲッターである。

【００３３】このような構成の高圧ナトリウムランプ２
１は、例えば図４に示すように、照明装置４１の光源と
して用いられる。つまり、照明装置４１は照明器具本体
４２の内面に反射面４２ａを有すると共に、下面または
一側面が開口されたハウジング構造をなしている。この
照明器具本体４２の側壁にはソケット４４が取り付けら
れており、このソケット４４内には高圧ナトリウムラン
プ２１の口金２４がねじ込まれて照明器具本体４２に取
り付けられている。

【００３４】ソケット４４は、照明器具本体４２に取り
付けられた、または器具本体４２の外部に設置された安
定器を含む点灯回路４５を介して商用電源４６に接続さ
れるようになっており、例えば電源電圧が２００Ｖ，ラ
ンプ電圧が１００Ｖ±２０Ｖである。この点灯回路４５
の安定器は始動用の高圧パルスを出力するイグナイター
を有する専用安定器である。なお、図４中高圧ナトリウ
ムランプ２１をセラミックメタルハライドランプに置換
してもよい。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１〜４の各
発明においては、透光性アルミナセラミックス製の発光
管の少なくとも内面に窒化改質層等の窒素を含む層を形
成しているので、この窒化改質層により、発光物質のナ
トリウムと発光管のアルミナとの反応を有効に防止する
ことができる。したがって、発光物質であるナトリウム
の消失を有効に防止することができる。加えて発光管の
単位容積当りのナトリウムの封入量を０．１mg／cc以
下、同じく水銀の封入量を３．４mg／cc以下のほぼ完全
蒸発量に規定しているので、光束維持率と光色変化率の
向上を図ることができる。

【００３６】また、この窒化改質層は、発光管を構成す
るアルミナ（Ａｌ₂Ｏ₃）と窒素（Ｎ₂）とが置換され
た反応構造からなる層であるから、径方向に傾斜構造に
なっていて、ひび割れや剥離，脱落などが発生する心配
がない。

【００３７】請求項５の点灯装置と、請求項６または７
の照明装置は、請求項１〜４のいずれかのセラミックス
放電灯を具備しているので、これらセラミックス放電灯
と同一の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のセラミックス放電灯の一実施例である
高圧ナトリウムランプの一例の縦断面図。

【図２】本発明のセラミックス放電灯の他の実施例であ
る高圧ナトリウムランプの一例の縦断面図。

【図３】図１で示す高圧ナトリウムランプを外管内に収
容した外管付高圧ナトリウムランプの一例の正面図。

【図４】本発明に係る点灯装置および照明装置の一実施
例の構成図。

【符号の説明】

１，２１高圧ナトリウムランプ２発光管（モノリシック形）２ａ，２ｅ発光管本体２ｂ，２ｃ，２ｆ，２ｇ発光管端部３ａ，３ｂ一対の貫通孔４ａ，４ｂ一対の導電体６ａ，６ｂ一対の電極９窒化改質層２２外管２４口金２５サポートワイヤ２７ステム３１近接導体４１照明装置４２照明器具本体４２ａ反射面４４ソケット４５点灯回路４６電源

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者青木貴之東京都品川区東品川四丁目３番１号東芝ライテック株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】透光性アルミナセラミックスよりなる発
光管と；発光管内に封入される熱伝導率の低い希ガス
と；発光管内に封入されて、点灯中ほぼ完全に蒸発する
ナトリウムおよび水銀と；発光管内に放電を発生せしめ
る手段と；発光管の少なくとも内表面に形成された窒素
原子を含む層と；を具備していることを特徴とするセラ
ミックス放電灯。
【請求項２】ナトリウムは、発光管内にその単位容積
当り０．１mg／cc以下封入され、水銀は、発光管内にそ
の単位容積当り３．４mg／cc以下封入されていることを
特徴とする請求項１記載のセラミックス放電灯。
【請求項３】発光管が筒状本体とその軸方向両端部と
を一体に成形してなることを特徴とする請求項１または
２記載のセラミックス放電灯。
【請求項４】発光管が筒状本体とその軸方向両開口端
にそれぞれ気密に封着される両端部とを別体に形成して
なることを特徴とする請求項１または２記載のセラミッ
クス放電灯。
【請求項５】請求項１〜４のいずれか１項に記載のセ
ラミックス放電灯と；この放電灯に電力を給電して安定
的に点灯せしめる点灯回路と；を具備していることを特
徴とするセラミックス放電灯。
【請求項６】請求項１〜４のいずれか１項に記載のセ
ラミックス放電灯と；この放電灯を収容する器具本体
と；を具備していることを特徴とするセラミックス放電
灯。
【請求項７】請求項５記載の点灯装置と；放電灯を収
容する器具本体と；を具備していることを特徴とする照
明装置。