JPH08261263A - 防振装置および防振装置の製造方法 - Google Patents

防振装置および防振装置の製造方法

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JPH08261263A
JPH08261263A JP6369395A JP6369395A JPH08261263A JP H08261263 A JPH08261263 A JP H08261263A JP 6369395 A JP6369395 A JP 6369395A JP 6369395 A JP6369395 A JP 6369395A JP H08261263 A JPH08261263 A JP H08261263A
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JP
Japan
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elastic body
mounting sleeve
rubber elastic
tubular member
vulcanized
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JP6369395A
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English (en)
Inventor
Akira Ide
明良 井出
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゴム弾性体の筒部材に対する接着強度を有利
に且つ安定して得ることの出来る、コスト性および製作
性に優れた筒型の防振装置を提供すること。 【構成】 SBR系ゴム組成物によって形成されたゴム
弾性体16の外周面に、PPE系樹脂組成物によって形
成された取付スリーブ18を加硫接着し、該取付スリー
ブ18を、合成樹脂材料によって形成された筒部材14
の取付孔30に固着することによって、筒型の防振装置
を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、防振連結すべき一方の部材に取
り付けられる支軸部材と、該支軸部材の外側に所定距離
を隔てて配されて防振連結すべき他方の部材に取り付け
られる筒部材とを、それらの間に介装されたゴム弾性体
によって弾性的に連結した防振装置に関するものであ
り、特に、自動車用の筒型エンジンマウントや連結ロッ
ド等に有利に適用される防振装置および防振装置の製造
方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】振動伝達系を構成する部材間に介装される
防振連結体乃至は防振支持体の一種として、特公昭56
−12734号公報等に開示されているように、支軸部
材とその外側に所定距離を隔てて配された筒部材とを、
それらの間に介装されたゴム弾性体で連結することによ
って構成された防振装置が知られており、特に、近年に
おいては、軽量化や低コスト化等のために、従来では金
属製とされていた筒部材を、繊維強化ポリアミド等の合
成樹脂製とすることが検討されている。
【0003】ところが、合成樹脂製の筒部材を採用する
と、ゴム弾性体と筒部材の接着が面倒で十分な接着力を
得難いという問題があった。即ち、金属製の筒部材を用
いる従来のものと同様に、予め形成した筒部材に接着剤
を塗布してゴム弾性体を加硫接着した場合には、筒部材
が合成樹脂製で絞り加工が困難であるために、ゴム弾性
体に加硫後の予備圧縮を加えることが難しく、引張歪み
が残って十分な耐久性が得られ難いという問題があった
のであり、また、逆に、先に加硫成形したゴム弾性体に
接着剤を塗布した後、該ゴム弾性体を樹脂成形型内にセ
ットし、該ゴム弾性体の周りに筒部材を樹脂成形して固
着した場合には、既にゴム弾性体が加硫されているため
に十分に信頼性のある接着特性を得難いことに加えて、
ゴム弾性体が変形するために接着剤の塗布が難しく、正
しくマスキングしないとゴム弾性体が成形型に接着され
てしまうおそれもあったのである。
【0004】なお、特公平5−30182号公報には、
PPE(ポリフェニレンエーテル)(PPOと称される
こともある)系樹脂組成物からなる合成樹脂製部材と、
特定のゴム組成物からなるゴム弾性体を採用することに
より、特別な接着剤を用いることなく、それら合成樹脂
部材とゴム弾性体を良好なる接着力をもって接着し得る
技術が開示されているが、PPE系樹脂組成物は、ポリ
アミド等に比べて、材料コストが数倍と高いことに加え
て、引張強度等の物性が劣っている等の問題を有してい
るために、防振装置への適用は、非常に難しかったので
ある。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、ゴム弾性体を合成樹脂製の筒部材に対して
容易に且つ大きな強度で固着することが出来、しかも、
筒部材の強度を充分に確保することの出来る、新規な構
造の防振装置と、その有利な製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、支軸部材と、該支軸部材の
外側に所定距離を隔てて配された筒部材との間にゴム弾
性体を介装し、それら支軸部材と筒部材を該ゴム弾性体
で連結した防振装置において、ゴム弾性体をSBR系ゴ
ム組成物によって構成すると共に、該ゴム弾性体の外周
面に、PPE系樹脂組成物によって構成された取付スリ
ーブを加硫接着する一方、筒部材を合成樹脂材料によっ
て形成して、該筒部材の取付孔に取付スリーブを固着し
たことにある。
【0007】また、本発明装置の好ましい第一の態様に
おいては、支軸部材と取付スリーブの間に、周方向所定
幅で軸方向に延びる肉抜部が設けられると共に、取付ス
リーブの肉厚が周方向に変化せしめられて、該肉抜部に
対応する部分が厚肉とされる。
【0008】さらに、本発明は、支軸部材と、該支軸部
材の外側に所定距離を隔てて配された筒部材との間にゴ
ム弾性体を介装し、それら支軸部材と筒部材を該ゴム弾
性体で連結した防振装置を製造するに際して、PPE系
樹脂組成物によって形成された取付スリーブを用い、該
取付スリーブの孔内において、ゴム弾性体をSBR系ゴ
ム組成物によって加硫成形して、該ゴム弾性体を取付ス
リーブの内周面に加硫接着する一方、筒部材を合成樹脂
材料によって形成し、該筒部材の取付孔に取付スリーブ
を固着する防振装置の製造方法をも、特徴とする。
【0009】また、本発明方法の好ましい第一の態様に
おいては、ゴム弾性体を取付スリーブに加硫接着するに
際して、該取付スリーブが、例えばゴム弾性体の加硫成
形型に近い温度にまで、予め加熱される。
【0010】更にまた、本発明方法の好ましい第二の態
様においては、筒部材の形成後、ゴム弾性体が加硫接着
された取付スリーブを、該筒部材の取付孔に圧入固定す
ることによって固着される。
【0011】また、本発明方法の好ましい第三の態様に
おいては、ゴム弾性体が加硫接着された取付スリーブ
を、筒部材の成形型内にセットして該筒部材を成形する
ことによって、筒部材の形成と同時に、取付スリーブが
筒部材に固着される。
【0012】
【作用・効果】本発明に従う構造とされた防振装置にお
いては、ゴム弾性体が、筒部材に対して、取付スリーブ
を介して固着された構造とされていると共に、SBR系
ゴム組成物からなるゴム弾性体とPPE系樹脂組成物か
らなる取付スリーブが採用されていることから、ゴム弾
性体を取付スリーブに対して、特別な接着処理等を必要
とすることなく強固に加硫接着することが出来ると共
に、該取付スリーブを筒部材に対して容易に且つ強固に
固着することが出来る。
【0013】それ故、かかる防振装置においては、ゴム
弾性体を、取付スリーブを介して、筒部材に組み付けた
ことにより、ゴム弾性体に対する接着剤の塗布等の面倒
な作業を必要とすることなく、ゴム弾性体の筒部材に対
する固着強度を有利に得ることが可能となったのであ
る。
【0014】しかも、筒部材としては、ポリアミド等の
安価な材質のものを採用することが出来ることから、大
幅な高コスト化が惹起されるようなこともない。
【0015】また、本発明装置の好ましい第一の態様に
係る防振装置においては、取付スリーブのうち、ゴム弾
性体に設けられた肉抜部によって変形し易くなっている
部分が、厚肉とされていることから、取付スリーブを筒
部材に固着するに際して、該取付スリーブに外力が作用
した場合でも、取付スリーブの変形や損傷が防止され得
て、より大きな固着力を得ることが可能となる。
【0016】さらに、本発明方法に従えば、ゴム弾性体
を取付スリーブに対して加硫接着すると共に、該取付ス
リーブを筒部材に対して機械的構造等をもって固着する
ことにより、ゴム弾性体を、ポリアミド等の安価な材質
で形成された筒部材に対して、ゴム弾性体への接着剤の
塗布等の面倒な作業を必要とすることなく、強固に固着
せしめることが出来るのである。
【0017】また、本発明方法の好ましい第一の態様に
係る防振装置の製造方法においては、ゴム弾性体におけ
る加硫成形後の冷却時に、該ゴム弾性体の外周面に加硫
接着された取付スリーブも冷却されることによって熱収
縮することから、かかる取付スリーブの収縮によってゴ
ム弾性体に生ずる引張歪みが軽減乃至は解消され得る。
【0018】更にまた、本発明方法の好ましい第二の態
様に係る防振装置の製造方法においては、圧入により取
付スリーブを筒部材に対して固着することによって、取
付スリーブを介して、ゴム弾性体を筒部材に対して強固
に固着することが出来る。
【0019】また、本発明方法の好ましい第三の態様に
係る防振装置の製造方法においては、筒部材の形成と同
時に、取付スリーブが筒部材に対して固着されることか
ら、特別な固着工程が必要でないことに加えて、筒部材
の成形後の熱収縮によって取付スリーブの外周面に圧力
が及ぼされることから、筒部材と取付スリーブが強固に
固着されると共に、取付スリーブを介してゴム弾性体に
絞り効果が及ぼされ得る。
【0020】更にまた、本発明方法の好ましい第三の態
様に係る防振装置の製造方法においては、筒部材に対し
て取付スリーブを圧入する必要がないことから、例え
ば、取付スリーブの軸方向両端面に係止されて軸方向の
抜けを阻止するストッパ部を筒部材に一体的に形成する
ことも可能となり、このような構成を採用すれば、筒部
材に対する取付スリーブ、ひいてはゴム弾性体の固着強
度を一層有利に得ることが出来る。
【0021】また、本発明方法の好ましい第三の態様に
係る防振装置の製造方法においては、筒部材に対して取
付スリーブを圧入する必要がないことから、例えば、取
付スリーブの軸方向両端面に延び出して軸方向に所定高
さで突出する緩衝ゴムをゴム弾性体に一体的に形成する
ことも可能となり、このような構成を採用すれば、特別
な製造工程や部品点数の増加を伴うことなく、緩衝ゴム
を付与することが出来る。
【0022】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明する。
【0023】先ず、図1及び図2には、本発明の一実施
例としての自動車用エンジンマウント10が示されてい
る。このエンジンマウント10は、支軸部材としての内
筒部材12と筒部材としてのブラケット14が、それら
の間に介装されたゴム弾性体16によって弾性的に連結
された構造を有しており、内筒部材12およびブラケッ
ト14が、図示しないパワーユニットおよびボデーの各
一方に対してそれぞれ取り付けられることにより、パワ
ーユニットとボデーの間に介装されて、パワーユニット
をボデーに対して防振支持するようになっている。
【0024】より詳細には、内筒部材12は、小径の円
筒形状を有しており、例えば金属や合成樹脂等の剛性を
有する材質によって形成されている。そして、この内筒
部材12の中心孔に挿通されるロッド等を介して、該内
筒部材12が、パワーユニットおよびボデーの何れか一
方に取り付けられるようになっている。また、この内筒
部材12の外側には、径方向外方に所定距離を隔てて、
略楕円形断面の薄肉筒形状を有する取付スリーブ18が
配設されている。更に、これら内筒部材12と取付スリ
ーブ18の間に、ゴム弾性体16が介装されている。即
ち、ゴム弾性体16は、全体として略楕円形断面の厚肉
筒形状を有しており、その内周面において内筒部材12
の外周面に加硫接着されていると共に、外周面において
取付スリーブ18の内周面に加硫接着されて、図3及び
図4に示されている如き、一体加硫成形品19として形
成されているのである。
【0025】なお、本実施例では、内筒部材12が、取
付スリーブ18に対して、該取付スリーブ18の長軸方
向(図1中、上下方向)に所定量だけ偏倚して配されて
おり、マウント装着時にパワーユニット荷重が及ぼされ
てゴム弾性体16が弾性変形せしめられた際、内筒部材
12と取付スリーブ18が略同一軸心上に位置せしめら
れるようになっている。
【0026】また、ゴム弾性体16には、主たる振動荷
重の入力方向となる取付スリーブ18の長軸方向で内筒
部材12を挟んで位置する両側部分において、それぞれ
周方向に所定長さで延びる肉抜部としての第一のスリッ
ト20と第二のスリット22が、軸方向に貫通して形成
されており、これら第一及び第二のスリット20,22
によって、マウントばね特性が調節されている。
【0027】更にまた、取付スリーブ18の内周面に
は、軸方向両端部から軸方向中央部分に向かって内径が
漸次小さくなる方向のテーパが付されており、それによ
って、取付スリーブ18の強度向上に加えて、取付スリ
ーブ18のゴム弾性体16に対する接着面積の増加と、
取付スリーブ18のゴム弾性体16からの軸方向の耐抜
け性の向上が、図られている。また、取付スリーブ18
は、その肉厚が周方向に変化させられており、ゴム弾性
体16に設けられた第一及び第二のスリット20,22
が外周面に接近する部分、具体的には第一のスリット2
0の周方向両端部分と第二のスリット22の全周部分
に、それぞれ対応する箇所において、取付スリーブ18
が厚肉化されて厚肉部24,26,28が形成されてい
る。そして、これらの厚肉部24,26,28により、
ゴム弾性体16のうち第一及び第二のスリット20,2
2によって強度の低下した部分が補強されていることに
よって、一体加硫成形品19において、外周面から及ぼ
される外圧に対する強度が確保されるようになっている
のである。
【0028】ここにおいて、上述の如き一体加硫成形品
19を構成するゴム弾性体16としては、SBR系ゴム
組成物を用いて形成されたものが採用される。なお、S
BR系ゴム組成物とは、SBR単独のゴム組成物だけで
なく、SBRにNR,BR等の他種のゴムをブレンドし
たゴム組成物を含む意味であり、好ましくは、取付スリ
ーブに対する接着性を有利に得るために、SBRが10
重量部以上でブレンドされたゴム組成物が採用される。
また一方、取付スリーブ18としては、PPE系樹脂組
成物を用いて形成されたものが採用される。なお、PP
E系樹脂組成物とは、PPE単体だけでなく、PPEを
スチレン系樹脂やポリアミド系樹脂等とアロイ化した変
成PPEも含む意味であり、成形性および強度性等の点
から、好ましくは変成PPEが採用される。
【0029】そして、これらゴム弾性体16と取付スリ
ーブ18は、特公平5−30182号公報に記載の如き
方法に従って共加硫されること等により、ゴム弾性体1
6の外周面に取付スリーブ18が加硫接着されているの
である。具体的には、例えば、ゴム弾性体16の加硫成
形型内に、別途形成した取付スリーブ18と内筒部材1
2をセットした後、ゴム組成物を充填して加熱し、加硫
成形することにより、ゴム弾性体16が取付スリーブ1
8に対して加硫接着されることとなる。なお、その際、
ゴム弾性体16と取付スリーブ18の加硫接着面には、
接着剤の塗布等の特別な処理は不要であり、上述の如
く、SBR系ゴム組成物とPPE系樹脂組成物を採用す
ることによって、充分な加硫接着強度を安定して得るこ
とが出来るのである。
【0030】また、かくの如くゴム弾性体16を加硫成
形するに際しては、加硫成形型内にセットした取付スリ
ーブ18を、加硫温度に近い温度まで加熱しておくこと
が望ましい。それによって、ゴム弾性体16の加硫後冷
却時に取付スリーブ18も冷却されて熱収縮することか
ら、該取付スリーブ18の熱収縮をゴム弾性体16に及
ぼしめて、ゴム弾性体16の内部における引張歪みを小
さくすることが可能となるのである。
【0031】さらに、このような構造とされた一体加硫
成形品19は、ブラケット14に対して組み付けられて
固着されている。ブラケット14は、図1及び図2に示
されているように、中央部分に取付孔30が設けられた
厚肉の円筒状部32に対して、外周面上に延び出す一対
の平板状の取付座31,31が一体形成された構造を有
している。そして、円筒状部32の取付孔30の内部に
一体加硫成形品19が組み込まれている。また、各取付
座31と円筒状部32の間には、補強リブ33が設けら
れていると共に、各取付座31には金属スリーブ34が
貫通して固着されており、該金属スリーブ34に挿通さ
れるボルト等により、ブラケット14が、パワーユニッ
トおよびボデーの何れか他方に取り付けられるようにな
っている。
【0032】また、ブラケット14は、要求される剛性
を有する合成樹脂材料、例えばガラス繊維や炭素繊維等
の繊維状強化材を配合して補強したポリアミド系の樹脂
材料などによって形成されている。そして、特に、本実
施例では、成形型のキャビティ内に一体加硫成形品19
をセットした後、該キャビティ内に成形用樹脂材料を射
出等により充填し、冷却、固化せしめることによって、
ブラケット14が形成されており、それにより、ブラケ
ット14の形成と同時に、特別な作業を必要とすること
なく、一体加硫成形品19がブラケット14に対して組
み込まれている。
【0033】これにより、ブラケット14の成形に際し
て、樹脂材料の充填圧が一体加硫成形品19の取付スリ
ーブ18の外周面に及ぼされると共に、樹脂材料の冷却
収縮による圧力が一体加硫成形品19の取付スリーブ1
8の外周面に及ぼされることとなる。そして、これら充
填圧と収縮圧が取付スリーブ18に及ぼされることによ
り、ブラケット14と取付スリーブ18が強固に締結さ
れると共に、ゴム弾性体16に対し、ブラケット14を
介して、径方向の圧縮力が及ぼされて絞り作用が加えら
れることとなり、ゴム弾性体16の加硫時の引張歪みも
有利に軽減乃至は解消され得るのである。なお、取付ス
リーブ18とブラケット14は、特別な接着処理を施さ
なくても、充分な固着力を得ることが出来るが、必要に
応じて、予め取付スリーブ18の外周面に接着処理を施
しておいても良い。
【0034】また、本実施例においては、図3及び図4
にも示されているように、一体加硫成形品19を構成す
るゴム弾性体16に対して、第一のスリット20および
第二のスリット22の各外周側部分において、径方向外
方に延び出して軸方向外方に向かって突出する円弧状の
緩衝ゴム35,36が、それぞれ、一体的に形成されて
いる。そして、これらの緩衝ゴム35,36は、ブラケ
ット14の円筒状部32の軸方向端面に密着されて、該
円筒状部32の軸方向端面から軸方向外方に向かって突
出して位置せしめられており、ブラケット14が、かか
る緩衝ゴム35,36を介して、内筒部材12側に固設
された図示しない変位規制部材に対して当接されること
により、内筒部材12とブラケット14の相対変位量、
換言すればゴム弾性体16の弾性変形量が、緩衝的に制
限されるようになっている。
【0035】従って、上述の如きエンジンマウント10
においては、SBR系ゴム組成物からなるゴム弾性体1
6とPPE系樹脂組成物からなる取付スリーブ18を採
用し、該取付スリーブ18を介して、ゴム弾性体16を
ブラケット14に固着せしめたことにより、ゴム弾性体
16への接着剤の塗布等の面倒な作業を必要とすること
なく、ゴム弾性体16のブラケット14に対する充分な
固着強度を得ることが可能となったのである。
【0036】しかも、PPE系樹脂組成物からなる取付
スリーブ18自体によってブラケットを構成するもので
ないから、耐荷重性等のマウント強度の低下や大幅な高
コスト化が問題となることもない。
【0037】また、取付スリーブ18は薄肉であり、ブ
ラケット14の組付け時に及ぼされる圧力が取付スリー
ブ18を介してゴム弾性体16に及ぼされて絞り作用が
加えられて、ゴム弾性体16における引張歪みの残留も
有効に軽減乃至は解消されることから、優れた耐久性が
発揮され得る。
【0038】さらに、本実施例においては、一体加硫成
形品19の存在下に成形材料を充填することによりブラ
ケット14が形成されていることから、ブラケット14
に一体加硫成形品19を組み付けるための特別な作業が
不要で、より優れた製作性が発揮され得ると共に、成形
材料の充填圧と冷却収縮圧が取付スリーブ18に及ぼさ
れて、取付スリーブ18とブラケット14との固着強度
が一層有利に確保され得るのである。
【0039】そして、特に、本実施例のエンジンマウン
ト10においては、取付スリーブ18が、ゴム弾性体1
6のスリット20,22に対応する部分において厚肉部
24,26,28とされており、外圧に対する強度が確
保されていることから、取付スリーブ18に対してブラ
ケット14による固着力および縮径力が一層有利に及ぼ
され得るのである。
【0040】加えて、本実施例においては、一体加硫成
形品19をブラケット14の円筒状部32に対して圧入
等する必要がないことから、緩衝ゴム35,36をゴム
弾性体16によって一体形成することが出来るのであ
り、それによって部品点数の増加や製作性の低下を伴う
ことなく、緩衝ゴムを形成することが出来るといった利
点もある。
【0041】因みに、上述の如き本実施例構造のエンジ
ンマウントと、取付スリーブを設けずにゴム弾性体の外
周面をブラケットに対して直接に固着せしめた比較例構
造のエンジンマウントとについて、製品重量(軽量
性),ゴム弾性体の信頼性(残留引張歪みの大きさ),
ゴム弾性体の接着信頼性,製造コスト性等に関して、そ
れぞれ評価した結果を、下記〔表1〕に示す。また、取
付スリーブとして、本発明に従うPPE系樹脂製のもの
に代えて、鉄製およびポリアミド製のものを採用した場
合について、それぞれ、同様な評価を行い、それらの結
果も参考例として〔表1〕に併せ示す。
【0042】
【表1】
【0043】かかる〔表1〕の結果からも、本発明に従
う構造とされたエンジンマウントの有利性が明らかに認
められるところである。
【0044】次に、図5及び図6には、本発明の別の実
施例としてのエンジンマウント38が示されている。な
お、本実施例では、前記第一の実施例と同様な構造とさ
れた部材および部位に対して、図面中に、それぞれ、第
一の実施例と同一の符号を付することとし、それらの部
材および部位についての説明を省略する。
【0045】すなわち、本実施例のエンジンマウント3
8においては、ゴム弾性体16の外周面に加硫接着され
た取付スリーブ18が、周方向および軸方向の全面に亘
って略一定の厚さをもって形成されている。また、一体
加硫成形品19には、軸方向両側に突出する緩衝ゴム
(35,36)が一体形成されていない。
【0046】このような構造とされたエンジンマウント
38にあっては、取付スリーブ18の形状が単純で製作
が容易であると共に、一体加硫成形品19を、別途形成
したブラケット14の円筒状部32に対して、圧入する
ことによって組み付けて固着することが可能となる。
【0047】次に、図7及び図8には、本発明の更に別
の実施例として、自動車用トルクロッド等として用いら
れる、防振ブッシュが組み込まれた樹脂製の連結ロッド
42が示されている。なお、本実施例においても、前記
第一の実施例と同様な構造とされた部材および部位に対
して、図面中に、それぞれ、第一の実施例と同一の符号
をすることとし、それらの部材および部位についての説
明を省略する。
【0048】本実施例の連結ロッド42は、第一の実施
例のブラケット14と同様な樹脂材料によって形成され
ており、軸方向一方の側に筒状部としてのアームアイ4
4を一体的に有している。そして、このアームアイ44
に対して、第一の実施例と略同様な構造とされた一体加
硫成形品19が組み付けられている。
【0049】また、本実施例でも、第一の実施例と同
様、アームアイ44の成形型のキャビティ内に一体加硫
成形品19をセットした状態下で、該キャビティに成形
樹脂材料を充填することによって連結ロッド42が形成
されることにより、連結ロッド42の形成と同時に一体
加硫成形品19がアームアイ44に組み付けられること
となるが、特に、本実施例では、アームアイ44におい
て、取付スリーブ18の軸方向両側に回り込んで、該取
付スリーブ18の軸方向両端面に重ね合わされる環状の
係止ストッパ46,46が一体的に形成されている。
【0050】すなわち、このような係止ストッパ46,
46を一体形成したことにより、一体加硫成形品19の
アームアイ44に対する固着強度を、一層有利に得るこ
とが出来るのである。
【0051】なお、連結ロッド42の軸方向他方にも、
アームアイ48が形成されて防振ブッシュ50が組み付
けられているが、この防振ブッシュ50のアームアイ4
8に対する組付構造にも、本発明を適用することが可能
である。
【0052】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、か
かる具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0053】例えば、取付スリーブと筒部材との固着力
をより向上させるために、取付スリーブの外周面に凹凸
を付したり、貫通穴を設けたりすること等も可能であ
る。
【0054】また、ゴム弾性体の具体的形状は要求され
る防振特性等に応じて適宜に変更されるものであり、ス
リット等の肉抜部も、必要に応じて形状変更されたり、
採用されなかったりするものである。
【0055】加えて、前記実施例では、本発明を自動車
用のエンジンマウントや連結ロッドに適用したものの具
体例を示したが、その他、本発明は、各種の防振装置に
対しても適用可能である。
【0056】その他、一々列挙はしないが、本発明は当
業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加
えた態様において実施され得るものであり、また、その
ような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何
れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言
うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのエンジンマウントを
示す正面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントを構成する一
体加硫成形品を示す正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面図である。
【図5】本発明の別の実施例としてのエンジンマウント
を示す正面図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】本発明の更に別の実施例としての連結ロッドを
示す正面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
10,38 エンジンマウント 12 内筒部材 14 ブラケット 16 ゴム弾性体 18 取付スリーブ 19 一体加硫成形品 42 連結ロッド 44 アームアイ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支軸部材と、該支軸部材の外側に所定距
    離を隔てて配された筒部材との間にゴム弾性体を介装
    し、それら支軸部材と筒部材を該ゴム弾性体で連結した
    防振装置において、 前記ゴム弾性体をSBR系ゴム組成物によって構成する
    と共に、該ゴム弾性体の外周面に、PPE系樹脂組成物
    によって構成された取付スリーブを加硫接着する一方、
    前記筒部材を合成樹脂材料によって形成して、該筒部材
    の取付孔に前記取付スリーブを固着したことを特徴とす
    る防振装置。
  2. 【請求項2】 前記支軸部材と前記取付スリーブの間
    に、周方向所定幅で軸方向に延びる肉抜部が設けられて
    いると共に、かかる取付スリーブの肉厚が周方向に変化
    せしめられて、該肉抜部に対応する部分が厚肉とされて
    いる請求項1に記載の防振装置。
  3. 【請求項3】 支軸部材と、該支軸部材の外側に所定距
    離を隔てて配された筒部材との間にゴム弾性体を介装
    し、それら支軸部材と筒部材を該ゴム弾性体で連結した
    防振装置を製造するに際して、 PPE系樹脂組成物によって形成された取付スリーブを
    用い、該取付スリーブの孔内において、前記ゴム弾性体
    をSBR系ゴム組成物によって加硫成形して、該ゴム弾
    性体を該取付スリーブの内周面に加硫接着する一方、前
    記筒部材を合成樹脂材料によって形成し、該筒部材の取
    付孔に前記取付スリーブを固着することを特徴とする防
    振装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ゴム弾性体を前記取付スリーブに加
    硫接着するに際して、該取付スリーブを予め加熱してお
    く請求項3に記載の防振装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記筒部材の形成後、前記ゴム弾性体が
    加硫接着された前記取付スリーブを、該筒部材の取付孔
    に圧入固定して固着する請求項3又は4に記載の防振装
    置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ゴム弾性体が加硫接着された前記取
    付スリーブを、前記筒部材の成形型内にセットして該筒
    部材を成形することにより、該筒部材の形成と同時に、
    該取付スリーブを該筒部材に固着する請求項3又は4に
    記載の防振装置の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009228830A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Bridgestone Corp 防振マウント
JP2010255822A (ja) * 2009-04-28 2010-11-11 Bridgestone Corp 防振装置およびその製造方法
JP2011011475A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 防振装置の製造方法
JP2011220435A (ja) * 2010-04-08 2011-11-04 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 防振装置の製造方法

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