JPH08260288A - 立毛布帛および立毛布帛の製造方法 - Google Patents

立毛布帛および立毛布帛の製造方法

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JPH08260288A
JPH08260288A JP7095986A JP9598695A JPH08260288A JP H08260288 A JPH08260288 A JP H08260288A JP 7095986 A JP7095986 A JP 7095986A JP 9598695 A JP9598695 A JP 9598695A JP H08260288 A JPH08260288 A JP H08260288A
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JP
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napped
yarn
shrinkage
fibers
yarns
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JP7095986A
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English (en)
Inventor
Hidenobu Honda
秀信 本田
Shinzo Nishizumi
真三 西角
Sadao Miura
貞夫 三浦
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】立毛繊維として高収縮糸と低収縮糸のポリエス
テル系混繊糸を含み、これらの沸水収縮率差が5〜15
%、160℃乾熱収縮率差が15〜40%であり、これ
ら2種の立毛本数が全立毛本数の15%以上であるカッ
トパイル立毛織物を130℃以下で乾熱処理を行ない、
その後立毛面が外側になる様に筒状にとじ合わせ、11
0〜140℃で高圧液流染色するスワカラ調、アストラ
カン調立毛布帛の製造方法。 【効果】スワカラ調やアストラカン調人工毛皮の提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スワカラ調やアストラ
カン調と言われている立毛繊維が柄状に不規則に向いた
立毛布帛及びその製造方法に関する。
【0002】詳しくは、立毛が波状(ウエーブ)や巻き
毛(カール)、まだら模様など独特の模様を有し、毛足
が短くなめらかな手ざわりと絹のような光沢がある毛皮
の中でも特に最高級品と評価されているスワカラやアス
トラカンと呼ばれる毛皮に非常に近似していて、また特
に、従来の類似のものに比べて立毛層の外観が良好であ
る特殊な立毛布帛及びその製造方法に関するものであ
る。
【0003】この発明による立毛布帛は、特に毛皮調に
限定されるものではないが、毛皮に近似していることか
ら、高級衣料やシート地として用いられるのが最適なも
のである。
【0004】
【従来の技術】スワカラやアストラカンと呼ばれる天然
の毛皮は、偶蹄目ヒツジ属カラクル種のヒツジの生後半
月ぐらいまでの毛皮で、毛足は短く柔らかくなめらかな
手ざわりで独特の波状の斑紋や巻毛があり絹のような光
沢がある、繊細な美しさをもつ毛皮のため、最高級毛皮
として取り扱われている。ゆえに人工的にそれらを作ろ
うとしても近寄り難いものの一つである。
【0005】そのため、天然毛皮は依然として高価なも
のであり、ステータス・シンボルとして、あるいは超高
級ファション衣料素材としてゆるぎない地位にある。
【0006】一方、このような天然毛皮に対し、最近
は、とみに動物愛護や自然保護といった運動の機運が高
まり天然毛皮により近い人工毛皮の開発が期待されてい
る。
【0007】従来立毛布帛に柄状模様を付与する方法と
しては、エンボス加工、意匠シャリング加工、溶剤を用
いてのプリント加工、あるいはナッピング加工等がある
が、これらの方法はナッピング加工を除いていずれも規
則性のある模様を付与する方法であって、スワカラやア
ストラカン等の天然毛皮に見られる不規則な立毛構造の
柄状模様を付与することは極めて困難である。
【0008】またナッピング加工においても、その仕上
がり品は、毛玉の大きさが不揃いであり、その模様は不
規則であるが、前述の他の方法と同様スワカラやアスト
ラカン等の天然毛皮の模様にはほど遠いものである。
【0009】たとえば、立毛布帛に柄状模様を付与する
方法としては、実公昭33−3682号公報に見られる
如く、立毛布帛表面に蒸気をノズルから噴射する方法も
あるが、この方法においてもノズルの機械的運動がその
まま立毛面に投影されるのみで規則的な模様しか得られ
ない。
【0010】また特公昭47−27834号公報の如
く、立毛繊維を一方向に倒伏させたシート状立毛布帛に
樹脂液を塗布した後、倒伏立毛繊維をかきおこす方向に
ナイフドクターを断続的に押圧し擦過させ、乾燥して風
紋状凹凸模様を付与する方法もあるが、これも同様に規
則的な模様しか得られず、しかも風合いが硬くなる欠点
を有している。
【0011】更に特公昭57−210059号公報の如
く、立毛繊維を長手方向に倒伏させ立毛面に摩擦係数低
下剤を部分的に付与し、その後該布帛物を移動させなが
らスリット状の噴射口から加熱流体を立毛面に噴射させ
ると同時に擦過せしめ、立毛繊維を部分的に異なる方向
にむけて模様を付与する方法もあるが、立毛面に摩擦係
数低下剤を部分的に不規則な柄状に付与するのは困難で
ある、またスリット状の擦過体で擦過させるため摩擦係
数低下剤が付与されていない部分はサザ波調の単調な模
様となって面白味がない物が得られる。
【0012】一方、以前から、単なる毛布様としか言い
ようのないものなどをはじめとして、天然毛皮調をうた
い文句にした立毛布帛は数多く提案されてきている。近
年も、上述動物愛護運動の高まりなどとともに、より高
級な天然毛皮調をねらった提案も古くから数多く見られ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、前
述したような点に鑑み、立毛構造や触感が天然の高級毛
皮の柄状模様を有するスワカラやアストラカンに非常に
近似していて、また、特に従来の類似のものに比べても
不規則な柄状模様と立毛層の繊細な柔らかいタッチや絹
のような光沢による外観が特に良好なハイレベルの立毛
布帛を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の立毛布帛は、次の構成を有する。すなわち、ポ
リエステル系繊維からなる立毛を有するカットパイル立
毛布帛であって、立毛繊維として高度に収縮した糸と低
度に収縮した糸の混繊糸を含み、これら2種の立毛本数
が全立毛本数の15%以上であり、立毛繊維が不規則な
方向を向き、波状、巻き毛状およびまだら状のいずれか
1種以上の模様を有することを特徴とする立毛布帛であ
る。
【0015】また、本発明の立毛布帛の製造方法は、次
の構成を有する。すなわち、立毛繊維として高収縮糸と
低収縮糸のポリエステル系混繊糸を含み、これらの沸水
収縮率差が5〜15%、160℃乾熱収縮率差が15〜
40%であり、これら2種の立毛本数が全立毛本数の1
5%以上であるカットパイル立毛織物を130℃以下で
乾熱処理を行ない、その後立毛面が外側になる様に筒状
にとじ合わせ、110〜140℃で高圧液流染色するこ
とを特徴とする立毛布帛の製造方法である。
【0016】以下、さらに詳しく本発明について説明す
る。
【0017】本発明において立毛繊維となるポリエステ
ル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合
体があげられる。好ましくはポリエチレンテレフタレー
トが良い。このポリエステルあるいはポリエチレンテレ
フタレートは製造工程において副生成される範囲内でジ
エチレングリコールなどを主鎖に含んでいてもかまわな
い。
【0018】高収縮糸に用いられる共重合ポリエステル
の第三成分として、シュウ酸、セバシン酸、フタル酸、
イソフタル酸などテレフタル酸以外のジカルボン酸類、
ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどエ
チレングリコール以外のジグリコール類、ビスフェノー
ルA又はビスフェノールスルフォンなどビスフェノール
類からなる群から選ばれた2種以上を5モル%以上18
モル%以下に共重合させたものを用いることも好まし
い。
【0019】特に収縮差混繊糸の製造方法の中で生産性
の点で最も優れた紡糸混繊方式をとることが可能となる
ので、低収縮糸をポリエステルとし、収縮の最も大なる
繊維群(高収縮糸)には第三成分を共重合せしめた共重
合ポリエステルとすることが好ましい。ここにおいて安
定な製糸が可能であって、なおかつ収縮差混繊糸の収縮
特性が容易に得られるため、共重合量は5モル%以上1
8モル%以下とすることがより好ましい。
【0020】通常、収縮差混繊糸の高収縮糸に用いられ
る共重合ポリエステルの第三成分としては、シュウ酸、
セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン
酸類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール
のグリコール類の他、ビスフェノールA、ビスフェノー
ルスルフォン等や、これらのうちの2種以上の第三成分
を同時に共重合させたものが挙げられる。
【0021】本発明における特定の共重合ポリエステル
としては、これらの共重合ポリエステルのうちアルカリ
減量速度がポリエステルのアルカリ減量速度よりも単位
表面積当たりのアルカリ減量速度比で1.3以上3.1
以下大きいものを好適に選択できる。特にビスフェノー
ルA1モル%以上とイソフタル酸3モル%以上をとも
に、第三成分として共重合した共重合ポリエステルを高
収縮糸とする収縮差混繊糸は製糸が容易であり、最終製
品である立毛布帛にした場合、立毛構造が天然の高級毛
皮であるスワカラやアストラカンに非常に近似してるの
で好ましい。
【0022】本発明において用いる高収縮糸と低収縮糸
についての沸水収縮率差、160℃乾熱収縮率差とは、
最高収縮糸と最低収縮糸との差である。例えば3種以上
のフィラメント糸を用いた場合、中間の収縮率を有する
糸との差ではない。
【0023】本発明で用いる収縮差混繊糸は、例えば、
特公昭51−30620号公報や特開昭49−7244
9号公報などに示されるような通常の混繊紡糸と延伸に
より得られる。
【0024】本発明の異収縮糸の混繊方法としては、未
延伸糸を延伸しながら混繊する方法、延伸後に延伸糸を
混繊する方法、また各延伸糸を静電気あるいは流体で開
繊し、混繊する方法がある。
【0025】他方、本発明の紡糸時に同時に紡糸して得
られる収縮差混繊糸を製造する方法としては、特開平3
−59130号公報に開示されたような方法で、紡糸時
において共重合ポリエステルからなる高収縮糸と非共重
合ポリエステルからなる低収縮糸を同時に紡出し、高収
縮糸と低収縮糸との混合未延伸糸として巻取り、その後
該未延伸糸を延伸する紡糸混繊方法が最も生産性の上で
有利であり、このような同時紡糸混繊マルチフィラメン
ト糸を用いることも好ましい。
【0026】この製糸工程において、製編織における工
程通過性を向上させる観点から、流体交絡処理を付与す
ることが好ましい。好ましい交絡度の範囲は5〜60コ
/mである。
【0027】この様にして得られた収縮差混繊糸をパイ
ル糸として用い、二重製編織機にて製編織し、タテパイ
ル糸をナイフで切りパイル編織物を2枚得る。フィラメ
ント糸使いのためほぼ全立毛繊維がパイルカット長の長
さの分布を示している。
【0028】その後、該編織物のパイル裏面側に適宜ポ
リウレタン、アクリル等の接着性重合体を用い裏面から
バッキング加工を施し、さらにパイル面に対して毛さば
き処理を施して解繊と遊び毛などを適宜に除去する。た
だし地組織や、編織密度により立毛繊維の抜けが問題な
ければ省略してもよい。バッキング加工は染色前または
後どちらでも良く適宜選べば良い。染色後バッキングは
染色時には樹脂が付着されてないために風合いが柔らか
く小さな柄状模様がでやすい。
【0029】次にパイル面に対してレイジイング機で毛
さばき処理を施して、立毛繊維を開繊する。パイルカッ
ト斑による立毛繊維の長短差が出た場合等シャーリング
マシンにて一定長まで刈り込みを実施する。
【0030】次に、高圧液流染色機にて染色後、仕上げ
剤を付与し、レイジング機で毛さばき処理を施し製品と
する。
【0031】立毛繊維の単繊維繊度は、繊維同士が絡み
合って、見栄えが悪くなることを防ぐ一方、太くなり過
ぎて柄状模様が出にくくなるのを防止する観点から、
0.5デニールから5デニールの範囲とすることが好ま
しい。立毛繊維長は5mm以上20mmが好ましい。
【0032】本発明において用いる高収縮糸と低収縮糸
の沸水収縮率差は5〜15%とするものである。沸水収
縮率差5%未満の場合には、熱処理により2種以上の繊
維のケン縮状態が非常に似かより、繊維が重なった様な
形態となり1本1本独立した立毛繊維とならず見栄えを
悪くする。また、収縮率の絶対値が低い繊維同士であれ
ば、ボリューム不足となり地割れや、立毛のヘタリが大
きくなりスワカラ調やアストラカン調の立毛布帛として
は不十分である。また収縮率の絶対値が高い繊維同士で
あれば、ケン縮発現が大きく、ボリームが出過ぎて立毛
繊維同士が絡み合いモヤモヤとした見栄えが悪い立毛布
帛となり、なめらかな手ざわり性も悪くなる。一方、沸
水収縮率差が15%を越える場合には、収縮させた後の
繊維長差が大きすぎて人工的な不自然さを感じさせ、ま
た、高収縮糸の物性に問題が出てくる。
【0033】また、本発明において用いる高収縮糸と低
収縮糸の160℃乾熱収縮率差は15〜40%とするも
のである。160℃乾熱収縮率差が15%未満の場合に
は、熱処理により2種以上の繊維のケン縮状態が非常に
似かより、繊維が重なった様な形態となり1本1本独立
した立毛繊維とならず見栄えを悪くする。また、収縮率
の絶対値が低い繊維同士であれば、ボリューム不足とな
り地割れや、立毛のヘタリが大きくなりスワカラ調やア
ストラカン調の立毛布帛としては不十分である。また収
縮率の絶対値が高い繊維同士であれば、ケン縮発現が大
きく、ボリームが出過ぎて立毛繊維同士が絡み合いモヤ
モヤとした見栄えが悪い立毛布帛となり、なめらかな手
ざわり性も悪くなる。一方、160℃乾熱収縮率差が4
0%を越える場合には、収縮させた後の繊維長差が大き
すぎて人工的な不自然さを感じさせ、また、高収縮糸の
物性に問題が出てくる。
【0034】立毛を構成する高収縮糸と低収縮糸の各々
の立毛本数は、全立毛本数の15%以上とするものであ
る。15%未満であれば同一繊維が多くなりケン縮形態
がほぼ同じとなり繊維同士が重なり合って1本1本開繊
されにくく見栄えの悪い製品となる。
【0035】パイル糸の熱による収縮発現処理は、染色
加工前に130℃以下の乾熱処理を行なうものである。
また特別に収縮発現処理を行わなくても、該人工毛皮の
通常の乾燥工程において発現させることも出来る。
【0036】乾熱処理温度により収縮率が異なるので1
30℃以下の一定処理温度で実施しなければならない。
乾熱処理温度130℃を越えると染色工程の湿熱処理に
よるケン縮の伸長が行なわれにくく、ケン縮がそのまま
残りスワカラ調のなめらかな手ざわりと絹のような光沢
が得られない。130℃以下の最適な温度により適度な
ケン縮が発現すると同時に、収縮差により立毛の長短お
よびケン縮の度合いの異なる立毛繊維で構成されるパイ
ル布帛が得られる。また乾熱収縮発現処理を行なわない
場合には、いきなり染色工程の湿熱処理となるため沸水
収縮率差は乾熱収縮率差より少ないため低収縮糸と高収
縮糸が1本1本ばらけずに束状にかたまった状態で見栄
えの悪い物となる。
【0037】立毛布帛の染色方法は、通常のポリエステ
ル布帛に用いられる高圧液流染色法により、立毛布帛の
立毛面が外側になる様に筒状にとじ合せて染色する。筒
状にとじ合せなければ柄状模様を特に幅方向に均一に発
生させることができない。また、高圧液流染色法によら
なければ、柄状模様を特に長さ方向に均一に発生させる
ことができない。
【0038】投入反の立毛方向は反の進行方向に対して
正または逆どちらでも良いが、逆方向のほうが立毛が起
こされる方向のため小さい模様が出やすく好ましい。染
色は110℃以上140℃以下の温度、好ましくは12
0〜130℃の範囲で行なうものである。110℃未満
では十分に発色させることができず、一方、140℃を
越える場合には立毛のケン縮状態が損なわれるなどの問
題がある。
【0039】ノズル圧、反速度は所望の柄状模様の形態
により適宜決めれば良い。
【0040】なお、ここで本発明において収縮差混繊糸
の糸特性の測定法は次の方法によるものである。 <沸水収縮率>糸種ごとに100 mg/d の荷重下で試料長
(L0 )を測定したのち無荷重の状態で20分間沸水処
理を行なう。処理後100 mg/d の荷重下で試料長
(L1 )を測定する。沸水収縮率は(L0 −L1 )/L
0 ×100(%) で求められる。 <160℃乾熱収縮率>糸種ごとに100 mg/d の荷重下
で試料長(L0 )を測定したのち無荷重の状態で160
℃のオーブン中に30分間静置し乾熱処理を行なう。処
理後100 mg/dの荷重下で試料長(L2 )を測定する。
160℃乾熱収縮率(L0 −L2 )/L 2 ×100(%) で
求められる。
【0041】
【実施例】以下、実施例に基づいて、より具体的に本発
明の立毛布帛及びその製造方法について説明をする。 (実施例1)テレフタル酸/エチレングリコールスラリ
を用いてエステル化反応を行なった後、通常の重合反応
を行ないポリエチレンテレフタレートのチップ(チップ
I )を得た。他方テレフタル酸/エチレングリコール及
びイソフタル酸/エチレングリコールスラリを用い、エ
ステル化反応を行なった後、ビスフェノールAと平均粒
径0.5μmの酸化チタンのエチレングリコール溶液
(13.5g /100ml)を添加し、通常の重合反応を行ないイ
ソフタル酸8モル%、ビスフェノールA5モル%共重合
ポリエチレンテレフタレートのチップ(チップII)を得
た。このようにして得られたチップI とチップIIを吐出
孔径の異なる紡糸口金を装着した紡糸機により、紡糸温
度 290℃、紡糸速度 1300m/分で混繊未延伸糸を紡糸し
た、さらにこの混繊未延伸糸を延伸速度 800m /分でホ
ットロール(温度90℃)−熱板(温度 100℃〜180 ℃)
の方式により延伸した。なお、延伸の際にはエア交絡を
施し20コ/mの交絡を付与させ、延伸倍率は延伸糸の
伸度が30〜40%の範囲になるように調整した。得ら
れた収縮差混繊糸は50デニール−24フィラメントで
高収縮糸、低収縮糸共に25デニール−12フィラメン
ト、三角断面形状である。収縮差混繊糸を高収縮糸と低
収縮糸とに分けた後、それぞれ収縮特性を測定した結
果、高収縮糸の沸水収縮率18%、160℃乾熱収縮率
45%、低収縮糸の沸水収縮率7%、160℃乾熱収縮
率17%であった。
【0042】上記収縮差混繊糸50デニールを撚り係数
80コ/mで2本を撚り合わせて約100デニールとし
タテパイル糸として用い、地糸のタテ、ヨコにポリエス
テルステープル繊維1.2d×51mmからなる紡績糸
(60S/2)を使用し、二重パイル織機にてタテパイ
ル糸をナイフで切りながらタテパイル織物を2枚織成し
た。その時の製織性は良好であった。
【0043】地織密度はタテ×ヨコ:96本×61本/
2.54cm、パイル密度はタテ96本/2.54cmで1
6越ファーストパイルである。カット高さ(長さ)は1
1mmに設定した。得られた生機を乾燥機にて120℃、
3分間の乾熱処理を行ないケン縮の発現を行なった。低
収縮糸のパイル長10mmで高収縮糸のパイル長9mmであ
った。次にアクリル樹脂30%水溶液でバッキングし乾
燥した、アクリル樹脂付着量はドライで30g/m2
あった。その後、レイジング機でパイル繊維の毛さばき
を根元から行ない解繊した。毛並みは長手方向に揃って
いた。
【0044】次に、立毛面が外側になる様に反を筒状に
とじ合わせて高圧液流染色機に投入した。その時の毛並
み方向は反の進行方向に対して逆(さか毛)とした、反
速度は平均100m/分で、染色温度は130℃で実施
した。染色乾燥後の反は立毛繊維の方向が柄状模様に不
規則に向いた布帛であった。次にシリコーン系仕上げ剤
を付与し、レイジング機で立毛の毛さばきを実施し、1
30℃の乾燥機で熱セットを行ない、更にレイジング機
で立毛の毛さばきを行なった。得られたものは、低収縮
糸のパイル長9mmで高収縮糸のパイル長8mmであった。
図1に示されるような天然毛皮のスワカラやアストラカ
ンによく似た柄状模様を有し、柔軟な触感、絹の様な光
沢や色の深み感および毛のそよぎ性、ボリューム感など
において、総合的にスワカラやアストラカンによく似た
優れた高級毛皮調パイル織物であった。この時の布帛物
の目付は550g/m2 であった。
【0045】さらに、この毛皮調パイル織物を、抗ピル
試験機を用い強制立毛もつれ試験に供してみたところ、
立毛繊維どうしのもつれが少ない好ましい製品特性を有
しているものであることが確認できた。 (実施例2)地糸のタテ、ヨコにポリエステル・ステー
プル繊維1.2d×51mmからなる紡績糸(60S/
2)を使用し、パイル糸に沸水収縮率7%、160℃乾
熱収縮率10%からなるポリブチレンテレフタレート1
20D−48F1本と実施例1で用いたポリエチレンテ
レフタレート50D−24F2本のエアー交絡からなる
タスラン加工糸約230Dをパイル糸として用いて、二
重パイル織機にてタテパイル糸をナイフで切りながらタ
テパイル織物を2枚織成した。タスラン加工性、製織性
ともに良好であった。
【0046】地密度はタテ×ヨコ:96本×45本/
2.54cm、パイル密度はタテ96本/2.54cmで1
6越ファーストパイルである。カット高さ(長さ)は1
0mmに設定した。得られた生機を乾燥機にて120℃、
3分間の乾熱処理を行ないケン縮の発現をおこなった。
次に実施例1と同じ染色条件にて染色を行なった、得ら
れた布帛の柄状模様は実施例1よりもさらに細かい物で
あった。次にアクリル樹脂20%水溶液でバッキングし
乾燥した、アクリル樹脂付着量はドライで20g/m2
であった。その後、実施例1と同じ仕上げ剤を付与後、
レイジング機で立毛の毛さばきを実施し、130℃の乾
燥機で熱セットを行ない、更にレイジング機で立毛の毛
さばきを行なった。得られたものは、低収縮糸のパイル
長9mmで高収縮糸のパイル長8mmであった。実施例1に
比べて柄状模様は小さくさらに柔らかな布帛物で、総合
的にスワカラやアストラカンによく似た優れた高級毛皮
調パイル織物であった。この時の布帛物の目付は500
g/m2 であった。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、従来不可能に近いと考
えられていた毛皮の最高級品である柄状模様のあるスワ
カラやアストラカンに非常に近似した人工毛皮を得るこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立毛布帛の表面模様(繊維の形状)の
一例を示す写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06P 3/00 D06P 3/00 M // D01F 6/62 302 D01F 6/62 302H 303 303K 6/84 301 6/84 301D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系繊維からなる立毛を有する
    カットパイル立毛布帛であって、立毛繊維として高度に
    収縮した糸と低度に収縮した糸の混繊糸を含み、これら
    2種の立毛本数が全立毛本数の15%以上であり、立毛
    繊維が不規則な方向を向き、波状、巻き毛状およびまだ
    ら状のいずれか1種以上の模様を有することを特徴とす
    る立毛布帛。
  2. 【請求項2】立毛繊維の単繊維繊度が0.5〜5デニー
    ル、立毛長が5〜20mmであることを特徴とする請求
    項1記載の立毛布帛用織物。
  3. 【請求項3】立毛繊維として高収縮糸と低収縮糸のポリ
    エステル系混繊糸を含み、これらの沸水収縮率差が5〜
    15%、160℃乾熱収縮率差が15〜40%であり、
    これら2種の立毛本数が全立毛本数の15%以上である
    カットパイル立毛織物を130℃以下で乾熱処理を行な
    い、その後立毛面が外側になる様に筒状にとじ合わせ、
    110〜140℃で高圧液流染色することを特徴とする
    立毛布帛の製造方法。
  4. 【請求項4】高収縮糸として、テレフタル酸以外のジカ
    ルボン酸類、エチレングリコール以外のジグリコール
    類、ビスフェノール類からなる群から選ばれた2種以上
    を5〜18モル%共重合させたポリエステル系繊維を用
    いることを特徴とする請求項3記載の立毛布帛の製造方
    法。
  5. 【請求項5】立毛繊維として、紡糸時において共重合ポ
    リエステルからなる高収縮糸と非共重合ポリエステルか
    らなる低収縮糸を同時に紡糸して得られるマルチフィラ
    メント混繊糸を用いることを特徴とする請求項3記載の
    立毛布帛の製造方法。
  6. 【請求項6】立毛繊維の単繊維繊度が0.5〜5デニー
    ル、立毛長が5〜20mmであることを特徴とする請求
    項3記載の立毛布帛の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016106716A (ja) * 2014-12-03 2016-06-20 ユニチカトレーディング株式会社 清掃布

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