JPH08259339A

JPH08259339A - 混銑車内張り不定形耐火物

Info

Publication number: JPH08259339A
Application number: JP7061203A
Authority: JP
Inventors: Kazuhiko Kawasaki; 川崎　　和彦; Yasukuni Tanaka; 泰邦田中; Junji Yamada; 淳二山田; Taijiro Matsui; 泰次郎松井
Original assignee: Kurosaki Refractories Co Ltd; Nippon Steel Corp
Current assignee: Kurosaki Refractories Co Ltd; Nippon Steel Corp
Priority date: 1995-03-20
Filing date: 1995-03-20
Publication date: 1996-10-08

Abstract

(57)【要約】【目的】混銑車内張りの不定形耐火物化を達成するた
めに、施工性と共に耐久性に優れた混銑車内張り不定形
耐火物を提供する。【構成】ＭｇＯ含有量が５〜３０重量％であり、鉱物
相がスピネル単味又はスピネルとコランダムの混合相と
からなり、且つ、粒径が０．２ｍｍ以上のＭｇＯ−Ａｌ
₂Ｏ₃スピネル系骨材を１０〜６０重量％と、炭化珪素
を５〜２０重量％と、カーボンを０．５〜７重量％と、
残部にアルミナ系耐火骨材を含有しており、これに、適
正量のリン酸、リン酸塩、珪酸塩、アルミナセメント、
シリカゾル、アルミナゾル、硼酸塩、乳酸塩、水溶性高
分子などの結合剤、リン酸塩、珪酸塩、スルホン酸塩、
ポリアクリル酸あるいはその塩、その他、界面活性剤な
どの分散剤、シリコン、フェロシリコン、窒化物、ホウ
素化合物、ガラス粉末等の酸化防止剤、有機繊維、無機
繊維等の爆裂防止剤、超微粉シリカ等の強度付与剤を配
合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、混鉄車内張りれんがに
代わって使用される不定形耐火物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、混銑車内張り用耐火物としては、
耐食性、耐酸化性、耐スポーリング性、容積安定性など
の観点からＡｌ₂Ｏ₃−ＳｉＣ−カーボンれんがが使用
されてきたが、一方では、内張り用耐火物の低コスト
化、施工の簡略化、施工工数の短縮化による混銑車のト
ータルコストメリットを得るために、特開平６−３４１
７６８号公報、特開平６−３３０１２９号公報、特開平
３−１０２１９０号公報、実開平６−８５３５０号公報
には、混銑車の内張り箇所にセットした中子に不定形材
料を圧送、圧入、流し込み等によって不定形耐火物層を
形成することが開示されている。このように混銑車内張
り酎火物として不定形耐火物を使用する場合には、形成
された耐火物層は、不定形耐火物特有の施工性、耐爆裂
性を失うことなく、れんがに匹敵する耐食性、耐酸化
性、耐スポーリング性、容積安定性、耐アプレージョン
性等の特性を有していなければならない。しかも、これ
等の諸特性は、混銑車が魚雷型の特異な形状を有するた
めに、高炉樋、取鍋等の溶融金属容器への不定形耐火物
の適用と比較して高い精度の形状の維持が必要とされ
る。

【０００３】さらには、混銑車は溶銑予備処理技術の導
入により、輪送、貯蔵容器としての機能の他に反応容器
としての機能が付加された。この溶銑予備処理に際して
の、溶銑中のＳｉ、Ｐ、Ｓなどの不純物の一部あるいは
ほとんどを除去するための酸化鉄、石灰等のフラックス
をインジェクションするのは、混銑車の内張り耐火物の
侵食が強力に促進されることになる。

【０００４】したがって、混銑車内張り不定形化を達成
するためには、このような侵食作用に耐え、れんが内張
りの混銑車に匹敵する２年以上の耐久性が得られる不定
形耐火物が必要とされる。具体的には、高塩基度、高Ｆ
ｅＯスラグに耐え、かつ耐スポーリング性に優れた混銑
車内張り不定形耐火物を必要とする。

【０００５】このような必要条件下においては、従来か
ら、溶銑用不定形耐火物として汎用されているカーボン
原料、炭化珪素原料は、スラグと濡れにくく、また耐ス
ポーリング性にも優れており極めて効果的な原料である
が、高ＦｅＯ含有スラグの場合、液相酸化によりカーボ
ンの消失あるいはＳｉＣの分解によるＳｉＯ₂ガラスの
生成により耐スラグ性の面では十分な効果が得られな
い。特にカーボンの酸化やＳｉＣの変質によって、稼動
面は短期間で不定形耐火物中の組織、組成変化を生じ、
損耗速度が増大する。この改善策としては溶融金属容器
用の炭素含有れんがに広く用いられている金属Ａｌの添
加が最も効果的と考えられる。しかしながら、混銑車内
張り不定形耐火物の場合、前述の特開平６−３４１７６
８号公報等に開示された施工法において用いられる中子
と混銑車の鉄皮間は、不定形耐火物等によってほぼ完全
に密閉された状態になることから、水和反応によりＨ₂
ガスを発生する金属Ａｌの添加は、安全性の点から絶対
に避けなければならない。このため、特開昭５５−９５
６８１号公報、特開昭５８−１９０８７６号公報等に
は、この水和反応を抑制するために添加する金属Ａｌを
樹脂などで被覆することが提案されているが、金属Ａｌ
の場合、どのような前処理を行っても水和反応を完全に
抑制することは困難である。

【０００６】また、耐酸化性を改善するための方策とし
て、特開平５−１９４０４４号公報にはカーボン原料に
親水性処理を施して低水分化することが、また、特開昭
５８−１５１３６９号公報、特開平２−１０２１７２号
公報等には、Ｂ₄Ｃ、ガラス粉末等を添加することが提
案されている。これらの方策によって耐酸化性の改善効
果は認められるが、アルミナ−炭化珪棄−カーボンれん
がに匹敵する耐スラグ性を得るためには不十分である。

【０００７】さらには、高塩基度、高ＦｅＯスラグに対
する改善策としてＭｇＯ原料を使用することが特開平４
−２１５７５号公報に提案されているが、高膨張性や熱
間でのスピネル化反応に伴う組織の緻密化により耐スポ
ーリング性に難があることから混銑車内張り用としては
適していない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、混銑
車内張りの不定形耐火物化を達成するために、施工性と
共に耐久性に優れた混銑車内張り不定形耐火物を提供す
ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】不定形耐火物に組成、粒
径を特定したスピネル系骨材を適正量添加することによ
って、混銑車の内張りに適した不定形耐火物が得られる
ことを見出した。

【００１０】すなわち、本発明の混銑車内張り不定形耐
火物は、ＭｇＯ含有量が５〜３０重量％であり、鉱物相
がスピネル単味又はスピネルとコランダムの混合相から
なり、且つ、粒径が０．２ｍｍ以上のＭｇＯ−Ａｌ₂Ｏ
₃スピネル系骨材を１０〜６０重量％と、炭化珪素を５
〜２０重量％と、カーボンを０．５〜７重量％と、残部
にアルミナ系耐火骨材を含有していることを特徴とす
る。

【００１１】スピネル系骨材は、ＭｇＯ−Ａｌ₂Ｏ₃質
のものであり、ＭｇＯ含有量が５〜３０重量％の範囲で
あれば、電融品、焼結品いずれも使用できる。スピネル
系原料中のＭｇＯ含有量は、５重量％未満の場合は、耐
ＦｅＯ性、施工性においての効果が乏しく、３０重量％
を超える場合には、原料中にフリーのぺリクレース相が
存在することから、施工体乾燥中に、水蒸気による消化
現象が生じ、組織、強度を劣化させる。

【００１２】その鉱物相は、スピネル単味又はスピネル
とコランダムの混合相を主にするものであり、フリーの
ＭｇＯがある場合、消化反応により施工体に亀裂が発生
することから、存在してはならない。

【００１３】スピネル系原料は、その粒径が、０．２ｍ
ｍ未満の場合、及びあるいは、スピネル系原料の使用量
が６０重量％を超える場合は、高塩基度、高Ｔ．Ｆｅ下
の脱Ｐ、脱Ｓ条件では、良好な耐スラグ性が得られる
が、低塩基度、高Ｔ．Ｆｅの脱Ｓｉ条件では、耐スラグ
性の効果が乏しいので０．２ｍｍ以上が必要である。ま
た、スピネル系原料の使用量が１０重量％未満の場合
は、高塩基度、高Ｔ．Ｆｅの脱Ｐ、脱Ｓ条件下での耐ス
ラグ性の効果が乏しく、施工性に関する効果も得られな
い。

【００１４】炭化珪素原料としては、とくに限定されな
い。

【００１５】カーボン原料としては、鱗状黒鉛、土状黒
鉛などの天然黒鉛、キッシュ黒鉛、人造黒鉛、無煙炭、
各種ピッチ、コークス粉、カーボンブラック、メソフェ
ーズカーボン等の公知のカーボン原料が使用できる。

【００１６】炭化珪素原料が２０重量％を超える場合、
あるいはカーボン原料が７重量％を超える場合は、施工
体の異種原料の比重差に伴う原料同志の分離が生じ、良
好な施工体が得にくくなる。また、混銑車内張り用とし
ては、焼結強度が低く、また施工体背面部の酸化が生じ
やすくなることから、長期使用に対する施工体の安定性
にかける。ＳｉＣ原料が５重量％未満の場合及びあるい
はカーボン原料が０．５重量％未満の場合は、混銑車内
張り用として必要とする耐スポーリング性が得られな
い。

【００１７】アルミナ質原料としては、電融アルミナ、
焼結アルミナ、ボーキサイト、バン土頁岩、シリマナイ
ト、アンダリュサイト、合成ムライト、ロー石、仮焼ア
ルミナ等があり、これらの１種又は２種以上を選択し、
粒度構成を調整して使用する。

【００１８】上記耐火原料の使用に際しては、結合剤、
分散剤、酸化防止剤、爆裂防止剤、強度付与剤等を選択
的に配合する。

【００１９】結合材としては、リン酸、リン酸塩、珪酸
塩、アルミナセメント、シリカゾル、アルミナゾル、硼
酸塩、乳酸塩、水溶性高分子などを用いることができ
る。

【００２０】また、分散剤としては、リン酸塩、珪酸
塩、スルホン酸塩、ポリアクリル酸あるいはその塩、そ
の他、界面活性剤などを使用することができる。

【００２１】また、酸化防止剤としては、シリコン、フ
ェロシリコン、窒化物、ホウ素化合物、ガラス粉末等
を、さらに、爆裂防止を目的として有機繊維、無機繊
維、強度付与剤として超微粉シリカ等を本発明の効果を
阻害しない範囲で使用できる。

【００２２】

【作用】本発明は、ＳｉＣ、カーボンに対するスラグ中
ＦｅＯの影響を極力排除することを特徴としている。ス
ピネル系骨材原料は、外来成分であるＦｅＯを容易に固
溶するが、ＣａＯ、ＳｉＯ₂成分には関与しないことか
ら低粘性のＣａＯ−ＳｉＯ₂−ＦｅＯ系スラグを稼働面
近傍で増粘させ、スラグ成分の浸透を抑制し、これによ
って、ＦｅＯのカーボン、ＳｉＣへの直接的影響を抑制
することができる。そして、その増粘された反応層が保
護膜となり、それが気相の侵入を抑制することから、内
張り施工体中のカーボン及びＳｉＣの酸化を抑制し、施
工体強度、組織を安定させる。また、カーボン、ＳｉＣ
が長期に亘り安定して存在することから、２年以上使用
される混銑車内張りに適用しても、カーボン、ＳｉＣ添
加による耐スポーリング性の効果が維持することが可能
となる。

【００２３】更に、本発明のスピネル系原料の使用は、
高純度アルミナ原料に比較し、低比重であることから、
他の配合原料との比重差が小さくなり、圧送、流し込み
施工時の分離抑制に寄与し、良好な施工体を形成するこ
とが容易となる。

【００２４】これによって、混銑車内張り用として不定
形耐火物の適用が可能となる。

【００２５】

【実施例】表１に、本発明のスピネル系原料の組成と製
法を示す。

【００２６】表２に、本発明のスピネル系原料を用いた
混銑車内張り用不定形耐火物の組成と特性を示す。また
表３にその比鮫例を示す。

【００２７】

【表１】

【表２】

【表３】原料組成にそれぞれ適量の水分を添加、混練、流し込
み、２４時間養生後脱枠し、１１０℃で２４時間乾燥
後、以下の試験を行なった。

【００２８】分離試験は、１００φ×２００高さの金枠
に混練後の各試料を流し込み、３分加振（３Ｇ）後の分
離層の厚みを測定した（粒径＋１ｍｍの骨材原料を含ま
ない層の厚み）。

【００２９】酸化試験は、各試料を電気炉内空気中雰囲
気１４００℃で３時間焼成し、焼成後の脱炭厚みから酸
化性指数を算出した。酸化性指数は、比較例１を１００
とし、数値が小さいもの程耐酸化性に優れている。

【００３０】侵食試験は、回転侵食にて、スラグは、
Ｃ／Ｓ＝３．５、トータルＦｅ＝８（脱Ｐ条件）、Ｃ
／Ｓ＝３．５、トータルＦｅ＝８（脱Ｓｉ条件）の２水
準のスラグ、メタルは銑鉄を用い、１５５０℃×５Ｈの
条件で行なった。電融アルミナ骨材、黒鉛１５重量％、
炭化珪素１０重量％からなり、フェノール樹脂を結合剤
とした不焼成アルミナ−炭化珪素−カーボンれんがの溶
損量を１００とし、各試料の溶損量から溶損指数を得
た。溶損指数の数値は、小さいものほど耐食性に優れる
ものである。

【００３１】耐スポール性試験は、高周波炉内１６００
℃で溶解した銑鉄中へ３０ｍｍ×６０ｍｍ×２３０ｍｍ
の試料を９０秒浸漬し、その後３０秒水冷と１５分空冷
を５回繰り返した。試験中の剥落の有無、試験後の亀裂
の程度から耐スポール性を評価した。

【００３２】消化試験は、４０×４０×１６０ｍｍ形
状、２４時間養生後試料にて、オートクレープ装置を使
用し、ゲージ圧４ｋｇ／ｃｍ²×３Ｈの条件で行い、試
験後の試料の亀裂の発生の有無で評価した。

【００３３】アルミナ系原料は、純度９９％の電融アル
ミナの通常公知の整粒品を用いた。

【００３４】炭化珪素原料は、純度９７％で粒径０．２
ｍｍ以下に整粒されたものを使用した。

【００３５】カーボン原料は、公知のピッチ、人造黒
鉛、カーボンブラックを組み合わせて使用した。また、
各種結合剤、各種繊維、各種金属粉、各種炭化物、各種
超微粉などを使用した使用効果は周知のことであるが、
操業条件によって加除されるものもあり、代表的なもの
を用いた。

【００３６】なお、分散剤と有機繊維、水分は外掛け表
示とした。

【００３７】表２における実施例１〜１０に示す本発明
の範囲のものは、耐食性、耐分離性などで優れた数値を
示している。

【００３８】これらの本発明の実施例に係る不定形耐火
物を、容量３５０ｔの混銑車において、施工厚３３０ｍ
ｍ、施工量９０ｔを内張りした所、従来のアルミナ−炭
化珪素−カーボンれんがでライニングされた混銑車に匹
敵する１０００ｃｈ以上の耐久性が得られた。実炉使用
時、施工体中の炭化珪素とＦ．Ｃ（固定炭素）の平均値
の変化を図１、図２に示す。本発明品は炭化珪素、Ｆ．
Ｃの減量速度がゆるやかであり、稼動末期まで組織変化
が小さい。

【００３９】比較例１は、従来のアルミナ−炭化珪素−
カーボン質不定形耐火物である。比較例２〜７は、スピ
ネル系原料の原料粗成、粒度、使用量が本発明の組成範
囲を逸脱したものである。

【００４０】比較例８〜１１は、炭化珪素、カーボン原
料の使用量が特許請求の範囲を逸脱したものである。

【００４１】これらの比較例から分るように、スピネル
系原料の原料組成、粒度、使用量が特定範囲を逸脱して
いる場合、耐食性、耐酸化性、耐スポール性、耐分離
性、耐消化性のいずれかに関して劣っている。なお、実
施例には一部の原料、結合剤の例を挙げたが、他に示し
た原料及びバインダーにおいても同様の効果が得られる
ことは言うまでもない。

【００４２】

【発明の効果】本発明の混銑車用の不定形耐火物によっ
て以下の効果を奏する。

【００４３】（１）従来の中子をセットし、不定形材料
を圧送、圧入、流し込み等による施工法によって不定形
耐火物による混銑車の内張りの形成を可能とする。

【００４４】（２）施工性、耐食性を同時に向上させる
ことができ、溶銑予備処理の過酷な使用条件にも充分に
対応できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】施工体中の炭化珪素の平均値の変化を示す。

【図２】施工体中のＦ．Ｃの平均値の変化を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者山田淳二北九州市戸畑区飛幡町１−１新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者松井泰次郎北九州市戸畑区飛幡町１−１新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ＭｇＯ含有量が５〜３０重量％であり、
鉱物相がスピネル単味又はスピネルとコランダムの混合
相とからなり、且つ、粒径が０．２ｍｍ以上のＭｇＯ−
Ａｌ₂Ｏ₃スピネル系骨材を１０〜６０重量％と、炭化珪素を５〜２０重量％と、カーボンを０．５〜７重量％と、残部にアルミナ系耐火骨材を含有していることを特徴と
する混銑車内張り不定形耐火物。