JPH08257875A - 切削加工方法および切削加工用移動経路データの設定方法 - Google Patents

切削加工方法および切削加工用移動経路データの設定方法

Info

Publication number
JPH08257875A
JPH08257875A JP6247695A JP6247695A JPH08257875A JP H08257875 A JPH08257875 A JP H08257875A JP 6247695 A JP6247695 A JP 6247695A JP 6247695 A JP6247695 A JP 6247695A JP H08257875 A JPH08257875 A JP H08257875A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tool
cutting
rotary cutting
amount
feed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6247695A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukitaka Fujitani
幸孝 藤谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP6247695A priority Critical patent/JPH08257875A/ja
Publication of JPH08257875A publication Critical patent/JPH08257875A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 送り速度が小さくなる低速領域で回転切削工
具の撓み変形量の変化に起因して食込みが生じることを
防止する。 【構成】 回転切削工具の移動経路データCLを作成す
る際に、設定送り速度で切削加工を行う場合の工具の撓
み変形に伴う刃先位置の軸方向変位量を補正量zとして
算出する(S6)とともに、NC工作機械の減速機能に
よって送り速度が遅くなるピック動作部などの低速領域
を移動経路データCLから求め(S7,S8)、その低
速領域では上記補正量zだけ回転切削工具が被削物から
離間するように移動経路データCLを補正する(S
9)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は切削加工方法および切削加工用移
動経路データの設定方法に係り、特に、送り速度の変化
に伴う回転切削工具の撓み変形量の変化に起因する食込
みを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】NC(数値制御)工作機械を用いて回転
切削工具を軸心まわりに回転駆動しつつその軸心と交差
する方向を含んで予め定められた移動経路データに従っ
て被削物に対して相対移動させることにより、その被削
物に自由曲面等の所定の切削加工を行うことが、金型加
工など各種の分野で広く実施されている。特開昭55−
58949号公報に記載の装置はその一例で、工具を回
転駆動する主軸とZ軸との平行度誤差を考慮し、工具の
軸方向長さに応じて移動経路データのX軸方向位置,Y
軸方向位置を補正するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
切削加工においては、回転切削工具の送り速度が変化す
るとそれに伴って回転切削工具の撓み変形量が変化する
ため、送り方向(加工進行方向)が急激に変化する部位
で送り速度が減速されると、回転切削工具の撓み変形が
戻って真っ直ぐになり、他の部分に比較して食込みを生
じ、深く削り過ぎるという問題があった。工具の撓み変
形量は送り速度が速い程大きく、近年の高速化に伴って
切削加工時の撓み変形量は大きくなる傾向にあるが、送
り方向が180°変化するピック動作部などでは要求加
工精度を確保するために例えば1/3〜1/5程度まで
送り速度が落とされるため、この送り速度の大きな変化
に起因して上記問題が顕在化してきたのである。NC工
作機械は、送り方向が変化する部分で自動的に減速する
減速機能を備えているのが普通である。また、上記のよ
うに局部的に深く削り過ぎた場合、これを周囲の形状と
馴染ませるように手作業などで修正するためには、その
周辺を比較的広範囲に亘って削り落とす必要があり、修
正作業が面倒で時間がかかる。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、送り速度が小さくな
る低速領域で回転切削工具の撓み変形量の変化に起因し
て食込みが生じることを防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】かかる目的を達成
するために、第1発明は、回転切削工具を軸心まわりに
回転駆動しつつその軸心と交差する方向を含んで被削物
に対して相対移動させることにより、その被削物に所定
の切削加工を行う切削加工方法において、前記回転切削
工具を第1送り速度で相対移動させるとともにその第1
送り速度よりも低速の第2送り速度で相対移動させなが
ら切削加工を行う場合に、その第2送り速度で相対移動
させる低速領域で、送り速度の変化に伴う前記回転切削
工具の撓み変形量の変化に起因する刃先位置の軸方向変
位量を略最小値として定められた所定の補正量だけ、そ
の回転切削工具の軸方向位置を前記被削物から相対的に
離間させることを特徴とする。
【0006】
【作用】すなわち、相対的に送り速度が遅くて回転切削
工具の撓み変形量が小さくなる低速領域、具体的には第
2送り速度で相対移動が行われる領域では、回転切削工
具の軸方向位置を被削物から相対的に離間させるのであ
り、これにより減速時や加速時の撓み変形量の変化に起
因する低速領域での食込み(削り過ぎ)が防止される。
特に、本発明では撓み変形量の変化に起因する刃先位置
の軸方向変位量を略最小値として補正量が定められ、そ
の補正量だけ回転切削工具の軸方向位置を相対変位させ
るものであるため、食込みがより確実に防止される。回
転切削工具の撓み変形に伴う刃先位置の軸方向変位量
は、工具のヤング率,工具長などの諸元や比切削抵抗,
送り速度などの切削条件等から演算式に従って求めた
り、予め実験などで求めたりすることができ、この軸方
向変位量に基づいて補正量を定めることができる。
【0007】ここで、撓み変形量の変化に起因する刃先
位置の軸方向変位量を補正量とすれば、送り速度の変化
に伴う回転切削工具の撓み変形量の変化に起因する加工
誤差が解消するが、制御誤差や切削条件の変動などで食
込みを生じる恐れがある一方、多少削り残しを生じる程
度に補正量を大きめに設定しておけば、その削り残し部
分を除去するだけで良いため、食込みが生じた場合に比
較して修正範囲が小さく、修正作業を容易且つ迅速に行
うことができる。大きめの補正量は、例えば設定送り速
度などの第1送り速度で切削加工が行われる場合の回転
切削工具の撓み変形に伴う刃先位置の軸方向変位量、言
い換えれば回転切削工具の撓みが解消して真っ直ぐに戻
る場合の変位量などで、その場合には食込みを確実に防
止しつつ削り残しを最小にできる。
【0008】なお、第2送り速度で相対移動させる低速
領域は必ずしも一定速度である必要はなく、加減速範囲
を有する場合は、その加減速範囲を含めることが望まし
い。すなわち、相対的に送り速度が遅くなって回転切削
工具の撓み変形量が小さくなる領域が低速領域で、その
部分の送り速度が第2送り速度であり、第1送り速度を
含めて必ずしも一定速度である必要はないのである。
【0009】
【第1発明の効果】このように、本発明によれば低速領
域での食込みが略防止され、その後の手作業などによる
修正が容易となる。
【0010】
【課題を解決するための第2の手段】第2発明は、NC
工作機械を用いて回転切削工具を軸心まわりに回転駆動
しつつその軸心と交差する方向を含んで予め定められた
移動経路データに従って被削物に対して相対移動させる
ことにより、その被削物に所定の切削加工を行うに際し
て、前記移動経路データを設定する方法であって、
(a)前記NC工作機械の減速機能に基づいて、前記移
動経路データから前記相対移動させる際の送り速度が小
さくなる低速領域を求める低速領域演算工程と、(b)
前記送り速度の変化に伴う前記回転切削工具の撓み変形
量の変化に起因する刃先位置の軸方向変位量を略最小値
として補正量を設定する補正量設定工程と、(c)前記
低速領域で前記回転切削工具の軸方向位置を前記補正量
だけ前記被削物から相対的に離間させるように前記移動
経路データを補正する補正工程とを有することを特徴と
する。
【0011】
【作用】すなわち、この第2発明は前記第1発明の切削
加工方法に従って切削加工が行われるようにNC工作機
械の移動経路データを設定する方法に関するもので、先
ず低速領域演算工程において、NC工作機械の減速機能
に基づいて、予め定められた移動経路データから送り速
度が小さくなる低速領域を求める。NC工作機械の減速
機能は、例えば送り方向の変化角度と減速割合との関係
や減速送りを行うための加減速度などで、移動経路デー
タから分かる送り方向の変化角度と設定送り速度とか
ら、送り方向変化領域(ピック動作部など)の低速送り
速度を求めるとともに、その低速送り速度と加減速度と
から減速領域および加速領域を求めることができ、減速
開始から一定の低速送りとなり、その後加速して元の設
定送り速度となるまでの領域を低速領域とする。NC工
作機械の減速機能は機種によって異なるが、その減速機
能に従って設定送り速度より遅い送り速度で相対移動さ
せられる領域を低速領域として求めれば良い。
【0012】次の補正量設定工程では、上記送り速度の
変化に伴う回転切削工具の撓み変形量の変化に起因する
刃先位置の軸方向変位量を略最小値として補正量を設定
し、補正工程では、上記低速領域で回転切削工具の軸方
向位置を上記補正量だけ前記被削物から相対的に離間さ
せるように移動経路データを補正する。そして、このよ
うな移動経路データを用いてNC工作機械により切削加
工を行えば、ピック動作部などの低速領域では回転切削
工具の軸方向位置が被削物から相対的に離間させられる
ため、減速時や加速時の撓み変形量の変化に起因する低
速領域での食込みが防止される。特に、撓み変形量の変
化に起因する刃先位置の軸方向変位量を略最小値として
補正量が定められ、その補正量だけ回転切削工具の軸方
向位置が相対変位させられるため、食込みがより確実に
防止される。
【0013】
【第2発明の効果】このように、本発明においても前記
第1発明と同様に低速領域での食込みが略防止され、そ
の後の手作業などによる修正が容易となる。また、本発
明ではNC工作機械の減速機能に応じて移動経路データ
を補正するようにしているため、NC工作機械の減速制
御をそのまま利用でき、大掛かりな設計変更が必要な
い。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は請求項1および請求項2に記載の
発明方法を好適に実施できるNC加工システムを説明す
る機能ブロック線図で、10は移動経路データCLを含
むNCデータを作成するためのCAM(Computer Aided
Manufacturing)システム、11はそのNCデータを記憶
する磁気テープや磁気ディスクなどの記憶媒体であるN
Cデータメモリ、12はNCデータに従って切削加工を
行うNC工作機械である。NC工作機械12はNC制御
部14およびNC動作部16を備えており、NC動作部
16は、例えば図3に示すように回転切削工具としての
ボールエンドミル18、そのボールエンドミル18をZ
軸と平行な軸心まわりに回転駆動する主軸回転駆動手段
20、およびボールエンドミル18をX軸,Y軸,Z軸
方向へ3次元的に平行移動させる送り駆動手段22を有
し、ボールエンドミル18を回転駆動しつつ軸心と交差
する方向を含んで予め定められた上記移動経路データC
Lに従って被削物24に対して相対移動させることによ
り、その被削物24に自由曲面等の所定の切削加工を行
う。主軸回転駆動手段20は例えばサーボモータなどの
電動モータであり、送り駆動手段22は例えば3軸方向
へそれぞれ移動させる3組の送りねじおよびその送りね
じを回転駆動するサーボモータなどを含んで構成され
る。
【0015】前記CAMシステム10は、CPU,RA
M,ROMなどを備えたマイクロコンピュータを利用し
てNCデータを作成するもので、機能的にCL作成処理
手段28,低速領域演算手段30,補正量演算手段3
2,およびCL補正手段34を備えており、データベー
ス36から必要な情報を読み込みながら図2に示すフロ
ーチャートに従ってNCデータの中の移動経路データC
Lを作成する。データベース36には、移動経路データ
CLを作成するのに必要な情報、具体的には製品形状デ
ータや加工に使用する工具形状、例えばボールエンドミ
ル18の半径などの他、切削加工時のボールエンドミル
18の撓み変形に伴う刃先位置の軸方向変位量を求める
ために必要な情報、具体的には工具のヤング率E、断面
2次モーメントI、工具長L、被削物24の比切削抵抗
ptなどが記憶されている。
【0016】図2において、ステップS1〜S3はCL
作成処理手段28によって実行され、先ずステップS1
では、キーボード等の入力操作手段に対する作業者の入
力操作などに従って、データベース36から加工しよう
とする製品形状データおよび使用するボールエンドミル
18のデータを読み込み、液晶パネルなどの画像表示装
置上に製品形状すなわち加工表面形状を表示するととも
に、その加工表面からボールエンドミル18の半径寸法
分だけ離間した位置にオフセット面40(図4参照)を
作成する。ステップS2では、そのオフセット面40を
Z軸方向から見た平面図上、言い換えればX−Yの2次
元平面上に投影した状態で、作業者の入力操作などによ
り工具の移動経路が設定され、ステップS3ではその移
動経路をZ軸方向へ移動させて3次元のオフセット面4
0との交線を求め、その交線を工具中心すなわちボール
エンドミル18の先端半球形状の球中心の移動経路42
として定め、その移動経路42を表すXYZの3次元座
標を移動経路データCLとする。図4は、ボールエンド
ミル18をX軸方向へ往復移動させるとともに、そのX
軸方向の移動端で入力操作などで設定されたピックフィ
ード寸法PだけY軸方向へ移動させて切削加工を行う場
合であるが、この移動経路42は任意に定めることがで
きる。また、移動経路データCLには、上記移動経路4
2の他にアプローチ部44、リトラクト部46に関する
データも含まれる。
【0017】次のステップS4では、食込みを防止する
ための補正処理を行うか否かが作業者の入力操作によっ
て選択される。すなわち、上記移動経路42におけるX
軸方向の移動端で送り方向が180°反転するピック動
作部42aでは、位置精度を確保するためにNC工作機
械12の減速制御によって送り速度Fが小さくされるた
め、その送り速度Fの低下に起因してボールエンドミル
18の撓み変形(しなり)が戻り、被削物24に食い込
んで削り過ぎを生じるため、これをを防止するためにボ
ールエンドミル18をZ軸方向へ逃がすための移動経路
データCLの補正処理を行うか否かを、作業者の入力操
作によって決めるのである。このような食込みは、上記
ピック動作部42aだけでなく、アプローチ部44やリ
トラクト部46などボールエンドミル18の送り方向が
大きく変化する部位では、同様に生じる。アプローチ部
44では、ボールエンドミル18は撓み変形量が略零で
あるが、X軸方向への移動が開始するとその切削抵抗で
撓むため、結果的にアプローチ部44に食込みが生じる
のである。
【0018】製品の裏側など要求加工精度が比較的低
く、食込み防止を必要としない場合には、そのまま移動
経路データCLの作成を終了するが、食込み防止のため
の補正処理を行う場合にはステップS5以下を実行す
る。ステップS5では、ステップS6以下の演算処理で
必要な工具や切削条件に関する情報をデータベース36
から読み込み、ステップS6において補正量zを算出す
る。このステップS6は請求項2の補正量設定工程に相
当するもので前記補正量演算手段32によって実行さ
れ、設定送り速度F1 でボールエンドミル18を移動さ
せながら切削加工を行う場合の図5に示す工具の撓み変
形量(しなり)dを次式(1)に従って算出するととも
に、刃先位置(工具中心)の軸方向変位量ΔLを次式
(2)に従って近似的に算出し、この軸方向変位量ΔL
を補正量zとして設定する。すなわち、本実施例では実
際の送り速度Fの変化とは無関係に、設定送り速度F1
で切削加工が行われる場合の軸方向変位量ΔLだけ工具
中心の軸方向位置が変化しても食込み(削り過ぎ)が生
じないように補正量zが設定されるのであり、アプロー
チ部44での送り速度変化に起因する実際の工具中心の
軸方向変位量とは略一致するが、ピック動作部42aや
リトラクト部46での送り速度変化に起因する実際の工
具中心の軸方向変位量よりは大きな値が設定されること
になる。図5の48は、主軸のチャックである。 d=w・L3 /6・E・I ・・・(1) ΔL=L−√(L2 −d2 ) ・・・(2)
【0019】上記(1)式および(2)式において、E
は工具のヤング率、Iは断面2次モーメント、Lは工具
長で、それぞれデータベース36に記憶されている。ま
た、wは切削抵抗で、次式(3)に示すように工具軸方
向の切込み深さA、工具径方向の最大切屑厚さT(図6
参照)、および比切削抵抗ptを掛算することによって
求められ、最大切屑厚さTは、設定送り速度F1 および
ピックフィード寸法Pから求められる。比切削抵抗pt
はデータベース36に記憶されているが、切込み深さA
や設定送り速度F1 、ピックフィード寸法Pは、作業者
の入力操作などによって設定される。この場合に、送り
速度Fが遅くなると主軸回転数は一定であるから1刃当
たりの送りは小さくなり、表1から明らかなように比切
削抵抗ptは大きくなるが、最大切屑厚さTの減少の割
合の方が大きいため、切削抵抗wとしては小さくなる。
すなわち、切削抵抗wは送り速度Fが大きい程大きくな
り、それに伴って前記撓み変形量dや軸方向変位量ΔL
も大きくなるのである。表1は、主な被削材の比切削抵
抗ptの一例を示したものである。なお、1kgf/mm 2
約9.8MPaである。 w=pt・A・T ・・・(3)
【0020】
【表1】
【0021】次のステップS7およびS8は請求項2の
低速領域演算工程に相当するもので前記低速領域演算手
段30によって実行され、ステップS7では、前記移動
経路データCLを分析して送り方向の変化(角度)がN
C工作機械12によって減速制御が行われる減速角度以
上の減速制御部を求めるとともに、その角度の大きさに
応じて低速送り速度F2 を設定する。また、ステップS
8では、上記減速制御部で低速送り速度F2 となるよう
に送り速度Fを減速および加速する加減速範囲Qを、N
C工作機械12の加減速時の加速度±aから求め、その
加減速範囲Qを含めて設定送り速度F1 よりも低い送り
速度Fでボールエンドミル18が移動させられる低速領
域を求める。前記ピック動作部42aについて、図7お
よび図8を参照しつつ具体的に説明すると、ピック動作
部42aでは送り方向が略180°反転するため最も小
さい割合、例えば設定送り速度F1 の1/3程度の低速
送り速度F2 が設定されるとともに、加速度±aを用い
て加減速範囲Qが次式(4)に従って求められ、その加
減速範囲Qから減速制御開始点Aおよび減速制御終了点
Dが設定される。この減速制御開始点Aから減速制御終
了点Dまでの範囲が低速領域である。 Q={(F1 −F2 )/a}×{(F1 +F2 )/2} ・・・(4)
【0022】なお、上例では送り方向の変化(角度)に
よって低速送り速度F2 が異なり、加減速時の加速度が
一定値±aであるが、低速送り速度F2 が一定であった
り、切削条件によって加減速時の加速度が異なる場合な
ど、NC工作機械12の減速機能は種類によって異なる
ため、使用するNC工作機械12の減速機能に応じて上
記低速領域は求められる。低速領域を求めるのに必要な
NC工作機械12の減速機能は、予め機種毎にデータベ
ース36などに設定されるか作業者の入力操作などで設
定される。
【0023】最後のステップS9は請求項2の補正工程
に相当するもので前記CL補正手段34によって実行さ
れ、ステップS1〜S3で作成された移動経路データC
LのうちステップS8で求められた低速領域の位置デー
タについて、ステップS6で求められた補正量zだけボ
ールエンドミル18が被削物24から離間するようにZ
軸方向の位置を補正する。この補正の態様としては、減
速範囲(図7のA〜B)でボールエンドミル18が滑ら
かに離間させられ、加速範囲(図7のC〜D)で滑らか
に接近させられるようにすることが望ましいが、減速制
御開始点Aで補正量zだけ離間させ、減速制御終了点D
で補正量zだけ接近させるようにしても良い。これによ
り、最終の移動経路データCLが設定され、前記設定送
り速度F 1 や切込み深さA、主軸回転数などの切削条件
に関するデータと共にNCデータメモリ11に記憶され
てNC工作機械12に送られる。
【0024】NC工作機械12のNC制御部14は、C
PU,RAM,ROMなどを備えたマイクロコンピュー
タを含んで構成されており、上記NCデータメモリ11
に記憶されたNCデータに従ってNC動作部16の作動
を制御するもので、機能的に送り速度制御手段50およ
び低速領域演算手段52を備えている。送り速度制御手
段50は、設定送り速度F1 で移動経路データCLが表
す移動経路42に従ってボールエンドミル18が移動す
るように、工具位置検出手段54によって検出される実
際の工具位置と比較しながら前記送り駆動手段22の作
動を制御する。低速領域演算手段52は前記低速領域演
算手段30と機能的に同じもので、移動経路データCL
を分析して減速制御部や低速送り速度F2 を求めるとと
もに、減速制御部で低速送り速度F2 となるように送り
速度Fを減速および加速する加減速範囲Qを求め、その
情報を上記送り速度制御手段50に出力する。送り速度
制御手段50では、低速領域演算手段52から供給され
る情報に従って減速制御を行い、例えばピック動作部4
2aでは図8に示すように送り速度Fを制御する。な
お、図示は省略するが、上記NC制御部14は主軸回転
制御手段も備えており、NCデータメモリ11に設定さ
れた主軸回転数で主軸を回転駆動するように主軸回転駆
動手段20の作動を制御する。
【0025】このような本実施例のNC加工システムに
おいては、CAMシステム10によって移動経路データ
CLを設定する際に、NC工作機械12によって減速制
御が行われる低速領域を求めるとともに、設定送り速度
1 などからボールエンドミル18の撓み変形による軸
方向変位量ΔLを求めて補正量zとし、移動経路データ
CLのうち低速領域のデータについて補正量zだけボー
ルエンドミル18が被削物24から離間するようにZ軸
方向位置が補正される。そして、その移動経路データC
Lに従ってNC工作機械12により切削加工が行われる
と、ピック動作部42aなどの低速領域ではボールエン
ドミル18の軸方向位置が被削物24から上記補正量z
だけ離間させられるため、減速時や加速時の撓み変形量
の変化に起因する低速領域での食込みが防止される。特
に、本実施例では最も速い設定送り速度F1 の時の軸方
向変位量ΔLを補正量zとしているため、低速領域での
食込みが確実に防止される。設定送り速度F1 は請求項
1の第1送り速度に相当し、それより低速の低速領域に
おける送り速度Fは第2送り速度に相当する。
【0026】このように、本実施例では低速領域での食
込みが確実に防止されるため、その後の手作業などによ
る修正が容易となる。すなわち、本実施例では図9の
(a)に示すように低速領域で削り残し60が生じる
が、その場合の修正範囲は、(b)のように低速領域で
食込み62が生じた場合に比較して小さく、容易且つ迅
速に修正作業を行うことができるのである。しかも、設
定送り速度F1 の時の軸方向変位量ΔLを補正量zとし
ているため、食込みを確実に防止しつつ削り残し60を
最小にでき、修正作業が一層容易となる。図9において
斜線で示す部分は、修正作業でグラインダ等により削り
取る部分である。
【0027】また、本実施例ではCAMシステム10で
移動経路データCLを作成する際に、使用するNC工作
機械12の減速機能に応じて低速領域を求めるととも
に、その低速領域における移動経路データCLのZ軸方
向位置を補正量zだけ補正するようになっているため、
NC工作機械12そのものについては何ら設計変更など
を行う必要がなく、従来のNC工作機械12をそのまま
使用できる。
【0028】また、本実施例では低速領域での低速送り
速度F2 とは無関係に、低速領域では一定の補正量zす
なわち設定送り速度F1 での撓み変形による軸方向変位
量ΔLだけZ軸方向位置を補正するようにしているた
め、低速送り速度F2 や加速度±aに応じて極め細かく
補正量zを求める場合に比較して、移動経路データCL
の補正が容易である。
【0029】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通す
る部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0030】前記実施例ではCAMシステム10で移動
経路データCLを作成する際に低速領域における移動経
路データCLのZ軸方向位置を補正量zだけ補正するよ
うになっていたが、例えば図10に示すように、CAM
システム70では前記CL作成処理手段28により移動
経路データCLを作成するだけで、NC工作機械74の
NC制御部76において、前記補正量演算手段32によ
って補正量zを求めるとともに、CL補正手段34によ
り低速領域における移動経路データCLのZ軸方向位置
を補正量zだけ補正するようにしても良い。この場合に
は、設定送り速度F1 や切込み深さAなどの切削条件や
移動経路データCLの他に、補正量zすなわち軸方向変
位量ΔLを求めるのに必要な情報、具体的には工具のヤ
ング率E,断面2次モーメントI,工具長L,比切削抵
抗ptを、データ記憶手段72によってNCデータメモ
リ11に予め記憶しておくことになる。
【0031】この実施例も請求項1および請求項2に記
載の発明の一実施例であるが、低速領域演算手段52で
求めた低速領域をそのまま使って移動経路データCLを
補正できるため、低速領域演算手段52と同じ処理をC
AMシステム10でも行う前記実施例に比較して、移動
経路データCLを補正するための処理や作業が容易にな
るとともに、全体として装置を簡略化できる。
【0032】なお、補正量zを求める補正量演算手段3
2については、本実施例ではNC工作機械74の減速機
能が分からなくても補正量zを求めることができるた
め、CAMシステム70側に補正量演算手段32を設け
て補正量zを求めるとともにNCデータメモリ11に記
憶させるようにし、CL補正手段34のみをNC工作機
械74側に設けるようにしてもよい。
【0033】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、本発明は他の態様で実施することもで
きる。
【0034】例えば、前記実施例では一定の補正量zだ
けZ軸方向位置を補正するようになっていたが、個々の
低速領域での低速送り速度F2 や加減速度に応じて送り
速度変化に起因する軸方向変位量ΔLの変化量を極め細
かく求め、その変化量に対応させてZ軸方向位置を逐次
変化させることにより、食込みおよび削り残しが略零と
なるようにすることも可能である。
【0035】また、前記実施例では回転切削工具として
ボールエンドミル18が用いられていたが、他のエンド
ミルやフライスなどを用いて加工を行う場合にも本発明
は適用され得る。回転切削工具と被削物との相対移動は
必ずしも3次元である必要はなく、回転切削工具の軸心
と直角な2次元平面内で相対移動させて切削加工を行う
場合にも本発明を適用できる。
【0036】また、前記実施例では減速機能を備えてい
るNC工作機械12,74で切削加工を行う場合に、そ
のNC工作機械12,74自体の減速機能による低速領
域で工具を離間させる場合について説明したが、移動経
路データを含むNCデータ自体に低速領域を設定すると
ともに、その低速領域で食込みが生じないように移動経
路データを補正するようにしても良い。
【0037】また、前記実施例では移動経路データCL
を含むNCデータをNCデータメモリ11に記憶してN
C工作機械12,74に送るようになっていたが、ON
ラインなどでCAMシステム10,70から直接NC工
作機械12,74に送ることもできる。
【0038】また、前記実施例では軸方向変位量ΔLを
演算式で求めるようになっていたが、予め実験などで工
具の種類毎に送り速度や被削物の材質などをパラメータ
として軸方向変位量ΔLを求め、それに基づいて補正量
zをデータマップ化してデータベース36などに記憶し
ておいても良い。工具毎に切削条件には制限があるた
め、その切削条件から撓み変形に伴う刃先位置の最大軸
方向変位量を求めて補正量zとし、実際の切削加工時の
切削条件とは無関係にその補正量zだけ補正するように
しても良い。
【0039】また、前記図3のNC動作部16はZ軸が
垂直の縦型であったが、主軸と平行なZ軸が略水平の横
型のものでも良いことは勿論、送り速度変化に伴う回転
切削工具の撓み変形量の変化に起因する食込みを回避す
るように低速領域で回転切削工具を相対的に被削物から
逃がすことができる種々の工作機械に本発明は適用可能
である。移動経路データCLの作成についても、CAM
システム10,70以外の装置を用いることができる。
【0040】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を好適に実施できるNC加工システ
ムの一例を示す機能ブロック線図である。
【図2】図1のCAMシステムで移動経路データCLを
設定する際の手順を説明するフローチャートである。
【図3】図1におけるNC工作機械のNC動作部の一例
を説明する図である。
【図4】図1のCAMシステムで工具移動経路を設定す
る際の一例を説明する図である。
【図5】図2のステップS6で補正量zとして算出する
軸方向変位量ΔLを説明する図である。
【図6】図2のステップS6で軸方向変位量ΔLを算出
する際に切削抵抗を求めるために用いる工具径方向の最
大切屑厚さTを説明する図である。
【図7】図2のステップS7およびS8で求める低速領
域のうちの加減速範囲Qをピック動作部について具体的
に説明する図である。
【図8】図7のピック動作部における送り速度変化の一
例を示す図である。
【図9】図1のNC工作機械で切削加工を行った場合に
生じる削り残しおよび修正範囲(a)を、従来のように
食込みが生じる場合(b)と比較して示す図である。
【図10】本発明方法を好適に実施できるNC加工シス
テムの別の例を示す機能ブロック線図である。
【符号の説明】
12,74:NC工作機械 18:ボールエンドミル(回転切削工具) 24:被削物 CL:移動経路データ ステップS6:補正量設定工程 ステップS7,S8:低速領域演算工程 ステップS9:補正工程

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転切削工具を軸心まわりに回転駆動し
    つつ該軸心と交差する方向を含んで被削物に対して相対
    移動させることにより、該被削物に所定の切削加工を行
    う切削加工方法において、 前記回転切削工具を第1送り速度で相対移動させるとと
    もに該第1送り速度よりも低速の第2送り速度で相対移
    動させながら切削加工を行う場合に、該第2送り速度で
    相対移動させる低速領域で、送り速度の変化に伴う前記
    回転切削工具の撓み変形量の変化に起因する刃先位置の
    軸方向変位量を略最小値として定められた所定の補正量
    だけ、該回転切削工具の軸方向位置を前記被削物から相
    対的に離間させることを特徴とする切削加工方法。
  2. 【請求項2】 NC工作機械を用いて回転切削工具を軸
    心まわりに回転駆動しつつ該軸心と交差する方向を含ん
    で予め定められた移動経路データに従って被削物に対し
    て相対移動させることにより、該被削物に所定の切削加
    工を行うに際して、前記移動経路データを設定する方法
    であって、 前記NC工作機械の減速機能に基づいて、前記移動経路
    データから前記相対移動させる際の送り速度が小さくな
    る低速領域を求める低速領域演算工程と、 前記送り速度の変化に伴う前記回転切削工具の撓み変形
    量の変化に起因する刃先位置の軸方向変位量を略最小値
    として補正量を設定する補正量設定工程と、 前記低速領域で前記回転切削工具の軸方向位置を前記補
    正量だけ前記被削物から相対的に離間させるように前記
    移動経路データを補正する補正工程とを有することを特
    徴とする切削加工用移動経路データの設定方法。
JP6247695A 1995-03-22 1995-03-22 切削加工方法および切削加工用移動経路データの設定方法 Pending JPH08257875A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6247695A JPH08257875A (ja) 1995-03-22 1995-03-22 切削加工方法および切削加工用移動経路データの設定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6247695A JPH08257875A (ja) 1995-03-22 1995-03-22 切削加工方法および切削加工用移動経路データの設定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08257875A true JPH08257875A (ja) 1996-10-08

Family

ID=13201288

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6247695A Pending JPH08257875A (ja) 1995-03-22 1995-03-22 切削加工方法および切削加工用移動経路データの設定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08257875A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170124768A (ko) * 2016-05-03 2017-11-13 화천기공 주식회사 공작 기계의 가공경로 보정방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170124768A (ko) * 2016-05-03 2017-11-13 화천기공 주식회사 공작 기계의 가공경로 보정방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10478935B2 (en) Deburring apparatus
JP6646027B2 (ja) ポストプロセッサ装置、加工プログラム生成方法、cnc加工システム及び加工プログラム生成用プログラム
CN109725602B (zh) 数值控制装置及方法、cnc机床、计算机可读信息记录介质
JP2009098982A (ja) 加工シミュレーション装置およびそのプログラム
JP2005074569A (ja) プログラム、コンピュータ装置、多軸加工機、ncプログラムの生成方法、ワークの加工方法
US7518329B2 (en) Method and device for cutting freeform surfaces by milling
US10180675B2 (en) Machine tool control device and machine tool
WO1988010173A1 (fr) Dispositif de profilage
JP2009098981A (ja) 加工時間算出装置およびそのプログラム
JP2008117032A (ja) 加工制御装置およびそのプログラム
WO2010134532A1 (ja) 数値制御装置
JP2012164200A (ja) 回転軸のインポジションチェックを行う数値制御装置
JP4639058B2 (ja) ねじ切り加工装置
JP2005271148A (ja) 工具経路データ生成装置及びこれを備えた制御装置
CN116157220A (zh) 数控装置及数控方法
JP4451708B2 (ja) 誤加工防止装置および誤加工防止方法
JPH08257875A (ja) 切削加工方法および切削加工用移動経路データの設定方法
JPH08229770A (ja) 5軸ncデータの作成方法
JPH10118889A (ja) 切削条件決定方法
US6658317B2 (en) Method for setting a moving position in a machine tool
JP2002304203A (ja) Nc工作機械および加工方法
JP2004174620A (ja) 切削加工用装置、切削加工用移動経路データの設定プログラム
JPH0857748A (ja) 数値制御装置
JPH06262484A (ja) 数値制御工作機械の送り制御装置
JP7131454B2 (ja) 数値制御装置、工作機械、制御プログラム、及び記憶媒体