JPH08253956A - 建設機械の電子制御装置 - Google Patents

建設機械の電子制御装置

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JPH08253956A
JPH08253956A JP8477795A JP8477795A JPH08253956A JP H08253956 A JPH08253956 A JP H08253956A JP 8477795 A JP8477795 A JP 8477795A JP 8477795 A JP8477795 A JP 8477795A JP H08253956 A JPH08253956 A JP H08253956A
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Shigenori Aoki
茂徳 青木
Seiji Yamashita
誠二 山下
Koichi Shibata
浩一 柴田
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多種多様な建設機械に対して開発期間を短く
すると共に開発費用を低減し、出力機器の配置や配線を
自由にし、耐振動性や耐ノイズ性を向上させ、後付けの
機能対応が容易で、メンテナンス性が高い建設機械の電
子制御装置を提供する。 【構成】 この建設機械の電子制御装置は、3以上のコ
ントローラを含み、建設機械の油圧システムを制御して
この建設機械を動作させるものであり、3以上のコント
ローラは、生成された信号を入力して処理する第1のコ
ントローラのグループ42〜46と、他のコントローラ
から送られるデータに基づき駆動信号を生成しこれを制
御対象に出力する第2のコントローラのグループ47〜
51と、第1および第2のコントローラのグループに属
する複数のコントローラを管理するメインコントローラ
41とから構成され、これらのコントローラは車載LA
Nによってループ状に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建設機械の電子制御装置
に関し、特に、油圧ショベル等の建設機械の各部に複数
のコントローラを分散配置し、これらのコントローラの
間に建設機械の制御上で望ましい接続関係を形成した建
設機械の電子制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】油圧ショベルなどの建設機械では、近
年、その操作を容易化し操作性を向上する目的で油圧駆
動システムの電子制御化が図られている。以下、代表例
として油圧ショベルを取り上げて説明する。電子制御式
油圧ショベルでは、電子制御装置としてマイクロコンピ
ュータを含むコントローラを搭載し、そのメモリに、行
うべき作業に関し標準的な作業手順のための制御プログ
ラムおよび標準的な制御パラメータが格納されている。
電子制御装置は、制御プログラムおよび制御パラメータ
を用いて制御指令を生成し、油圧ショベルの油圧駆動シ
ステムに設けられたバルブ等の動作を制御する。
【0003】上記油圧ショベルの電子制御装置では、制
御内容が高度かつ複雑になってくると、1台のコントロ
ーラでは処理できない場合も発生する。そこで、従来で
は、かかる場合に複数のコントローラを備え、それらの
間をシリアル通信手段等で接続してデータをやり取りし
て制御を行うように構成された電子制御装置も提案され
ている(特開平1−263322号公報、特開平2−1
90538号公報、特開平1−263323号公報
等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】複数のコントローラを
利用して制御を行うようにした建設機械の従来の電子制
御装置では、コントローラの演算・制御部やデータ処理
部を入力側と出力側とに分け、シリアル通信で両者を電
気的に結合して全体の制御を行うように構成していた。
【0005】しかし、現在の建設機械では、ユーザの要
求仕様がさらに多様化しており、メーカ側もそれに応じ
るために多種多様の建設機械を開発しなければならな
い。このため、機種ごとの制御装置の開発が必要にな
り、ハードウェア、ソフトウェア共に開発時間が大幅に
増加することになる。従来技術のごとくコントローラを
入力側部分と出力側部分の2つに分けたとしても、アク
チュエータ、ポンプ、エンジン等の出力機器が1つ増し
た場合、コントローラの出力側部分は新たにハードウェ
アやソフトウェアを共に開発しなければならないという
問題が起きる。
【0006】そこで、建設機械の電子制御装置の製作に
おいて最初から最大出力機器数を想定してハードウェア
を開発しておき、ソフトウェアだけ変更する方法を採用
することもできるが、すべての機種が最大のハードウェ
ア構成を有することになり、機種によって必要以上に高
価になるという問題が生じる。
【0007】また生産工場から出荷された建設機械に関
し、ユーザの要求に応じてオプション等を車体に取り付
けるサービス工場において例えば後付けのアタッチメン
トを簡単に取り付けたい場合に、上記と同様な問題が生
じる。
【0008】高機能化した油圧ショベルではフロントに
取り付けるアクチュエータの数が増大する傾向にあり、
コントローラの形態も大きくなり、油圧ショベルにおい
てもっとも耐環境性の良い操縦室に設置することが困難
になる場合もある。そのようなときには、コントローラ
を操縦室外に配置しなければならないが、形状の大きな
コントローラは振動に弱いと欠点を有するので、故障し
やすいという問題が起きる。また振動を防止する対策を
施せば、製作コストが高くなるという問題が生じる。
【0009】さらにアクチュエータやポンプ等の個数が
増加すれば、コントローラからの信号線の本数も増加
し、信号線のノイズが増して誤動作が生じやすくなる。
現在ではコントローラ間の通信はディジタル信号である
が、コントローラから制御対象に与えられる駆動信号は
一般的にアナログ信号であるため、ノイズの影響を受け
やすい。またコントローラとポンプやモータ等との間の
配線の長さは、長いほどノイズの影響を受けやすいの
で、コントローラと出力機器との距離をできるだけ接近
させ、ノイズの影響を排除することが望ましい。
【0010】さらにコントローラが集中形式で形成され
る場合には、アクチュエータやセンサが1つでも故障す
ると、すべての部分に影響を及ぼすことになり、故障の
仕方によってはその複雑性により故障箇所や故障原因の
発見も困難で、メンテナンス性の低いものとなる。
【0011】本発明の目的は、上記問題を解決すること
にあり、多種多様な建設機械に対して開発期間を短くす
ると共に開発費用を低減し、出力機器の配置や配線を自
由にし、耐振動性や耐ノイズ性を向上させ、後付けの機
能対応が容易で、メンテナンス性が高い建設機械の電子
制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の本発明に係る建設
機械の電子制御装置は、3以上のコントローラを含み、
建設機械の油圧システムを制御してこの建設機械を動作
させる電子制御装置であって、3以上のコントローラ
は、生成された信号を入力して処理する第1のコントロ
ーラのグループと、他のコントローラから送られるデー
タに基づき駆動信号を生成しこれを制御対象に出力する
第2のコントローラのグループと、第1および第2のコ
ントローラのグループに属する複数のコントローラを管
理するメインコントローラとから構成される。
【0013】第2の本発明は、第1の発明において、第
1のコントローラのグループに属する複数のコントロー
ラと、第2のコントローラのグループに属する複数のコ
ントローラと、メインコントローラとを1つのループを
形成するように接続するように構成される。
【0014】第3の本発明は、第1の発明において、メ
インコントローラと第1のコントローラのグループに属
する複数のコントローラとを1つのループを形成するよ
うに接続し、かつメインコントローラと第2のコントロ
ーラのグループに属する複数のコントローラとを他のル
ープを形成するように接続するように構成される。
【0015】第4の本発明は、上記の各発明の構成にお
いて、第1のコントローラのグループは入力操作器から
出力される操作信号を入力・処理するコントローラと各
種センサから出力される検出信号を入力・処理するコン
トローラを含み、第2のコントローラのグループは建設
機械に設けられた複数の出力機器のそれぞれを制御する
複数のコントローラを含むことを特徴とする。
【0016】第5の本発明は、上記の3以上のコントロ
ーラが、制御対象に設けたセンサからの検出信号を入力
・処理して駆動信号を生成し、この駆動信号を制御対象
に出力する第3のコントローラのグループを含むように
構成される。
【0017】第6の本発明は、第5の発明において、第
3のコントローラのグループが、油圧源ポンプからの検
出信号を用いて処理を行い制御用駆動信号を生成し、こ
の駆動信号を前記油圧ポンプに与えて制御を行い、かつ
油圧ポンプの状態データを出力するコントローラを含む
ことを特徴とする。
【0018】第7の本発明は、第5の発明において、第
3のコントローラのグループが、油圧ポンプを駆動する
エンジンからの検出信号を用いて処理を行い制御用駆動
信号を生成し、この駆動信号を前記エンジンに与えて制
御を行い、かつエンジンの状態データを出力するコント
ローラを含むことを特徴とする。
【0019】第8の本発明は、上記の3以上のコントロ
ーラを機能ごとに分類し、各コントローラを対応する制
御対象に距離的に近い箇所に配置するように構成され
る。
【0020】
【作用】本発明では、油圧ショベル等の建設機械の油圧
駆動システムを電気的に制御し建設機械を動作させる電
子制御装置において、3以上のコントローラで制御を行
うと共に、これらのコントローラをその機能あるいは役
割によってグループに分類し、各コントローラに適した
制御機能を持たせ、かつ分類して分散的に配置した各コ
ントローラを車載用LANで接続して相互に通信してデ
ータのやり取りを行い、もって多種多様な建設機械の制
御機能を実現でき、各建設機械において必要な制御機能
だけを付加することができる。特に、入力操作機器の操
作信号や各種センサの検出信号を入力・処理し検出デー
タとして伝送する第1のコントローラグループに属する
ものであって、各入力操作機器や各センサにうまく対応
させて設けられる複数のコントローラと、制御対象であ
る複数の出力機器に制御用駆動信号を出力する第2のコ
ントローラグループに属するものであって、各出力機器
に対応して設けられる複数のコントローラと、これらの
すべてのコントローラを総括的に制御・管理するメイン
コントローラとを用意し、これらを分散的に配置し、か
つ車載LANで接続して制御システムの柔軟性を高めて
いる。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【0022】図5は、本発明に係る電子制御装置10が
搭載される建設機械の一例としての油圧ショベルと、電
子制御装置10に関連する油圧ショベルにおける入力操
作器、各種センサ、出力機器、および油圧駆動システム
の要部構成を示す。
【0023】油圧ショベルでは走行体11の上に旋回体
12を設け、旋回体12は操縦室13とエンジン機械部
14と作業機械部15を備える。走行体11は右側走行
体と左側走行体からなる。作業機械部15は旋回体12
の前部に配置され、ブーム16とアーム17とバケット
18の各部を備える。作業機械部15には、ブーム1
6、アーム17、バケット18の各部を作動させる油圧
シリンダ(アクチュエータ)19,20,21と、各部
の動作量を検出する例えば角度センサ22,23や変位
センサ等が配置される。操縦室13には、作業機械部1
5等の動作を制御する左右の操作レバーや走行体11に
よる前進・後退・旋回等を操縦するための左右の操作レ
バー等の複数の操作レバー24等の入力操作器が設けら
れる。
【0024】上記操作レバー24の操作方向および操作
量に関する検出信号、角度センサ22,23の検出信号
は電子制御装置10に入力される。
【0025】上記油圧ショベルを動作させる油圧駆動シ
ステムは、例えばブーム16の上げ下げを行うための油
圧シリンダ19に関して述べれば、油圧シリンダ19へ
の作動油の供給を制御する切換えバルブ25、切換えバ
ルブ25の作動状態を設定する2つの電磁比例弁26、
油圧源を形成するポンプ28、ポンプ28を回転させる
エンジン29を備える。切換えバルブ25の出力側の油
路27には圧力センサ30,31が設けられる。他の油
圧シリンダ20,21等についても、上記と同様に切換
えバルブや電磁比例弁が設けられる。また、傾転角調整
部を備えるポンプ28には設定傾転角を検出する傾転角
センサ32が付設され、エンジン29には回転数センサ
33が付設される。34は作動油タンクである。
【0026】上記の圧力センサ30,31、傾転角セン
サ32、回転数センサ33における各検出信号は電子制
御装置10に入力される。また電子制御装置10から、
各電磁比例弁26に対してその動作量を制御する駆動信
号、ポンプ28の傾転角調整部に対してレギュレータ3
5を介し傾転角を設定する駆動信号、エンジン29に対
して回転数を設定する制御信号がそれぞれ出力される。
【0027】図6に示される制御関連図を参照して電子
制御装置10の主要な制御内容の例を説明する。
【0028】例えば操作レバー24が操作されたとき、
操作で発生した操作信号を電子制御装置10に入力し
(工程S1)、操作レバー24の操作量に応じたメータ
リング特性を付加する(工程S2)。ここで「メータリ
ング特性」とは、レバー操作量に対するフロント(ブー
ム、アーム、バケット等)の動作速度特性のことをい
う。次に、入力されたレバー操作量に応じて、切換えバ
ルブ25等による出力流量を演算して算出する(工程S
3)。この工程S3でのバルブ出力流量の演算では、フ
ロントに設けた角度センサ22,23等が検出する角度
に関する検出信号、圧力センサ30,31で検出される
油圧シリンダ19等へ供給される作動油の圧力等に関す
る検出信号を入力し(工程S4および工程S5)、フロ
ントの姿勢を演算し(工程S6)、求められたフロント
姿勢の値とレバー操作量の値とを用いてフロント制御の
値を求め(工程S7)、このフロント制御の値を補正用
数値として使用することにより補正を加えている。
【0029】次に、ポンプ28の最大流量に上限がある
ことから、全バルブの合計出力流量が上限値以上になら
ないように、ポンプ流量に関する補正を施す(工程S
8)。この工程S8の補正で必要とされるその時のポン
プ28の流量は、エンジン29に取り付けた回転数セン
サ33や、ポンプ28に取り付けた傾転角センサ32の
各検出値から求められる(工程S9,S10,S1
1)。その後、バルブの出力処理を行って(工程S1
2)、これにより電磁比例弁26を駆動する信号を出力
する(工程S13)。
【0030】次に図1〜図4を参照して前述の電子制御
装置10の詳細な構成例について説明する。本発明に係
る建設機械の電子制御装置10は3以上のコントローラ
を含んで構成され、各コントローラはマイクロコンピュ
ータによって形成される。
【0031】図1は電子制御装置10のシステム構成の
第1の実施例を示す。この実施例の電子制御装置は、メ
インコントローラ41と、例えば2つのレバーコントロ
ーラ42,43と、例えば3つのセンサコントローラ4
4,45,46と、例えば3つのバルブコントローラ4
7,48,49と、ポンプコントローラ50と、エンジ
ンコントローラ51とを含んで構成される。
【0032】メインコントローラ41は、システムの全
体を統括し制御・管理するためのコントローラである。
【0033】レバーコントローラ42は入力操作装置で
ある右操作レバー24aと左操作レバー24bからの操
作信号を入力して処理し、その操作信号に対応する操作
データを生成して出力するコントローラであり、レバー
コントローラ43は左走行レバー24cと右走行レバー
24dからの操作信号を入力して処理し、その操作信号
に対応する操作データを生成して出力するコントローラ
である。レバーコントローラ42,43のハードウェア
の構成は同じであり、ソフトウェアは建設機械の種類や
制御対象に応じたものがセットされる。センサコントロ
ーラ44,45はいずれもフロントの角度センサ22,
23、変位センサ、圧力センサ30,31、作動油の温
度等の車体状態に関する検出信号を入力して処理し、そ
の検出信号に対応する検出データを生成して出力するコ
ントローラである。またセンサコントローラ46は傾転
角センサ32や回転数センサ33、圧力センサ等の検出
信号を入力して処理し、その検出信号に対応する検出デ
ータを生成して出力するコントローラである。図1で
は、センサコントローラ44の入力側のセンサ類をまと
めてセンサ部36a、センサコントローラ45の入力側
のセンサ類をまとめてセンサ部36b、センサコントロ
ーラ46の入力側のセンサ類をまとめてセンサ部36c
として示している。以上のコントローラ42〜46は、
操作信号や検出信号を入力し処理するための入力側のコ
ントローラである。
【0034】次にバルブコントローラ47,48,49
は各アクチュエータを駆動制御するためのコントローラ
である。バルブコントローラ47はブーム16とバケッ
ト18の動作を制御するもので、例えばメインコントロ
ーラ41等の他のコントローラから送られてくる制御デ
ータを用いて駆動信号を生成し、この駆動信号を、ブー
ム用電磁比例弁26a,26b,バケット用電磁比例弁
26c,26dに与える。バルブコントローラ48はア
ーム17と旋回体12の動作を制御するもので、他のコ
ントローラから送られてくる制御データを用いて駆動信
号を生成し、この駆動信号をアーム用電磁比例弁26
e,26f,旋回体用電磁比例弁26g,26hに与え
る。バルブコントローラ49は左右走行体11の動作を
制御するもので、同様にして駆動信号を生成してこれを
走行体用電磁比例弁26i,26j,26k,26lに
与える。図示されたバルブコントローラ47,48,4
9は、1つのコントローラに2個分のアクチュエータを
駆動するように構成されているが、これに限定されず、
1つのアクチュエータに1つのコントローラを設けるよ
うにしてもよい。またポンプコントローラ50は、他の
コントローラから送られる制御データに基づいて駆動信
号を生成し、ポンプ28が最適な作動油の流量を出力で
きるように制御を行うためのコントローラである。エン
ジンコントローラ51は、他のコントローラから送られ
てくる制御データに基づいて駆動信号を生成し、エンジ
ン29が最適な回転数になるように制御するためのコン
トローラである。以上のコントローラ47〜51は、制
御対象に対して制御用駆動信号を与え、これを制御する
ための出力側のコントローラである。
【0035】メインコントローラ41および他のコント
ローラ42〜51は、隣り合うもの同士が接続され、信
号線52によって全体として1つのループを形成するよ
うに接続されている。各コントローラから送信されたデ
ータはすべてのコントローラで受信される。すなわち、
すべてのコントローラ41〜51は車載LANで接続さ
れ、それらの間でデータのやり取りが行われる。
【0036】上記の電子制御装置10における、個別に
機能や役割を持たせ分散して配置される3以上のコント
ローラ41〜51を用いて制御装置を構成する構造、お
よび3以上のコントローラ41〜51を車載LANで接
続する構造によれば、コントローラの付加や取り外しを
必要に応じて自在に行うことができ、ユーザ個々の要求
に対応した任意のアタッチメントの組み込みを容易に行
うことができる。
【0037】図1に示した電子制御装置10の構成で
は、複数のコントローラ41〜51を有し、これらのコ
ントローラを機能または役割に応じてグループに分け、
それぞれの望ましい箇所に分散して配置するように構成
される。また分散して配置されるコントローラ41〜5
1は、それらの間でデータのやり取りのために送信が行
われるが、データの処理・生成や送信の仕方は各種の仕
方がある。送信の仕方の一例としては、左右の操作レバ
ー24a,24bや走行レバー24c,24dの操作で
入力された操作信号が、レバーコントローラ42,43
で処理され、メインコントローラ41ヘ送信される。ま
たセンサコントローラ44,45,46の入力側の各種
のセンサで検出された車体の状態データもメインコント
ローラ41ヘ送信される。メインコントローラ41で
は、各アクチュエータを最適に動作させるため、送信さ
れてきた各種の操作データや検出データに基づいて演算
処理を行ってそれぞれの制御信号を生成する。次にメイ
ンコントローラ41は、生成した制御データを対応する
バルブコントローラ47,48,49に送信する。各バ
ルブコントローラは、受信した制御データに基づいて、
それぞれの制御対象である電磁比例弁を電気的に駆動し
て油圧動作に変換し、対応するアクチュエータを動作さ
せる。また制御対象であるポンプ28やエンジン29に
ついても、上記と同様にメインコントローラ41で制御
に最適な制御データを算出し、ポンプコントローラ50
とエンジンコントローラ51に送信する。ポンプコント
ローラ50は、メインコントーラ41から送信される制
御データに基づいてポンプ28を最適な流量出力に制御
し、エンジンコントローラ51はメインコントローラ5
1から送信される制御データに基づいてエンジン29を
最適な回転数に制御する。
【0038】図2を参照して本発明に係る電子制御装置
の第2の実施例について説明する。第2実施例は第1実
施例を変形させたもので、図2において、図1で説明し
た要素と同一の要素には同一の符号を付している。電子
制御装置を構成する複数のコントローラ、すなわちメイ
ンコントローラ41、レバーコントローラ42,43、
センサコントローラ44〜46、バルブコントローラ4
7〜49、ポンプコントローラ50、エンジンコントロ
ーラ51については同じであり、かつ、各コントローラ
に接続される構成要素および各コントローラの機能も同
じである。第2実施例の構成上の特徴点は、分散して配
置される複数のコントローラを、各種検出信号を入力す
るという入力側に位置するコントローラ42,42,4
4〜46のグループと、駆動信号を制御対象に与えると
いう出力側に位置するコントローラ47〜49,50,
51のグループと、メインコントローラ41とに分け、
入力側のコントローラのグループとメインコントローラ
41との間で1つのループを形成するように接続すると
共に、出力側のコントローラのグループとメインコント
ローラ41との間で他の1つのループを形成するように
接続した点である。換言すれば、第2実施例の構成は、
主に入力データの処理を行うレバーコントローラ42,
43とセンサコントローラ44〜46を1つの閉じたシ
ステムにまとめ、主に出力データを扱うバルブコントロ
ーラ47〜49とポンプコントローラ50とエンジンコ
ントローラ51を1つの閉じたシステムにまとめ、か
つ、全体システムを統括・管理するメインコントローラ
41で結合したシステムとなっている。
【0039】第2実施例による電子制御装置では、デー
タの伝送方向が統一化され、車載LANの上でデータの
衝突が低減され、システムの高速制御を行うことができ
るという利点を有する。
【0040】前述の第1および第2の実施例によれば、
3以上のコントローラを用意し、各コントローラを機能
ごとに別けて分散させたため、コントローラごとの演算
処理量が減少し、各コントローラに搭載しているマイク
ロコンピュータの負担が軽減される。また、機能ごとに
各コントローラのハードウェアとソフトウェアを一度開
発して標準化しておけば、多種多様の機種に対しても必
要となる機能部分の制御装置だけを取り付ければ済むの
で、その都度新たな開発を行う必要がなく、制御システ
ムを安価に構築することができる。
【0041】図3に示す第3の実施例は、図1で説明し
た第1実施例の構成を有する電子制御装置において、走
行系のレバーコントローラ43とバルブコントローラ4
9を取り外した構成を示す。特に走行系の電子制御が必
要ない油圧ショベルの場合には、図3に示した構成で十
分であり、従来のごとく必要がないにも拘らず走行系の
入力部や出力部を設けた装置に比較して、安価な制御シ
ステムとして構築することができる。また、反対に、ア
クチュエータの数を増やしたいときには、そのアクチュ
エータに対応するレバーコントローラとバルブコントロ
ーラ、さらに必要に応じてセンサコントローラを追加的
に取り付ければよいので、簡単にかつ安価に制御システ
ムを構築することができる。
【0042】図4は、本発明に係る電子制御装置の第4
の実施例を示す。この実施例は、例えば図3で示した第
3の実施例によるシステムを、標準化するコントローラ
の種類を変更して実現したものである。第3実施例で
は、センサコントローラ44,45とバルブコントロー
ラ47,48を別々に設け、かつセンサコントローラ4
6とポンプコントローラ50およびエンジンコントロー
ラ51とを別々に設けるようにしていた。本実施例で
は、まず関連性の高いセンサコントローラとバルブコン
トローラを一体化し、入出力コントローラ61,62,
63,64として構成する。入出力コントローラ61は
ブーム用のもので、センサ部71から各種の検出信号を
入力し、電磁比例弁26a,26bに駆動信号を出力す
る。入出力コントローラ62はバケット用のもので、セ
ンサ部72から各種の検出信号を入力し、電磁比例弁2
6c,26dに駆動信号を出力する。入出力コントロー
ラ63はアーム用のもので、センサ部73から各種の検
出信号を入力し、電磁比例弁26e,26fに駆動信号
を出力する。入出力コントローラ64は旋回体用のもの
で、センサ部74から各種の検出信号を入力し、電磁比
例弁26g,26hに制御用駆動信号を出力する。ま
た、ポンプコントローラ80には入力側コントローラの
機能と制御データを生成する機能も持たせ、センサ部7
5から各種の検出信号を入力し、ポンプ28に駆動信号
を出力する。エンジンコントローラ81にも入力側コン
トローラの機能と制御データを生成する機能も持たせ、
センサ部76から各種の検出信号を入力し、エンジン2
9に駆動信号を出力する。その他の構成は、第3の実施
例の場合と同じである。
【0043】上記第4実施例の構成によれば、例えばブ
ーム16の制御で述べれば、ブーム16に取り付けたセ
ンサ部71から取り込んだデータを入出力コントローラ
61で即座に処理して制御データを生成し、さらに駆動
信号を作って電磁比例弁26a,26bに与え、高速に
制御を行うことができる。他のアクチュエータに関する
入出力コントローラ62〜64の場合、ポンプ28やエ
ンジン29に関するポンプコントローラ80やエンジン
コントローラ81の場合も同様である。また高速性を要
しない場合には、前述の実施例と同様に、車載LANを
通して通信されるデータに基づいて補正を行うように構
成されることが望ましい。
【0044】前記実施例では建設機械の例として油圧シ
ョベルについて説明したが、他の建設機械にも同様に本
発明による電子制御装置を適用することができる。
【0045】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、電子制御装置に複数のコントローラを備え、機能
ごとに別けて分散させて配置し、車載LANで接続する
ように構成するようにしたため、個々のコントローラを
標準化できると共に、高機能機から低機能機に至るま
で、さらに特殊な作業機までに対応できる柔軟性の高い
制御システムを構築することができる。またハードウェ
アやソフトウェアの開発期間も短縮でき、製品の多種多
様化と価格低減化を可能となる。コントローラが分散し
て配置され、各コントローラを小型に作ることができる
ので、狭い操縦室に配置することも容易であり、レイア
ウトが非常に自由になる。また小形化によって耐振動性
も高くなり、操縦室以外への設置も可能となり、ノイズ
に弱いアナログ信号にとって都合のよい箇所に配置する
こともできる。さらに、機能ごとにコントローラがグル
ープ化され、分散配置されるため、どのアクチュエータ
が故障したかを容易に知ることができ、メンテナンス上
でも非常に好都合であり、メンテナンスコストを低減で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子制御装置の第1の実施例を示
すシステム構成図である。
【図2】本発明に係る電子制御装置の第2の実施例を示
すシステム構成図である。
【図3】本発明に係る電子制御装置の第3の実施例を示
すシステム構成図である。
【図4】本発明に係る電子制御装置の第4の実施例を示
すシステム構成図である。
【図5】本発明に係る電子制御装置が搭載される建設機
械の例を示す構成図である。
【図6】電子制御装置の動作例を示す制御関連図であ
る。
【符号の説明】
10 電子制御装置 11 走行体 12 旋回体 13 操縦室 14 エンジン作業部 15 作業機械部 16 ブーム 17 アーム 18 バケット

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3以上のコントローラを含み、建設機械
    の油圧システムを制御して前記建設機械を動作させる電
    子制御装置において、 前記3以上のコントローラは、生成された信号を入力し
    て処理する第1のコントローラのグループと、他のコン
    トローラから送られるデータに基づき駆動信号を生成し
    これを制御対象に出力する第2のコントローラのグルー
    プと、前記第1および前記第2のコントローラのグルー
    プに属する複数のコントローラを管理するメインコント
    ローラを含むことを特徴とする建設機械の電子制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第1のコントローラのグループに属
    する複数のコントローラと、前記第2のコントローラの
    グループに属する複数のコントローラと、前記メインコ
    ントローラとを1つのループを形成するように接続する
    ことを特徴とする請求項1記載の建設機械の電子制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記メインコントローラと前記第1のコ
    ントローラのグループに属する複数のコントローラとを
    1つのループを形成するように接続し、前記メインコン
    トローラと前記第2のコントローラのグループに属する
    複数のコントローラとを他のループを形成するように接
    続することを特徴とする請求項1記載の建設機械の電子
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第1のコントローラのグループは入
    力操作器から出力される操作信号を入力・処理するコン
    トローラと各種センサから出力される検出信号を入力・
    処理するコントローラを含み、前記第2のコントローラ
    のグループは前記建設機械に設けられた複数の出力機器
    のそれぞれを制御する複数のコントローラを含むことを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建設機
    械の電子制御装置。
  5. 【請求項5】 前記3以上のコントローラは、制御対象
    に設けたセンサからの検出信号を入力・処理して駆動信
    号を生成し、この駆動信号を前記制御対象に出力する第
    3のコントローラのグループを含むことを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の建設機械の電子制御
    装置。
  6. 【請求項6】 前記第3のコントローラのグループは、
    油圧ポンプからの検出信号を用いて処理を行い制御用駆
    動信号を生成し、この駆動信号を前記油圧ポンプに与え
    て制御を行い、かつ前記油圧ポンプの状態データを出力
    するコントローラを含むことを特徴とする請求項5記載
    の建設機械の電子制御装置。
  7. 【請求項7】 前記第3のコントローラのグループは、
    油圧ポンプを駆動するエンジンからの検出信号を用いて
    処理を行い制御用駆動信号を生成し、この駆動信号を前
    記エンジンに与えて制御を行い、かつ前記エンジンの状
    態データを出力するコントローラを含むことを特徴とす
    る請求項5記載の建設機械の電子制御装置。
  8. 【請求項8】 前記3以上のコントローラを機能ごとに
    分類し、各コントローラを対応する制御対象に距離的に
    近い箇所に配置したことを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の建設機械の電子制御装置。
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