JPH08252792A - 形状記憶合金マニピュレータ - Google Patents

形状記憶合金マニピュレータ

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JPH08252792A
JPH08252792A JP7057089A JP5708995A JPH08252792A JP H08252792 A JPH08252792 A JP H08252792A JP 7057089 A JP7057089 A JP 7057089A JP 5708995 A JP5708995 A JP 5708995A JP H08252792 A JPH08252792 A JP H08252792A
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JP
Japan
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shape memory
memory alloy
manipulator
temperature
thin film
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Pending
Application number
JP7057089A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Arai
和彦 荒井
Shinji Kaneko
新二 金子
Shinji Aramaki
晋治 荒巻
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】微小化時に組み立て容易な形状記憶合金マニピ
ュレータを提供することを目的とする。 【構成】この形状記録合金マニピュレータは、一体の形
状記憶合金1が中間変形部で90°の捻りが加えられて
円筒形状のモールド樹脂部材2で封止され、当該部材2
には貫通孔を確保するための中空の金属パイプ5a,5
bが嵌合され、上記形状記憶合金1は一様な湾曲形状の
全方位形状記憶処理が施されており、中間変形部1bの
捻りにより前部1aと後部1cで直角方向に湾曲動作が
できるように構成されている。このように一体の形状記
憶合金1の中間部を変形して固定することで、単純な湾
曲形状の1つの形状記憶合金で3次元的なマニピュレー
ションを行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマニピュレータに係り、
特に形状記憶合金を用いたマイクロマニピュレータに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、微小な配管内で観察や処置を行う
ロボットや、体腔内で診断や治療を行う極細径能動型内
視鏡・低侵襲腹腔内手術システム等が嘱望されている。
これらを実現するためには、観察機能や処置機能を所定
の作業部位に誘導する多関節マニピュレータが必要とな
るが、かかるマニピュレータのアクチュエータとして、
単位体積当たりの発生力量が大きい形状記憶合金が有望
視されている。
【0003】そして、例えば特開平3ー23381号公
報では、複数の形状記憶部材を接合し、これらの個々の
形状記憶合金に設けられた加熱手段の発熱状態を制御手
段によって制御することによって駆動する技術が開示さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、複数の形状記憶部材に対してその物理量又
は状態量を測定する手段を有しておらずフィードバック
を行う高度な制御を行うことができなかった。さらに、
複数の形状記憶部材から構成され、更に個別に温度可変
手段を組み付ける必要があるため、その組み立てが繁雑
になりマニピュレータの微小化の障害となっていた。ま
た、多数の加熱手段を直接制御手段に接続する為、配線
数が膨大なものになり、形状記憶部材の動きを妨げてい
た。
【0005】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、高度なフィードバック制
御を可能とするセンサ機能を搭載し、省線化のための制
御装置を搭載し、微小化時に組み立て容易な形状記憶合
金マニピュレータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の態様による形状記憶合金マニピュレ
ータは、少なくとも湾曲形状を記憶した一体の形状記憶
合金と、上記形状記憶合金の温度を部分的に変化させる
複数の温度可変手段と、上記複数の温度可変手段の各々
に対応した領域の部分的な物理量を個別に計測する物理
量測定手段とを有することを特徴とする。
【0007】そして、第2の態様による形状記憶合金マ
ニピュレータは、少なくとも湾曲形状を記憶した一体の
形状記憶合金と、上記形状記憶合金の長手方向に電流経
路が延在している第1の金属薄膜からなる第1の抵抗体
と、上記形状記憶合金の長手方向と略直角の方向に電流
経路が延在している第2の金属薄膜からなり、抵抗値が
上記第1の抵抗体と略等しい第2の抵抗体と、上記第1
及び第2の金属薄膜よりも抵抗温度係数の大きい第3の
金属薄膜からなる第3の抵抗体と、上記第1乃至第3の
抵抗体の抵抗値の計測する計測手段とを有することを特
徴とする。
【0008】さらに、第3の態様による形状記憶合金マ
ニピュレータは、少なくとも湾曲形状を記憶した一体の
形状記憶合金に対して、当該形状記憶合金の温度を部分
的に変化させる複数の温度可変手段を有する形状記憶合
金マニピュレータにおいて、上記複数の温度可変手段を
駆動制御するために離散的に配置された電子回路が上記
形状記憶合金の面上に空隙を隔てて配置されていること
を特徴とする。
【0009】
【作用】即ち、本発明の第1の態様による形状記憶合金
マニピュレータでは、一体の形状記憶合金は少なくとも
湾曲形状を記憶しており、複数の温度可変手段は上記形
状記憶合金の温度を部分的に変化させ、物理量測定手段
は上記複数の温度可変手段の各々に対応した領域の部分
的な物理量を個別に計測する。
【0010】そして、第2の態様による形状記憶合金マ
ニピュレータでは、一体の形状記憶合金は少なくとも湾
曲形状を記憶しており、第1の抵抗体は上記形状記憶合
金の長手方向に電流経路が延在している第1の金属薄膜
からなり、第2の抵抗体は上記形状記憶合金の長手方向
と略直角の方向に電流経路が延在している第2の金属薄
膜からなり、抵抗値が上記第1の抵抗体と略等しい。第
3の抵抗体は上記第1及び第2の金属薄膜よりも抵抗温
度係数の大きい第3の金属薄膜からなり、計測手段は上
記第1乃至第3の抵抗体の抵抗値の計測する。
【0011】さらに、第3の態様による形状記憶合金マ
ニピュレータでは、形状記憶合金の面上に、複数の温度
可変手段を駆動制御するために離散的に配置された電子
回路が空隙を隔てて配置されている。
【0012】
【実施例】先ず図1乃至図14を参照して本発明の第1
の実施例について説明する。図1は第1の実施例に係る
形状記憶合金マニピュレータの全体構成を示す図であ
る。本実施例は、3次元空間で高精度の位置制御が可能
な形状記憶合金を用いたマイクロマニピュレータであ
り、微小配管内での作業に使用されるのに好適なもので
ある。同図に示されるように、形状記憶合金マニピュレ
ータ全体は例えば円筒形状の薄いシリコンゴム等からな
る外皮14で外装されており、その先端にエンドエフェ
クタ3が取り付けられている。このエンドエフェクタ3
としては、切削のためのグラインダや薬液塗布のための
ディスペンサ、観察のための超小型撮像装置などが用途
に応じて取り付けられる。このように、本マニピュレー
タは外皮14で外装されているので外周に突起部分はな
く、ファイバースコープのチャネルや複雑な配管内にス
ムーズに挿入できるといった利点がある。
【0013】ここで、上記外皮14を取り外した状態で
の形状記憶合金マニピュレータの全体構成は図2に示さ
れる。同図において、一体の形状記憶合金1はここでは
不図示の中間変形部1b(図3(b)で後述する)で9
0°の捻りが加えられて円筒形状のモールド樹脂部材2
で封止されている。当該部材2には貫通孔を確保するた
めの中空の金属パイプ5a,5bが嵌合されている。形
状記憶合金1は一様な湾曲形状の全方位形状記憶処理が
施されており、中間変形部1bの捻りによって前部1a
と後部1cで直角方向に湾曲動作ができるように構成さ
れている。
【0014】このように一体の形状記憶合金の中間部を
変形して固定することによって、単純な湾曲形状の1つ
の形状記憶合金で3次元的なマニピュレーションを行う
ことが可能になる。また、通常の形状記憶合金の形状記
憶効果では、あまり大きな曲率での変形は不可能である
が、このように外力によって変形してその形状を封止す
る方法では、L字型等の特殊形状のマイクロマニピュレ
ータを一本の形状記憶合金で構成することができる。
【0015】さらに、上記形状記憶合金1の後端部付近
には、モールド樹脂によって形成された円筒形の部材4
が固定されている。この部材4は形状記憶合金マニピュ
レータを不図示の外部機械システムに固定する部分で、
この外部機械システムには形状記憶合金マニピュレータ
とエンドエフェクタの電源や駆動指令値の発生のための
中央演算処理装置(CPU)などが含まれている。上記
金属パイプ5a,5bには、このエンドエフェクタを機
能させるために当該エンドエフェクタと外部機械システ
ムとを接続するための電線やチューブ、光ファイバなど
が嵌挿される。
【0016】例えば、エンドエフェクタがディスペンサ
の場合には薬液を供給するためのチューブが、超小型撮
像装置の場合は照明のためのライトガイドが、エンドエ
フェクタが大電流を消費する場合には太径の電線などが
用いられる。形状記憶合金マニピュレータの直径が比較
的大きい場合にあっては、中空の金属パイプ5a,5b
の内径も大きくすることができるので、ここにファイバ
ースコープや鉗子等を嵌挿することも可能である。
【0017】このような構成の第1の実施例に係る形状
記憶合金マニピュレータが採用する上記形状記憶合金1
の詳細な形状は図3(b)に示される。図3(b)に示
されるように、前部1aと後部1cの間の中間変形部1
bは他の部分と比較して幅が狭められている。これによ
り、中間変形部1bの長さが短い場合にあっても容易に
90°の捻り変形を加えることができる。そして、中間
変形部1bの狭幅化によって湾曲しない領域の長さを短
くすることができるので、マニピュレータ全体の長さを
短縮化することもできる。
【0018】さらに、このような形状記憶合金1に貼り
付けることによって当該形状記憶合金を駆動・制御する
ための可撓性薄膜よりなる電子デバイス6の上面図は図
3(a)に示される。この図3(a)に示されるよう
に、この電子デバイス6は、ポリイミド薄膜9の中もし
くは一主面に温度可変手段やセンサ、電子回路及びそれ
らを接続するための配線を組み込んだもので、歪みセン
サと形状記憶合金を加熱するためのヒータを積層化した
領域7と電子回路8とが交互に配置され、配線によって
相互に接続されている。また、その先端部には先端部コ
ネクタ領域12が、後端部には後端部電極領域11がそ
れぞれ配設され、先端部電極領域12の近傍にはエンド
エフェクタを制御するための電子回路10が配設されて
いる。
【0019】この図3(a)に示した領域Aの断面構造
は図4に示される。図4において、Al薄膜よりなる配
線15は複数が並列に配置されており、必要な部位で電
子回路8とコンタクト孔28を介して接続されている。
配線15の上部にはTi薄膜よりなる形状記憶合金を加
熱するためのヒータ16が配設されており、更にその上
部にはNiCr合金薄膜よりなるセンサ17が配設され
ている。これらの各金属薄膜層は、数層からなるポリイ
ミド樹脂9によって絶縁されており、必要な部位で不図
示のコンタクト孔を介して相互に接続されている。
【0020】次に図3(c)には図3(a)の電子デバ
イス6を図3(b)の形状記憶合金1に組み付けた状態
を示し説明する。この図3(c)に示されるように、温
度可変部7を備えた領域と先端部コネクタ領域12及び
後端部コネクタ領域11は、形状記憶合金に接着によっ
て貼り付けられている。また、電子回路8,10は、図
示の如く形状記憶合金1の上部に空隙13を隔てて配置
されている。
【0021】一般的に、形状記憶合金上に電子回路を配
置するとその湾曲によって半導体が歪みを受けると、そ
れがわずかなものであっても変形ポテンシャル効果によ
って回路特性に重大な変動が生じる。これを回避するた
めには、電子回路を配置した領域の形状記憶合金を完全
に固定する必要があるが、本実施例では、電子回路は形
状記憶合金の上部に可撓性薄膜によって把持されて空隙
を隔てて配置されているので、形状記憶合金1が駆動し
て湾曲しても電子回路8,10に歪みがかかることはな
い。従って、特別な形状記憶合金の拘束を行うことなく
電子回路を配置できるので形状記憶合金マニピュレータ
の構造の簡略化が可能で、結果として細径化が実現でき
る。
【0022】さらに、形状記憶合金1は温度可変部7内
のヒータ16を通電することで発生するジュール熱で加
熱され、冷却は自然放熱で成される。また、温度可変部
7は、形状記憶合金の高精度の歪み計測機能も備えてお
り、これにより各々の温度可変部7に対応した形状記憶
合金1の部分的な領域の形状がフィードバック制御され
る。この温度可変部7は離散的に配置され、温度可変部
7a,7bは形状記憶合金1の後部1cに、温度可変部
7c乃至7eは形状記憶合金1の前部1aにそれぞれ対
応し、これらが個別に形状制御されることで、単純な湾
曲形状を記憶させた一体の形状記憶合金1を任意の形状
に正確に制御することができる。
【0023】このように電子デバイス6を形状記憶合金
1に組み付けた後で、図2に示したように形状記憶合金
1の中間変形部1bに捻りを加えて中空にパイプ5a、
5bを固定した状態でモールディングで部材2を用いて
固定する。
【0024】次に図5には上記薄膜電子デバイス6の電
子回路領域について模式的に示し説明する。尚、図5
(a)は薄膜電子デバイス6の上面図であり、図5
(b)は図5(a)の切断面BB´における断面図であ
る。
【0025】図5(a),(b)において、電子回路8
は低濃度のN型領域29に形成されたウェル30とウェ
ル31に形成されている。ウェル30にはP型ドレイン
33とP型ソース34及びゲート電極33よりなるPチ
ャネルMOSFETが形成されている。Pウェル31に
はN型ドレイン35とN型ソース36及びゲート電極3
3よりなるNチャネルMOSFETが形成されている。
【0026】電子回路8はこれらPチャネルMOSFE
TとNチャネルMOSFETよりなるCMOSデバイス
で、通常のLSIと同じくシリコン酸化膜39に開口さ
れたコンタクト孔37を介してA1配線38で相互接続
されて必要な機能を有する回路を構成する。
【0027】この電子回路8の配線の上部には可撓性を
有するポリイミド膜9が配置されており、コンタクト孔
28を介して可撓性薄膜内の配線15に接続されてい
る。そして、低濃度のN型領域29の上部以外の領域で
は、シリコン酸化膜39は除去されている。低濃度N型
領域29はシリコン基板から電気化学エッチングによっ
て選択的に残存させている。この薄膜電子デバイス6の
製法に関しては特開平6ー91582号公報に詳しく説
明されている。
【0028】尚、この図5(a),(b)では、説明を
簡略化するため2つのトランジスタのみを示したが、実
際には後述する図8,9に示される機能を実現するため
に必要な電子回路が形成されることは勿論である。
【0029】次に図6(a)には図4における電子デバ
イス6のAl薄膜よりなる配線層15のレイアウトの概
略を示し説明する。図6(a)に示されるように、この
層では複数の配線が並列して配置され、電子回路8,1
0に電力を供給するための電力配線15aと、電子回路
8にバス形式で伝達されるマニピュレータ制御信号線1
5bと、電子回路10に伝達されるエンドエフェクタ制
御信号線15cとからなる。これらの配線は必要な部位
で不図示のコンタクト孔を介して、電子回路8又は電子
回路10、ヒータ層16、センサ層17の金属薄膜に接
続されている。尚、図6では6本の配線を図示したが、
実際にはヒータやセンサ及び電子回路に必要な数の配線
が配置されていることは勿論である。
【0030】さらに、図6(b)には電子デバイス6に
おける後端部電極領域11の断面図を示し説明する。電
極領域ではポリイミド膜9の一面に形成された複数の開
口部22において、その下部の電極25上にスクリーン
印刷で形成したハンダ層26が形成されている。電極2
5の各々は電子デバイス6内の配線15の各々に接続さ
れている。電極25では不図示のリード線がハンダ層2
6によって、外部機械システムに接続されている。先端
部電極領域12でも基本的には同じ構造で、必要な電極
を介してエンドエフェクタにリード線が接続される。
【0031】尚、図6(b)では断面図として3つの電
極が図示されているが、実際に必要な数の電極が格子状
に配置されている。本実施例においては、外部機械シス
テムから供給されるエンドエフェクタの電力及び指令信
号は形状記憶合金マニピュレータの電子デバイス6内の
配線15a、15cで伝送され、制御用電子回路10で
信号処理されて外部機械システムとの信号のやりとりを
行う。このようにエンドエフェクタのための配線や信号
処理回路が形状記憶合金マニピュレータを駆動制御する
ための電子デバイス6に一体形成されているのでマニピ
ュレータの組立や実装を大幅に簡略化できる。
【0032】次に図7(a)は図4における電子デバイ
ス6のTi薄膜よりなる形状記憶合金を加熱するための
ヒータ16のレイアウトの概略を示す図である。これは
折り返し構造の金属薄膜抵抗体であり、コンタクト孔1
9を介して下層のここでは不図示の配線層15に接続さ
れている。抵抗体20aと抵抗体20bは、抵抗値が略
等しくなるように配置されている。
【0033】そして、図7(b)は図4における電子デ
バイス6のNiCr合金薄膜による歪みセンサ17のレ
イアウトの概略を示す図である。これは、主として電子
デバイス6の長手方向に電流経路が延在する抵抗体20
aと、当該抵抗体20aとは略直角な方向に電流経路が
延在する抵抗体20bよりなり、コンタクト孔21a,
bを介して下層のここでは不図示の配線層15に接続さ
れている。
【0034】続いて、図8及び図9を参照して、本実施
例における電子デバイス6の内部接続及び機能の概略に
ついて説明する。図8に示されるように抵抗体20a,
20b及び電子回路8は接続される。
【0035】詳細には、電子回路8は、図示の如くフリ
ップフロップ、論理回路104及びスイッチング素子か
らなる回路である。電子回路8が図8のように結線する
ことで、センシング用シフトレジスタ101と駆動信号
用シフトレジスタ102を構成する。駆動信号用シフト
レジスタ102はシフト動作中に抵抗体18がヒータと
して駆動しないようにラッチ用フリップフロップ103
が用いられている。
【0036】ここで、図9(a)は抵抗体18の抵抗値
変化を検出するためのブリッジ回路を示しており、図9
(b)は抵抗体20a,20bによって構成されるアク
ティブ・ダミー接続のブリッジ回路を示している。セン
シング用シフトレジスタ101は順番に抵抗体を選択す
るようセンシング信号及びセンシングクロックが外部か
ら入力させる。ラッチ用クロックはシフト動作が終了し
たときに立ち上がるように外部から入力される。また、
駆動信号は各抵抗体18をヒータとして駆動するか否か
を示し、駆動信号用クロックに同期させてシリアルに入
力される。抵抗体18のヒータとしての駆動中にセンシ
ングのタイミングが重なったときは論理回路104によ
りセンシングが優先される。以上のようにして外部から
の信号によりセンサおよびヒータを選択し駆動する。
【0037】センシングは図9(a)のブリッジ回路に
よって抵抗体18の抵抗値変化を検出し、図9(b)の
アクティブ・ダミー接続のブリッジ回路によって温度補
償した結果、歪み量に対応した抵抗値変化を検出する。
しかし、抵抗体20aと抵抗体20bは製作上完全に同
一の抵抗値にならない為、この検出値に温度ドリフトが
生じる。ここで、抵抗温度係数が大きい抵抗体18の抵
抗値の変化によって温度を測定し、アクティブ・ダミー
接続の歪みゲージの予め測定しておいた温度ドリフトを
抵抗体18によって測定された温度で補正して歪み値と
する。
【0038】このように、第1の実施例では、抵抗温度
係数の小さい金属薄膜抵抗体で構成したアクティブ・ダ
ミー型歪みゲージの温度ドリフトを、抵抗温度係数の大
きい測温抵抗体で補正するので、非常に精度の高い歪み
測定が可能で、結果として形状記憶合金マニピュレータ
の高精度の制御が可能となる。また、電子デバイス6に
薄膜化された電子回路8が一体化されているので、必要
な配線数を低減し、更にセンサーに近接して信号処理を
行えるので外部ノイズの影響を低減し、更に高精度の制
御が可能になる。
【0039】次に図10乃至図12を参照して本発明の
第2の実施例に係る技術として、応力フィードバックが
可能な内視鏡用の能動型ガイドワイヤについて説明す
る。図10は第2の実施例のガイドワイヤの側面図であ
る。湾曲形状の全方位形状記憶処理が施された板状の形
状記憶合金101の両面に可撓性薄膜よりなる駆動用デ
バイス102a、102bが接着によって張り付けられ
ている。
【0040】この駆動用デバイス102aの上面図は図
11に示される。ポリイミド薄膜111内に、応力測定
器と温度可変手段であるヒータが一体化された複数の領
域109a〜19eが離散的に配置されている。各々の
応力測定器とヒータはポリイミド薄膜内に形成された並
列に配置された複数の不図示の配線によって、電極領域
113の電極105に個別に引き出されている。電極領
域113の構造は基本的には第1実施例における図6
(b)と同様である。従って、個々が電極105からリ
ード線を引き出してコントローラとなる外部システムに
接続される。
【0041】上記駆動用デバイス102の断面図は図1
2に示される。ポリイミド膜103内にA1薄膜よりな
る配線層104、Ti薄膜よりなるヒータ層105、感
圧導電性高分子膜108を挟み込む下部電極106と上
部電極107が形成され、これらによって応力センサ1
10を構成する。
【0042】このような構成のガイドワイヤにおいて
は、両面に張り付けられた駆動用デバイス102に離散
的に配置された応力センサ110の部分に応力が加える
と、感圧導電性高分子膜の導電率が変化して、上部電極
107と下部電極106の間の抵抗値が変化する。この
抵抗値の変化を外部システムで検出して、ヒータ105
に供給する電力を制御することで、ガイドワイヤの応力
によるフィードバック制御を行う。また、応力センサを
用いずにヒータの抵抗値の温度依存性を利用して形状記
憶合金の温度によるフィードバック制御を行うことも可
能である。
【0043】このように、第2の実施例のガイドワイヤ
は、離散的に配置されたヒータ105によって2次元平
面内で任意形状に駆動が可能で、臓器への挿入に際して
温度による形状制御を用いての内視鏡観察下での挿入と
応力フィードバックによる低侵襲挿入のいずれかを選択
することができる。さらに、挿入部位や内視鏡画像の明
瞭さに応じて最適な制御法で挿入することができる。
【0044】尚、本発明の上記実施態様によれば以下の
如き構成が得られる。 (1)少なくとも湾曲形状を記憶した一体の形状記憶合
金と、上記形状記憶合金の温度を部分的に変化させる複
数の温度可変手段と、上記複数の温度可変手段の各々に
対応した領域の部分的な物理量を個別に計測する物理量
測定手段と、を有することを特徴とする形状記憶合金マ
ニピュレータ。
【0045】この構成は第1実施例に対応し、一体の形
状記憶合金1に物理量測定器を含んだ温度可変部7a〜
7eが組み付けられていることを特徴とする。この態様
によれば、1つの形状記憶合金に、離散的に温度可変部
と各々の温度可変手段に対応した物理量測定器によっ
て、測定された物理量に対して各々の領域で高度なフィ
ードバック制御を行うことができる。
【0046】従って、測定された物理量に基づいて各領
域の温度可変手段を個別に制御することで、1つの形状
記憶合金で複雑なマニピュレータの制御が可能になる。
また、一体の形状記憶合金に複数の温度可変手段と物理
量測定器が組み付けられるのでマニピュレータの組み立
てが大幅に簡略化できる。 (2)上記物理量は上記形状記憶合金の歪みであり、上
記物理量測定手段は歪み測定器であることを特徴とする
上記(1)に記載の形状記憶合金マニピュレータ。
【0047】この構成は第1実施例に対応し、一体の形
状記憶合金1に組み付けられた物理量測定器を含んだ温
度可変手段7a〜7eは、温度可変部16と歪み測定器
17で構成されていることを特徴とする。
【0048】この態様によれば、1つの形状記憶合金
に、離散的に温度可変手段と各々の温度可変手段に対応
した歪み測定器によって、測定された歪みによって得ら
れた形状記憶合金の各領域の湾曲角に対して各々の領域
でフィードバック制御を行うことができる。
【0049】従って、測定された各領域の形状記憶合金
の湾曲量に基づいて各領域の温度可変手段を個別に制御
することで、1つの形状記憶合金で複雑なマニピュレー
タの形状制御が可能になる。また、一体の形状記憶合金
に複数の温度可変手段と歪み測定器が組み付けられるの
で複数の形状記憶合金を連結する必要がなく、マニピュ
レータの組み立てが大幅に簡略化できる。 (3)上記物理量は上記形状記憶合金に加えられた応力
であり、上記物理量測定器は応力測定器であることを特
徴とする上記(1)に記載の形状記憶合金マニピュレー
タ。
【0050】この構成は第2実施例に対応し、湾曲を形
状記憶した一体の形状記憶合金101に離散的に配置さ
れた温度可変手段106と、離散的に配置された応力セ
ンサ110が組み込まれていることを特徴とする。
【0051】この態様によれば、1つの形状記憶合金
に、離散的に温度可変手段と各々の温度可変手段に対応
した応力測定器によって、測定された応力によって形状
記憶合金の各領域の温度可変手段に対するエネルギー供
給量を制御する。
【0052】従って、形状記憶合金マニピュレータの各
領域での応力を検出できるので、低侵襲能動挿入などを
実現できる。 (4)上記物理量は上記形状記憶合金の温度であり、上
記物理量測定器は温度測定器であることを特徴とする上
記(1)に記載の形状記憶合金マニピュレータ。
【0053】この構成は第2実施例に相当し、湾曲を形
状記憶した一体の形状記憶合金101に温度可変手段1
06が離散的に配置され、この形状記憶合金マニピュレ
ータは離散的に配置された温度センサ106(温度可変
手段と兼用)を備えていることを特徴とする。
【0054】この態様によれば、一体の形状記憶合金に
離散的に配置された温度加熱手段とそれに対応した温度
測定手段を有するので、形状記憶合金の各領域の駆動を
温度によってフィードバック制御することができる。
【0055】従って、測定された各領域の形状記憶合金
の温度に基づいて各領域の温度可変手段を個別に制御す
ることで、1つの形状記憶合金で複雑なマニピュレータ
の形状制御が可能になる。また、一体の形状記憶合金に
複数の温度可変手段と温度測定器が組み付けられるので
マニピュレータの組み立てが大幅に簡略化できる。 (5)上記形状記憶合金に上記温度可変手段を離散的に
配置した一体なる可撓性薄膜の少なくと一部が密着して
いることを特徴とする上記(1)に記載の形状記憶合金
マニピュレータ。
【0056】この構成は第1の実施例に対応し、可撓性
薄膜より成る一体の電子デバイス6には、温度可変手段
16と物理量測定器17を備えた領域7a〜7eが離散
的に配置され、それが一体の形状記憶合金1に密着して
いることを特徴とする。
【0057】この態様によれば、各々の物理量測定器に
よって計測された物理量に基づいて、各々の温度可変手
段に対応した領域が独立にフィードバック制御される。
これによって一体の形状記憶合金1を任意形状に制御す
ることができる。
【0058】従って、一体の形状記憶合金に一体の電子
デバイスを組み付けることで任意形状に制御される形状
記憶合金マニピュレータを得ることができる。この方法
は組立が単純であるので細径化に適している。 (6)上記形状記憶合金に上記温度可変手段と電子回路
を離散的に配置した一体なる可撓性薄膜の少なくとも一
部が密着していることを特徴とする上記(1)に記載の
形状記憶合金マニピュレータ。
【0059】この構成は第1の実施例に対応し、可撓性
薄膜より成る一体の電子デバイス6には、温度可変手段
16と物理量測定器17を備えた領域7a〜7e及びこ
れら温度可変手段及び物理量測定器を制御するための電
子回路8a〜8eが離散的に配置されており、その少な
くとも一部が一体の形状記憶合金1に密着していること
を特徴とする。
【0060】この態様によれば、各々の物理量測定器に
よって計測された物理量に基づいて、各々の温度可変手
段に対応した領域が独立にフィードバック制御される。
これらの温度可変手段と物理量測定器は各々に対応して
接近して配置された制御回路制御されるので、電子デバ
イス6内の配線数を削減し、さらに外部ノイズの影響を
低減できる。
【0061】従って、一体の形状記憶合金に一体の電子
デバイスを組み付けることで任意形状に制御される形状
記憶合金マニピュレータを得ることができる。この方法
は組立が単純であるので細径化に適している。更に電子
回路を組み込むことで細径化と高精度化を実現できる。 (7)少なくとも湾曲形状を記憶した一体の形状記憶合
金と、上記形状記憶合金の長手方向に電流経路が延在し
ている第1の金属薄膜からなる第1の抵抗体と、上記形
状記憶合金の長手方向と略直角の方向に電流経路が延在
している第2の金属薄膜からなり、抵抗値が上記第1の
抵抗体と略等しい第2の抵抗体と、上記第1及び第2の
金属薄膜よりも抵抗温度係数の大きい第3の金属薄膜か
らなる第3の抵抗体と、上記第1乃至第3の抵抗体の抵
抗値を計測する計測手段と、を有することを特徴とする
形状記憶合金マニピュレータ。
【0062】この構成は第1実施例に対応し、湾曲形状
を記憶させた形状記憶合金1に密着した可撓性薄膜の領
域7dは、抵抗温度係数の大きい金属薄膜より成る抵抗
対18と、抵抗温度係数の小さい金属薄膜より成り、電
流経路が主として形状記憶合金1の長手方向に延在する
抵抗体20aと電流経路が主として形状記憶合金1の長
手方向とほぼ直角な方向に延在する抵抗体20bで構成
され、抵抗体20aと20b及び抵抗体18の抵抗値を
個別に計測するための手段を有することを特徴とする。
【0063】この態様によれば、抵抗体20aの抵抗値
は形状記憶合金1の湾曲と温度変化によって抵抗値が変
化するが、抵抗体20bの抵抗値は形状記憶合金1の温
度の影響は受けるが、湾曲の影響はあまり受けない。従
って、この2つの抵抗体によってアクティブ・ダミー接
続の歪みゲージを構成する。このゲージの温度ドリフト
は、主として抵抗温度係数と2つのゲージの抵抗値の差
によって決まる。この場合抵抗温度係数が小さな素材を
選択することによって温度ドリフトを小さくすることが
できる。抵抗体18は抵抗温度係数が大きいので実質的
に温度によってその抵抗値が規定され、この抵抗値の変
化によって形状記憶合金1の温度を測定する。アクティ
ブ・ダミー接続の歪みゲージの温度ドリフトをあらかじ
め測定して抵抗体18によって測定された温度で補正す
ることで、より高精度の温度計測が可能になる。
【0064】従って、形状記憶合金の高精度の歪み測定
が行えるので、形状記憶合金の高精度の位置制御が可能
になる。 (8)上記第3の抵抗体に電流を流すことにより発生す
るジュール熱によって上記形状記憶合金を駆動すること
を特徴とする上記(7)に記載の形状記憶合金マニピュ
レータ。
【0065】この構成は、第1実施例に対応し、湾曲を
形状記憶した形状記憶合金1に密着し、少なくとも歪み
測定器を含んだ可撓性薄膜7dは、抵抗温度係数の大き
い金属薄膜より成る抵抗体18と、抵抗温度係数の小さ
い金属薄膜より成り、電流経路が主として形状記憶合金
1の長手方向に延在する抵抗体20aと電流経路が主と
して形状記憶合金1の長手方向とほぼ直角な方向に延在
する抵抗体20bで構成され、形状記憶合金は抵抗体1
8を流れる電流によって加熱されることで駆動し、抵抗
体20aと20bはアクティブ・ダミー接続の歪みゲー
ジを構成し、抵抗体18は測温抵抗体としても用いるこ
とを特徴とする。
【0066】この態様によれば、抵抗体20aの抵抗値
は形状記憶合金1の湾曲と温度変化によって抵抗値が変
化するが、抵抗体20bの抵抗値は形状記憶合金1の温
度の影響は受けるが、湾曲の影響はあまり受けない。従
って、この2つの抵抗体によってアクティブ・ダミー接
続の歪みゲージを構成する。このゲージの温度ドリフト
は、主として抵抗温度係数と2つのゲージの抵抗値の差
によって決まる。この場合、抵抗温度係数が小さな素材
を選択することによって温度ドリフトを小さくすること
ができる。抵抗体18は抵抗温度係数が大きいので実質
的に温度によってその抵抗値が規定され、この抵抗値の
変化によって形状記憶合金1の温度を測定する。アクテ
ィブ・ダミー接続の歪みゲージの温度ドリフトを予め測
定して抵抗体18によって測定された温度で補正するこ
とで、より高精度の温度計測が可能になる。形状記憶合
金の駆動は第3の抵抗体に通電することで発生するジュ
ール熱で行う。
【0067】従って、形状記憶合金の高精度の歪み測定
が可能になるので、形状記憶合金の高精度の位置制御が
可能になる。また、測温抵抗体が形状記憶合金を加熱す
るための機能も有しているのでマニピュレータの電装系
の構成を単純化できる。測温抵抗体が温度可変手段を兼
ねているので駆動系の構造を単純化できる。 (9)少なくとも湾曲形状を記憶した一体の形状記憶合
金に対して、当該形状記憶合金の温度を部分的に変化さ
せる複数の温度可変手段を有する形状記憶合金マニピュ
レータにおいて、上記複数の温度可変手段を駆動制御す
るために離散的に配置された電子回路が上記形状記憶合
金の面上に空隙を隔てて配置されていることを特徴とす
る形状記憶合金マニピュレータ。
【0068】この構成は第1実施例に相当し、形状記憶
合金1に組み付けられた離散的に配置された複数の温度
可変手段7a〜7eを駆動・制御するための離散的に配
置された電子回路8a〜8eが形状記憶合金1の上部に
空隙13を隔てて配置されていることを特徴とする。
【0069】この態様によれば、形状記憶合金の各領域
を制御するために離散的に配置された電子回路が、形状
記憶合金の上部に空隙を隔てて配置されているので、形
状記憶合金の湾曲にともなって電子回路が変形を受ける
ことはない。
【0070】従って、離散的に配置された電子回路によ
って、配線数を増大させることなく複雑な形状記憶合金
マニピュレータの制御が可能になる。この時、電子回路
は特別な変形防止のための固定を必要としないので、マ
ニピュレータの細径化と組み立て工程の簡略化を実現で
きる。 (10)上記複数の温度可変手段が一体の可撓性を有す
る薄膜に離散的に配置されており、上記電子回路が可撓
性を有する薄膜に離散的に配置されており、上記薄膜が
少なくとも上記電子回路と上記温度可変手段を接続する
ための複数の配線を備えており、上記温度可変手段が上
記形状記憶合金に密着しており、上記形状記憶合金の面
上に空隙を隔てて配置されている電子回路がその両端に
おいて可撓性を有する薄膜によって支持されていること
を特徴とする上記(9)に記載の形状記憶合金マニピュ
レータ。
【0071】この構成は第1実施例に対応し、形状記憶
合金1に組み付けられた、一体の可撓性薄膜より成る電
子デバイス6に離散的に配置された複数の可撓性を有す
る温度可変手段7a〜7eが形状記憶合金に密着し、そ
れを駆動・制御するための電子回路8a〜8eが形状記
憶合金1の上部に、その内部に少なくとも配線を有する
可撓性薄膜9によって把持された状態で空隙13を隔て
て配置されていることを特徴とする。
【0072】この態様によれば、形状記憶合金の各領域
に密着して配置された温度可変手段を制御するために離
散的に配置された電子回路が、形状記憶合金の上部に、
少なくとも温度可変手段と電子回路を接続するための配
線を含んだ薄膜に把持された状態で空隙を隔てて配置さ
れているので、形状記憶合金の湾曲にともなって電子回
路が変形を受けることはない。
【0073】従って、離散的に配置された電子回路によ
って、配線数を増大させることなく複雑な形状記憶合金
マニピュレータの制御が可能になる。この時電子回路は
特別な変形防止のための固定を必要としないので、マニ
ピュレータの細径化と組み立て工程の簡略化を実現でき
る。 (11)離散的に配置された複数の温度可変手段を備
え、湾曲形状を記憶した一体の形状記憶合金よりなる形
状記憶合金マニピュレータにおいて、上記形状記憶合金
は一部領域で屈曲又は捻り変形された変形領域を有し、
且つ当該変形領域にその変形状態を固定するための手段
を配置したことを特徴とする形状記憶合金マニピュレー
タ。
【0074】この構成は第1実施例に相当し、湾曲形状
を形状記憶させた形状記憶合金1は少なくとも前部1
a,変形部1b,後部1cを有し、離散的に配置された
温度可変手段7a〜7eが組み付けられ、変形部1bは
外力によって捻りもしくは曲げなどの変形を受けた状態
で固定されることを特徴とする。
【0075】この態様によれば、湾曲を形状記憶させた
形状記憶合金の一部に強い変形を加えてそれを固定する
ことによって、単純な形状記憶処理で任意形状、任意湾
曲方向の形状記憶合金マニピュレータを実現する。
【0076】従って、離散的に配置された温度可変手段
を組み付けた後で、マニピュレータの湾曲方向を変えた
り、マニピュレータの形状を任意に変えることができる
ので、マニピュレータの組み立てが容易になる。また、
複雑な形状や複雑な動作が可能な形状記憶合金マニピュ
レータが得られる。 (12)上記形状記憶合金の変形された一部領域が部材
によって覆われることで固定されているマニピュレータ
において、上記部材に該形状記憶合金の長手方向に貫通
孔が設けられていることを特徴とする上記(11)に記
載の形状記憶合金マニピュレータ。
【0077】この構成は、第1の実施例に対応し、一体
の形状記憶合金1が領域1bで捻り変形を受けた状態で
部材2によって固定され、マニピュレータは部材2を含
めて全体を覆う外皮14で覆われ、マニピュレータの先
端にはエンドエフェクタ3が取り付けられ、部材2には
貫通孔を確保するための中空パイプ5a及び5bが通さ
れていることを特徴とする。
【0078】この態様によれば、部材2に貫通孔がある
ので、そこを通してエンドエフェクタにエネルギーや吐
出物等を供給できる。従って、形状記憶合金マニピュレ
ータの、最大径とほぼ等しい幅の形状記憶合金を用いて
もエンドエフェクタに必要なエネルギーや物質を供給で
きる。 (13)上記形状記憶合金の一部領域の変形が捻り変形
であり、当該領域の前後で湾曲方向が異なることを特徴
とする上記(11)に記載の形状記憶合金マニピュレー
タ。
【0079】この構成は第1実施例に対応し、湾曲形状
を形状記憶させた形状記憶合金1は少なくとも前部1
a,変形部1b,後部1cを有し、離散的に配置された
温度可変手段7a〜7eが組み付けられ、変形部1bは
外力によって捻り変形を受けた状態で固定されることを
特徴とする。
【0080】この態様によれば、湾曲を形状記憶させた
形状記憶合金の一部に捻りを加えてそれを固定すること
によって、単純な形状記憶処理で任意湾曲方向の形状記
憶合金マニピュレータを実現する。
【0081】従って、離散的に配置された温度可変手段
を組み付けた後で、マニピュレータの湾曲方向を変える
ことができるので、マニピュレータの組み立てが容易に
なる。また、3次元的な動作が可能な形状記憶合金マニ
ピュレータが得られる。 (14)上記形状記憶合金の捻り変形を加える領域が他
の領域と比較して狭幅化されていることを特徴とする上
記(13)に記載の形状記憶合金マニピュレータ。
【0082】この構成は第1実施例に対応し、形状記憶
合金1は捻り変形が加えられる領域1bの部分で幅が狭
められていることを特徴とする。この態様によれば、幅
が狭められていることで、捻ったときのその部分の歪み
が小さくなる。このため、短い長さの領域で捻りを加え
て固定しても、形状記憶合金が破断することない。
【0083】従って、小型で3次元的な動作が可能な形
状記憶合金マニピュレータが得られる。 (15)形状記憶合金と、可撓性薄膜内に温度可変手段
と、該温度加熱手段に並列もしくは積層された配線とを
有し、上記形状記憶合金に該可撓性薄膜の少なくとも温
度可変手段の形成された領域の一部が密着しており、上
記形状記憶合金の一端にエンドエフェクタが組み付けら
れ、他端に該温度可変手段及びエンドエフェクタの駆動
装置が接続され、上記配線が上記エンドエフェクタ及び
駆動装置に接続されていることを特徴とする形状記憶合
金マニピュレータ。
【0084】この構成は、形状記憶合金1に組み付けら
れた可撓性薄膜より成る電子デバイス6の配線レイヤー
15は、形状記憶合金の各温度可変手段及びエンドエフ
ェクタに電力を供給するための配線15aと、形状記憶
合金マニピュレータを駆動・制御するための信号線15
bと、エンドエフェクタを駆動・制御するための信号線
15ーcを備えることを特徴とする。
【0085】この態様によれば、エンドエフェクタの電
力配線と信号伝達配線が、形状記憶合金マニピュレータ
を駆動・制御するための配線と一体に形成されている。
従って、エンドエフェクタのために信号や電力を供給す
るための配線を別に設ける必要がないので、マニピュレ
ータの微小化と組立工程の簡略化を同時に実現できる。 (16)上記可撓性薄膜に電子回路が一体化されてお
り、当該電子回路が上記エンドエフェクタを制御する機
能を有することを特徴とする請求項15に記載の形状記
憶合金マニピュレータ。
【0086】この構成では、可撓性薄膜より成る電子デ
バイス6のエンドエフェクタの電力供給線15a、信号
線15cは、エンドエフェクタ用制御回路10に接続さ
れ、そこから先端部コネクタ領域12を介してエンドエ
フェクタ3に接続されることを特徴とする。
【0087】この態様によれば、エンドエフェクタの駆
動及び制御は、制御回路10を介して行うので、外部の
コントローラからエンドエフェクタを接続する配線数を
少なくすることができる。
【0088】従って、形状記憶合金に沿って配置すべき
配線数を削減できるので、複雑な制御が必要なエンドエ
フェクタを適用した場合にあってもマニピュレータを細
径化できる。また、制御回路が近接して配置できるので
ノイズの影響を受けにくくなる。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、高度なフィードバック
制御を可能とするセンサ機能を搭載し、省線化のための
制御装置を搭載し、微小化時に組み立て容易な形状記憶
合金マニピュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る形状記憶合金マニピュレー
タの全体構成を示す図である。
【図2】外皮14を取り外した状態での形状記憶合金マ
ニピュレータの全体構成を示す図である。
【図3】(a)は可撓性薄膜よりなる電子デバイス6の
上面図を示し、(b)は第1の実施例に係る形状記憶合
金マニピュレータが採用する上記形状記憶合金1の詳細
な形状を示し、(c)は(a)の電子デバイス6を
(b)の形状記憶合金1に組み付けた状態を示す図であ
る。
【図4】図3(a)に示す領域Aの断面構造を示す図で
ある。
【図5】薄膜電子デバイス6の電子回路領域について模
式的に示す図であり、(a)は薄膜電子デバイス6の上
面図、(b)は(a)の切断面BB´における断面図で
ある。
【図6】(a)は図4における電子デバイス6のAl薄
膜よりなる配線層15のレイアウトの概略を示し、
(b)は電子デバイス6における後端部電極領域11の
断面図を示す図である。
【図7】(a)は図4における電子デバイス6のTi薄
膜よりなる形状記憶合金を加熱するためのヒータ16の
レイアウトの概略を示し、(b)は図4における電子デ
バイス6のNiCr合金薄膜による歪みセンサ17のレ
イアウトす図である。
【図8】電子デバイス6の内部接続及び機能の概略を示
す図である。
【図9】(a)は抵抗体18の抵抗値変化を検出するた
めのブリッジ回路を示し、(b)は抵抗体20a、20
bによって構成されるアクティブ・ダミー接続のブリッ
ジ回路を示す図である。
【図10】第2の実施例のガイドワイヤの側面図であ
る。
【図11】駆動用デバイス102の上面図である。
【図12】駆動用デバイス102の断面図である。
【符号の説明】
1…形状記憶合金、2…モールド樹脂部材、3…エンド
エフェクタ、4…円筒形の部材、5…金属パイプ、6…
電子デバイス、7…ヒータを積層化した領域、8…電子
回路、9…ポリイミド薄膜、10…電子回路、11…後
端部電極領域、12…先端部コネクタ領域、13…空
隙、14…外皮、15…配線、16…ヒータ、17…セ
ンサ、18…ヒータ、19…コンタクト孔、20…抵抗
体、21…コンタクト孔。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも湾曲形状を記憶した一体の形
    状記憶合金と、 上記形状記憶合金の温度を部分的に変化させる複数の温
    度可変手段と、 上記複数の温度可変手段の各々に対応した領域の部分的
    な物理量を個別に計測する物理量測定手段と、を有する
    ことを特徴とする形状記憶合金マニピュレータ。
  2. 【請求項2】 少なくとも湾曲形状を記憶した一体の形
    状記憶合金と、 上記形状記憶合金の長手方向に電流経路が延在している
    第1の金属薄膜からなる第1の抵抗体と、 上記形状記憶合金の長手方向と略直角の方向に電流経路
    が延在している第2の金属薄膜からなり、抵抗値が上記
    第1の抵抗体と略等しい第2の抵抗体と、 上記第1及び第2の金属薄膜よりも抵抗温度係数の大き
    い第3の金属薄膜からなる第3の抵抗体と、 上記第1乃至第3の抵抗体の抵抗値を計測する計測手段
    と、を有することを特徴とする形状記憶合金マニピュレ
    ータ。
  3. 【請求項3】 少なくとも湾曲形状を記憶した一体の形
    状記憶合金に対して、当該形状記憶合金の温度を部分的
    に変化させる複数の温度可変手段を有する形状記憶合金
    マニピュレータにおいて、 上記複数の温度可変手段を駆動制御するために離散的に
    配置された電子回路が上記形状記憶合金の面上に空隙を
    隔てて配置されていることを特徴とする形状記憶合金マ
    ニピュレータ。
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