JPH08252521A - 耐もらい錆性に優れた有機複合被覆鋼板 - Google Patents

耐もらい錆性に優れた有機複合被覆鋼板

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JPH08252521A
JPH08252521A JP8473495A JP8473495A JPH08252521A JP H08252521 A JPH08252521 A JP H08252521A JP 8473495 A JP8473495 A JP 8473495A JP 8473495 A JP8473495 A JP 8473495A JP H08252521 A JPH08252521 A JP H08252521A
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直人 吉見
Takahiro Kubota
隆広 窪田
Masaaki Yamashita
正明 山下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐もらい錆性に優れた有機複合被覆鋼板を提
供すること 【構成】 Zn系めっき鋼板の表面にクロメート皮膜を
形成し、該クロメート皮膜の上層に、エポキシ樹脂、変
性エポキシ樹脂及びポリヒドロキシポリエーテル樹脂の
中から選ばれた1種以上のエポキシ系樹脂からなる基体
樹脂[A]100重量部(固形分)に対して、硬化剤と
して1分子中に少なくとも3個のイソシアネート基を有
する多官能ポリイソシアネート化合物[B]を5〜80
重量部含有し、防錆添加剤[C]を([A]+[B])
/[C]の固形分の重量比で90/10〜60/40の
割合で含有する有機溶剤塗料組成物を塗布し焼付けるこ
とによって膜厚0.2〜3.0μmの樹脂皮膜を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車車体に好適な耐
もらい錆性に優れた有機複合被覆鋼板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、北米や北欧などの寒冷地では、冬
期に散布される道路凍結防止の塩類による自動車車体の
腐食が大きな社会問題となっている。このため、自動車
車体の防錆対策の一つとして、従来の冷延鋼板に代わっ
て耐食性に優れた表面処理鋼板を使用する傾向が強くな
りつつある。このような表面処理鋼板として、Zn系合
金めっき鋼板の表面にクロメート皮膜を有し、その上層
に1μm程度の膜厚の樹脂皮膜を有する耐食性に優れた
有機複合被覆鋼板が知られている。この有機複合被覆鋼
板は未塗装での耐食性が他の表面処理鋼板よりも優れ、
また、溶接性、耐パウダリング性が良好であることか
ら、自動車車体に幅広く適用されている。この種の表面
処理鋼板の特性改善を目的として、特開平4−7487
2号ではZn−Co合金めっき(下層めっき)とZn−
Ni合金めっき(上層めっき)をベースとし、これに3
価Cr/全Crの重量比を限定したクロメート皮膜を形
成し、その上層にエポキシ系樹脂皮膜を形成した有機複
合被覆鋼板が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、最近、腐食環境
下に鉄錆が共存する環境下での耐食性(以下、耐もらい
錆性という)が問題とされはじめている(CAMP-ISIJ vo
l.5(1992),p.1693)。すなわち、有機複合被覆鋼板をこ
のような環境下で使用すると鉄錆が樹脂皮膜の表面に付
着し、有機複合被覆鋼板本来の優れた耐食性を低下させ
るという問題が指摘されている。しかし、上述した特開
平4−74872号の有機複合被覆鋼板は、この耐もら
い錆性については十分な性能を発揮できないことが判っ
た。これは同被覆鋼板の有機皮膜は硬化剤が必須成分と
されておらず、また、添加したとしても公知の硬化剤
(フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド、アミン、
ブロックイソシアネート、酸無水物等)では十分な架橋
密度が得られていないためであると考えられる。
【0004】なお、公知文献である「GALVATECH'92,p.3
72」では、樹脂樹脂中の硬化剤の添加量を減少させて架
橋密度を低下させた場合、有機複合被覆鋼板の耐もらい
錆性が低下することが記載されているが、耐もらい錆性
を向上させるための具体的な手段については何も示して
いない。本発明はこのような現状に鑑み、耐食性(耐穴
あき性)、塗料密着性等の特性とともに、耐もらい錆性
に優れた有機複合被覆鋼板を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の有機複合被覆鋼
板は、上記の目的を達成するために本発明者らが鋭意検
討を重ねた結果、耐もらい錆性向上のためには、 硬化剤であるポリイソシアネート化合物の多官能化
による樹脂皮膜の高架橋密度化 防錆添加剤として、シリカと難溶性クロム酸塩の併
用 という2つの条件が極めて有効であることを見出し、な
されたものである。すなわち、本発明の有機複合被覆鋼
板は、以下のような構成を有する。
【0006】(1) Zn系めっき鋼板の表面に、金属クロ
ム換算で付着量5〜200mg/m2のクロメート皮膜
を形成し、該クロメート皮膜の上層に、エポキシ樹脂、
変性エポキシ樹脂及びポリヒドロキシポリエーテル樹脂
の中から選ばれた1種以上のエポキシ系樹脂からなる基
体樹脂[A]100重量部(固形分)に対して、硬化剤
として1分子中に少なくとも3個のイソシアネート基を
有する多官能ポリイソシアネート化合物[B]を5〜8
0重量部含有し、防錆添加剤[C]を([A]+
[B])/[C]の固形分の重量比で90/10〜60
/40の割合で含有する有機溶剤塗料組成物を塗布し焼
付けることによって膜厚0.2〜3.0μmの樹脂皮膜
を形成したことを特徴とする耐もらい錆性に優れた有機
複合被覆鋼板。
【0007】(2) 上記(1)の有機複合被覆鋼板におい
て、クロメート皮膜が、3価Cr/全Crの重量比が
0.4〜0.6となるように部分還元し、さらに還元剤
を添加した塗布型クロメート処理液を塗布した後乾燥さ
せることにより形成された塗布型クロメート皮膜である
耐もらい錆性に優れた有機複合被覆鋼板。 (3) 上記(1)または(2)の有機複合被覆鋼板において、樹
脂皮膜を構成する基体樹脂[A]がポリヒドロキシポリ
エーテル樹脂である耐もらい錆性に優れた有機複合被覆
鋼板。
【0008】(4) 上記(1)〜(3)の有機複合被覆鋼板にお
いて、樹脂皮膜を構成する防錆添加剤[C]が、シリカ
または/および難溶性クロム酸塩である耐もらい錆性に
優れた有機複合被覆鋼板。 (5) 上記(1)〜(3)の有機複合被覆鋼板において、樹脂皮
膜を構成する防錆添加剤[C]が、下記重量比からなる
シリカおよび難溶性クロム酸塩である耐もらい錆性に優
れた有機複合被覆鋼板。 シリカ/難溶性クロム酸塩=35/5〜1/39
【0009】(6) 上記(1)〜(5)の有機複合被覆鋼板にお
いて、多官能ポリイソシアネート化合物[B]が、1分
子中に少なくとも4個のイソシアネート基を有する多官
能ポリイソシアネート化合物である耐もらい錆性に優れ
た有機複合被覆鋼板。 (7) 上記(1)〜(5)の有機複合被覆鋼板において、多官能
ポリイソシアネート化合物[B]が、1分子中に少なく
とも6個のイソシアネート基を有する多官能ポリイソシ
アネート化合物である耐もらい錆性に優れた有機複合被
覆鋼板。 (8) 上記(1)〜(5)の有機複合被覆鋼板において、多官能
ポリイソシアネート化合物[B]が、1分子中に少なく
とも6個のイソシアネート基を有するヘキサメチレンジ
イソシアネートの多官能体である耐もらい錆性に優れた
有機複合被覆鋼板。
【0010】
【作用】亜鉛系めっき鋼板の表面に形成されたクロメー
ト皮膜の上層に第2層として形成された樹脂皮膜は、ク
ロメート皮膜中の6価のクロム酸イオンの腐食環境中へ
の過剰な溶出を抑制して防食効果を持続させる効果を有
するが、本発明では特に、特定の基体樹脂に対して、硬
化剤として1分子中に少なくとも3個のイソシアネート
基を有する多官能ポリイソシアネート化合物を反応させ
て形成された高架橋密度の樹脂皮膜と、樹脂皮膜中に特
定の比率で添加された防錆添加剤の作用(特に、シリカ
と難溶性クロム酸塩を複合添加した場合の相乗作用)に
よって、従来の有機複合被覆鋼板と比較して耐もらい錆
性を著しく向上させたものである。
【0011】以下、本発明の詳細とその限定理由を説明
する。ベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛め
っき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金
めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Al合
金めっき鋼板、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Co
−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼
板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、さらにはこれら
に金属酸化物、難溶性クロム酸塩、ポリマー等を分散め
っきした亜鉛系複合めっき鋼板等を挙げることができ
る。また、上記のようなめっきのうち同種または異種の
ものを2層以上めっきした複層めっき鋼板であっもよ
い。めっき方法としては、電解法、溶融法、気相法のう
ち実施可能ないずれの方法を採用することもできるが、
下地の冷延鋼板の選択性からは、電解法が有利である。
【0012】上記の亜鉛系めっき鋼板の表面に形成され
るクロメート皮膜は、6価クロムのクロム酸イオンによ
る自己修復作用により亜鉛系めっき鋼板の腐食を抑制す
る。このクロメート皮膜は付着量が、金属クロム換算で
5mg/m2未満では十分な耐食性を期待することがで
きず、一方、200mg/m2を超えると溶接性が劣化
する。このためクロメート皮膜の付着量は金属クロム換
算で5〜200mg/m2とする。また、さらに高度な
耐食性、溶接性を満足させるためには、金属クロム換算
で20〜100mg/m2の範囲とすることが好まし
い。このクロメート皮膜を形成するためのクロメート処
理としては、反応型、電解型、塗布型のいずれの方法も
適用可能である。耐食性の観点からは、クロメート皮膜
中に6価クロムのクロム酸イオンを多く含有する塗布型
が好ましい。
【0013】塗布型クロメート処理は、部分的に還元さ
れたクロム酸水溶液を主成分とし、これに下記〜の
成分の中から必要に応じて1種以上を添加した処理液
を、亜鉛系めっき鋼板に塗布し、水洗することなく乾燥
させる。 水溶性または水分散性のアクリル樹脂、ポリエステル
樹脂等の有機樹脂 シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛
等の酸化物のコロイド類および/または粉末 モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸等の酸お
よび/またはその塩類 りん酸、ポリりん酸等のりん酸類 ジルコニウムフッ化物、ケイフッ化物、チタンフッ化
物等のフッ化物 亜鉛イオン等の金属イオン りん化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等の導電性微粉
末 フッ化水素 シランカップリング剤 塗布型クロメート処理は、通常、ロールコーター法によ
り処理液を塗布するが、浸漬法やスプレー法により塗布
した後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量を
調整することも可能である。
【0014】塗布型クロメート皮膜はクロム酸の還元と
水の蒸発により形成されるが、低温において効率よく還
元・造膜させるため、次に述べる二段還元法を用いて造
膜させることが好ましい。すなわち、その一段目はクロ
ム酸水溶液中のクロム酸(6価Cr)を予め部分還元す
ることである。これにより、加熱乾燥焼付時に還元する
クロム酸量が減少し、効率的に造膜させることが可能と
なる。一段目の部分還元は3価Cr/全Crの重量比が
0.4〜0.6の範囲内となるように行うことが好まし
い。3価Cr/全Crのモル比が0.4未満では還元効
率が劣るため、耐クロム溶出性が低下し、一方、0.6
を超えると3価Crが過剰となり、耐もらい錆性及び耐
穴あき性が低下するとともに、処理液の安定性が損なわ
れる恐れがある。一段目の還元に用いる還元剤は特に限
定されるものではなく、例えば、多価アルコール、多価
カルボン酸等を用いることができる。また、市販の部分
還元クロメート処理液を用いてもよい。
【0015】このクロメート処理液にはコロイダルシリ
カ、リン化鉄、シランカップリング剤、リン酸のうちの
1種以上をを添加することが好ましい。クロメート処理
液中にコロイダルシリカを添加する場合、その添加量は
全クロム酸量の0.1〜4倍(重量)とすることが好ま
しい。コロイダルシリカはクロム酸水溶液の濡れ性を増
し、クロメート皮膜の造膜を助ける作用をするが、添加
量が全クロム酸の0.1倍未満では造膜作用の促進効果
が乏しく、一方、4倍を超えると皮膜が脆くなり、加工
後の耐食性が低下する。
【0016】クロメート処理液中にリン化鉄を共存させ
ると、リン化鉄がクロメート皮膜中の遊離6価クロムと
反応してその量を減少させるので、水に溶けやすい成分
が減少し、その結果腐食環境における皮膜の密着性が保
持される。また、リン化鉄は導電性を有するため、得ら
れる有機複合被覆鋼板の電着塗装性、溶接性も向上す
る。リン化鉄を添加する場合、その添加量は全クロム酸
量の0.1〜20倍(重量)とすることが好ましい。添
加量が全クロム酸の0.1倍未満では添加による効果が
十分に得られず、一方、20倍を超えるとリン化鉄の導
電性の効果が大きすぎて、皮膜の腐食障害壁としての役
割が損なわれる。リン化鉄のより好ましい添加量は全ク
ロム酸量の0.1〜10倍である。
【0017】シランカップリング剤は、加水分解してポ
リシロキサンを生成することによりクロメート皮膜を強
化し、上層皮膜との密着性を向上させる。加水分解によ
り遊離したアルコールはクロム酸の還元剤として作用す
る。使用し得るシランカップリング剤としては、ビニル
トリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエ
トキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β
−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン等を挙げることができる。シラン
カップリング剤を添加する場合、その添加量は未還元ク
ロム酸に対するモル比で0.01倍以上とすることが好
ましい。添加量が未還元クロム酸に対するモル比で0.
01倍未満では、添加による効果が十分に得られない。
但し、シランカップリング剤を添加し過ぎることは経済
的に不利であるばかりでなく、電着塗装性、耐食性を低
下させる恐れがある。リン酸はクロメート皮膜の耐食性
を向上させる作用があり、全クロム酸に対して等モル以
下の添加量で添加してもよい。
【0018】一段目の還元がなされた処理液には、さら
に還元剤が添加される。この場合、未還元の6価Crに
対して1〜4当量倍の還元能力を有する量の還元剤を添
加することが好ましい。この還元剤の添加量が未還元の
6価Crに対して1当量倍未満であると、クロメート皮
膜の耐食性、耐クロム溶出性が不十分となり、一方、4
当量倍を超えると還元剤の還元作用が飽和するばかりで
なく、還元剤がクロメート皮膜中に残存するため皮膜の
耐食性を阻害する。
【0019】還元剤としては、多価アルコール、多価カ
ルボン酸、オキシカルボン酸の1種もしくは2種以上を
用いることが好ましい。多価アルコールとしては例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリ
ン等を、多価カルボン酸としては、例えばコハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸等を、また、オキシカルボン酸と
しては、例えばクエン酸、乳酸等を用いることができ
る。この還元剤を添加する時期は、塗装の直前であるこ
とが最も望ましいが、少なくとも塗装前、数日以内とす
る。この理由は、二段目の還元剤が添加された処理液
は、放置するとゲル化を生じ易いためである。なお、ク
ロメート処理液の乾燥・焼付は60〜200℃、望まし
くは100〜150℃で行うことが好ましい。乾燥温度
が200℃を超えると鋼板の焼付硬化性が阻害される。
【0020】クロメート皮膜の上層には、エポキシ樹
脂、変性エポキシ樹脂及びポリヒドロキシポリエーテル
樹脂の中から選ばれた1種以上のエポキシ系樹脂からな
る基体樹脂[A]100重量部(固形分)に対して、硬
化剤として1分子中に少なくとも3個のイソシアネート
基を有する多官能ポリイソシアネート化合物[B]を5
〜80重量部含有し、さらに防錆添加剤[C]を
([A]+[B])/[C]の固形分の重量比で90/
10〜40/60の割合で含有する有機溶剤塗料組成物
を塗布し焼付けることによって膜厚0.2〜3.0μm
の樹脂皮膜を形成する。エポキシ樹脂としては、ビスフ
ェノールA系、ノボラック系、ビスフェノールF系等の
任意のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が使用でき
る。
【0021】また、エポキシ樹脂中のエポキシ基及びヒ
ドロキシル基を乾性油脂肪酸中のカルボキシル基と反応
させたエポキシエステル樹脂、エポキシ樹脂をイソシア
ネートと反応させることにより得られるウレタン変性エ
ポキシ樹脂、エポキシ樹脂をアクリル酸、メタクリル酸
等で変性したエポキシアクリレート樹脂等の変性エポキ
シ樹脂も使用できる。これらのエポキシ系樹脂は、低温
焼付により硬化反応が起こらなくても塗膜がタッキング
を起こさない程度に乾燥するように、分子量1000以
上のものが望ましい。
【0022】また、本発明においてエポキシ系樹脂の1
種として好適に使用できるものに、ポリヒドロキシポリ
エーテル樹脂がある。この樹脂は、単核型もしくは二核
型の2価フェノールまたは単核型と二核型との混合2価
フェノールを、アルカリ触媒の存在下にほぼ等モル量の
エピハロヒドリンと重縮合させて得られる重合体であ
る。単核型2価フェノールの例としてはレゾルシン、ハ
イドロキノン及びカテコールがあり、また、二核型フェ
ノールの例としてはビスフェノールAがあり、これらを
単独で使用しても或いは2種以上併用してもよい。な
お、エピハロヒドリンの代表例としてはエピクロロヒド
リンがある。
【0023】2価フェノールがレゾルシンとビスフェノ
ールAのモル比1/1の混合物である場合のポリヒドロ
キシポリエーテル樹脂は下記構造式で示される反復単位
から構成される。
【化1】
【0024】また、2価フェノールがレゾルシン単独で
ある場合の樹脂の反復単位は下記構造式で示される。
【化2】
【0025】ポリヒドロキシポリエーテル樹脂はエポキ
シ樹脂と同様の原料から製造されるので、本発明ではこ
れもエポキシ系樹脂の中に含める。但し、この樹脂は、
一般のエポキシ樹脂とは違って末端エポキシ基を持た
ず、数平均分子量が約8000〜20000と通常のエ
ポキシ樹脂よりかなり大きい熱可塑性樹脂である。ビス
フェノールAとエピクロロヒドリンから製造したポリヒ
ドロキシポリエーテル樹脂は、米国ユニオン・カーバイ
ド社よりフェノキシ樹脂PKHHとして市販されてい
る。
【0026】上記構造式から明らかなように、ポリヒド
ロキシポリエーテル樹脂は連鎖中にOH基と−O−基を
多数含んでいる。通常のエポキシ樹脂も、やはり多くの
OH基と−O−基とを連鎖中に有している。OH基は基
体と水素結合を形成するので密着力の増大に寄与し、−
O−基は分子内の回転を容易に生じるため、樹脂の可撓
性増大に寄与する。
【0027】2価フェノールがビスフェノールAのよう
な二核型のものであるよりもレゾルシンのような単核型
のものである方が、2価フェノールの分子量が小さいた
めに、重量当たりのこれらの官能基の個数が増大する。
従って、レゾルシンのような単核型2価フェノールの含
有率が多いほど、上記官能基の連鎖中の含有率が増大
し、得られる塗膜の密着性や可撓性が増大する傾向があ
る。この意味で、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を使
用する場合、2価フェノールはレゾルシンのような単核
型のものを少なくとも一部、例えば、約50モル%若し
くはそれ以上含有するものが好ましく、また、100%
レゾルシンであってもよい。同様に、他のエポキシ樹脂
を使用する場合であっても、樹脂中のOH基と−O−基
の個数が多いものを使用する方が一般に有利である。
【0028】以上述べたようなエポキシ樹脂、変性エポ
キシ樹脂及びポリヒドロキシポリエーテル樹脂の中から
選ばれたエポキシ系樹脂の1種または2種以上からなる
基体樹脂[A]を、溶解性、乾燥速度、平滑性などの要
求特性を考慮して選択した適当な有機溶剤に溶解させて
樹脂液を調整することができる。適当な溶剤として、エ
ポキシ樹脂若しくは変性エポキシ樹脂用の溶解には、例
えば、セロソルブ類、ケトン類、エステル類、炭化水素
類、ハロゲン化炭化水素類、もしくはこれらの混合溶剤
などが使用できる。ポリヒドロキシポリエーテル樹脂の
溶解には、ケトン類、セロソルブ類、若しくはこれらの
混合溶剤等が使用できる。
【0029】さらに本発明では、優れた耐もらい錆性を
得るために、上記の基体樹脂[A]に硬化剤を必須成分
として添加し、しかも、その硬化剤として特定の多官能
ポリイソシアネート化合物[B]を添加し、基体樹脂中
の水酸基とポリイソシアネート中のイソシアネート基と
の間でウレタン化反応を生じさせる。
【0030】本発明の樹脂皮膜の硬化剤に用いられるポ
リイソシアネート化合物は、耐もらい錆性向上の目的か
ら、1分子中に3個以上のポリイソシアネート基(これ
らのイソシアネート基はブロックしてあってもよい)を
有する多官能ポリイソシアネート化合物とする。すなわ
ち、1分子中に1個のイソシアネート基を有するモノイ
ソシアネート化合物、或いは1分子中に2個のイソシア
ネート基を有するジイソシアネート化合物では、樹脂皮
膜に十分な耐もらい錆性を付与することができない。こ
れに対して本発明では、1分子中に3個以上のイソシア
ネート基を有する多官能イソシアネート化合物、より好
ましくは4個以上、特に好ましくは6個以上のイソシア
ネート基を有する多官能イソシアネート化合物が、モノ
イソシアネート化合物やジイソシアネート化合物よりも
格段優れた耐もらい錆性を付与できることを見出したも
のである。
【0031】また、1分子中に6個以上のイソシアネー
ト基を有する多官能ポリイソシアネート化合物の中で
も、特にヘキサメチレンジイソシアネートの多官能体が
耐もらい錆性に最も有効である。なお、本発明で用いる
多官能ポリイソシアネート化合物は、1分子中のイソシ
アネート基の数が異なる同属化合物の混合物であっても
よい。また、上記多官能ポリイソシアネート化合物を2
種類以上併用してもよい。
【0032】このような1分子中に3個以上のイソシア
ネート基を有する多官能ポリイソシアネート化合物とし
ては、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する
化合物、少なくとも1分子中に2個以上のイソシアネー
ト基を有する化合物を多価アルコールと反応させた化合
物、若しくはそれらのビューレットタイプ付加物、イソ
シアヌル環タイプ付加物等の化合物がある。例えば、ト
リフェニルメタン−4,4′、4″−トリイソシアネー
ト、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,
6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジ
フェニルメタン−2,2′、5,5′−テトライソシア
ネート等の3個以上のイソシアネート基を有するポリイ
ソシアネート化合物;エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブチレングリコール、ポリアルキ
レングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサント
リオール等のポリオールの水酸基に対してイソシアネー
ト基が過剰量になる量のポリイソシアネート化合物を反
応させてなる付加物;ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、4,4′−メチレンビ
ス(シクロヘキシルイソシアネート)等のビューレット
タイプ付加物またはイソシアヌル環タイプ付加物等を挙
げることができる。
【0033】上記ポリオールの水酸基に対してイソシア
ネート基が過剰量となる量のポリイソシアネート化合物
を反応させてなる付加物において、該ポリイソシアネー
ト化合物としては、上記3個以上のイソシアネート基を
有するポリイソシアネート化合物並びにヘキサメチレン
ジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシア
ネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシ
アネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロ
ンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロ
ヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−
2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3
−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘ
キサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;及びキシリ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、m
−(又はp−)フェニレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフ
ェニル)スルホン等の芳香族ジイソシアネート化合物等
を挙げることができる。
【0034】皮膜形成物を安定に保存するためには、硬
化剤のイソシアネートを保護する必要がある。この方法
としては、加熱硬化時に保護基(ブロック剤)が脱離
し、イソシアネート基が再生する保護方法が採用でき
る。この保護剤(ブロック剤)としては、例えば、 (1) メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、オクチルアルコール等の脂肪族モノアルコール類 (2) エチレングリコールおよび/またはジエチレングリ
コールのモノエーテル類、例えばメチル、エチル、プロ
ピル(n−,iso)、ブチル(n−,iso,sec)等のモ
ノエーテル (3) フェノール、クレゾール等の芳香族アルコール (4) アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム等の
オキシム 等があり、これらの1種または2種以上と前記イソシア
ネート化合物とを反応させることにより、少なくとも常
温下で安定に保護されたイソシアネート化合物を得る。
【0035】このような硬化剤としての多官能ポリイソ
シアネート化合物[B]は、基体樹脂[A]100重量
部(固形分)に対して5〜80重量部(固形分)、好ま
しくは10〜50重量部の割合で配合する。硬化剤の配
合量が5重量部未満では形成された皮膜の架橋密度が不
十分となり、耐もらい錆性の向上効果が小さい。一方、
80重量部を超えて配合すると、未反応の残留イソシア
ネートが吸水し、耐もらい錆性に効果がないばかりでは
なく、逆に耐食性(耐穴あき性)、密着性を損なう。
【0036】本発明においてこのような樹脂組成物皮膜
を設ける狙いは、高度な耐食性(耐穴あき性)との2コ
ート以上の多層塗膜密着性、さらに鉄錆共存腐食環境下
での優れた耐もらい錆性を得るために、ベースとして
エポキシ系樹脂を採用し、素地やカチオン電着皮膜との
高密着性と高耐食性を得ることを期待し、さらに、硬
化剤として本発明の特徴である1分子中に少なくとも3
個以上のイソシアネート基を有する多官能ポリイソシア
ネート化合物を用いることによって、優れた耐もらい錆
性を有する高架橋密度皮膜を得る、というものである。
【0037】さらに、架橋剤として、メラミン、尿素お
よびベンゾグアナミンの中から選ばれた1種以上にホル
ムアルデヒドを反応させてなるメチロール化合物の一部
若しくは全部に炭素数1〜5の1価アルコールを反応さ
せてなるアルキルエーテル化アミノ樹脂を、上記多官能
ポリイソシアネート化合物と併用してもよい。なお、樹
脂は以上のような架橋剤で十分架橋するが、さらに低温
架橋性を増大させるため、公知の硬化促進触媒を使用す
ることが望ましい。この硬化促進触媒としては、例え
ば、N−エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、
ナフテン酸コバルト、塩化第一スズ、ナフテン酸亜鉛、
硝酸ビスマス等を用いることができる。また、付着性な
ど若干の物性向上を狙いとして、上記樹脂組成物に公知
のアクリル、アルキッド、ポリエステル等の樹脂を添加
することもできる。
【0038】本発明では、樹脂皮膜中に防錆添加剤
[C]が添加されるが、この防錆添加剤[C]として
は、特にシリカと難溶性クロム酸塩が好ましい。これら
シリカと難溶性クロム酸塩はいずれかを単独で添加して
もよいが、両者を特定の比率で複合添加することにより
優れた耐もらい錆性と耐穴あき性が実現できる。シリカ
は、亜鉛系めっき鋼板の腐食生成物のうち腐食の抑制に
有効な塩基性塩化亜鉛の生成を促進させる効果を有する
ほか、腐食環境中に微量に溶解することにより、ケイ酸
イオンが皮膜形成型腐食抑制剤として機能することによ
り、防食効果が発揮されるものと推定される。
【0039】本発明で使用されるシリカとしては、乾式
シリカ(例えば、日本アエロジル(株)製のAEROS
IL 130、AEROSIL 200、AEROSIL
300、AEROSIL 380、AEROSIL R
972、AEROSIL R811、AEROSIL R
805等)、オルガノシリカゾル(例えば、日産化学工
業(株)製のMA−ST、IPA−ST、NBA−S
T、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、ETC
−ST、DMAC−ST等)、沈降法湿式シリカ(例え
ば、徳山曹達(株)製T−32(S)、K−41,F−
80等)、ゲル法湿式シリカ(例えば、富士デヴィソン
化学(株)製サイロイド244、サイロイド150、サ
イロイド72、サイロイド65、SHIELDEX等)
等を挙げることができる。また、上記のシリカを2種以
上を混合して使用することができる。
【0040】これらのシリカには親水性シリカと疎水性
シリカとがある。これらのうち、親水性シリカでも耐も
らい錆性向上効果は期待できるが、後述するように疎水
性シリカの方が耐もらい錆性を顕著に向上させる。親水
性シリカは、その表面が水酸基(
【化3】 )で覆われており、親水性を示す。このシラノール基は
反応性に富むため各種有機化合物と反応しやすく、シリ
カ表面を有機化することができる。疎水性シリカは、こ
のような親水性シリカ表面のシラノール基に一部または
ほとんどをメチル基やアルキル基等で置換反応させ、シ
リカ表面を疎水化させたものである。
【0041】疎水性シリカの製法は多種多様であり、そ
の代表的なものとして、アルコール類、ケトン類、エス
テル類等の有機溶剤、シラン類、シラザン類、ポリシロ
キサン類等の反応であり、反応の方法としては、有機溶
媒中における反応加圧法、触媒加熱法等がある。シリカ
は優れた防食効果を有しているが、特に、疎水性シリカ
が耐もらい錆性を向上させる効果が大きい。その理由と
して、親水性シリカはその強い親水性のために鉄錆中の
鉄イオン、或いは鉄の酸化物の浸透を招き易く、これが
耐もらい錆性向上に効果が少ない理由と推定される。こ
のため本発明においては、疎水性シリカを採用する方が
好ましい。
【0042】また、有機皮膜中に添加された難溶性クロ
ム酸塩は、腐食環境中で微量に溶解することにより、6
価のクロム酸イオンを放出し、クロメート皮膜と同様の
機構で亜鉛系めっき鋼板の腐食を抑制するものと考えら
れる。本発明で使用する難溶性クロム酸塩としては、ク
ロム酸バリウム(BaCrO4)、クロム酸ストロンチ
ウム(SrCrO4)、クロム酸カルシウム(CaCr
4)、クロム酸亜鉛(ZnCrO4・4Zn(O
H)2)、クロム酸亜鉛カリウム(K2O・4ZnO・4
CrO3・3H2O)、クロム酸鉛(PbCrO4)等の
微粉末を使用することができる。また、上記の難溶性ク
ロム酸塩を2種以上混合して使用することも可能であ
る。但し、耐食性の観点からは、長期にわたってクロム
酸イオンによる自己修復効果の期待できるクロム酸バリ
ウム、クロム酸ストロンチウムを使用することが好まし
い。また、自動車の塗装前処理工程において、有機皮膜
中からの水可溶性クロムの溶出をできるだけ少なくする
という観点からは、水に対する溶解度の小さいクロム酸
バリウムが好ましい。
【0043】本発明では、上述した特定の基体樹脂
[A]と多官能ポリイソシアネート化合物[B]からな
る樹脂組成物中に、シリカおよび難溶性クロム酸塩を特
定の比率で配合することにより、双方の防食効果の相乗
効果によって、最も優れた耐もらい錆性を実現できる。
すなわち、シリカおよび難溶性クロム酸塩が不揮発分の
重量比で、 (基体樹脂[A]+多官能ポリイソシアネート化合物
[B])/(シリカ+難溶性クロム酸塩=90/10〜
40/60 シリカ/難溶性クロム酸塩=35/5〜1/39 の割合で配合された場合に、最も優れた耐食性を得るこ
とが可能となる。ここで、(基体樹脂[A]+多官能ポ
リイソシアネート化合物[B])/(シリカ+難溶性ク
ロム酸塩)が90/10を超えると、シリカおよび難溶
性クロム酸塩による防食効果が十分に発揮されないため
耐もらい錆性が劣る。一方、40/60未満であると、
エポキシ樹脂のバインダーとしての効果が不十分とな
り、塗料密着性が劣化する。また、シリカ/難溶性クロ
ム酸塩が35/5を超えても、また、1/39未満でも
相乗効果が不十分となり、耐もらい錆性がやや劣化す
る。
【0044】以上のように、シリカは安定な腐食生成物
の生成を促進する効果によってもらい錆による腐食を抑
制し、一方、難溶性クロム酸塩はもらい錆によって形成
された有機皮膜の欠陥部を6価のクロム酸イオンの効果
によって補修する作用をするものであり、このようなも
らい錆による腐食の抑制機構が異なるシリカと難溶性ク
ロム酸塩とを併用することによって、はじめて優れた耐
もらい錆性を達成できたものである。
【0045】図1に、上述した特定の基体樹脂とイソホ
ロンジイソシアネート系の6官能ポリイソシアネート化
合物とからなる有機樹脂(表2のNo.2)に、シリカ
と難溶性クロム酸塩をその比率を変えて添加した場合
の、通常の未塗装耐食性(耐穴あき性試験200サイク
ル後の評価)および耐もらい錆性(耐もらい錆性試験7
サイクル後の評価)とシリカ/難溶性クロム酸塩の重量
比との関係について示す。これによれば、シリカ/難溶
性クロム酸塩の重量比が35/5を超えると耐もらい錆
性が劣化し、一方、1/39未満では通常の未塗装耐食
性(耐穴あき性)が劣化する。したがって、シリカ/難
溶性クロム酸塩の配合比は35/5〜1/39が好まし
く、また、特に耐もらい錆性を重視する場合には20/
20〜1/39の範囲とすることが、さらに最も優れた
耐食性(耐もらい錆性及び耐穴あき性)を得るためには
20/20〜5/35の範囲とすることが好ましい。ま
た、図2には、比較のために硬化剤として従来のジイソ
シアネート化合物(HMDI)を用いた場合の耐もらい
錆性とシリカ/難溶性クロム酸塩の重量比との関係を示
す。図1、図2から、本発明は多官能ポリイソシアネー
ト化合物と特定比率のシリカおよび難溶性クロム酸塩の
配合による相乗効果によってはじめて達成できたもので
あることが判る。
【0046】さらに、図4に、硬化剤としてヘキサメチ
レンジイソシアネート系の6官能ポリイソシアネート化
合物を用いた場合の、未塗装耐食性(耐穴あき性試験2
00サイクル後の評価)および耐もらい錆性(耐もらい
錆性試験15サイクル後の評価)とシリカ/難溶性クロ
ム酸塩の重量比との関係について示す。これによれば、
イソホロンジイソシアネート系の6官能ポリイソシアネ
ート化合物を用いた場合と同様、シリカ/難溶性クロム
酸塩の配合比は35/5〜1/39が好ましく、また、
特に耐もらい錆性を重視する場合には20/20〜1/
39の範囲とすることが、さらに最も優れた耐食性(耐
もらい錆性及び耐穴あき性)を得るためには20/20
〜5/35の範囲とすることが好ましい。さらに、後述
する実施例(例えば、No.70とNo.73の比較)
の記載から明らかなように、ヘキサメチレンジイソシア
ネート系の6官能ポリイソシアネート化合物とイソホロ
ンジイソシアネート系の6官能ポリイソシアネート化合
物とを較べた場合、シリカ/難溶性クロム酸塩の配合比
を同一とした場合には、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト系の6官能ポリイソシアネート化合物を用いた方がよ
り優れた耐もらい錆性が得られる。
【0047】なお、本発明では、上記のシリカおよび難
溶性クロム酸塩が樹脂組成物中への主な添加剤成分とな
るが、その他にもシランカップリング剤、着色顔料(例
えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料
等)、着色染料(例えば、アゾ系染料、アゾ系金属錯塩
染料等)、防錆顔料(例えば、トリポリりん酸二水素ア
ルミニウム、りんモリブデン酸アルミニウム、りん酸亜
鉛等)、導電顔料(例えば、りん化鉄、アンチモンドー
プ型酸化錫等)、界面活性剤等から1種以上をさらに配
合することも可能である。また、特に潤滑剤として以下
の中から1種以上を添加することにより、加工性を向上
させることができる。 ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポ
リプロピレンワックス等) フッ素樹脂(四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレ
ン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、フッ化エチレン−
パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、四フッ
化エチレン−エチレン共重合樹脂、三フッ化塩化エチレ
ン樹脂、フッ化ビニレデン樹脂等) グラファイト 二硫化モリブデン 窒化ホウ素 また上記のうちフッ素樹脂とポリエチレンワックスとを
併用してもよい。
【0048】上述したような有機皮膜はクロメート皮膜
上に0.2〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.0μ
mの膜厚で形成させる。膜厚が0.2μm未満である
と、十分な耐もらい錆性が得られず、一方、3.0μm
を超えると溶接性(特に連続打点性)が低下する。図3
に、有機被膜の膜厚とスポット溶接性(連続打点性)と
の関係を調べた結果を示す。これによれば、膜厚が3.
0μmを超えるとスポット溶接性が低下することが判
る。
【0049】上記の塗料組成物を亜鉛系めっき鋼板に塗
布する方法としては、通常、ロールコーター法により塗
料組成物を塗布するが、浸漬法やスプレー法により塗布
した後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量を
調整することも可能である。また、塗料組成物を塗布し
た後の加熱処理方法としては、熱風炉、高周波誘導加熱
炉、赤外線炉等を用いることができる。加熱処理は、到
達板温で80〜250℃、好ましくは100〜200℃
の範囲で行うことが望ましい。さらに本発明をBH鋼板
に適用する場合には、150℃以下の加熱処理が望まし
い。本発明鋼板はこのような低温焼付により得られると
いう大きな特徴がある。
【0050】この焼付温度が80℃未満では皮膜の架橋
が進まず、十分な耐食性を得ることができず、一方、2
50℃を超える高温焼付になると、耐食性が劣化してく
る。これは250℃を超える高温焼付では、クロメート
皮膜成分中に含有される水分の揮散と、水酸基(
【化4】 )どうしの脱水縮合反応の急速な進行とにより、クロメ
ート皮膜のクラック発生によるクロメート皮膜の破壊が
進行し、また、6価クロムの還元が進んで6価クロムの
不働態化作用が低減すること等によるものと推定され
る。なお、自動車車体にはカチオン電着塗装が施される
が、クロメート皮膜+有機皮膜の湿潤電気抵抗が200
kΩ/cm2を超えるとカチオン電着塗装がうまく形成
されないという問題があり、このため自動車車体を主た
る用途とする本発明鋼板では、クロメート皮膜+樹脂組
成物皮膜の湿潤抵抗を200kΩ/cm2以下に抑える
よう両皮膜を形成させることが好ましい。
【0051】本発明は、以上述べたような皮膜構造を両
面または片面に有する鋼板を含むものである。本発明鋼
板の態様としては、例えば以下のようなものがある。 (1)片面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−有機皮膜 片面…Fe面 (2)片面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−有機皮膜 片面…メッキ皮膜 (3)両面…メッキ皮膜−クロメート皮膜−有機皮膜 なお、本発明の有機複合被覆鋼板は自動車用に限らず、
家電、建材等の用途にも用いることができる。
【0052】
【実施例】
〔実施例1〕自動車車体用の有機複合被覆鋼板として、
亜鉛系めっき鋼板をアルカリ脱脂後、水洗・乾燥し、ク
ロメート処理を施し、次いで、塗料組成物をロールコー
ターにより塗布し、焼き付けた。得られた有機複合被服
鋼板について、耐穴あき性、耐もらい錆性、塗料密着性
および溶接性の各試験を行った。その結果を表5〜表1
5に示す。なお、本実施例の製造条件は、以下の通りで
ある。 (1)亜鉛系めっき鋼板 厚さ0.8mm、表面粗さ(Ra)1.0μmの冷延鋼
板に各種亜鉛系めっきを施し、処理原板として用いた。
(表1参照)
【0053】(2)クロメート処理 塗布型クロメート処理 下記に示す液組成のクロメート処理液をロールコーター
により塗布し、水洗することなく乾燥させた。クロメー
ト層の付着量は、ロールコーターのピックアップロール
とアプリケーターロールの周速比を変化させ調整した。 無水クロム酸:20g/l りん酸イオン:4g/l ジルコニウムフッ化物イオン:1g/l 亜鉛イオン:1g/l 6価クロム/3価クロム:3/3(重量比) 無水クロム酸/ジルコニウムフッ化物イオン:20/1
(重量比)
【0054】 電解クロメート処理 無水クロム酸30g/l、硫酸0.2g/l、浴温40
℃の処理液を用いて、電流密度10A/dm2で、亜鉛
系めっき鋼板に陰極電解処理を行い、水洗・乾燥した。
クロメート層の付着量は、陰極電解処理の通電量を制御
することにより調整した。 反応型クロメート処理 無水クロム酸30g/l、りん酸10g/l、NaF
0.5g/l、K2TiF64g/l、浴温60℃の処理
液を用いて、亜鉛系めっき鋼板にスプレー処理し、水洗
・乾燥した。クロメート層の付着量は、処理時間を変化
させ調整した。
【0055】(3)有機樹脂 表2に、使用した有機樹脂を示す。なお、同表に示す基
体樹脂および硬化剤(ポリイソシアネート)は下記に示
す方法で作成した。 〔基体樹脂の製造〕 基体樹脂A1 ポリヒドロキシポリエーテル樹脂として、市販の東都化
成(株)製フェノキシ樹脂フェノトートYP−50(分
子量:36000)を、酢酸セロソルブ/シクロヘキサ
ノン=1/1(重量比)混合溶媒に溶解させ、固形分2
0wt%の樹脂液を調整した。これを基体樹脂A1とす
る。 基体樹脂A2 一般的な樹脂である油化シェルエポキシ社製エピコート
1007(分子量:2900)を、キシレン/メチルエ
チルケトン=6/4(重量比)混合溶媒に溶解させ、固
形分20wt%の樹脂液を調整した。これを基体樹脂A2
とする。
【0056】〔硬化剤〕 6官能イソシアネート(硬化剤B1) 温度計、撹拌器および滴下ロート付還流冷却器を付属し
てある反応容器にイソホロンジイソシアネート222部
とメチルイソブチルケトン34部を秤取し、均一に溶解
した後、メチルエチルケトンオキシム87部を前記滴下
ロートから70℃に保持した撹拌状態のイソシアネート
溶液中に2時間要して滴下した。その後、ソルビトール
30.4部を加えて120℃に昇温し、120℃で反応
させた。その後、この反応物のIR測定をし、
【数1】 のイソシアネート基による吸収がないことを確認し、ブ
チルセロソルブ50.4部を加え、硬化剤B1を得た。こ
の硬化剤B1の有効成分は80%であった。
【0057】 4官能イソシアネート(硬化剤B2) 温度計、撹拌器および滴下ロート付還流冷却器を付属し
てある反応容器にイソホロンジイソシアネート222部
とメチルイソブチルケトン34部を秤取し、均一に溶解
した後、メチルエチルケトンオキシム87部を前記滴下
ロートから70℃に保持した撹拌状態のイソシアネート
溶液中に2時間を要して滴下した。その後、ペンタエリ
スリトール34部を加えて120℃に昇温し、120℃
で反応させた。その後、この反応物のIR測定をし、
【数2】 のイソシアネート基による吸収がないことを確認し、ブ
チルセロソルブ52部を加え、硬化剤B2を得た。この硬
化剤B2の有効成分は80%であった。
【0058】 3官能イソシアネート(硬化剤B3) 温度計、撹拌器および滴下ロート付還流冷却器を付属し
てある反応容器にデュラネートTPA−100(HMD
Iのイソシアヌル環タイプ;旭化成(株)製)550部
とメチルイソブチルケトン34部を秤取し、均一に溶解
した後、メチルエチルケトンオキシム270部を前記滴
下ロートから70℃に保持した撹拌状態のイソシアネー
ト溶液中に2時間を要して滴下した。その後、この反応
物のIR測定をし、
【数3】 のイソシアネート基による吸収がないことを確認し、ブ
チルセロソルブ47部を加え、硬化剤B3を得た。この硬
化剤B3の有効成分は90%であった。
【0059】 2官能イソシアネート(硬化剤B4) タケネートB−870N(IPDIのMEKオキシムブ
ロック体;武田薬品工業(株)製)を硬化剤B4として用
いた。 ヘキサメチレンジイソシアネート系6官能イソシア
ネート(硬化剤B5) ヘキサメチレンジイソシアネート系の6官能イソシアネ
ート化合物であるデュラネートMF−B80M(HMD
I系の6官能イソシアネートのオキシムブロック体:旭
化成工業(株)製)を硬化剤B5として用いた。
【0060】〔実施例2〕自動車車体用の有機複合被覆
鋼板として、亜鉛系めっき鋼板をアルカリ脱脂後、水洗
・乾燥し、表16に示す塗布型クロメート処理液を塗布
して塗布型クロメート皮膜を形成し、次いで、塗料組成
物をロールコーターにより塗布し、焼き付けた。得られ
た有機複合被服鋼板について、耐穴あき性、耐もらい錆
性、塗料密着性、溶接性及び耐クロム溶出性の各試験を
行った。その結果を表17に示す。なお、本実施例のク
ロメート処理以外の製造条件は実施例1と同様である。
【0061】(a)塗布型クロメート処理液の調整 CrO3:120g/lを含有するクロム酸水溶液に、
還元剤としてエチレングリコールを添加し、80℃で6
時間加熱した。反応終了後、クロム酸水溶液を加えて3
価Cr/全Crの重量比を所定の値に調整し、さらに水
を加えて、全クロム酸濃度をCrO3換算で40g/l
(=0.4モル/l)に調整した。得られた部分還元ク
ロム酸水溶液に、使用前に還元剤として多価アルコール
であるグリセリンを添加した。また、一部のクロメート
処理液には、必要に応じてコロイダルシリカ、リン化鉄
及びシランカップリング剤であるγ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランを添加し、表16示す塗布型ク
ロメート処理液を得た。
【0062】(b)クロメート皮膜の形成 Zn系めっき鋼板を日本パーカライジング(株)製のア
ルカリ脱脂液(ファインクリーナー4336)を用いて
脱脂した後、表16に記載の塗布型クロメート処理液を
バーコーターにより所定のクロム付着量となるように塗
布し、板温度140℃で30秒間加熱して皮膜を乾燥さ
せ、クロメート皮膜を形成した。
【0063】なお、上記実施例1及び実施例2における
各特性の評価方法は以下の通りである。 (a)耐食性試験(耐穴あき性) 無塗装の試験片のエッジ部と裏面をテープシールした
後、試験片の下半面にクロスカットを入れ、下記の複合
腐食試験サイクルの腐食促進試験を施し、200サイク
ル後の腐食の進行程度で評価した。 5%NaCl噴霧・35℃(4時間) ↓ 乾燥・60℃(2時間) ↓ 95%RH湿潤・50℃(4時間) なお、評価基準は以下の通りである。 ◎ :赤錆発生なし ○+:赤錆面積率5%未満 ○ :赤錆面積率5%以上、10%未満 ○−:赤錆面積率10%以上、20%未満 △ :赤錆面積率20%以上、50%未満 × :赤錆面積率50%以上
【0064】(b)耐もらい錆性 無塗装の試験片のエッジ部と裏面をテープシールした
後、下記の鉄錆共存下の複合腐食試験サイクルによる促
進腐食試験を行い、実施例No.1〜69については7
サイクル後の錆発生程度を、また、実施例No.70〜
124については15サイクル後の錆発生程度を、それ
ぞれ評価した。 鉄錆共存下(*注)5%NaCl浸漬・50℃(18時間) ↓ 95%RH湿潤・50℃(3時間) ↓ 乾燥・60℃(3時間) (*注)鉄錆の供給方法:塩水1l当り10cm2の面
積の冷延鋼板を浸漬した。なお、評価基準は以下の通り
である。 ◎ :赤錆発生なし ○ :赤錆面積率10%未満 ○−:赤錆面積率10%以上、20%未満 △ :赤錆面積率20%以上、50%未満 × :赤錆面積率50%以上
【0065】(c)塗料密着性 試験片をアルカリ脱脂した後、日本ペイント(株)U−
600で電着塗装(膜厚25μm)を行い、次いで関西
ペイント(株)製ルーガベークB−531で上塗り塗装
(膜厚35μm)を行った。これらの試験を40℃のイ
オン交換水中に240時間浸漬した。次いで試験片を取
り出し、24時間室温で放置した後、塗膜に2mm間隔
の碁盤目を100個刻み、接着テープを粘着・剥離し
て、塗膜の剥離率で評価した。その評価基準は以下の通
りである。 ◎:剥離なし ○:剥離率3%未満 △:剥離率3%以上、10%未満 ×:剥離率10%以上
【0066】(d)溶接性 CF型電極、加圧力200kgf、通電時間10サイク
ル/50Hz、溶接電流10kAで連続打点性の試験を
行い、連続打点数で評価した。その評価基準は以下の通
りである。 ◎:2000点以上 ○:1000点以上、2000点未満 ×:1000点未満
【0067】(e)耐クロム溶出性 試験片を日本パーカライジング製脱脂液FC−L446
0中に43℃で180秒浸漬した後、さらに同社製リン
酸亜鉛化成処理液PB−L3020に43℃で120秒
浸漬した場合のクロム溶出量を、蛍光X線により測定し
た浸漬処理前後の試験片のクロム付着量の差により評価
した。評価基準は以下の通りである。 ◎:金属クロム換算の溶出量≦1mg/m2 ○:金属クロム換算の溶出量≦2mg/m2 ×:金属クロム換算の溶出量>2mg/m2
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
【表11】
【0079】
【表12】
【0080】
【表13】
【0081】
【表14】
【0082】
【表15】
【0083】表5〜表15に記載の*1〜*8は、以下
の内容を示す。 *1 発:本発明例、比:比較例 *2 表1に記載のめっき鋼板のNo. *3 金属クロム換算のクロメート付着量 *4 表2に記載の有機樹脂のNo. *5 表3に記載のシリカのNo. *6 表4に記載の難溶性クロム酸塩のNo. *7 不揮発分の重量比 *8 不揮発分の重量比
【0084】
【表16】
【0085】
【表17】
【0086】表17に記載の*1〜*9は、以下の内容
を示す。 *1 発:本発明例、比:比較例 *2 表1に記載のめっき鋼板のNo. *3 表16に記載の塗布型クロメート処理液のNo. *4 金属クロム換算のクロメート付着量 *5 表2に記載の有機樹脂のNo. *6 表3に記載のシリカのNo. *7 表4に記載の難溶性クロム酸塩のNo. *8 不揮発分の重量比 *9 不揮発分の重量比
【0087】以上の実施例からも明らかなように、本発
明の有機複合被覆鋼板は優れた耐もらい錆性を示す。ま
た、特に硬化剤として1分子中に少なくとも4個、好ま
しくは6個以上のイソシアネート基を有する多官能ポリ
イソシアネートを用いた場合に、より優れた耐もらい錆
性を示すこと、さらに、表11の実施例No.70と表
12の実施例No.73を比較すると、硬化剤としてヘ
キサメチレンジイソシアネート系の6官能ポリイソシア
ネート化合物を用いた方が、イソホロンジイソシアネー
ト系の6官能ポリイソシアネート化合物を用いるよりも
優れた耐もらい錆性が得られることが判る。
【0088】
【発明の効果】以上述べた本発明の有機複合被覆鋼板は
耐もらい錆性及び耐穴あき性に優れ、また、塗料密着性
及び溶接性にも優れているため、特に自動車車体用の表
面処理鋼板として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が規定する特定の基体樹脂と多官能ポリ
イソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート系
の6官能ポリイソシアネート化合物)とからなる有機樹
脂中にシリカと難溶性クロム酸塩を比率を変えて添加し
た場合の、シリカ/難溶性クロム酸塩の重量比と通常の
未塗装耐食性および耐もらい錆性(耐もらい錆性試験7
サイクル後の評価)との関係を示すグラフ
【図2】硬化剤として従来のジイソシアネート化合物を
用いた有機樹脂中にシリカと難溶性クロム酸塩を比率を
変えて添加した場合の、シリカ/難溶性クロム酸塩の重
量比と耐もらい錆性との関係を示すグラフ
【図3】有機皮膜の膜厚と溶接性との関係を示すグラフ
【図4】本発明が規定する特定の基体樹脂とヘキサメチ
レンジイソシアネート系の6官能ポリイソシアネート化
合物とからなる有機樹脂中にシリカと難溶性クロム酸塩
を比率を変えて添加した場合の、シリカ/難溶性クロム
酸塩の重量比と通常の未塗装耐食性および耐もらい錆性
(耐もらい錆性試験15サイクル後の評価)との関係を
示すグラフ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn系めっき鋼板の表面に、金属クロム
    換算で付着量が5〜200mg/m2のクロメート皮膜
    を形成し、該クロメート皮膜の上層に、エポキシ樹脂、
    変性エポキシ樹脂及びポリヒドロキシポリエーテル樹脂
    の中から選ばれた1種以上のエポキシ系樹脂からなる基
    体樹脂[A]100重量部(固形分)に対して、硬化剤
    として1分子中に少なくとも3個のイソシアネート基を
    有する多官能ポリイソシアネート化合物[B]を5〜8
    0重量部含有し、防錆添加剤[C]を([A]+
    [B])/[C]の固形分の重量比で90/10〜60
    /40の割合で含有する有機溶剤塗料組成物を塗布し焼
    付けることによって膜厚0.2〜3.0μmの樹脂皮膜
    を形成したことを特徴とする耐もらい錆性に優れた有機
    複合被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 クロメート皮膜が、3価Cr/全Crの
    重量比が0.4〜0.6となるように部分還元し、さら
    に還元剤を添加した塗布型クロメート処理液を塗布した
    後乾燥させることにより形成された塗布型クロメート皮
    膜であることを特徴とする請求項1に記載の耐もらい錆
    性に優れた有機複合被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 樹脂皮膜を構成する基体樹脂[A]がポ
    リヒドロキシポリエーテル樹脂である請求項1または2
    に記載の耐もらい錆性に優れた有機複合被覆鋼板。
  4. 【請求項4】 樹脂皮膜を構成する防錆添加剤[C]
    が、シリカまたは/および難溶性クロム酸塩である請求
    項1、2または3に記載の耐もらい錆性に優れた有機複
    合被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 樹脂皮膜を構成する防錆添加剤[C]
    が、下記重量比からなるシリカおよび難溶性クロム酸塩
    である請求項1、2または3に記載の耐もらい錆性に優
    れた有機複合被覆鋼板。 シリカ/難溶性クロム酸塩=35/5〜1/39
  6. 【請求項6】 多官能ポリイソシアネート化合物[B]
    が、1分子中に少なくとも4個のイソシアネート基を有
    する多官能ポリイソシアネート化合物である請求項1、
    2、3、4または5に記載の耐もらい錆性に優れた有機
    複合被覆鋼板。
  7. 【請求項7】 多官能ポリイソシアネート化合物[B]
    が、1分子中に少なくとも6個のイソシアネート基を有
    する多官能ポリイソシアネート化合物である請求項1、
    2、3、4または5に記載の耐もらい錆性に優れた有機
    複合被覆鋼板。
  8. 【請求項8】 多官能ポリイソシアネート化合物[B]
    が、1分子中に少なくとも6個のイソシアネート基を有
    するヘキサメチレンジイソシアネートの多官能体である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載
    の耐もらい錆性に優れた有機複合被覆鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011523431A (ja) * 2008-05-16 2011-08-11 ポスコ 優れた加工性、耐熱性、及び耐食性を有するプレコート鋼板用樹脂組成物、並びにこれを用いて製造されたプレコート鋼板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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