JPH08252238A - 磁気共鳴診断装置 - Google Patents

磁気共鳴診断装置

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JPH08252238A
JPH08252238A JP7082101A JP8210195A JPH08252238A JP H08252238 A JPH08252238 A JP H08252238A JP 7082101 A JP7082101 A JP 7082101A JP 8210195 A JP8210195 A JP 8210195A JP H08252238 A JPH08252238 A JP H08252238A
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JP
Japan
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magnetic resonance
diagnostic apparatus
magnetic field
spectrum
compound
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JP7082101A
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English (en)
Inventor
Yasutoshi Ishihara
康利 石原
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、代謝状態に加えて血流機能情
報を収集可能な磁気共鳴診断装置を提供することであ
る。 【構成】本発明は、13Cを標識した13C標識化合物を被
検体に投与し、前記被検体の対象組織からの磁気共鳴信
号を観測する磁気共鳴診断装置において、前記13C標識
化合物は前記対象組織での濃度に基づいて血流情報を推
定可能なように前記対象組織に非代謝のものであること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、代謝機能を観測するた
めの磁気共鳴診断装置に係り、特に13C標識化合物を被
検体に投与して代謝機能を観測するための磁気共鳴診断
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内の代謝情報を観測することで、形
態異常を呈する前に疾病の早期診断ができる。既に、 1
H、13C、31P等の核種に基づく生体内物質をスペクト
ル観測することで、代謝障害、腫瘍、痴呆症等多くの疾
病診断の可能性が報告されている。
【0003】特に、13CによるMRS(Magnetic Resona
nce Spectroscopy) 、MRSI(Magnetic Resonance Sp
ectroscopic Imaging)は、化学シフトが広く、アミノ
酸、糖、脂質など、細胞の代謝機能に直接関与し生体機
能の維持の根幹を成す多くの生体物質を高精度で観測で
きるため、これらの物質の供給量、分布に基づいて疾病
の早期段階での把握に期待されている。しかし、13Cの
天然存在比は約1.1パーセントと低いうえに、13Cの
検出感度が 1Hに比べ約1/64と低いため、生体内の
代謝物を観測するために、体外から13Cを標識した化合
物を投与することが通常行われている。体外から投与さ
れた標識化合物は、トレーサとしての役目を持ち、これ
から検出される信号を基に生体内の代謝状態を把握でき
ることが指摘されている。しかし、これまでの13Cスペ
クトルからは細胞の代謝情報を得ることができるが、血
流、あるいは血液量に関する情報を同時に観測すること
ができなかった。したがって、生体内の代謝物の濃度、
時間に関連したパラメータ値だけでは、脳等の対象領域
自体が機能障害を起こしているのか、対象領域への血液
供給系統で障害が発生しているのかを判別することがで
きなかった。
【0004】ところで13Cの検出感度は 1Hに比べて約
1/64と低いため、MRS(Magnetic Resonance Spe
ctroscopy )で13Cのスペクトルを良好に観測するため
には、ボクセルサイズを大きくする、又は加算平均回数
(アベレージング回数)を増やす必要があり、同様にM
RSI(Magneti c Resonance Spectroscopic Imaging
)の場合にもデータ収集時間や代謝物濃度に応じてボ
クセルサイズを大きくとる必要がある.この際に、目的
とする観測対象領域が1ボクセルより微小にも関わら
ず、2ボクセル以上に跨って配置された場合には、収集
された離散点で代表されるボクセル内の平均値に対して
標本化定理を適用することによって、観測対象領域に合
致させた位置の代謝物濃度を推定していた。
【0005】しかし、推定された代謝物濃度は、関心領
域の一部分を含んだ複数ボクセルの平均値から算出され
た値であり、画像位置、また、定量性の面から診断に用
いるには信頼性が十分ではなかった。
【0006】また、得られた13Cのスペクトル情報を単
にスペクトルとして表示していることが多く、実際に診
断を行うためには、医者が目的とする代謝物の存否をス
ペクトルパターンから視覚的に判断していた。
【0007】しかし、特に13C等の場合には観測される
スペクトルピークの数が多いことから、スペクトルパタ
ーンが複雑となり、どのスペクトルのピークがどの化合
物を示すかを瞬時に判断することが困難となる。従っ
て、観測者が標準のスペクトルパターンと照らし合わせ
ながらスペクトルピークの同定を行っていた。
【0008】さらに、時系列的、ボクセル毎に多量なス
ペクトルデータから、スペクトルピークの判別を行う場
合には膨大な時間を要し、なおかつ、スペクトルピーク
の同定を誤る危険が伴っていた。
【0009】同様に、これまでは得られたスペクトル情
報を単にスペクトルとして表示し、医者がその存否を視
覚的に判断するか、あるいは、ピーク高さあるいは、簡
略化した面積値から、疾病の有無を判断するに留まって
いた。これらの値は測定装置、被検体の設置状態によっ
て大きく影響を受けるため、検査毎に規格化された値し
か算出・表示できなかった。
【0010】また、13C標識物質を利用しても依然スペ
クトルS/Nが十分でないため、近年、13Cから生じる
磁気共鳴信号を直接観測するのではなく、13Cに結合し
1Hから生じる磁気共鳴信号を観測することによっ
て、この検出感度の低さを克服する試みがなされてい
る。しかし、 1Hスペクトルを観測する場合には、前述
した磁場の不均一性によるスペクトル線幅の広がりの影
響を同様に受ける。このため、磁場均一性を向上するた
めに、シムコイル電流を制御することで磁場分布の補正
を時間をかけて行っていた。しかし、生体が誘起する高
次成分を有する磁場分布領域では磁場均一性調整に限界
があり、十分なスペクトルが得られていなかった。
【0011】生体内の代謝物を感度高く検出するには 1
Hスペクトルを観測することが有利であるが、磁場不均
一性のためにスペクトル線幅が広がり、スペクトルS/
Nの劣化とともに、スペクトルピークの検出・同定が非
常に困難となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、生体内の代謝情報とともに、血液量等の血流情報を
収集し、対象領域の代謝機能を、対象領域への血液供給
系統での障害の発生の可否を参照して総合的に診断可能
な磁気共鳴診断装置を提供することである。
【0013】本発明の第2の目的は、観測対象領域の中
央と化学シフト画像の単位領域の中心との位置ずれを解
消できる磁気共鳴診断装置を提供することである。
【0014】本発明の第3の目的は、観測されたスペク
トルによる診断を支援する磁気共鳴診断装置を提供する
ことである。
【0015】本発明の第4の目的は、スペクトルから診
断に有効なパラメータを算出可能な磁気共鳴診断装置を
提供することである。
【0016】本発明の第5の目的は、スペクトル線幅を
先鋭化し、スペクトルS/Nの向上と、スペクトル分離
・スペクトル同定を容易にする磁気共鳴診断装置を提供
することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
13Cを標識した13C標識化合物を被検体に投与し、前記
被検体の対象組織からの磁気共鳴信号を観測する磁気共
鳴診断装置において、前記13C標識化合物は前記対象組
織での濃度に基づいて血流情報を推定可能なように前記
対象組織に非代謝のものであることを特徴とする。
【0018】請求項7に係る発明は、静磁場中の被検体
に周波数調整した高周波磁場を勾配磁場の存在下で印加
することにより観測対象領域を含む領域を選択的に励起
した後、磁気共鳴信号を収集し、前記磁気共鳴信号に基
づいて化学シフト画像を作成する磁気共鳴診断装置にお
いて、前記観測対象領域の中央が前記化学シフト画像の
単位領域の中心と一致するように前記高周波磁場の周波
数にオフセットをかけることを特徴とする。
【0019】請求項9に係る発明は、静磁場中の被検体
に高周波磁場を印加し、所定方向に関して勾配磁場の印
加により観測対象領域に対してエンコードをかけた後、
磁気共鳴信号を収集し、前記磁気共鳴信号に基づいて化
学シフト画像を作成する磁気共鳴診断装置において、前
記観測対象領域の中央が前記化学シフト画像の単位領域
の中心と一致するように前記勾配磁場にオフセットをか
けることを特徴とする。
【0020】請求項13に係る発明は、静磁場中の被検
体に高周波磁場を印加した後、磁気共鳴信号を収集し、
前記磁気共鳴信号に基づいて観測対象領域を含む形態画
像及び化学シフト画像を作成する磁気共鳴診断装置にお
いて、前記形態画像から確認される前記観測対象領域の
中央と前記化学シフト画像の単位領域の中心とを指定す
るための手段と、前記指定された観測対象領域の中央と
前記指定された単位領域の中心との位置関係に基づいて
前記観測対象領域の中央と前記化学シフト画像の単位領
域の中心との距離及び方向を算出する手段とを具備する
ことを特徴とする。
【0021】請求項14に係る発明は、静磁場内に載置
された被検体に高周波磁場を印加した後,磁気共鳴信号
を収集し、前記磁気共鳴信号に基づいてスペクトルを観
測する磁気共鳴診断装置において、前記スペクトルから
スペクトルピークを検出する手段と、前記スペクトルピ
ークの化学シフト値に基づいて化合物を判別する手段
と、前記スペクトルを前記化合物の名称と共に表示する
手段とを具備することを特徴とする。
【0022】請求項17に係る発明は、静磁場中におか
れた被検体に高周波磁場を印加した後、磁気共鳴信号を
収集し、前記磁気共鳴信号に基づいてスペクトルを観測
する磁気共鳴診断装置において、前記スペクトルから複
数のスペクトルピークを検出する手段と、前記スペクト
ルピーク各々の化合物を化学シフト値に基づいて判別す
る手段と、スペクトルピーク面積、スペクトルピーク
高、スペクトルピーク幅の少なくとも1つを化合物毎に
算出する手段と、前記スペクトルピーク面積、前記スペ
クトルピーク高、前記スペクトルピーク幅の少なくとも
1つに基づいて化合物濃度、緩和時間、拡散係数の少な
くとも1つを推定する手段と、前記化合物濃度、前記緩
和時間、前記拡散係数の少なくとも1つの時間的変化を
表すパラメータを化合物毎に算出する手段とを具備す
る。
【0023】請求項23に係る発明は、静磁場内の載置
された被検体に高周波磁場を印加し、前記被検体からの
磁気共鳴信号を繰り返しサンプリングし、前記磁気共鳴
信号に基づいてスペクトルを得る磁気共鳴診断装置にお
いて、異なるサンプリング点の間に、スピンを再結像さ
せる前記高周波磁場を印加することを特徴とする。
【0024】
【作用】請求項1に係る発明によれば、13Cのスペクト
ルに基づいて生体内の代謝情報とともに、血流量等の血
流情報を得ることが可能になる。したがって、対象領域
の代謝機能を、対象領域への血液供給系統での障害の有
無を参照して総合的に診断することが可能になる。
【0025】請求項7,9に係る発明によれば、高周波
磁場又は勾配磁場にオフセットをかけることにより観測
対象領域の中央を化学シフト画像の単位領域の中心と一
致させることができる。
【0026】請求項14に係る発明によれば、スペクト
ルピークを検出し、このピークの化学シフト値に基づい
て化合物が判別され、この判別された化合物の名称がス
ペクトルと共に表示される。したがって、医師による化
合物の判別作業が不要になり、また判別の誤りが解消さ
れる。
【0027】請求項17に係る発明によれば、診断に有
効なパラメータとして、スペクトルから化合物濃度、緩
和時間、拡散係数の少なくとも1つの時間的変化を表す
パラメータを化合物毎に算出して、診断の定量性、信頼
性を向上することが可能となる。
【0028】請求項23に係る発明によれば、高周波磁
場の働きによりサンプリング中にもスピンが再結像する
ので、磁場不均一性の影響を実質的にキャンセルするこ
とができる。これにより、スペクトルS/Nの向上、及
びスペクトル線幅の先鋭化が可能となり、詳細な代謝物
検出を行うことができる。
【0029】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施
例を説明する。 (第1実施例)図1は第1実施例磁気共鳴診断装置の構
成図である。
【0030】主磁石10は主磁石電源11から電流供給
を受けて主磁場(静磁場)を発生する。X、Y、Zの3
組のコイルからなる勾配コイル系12は勾配コイル電源
13から電流供給を受けてX、Y、Zの各軸方向に独立
に線形の勾配磁場を生成する。複数のシムコイルを含む
シムコイル系14はシムコイル電源15から電流供給を
受けて磁場不均一性の補正磁場を発生する。多核種の磁
気共鳴信号の信号検出可能なようにチューニング可能に
構成された高周波プローブ(RFコイル)16は、送信
器17から高周波電流の供給を受けて高周波磁場(RF
パルス)を印加する。受信器18は、被検体からの磁気
共鳴信号を高周波プローブ16を介して受信し、増幅及
び検波する。また多核種に対応するために複数系統の送
受信系を具備するものも考えられる。シーケンスコント
ローラ19は、勾配コイル電源13、送信器17、受信
器18を制御して後述するパルスシーケンスを実行す
る。CPU/メモリ20は、磁気共鳴信号に基づいて13
Cのスペクトルの観測や化学シフトイメージングを可能
とする。なお、13C表示標識化合物を口くう投与するケ
ースを考えると、被検体を設置する図示しない寝台とし
て、被検体の横臥姿勢を維持する負担を軽減するため
に、被検体の横臥姿勢を保持する適当な窪みを備えた寝
台や、寝台が長手軸に関して傾斜する構造を有する寝台
を採用することが好ましい。
【0031】図2は代謝機能を診断するための13C−G
lcを投与した場合のスペクトルを示している。周知の
通りスペクトルに基づいて細胞の代謝情報を得ることが
可能である。代謝経路が円滑に行われるには必要なGl
cが脳組織に取り込まれる必要がある。但し、この代謝
機能を精度よく診断するには、脳組織内に一定の血流量
が供給されているか、つまり血液供給系統(動脈系統)
の障害の可否を判定することを前提としなければならな
い。本実施例において、血液供給系統(動脈系統)の障
害の可否を判定するために、代謝機能を診断するための
13C−Glcの他に被検体に投与される13C標識化合物
としては、その濃度に基づいて血流情報(血流量)を推
定可能な対象組織(脳)に非代謝のものであり、より具
体的には13CH2 13CH4 13CO、場合によっては
13C標識アルコール化合物が選定される。この非代謝の
13C標識化合物の濃度は、スペクトルの面積や高さに基
づいて推定される。脳領域の血流量が一定量を満たして
いるか否かの判断により対象組織への血液供給系統(動
脈系統)の障害の可否を判定することが可能となる。
【0032】図3は脳における代謝機能の様子を模式的
に示している。脳血流情報を得るために、Fickの原
理を用いた脳内血流量の定量的測定法が1948年Ke
tyとSchmidtにより提案されている。この原理
を応用して脳血流量の定量的測定がSPECT(Single
Photon Emission CT) 、PET(Positoron EmissionTom
ography) の分野では既に研究・臨床に広く用いられて
いる。
【0033】また、非代謝の13C標識化合物を含む13
のスペクトルと、上記Kety−Schmidt法を用
いることで磁気共鳴の分野でも、脳血流の動態(供給及
び流出系統の障害の有無)を観測することができる。
【0034】その方法として、瞬時に非代謝の13C標識
化合物を被検体に吸入又は注入させ、脳領域と動脈領域
(供給系統)各々の領域で磁気共鳴信号を経時的に収集
し、各領域の13Cスペクトルを得、この13Cスペクトル
に基づいて当該13C標識化合物の濃度(この濃度が血液
量と略比例関係にある)の時間変化を測定し、脳血流量
F及び分配係数を求めるクリアランス法を用いることが
考えられる。この際に考えられるコンパートメントモデ
ルの一例を図4に示す。13C標識化合物濃度に反映され
る血流量S(t)の瞬間量は、動脈血中の標識化合物濃
度Caと、静脈血中の標識化合物濃度Cvとの関数とし
て(1)式で与えられる。
【0035】 dS(t)/dt=F(Ca(t)−Cv(t)) =F(Ca(t)−S(t)/λ) …(1) λ:分配係数 ここで、図5に示すように非代謝の13C標識化合物が動
脈から脳組織へ一方向のみに移行すると仮定すると、
(1)式は(2)式に簡易化される。
【0036】 dS(t)/dt=F(Ca(τ)dτ) …(2) この指標から13C標識化合物が脳へ取り込まれる経路、
つまり血液の供給系統における障害の有無を診断するこ
とが可能となる。
【0037】ここで、血流量の定量的な診断を行う場合
には動脈血採血並びにスペクトルから13C標識化合物量
を定量化する必要があるが、相対値による診断、あるい
は、時定数等の時間に依存したパラメータを抽出し、診
断の指標に用いることも非常に有効であり、この場合に
はスペクトルのみの観測で良い。
【0038】より、厳密に脳血流量を算出するために、
Patlakが提案した方法を応用して、(3)式にし
たがって直線の傾きから脳血流を算出することもでき
る。
【0039】 S(t)/Ca(t)=F(Ca(τ)dτ/Ca(t)+V)…(3) V:13C標識化合物が可逆的に取り込まれた体積 また、非代謝の13C標識化合物として13COを用いる場
合、13COを吸入させることによって生成される13CO
−ヘモグロビンによるスペクトルを観測することにより
血管内のヘモグロビン量を推定することができる。従っ
て、吸入からの13CO−ヘモグロビンスペクトルの変化
を観測することで血液量又は血液循環を把握することが
可能となる。この際に定量性を向上させるために静脈血
採血により血液中の非代謝の13C標識化合物濃度を観測
することが有効である。また、呼気中の標識化合物濃度
をクロマトグラフィを初めとした分析装置によって観測
することも定量性を高める上で非常に有用である。
【0040】このような血液供給系統の障害の有無を判
別するための非代謝の13C標識化合物を、代謝情報を観
測するために投与される13C−グルコースと同時、又は
13C−グルコースの投与から所定時間後に静脈、口くう
吸飲又は吸入により投与させることにより、13Cのスペ
クトルに基づいて代謝情報と、血流動態情報(血液供給
系統の障害の有無)とを一元的に観測することができ
る。
【0041】なお、この非代謝の13C標識化合物は13
−グルコースと同時に、被検体を寝台に設置する前、又
は寝台への設置後に投与される。また、13C−グルコー
スを投与した後、非代謝の13C標識化合物をデータ収集
期間中に連続的又は断続的に投与してもよい。また、非
代謝の13C標識化合物を投与してから13C−グルコース
を投与してもよいし、データ収集前からデータ収集期間
終了までの期間の中の任意の期間にのみ限定的に断続的
に投与してもよい。
【0042】なお、13C−グルコースを投与する場合等
は脳組織への取り込みに時間を要するため、被検体を寝
台に設定する前に口くう投与を行い、一定の取り込み時
間経過後に被検体を寝台に設定することが被検体の拘束
時間を短縮し、負担を軽減する面から好ましい。また、
非代謝の13C標識化合物と13C−グルコースを同時投与
してまず血流動態情報のみ観測し、その後、被検体を寝
台から解放し、一定の取り込み時間経過後に寝台に被検
体を設置して位置合わせした後、今度は代謝情報を観測
するようにしてもよい。
【0043】また、被検体を寝台に設定した後に観測対
象領域の位置決めを行い、この後に13C標識化合物を口
くう投与する場合、被検体に無理なく標識化合物を投与
するために寝台が傾く機構や、寝台に横臥姿勢の被検体
の体曲線に沿って窪みを設けていることが望ましい。勿
論、仰向けの姿勢をとるとき寝台が平面になるように、
窪みに蓋が取り付けられるようになっている。このよう
に横臥姿勢で、チューブやストローを使って被検体がむ
せることなく無理なく標識化合物を投与することができ
るようになる。
【0044】このような非代謝の13C標識化合物を時間
経過とともに追加しながら、すななち、連続的あるいは
断続的に投与しながらスペクトルデータを収集する場合
が考えられる。このような操作を行うことで、13C標識
化合物の生体内への取り込み状態、又は負荷試験を行う
ことができる。
【0045】さらに、本実施例では、コンソール21を
介して入力した非代謝の13C標識化合物の名称及び代謝
13C標識化合物の名称を、各々の投与時刻と共にモニ
タ22に表示することは、医師によるスペクトルの分析
の参照になる点において有効である。 (第2実施例)第2実施例は、磁気共鳴現象を利用して
被検体内部の形態画像及び化学シフト画像を観測するこ
との可能な磁気共鳴診断装置に係り、特に観測対象領域
の中央を化学シフト画像の単位領域の中心と一致させる
ことを可能とする磁気共鳴診断装置に関する。
【0046】図1は第2実施例の磁気共鳴診断装置の構
成図であり、図1と同じ部分には同符号を付して説明は
省略する。高周波磁場を被検体に印加するために高周波
プローブ16に高周波電流を供給する送信器23は、シ
ーケンスコントローラ24の制御にしたがって高周波電
流の波形を変化させることが可能に構成される。この高
周波電流の波形が変化すると、高周波磁場の周波数帯域
がシフトし、これにより一定のスライス勾配磁場のもと
ではスライス選択領域が実質的に移動する。勾配磁場を
発生させるために勾配コイル系12にパルス電流を供給
する勾配コイル電源13は、シーケンスコントローラ2
4の制御にしたがってパルス電流の継続時間又は強度を
変化させることが可能に構成される。CPU/メモリ2
5は受信器18を介して受信された磁気共鳴信号から形
態画像及び化学シフト画像を構成する。また、CPU/
メモリ25は、モニタ22に形態画像に単位領域のマト
リクスを合成表示させる機能を有する。また、CPU/
メモリ25は、オペレータによりコンソール21を介し
て指定された、観測対象領域と単位領域それぞれの中央
を一致させるのに必要な単位領域の移動量及び移動方向
を算出し、さらにこの移動量及び移動方向に基づいてオ
フセット量(RFパルスの周波数のシフト量、オフセッ
トの継続時間や強度)を算出する機能を有する。算出さ
れたオフセット量は、シーケンスコントローラ24を介
して実現される。
【0047】疾病を早期に診断可能な場合には、化学シ
フト範囲の広い13Cが用いられる。13Cが天然に存在す
る割合が低いため(約1.1パーセント)、磁気共鳴信
号を観測することが非常に困難である。このため、エン
リッチした13C標識化合物(例えば13C−グルコース)
を投与することが通常行われる。しかし、このような場
合にも現在のところ、1時間程度の計測時間でボクセル
サイズが約8cc以上の大きさになってしまう。従っ
て、脳のより詳細な疾病診断を行うために、例えば海
馬、下垂体等の各部位のグルコース、グルタミン、グル
タミン酸等の代謝物を観測する場合には、図7に示すよ
うに観測対象領域がボクセルサイズに比べて小さくなる
ことがしばしば生じる。このような場合に再構成される
代謝物の濃度値は、ボクセルに含まれる体積中の、観測
対象領域外の組織との平均値とならざるをえない。した
がって、図8(a)に示すようなボクセル内に観測対象
領域が完全に含まれる場合以外、図8(b)、(c)に
示すような観測対象領域が2以上のボクセルに跨がるよ
うな場合には、各ボクセルの再構成値は平均値を示すこ
とになり、本来、1ボクセル以下の広がりを持つ代謝物
の分布が、2ボクセル以上に跨るボケた分布として観測
されてしまう。最悪の場合には、信号値が各ボクセルに
分散されることにより、スペクトルS/Nが劣化し、ス
ペクトルピークの検出が困難となる。
【0048】このため、MRSIを施行する際に、観測
を目的とする領域が既知の場合には、形態画像に類似す
るT1 あるいはT2 強調画像等によって目的とする観測
対象領域の位置と、化学シフト画像の単位領域(ピクセ
ル又はボクセル)の位置との位置関係を確認することが
不可欠となる。観測対象領域が化学シフト画像の単位領
域内に充填されない場合には、S/N、ボケの発生が避
けられない。
【0049】図9に本実施例によるこのような位置ずれ
を解消するように改良された3D−MRSIパルスシー
ケンスを示す。
【0050】スライス方向(z軸)に関しては、観測対
象領域の中央がスライス選択領域の中央(単位領域の中
央と同じ)と一致するように、スライス勾配磁場Gs の
存在下で印加される周波数調整された高周波磁場(RF
パルス)に周波数オフセットをかけ、高周波磁場の周波
数帯域をシフトさせる。これによりスライス選択領域が
実質的に移動し、観測対象領域の中央がスライス選択領
域の中央と一致することを可能とする。RFパルスの印
加後、位相エンコード用の勾配磁場Ge1,Ge2をそれぞ
れx,y軸に関してかけ、その後、勾配磁場をかけない
で磁気共鳴信号を収集し、この磁気共鳴信号の周波数情
報から化学シフトを得ることができる。
【0051】x,y軸に関する位置ずれ補正は、図1
0、図11に示すように各軸に関してオフセット用磁場
ωoffset-x,ωoffset-yを信号収集以前の任意のタイミ
ングで印加することにより実現される。勿論、位相エン
コード用勾配磁場Gx ,Gy にオフセット用磁場ωoffs
et-x,ωoffset-yを重畳してもよい。通常、3D−MR
SIパルスシーケンスにて観測されるデータ列は(1)
式で表される。以下3D−MRSIの場合について説明
するが、4D−MRSIの場合もさらに1軸を考慮する
ことで同様に表現できる。
【0052】
【数1】 いま、位相エンコード用勾配磁場に加えてXY各方向に
同じオフセット用磁場ωoffset-x,ωoffset-y(=ωof
fset)を印加すると、観測されるデータ列は(2)式の
ように変形される。
【0053】
【数2】 このようなオフセット用磁場を印加することにより、
X、Y方向のエンコード磁場強度に応じ、再構成画像
(化学シフト画像)ρ’(x、y)を、(3)式のよう
に、X、Y各方向に化学シフト画像の単位領域(ピクセ
ル又はボクセル)を実質的に移動させる。
【0054】
【数3】 しかし、この場合にはX、Y両方向に同距離だけ移動す
るので、単位領域が立方体の場合には、スライス平面に
対して45度方向の移動しかできない。
【0055】これに対して、図10のように、オフセッ
ト用磁場ωoffset-x,ωoffset-yをその強度一定のもと
で、その継続時間を任意に調整することで、収集される
データ列は(4)式のように、また再構成画像ρ’
(x、y)は(5)式のように表され、任意の方向に任
意の距離だけ化学シフト画像の単位領域を観測対象領域
に対して移動させることができる。
【0056】
【数4】
【0057】
【数5】 図11のように、オフセット用磁場ωoffset-x,ωoffs
et-yの継続時間一定のもとでその強度を調整することで
も、図10と同様に任意の方向に任意の距離だけ被検体
に対して化学シフト画像の単位領域を移動させることが
できる。
【0058】なお、観測対象領域の大きさが単位領域以
上ではあるが、さらに隣接する1ボクセルに満たない場
合には、ボクセル配置を移動する他に、同様な考えに基
づき、上述した0次のオフセット用磁場とは別に、その
観測対象領域の辺縁部形状に応じた分布を持つ他のオフ
セット用磁場を信号収集に先だって印加することによっ
て観測対象領域を1ボクセル、あるいは任意のボクセル
に収めることができ、信号S/Nが改善される場合があ
る。
【0059】また、同一被検体の場合でも検査日時が異
なり、位置が若干ずれることによる代謝物の定量性の劣
化を、MRSIを行うに先立ち収集した形態画像から移
動量を算出することで極力抑制することができる。この
形態画像は、毎回収集することが望ましいが、過去の形
態画像、さらには他のモダリティで得た画像(X線CT
スキャナ画像等)を使って移動量を推定することができ
る。
【0060】上記移動量は、CPU25の制御によりモ
ニタ22に形態画像に単位領域のマトリクスを合成表示
させ、観測対象領域と単位領域それぞれの中央をオペレ
ータがコンソール21を介して指定すれば、CPU25
により観測対象領域と単位領域それぞれの中央を一致さ
せるのに必要な移動量が算出され、さらにこの移動量に
基づいてオフセット量(RFパルスの周波数のシフト
量、オフセット用磁場の継続時間や強度)が算出され
る。
【0061】なお、上述したように、RFパルスや磁場
によるオフセットにより位置ずれを補正する代わりに、
パルスシーケンスを変化させずに、寝台の前後、左右、
上下の動きにより位置補正を実現してもよい。なお、こ
の場合、寝台にスケールを設けることが好ましい。4D
−MRSIの場合には、空間3方向のボクセル配置を考
慮して寝台あるいは被検体を移動させる必要がある。 (第3実施例)第3実施例は、磁気共鳴現象を利用して
被検体の代謝物・化合物のスペクトルあるいは代謝物画
像を観測する磁気共鳴診断装置に関する。
【0062】図1は第3実施例に係る磁気共鳴診断装置
を示す図である。図1において図1と同じ部分には同符
号を付して説明を省略する。シーケンスコントローラ1
9は、勾配コイル電源13、送信器17、受信器18を
制御して、形態画像、例えば13Cのスペクトル、代謝物
画像各々を取得可能なパルスシーケンスを実行する。C
PU/メモリ26は、受信器18が高周波プローブ16
を介して受信した磁気共鳴信号に基づいて形態画像、例
えば13Cのスペクトル、代謝物画像を作成する。また、
CPU/メモリ26は、スペクトルからスペクトルピー
クを検出し、スペクトルピークの化学シフト値に基づい
て化合物を判別するために必要な情報を記憶すると共に
この情報を用いてスペクトルからスペクトルピークを検
出し、スペクトルピークの化学シフト値に基づいて化合
物を判別する機能を有する。モニタ22には、スペクト
ルがCPU/メモリ26により判別された化合物の名称
と共に表示される。
【0063】図13にエンリッチ(高濃度化)した13
標識化合物、例えば13C標識グルコースを投与して、ラ
ット脳抽出液から観測されるスペクトルの一例を示す。
Glc、Glu、Glnを初め、GABA等のピークが
複雑に現れることが理解される。図13はin−vit
roスペクトルであるが、in−vivoの場合にも同
様なスペクトルパターンを示す。分析化学の分野では、
このような複雑なスペクトルを解析し、分子構造を決定
することが行われている。分子構造解析を行う場合のよ
うに観測されるスペクトルの化合物分子の起源が不明な
場合が多く、その同定(判別)に非常な時間・労力を要
するのに対し、臨床の場合には、生体内に含まれている
化合物が比較的限定され、しかも既知であるため、スペ
クトルのピークを検出し、ピークがいかなる化合物由来
かを示すことが可能である。このようなスペクトルピー
クと化合物との対比を迅速に行うことが、診断を効率的
に行うこととなる。本実施例ではこれを実現する。
【0064】しかし、臨床の場合には生体内部の各領域
に内部基準物質を設定し、基準スペクトルを規定するこ
とが困難である。つまり、磁場不均一性等のために化学
シフト軸がずれるので、観測された化学シフト値から化
合物を同定することができない。また、疾病等の種類に
よっては、正常の場合に比べてスペクトルピークが消失
したりする場合があるため、より化合物の同定を困難に
している。
【0065】本実施例では、化合物の同体に先立って、
磁場の不均一性に起因する化学シフトのずれを補正す
る。このずれ補正のためには、信号感度の観点から、 1
Hのスペクトルを用いることが好ましい。図14のよう
に、実際に観測した水スペクトルの周波数f0 に対する
既知の水スペクトルの周波数との差Δf1 ,Δf1 2 を
求める。この周波数差Δf1 ,Δf1 2 が磁場不均一に
よる化学シフトのずれ量である。図14(a)はA領域
の実際に観測した水スペクトル、図14(c)はA領域
の水の基準スペクトル、図14(b)はB領域の実際に
観測した水スペクトル、図14(d)はB領域の水の基
準スペクトルを示している。図中、A領域から観測され
る水スペクトルが、基準スペクトルの中心周波数f0 か
ら−Δf1ずれているため、観測されたスペクトルを化
学シフト軸上に+Δf1 ずらすことが行われている。ま
た、領域Bから観測されている水スペクトルが基準スペ
クトルの中心周波数f0 から+Δf2 ずれているため観
測スペクトルを−Δf2 ずらし補正を行っている。
【0066】ただし、基準スペクトルとして 1Hを用
い、観測スペクトルが 1H以外の核種の場合には、 1
系の送受信周波数と観測核種を励起、受信するための送
受信周波数間の校正を予め行っておく必要がある。
【0067】また、位相画像をもとに磁場分布が取得
し、対応する領域の磁場分布を空間的な補間処理等を行
うことで、スペクトルが受ける化学シフトのずれの影響
を補正するようにしてもよい。
【0068】この後に、任意の閾値を越えたスペクトル
ピークの化学シフト値を検出し、予め核種毎、臓器毎に
CPU/メモリ26に登録されている化学シフト値と化
合物との対応に従って、検出されたスペクトルピークに
対応する化合物を同定することができる。
【0069】同定した化合物の名称を、スペクトルと共
にモニタ22に表示することで測定者がスペクトルパタ
ーンに基づいて化合物を同定する手間を省き、しかも同
定した化合物の誤りを解消することができる。
【0070】ここで、磁場分布を用いないで、化学シフ
トのずれを補償して、化合物を同定する方法を以下に説
明する。簡単には、基準スペクトルと観測スペクトルの
各波形パターンが最も近似する位置関係を模索し、観測
スペクトルの各ピークの化合物を、基準スペクトルのピ
ークに予め対応されている化合物として同定する。具体
的には次のように行われる。
【0071】先ず初めに、図15(a)に示すように、
任意の閾値を越えるスペクトルに関して、そのM個の極
大点の化学シフト値(周波数)の検出を行う。この化学
シフト値をピーク値という。M個のピーク値CSMj
(j=1、2・・・M)を検出し、格納する(図では3
つのスペクトルピークを検出している)。図14(d)
に基準スペクトルと、基準スペクトルに含まれるピーク
値に対応するA〜Eの化合物を示している。基準スペク
トルに含まれるN個のピーク値CSRi(i=1、2・
・・N)は、対応する化合物と共にCPU/メモリ26
に予め記憶されている。
【0072】第1の手順として図14(e)に示すよう
に、最も低い(又は高い)ピーク値CSM1に、基準ス
ペクトルの最も低い(又は高い)ピーク値CSR1を一
致させる。この状態で、CSM2と、CSM2に最も近
いCSRiとの差を求める。同様に、CSM3〜CSM
M 各々についても、それぞれ最も近いCSRiとの差を
求める。これらの差の合計D1を保持する。Dは、基準
スペクトルと観測スペクトルの各波形パターンの近似度
を示す指標としての意味を有し、低い程、近似している
ことを示している。図14(e)の場合には、D1=
(d2 +d3 )となる。
【0073】次に、CSM1に次のCSR2を一致さ
せ、同様にD2を計算する。CSM1をCSR3〜N に
順番に一致させて、それぞれDを計算する。
【0074】そして最小値を示すDMIN を選定する。最
小値DMIN が得られた基準スペクトルと観測スペクトル
との位置関係を、図14(f)に示す。この位置関係に
おいて、各観測ピーク値に対して、最も近い基準ピーク
値を抽出し、この基準ピーク値に対応する化合物を各観
測ピーク値として同定する。図14(f)の場合では、
観測ピークCSM1〜3には化合物A、B、Dがそれぞ
れ同定される。
【0075】最後に、この化合物の名称をスペクトル上
に合成して表示する。このような処理を、観測領域ごと
に行う。また、時系列的に観測されたスペクトルデータ
については、このような操作をある時間における1つの
スペクトルデータに関して同定を行い、これ以外のスペ
クトルデータについては同定された結果を用いることが
効率的である。
【0076】なお、スペクトルピーク検出の際に用いる
閾値を、少なくともノイズの振幅値を越える値、好まし
くノイズ振幅値の2倍以上に設定する。さらに、ピーク
を検出するために、予めフィルタ処理によってノイズ除
去を行うことが効果的である。
【0077】さらに、同定された各化合物に関して、ピ
ーク高、ピーク面積を算出し、各化合物の存在量を推定
することは診断支援上有効である。また、時系列的にス
ペクトルが観測されている場合にはその時間変化を表す
統計量・パラメータ値(時定数等)を算出することが診
断に有効である。これら算出されたパラメータ値を空間
的、時間的に表示することが非常に役に立つ。
【0078】一つの例として、化合物の空間的な存在量
を反映したパラメータ値を画像に重ね合わせて表示する
ことが考えられる。時間的に種々のパラメータ値が計測
されている場合にはこの時間変化を1画面上、あるいは
複数の画面に分割して表示することによってより詳細な
診断が可能となる。また、時間変化を捕らえたパラメー
タ値の変化を順次表示するいわゆるシネ表示を行うこと
によって、単独には検出することが困難であった事象を
検出することができる場合がある。
【0079】このとき、必要となる部分の時間範囲のデ
ータ、必要となる部分の空間範囲のデータを設定して希
望とする画面(サブウィンドウ)に表示することが非常
に効果的である。
【0080】また、表示されているスペクトルピークの
なかで、希望するスペクトルピークに関してスペクトル
ピークを選択・設定することで、該スペクトルピークに
関する濃度・量を反映したパラメータ値、あるいは時間
変化を表す画面(サブウィンドウ)を表示させることが
望ましい。これによって、データ解析、あるいは診断の
効率を向上させることができる。
【0081】また、各パラメータ値の標準的な値、ある
いはこれらとの差を表示することで診断の信頼性、客観
性を向上させることが可能である。さらに、検出される
べきスペクトルピークが観測されない、あるいは、異常
を生じている等の場合には、該ボクセル(スペクト
ル)、時間等をメッセージ、色表示、警告音により示す
ことで診断の確実性を増すことができる。 (第4実施例)本実施例は、磁気共鳴現象を利用して被
検体の代謝物・化合物のスペクトルあるいは代謝物画像
を観測する際に、これら観測値から診断に有効なパラメ
ータ値を抽出し、かつ、診断に供することを特徴とする
磁気共鳴診断装置に関する。
【0082】図16は本実施例による磁気共鳴診断装置
の構成図であり、図1と同じ部分には同符号を付して説
明は省略する。CPU/メモリ27は、第3実施例のよ
うにスペクトルのピーク各々の化合物を同定する機能の
他に、スペクトルピーク面積、スペクトルピーク高、ス
ペクトルピーク幅の少なくとも1つを化合物毎に算出
し、スペクトルピーク面積、スペクトルピーク高、スペ
クトルピーク幅の少なくとも1つに基づいて化合物濃
度、緩和時間、拡散係数の少なくとも1つを推定し、化
合物濃度、緩和時間、拡散係数の少なくとも1つの時間
的変化を表す診断に有効なパラメータを化合物毎に算出
する機能を有する。
【0083】図17に、脳領域の代表的な 1Hスペクト
ルを示す。通常、神経細胞に特有のNAA(Nアセチル
アスパラギン酸)、あるいはCho(コリン含有化合
物)、PCr/Cr(クレアチン燐酸/クレアチン)に
対応したピークの存否により、正常/病態の鑑別診断が
なされている。また、これら化合物のピーク高、スペク
トルピーク下の信号強度積分値(ピーク面積)を算出す
る試みがなされているが、絶対量を算出することが困難
なため、これらを指標にした診断を行うことは現在のと
ころ顕著な効果が得られていないのが実状である。
【0084】本実施例では、疾病を早期に診断可能な13
C−MRSIに特に注目する。13Cの場合には、13Cが
天然に存在する割合が低いため(約1.1パーセン
ト)、磁気共鳴信号を観測することが非常に困難である
が、反面、体外から13Cを標識・エンリッチしたグルコ
ース等を投与することによって、これらの化合物が代謝
される様子を観測することが可能となる。図18には13
C−Glcを投与後に観測される脳領域からのスペクト
ルが示されている。
【0085】図19に示すように13C−Glcのピーク
高、ピーク面積値をいわゆるローレンツ曲線、あるいは
ガウス曲線によってフィッティングして算出した信号強
度の時間変化のうち、増加分はほぼ体外から投与したG
lcの脳内への取り込みとみなすことができる。組織に
取り込まれたGlcは図20に概略を示す代謝経路にし
たがって代謝され、種々のアミノ酸等に分解、合成され
るため、Glcは減少傾向を呈する。この際に生じるG
lu、Gln、(Glx)等の生成の度合いによって細
胞の働きを評価することが考えられる。
【0086】ここで、これらの増加・減少曲線から図2
1の様に各相における増加時定数αu 、減衰時定数αd
を近似的に算出し、比較することが考えられる。あるい
は、立ち上がり・立ち下がり傾斜の最大値βu 、最小値
βd も一つの良い指標となる。
【0087】また、実際に標識化合物を投与した時間か
ら、対象領域から観測されるGlcが変化し始める時間
t1、減少を開始する時間t2、あるいは、Glu、Gl
n、(Glx)等が変化し始める時間、平坦になる時間
t4等を算出することによって、代謝時間等を知ることが
できる。このような時間変化を表す各パラメータ値は、
患者固有の生体内の状態を反映しているため、装置等に
起因する誤差が含まれず、絶対的な診断指標として考え
ることができる。また、各測定時間における増加・減少
率、すななち微分値が役に立つ場合がある。各代謝物の
最大値も診断指標の1つとなるが、絶対的なパラメータ
として、これらの比をとることが有用な場合がある。
【0088】さらに、同一化合物であっても、図18の
ように13Cの置き変わる位置によって、観測されるスペ
クトル(化学シフト)が異なるため、これらの増加・減
少の違いから、代謝状態の違いを検出することも可能で
あり、より詳細に生体内の様子を観察できる。例えば、
2、3、4−Glu,Gln,Glx等のそれぞれの時
間変化の割合、時定数、これらの差や比によって代謝経
路の状態を推察して、疾病の鑑別を行うことができる。
【0089】さらに、血液中(動脈かつ、あるいは静
脈)のGlc濃度・時間変化を測定することで、実際に
脳に取り込まれたGlc、そこから生成されるGlu、
Gln、(Glx)に関するパラメータ値を補正するこ
とができ、代謝のどの部分に障害が生じているかを把握
することができる。このとき、肝臓等のGlc濃度を測
定することでより詳細な情報を得ることができる。
【0090】これは、図22に示すコンパートメントモ
デルを仮定することにより、より定量性、妥当性を改善
することができる。すなわち、血液中から対象とする組
織(例えば脳)に取り込まれる糖代謝速度、あるいは各
化合物の速度定数・平衡定数を推定することが可能とな
る。ただし、このようなモデルを厳密にたて、各間のパ
ラメータ値を求めることは困難であるが、少なくとも、
血液中からのGlc取り込み量、時定数から、Glu、
Gln、(Glx)等の生成される割合を補正すること
によって、細胞のいかなる代謝経路が阻害されているか
把握することができる。
【0091】さらに、13Cを投与した場合に既に体内に
定常的に存在している12Cを観測し、上記と同様の種々
のパラメータ値を算出することによって、13Cの変化に
伴う12C変化、これらの差・比を把握することができ、
より詳細に細胞の状態を把握することができる。
【0092】これら、算出された値を表示し、あるいは
標準値からの差を表示する等して疾病の診断が容易にな
る。また、代謝物画像のように、複数のスペクトル情報
が得られる場合には、上記パラメータ値を画像表示する
ことで疾病領域を視覚的にとらえることができる。
【0093】また、これらパラメータを時間毎、ボクセ
ル毎に表示することは有効である。このとき表示する時
間範囲、ボクセル範囲、化合物の種類をコンソール21
を介して入力し、指定された範囲内のパラメータについ
て表示することが考えられる。またこれら表示を1画面
に行う他に、1画面中に分割(サブウインドウ)して表
示する方法、また複数の画面に表示する方法が考えられ
る。またこれらパラメータを順次モニタ22にシネ表示
することによって、1つのパラメータだけでは把握でき
ない事象を診断可能になる。
【0094】また複数のパラメータを同時に1画面に表
示することにより、さらに詳細な診断が可能となる。こ
のとき各パラメータをカラーの濃淡値で表示して重畳さ
せて表示することにより視覚的に障害部位を把握でき
る。 (第5実施例)図23は第5実施例による磁気共鳴診断
装置の構成図であり、図1と同じ部分には同符号を付し
て説明は省略する。第5実施例では、静磁場内の載置さ
れた被検体に高周波磁場を印加し、データ収集期間に被
検体からの磁気共鳴信号を繰り返しサンプリングし、磁
気共鳴信号に基づいてスペクトルを得る磁気共鳴診断装
置であり、特にシーケンスコントローラ30の制御によ
り、データ収集期間(サンプリング期間)中において、
異なるサンプリング点の間(サンプリングインターバ
ル)に磁場不均一性の影響を実質的にキャンセルするよ
うなスピンを再結像させる高周波磁場(180°RFパ
ルス)を印加することを特徴とする。
【0095】図24は、高周波磁場印加後に観測される
自由誘導信号(FID)の減衰曲線が描かれている。理
想的には物質の横緩和時間T2 によって減衰する曲線が
観測されるが、実際には、磁場不均一性の影響を受け、
(7)式で表される実質的なT2*の時定数を持つ減衰曲
線として観測される。
【0096】 1/πT2*=1/πT2 +γΔB0 /2π …(7) 但し、ΔB0 :磁場不均一性 これは、観測される線幅に等しいため、磁場不均一性が
大きくなると減衰時定数が小さくなりスペクトル線幅が
広幅化されることを意味する。
【0097】これに対してスピンエコーでも見られるよ
うに、磁化スピンを再結像(反転)させる180゜の高
周波磁場(RFパルス)を印加することによって、磁化
スピンを再結像させて磁場の不均一性の影響を除き、正
味のT2 値を測定するHahnパルスシーケンスが古く
から知られている。
【0098】Hahnパルス系列を印加した場合の磁化
の振る舞いを図25(a)〜(f)に示す。図25
(a)で、x’に沿って90゜パルスが印加され、正味
磁化Mがy’軸に倒れる。図25(b)で、試料内の異
なる部分の磁化がB0 の不均一性のためその位相が異な
っていく。図25(c)で、時間τ後にx’に沿って1
80゜パルスを印加することですべての磁化はx’軸回
りに180゜回転する。(e)時間2τで全ての磁化は
−y’軸上に集まる(結像する)。この原理を応用し
て、τ、3τ、5τ時間に180゜パルスを印加するC
PMGパルスシーケンスを用いることにより、2τ、4
τ、6τ時間に形成される各エコーにおいては、磁場の
不均一性が実質的に打ち消されている。
【0099】一方、 1Hスペクトルデータを観測する場
合のパルスシーケンスの一例を図26に示す。この際、
化学シフト範囲約10ppmのスペクトルデータを収集
するために、1.5Tの場合にはサンプリング時間ts
が通常1〜1.5秒が用いられる。このような、サンプ
リング時間が長く、磁場不均一性が大きくT2*が短い場
合には有効なデータをサンプリングできないことがあ
る。
【0100】そこで、本実施例では、図27(b)に示
すように長いサンプリング時間を利用して、上記CPM
Gの原理を用いて、異なる、具体的には隣り合うサンプ
リング点間に、90゜パルス印加後τ、3τ、5τ・・
・時間毎に180゜パルス(再結像パルス)を印加す
る。そして、2τ、4τ、6τ・・・時間に所望のサン
プリング時間となるようにデータを繰り返しサンプリン
グする。所望とする化学種を選択的に励起し、これを必
要回数繰り返すことで、観測されるデータ列は、磁場不
均一性の影響が打ち消されたデータ列となり、スペクト
ル線幅を先鋭化することが可能となる。ここで、90゜
パルス直後の信号は受信系の回復時間等の影響でデータ
サンプリングできない場合があり、図中では括弧で示さ
れている。
【0101】また、図28(a),(b)を示すよう
に、180゜パルスを印加するτの異なるパルスシーケ
ンスを時分割で実行し、両シーケンスで得られるデータ
を合成(再配列)することにより、時間分解能の良好な
データを得ることができる。図28(a)では、τ1 、
3τ1 、5τ1 ・・・に180゜パルスを印加して、デ
ータ列{S(2τ1 )、S(4τ1 )、S(6τ1 )・
・・}が得られる。図28(b)では、τ2 、3τ2 、
5τ2 ・・・に180゜パルスを印加して、図28
(a)のデータ列と異なるタイミングでデータ列{S
(2τ1 )、S(4τ1)、S(6τ1 )・・・}が得
られる。この際、得られたデータサンプリング時間が不
等間隔の場合には所望とするデータ間隔におけるデータ
を補間処理等によって求める操作が必要となる。
【0102】同様に、図29(b)のように90゜パル
スから第1の180゜パルスまでの期間τ2 と、第2の
180゜パルス以降のパルス間隔を相違させることも可
能であり、より、最終的な所望とするデータ列のサンプ
リングタイミングに近いタイミングにてデータ列を収集
することができる。従って、90゜パルスから第1の1
80゜パルスまでの期間、とサンプリングインターバル
とは、必ずしも一致する必要がない。
【0103】以上の原理を利用して、図30のようにス
ライス選択励起をかけて、さらに磁気共鳴信号に空間的
位置情報として位相情報を加える局所MRSI(Magnet
ic Resonance Spectroscopic Imaging)にも応用するこ
とが容易にできる。
【0104】ただし、本実施例では180゜パルスを断
続的に印加するため、生体内の発熱の観点から観測する
データポイント数すべてを一度に観測することが困難な
場合がある。このような場合には、図31の様に全ての
サンプリングインターバルに180゜パルスを印加する
のではなく1つおき、あるいは2つおきといったように
180゜パルスを間引き、180゜パルス1つに対して
1つのデータをサンプリングを行うのではなく、180
゜パルス1つに対して複数のデータをサンプリングを行
うことで、発熱の問題を軽減可能である。ただし、この
ときには、180゜パルス1つに対してデータサンプリ
ングを1回行った場合に比べてスペクトル線幅が広がる
ため、最適な180゜パルス挿入を計画する必要があ
る。また、パルスを図32(a),(b)のように、デ
ータ収集期間を前段、後段に分割して行い、両シーケン
スのデータを再配置することが考えられる。すなわち、
図32(a)のように所望するデータポイントNのう
ち、N/2個のデータを第1のデータ収集系列、すなわ
ち、τ、3τ、5τ・・・(N−1)τの時間タイミン
グに(N−1)個の180゜パルスを印加して収集す
る。残りのN/2個のデータについては図32(b)の
ように90゜パルス後に印加する第1の180゜パルス
を(N/2+1)τ時間に印加し、これ以後2τ毎に印
加して収集を行う。2回のデータ収集操作後、N個のデ
ータSrに再配列し、再構成を行う。M回以上のデータ
収集系列によりデータを収集してデータを再配列するこ
とも同様の考えに基づいて行うことができる。この際、
M=m(m;1・・・M)系列における第1の180゜
パルスの印加時間τ’は(8)式によって算出される。
【0105】 τ’=N×(m−1)×τ/M …(8) τ:第2以降の180゜パルスの時間間隔 ここで、τは基本的にはサンプリング時間と等しいが、
前述したように種々のデータサンプリング法を用いるこ
とにより必ずしも一致しない場合が生じる。
【0106】ただし、通常収集するデータ個数はスペク
トルS/Nの観点から、データ観測時間をほぼT2 時間
程度とすることが望ましく、N個全てを収集する必要は
ない。残りのデータに関しては0フィリングを施し再構
成を行うことで所望するスペクトル分解能を得る。
【0107】図33に示すように、180゜パルスのイ
ンターバルに勾配磁場反転を印加して複数のデータをサ
ンプリングするようにしてもよい。また、180°パル
スのインターバルにエンコード磁場を印加してデータ列
を再配置した後に所望データ列を得ることも考えられ
る。
【0108】このようなスペクトル先鋭化パルスシーケ
ンスを用いることにより、特に 1Hスペクトルを観測す
る際に生体内の代謝情報として有用なGlxスペクトル
を配位を含めて分離することが可能である。このような
スペクトル情報から細胞レベルの診断の可能性が拓け
る。
【0109】これは、体外から13Cを標識・エンリッチ
したグルコース等を投与することによって、これらの化
合物が代謝される様子を観測することが可能な 1H観測
13Cスプクトロスコピーにも応用することができる。た
だし、この場合にデカップリングパルスを印加するパル
スシーケンスではより発熱の影響を考慮する必要がある
ため、前述したデータ収集の分割を計画的に行う必要が
生じる。
【0110】本発明は上述の実施例に限定されることな
く種々変形して実施可能である。
【0111】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、13Cのス
ペクトルに基づいて生体内の代謝情報とともに、血流量
等の血流情報を得ることが可能になる。したがって、対
象領域の代謝機能を、対象領域への血液供給系統での障
害の有無を参照して総合的に診断することが可能にな
る。
【0112】請求項7,9に係る発明によれば、高周波
磁場又は勾配磁場にオフセットをかけることにより観測
対象領域の中央を化学シフト画像の単位領域の中心と一
致させることができる。
【0113】請求項14に係る発明によれば、スペクト
ルからスペクトルピークが検出され、このスペクトルピ
ークの化学シフト値に基づいて化合物が判別され、この
判別された化合物の名称がスペクトルと共に表示され
る。したがって、医師による化合物の判別作業が不要に
なり、また判別の誤りが解消される。
【0114】請求項17に係る発明によれば、診断に有
効なパラメータとして、スペクトルから化合物濃度、緩
和時間、拡散係数の少なくとも1つの時間的変化を表す
パラメータを化合物毎に算出して、診断の定量性、信頼
性を向上することが可能となる。
【0115】請求項23に係る発明によれば、各代謝物
・化合物のスペクトルを観測する際に180゜パルスを
断続的に印加しながらデータを収集することによってス
ペクトルを先鋭化することができ、スペクトルS/Nの
向上ならびにスペクトル分解能の向上を達成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例による磁気共鳴診断装置の構成図。
【図2】13C−Glc投与後に観測される13C代謝物ス
ペクトルの一例を示す図。
【図3】診断原理を説明する図。
【図4】コンパートメントモデルの一例を示した図。
【図5】動脈から流入した標識化合物がすべて脳組織に
取り込まれることを示すコンパートメントモデルの一例
を示した図。
【図6】第2実施例の磁気共鳴診断装置の構成図。
【図7】観測対象領域と化学シフト画像の単位領域の相
対的な大きさの比較図。
【図8】観測対象領域と単位領域の様々な位置関係を示
す図。
【図9】RFパルスの周波数オフセットによりスライス
方向の位置ずれを補正するMRSIパルスシーケンスを
示す図。
【図10】オフセット用勾配磁場の継続時間の変化によ
り位相エンコード方向の位置ずれを補正するMRSIパ
ルスシーケンスを示す図。
【図11】オフセット用勾配磁場の強度の変化により位
相エンコード方向の位置ずれを補正するMRSIパルス
シーケンスを示す図。
【図12】第3実施例に係る磁気共鳴診断装置の構成
図。
【図13】脳抽出液の13Cスペクトルの一例を示す図。
【図14】基準化合物の化学シフト値に基づく化学シフ
トのずれ補正の説明図。
【図15】化合物同定(判別)方法の説明図。
【図16】第4実施例にかかる磁気共鳴診断装置の構成
図。
【図17】脳内1 Hスペクトルの一例を示す図。
【図18】13C−Glc投与後の脳内13Cスペクトルの
一例を示す図。
【図19】13C−Glc投与後の13C−Glcのピーク
高さ(面積値)の時間変化の一例を示す図。
【図20】代謝経路の概略を示す図。
【図21】13C−Glc投与後の13C−Glu、Gln
の時間変化から算出されるパラメータの一例を示す図。
【図22】13C化合物の最も簡略化されたコンパートメ
ントモデルの一例を示す図。
【図23】第5実施例にかかる磁気共鳴診断装置の構成
図。
【図24】磁場不均一性による信号減衰の様子を示す
図。
【図25】Hahnスピンエコーにおける磁化スピンの
振る舞いを説明した図。
【図26】MRSパルスシーケンスの一例を示す図。
【図27】180゜パルス列印加によるスペクトル先鋭
化の原理を示す図。
【図28】サンプリングタイミングをずらした2つのパ
ルスシーケンスの一例を示す図。
【図29】サンプリングタイミングをずらした2つのパ
ルスシーケンスの他の例を示す図。
【図30】局所MRSIパルスシーケンスへの応用を示
す図。
【図31】180゜パルスのインターバルに複数のデー
タをサンプリングするパルスシーケンスの一例を示す
図。
【図32】データ系列を分割して収集するパルスシーケ
ンスの一例を示す図。
【図33】180゜パルスのインターバルに勾配磁場反
転により複数のデータをサンプリングするパルスシーケ
ンスの一例を示す図。
【符号の説明】
10…主磁石、 11…主磁石電源、
12…勾配コイル系、 13…勾配コイル電
源、14…シムコイル系、 15…シムコイ
ル電源。16…高周波プローブ、 17…送信
器、18…受信器、 19…シーケン
スコントローラ、20…CPU/メモリ、 2
1…コンソール、22…モニタ。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】13Cを標識した13C標識化合物を被検体に
    投与し、前記被検体の対象組織からの磁気共鳴信号を観
    測する磁気共鳴診断装置において、 前記13C標識化合物は前記対象組織での濃度に基づいて
    血流情報を推定可能なように前記対象組織に非代謝のも
    のであることを特徴とする磁気共鳴診断装置。
  2. 【請求項2】前記13C標識化合物は13CH2 13CH4
    の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載
    の磁気共鳴診断装置。
  3. 【請求項3】前記13C標識化合物は13C標識アルコール
    化合物であることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴
    診断装置。
  4. 【請求項4】前記13C標識化合物は13COであることを
    特徴とする請求項1記載の磁気共鳴診断装置。
  5. 【請求項5】前記被検体の横臥姿勢の維持を支援する構
    造を有する寝台を備えたことを特徴とする請求項1記載
    の磁気共鳴診断装置。
  6. 【請求項6】13Cを標識した13C標識化合物を被検体に
    投与し、前記被検体の対象組織からの磁気共鳴信号を観
    測する磁気共鳴診断装置において、 前記13C標識化合物の名称を投与時刻と共に表示するこ
    とを特徴とする磁気共鳴診断装置。
  7. 【請求項7】静磁場中の被検体に周波数調整した高周波
    磁場を勾配磁場の存在下で印加することにより観測対象
    領域を含む領域を選択的に励起した後、磁気共鳴信号を
    収集し、前記磁気共鳴信号に基づいて化学シフト画像を
    作成する磁気共鳴診断装置において、 前記観測対象領域の中央が前記化学シフト画像の単位領
    域の中心と一致するように前記高周波磁場の周波数にオ
    フセットをかけることを特徴とする磁気共鳴診断装置。
  8. 【請求項8】前記高周波磁場を発生するための電流波形
    の制御によりオフセットをかけることを特徴とする請求
    項7記載の磁気共鳴診断装置。
  9. 【請求項9】静磁場中の被検体に高周波磁場を印加し、
    所定方向に関して勾配磁場の印加により観測対象領域に
    対してエンコードをかけた後、磁気共鳴信号を収集し、
    前記磁気共鳴信号に基づいて化学シフト画像を作成する
    磁気共鳴診断装置において、 前記観測対象領域の中央が前記化学シフト画像の単位領
    域の中心と一致するように前記勾配磁場にオフセットを
    かけるオフセット手段を有することを特徴とする磁気共
    鳴診断装置。
  10. 【請求項10】前記オフセット手段はオフセットの継続
    時間の制御を行うものであることを特徴とする請求項9
    記載の磁気共鳴診断装置。
  11. 【請求項11】前記オフセット手段はオフセットの強度
    の制御を行なうものであることを特徴とする請求項9記
    載の磁気共鳴診断装置。
  12. 【請求項12】前記オフセット手段は磁場を発生させる
    ための電流値を制御するものであることを特徴とする請
    求項9記載の磁気共鳴診断装置。
  13. 【請求項13】静磁場中の被検体に高周波磁場を印加し
    た後、磁気共鳴信号を収集し、前記磁気共鳴信号に基づ
    いて観測対象領域を含む形態画像及び化学シフト画像を
    作成する磁気共鳴診断装置において、 前記形態画像から確認される前記観測対象領域の中央と
    前記化学シフト画像の単位領域の中心とを指定するため
    の手段と、 前記指定された観測対象領域の中央と前記指定された単
    位領域の中心との位置関係に基づいて前記観測対象領域
    の中央と前記化学シフト画像の単位領域の中心との距離
    及び方向を算出する手段とを具備することを特徴とする
    磁気共鳴診断装置。
  14. 【請求項14】静磁場内に載置された被検体に高周波磁
    場を印加した後,磁気共鳴信号を収集し、前記磁気共鳴
    信号に基づいてスペクトルを観測する磁気共鳴診断装置
    において、 前記スペクトルからスペクトルピークを検出する手段
    と、 前記スペクトルピークの化学シフト値に基づいて化合物
    を判別する手段と、 前記スペクトルを前記化合物の名称と共に表示する手段
    とを具備することを特徴とする磁気共鳴診断装置。
  15. 【請求項15】磁場分布に基づいて前記化学シフト値を
    補正する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1
    4記載の磁気共鳴診断装置。
  16. 【請求項16】基準物質の周波数と、観測された前記基
    準物質の周波数との差に基づいて化学シフトのずれを補
    正する手段をさらに備えることを特徴とする請求項14
    記載の磁気共鳴診断装置。
  17. 【請求項17】静磁場中におかれた被検体に高周波磁場
    を印加した後、磁気共鳴信号を収集し、前記磁気共鳴信
    号に基づいてスペクトルを観測する磁気共鳴診断装置に
    おいて、 前記スペクトルから複数のスペクトルピークを検出する
    手段と、 前記スペクトルピーク各々の化合物を化学シフト値に基
    づいて判別する手段と、 スペクトルピーク面積、スペクトルピーク高、スペクト
    ルピーク幅の少なくとも1つを化合物毎に算出する手段
    と、 前記スペクトルピーク面積、前記スペクトルピーク高、
    前記スペクトルピーク幅の少なくとも1つに基づいて化
    合物濃度、緩和時間、拡散係数の少なくとも1つを推定
    する手段と、 前記化合物濃度、前記緩和時間、前記拡散係数の少なく
    とも1つの時間的変化を表すパラメータを化合物毎に算
    出する手段とを具備することを特徴とする磁気共鳴診断
    装置。
  18. 【請求項18】前記パラメータは前記化合物濃度、前記
    緩和時間、前記拡散係数の少なくとも1つの増加時定
    数、減衰時定数、最大傾斜の少なくとも1つであること
    を特徴とする請求項17記載の磁気共鳴診断装置。
  19. 【請求項19】前記パラメータは前記化合物濃度、前記
    緩和時間、前記拡散係数の少なくとも1つの立ち上がり
    及び立ち下がり傾斜の最大値と最小値の少なくとも一方
    であることを特徴とする請求項17記載の磁気共鳴診断
    装置。
  20. 【請求項20】静磁場中におかれた被検体に高周波磁場
    を印加した後、磁気共鳴信号を収集し、前記磁気共鳴信
    号に基づいてスペクトルを観測する磁気共鳴診断装置に
    おいて、 前記スペクトルに含まれるスペクトルピークのスペクト
    ルピーク面積、スペクトルピーク高、スペクトルピーク
    幅の少なくとも1つを算出する手段と、 前記スペクトルピーク面積、前記スペクトルピーク高、
    前記スペクトルピーク幅の少なくとも1つに基づいて化
    合物濃度、緩和時間、拡散係数の少なくとも1つを推定
    する手段と、 前記化合物濃度、前記緩和時間、前記拡散係数の少なく
    とも1つの時間的変化を表すパラメータを算出する手段
    とを具備することを特徴とする磁気共鳴診断装置。
  21. 【請求項21】前記パラメータは前記化合物濃度、前記
    緩和時間、前記拡散係数の少なくとも1つの増加時定
    数、減衰時定数、最大傾斜の少なくとも1つであること
    を特徴とする請求項20記載の磁気共鳴診断装置。
  22. 【請求項22】前記パラメータは前記化合物濃度、前記
    緩和時間、前記拡散係数の少なくとも1つの立ち上がり
    及び立ち下がり傾斜の最大値と最小値の少なくとも一方
    であることを特徴とする請求項20記載の磁気共鳴診断
    装置。
  23. 【請求項23】静磁場内の載置された被検体に高周波磁
    場を印加し、データ収集期間に前記被検体からの磁気共
    鳴信号を繰り返しサンプリングし、前記磁気共鳴信号に
    基づいてスペクトルを得る磁気共鳴診断装置において、 異なるサンプリング点の間に、スピンを再結像させる高
    周波磁場を印加することを特徴とする磁気共鳴診断装
    置。
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