JPH08250937A - 歪み補償回路、低歪半導体増幅器およびfet素子 - Google Patents

歪み補償回路、低歪半導体増幅器およびfet素子

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JPH08250937A
JPH08250937A JP20436795A JP20436795A JPH08250937A JP H08250937 A JPH08250937 A JP H08250937A JP 20436795 A JP20436795 A JP 20436795A JP 20436795 A JP20436795 A JP 20436795A JP H08250937 A JPH08250937 A JP H08250937A
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正敏 中山
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和久 山内
Yasuyuki Ito
康之 伊藤
Yasuro Mitsui
康郎 三井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で、高効率な歪み補償回路および低歪半
導体増幅器を得る。 【解決手段】 多段増幅器の前段または段間に入力電力
に対する利得、通過位相特性が後段と逆特性となる増幅
器を用い、後段増幅器の振幅歪、位相歪を前段または段
間増幅器で補償することにより、全体として低歪な増幅
器を得る。前段または段間に用いる増幅器としてはソー
ス接地FETのソース、グランド間に大きな値のインダ
クタまたはインダクタと抵抗を挿入した歪み補償回路。
ゲート接地FETのソース、グランド間にインダクタと
DCカットのキャパシタまたはインダクタと抵抗とDC
カットのキャパシタを挿入した歪み補償回路、またはそ
の歪み補償回路のゲート、グランド間にDCカットのキ
ャパシタを挿入した歪み補償回路等がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は衛星通信、地上マ
イクロ波通信、移動体通信等に使用するUHF、SHF
帯の低歪半導体増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図27は、従来例1として、例えば、As
ia-Pacific Microwave Conference Proceedings,1990,p
p1077〜1080,■A Predistortion Type Equi-Path Linea
rizerin Ku-Band ■ に示された従来の低歪増幅器の等
価回路図であり、図において、1は入力端子、2は出力
端子、500は第1のリニアライザ、17は第1のレベ
ル調整用増幅器、18はレベル調整用可変アッテネー
タ、19はFETを用いた高出力増幅器である。リニア
ライザ500は第1の歪発生用増幅器3、第1の線形増
幅器4、第1の90゜ハイブリッド5、第2の90゜ハ
イブリッド6、第3の90゜ハイブリッド7、第4の9
0゜ハイブリッド8、第5の90゜ハイブリッド9、第
6の90゜ハイブリッド10、第1の移相器11、第2
の移相器12、第1の可変アッテネータ13、第2の可
変アッテネータ14、第3の可変アッテネータ15、第
4の可変アッテネータ16で構成されている。
【0003】次に、動作について説明する。FETを用
いた高出力増幅器は、文献 IEEE,Transactions on M
icrowave Theory and Techniques, vol.MTT-28, No.
11,November 1990, pp1157-1163, ■Design Procedure
for High-Efficiency LinearMicrowave Power Amplifie
r■で報告されているように、一般的に入力電力の増大
にともない、利得は低下、通過位相は進む特性である。
図28に高出力増幅器19の入力電力の増大に対する出
力電力、通過位相特性を示す。高出力増幅器19におい
ては、この利得および通過位相の変化が原因となり、振
幅歪および位相歪が発生する。高出力増幅器19の前段
に利得および通過位相特性が高出力増幅器19と逆特性
となるリニアライザ500を設けると、高出力増幅器1
9で発生する振幅歪および位相歪を補償することができ
る。図29に高出力増幅器19の振幅歪および位相歪を
補償するために必要な、リニアライザ500の入力電力
の増大に対する出力電力、通過位相特性を示す。このよ
うな逆特性は、第1の移相器11、第2の移相器12、
第1の可変アッテネータ13、第2の可変アッテネータ
14、第3の可変アッテネータ15、第4の可変アッテ
ネータ16を調整することにより実現することができ
る。なお、第1のレベル調整用増幅器17およびレベル
調整用可変アッテネータ18はリニアライザ500と高
出力増幅器19を縦続接続する際のレベル調整を行う。
【0004】図30に従来例2として公開特許公報、平
2−143604の超高周波増幅器の実施例を示す。図
において、111は半導体チップ、112はソース接地
ボンディングワイヤである。
【0005】次に動作を説明する。1〜2mmのソース
接地ボンディングワイヤによりソースインダクタンス
0.3〜1nHの値を得る。このソースインダクタンス
により、小信号利得は減少するが、飽和出力は減少しな
いため、入出力特性における直線性が改善され、ソース
インダクタンスを挿入した増幅器自体の混変調歪が減少
するというものである。
【0006】図31に従来例3として公開特許公報、昭
57−33839のアンテナ・ブースタ増幅回路の実施
例を示す。図31(a)はアンテナ・ブースタ増幅回路
を一般化した図、図31(b)は実施例である。図にお
いて、113はFET、114は負荷インピーダンスZ
L、115はインピーダンスZSの受動素子、Eiは入力
電圧、Eoは出力電圧、116はリアクタンス成分Lo
のコイル、117はキャパシタンスCoのコンデンサで
ある。
【0007】次に動作を説明する。FETの相互コンダ
クタンスをgmとすると、図31(a)の回路において
出力電圧Eoは入力電圧Eiにより次の式(1)で表され
る。
【0008】
【数1】
【0009】ここで、gm・ZS>>1であれば、
【0010】
【数2】
【0011】と近似でき、gmの非線形性の影響を小さ
く抑えることができ、混変調特性は改善される。図31
(b)はその実施例であり、ZSとしてLC直列回路を
用いるとそのインピーダンスは、
【0012】
【数3】
【0013】となる。使用する周波数において、1−ω
22LoCo=0となるように、LoおよびCoを定める。
この場合、希望周波数ではZs=0となるため利得を減
らさず、希望周波数以外ではZSは大きくなるため、混
変調特性を改善することができる。
【0014】図32に従来例4として公開特許公報、昭
54−5644の増幅回路の実施例を示す。図におい
て、118はエミッタ接地トランジスタ、119はベー
ス端子、120は入力整合回路、121入力端子、12
2はバイアス回路、123は高調波阻止コイル、124
はバイアス供給端子、125はコレクタ端子、126は
出力整合回路、127は出力端子、128は高調波阻止
コイル、129は電源供給端子、130はエミッタ端
子、131は接地面、132はインダクタである。次に
動作を説明する。接地面131とエミッタ端子130の
間のインダクタ132の値は、増幅を行う周波数に対し
ては小さいインピーダンスとなり、高次高調波周波数に
対しては高いインピーダンスを有するように選ばれてい
る。これにより、高次高調波電流に対しては大きな負帰
還がかかるため高調波歪の発生が低減される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従来の低歪増幅器は従
来例1のように高出力増幅器で発生する振幅歪および位
相歪を補償するためのリニアライザを用いるが、一般に
従来のリニアライザは複数個の90゜ハイブリッド、可
変アッテネータ、移相器、増幅器から構成されるため
に、構造が複雑となり、大型化する、モノリシック化に
適さない、高出力増幅器以外のリニアライザ部分での消
費電力が大きく全体としての効率が低下する、値段が高
くなる等の問題点があった。
【0016】従来例2では、FETのソースとグランド
の間にワイヤによるインダクタをいれることにより、そ
のFET自体の混変調歪を改善することはできるが、F
ETの入力電力に対する通過位相特性を考慮していない
ため大きな歪の改善は期待できず、インダクタにより利
得が低下することにより効率は悪化する。また、この回
路は、インダクタを挿入した増幅回路自体の混変調歪を
改善することはできるが、他の高出力増幅器によって発
生する混変調歪を改善することはできない。
【0017】従来例3では、FETのソースとグランド
の間にインダクタとキャパシタの直列回路をいれること
により、gmの非線形性、すなわち、入力電力に対する
振幅特性の非線形性によるFET自体の混変調歪を改善
することはできるが、FETの入力電力に対する通過位
相特性を考慮していないため大きな歪の改善は期待でき
ず、またインダクタをキャパシタの値をチューニングす
る必要があるため調整が大変である。また、この回路
は、インダクタとキャパシタの直列回路を挿入した増幅
回路自体の混変調歪を改善することはできるが、他の高
出力増幅器によって発生する混変調歪を改善することは
できない。
【0018】従来例4では、バイポーラトランジスタの
エミッタとグランドの間にインダクタをいれることによ
り、入力電力に対する振幅特性の非線形性によるFET
自体の混変調歪を改善することはできる。しかし、イン
ダクタの値は増幅する周波数で小さいインピーダンスに
なり、高調波周波数で高いインピーダンスになるように
設定するのであるが、そのインピーダンスの大きさの違
いには限界があること、そして、入力電力に対する通過
位相特性を考慮していないことより大きな歪の改善は期
待できない。また、この回路は、インダクタとキャパシ
タの直列回路を挿入した増幅回路自体の混変調歪を改善
することはできるが、他の高出力増幅器によって発生す
る混変調歪を改善することはできない。
【0019】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、小型で、高効率な歪み補償回路
および低歪半導体増幅器を得ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1の歪み補償回路
は、ソース接地のFET素子を用いて構成される歪み補
償回路において、ゲート幅をWg[mm]としたとき
に、ソース、グランド間に1/Wg[nH]よりも大き
な値をもつインダクタ、または、1/Wg[nH]より
も大きな値をもつインダクタおよび抵抗を直列接続した
回路を備えたものである。
【0021】請求項2の歪み補償回路は、ゲート接地の
FET素子を用いて構成される歪み補償回路において、
ソース、ドレイン間にインダクタとDCカットのキャパ
シタ、または、インダクタと抵抗とDCカットのキャパ
シタを直列接続した回路を備えたものである。
【0022】請求項3の歪み補償回路は、ゲート接地の
FET素子を用いて構成される歪み補償回路において、
ソース、ドレイン間にインダクタとDCカットのキャパ
シタ、または、インダクタと抵抗とDCカットのキャパ
シタを直列接続した回路を備え、ゲート、グランド間に
DCカットのキャパシタを備えたものである。
【0023】請求項4の歪み補償回路は、ソース接地の
FET素子を用いて構成される歪み補償回路において、
ソース、グランド間にゲート幅をWg[mm]としたと
きに、1/Wg[nH]よりも大きな値をもつインダク
タとゲートバイアスで使用されるFET素子とを直列接
続した回路を備えたものである。
【0024】請求項5の歪み補償回路は、請求項1〜4
の歪み補償回路の出力側にソース接地のFET素子を並
列接続し、DCカットのキャパシタを直列接続し、ドレ
イン、ソース間にインダクタが接続され、ゲードバイア
スで使用されるFET素子を直列接続したものである。
【0025】請求項6の歪み補償回路は、請求項1〜5
の歪み補償回路の入力側に抵抗を直列接続したものであ
る。
【0026】請求項7の歪み補償回路は、請求項1〜6
の歪み補償回路の入力側および出力側にアイソレータを
設けたものである。
【0027】請求項8の歪み補償回路は、請求項1〜6
の歪み補償回路の2つを、上記歪み補償回路の入力側、
出力側に90度ハイブリッドを用いてバランス型に並列
接続したものである。
【0028】請求項9の歪み補償回路は、請求項1〜8
の歪み補償回路を複数個、縦続接続したものである。
【0029】請求項10の歪み補償回路は、請求項1の
歪み補償回路のFET素子のゲート幅をそれぞれ異なら
しめて形成した複数個の歪み補償回路を縦続接続したも
のである。
【0030】請求項11の低歪半導体増幅器は、前段増
幅器を請求項1〜10の歪み補償回路とし、後段増幅器
をFETまたはBJT増幅器の1段あるいは多段構成と
し、これらを縦続接続して多段増幅器を構成し、前段増
幅器のバイアス条件および入力側、出力側の整合条件を
後段増幅器の振幅歪、および、位相歪を補償するように
設定したものである。
【0031】請求項12の低歪半導体増幅器は、多段増
幅器において、前段増幅器をFETまたはBJT増幅器
の1段あるいは多段構成とし、段間増幅器を請求項1〜
10の歪み補償回路とし、後段増幅器をFETまたはB
JT増幅器の1段あるいは多段構成とし、これらを縦続
接続して多段増幅器を構成し、段間増幅器のバイアス条
件および入力側、出力側の整合条件を後段増幅器の振幅
歪、および、位相歪を補償するように設定したものであ
る。
【0032】請求項13の低歪半導体増幅器は、請求項
11の低歪半導体増幅器において、前段増幅器の入力
側、または、前段増幅器と後段増幅器の間、または前段
増幅器の入力側および前段増幅器と後段増幅器の間にレ
ベル調整用のアッテネータを挿入したものである。
【0033】請求項14の低歪半導体増幅器は、請求項
12の低歪半導体増幅器において、前段増幅器と段間増
幅器の間、または、前段増幅器と後段増幅器の間、また
は前段増幅器と段間増幅器の間および前段増幅器と後段
増幅器の間にレベル調整用のアッテネータを挿入したも
のである。
【0034】請求項15の低歪半導体増幅器は、請求項
13〜14の低歪半導体増幅器において、出力側に出力
レベルの検波器を設け、その検波した出力レベルに基づ
いてレベル調整用のアッテネータを調整する制御手段を
設けたものである。
【0035】請求項16の低歪半導体増幅器は、プリデ
ィストーション型低歪半導体増幅器において、歪補償を
行う後段増幅器に、請求項11〜15の低歪半導体増幅
器を用いるものである。
【0036】請求項17の低歪半導体増幅器は、フィー
ドフォワード型低歪半導体増幅器において、歪補償を行
う後段増幅器に、請求項11〜15の低歪半導体増幅器
を用いるものである。
【0037】請求項18のFET素子は、ソース電極に
インダクタ成分を持たせたFET素子において、基板厚
を厚くし、ソース電極パターンの線幅を細くしてソース
電極パターン面積を小さくしたものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
実施例1.図1はこの発明の歪み補償回路の構成を示す
等価回路図である。図において、20は第1の入力整合
回路、21は第1のFET、22は第1の出力整合回
路、23は第1のインダクタ、24は第1の抵抗であ
る。501はこの発明の歪み補償回路である。第1のF
ET21はソースが第1のインダクタ23と第1の抵抗
24を介して接地されている。第1のインダクタ23は
第1のFET21のゲート幅をWg[mm]とすると、
インダクタンス値Lsが1/Wg[nH]以上の値であ
る。なお、この発明では歪み補償回路は通常は半導体回
路で形成される。
【0039】次に動作について説明する。図2は第1の
インダクタ23のインダクタンス値Lsをパラメータと
した場合の、入力電力に対する利得、通過位相特性のシ
ミュレーション結果である。シミュレーションは、ゲー
ト幅1.2mmのFETの大信号モデルパラメータを抽
出し、その大信号モデルをハーモニックバランス法を用
いて解析して行った。用いた大信号モデルはCurtice Cu
bicモデルである。図2より、インダクタンス値Ls>
1nHとすると、入力電力に対して通過位相が減少する
特性が得られ、さらに、利得が増大する特性が得られる
ことが分かる。また、図2では特性の記載を略したが、
詳細に見ると、インダクタンス値Ls>10nHとすれ
ば、入力電力に対して通過位相が減少する特性が得ら
れ、さらに、利得が増大する特性が得られることが分か
る。また、図2では特性の記載を略したが、詳細に見る
と、インダクタンス値Ls>1nHとすれば、入力電力
に対して通過位相が減少する特性が得られ、さらに、利
得が増大する特性が得られる。ゲート幅が大きなFET
は、等価回路的には、小さなFETを並列接続したもの
と考えられるため、入力電力に対して、通過位相が減少
し、利得が増大する特性が得られるのに必要となるLs
の値も、第1のFET21のゲート幅Wgに依存すると
考えられる。従って、第1のインダクタ23のインダク
タンス値はLs>1/Wg[nH]となる。
【0040】ソース、グランド間の第1の抵抗24につ
いて述べる。図3に第1のインダクタ23の値Ls=1
6nHに固定し、第1の抵抗24の抵抗値をパラメータ
とした場合の、入力電力に対する利得、通過位相特性の
シミュレーション結果を示す。図3より、入力電力に対
し、利得が増加し、通過位相特性が遅れる特性を得るこ
とができることがわかる。また、抵抗値を変化すること
により、入力電力に対する利得、通過位相特性を調整で
きることがわかる。第1の出力整合回路22を変化さ
せ、第1のFET21の出力側の負荷条件を変化させた
場合のシミュレーション結果を示す。第1のインダクタ
23の値Ls=16nHとした。図4は線形利得からの
最大の利得の増加分を負荷条件を表すスミスチャート上
にプロットしたものである。図5は利得が最大となる入
力電力のときの通過位相をスミスチャート上にプロット
したものである。図4、図5より、負荷条件の実数部を
変化させると利得特性を調整でき、負荷条件の虚数部を
変化させると通過位相特性を変化できることがわかる。
例えば、文献 昭和62年電子情報通信学会創立70周
年記念総合全国大会予稿集、750,pp3-192,「ソースイン
ダクタ装荷形X帯モノリシック低雑音FET増幅器」で
報告されているように、ソース接地FETのソース、グ
ランド間にインダクタを挿入する回路は低雑音増幅器に
おいても用いられるが、雑音指数を最小にする入力側の
負荷条件と利得を最大とする入力側の負荷条件を一致ま
たは近づけるために用いられており、この発明とは効果
が異なる。また、この発明と比較して、挿入するインダ
クタの値もゲート幅300μmに対し、本願発明であれ
ば3.4nH以上とすべきところを0.2〜0.4nH
と非常に小さい。
【0041】実施例2.図6はこの発明の歪み補償回路
の構成を示す等価回路図である。図において、25は第
2の入力整合回路、26は第2の出力整合回路、27は
第2のFET、28は第2のインダクタ、29は第2の
抵抗、30は第1のDCカットのキャパシタである。5
02はこの発明の歪み補償回路である。次に動作につい
て説明する。図7は第2のインダクタ28のインダクタ
ンス値Lsをパラメータとした場合の、入力電力に対す
る利得、通過位相特性のシミュレーション結果である。
シミュレーションは、ゲート幅1.2mmのFETの大
信号モデルパラメータを抽出し、その大信号モデルをハ
ーモニックバランス法を用いて解析して行った。用いた
大信号モデルはCurtice Cubicモデルである。図7よ
り、インダクタンス値を変化させることにより、入力電
力に対して通過位相が減少する特性が得られることがわ
かる。
【0042】実施例3.図8はこの発明の歪み補償回路
の構成を示す等価回路図である。図において、31は第
3の入力整合回路、32は第3の出力整合回路、33は
第3のFET、34は第3のインダクタ、35は第3の
抵抗、36は第2のDCカットのキャパシタ、37は第
3のDCカットのキャパシタである。503はこの発明
の歪み補償回路である。次に動作について説明する。こ
の発明の歪み補償回路503は、実施例2の歪み補償回
路502と比較してゲート、グランド間に第3のDCカ
ットのキャパシタ37を挿入した点が異なる。従って、
歪み補償回路502と同様に入力電力に対して通過位相
が減少する特性が得られる。また、第3のDCカットの
キャパシタ37により、第3のFET33の3端子にバ
イアスを容易に印加することができるようになる。
【0043】実施例4.図9はこの発明の歪み補償回路
の構成を示す等価回路図である。図において、38は第
4の入力整合回路、39は第4の出力整合回路、40は
第4のFET、41は第4のインダクタ、42は第5の
FET、504はこの発明の歪み補償回路である。
【0044】次に動作について説明する。この発明の歪
み補償回路504は、実施例2の歪み補償回路501と
比較してゲート、グランド間の抵抗24の代りに第5の
FET42を挿入した点が異なる。従って、歪み補償回
路501と同様に入力電力に対して利得が増大し通過位
相が減少する特性が得られる。さらに、第5のFET4
2のゲート電圧を変化することにより等価的に抵抗値を
変化することができ、入力電力に対する利得、通過位相
特性を調整することができる。
【0045】実施例5.図10はこの発明の歪み補償回
路の構成を示す等価回路図である。図において、43は
第6のFET、44は第4のDCカットのキャパシタ、
45は第5のインダクタ、46は第7のFET、505
はこの発明の歪み補償回路である。501、502、5
03、504のいづれかの歪み補償回路の出力側に上記
43〜46で示した素子を挿入している。なお、上記5
01、502、503、504の歪み補償回路におい
て、入力整合回路、出力整合回路は必須構成要件ではな
い。
【0046】次に動作について説明する。この発明の歪
み補償回路505は、第6のFET43のゲート電圧を
変化することにより等価的に抵抗値を変化することがで
き、501、502、503、504の歪み補償回路の
出力側の負荷条件の実数部を変化することができる。次
に第5のインダクタ45と並列接続されている第7のF
ET46のゲート電圧を変化させると等価的にキャパシ
タンスを変化させることになり、並列回路全体で、50
1、502、503、504の歪み補償回路の出力側の
負荷条件の虚数部を変化することができる。従って、実
施例1で述べたように、出力側の負荷条件を変化するこ
とにより、入力電力に対する利得、通過位相特性を、2
つのFET43、45のゲート電圧を変化することによ
って調整することができる。
【0047】実施例6.図11はこの発明の歪み補償回
路の構成を示す等価回路図である。図において、400
は第4の抵抗、600はこの発明の歪み補償回路であ
る。501、502、503、504、505のいづれ
かの歪み補償回路の入力側に抵抗400を設けている。
なお、上記501、502、503、504、505の
歪み補償回路において、入力整合回路、出力整合回路は
必須構成要件ではない。
【0048】次に動作について説明する。図12は、第
4の抵抗400の抵抗値Rseをパラメータとした場合
の周波数に対する安定係数Kのシミュレーション結果で
ある。シミュレーションはゲート幅1.2mmのFET
の大信号モデルパラメータを抽出し、その大信号モデル
を用いて解析を行った。用いた大信号モデルは、Curtic
e Cubicモデルである。図12より、入力側に直列に1
00Ωの抵抗を挿入することで、安定係数KがK>1と
なり、回路の安定性を改善できることがわかる。
【0049】第4の抵抗400の抵抗値Rseをパラメ
ータとした場合の入力電力に対する利得、通過位相特性
のシミュレーション結果を図13に示す。図13より、
第4の抵抗Rseを変化させても入力電力に対し、利得
が増加し、位相が遅れる特性を得ることができる。ま
た、抵抗値を変化させることにより、回路の安定性を改
善しつつ、入力電力に対して、利得特性を調整すること
ができることがわかる。
【0050】実施例7.図14はこの発明の歪み補償回
路の構成を示す等価回路図である。図において、47は
第1のアイソレータ、48は第2のアイソレータ、50
6はこの発明の歪み補償回路である。501、502、
503、504、505のいづれかの歪み補償回路の入
力側、出力側にアイソレータ47、48をそれぞれ設け
ている。次に動作について説明する。この発明の歪み補
償回路506は、501、502、503、504、5
05、600のいづれかの歪み補償回路の入力側、出力
側にアイソレータ47、48をそれぞれ設けているた
め、入力側、出力側の反射特性を改善することができ
る。
【0051】実施例8.図15はこの発明の歪み補償回
路の構成を示す等価回路図である。図において、49は
第7の90゜ハイブリッド、50は第8の90゜ハイブ
リッド、507はこの発明の歪み補償回路である。50
1、502、503、504、505、600のいづれ
かの歪み補償回路を2つの90゜ハイブリッド49、5
0を用いてバランス型に接続している。
【0052】次に動作について説明する。この発明の歪
み補償回路507は、501、502、503、50
4、505、600のいづれかの歪み補償回路を2つの
90゜ハイブリッド49、50を用いてバランス型に接
続しているため、入力側、出力側の反射特性を改善する
ことができる。また、90゜ハイブリッドを用いている
ためモノリシック化も可能となる。
【0053】実施例9.図16はこの発明の歪み補償回
路の構成を示す等価回路図である。508はこの発明の
歪み補償回路である。次に動作について説明する。この
回路は、実施例1〜8の歪み補償回路501〜507、
600を複数個組合わせたものであるため、入力電力に
対する、利得、通過位相の特性をより大きくすることが
できる。なお、図16では、歪み補償回路501と歪み
補償回路507を組合わせた場合を示す。
【0054】実施例10.図17はこの発明の歪み補償
回路の構成を示す等価回路図である。509はこの発明
の歪み補償回路である。この回路は、実施例1の歪み補
償回路501を複数個組合わせたものである。次に動作
について説明する。歪み補償回路501では、図2に示
したように入力電力に対して、利得が増大し、通過位相
が減少する特性の得られる入力電力のダイナミックレン
ジが小さいため、ここでは、各回路に用いるFETのゲ
ート幅を異ならせることによって、各回路での入力電力
に対して、利得が増大し通過位相が減少する特性の得ら
れる入力電力の範囲をずらすことにより、入力電力に対
して、利得が増大し通過位相が減少する特性が得られる
入力電力のダイナミックレンジを大きくすることができ
る。
【0055】実施例11.図18はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。51は第1の
前段増幅器、52は第1の後段増幅器、510はこの発
明の低歪半導体増幅器である。前段増幅器51の回路に
実施例1〜10の歪み補償回路501〜509、600
を用いることを特徴とする。
【0056】次に動作について説明する。一般に、後段
増幅器52は入力電力に対して、利得が減少し、通過位
相が増加する特性をもつ。前段増幅器51に用いられる
歪み補償回路501〜509、600は、入力電力に対
して、利得が増大する特性、通過位相が減少する特性を
もつ。したがって、前段増幅器51に用いられる歪み補
償回路501〜509、600のFETのゲート幅を調
整し、利得、通過位相特性が後段増幅器52の特性と逆
特性となるように、出力レベルを後段増幅器52に合せ
ることにより、増幅器全体としての利得、通過位相の変
動を少なくすることができる。これにより、増幅器全体
の歪特性を改善することができる。また、前段増幅器5
1に用いる回路の消費電力は、後段増幅器52の消費電
力と比較して極めて小さいため高効率となる。
【0057】実施例12.図19はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。53は第2の
前段増幅器、54は第1の段間増幅器、55は第2の後
段増幅器、511はこの発明の低歪半導体増幅器であ
る。段間増幅器54の回路に実施例1〜10の歪み補償
回路501〜509、600を用いることを特徴とす
る。
【0058】次に動作について説明する。一般に、第2
の後段増幅器55は入力電力に対して、利得が減少し、
通過位相が増加する特性をもつ。第1の段間増幅器54
に用いられる歪み補償回路501〜509、600は、
入力電力に対して、利得が増大する特性、通過位相が減
少する特性をもつ。一般的に前段増幅器の効率は多段増
幅器全体効率にはほとんど影響を与えないため、第2の
前段増幅器53は十分にバックオフをとったレベルで使
用されており線形である。したがって、第1の段間増幅
器54に用いられる歪み補償回路501〜509、60
0のFETのゲート幅を調整し、利得、通過位相特性が
後段増幅器55の特性と逆特性となるように、出力レベ
ルを第2の後段増幅器55に合せることにより、増幅器
全体としての利得、通過位相の変動を少なくすることが
できる。これにより、増幅器全体の歪特性を改善するこ
とができる。また、第1の段間増幅器54に用いる回路
の消費電力は、第2の後段増幅器55の消費電力と比較
して極めて小さいため高効率となる。増幅器全体での利
得が非常に大きい場合には入力電力が非常に小さくな
り、実施例11の低歪半導体増幅器510では、歪み補
償回路501〜509、600に用いるFETのゲート
幅が小さくなり実現が困難になる。それに対して、この
発明の低歪半導体増幅器511は、第2の前段増幅器5
3により利得を得ることができるため非常に高い利得を
もつことができる。
【0059】実施例13.図20はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。56は第5の
可変アッテネータ、57は第3の前段増幅器、58は第
6の可変アッテネータ、59は第3の後段増幅器、51
2はこの発明の低歪半導体増幅器である。第3の前段増
幅器57の回路に実施例1〜10の歪み補償回路501
〜509、600を用い、第3の前段増幅器57の前ま
たは後または前後にレベル調整用の可変アッテネータを
挿入している。
【0060】次に、動作について説明する。この発明の
低歪半導体増幅器512は、低歪半導体増幅器510と
比較して、第3の前段増幅器57の前または後ろまたは
前後にレベル調整用のアッテネータ56、58を挿入し
ている点が異なる。第3の前段増幅器57の前の可変ア
ッテネータ56の動作について述べる。前段増幅器の前
に可変アッテネータ56を挿入することにより、この低
歪半導体増幅器512を他のマイクロ波機器の後段に接
続する場合に容易にレベル調整を行うことができる。第
3の前段増幅器57の後ろの可変アッテネータ58の動
作について述べる。実施例11の低歪半導体増幅器51
0では、前段増幅器のFETのゲート幅の調整により、
後段増幅器とのレベル調整を行っていたが、ここでは、
前段増幅器57の後ろの可変アッテネータにより行うこ
とができる。前段増幅器57の前後に可変アッテネータ
56、58を挿入した場合には、その両方の特性を得る
ことができる。
【0061】実施例14.図21はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。60は第4の
前段増幅器、61は第7の可変アッテネータ、62は第
2の段間増幅器、63は第8の可変アッテネータ、64
は第4の後段増幅器、513はこの発明の低歪半導体増
幅器である。第2の段間増幅器62の回路に実施例1〜
10の歪み補償回路501〜509、600を用い、第
2の段間増幅器62の前または後ろ、または前後にレベ
ル調整用の可変アッテネータ61、63を挿入してい
る。
【0062】次に、動作について説明する。この発明の
低歪半導体増幅器513は、低歪半導体増幅器511と
比較して、第2の段間増幅器62の前または後ろ、また
は前後にレベル調整用のアッテネータ61、63を挿入
している点が異なる。第2の段間増幅器62の前の第7
の可変アッテネータ61の動作について述べる。第2の
段間増幅器62の前に可変アッテネータ61を挿入する
ことにより、第4の前段増幅器60との間のレベル調整
を容易に行うことができる。第2の段間増幅器62の後
ろの第8の可変アッテネータ63の動作について述べ
る。実施例11の低歪半導体増幅器510では、第2の
段間増幅器62のFETのゲート幅の調整により、第4
の後段増幅器64とのレベル調整を行っていたが、ここ
では、第2の前段増幅器62の後ろの可変アッテネータ
63により行うことができる。第2の段間増幅器62の
前後に可変アッテネータ61、63を挿入した場合に
は、その両方の特性を得ることができる。
【0063】実施例15.図22はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。65は第9の
可変アッテネータ、66は第5の前段増幅器、67は第
10の可変アッテネータ、68は第5の後段増幅器、6
9は第1の可変アッテネータ制御回路、70は第1の検
波器、71は第1のカップラー、514はこの発明の低
歪半導体増幅器である。
【0064】次に、動作について説明する。実施例13
の低歪半導体増幅器512においては、温度変化による
出力変動に対応することができない。そこで、実施例1
3の低歪半導体増幅器512の出力側に第1のカップラ
ー71を挿入し、第1の検波器70により出力レベルを
検出する。そして、検出した出力レベルに応じて、第1
の可変アッテネータ制御回路69において、出力レベル
が一定となるように、可変アッテネータ65、67を制
御し出力を一定に保つことができる。また、可変アッテ
ネータの制御方法を変えると次の様なこともできる。こ
の低歪半導体増幅器が使用される送信機において、出力
レベルの切り換えを行う必要がある場合に、出力レベル
にあわせて可変アッテネータ65、67を制御すること
により、前段増幅器66によって歪補償をおこなうダイ
ナミックレンジを求められる出力レベルに合せた範囲に
移動し、どの出力レベルに切り換えた場合にも歪補償を
行うことが可能となる。
【0065】実施例16.図23はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。72は第6の
前段増幅器、73は第11の可変アッテネータ、74は
第3の段間増幅器、75は第12の可変アッテネータ、
76は第6の後段増幅器、77は第2の可変アッテネー
タ制御回路、78は第2の検波器、79は第2のカップ
ラー、515はこの発明の低歪半導体増幅器である。
【0066】次に、動作について説明する。実施例14
の低歪半導体増幅器513においては、温度変化による
出力変動に対応することができない。そこで、実施例1
4の低歪半導体増幅器513の出力側にカップラー79
を挿入し、検波器78により出力レベルを検出する。そ
して、検出した出力レベルに応じて、可変アッテネータ
制御回路76において、出力レベルが一定となるよう
に、可変アッテネータ73、75を制御し出力を一定に
保つことができる。また、可変アッテネータの制御方法
を変えると次の様なこともできる。この低歪半導体増幅
器が使用される送信機において、出力レベルの切り換え
を行う必要がある場合に、出力レベルにあわせて可変ア
ッテネータ73、75を制御することにより、第3の段
間増幅器74によって歪補償をおこなうダイナミックレ
ンジを求められる出力レベルに合せた範囲に移動し、ど
の出力レベルに切り換えた場合にも歪補償を行うことが
可能となる。
【0067】実施例17.図24はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。図において、
94は第2のレベル調整用増幅器、95は第2のレベル
調整用可変アッテネータ、96は歪補償する第1の多段
増幅器である。また、81は第2の歪発生用増幅器、8
3は第2の線形増幅器、80は第9の90゜ハイブリッ
ド、85は第10の90゜ハイブリッド、86は第11
の90゜ハイブリッド、87は第12の90゜ハイブリ
ッド、88は第13の90゜ハイブリッド、93は第1
4の90゜ハイブリッド、89は第3の移相器、90は
第4の移相器、82は第13の可変アッテネータ、84
は第14の可変アッテネータ、91は第15の可変アッ
テネータ、92は第16の可変アッテネータである。歪
補償する第1の多段増幅器96として、実施例11〜1
6の低歪半導体増幅器510〜515を用いることを特
徴としている。
【0068】次に、動作について説明する。この発明の
低歪半導体増幅器はプリディストーション型低歪半導体
増幅器において、歪補償を行う多段増幅器として実施例
11〜16の低歪半導体増幅器を用いている。従って、
プリディストーション型低歪半導体増幅器における歪補
償を行う多段増幅器96に、より歪の少ない実施例11
〜16の低歪半導体増幅器を用いるため、全体として、
より低歪みな半導体増幅器が得られる。
【0069】実施例18.図25はこの発明の低歪半導
体増幅器の構成を示す等価回路図である。図において、
97は歪補償する第2の多段増幅器、98は第3の線形
増幅器、99は第17の可変アッテネータ、100は第
5の移相器、101は歪増幅器、102は第18の可変
アッテネータ、103は第6の移相器、104は第3の
カップラー、105は第4のカップラー、106は第5
のカップラー、107は第6のカップラーである。歪補
償する多段増幅器97として、実施例11〜16の低歪
半導体増幅器510〜515を用いることを特徴として
いる。
【0070】次に、動作について説明する。この発明の
低歪半導体増幅はフィードフォワード型低歪半導体増幅
器において、歪補償を行う多段増幅器として実施例11
〜16の低歪半導体増幅器を用いている。従って、フィ
ードフォワード型低歪半導体増幅器における歪補償を行
う多段増幅器97に、より歪の少ない実施例11〜16
の低歪半導体増幅器を用いるため、全体として、より低
歪みな半導体増幅器が得られる。
【0071】実施例19.図26はこの発明のFET素
子のパターン図である。図において、108はゲート電
極、109はドレイン電極、110はソース電極であ
る。
【0072】次に、動作について述べる。FET素子の
レイアウトパターンにおいては、一般的に、ソースイン
ダクタ、ソース抵抗を減らす工夫やFETの基板厚を薄
くし熱抵抗を下げる工夫を行っている。この発明のFE
T素子は、実施例1、4の歪み補償回路501、504
等に用いることを考えているため、逆に、ソースのイン
ダクタを増やし、発振を抑えるためにソースの浮遊容量
を減らす工夫をする必要がある。また、高い利得を必ず
しも得る必要はないのでソース電極110に抵抗成分が
入っても構わなく、高出力を得る必要はないので基板厚
を薄くする必要もない。そこで、この発明のFET素子
においては、図26に示すようにソース電極110にメ
アンダ状のパターンを採用し、インダクタ成分を得てい
る。また、高い利得を必ずしも得る必要はないのでソー
ス電極110に抵抗成分が入っても構わないので、メア
ンダ状のパターンの線幅を細くし、基板厚を厚くし、イ
ンダクタ成分を大きくすることができる。同時に、メア
ンダ状のパターンの線幅を細くしソース電極110のパ
ターン面積を小さくし、基板厚を厚くすることにより、
ソース電極110とグランド間に生じる浮遊容量を低減
することができ発振を防止することができる。
【0073】
【発明の効果】請求項1の歪み補償回路によれば、入力
電力に対し利得が増加し通過位相が減少する特性を得る
ことができる。
【0074】請求項2の歪み補償回路によれば、入力電
力に対し通過位相が減少する特性を得ることができる。
【0075】請求項3の歪み補償回路よれば、入力電力
に対し通過位相が減少する特性を得ることができる。ま
た、ゲート、グランド間にDCカットのキャパシタを挿
入することにより、ゲート接地FETへのバイアス印加
を容易にする。
【0076】請求項4の歪み補償回路によれば、入力電
力に対し利得が増加し通過位相が減少する特性を得るこ
とができる。また、ゲート、ソース間のFETのゲート
電圧を制御することにより等価的に抵抗値を変化させ、
入力電力に対する利得特性、通過位相特性を調整可能と
する。
【0077】請求項5の歪み補償回路によれば、ゲー
ト、ソース間のFETのゲート電圧を制御することによ
り等価的に抵抗値を変化させ、また、 FETのゲート
電圧を制御することにより等価的に容量値を変化させ、
入力電力に対する利得特性、通過位相特性を調整でき
る。
【0078】請求項6の歪み補償回路によれば、抵抗を
直列に接続することで、安定係数KがK>1となり、回
路の安定性を改善することができる。
【0079】請求項7の歪み補償回路によれば、入力
側、出力側の反射特性を改善することができる。
【0080】請求項8の歪み補償回路によれば、入力
側、出力側の反射特性を改善するともに、モノリシック
化を可能とする。
【0081】請求項9の歪み補償回路によれば、入力電
力に対して、利得を大幅に増大させる特性、通過位相を
大幅に減少させる特性を得ることができる。
【0082】請求項10の歪み補償回路によれば、歪補
償を行えるダイナミックレンジを広くすることができ
る。
【0083】請求項11の低歪半導体増幅器によれば、
多段増幅器全体としての利得、通過位相を一定とするこ
とができ、低歪にできる。また、従来の歪み補償回路の
ような大規模な歪み補償回路を用いないので、小型化、
低コスト化できるとともに、歪み補償回路部分での消費
電力を少なくすることができ、高効率にできる。
【0084】請求項12の低歪半導体増幅器によれば、
多段増幅器全体としての利得、通過位相を一定とするこ
とができ、低歪にできる。また、従来の歪み補償回路の
ような大規模な歪み補償回路を用いないので、小型化、
低コスト化できるとともに、歪み補償回路部分での消費
電力を少なくすることができ、高効率にできる。
【0085】請求項13の低歪半導体増幅器によれば、
前段増幅器の入力レベル、前段増幅器と後段増幅器のレ
ベルの調整を容易にすることができる。
【0086】請求項14の低歪半導体増幅器よれば、前
段増幅器と段間増幅器および段間増幅器と後段増幅器の
レベル調整を容易にすることができる。
【0087】請求項15の低歪半導体増幅器によれば、
温度変動等による出力レベル変動を抑えることができ
る。また、使用する出力レベルが複数ある場合には、出
力レベルに合せて、歪補償をするレベルを変化すること
ができる。
【0088】請求項16の低歪半導体増幅器によれば、
プリディストーション型低歪半導体増幅器において、よ
り大きな歪補償を行うことができる。
【0089】請求項17の低歪半導体増幅器によれば、
フィードフォワード型低歪半導体増幅器において、より
大きな歪補償を行うことができる。
【0090】請求項18のFET素子によれば、FET
の基板厚を厚くし、ソース電極パターンの線幅を細くし
てソース電極パターン面積を小さくすると共に、大きな
インダクタ成分を得るので、ソース電極とグランド間に
生じる浮遊容量を抑えられるソース電極パターンを用い
ることにより、ソース電極とグランド間に生じる浮遊容
量を低減でき、発振を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1による歪み補償回路の等
価回路図である。
【図2】 この発明の実施例1による歪み補償回路のイ
ンダクタ値Lsをパラメータとした入力電力に対する利
得通過位相特性のシミュレーション結果を示す図であ
る。
【図3】 この発明の実施例1による歪み補償回路の抵
抗値をパラメータとした入力電力に対する利得通過位相
特性のシミュレーション結果を示す図である。
【図4】 この発明の実施例1による歪み補償回路の出
力側の負荷条件をパラメータとした入力電力に対する利
得の最大増加量のシミュレーション結果を示す図であ
る。
【図5】 この発明の実施例1による歪み補償回路の出
力側の負荷条件をパラメータとした利得が最大となる入
力電力での通過位相のシミュレーション結果を示す図で
ある。
【図6】 この発明の実施例2による歪み補償回路の等
価回路図である。
【図7】 この発明の実施例2による歪み補償回路のイ
ンダクタ値Lsをパラメータとした入力電力に対する利
得通過位相特性のシミュレーション結果を示す図であ
る。
【図8】 この発明の実施例3による歪み補償回路の等
価回路図である。
【図9】 この発明の実施例4による歪み補償回路の等
価回路図である。
【図10】 この発明の実施例5による歪み補償回路の
等価回路図である。
【図11】 この発明の実施例6による歪み補償回路の
等価回路図である。
【図12】 この発明の実施例6による歪み補償回路の
抵抗値Rseをパラメータとした周波数に対する安定係
数Kのシミュレーション結果を示す図である。
【図13】 この発明の実施例6による歪み補償回路の
抵抗値Rseをパラメータとした入力電力に対する利得
通過位相特性のシミュレーション結果を示す図である。
【図14】 この発明の実施例7による歪み補償回路の
等価回路図である。
【図15】 この発明の実施例8による歪み補償回路の
等価回路図である。
【図16】 この発明の実施例9による歪み補償回路の
等価回路図である。
【図17】 この発明の実施例10による歪み補償回路
の等価回路図である。
【図18】 この発明の実施例11による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図19】 この発明の実施例12による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図20】 この発明の実施例13による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図21】 この発明の実施例14による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図22】 この発明の実施例15による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図23】 この発明の実施例16による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図24】 この発明の実施例17による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図25】 この発明の実施例18による歪み補償回路
による低歪半導体増幅器の等価回路図である。
【図26】 この発明の実施例19によるFET素子の
パターン図である。
【図27】 従来の低歪増幅器の等価回路図である。
【図28】 高出力増幅器の入力電力に対する、出力電
力、通過位相特性を示す図である。
【図29】 リニアライザの入力電力に対する、出力電
力、通過位相特性を示す図である。
【図30】 従来の超高周波増幅器の等価回路図であ
る。
【図31】 従来のアンテナ・ブースタ増幅回路の等価
回路図である。
【図32】 従来の増幅回路の構成図である。
【符号の説明】
1 入力端子、2 出力端子、3 第1の歪発生用増幅
器、4 第1の線形増幅器、5 第1の90゜ハイブリ
ッド、6 第2の90゜ハイブリッド、7 第3の90
゜ハイブリッド、8 第4の90゜ハイブリッド、9
第5の90゜ハイブリッド、10 第6の90゜ハイブ
リッド、11 第1の移相器、12 第2の移相器、1
3 第1の可変アッテネータ、14 第2の可変アッテ
ネータ、15 第3の可変アッテネータ、16 第4の
可変アッテネータ、17 第1のレベル調整用増幅器、
18 第1のレベル調整用アッテネータ、19 高出力
増幅器、20 第1の入力整合回路、21 第1のFE
T、22 第1の出力整合回路、23 第1のインダク
タ、24 第1の抵抗、25 第2の入力整合回路、2
6 第2の出力整合回路、27 第2のFET、28
第2のインダクタ、29 第2の抵抗、30 第1のキ
ャパシタ、31 第3の入力整合回路、32 第3の出
力整合回路、33 第3のFET、34 第3のインダ
クタ、35 第3の抵抗、36 第2のキャパシタ、3
7 第3のキャパシタ、38 第4の入力整合回路、3
9 第4の出力整合回路、40 第4のFET、41
第4のインダクタ、42 第5のFET、43 第6の
FET、44 第4のキャパシタ、45 第5のインダ
クタ、46 第7のFET、47 第1のアイソレー
タ、48 第2のアイソレータ、49 第7の90゜ハ
イブリッド、50 第8の90゜ハイブリッド、51
第1の前段増幅器、52 第1の後段増幅器、53 第
2の前段増幅器、54 第1の段間増幅器、55 第2
の後段増幅器、56 第5の可変アッテネータ、57
第3の前段増幅器、58 第6の可変アッテネータ、5
9 第3の後段増幅器、60 第4の前段増幅器、61
第7の可変アッテネータ、62 第2の段間増幅器、
63 第8の可変アッテネータ、64 第4の後段増幅
器、65 第9の可変アッテネータ、66 第5の前段
増幅器、67 第10の可変アッテネータ、68 第5
の後段増幅器、69 第1の可変アッテネータ制御回
路、70 第1の検波器、71 第1のカップラー、7
2 第6の前段増幅器、73 第11の可変アッテネー
タ、74 第3の段間増幅器、75 第12の可変アッ
テネータ、76 第6の後段増幅器、77 第2の可変
アッテネータ制御回路、78 第2の検波器、79 第
2のカップラー、80 第9の90゜ハイブリッド、8
1 第2の歪発生用増幅器、82 第13の可変アッテ
ネータ、83 第2の線形増幅器、84 第14の可変
アッテネータ、85 第10の90゜ハイブリッド、8
6 第11の90゜ハイブリッド、87 第12の90
゜ハイブリッド、88 第13の90゜ハイブリッド、
89 第3の移相器、90 第4の移相器、91 第1
5の可変アッテネータ、92 第16の可変アッテネー
タ、93 第14の90゜ハイブリッド、94 第2の
レベル調整用増幅器、95 第2のレベル調整用アッテ
ネータ、96 第1の多段増幅器、97 第2の多段増
幅器、98 第3の線形増幅器、99 第17の可変ア
ッテネータ、100 第5の移相器、101 歪増幅
器、102 第18の可変アッテネータ、103 第6
の移相器、104 第3のカップラー、105 第4の
カップラー、106 第5のカップラー、107 第6
のカップラー、108 ゲート電極、109 ドレイン
電極、110 ソース電極、111 半導体チップ、1
12 ソース接地ボンディングワイヤ、113 FE
T、114 負荷インピーダンスZL、115 インピ
ーダンスZSの受動素子、116 リアクタンス成分Lo
のコイル、117 キャパシタンスCoのコンデンサ、
118 エミッタ接地トランジスタ、119 ベース端
子、120 入力整合回路、121 入力端子、122
バイアス回路、123 高調波阻止コイル、124
バイアス供給端子、125 コレクタ端子、126 出
力整合回路、127 出力端子、128 高調波阻止コ
イル、129 電源供給端子、130 エミッタ端子、
131 接地面、132 インダクタ、400 第4の
抵抗、500 第1のリニアライザ、501 実施例1
の歪み補償回路、502 実施例2の歪み補償回路、5
03 実施例3の歪み補償回路、504 実施例4の歪
み補償回路、505 実施例5の歪み補償回路、506
実施例7の歪み補償回路、507 実施例8の歪み補
償回路、508 実施例9の歪み補償回路、509 実
施例10の歪み補償回路、510 実施例11の低歪半
導体増幅器、511 実施例12の低歪半導体増幅器、
512 実施例13の低歪半導体増幅器、513 実施
例14の低歪半導体増幅器、514 実施例15の低歪
半導体増幅器、515 実施例16の低歪半導体増幅
器、600 実施例6の歪み補償回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 康之 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 三井 康郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソース接地のFET素子を用いて構成さ
    れる歪み補償回路において、ゲート幅をWg[mm]と
    したときに、ソース、グランド間に1/Wg[nH]よ
    りも大きな値をもつインダクタ、または、1/Wg[n
    H]よりも大きな値をもつインダクタおよび抵抗を直列
    接続した回路を備えたことを特徴とする歪み補償回路。
  2. 【請求項2】 ゲート接地のFET素子を用いて構成さ
    れる歪み補償回路において、ソース、ドレイン間にイン
    ダクタとDCカットのキャパシタ、または、インダクタ
    と抵抗とDCカットのキャパシタを直列接続した回路を
    備えたことを特徴とする歪み補償回路。
  3. 【請求項3】 ゲート接地のFET素子を用いて構成さ
    れる歪み補償回路において、ソース、ドレイン間にイン
    ダクタとDCカットのキャパシタ、または、インダクタ
    と抵抗とDCカットのキャパシタを直列接続した回路を
    備え、ゲート、グランド間にDCカットのキャパシタを
    備えたことを特徴とする歪み補償回路。
  4. 【請求項4】 ソース接地のFET素子を用いて構成さ
    れる歪み補償回路において、ゲート幅をWg[mm]と
    したときに、ソース、グランド間に1/Wg[nH]よ
    りも大きな値をもつインダクタとゲートバイアスで使用
    されるFET素子とを直列接続した回路を備えたことを
    特徴とする歪み補償回路。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の歪み補償回路の出力側に
    ソース接地のFET素子を並列接続し、DCカットのキ
    ャパシタを直列接続し、ドレイン、ソース間にインダク
    タが接続され、ゲードバイアスで使用されるFET素子
    を直列接続したことを特徴とする歪み補償回路。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の歪み補償回路の入力側に
    抵抗を直列接続したことを特徴とする歪み補償回路。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の歪み補償回路の入力側お
    よび出力側にアイソレータを設けたことを特徴をする歪
    み補償回路。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6の歪み補償回路の2つを、
    上記歪み補償回路の入力側、出力側に90度ハイブリッ
    ドを用いてバランス型に並列接続したことを特徴とする
    歪み補償回路。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の歪み補償回路を複数個、
    縦続接続したことを特徴とする歪み補償回路。
  10. 【請求項10】 請求項1の歪み補償回路のFET素子
    のゲート幅をそれぞれ異ならしめて形成した複数個の歪
    み補償回路を縦続接続したことを特徴とする歪み補償回
    路。
  11. 【請求項11】 前段増幅器を請求項1〜10の歪み補
    償回路とし、後段増幅器をFETまたはBJT増幅器の
    1段あるいは多段構成とし、これらを縦続接続して多段
    増幅器を構成し、前段増幅器のバイアス条件および入力
    側、出力側の整合条件を後段増幅器の振幅歪、および、
    位相歪を補償するように設定したことを特徴とする低歪
    半導体増幅器。
  12. 【請求項12】 多段増幅器において、前段増幅器をF
    ETまたはBJT増幅器の1段あるいは多段構成とし、
    段間増幅器を請求項1〜10の歪み補償回路とし、後段
    増幅器をFETまたはBJT増幅器の1段あるいは多段
    構成とし、これらを縦続接続して多段増幅器を構成し、
    段間増幅器のバイアス条件および入力側、出力側の整合
    条件を後段増幅器の振幅歪、および、位相歪を補償する
    ように設定したことを特徴とする低歪半導体増幅器。
  13. 【請求項13】 請求項11の低歪半導体増幅器におい
    て、前段増幅器の入力側、または、前段増幅器と後段増
    幅器の間、または前段増幅器の入力側および前段増幅器
    と後段増幅器の間にレベル調整用のアッテネータを挿入
    したことを特徴とする低歪半導体増幅器。
  14. 【請求項14】 請求項12の低歪半導体増幅器におい
    て、前段増幅器と段間増幅器の間、または、前段増幅器
    と後段増幅器の間、または前段増幅器と段間増幅器の間
    および前段増幅器と後段増幅器の間にレベル調整用のア
    ッテネータを挿入したことを特徴とする低歪半導体増幅
    器。
  15. 【請求項15】 請求項13〜14の低歪半導体増幅器
    において、出力側に出力レベルの検波器を設け、その検
    波した出力レベルに基づいてレベル調整用のアッテネー
    タを調整する制御手段を設けたことを特徴とする低歪半
    導体増幅器。
  16. 【請求項16】 プリディストーション型低歪半導体増
    幅器において、歪補償を行う後段増幅器に、請求項11
    〜15の低歪半導体増幅器を用いることを特徴とする低
    歪半導体増幅器。
  17. 【請求項17】 フィードフォワード型低歪半導体増幅
    器において、歪補償を行う後段増幅器に、請求項11〜
    15の低歪半導体増幅器を用いることを特徴とする低歪
    半導体増幅器。
  18. 【請求項18】 ソース電極にインダクタ成分を持たせ
    たFET素子において、基板厚を厚くし、ソース電極パ
    ターンの線幅を細くしてソース電極パターン面積を小さ
    くしたことを特徴とするFET素子。
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JP2000357926A (ja) * 1999-06-15 2000-12-26 Nec Corp 前置補償型線形化器および線形化増幅器
JP2002368546A (ja) * 2001-06-06 2002-12-20 Nec Corp 前置歪み補償器とそれを使用する線形増幅器
WO2004062093A3 (en) * 2002-12-20 2004-09-16 California Inst Of Techn Common gate with resistive feed-through low noise amplifier
CN111525895A (zh) * 2020-06-17 2020-08-11 成都华光瑞芯微电子股份有限公司 一种有源偏置集成电路宽带低噪声放大器

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