JPH08250433A - 多結晶Si薄膜の堆積法 - Google Patents

多結晶Si薄膜の堆積法

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JPH08250433A
JPH08250433A JP7051055A JP5105595A JPH08250433A JP H08250433 A JPH08250433 A JP H08250433A JP 7051055 A JP7051055 A JP 7051055A JP 5105595 A JP5105595 A JP 5105595A JP H08250433 A JPH08250433 A JP H08250433A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温プロセスを維持した状態で、薄膜の構造
緩和も十分に行うことができ、かつ、原料ガスにドーピ
ングガスを混入させ、n型又はp型の多結晶Si薄膜を
作製する場合にも、結晶性の良好な多結晶Si薄膜がえ
られる堆積法を提供する。 【構成】 本発明の多結晶Si薄膜の堆積法は、水素ガ
スが常に流され、高周波電力が常に印加された状態の成
膜室内に、原料ガスとドーピングガスを時間的に分割し
て導入し、前記原料ガスと前記水素ガスが流れている
時間(t1)、前記ドーピングガスと前記水素ガスが
流れている時間(t2)、及び、前記水素ガスのみが
流れている時間(t3)からなる3種類の時間を繰り返
しながら成膜することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多結晶Si薄膜の堆積
法に係る。より詳細には、結晶性が良く、かつ、導電率
の高い多結晶Si薄膜の堆積法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多結晶Si薄膜の堆積法として
は、次に示す(a)と(b)の2つの方法があった。 (a)SiH4等のガスを高温に加熱した基板上に吹き
出し、ガスを分解することによって、堆積種を生成し、
基板上に多結晶Si薄膜を形成する熱CVD法。 (b)CVD法又はグロー放電プラズマ分解法により、
基板上に作製した非晶質Si膜又は粒径の小さな多結晶
Si膜を、レーザー光照射、赤外光照射、又は、電気炉
等で加熱溶融した後、冷却処理することにより、基板上
に多結晶Si薄膜を形成するCVD法とアニール処理を
組み合わせた方法。
【0003】しかしながら、上記(a)と(b)の方法
は、多結晶Si薄膜を作製する際、1000℃程度ある
いはそれ以上の熱処理が必要である。そのため、多結晶
Si薄膜を作製する基板としては、通常のガラス又は金
属等が使えないという問題があった。したがって、50
0℃以下の低温プロセスで多結晶Si薄膜を堆積する方
法が望まれていた。
【0004】上記低温プロセスを実現する方法として
は、例えば、熱の代わりに放電又は光を用いて、ガスの
分解を行う方法(c)が考案されている。
【0005】その代表的なガスの分解方法としては、プ
ラズマCVD法及び光CVD法が挙げられる。プラズマ
CVD法は、膜の堆積速度が速い点で光CVD法より秀
れている。通常、これらの方法では、SiH4ガス,S
iF4ガス,Si26ガス等の原料ガスをH2ガスで大希
釈し、放電電力を大きくした場合、300〜450℃の
低温にある基板上においても多結晶Si薄膜が作製でき
る。
【0006】しかしながら、上記(c)の方法で作製し
た多結晶Si薄膜には、多量の非晶質Si部分も含まれ
ている。そのため、光電変換特性が悪く、結晶粒径も5
0以下となる問題があった。その理由は、グロー放電プ
ラズマという非平衡反応で形成された堆積種が基板上に
降りそそぎ、膜中に取り込まれるため、形成された薄膜
の構造緩和が十分に行われないためと考えられている。
したがって、低温プロセスを維持した状態で、かつ、上
記の構造緩和も十分に行うことが可能な多結晶Si薄膜
の堆積法が望まれていた。
【0007】上記の低温プロセスと構造緩和とを同時に
実現する方法としては、例えば、成膜を行っている際
に、途中で原料ガスの供給を停止するか、又は、原料ガ
スが供給されていない別のプラズマ空間に基板を移動さ
せることにより、薄膜の堆積を周期的に停止し、成膜途
中にある薄膜の表面をH2プラズマに曝すことによっ
て、原子状水素の化学的アニーリング作用で構造緩和を
行い、薄膜の結晶性を向上させる方法(d)が提案され
ている。
【0008】しかしながら、上記(d)の方法で作製し
た多結晶Si薄膜では、原料ガスにPH3,B26,又
はBF3等のドーピングガスを混入させ、n型又はp型
の多結晶Si薄膜を作製する場合、その薄膜の結晶化率
が著しく低下し、良好なn型又はp型の多結晶Si薄膜
を得るのは困難であるという問題があった。但し、ドー
ピングガスを混入させず、原料ガスのみ用いて多結晶S
i薄膜を作製する場合には、結晶性の良好な膜が得られ
た。
【0009】したがって、原料ガスにドーピングガスを
混入させ、n型又はp型の多結晶Si薄膜を作製する場
合にも、結晶性の良好な多結晶Si薄膜の堆積法が望ま
れていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温プロセ
スを維持した状態で、薄膜の構造緩和も十分に行うこと
ができ、かつ、原料ガスにドーピングガスを混入させ、
n型又はp型の多結晶Si薄膜を作製する場合にも、結
晶性の良好な多結晶Si薄膜が得られる堆積法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の多結晶Si薄膜
の堆積法は、原料ガス、ドーピングガス、及び水素ガス
を用いたグロー放電プラズマ分解法による多結晶Si薄
膜の堆積法において、前記水素ガスが常に流され、高周
波電力が常に印加された状態の成膜室内に、前記原料ガ
スと前記ドーピングガスを時間的に分割して導入し、
前記原料ガスと前記水素ガスが流れている時間
(t1)、前記ドーピングガスと前記水素ガスが流れ
ている時間(t2)、及び、前記水素ガスのみが流れ
ている時間(t3)からなる3種類の時間を繰り返しな
がら成膜することを特徴とする。
【0012】また、本発明の多結晶Si薄膜の堆積法で
は、前記t3は、10秒以上90秒以下であることが好
ましい。
【0013】さらに、本発明の多結晶Si薄膜の堆積法
では、前記原料ガスとしては、SiF4またはSiH
4が、前記ドーピングガスとしては、PH3またはBF3
が好適に用いられる。
【0014】
【作用】
(請求項1)請求項1に係る発明では、薄膜形成中の成
膜空間内は、水素ガスが常に流され、かつ、高周波電力
が常に印加された状態にある。この状態において、原料
ガスとドーピングガスは断続的に、かつ時間的にずらし
て成膜空間内に導入した。
【0015】その結果、原料ガスと水素ガスが流れてい
る間(t1)は成膜を、ドーピングガスと水素ガスが流
れている間(t2)は不純物拡散を、かつ水素ガスのみ
流れている間(t3)は膜表面に対して水素プラズマ処
理を行うことが可能となった。
【0016】ゆえに、このガスを流す時分割処理によっ
て、低温プロセスを維持した状態で、薄膜の構造緩和も
十分に行うことができ、かつ原料ガスにドーピングガス
を混入させ、n型又はp型の多結晶Si薄膜を作製する
場合にも、結晶性の良好な多結晶Si薄膜が形成できる
堆積法が得られた。
【0017】(請求項2)請求項2に係る発明では、前
記t3が10秒以上90秒以下であるため、結晶性が良
好で、かつ導電率が高い多結晶Si薄膜が形成できる堆
積法が得られた。
【0018】(請求項3)請求項3に係る発明では、前
記原料ガスが、SiF4またはSiH4であるため、作製
コストが安く、かつ結晶性が良いという特徴を有する多
結晶Si薄膜が形成できる堆積法が得られた。
【0019】(請求項4)請求項4に係る発明では、前
記ドーピングガスが、PH3またはBF3であるため、作
製コストが安く、結晶性が良く、かつ導電性が高いとい
う特徴を有する多結晶Si薄膜が形成できる堆積法が得
られた。
【0020】
【実施態様例】
(多結晶Si薄膜の堆積法)本発明における多結晶Si
薄膜の堆積法としては、例えば、図1及び図2に示すも
のが挙げられる。図1は本堆積法のタイムチャートであ
り、図2は本堆積法で用いた成膜装置の概略図である。
【0021】以下では、図1を参照して、3種類のガス
を導入するタイミングと高周波電力を印加するタイミン
グに関して説明する。
【0022】薄膜形成中の成膜装置内は、水素ガスが常
に流され、かつ、高周波電力が常に印加された状態にあ
る。この状態において、原料ガス(例えば、SiH4
SiF4,S26あるいはこれらの複数ガスを混合した
もの)を断続的に流す。原料ガスを流している間は成膜
がなされ、原料ガスの導入が停止されている間は水素プ
ラズマ処理がなされ、膜の構造緩和が行われる。
【0023】一方、ドーピングガス(例えば、PH3
BF3)を原料ガスと共に流すと、ドーピングガスの分
解生成物あるいは該ドーピングガスの分解生成物とHラ
ジカルの反応生成物と、原料ガスの分解生成物あるいは
該原料ガスの分解生成物とHラジカルの反応生成物との
気相反応が起こるためか、ドーピングガスを流さない時
に比べ、膜の結晶性が著しく低下する。この場合、1サ
イクル当たりの水素プラズマ処理の時間を十分に長くし
ても、結晶性の向上は難しい。
【0024】そこで、本発明では図1に示すとおり、原
料ガスとドーピングガスとの導入を時間的にずらした。
その結果、気相中でのドーピングガスの分解生成物と原
料ガスの分解生成物との反応を抑えることができ、ドー
ピングガスを導入することによる、結晶性の著しい低下
を防止することができた。
【0025】以下では、図2を参照して、成膜装置の詳
細に関して説明する。1は成膜用の真空チャンバーであ
る。2はプラズマグロー放電用のカソード電極である。
2は絶縁リング3によって、真空チャンバー1とは電気
的に絶縁されている。カソード電極2はマッチングボッ
クス4を介して13.56MHzのRF電源5に接続さ
れている。6はシールド筒でカソード電極2と真空チャ
ンバー1の内壁との放電を防止するために設置されてい
る。カソード電極2とシールド筒6との間隔は1mmに
とってある。圧力が1Torr以下であれば、使用して
いるガスにおいてカソード電極2とシールド筒6との間
の放電はパッシェンの法則によって起こらない。
【0026】7はアノード電極で、カソード電極2との
間にグロー放電を起こす。アノード電極7の表面には基
板8が設置される。9はヒーターブロックでヒーター1
0が埋め込まれており、熱電対11が取り付けられてい
る。ヒーター10、熱電対11は温度コントローラー1
2に接続されており、ヒーターブロック9を所望の温度
に加熱され、その結果アノード電極7の表面に取り付け
られている基板8が所望の温度に加熱される。
【0027】13、14、15はそれぞれ原料ガス、ド
ーピングガス、水素ガスの導入管である。導入管13、
14、15はそれぞれ流量コントローラー16、17、
18及びバルブ19、20、21に接続されており、そ
れぞれガス管22、23、24によってそれぞれのガス
ボンベ及びその圧力調整器に接続されている。所望の時
間に所望の流量でそれぞれのガスがチャンバー1に導入
されるよう、高速応答の流量コントローラー16、1
7、18はそれぞれシーケンスプログラマー25に繋が
っている。
【0028】26はチャンバー1内の圧力を測定するた
めの真空圧力計で、圧力コントローラー(不図示)に信
号を送っている。圧力コントローラーは、その信号と設
定値との比較により、排気管28の途中に取付られた自
動バタフライ弁27の開閉度を制御し、チャンバー1内
の圧力が設定値になるようにコントロールしている。
【0029】排気管28は真空排気装置(不図示)に接
続されている。
【0030】(結晶性の評価)本発明における結晶性の
評価としては、例えば、X線回折法とラマン分光法を用
いた。
【0031】X線回折法では、Siの(220)面、
(111)面、及び(311)面に起因する各回折強度
を調べた。
【0032】ラマン分光法では、光源がAr+レーザか
らなる装置を用いた。X線回折法と併用してラマン分光
法を行った理由は、X線回折法の測定結果が、実際の結
晶構造と、どのように関連しているかを調べるためであ
る。ラマン分光法の測定結果、すなわち、結晶Siに起
因する520cm-1付近の鋭いピークと、アモルファス
Siに起因する480cm-1付近のブロードなピークと
の積分強度比から、結晶化している割合を推定した。
【0033】上記520cm-1付近の鋭いピークが結晶
Siに起因するものであることは、結晶Siウェハの測
定により同定した。同様に、上記480cm-1付近のブ
ロードなピークがアモルファスSiに起因するものであ
ることは、通常のSiH4ガスを用いたグロー放電プラ
ズマで作製したアモルファスSi膜の測定により同定し
た。また、上記結晶Siウェハ及びアモルファスSi膜
の構造は、電子線回折像でも確認した。
【0034】本発明の堆積法を用いて作製した試料で
は、上記ラマン分光法の測定において、結晶化している
割合が増加するにしたがい、X線回折法の測定における
Siの(220)面からの回折強度が大きくなる結果が
得られた。また、試料の膜厚が、700nm〜900n
mの範囲にある場合は、Siの(220)面からの回折
強度が300カウント/秒(以下cpsと略す)を越え
ると、上記ラマン分光法の測定において、アモルファス
Siに起因する480cm-1付近のピークは検出されな
くなった。この結果から、300cps以上のX線回折
強度が得られた試料においては、ほぼ100%結晶化し
ていると判断した。
【0035】したがって、結晶化の割合から考えて望ま
しい多結晶Si薄膜は、膜厚が700nm〜900nm
の範囲にある場合、Siの(220)面からの回折強度
が300cps以上の試料である。
【0036】(導電率の評価)本発明における導電率の
評価としては、四端子法を用いた。本発明の実施例1〜
4の各成膜条件下で、実際にSi膜中に取り込まれたP
(リン)又はB(ホウ素)の量は、二次イオン質量分析
計(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometer)を
用いた測定では同じ値、すなわち1〜2×1019cm-3
であったが、各試料の導電率は大きく異なっていた。
【0037】一方、通常のSiH4ガスを用いたグロー
放電プラズマで作製したアモルファスSi膜の導電率の
最高値は、P(リン)をドーピングしたN型の試料では
2S/cmであり、B(ホウ素)ドーピングしたP型の
試料では2×10-3S/cmであった。
【0038】したがって、本発明では、P(リン)をド
ーピングしたN型の試料では、導電率が2S/cmより
大きな多結晶Si薄膜の堆積法が得られる条件を検討し
た。また、同様に、B(ホウ素)ドーピングしたP型の
試料では、導電率が2×10 -3S/cmより大きな多結
晶Si薄膜の堆積法が得られる条件を検討した。
【0039】
【実施例】
(実施例1)本例では、図1に示したとおり原料ガスと
ドーピングガスを時間的に分割して成膜空間に導入する
効果に関して検討する。図2の成膜装置を用いて、ガラ
ス基板上に、P(リン)をドーピングした多結晶Si薄
膜を堆積した。
【0040】以下では、多結晶Si薄膜の作製方法を手
順にしたがって説明する。 (1)無Na(ナトリウム)ガラスを有機溶剤(アセト
ン及びイソプロピルアルコール)で洗浄した後、アノー
ド電極7に取り付け、真空排気装置でチャンバー1の室
内を3×10-6Torr以下の圧力まで引いた。また、
基板8の表面温度が350℃になるようにヒーターで加
熱した。 (2)H2ガスをガス導入管14より、流量制御装置1
7を介して15sccm流した。圧力コントローラー
(不図示)を用いて、チャンバー1の内圧を100mT
orrに設定した。 (3)チャンバー1の内圧が100mTorrに安定し
たところでRF電力を100W印加し、カソード電極2
とアノード電極7との間に水素ガスによるグロー放電プ
ラズマを生起した。放電が安定したところで、次の成膜
工程に移った。 (4)成膜工程は、次の〜の3つのプロセスからな
り、これらを→→→の順に360回繰り返し、
P(リン)をドーピングした多結晶Si薄膜を堆積し
た。 原料ガスとして、SiF4ガス(流量100scc
m)を、ガス導入管13からチャンバー1の室内に10
秒間導入し、多結晶Si薄膜を堆積する。 原料ガスのチャンバー1への導入を停止し、ドーピ
ングガスとして、H2ガスで2%に希釈したPH3ガス
(流量1sccm)を、ガス導入管15からチャンバー
1の室内に10秒間導入し、堆積膜にP(リン)をドー
ピングする。 ドーピングガスのチャンバー1への導入を停止し、
水素ガスのみチャンバー1の室内に30秒間導入し、水
素プラズマにより堆積膜の表面処理を行う。
【0041】水素ガスの導入量、RFの印加電力は,
,の各プロセスにおいて、特に変えなかった。 (5)上記(1)〜(4)の工程により作製した試料
は、成膜終了後、基板温度を室温まで下げ、チャンバー
1の室外へ取り出した。
【0042】(比較例1)本例では、成膜工程における
プロセスを省略して、→→の順に360回繰り
返し、P(リン)をドーピングしない多結晶Si薄膜を
堆積した点が実施例1と異なる。他の点は、実施例1と
同様とした。
【0043】(比較例2)本例では、成膜工程における
プロセスとの代わりに、以下のプロセスを行った
点が実施例1と異なる。すなわち、実施例1では、原料
ガスとドーピングガスを時間的に分割して成膜室内に導
入したが、本例では、原料ガスとドーピングガスを同時
に用いた。したがって、本例では、→→の順に3
60回繰り返し、P(リン)をドーピングした多結晶S
i薄膜を堆積した。 SiF4ガス(流量100sccm)と、H2ガスで
2%に希釈したPH3ガス(流量1sccm)とを、ガ
ス導入管13とガス導入管15から同時にチャンバー1
の室内に10秒間導入し、P(リン)をドーピングしな
がら多結晶Si薄膜を堆積する。他の点は、実施例1と
同様とした。
【0044】以下では、実施例1、比較例1、及び比較
例2で作製した各試料に対して行った2つの評価、すな
わち、X線回折法による結晶性の評価と、四端子法によ
る導電率の評価に関する結果を述べる。但し、各試料の
膜厚は、850nm〜900nmの範囲にあるものを用
いた。
【0045】(1)X線回折法による結晶性の評価結果 表1は、各試料の測定結果である。実施例1と比較例1
の試料では、(220)にきわめて大きなピーク、(1
11),(311)に小さなピークが観測された。これ
に対して、比較例2の試料では、(220)に小さなピ
ーク、すなわち、ほとんどバックグランドに隠れる程度
のピークのみが確認された。
【0046】これらの結果から、ドーパントを混入しな
い場合(比較例1)には、極めて良好な多結晶Si薄膜
が作製できることが分かった。
【0047】しかしながら、原料ガスにドーピングガス
を混入した場合(比較例2)は、結晶性が極端に落ちる
ことがわかる。
【0048】ところが、原料ガスとドーピングガスの導
入を時間的に分離し、その後水素プラズマ処理を行う工
程を繰り返すことにより成膜した場合(実施例1)は、
ドーピングしない場合(比較例1)で得られた薄膜の結
晶性が維持できることが分かった。
【0049】
【表1】
【0050】(2)四端子法による導電率の評価結果 表2は、各試料の測定結果である。表2から、比較例1
及び比較例2に比べて、結晶性の高い実施例1の試料
は、優れた導電率も有することが分かった。
【0051】
【表2】
【0052】(実施例2)本例では、1回の水素プラズ
マ処理の時間を変化させた点が実施例1と異なる。1回
の水素プラズマ処理の時間としては、0秒,5秒,10
秒,30秒,60秒,90秒,120秒の7条件を検討
した。他の点は、実施例1と同様とした。
【0053】図3に、X線回折法による結晶性の評価
と、四端子法による伝導率の評価に関する結果を示し
た。
【0054】図3から、導電率が2S/cmより大きな
多結晶Si薄膜の堆積法が得られる1回の水素プラズマ
処理の時間は、10秒以上90秒以下であることが分か
った。
【0055】(実施例3)本例では、ドーピングガスと
して、H2で2%に希釈したBF3を用い、流量を15s
ccmとした点が実施例1と異なる。他の点は、実施例
1と同様とした。
【0056】(比較例3)本例では、ドーピングガスと
して、H2で2%に希釈したBF3を用い、流量を15s
ccmとした点が比較例2と異なる。他の点は、比較例
2と同様とした。
【0057】以下では、実施例3及び比較例3で作製し
た各試料に対して行った2つの評価、すなわち、X線回
折法による結晶性の評価と、四端子法による導電率の評
価に関する結果を述べる。但し、実施例3の試料膜厚は
880nm、比較例3の試料膜厚は870nmであっ
た。
【0058】上記結晶性の評価結果から、実施例3の試
料は(220)に大きなピーク(1200cps)が観
測され良好な多結晶Si薄膜であることが確認された。
一方、比較例3の試料はピークが観察されなかった。
【0059】また、上記導電率の評価において、実施例
3の試料は導電率が1.1S/cmであった。一方、比
較例3の試料は5×10-5S/cmであった。
【0060】(実施例4)本例では、原料ガスとしてS
iH4を用い、Pをドーピングした多結晶Si薄膜を堆
積した点が実施例1と異なる。
【0061】以下では、多結晶Si薄膜の作製方法を手
順にしたがって説明する。 (1)無Na(ナトリウム)ガラスを有機溶剤(アセト
ン及びイソプロピルアルコール)で洗浄した後、アノー
ド電極7に取り付け、真空排気装置でチャンバー1の室
内を3×10-6Torr以下の圧力まで引いた。また、
基板8の表面温度が450℃になるようにヒーターで加
熱した。 (2)H2ガスをガス導入管14より、流量制御装置1
7を介して200sccm流した。圧力コントローラー
(不図示)を用いて、チャンバー1の内圧を100mT
orrに設定した。 (3)チャンバー1の内圧が100mTorrに安定し
たところでRF電力を120W印加し、カソード電極2
とアノード電極7との間に水素ガスによるグロー放電プ
ラズマを生起した。放電が安定したところで、次の成膜
工程に移った。 (4)成膜工程は、次の〜の3つのプロセスからな
り、これらを→→→の順に600回繰り返し、
P(リン)をドーピングした多結晶Si薄膜を堆積し
た。 原料ガスとして、SiH4ガス(流量20scc
m)を、ガス導入管13からチャンバー1の室内に10
秒間導入し、多結晶Si薄膜を堆積する。 ドーピングガスとして、H2ガスで2%に希釈した
PH3ガス(流量0.2sccm)を、ガス導入管15
からチャンバー1の室内に10秒間導入し、堆積膜にP
(リン)をドーピングする。 水素ガスのみチャンバー1の室内に30秒間導入
し、水素プラズマにより堆積膜の表面処理を行う。
【0062】水素ガスの導入量、RFの印加電力は,
,の各プロセスにおいて、特に変えなかった。 (5)上記(1)〜(4)の工程により作製した試料
は、成膜終了後、基板温度を室温まで下げ、チャンバー
1の室外へ取り出した。
【0063】(比較例4)本例では、成膜工程における
プロセスとの代わりに、以下のプロセスを行った
点が実施例4と異なる。すなわち、実施例4では、原料
ガスとドーピングガスを時間的に分割して成膜室内に導
入したが、本例では、原料ガスとドーピングガスを同時
に用いた。したがって、本例では、→→の順に1
50回繰り返し、P(リン)をドーピングした多結晶S
i薄膜を堆積した。 SiH4ガス(流量20sccm)と、H2ガスで2
%に希釈したPH3ガス(流量0.2sccm)とを、
ガス導入管13とガス導入管15から同時にチャンバー
1の室内に10秒間導入し、P(リン)をドーピングし
ながら多結晶Si薄膜を堆積する。他の点は、実施例4
と同様とした。
【0064】以下では、実施例4及び比較例4で作製し
た各試料に対して行った2つの評価、すなわち、X線回
折法による結晶性の評価と、四端子法による導電率の評
価に関する結果を述べる。但し、実施例4の試料膜厚は
820nm、比較例4の試料膜厚は830nmであっ
た。
【0065】X線回折のパターンは、実施例4の試料で
は(220)の回折ピーク強度が980cpsと強く、
その他(111),(311)に小さなピークがみられ
た。これに対して、比較例4の試料は、いずれのピーク
もバックグランドノイズ以下で観測できなかった。この
結果から、比較例4の試料に比べて実施例4の試料は、
結晶性の良いことが分かった。
【0066】また、導電率は、実施例4の試料が3S/
cmであったのに対し、比較例4の試料が9×10-1
/cmであった。この結果から、結晶性の高い実施例4
の試料では、高い導電率も得られることが分かった。
【0067】
【発明の効果】
(請求項1)以上説明したように、請求項1に係る発明
では、原料ガスとドーピングガスを流す時分割処理によ
って、低温プロセスを維持した状態で、薄膜の構造緩和
も十分に行うことができ、かつ、原料ガスにドーピング
ガスを混入させ、n型又はp型の多結晶Si薄膜を作製
する場合にも、結晶性の良好な多結晶Si薄膜が形成で
きる堆積法が得られる。
【0068】(請求項2)請求項2に係る発明では、通
常の水素ガスで多量に希釈したSiH4ガスを用いたグ
ロー放電プラズマで作製した結晶Si膜よりも、結晶性
が良好で、かつ導電率が高い多結晶Si薄膜が形成でき
る堆積法が得られる。
【0069】(請求項3)請求項3に係る発明では、製
造コストが安く、かつ結晶性が良いという特徴を有する
多結晶Si薄膜が形成できる堆積法が得られる。
【0070】(請求項4)請求項4に係る発明では、製
造コストが安く、結晶性が良く、かつ導電性が高いとい
う特徴を有する多結晶Si薄膜が形成できる堆積法が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る堆積法のタイムチャートを示すグ
ラフである。
【図2】本発明に係る成膜装置の概略図である。
【図3】実施例2に係るX線回折法による結晶性の評価
結果と、四端子法による伝導率の評価結果を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 1回のプロセスの原料ガスの導入時間、 t2 1回のプロセスのドーピングガスの導入時間、 t3 1回のプロセスの水素プラズマ処理の時間、 1 真空チャンバー、 2 プラズマグロー放電用のカソード電極、 3 絶縁リング、 4 マッチングボックス、 5 RF電源、 6 シールド筒、 7 アノード電極、 8 基板、 9 ヒーターブロック、 10 ヒーター、 11 熱電対、 12 温度コントローラー、 13 原料ガスの導入管、 14 ドーピングガスの導入管、 15 水素ガスの導入管、 16、17、18 流量コントローラー、 19、20、21 バルブ、 22、23、24 ガス管、 25 シーケンスプログラマー、 26 真空圧力計、 27 自動バタフライ弁、 28 排気管。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ガス、ドーピングガス、及び水素ガ
    スを用いたグロー放電プラズマ分解法による多結晶Si
    薄膜の堆積法において、前記水素ガスが常に流され、高
    周波電力が常に印加された状態の成膜室内に、前記原料
    ガスと前記ドーピングガスを時間的に分割して導入し、 前記原料ガスと前記水素ガスが流れている時間
    (t1)、 前記ドーピングガスと前記水素ガスが流れている時間
    (t2)、及び、 前記水素ガスのみが流れている時間(t3) からなる3種類の時間を繰り返しながら成膜することを
    特徴とする多結晶Si薄膜の堆積法。
  2. 【請求項2】 前記t3が、10秒以上90秒以下であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の多結晶Si薄膜の
    堆積法。
  3. 【請求項3】 前記原料ガスが、SiF4またはSiH4
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多結晶
    Si薄膜の堆積法。
  4. 【請求項4】 前記ドーピングガスが、PH3またはB
    3であることを特徴とする請求項1から3のいずれか
    1項に記載の多結晶Si薄膜の堆積法。
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WO2009145068A1 (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 三菱電機株式会社 薄膜形成装置および半導体膜製造方法
US7638437B2 (en) 2004-12-31 2009-12-29 Ips Ltd. In-situ thin-film deposition method

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