JPH08246137A - レーザー蒸着法による薄膜製造方法及び薄膜製造装置 - Google Patents

レーザー蒸着法による薄膜製造方法及び薄膜製造装置

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JPH08246137A
JPH08246137A JP7460895A JP7460895A JPH08246137A JP H08246137 A JPH08246137 A JP H08246137A JP 7460895 A JP7460895 A JP 7460895A JP 7460895 A JP7460895 A JP 7460895A JP H08246137 A JPH08246137 A JP H08246137A
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JP
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thin film
film manufacturing
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JP7460895A
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Ryuki Nagaishi
竜起 永石
Hideo Itozaki
秀夫 糸崎
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板の両面に同時に薄膜を形成する方法及び
装置を提供することを目的とする。 【構成】チャンバ内において、(a)第1のターゲット
と第2のターゲットとを対面させて、チャンバ内に配置
するステップと、(b)第1のターゲットと第2のター
ゲットとの間に、第1の表面が第1のターゲットと対面
し且つ第2の表面が第2のターゲットと対面するよう
に、基板を配置するステップと、(c)基板を加熱して
所定の温度に維持するステップと、(d)第1のターゲ
ットに第1のレーザーを照射し且つ第2のターゲットに
第2のレーザーを照射して、第1の表面上と第2の表面
上に堆積物質を堆積させるステップとを備える

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザー蒸着法による
デバイスの製造方法に関する。本発明は特に、酸化物高
温超伝導体を用いたマイクロ波・ミリ波デバイス用部材
の製造方法に適する。
【0002】
【従来の技術】酸化物高温超伝導体のマイクロ波・ミリ
波分野への応用に関して、低損失化、高速化、小型化及
び低消費電力化の観点から、産業上の期待が高まってい
る。
【0003】酸化物高温超伝導体を用いた各種デバイス
の開発と共に、これを製造する方法としてレーザー蒸着
法が注目されている。レーザー蒸着法では、基板及び堆
積させる物質のターゲットを加熱し、レーザーのパルス
をターゲットに照射することにより、ターゲットの物質
を昇華させて、基板上に堆積させる。
【0004】桧垣らの報告(電子情報通信学会予稿集、
1991年4月26日、文献1)によれば、酸化物高温
超伝導体であるYBa2 Cu3 7-x (以下、YBCO
と略記する)薄膜をスパッタリングにより堆積させて作
製されたプレーナー型の円盤共振器は、表面抵抗の温度
特性の面で、マイクロ波・ミリ波分野への応用に対して
有望な特性を有することが述べられている。
【0005】上記文献1にも述べられているように、こ
のような酸化物高温超伝導体の応用には、酸化物高温超
伝導体薄膜の結晶性等の膜質が特に重要である。
【0006】図7は、上記文献1に記載された共振器の
分解斜視図である。図7に示されるように、上記文献に
よる共振器100は、円形薄膜106及び矩形薄膜10
7a、107bが表面に形成された誘電体108に対し
て、Au薄膜から成る下部グランドプレーン102を表
面に有する下部誘電体104が下方から、Au薄膜から
成る上部グランドプレーン110を表面に有する上部誘
電体112が上方からそれぞれ、挟む構造を有する。
【0007】一方、Holzapfel らによれば、c軸配向の
(c-axis oriented )エピタキシャルYBa2 Cu3
7-x 薄膜を、オフ軸(off-axis ) の配置によるレーザー
蒸着法によってLaAlO3 とSrTiO3 との(10
0)面を有する基板の表裏両面に形成したことが報告さ
れている(Holzapfel, B. et.al.,Applied Physics Lett
ers,61(26),pp.3178-3180,28 Dec 1992 、文献2) 。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記文献1の共振器で
は、1枚の酸化物高温超伝導体薄膜を有する誘電体に対
してグランドプレーン用導体膜を形成した2枚の誘電体
で挟む構造であるため、これら誘電体同士の密着度が多
少たりとも変化すれば、高周波特性に敏感に影響する。
そのため、高周波特性に関する信頼性の点で、実用的な
共振器の構造とは必ずしも言えない。
【0009】また、上記文献2では、1枚の誘電体基板
に対して表裏両面に酸化物高温超伝導体薄膜を形成する
可能性を示唆することにより、1枚の誘電体基板内に共
振器とグランドプレーンとを包含させて、文献1に代表
される問題点を解決しようとしている。しかし、文献2
では、上記の可能性を示唆するのみにとどまっており、
具体的に表裏両面に品質の高い膜を形成する方法に関し
ては何等言及されていない。
【0010】本発明は、上記の状況に鑑みてなされたも
のであり、酸化物高温超伝導体を用いて信頼性の高いマ
イクロ波・ミリ波デバイス用部材を製造する方法を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜製造方法
は、(a)第1のターゲットと第2のターゲットとを対
面させて、チャンバ内に配置するステップと、(b)第
1のターゲットと第2のターゲットとの間に、第1の表
面が第1のターゲットと対面し且つ第2の表面が第2の
ターゲットと対面するように、基板を配置するステップ
と、(c)基板をチャンバ内に配置された加熱手段によ
り加熱して所定の温度に維持するステップと、(d)第
1のターゲットに第1のレーザーを照射し且つ第2のタ
ーゲットに第2のレーザーを照射して、第1の表面上と
第2の表面上に堆積物質を堆積させるステップとを備え
ることを特徴とする。
【0012】また、本発明の薄膜製造方法は、堆積物質
を堆積させるステップにおいて、(i) 第1のターゲット
と第2のターゲットとが共に回転し、且つ、(ii)第1の
レーザーが第1のターゲットの回転軸中心以外の位置に
入射し、第2のレーザーが第2のターゲットの回転軸中
心以外の位置に入射することを特徴としてもよい。
【0013】また、本発明の薄膜製造方法は、堆積物質
が、酸化物であることを特徴としてもよい。
【0014】また、本発明の薄膜製造方法は、堆積物質
が、酸化物高温超伝導体であることを特徴としてもよ
い。
【0015】また、本発明の薄膜製造方法は、堆積物質
が、85K以上の超伝導臨界温度を有し且つ0tesl
aにおいて77Kでの臨界電流密度が105 A/cm2
以上である物質であることを特徴としてもよい。
【0016】また、本発明の薄膜製造方法は、堆積物質
が、YBa2 Cu3 7-x であることを特徴としてもよ
い。
【0017】また、本発明の薄膜製造方法は、堆積物質
が、Tl酸化物と、Bi酸化物とから成る群より選択さ
れることを特徴としてもよい。
【0018】また、本発明の薄膜製造方法は、基板が誘
電体であることを特徴としてもよい。
【0019】また、本発明の薄膜製造方法は、基板が、
MgOと、LaAlO3 と、Al23 と、SrTiO
3 から成る群より選択される物質を備えることを特徴と
してもよい。
【0020】本発明の薄膜製造装置は、(1)200℃
の耐熱性を有し内部の減圧が可能なチャンバであって、
(a)第1のターゲットホルダーに支持された、堆積物
質から成る第1のターゲットと、(b)第2のターゲッ
トホルダーに支持されて第1のターゲットと対面する、
堆積物質から成る第2のターゲットと、(c)第1のタ
ーゲットに基板の第1の表面が対面し、且つ、第2のタ
ーゲットに基板の第2の表面が対面するように、基板を
保持する基板ホルダーと、(c)基板の第1の表面と第
2の表面とを加熱する加熱手段と、(d)第1のターゲ
ットに所定の角度で第1のレーザーを入射させるための
第1の入射窓と、(e)第2のターゲットに所定の角度
で第2のレーザーを入射させるための第2の入射窓とを
内部に備えるチャンバと、(2)レーザーを発生させる
レーザー発生手段と、レーザー発生手段により発生させ
たレーザーをチャンバの第1の入射窓と第2の入射窓と
を介して第1及び第2のターゲットに所定の角度で入射
させるためのミラーを含む光路系とを備えるレーザー光
学系とを備えることを特徴とする。
【0021】また、本発明の薄膜製造装置は、基板ホル
ダーに接続されて、基板に所定の周期性をもつ運動を与
える基板可動手段を更に備えることを特徴としてもよ
い。
【0022】また、本発明の薄膜製造装置は、レーザー
発生手段が1つであり、且つ、光路系が、レーザー手段
により発生された1つのレーザーを第1のレーザーと第
2のレーザーとにスプリットするプリズムを有すること
を特徴としてもよい。
【0023】また、本発明の薄膜製造装置は、第1のタ
ーゲットホルダーに接続されて、第1のターゲットに所
定の周期性をもつ運動を与える第1のターゲット可動手
段と、第2のターゲットホルダーに接続されて、第2の
ターゲットに所定の周期性をもつ運動を与える第2のタ
ーゲット可動手段とを更に有することを特徴としてもよ
い。
【0024】また、本発明の薄膜製造装置は、第1のタ
ーゲット可動手段の運動と第1のターゲット可動手段の
運動とが共に回転運動であり、且つ、第1のレーザーと
第2のレーザーとが共に、第1のターゲット及び第2の
ターゲットに対して回転運動の中心軸ではない位置に入
射するように、光路系のミラーが設置されることを特徴
としてもよい。
【0025】また、本発明の薄膜製造装置は、レーザー
発生手段が、波長248nmのKrFエキシマレーザー
と、波長193nmのArFエキシマレーザーと、波長
308nmのXeClエキシマレーザーとから成る群よ
り選択されることを特徴としてもよい。
【0026】また、本発明の薄膜製造装置は、基板ホル
ダーが基板を少なくとも1か所以上の基板の端部で固定
することを特徴としてもよい。
【0027】
【作用】本発明の薄膜形成方法は、基板の表面(第1の
表面)と裏面(第2の表面)のそれぞれの近傍に、ター
ゲットを1つずつ配置する。また、2つのターゲットに
は、それぞれレーザーを照射する。従って、基板の両面
に厚み分布の無い良質且つ均質な薄膜を同時に形成する
ことができる。また、各面に対して別々のターゲット及
びレーザーを用いているため、表面及び裏面の堆積速度
を別々に制御することが可能となり、また、表面裏面の
両面に同じ堆積速度で薄膜を形成することが可能とな
る。
【0028】また、本発明の薄膜製造方法によれば、1
つの基板の上下に導電体又は高温超伝導体層を形成する
ことが可能となるため、高周波特性が良好で且つ信頼性
の高い高周波デバイスを製造することが可能となる。
【0029】
【実施例】以下、添付した図面を参照して、本発明に従
った実施例を詳細に説明する。尚、これら図面において
は、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を
省略した。尚、各図面においては図示による説明の容易
さを優先させ、縮尺及びディメンジョンを誇張して描か
れている部分が含まれる。
【0030】(実施例1)本実施例では、酸化物高温超
伝導体にYBCO、部材の基板にMgO単結晶板を用
い、本発明に従った方法によりマイクロ波共振器用の部
材を作製した。図1は、本実施例において作製されたマ
イクロ波共振器用部材の斜視図である。尚、図1は、図
示のし易さのため誇張して描かれており、以下の説明の
数値とは必ずしも一致しない。図1に示されるように、
マイクロ波共振器用部材10は、誘電体であるMgO単
結晶板12の上に、酸化物高温超伝導体であるYBCO
から成る円形膜14と、略矩形膜16a及び16bを有
し、且つ、MgO単結晶板12の下に、同じくYBCO
から成るグラウンドプレーン膜18を有する。誘電体で
あるMgO単結晶板12は、長さ20mm、幅10m
m、厚さ0.5mmのサイズを有する。円形膜14は、
直径5mm、厚さ0.5μmのサイズを有する。略矩形
膜16a及び16bはいずれも、長さ7mm、幅1m
m、厚さ0.5μmのサイズを有し、それぞれの円形薄
膜との距離(両矢印17a及び17bで示される)は、
共に0.5mmである。グラウンドプレーン膜18は、
MgO単結晶板12の下面全面に均一な厚さで形成され
ており、その厚さは0.5μmである。
【0031】図2は、マイクロ波共振器の断面図であ
り、(a)〜(f)の順番で、本実施例でのマイクロ波
共振器の作製の手順を示す。図2を参照して、本実施例
におけるマイクロ波共振器の作製方法の概略を説明して
おく。まず、図2(a)に示される誘電体12の上下に
YBCO膜141及び181を、同時に形成した(図2
(b)参照)。次に、片方のYBCO膜141の上面全
面に、フォトレジストを塗布してフォトレジスト層を形
成した(図2(c))。そして、マスクを用いて光露光
を行った後、全体を現像液に浸漬し、YBCO膜の表面
にフォトレジストパターン201を形成した(図2
(d))。次いで、YBCOをエッチングにより除去
し、パターン201に保護されているYBCO膜のみを
残した(図2(e)参照、尚、図2(e)〜(f)にお
いては、図1に示される円形膜14の断面のみが示さ
れ、矩形膜の断面は示されない)。最後に、フォトレジ
ストパターン201を除去して、所望のマイクロ波用共
振器が完成した。
【0032】次に、YBCO膜を誘電体基板の両面に同
時に形成するための装置について、詳細に説明する。本
実施例では、レーザー蒸着法によりYBCO膜を、Mg
O単結晶から成る基板の表裏両面に同時に形成した。図
3は、本実施例で用いたレーザー蒸着装置の断面図、図
4はこのレーザー蒸着装置のチャンバの外観図である。
以下、図3及び図4を参照して、本実施例に用いられた
レーザー蒸着装置を説明する。
【0033】図3及び図4に示されるように、レーザー
蒸着装置200は、ベルジャ状のチャンバ202を備え
る。このチャンバ202内部で、MgO基板へのYBC
O膜のレーザー蒸着が行われる。チャンバ202は、S
US304製の本体204と、SUS304製のリッド
206とにより、外部から画成される。チャンバ202
内部には、MgO単結晶から成る誘電体基板208を保
持する基板ホルダー210と、YBCOから成るターゲ
ット212を保持するターゲットホルダー214a及び
214bが包含される。以下、基板ホルダー210の詳
細を説明する。
【0034】図8は、本実施例の基板ホルダーを表し、
(a)は正面図、(b)は側面図である。図8に示され
るように、基板ホルダー210は、基板208が入る程
度の大きさの溝を有する一方の枠と他方の枠とから成
り、ビス209を用いて基板208を端面ではさみ込む
構造を有する。
【0035】本発明に従った製造方法を実現するレーザ
ー蒸着装置には、1つの基板ホルダー210に対して、
2つのターゲットホルダー214a,bが備えられる。
図3では、基板208はその端面が図示されており、基
板208の両方の表面はそれぞれ、2つのターゲット2
12a,bと対向している。ターゲット212a,21
2bと基板208との距離は、5〜10cmである。
【0036】図3及び図4に示されるように、チャンバ
202の内部には、円筒形の上ヒーター216及び下ヒ
ーター218が包含され、基板208を効率良く且つ基
板温度が均一になるように加熱する。
【0037】レーザー蒸着装置200のレーザー光学系
に関して説明する。この装置200では、レーザーの発
生装置系はチャンバの外部に設けられる。図3及び図4
に示されるように、チャンバ202には、外部からのレ
ーザーをチャンバ202内に入射させるための、入射窓
220a,220bが具備される。チャンバ202の外
部には、レーザー発振装置222と、ミラー224と、
プリズム226と、入射窓220aへのミラー228a
と集光レンズ229a、入射窓220bのためのミラー
228bと集光レンズ229bとが備えられる。入射窓
220a,bは共に、厚さ10mmの合成石英から成
る。レーザー発振装置222は、波長248nmのレー
ザーを発するKrFエキシマレーザー源を備える。この
レーザー源は、波長193nmのArFエキシマレーザ
ーであってもよく、波長308nmのXeClエキシマ
レーザーであってもよい。
【0038】レーザー発振装置222から発せられたレ
ーザー(点線230で図示)は、ミラー224を介して
プリズム226に入射する。プリズム226に入射した
1本のレーザーは、プリズム内で2本にスプリットし
(点線232a,bで図示)、それぞれ、ミラー228
a、228b及び集光レンズ229a、229bを介し
て、入射窓220a及び220bに入射する。
【0039】尚、レーザー系は図3に示される態様に限
定されず、例えば、2つのターゲットに対して、別々に
レーザー発振装置を用意してもよい。この場合には、堆
積速度を表面と裏面で別々に制御することが可能とな
る。
【0040】ターゲット212a及び212bの表面に
存在するYBCOの各原子は、入射したレーザーのエネ
ルギーを受けて昇華して、点線234a及び234bに
模式的に示されるプルームを形成し、ターゲットを構成
する原子は、原子又はイオンの状態で移動し、基板20
8へと到達して基板208の表面に堆積される。
【0041】本発明では、レーザーの進入方向を定める
ミラー228a及び228bを固定しているため、ター
ゲット212a及び212bの一定の場所にレーザーが
入射する。そのため、局所的にしかターゲットが消費さ
れず、これを回避するために、ターゲットを回転させ
て、ある範囲をもった部分にレーザーが当たるようにし
た。
【0042】図3及び図4に示されるように、レーザー
蒸着装置220におけるターゲット回転の機構として
は、モーター236a及び236bと、シャフト238
a及び238bと、シャフトを保持するチューブ240
a及び240bと、カップリング部242a及び242
bとが具備される。シャフト238a及び238bのチ
ャンバ側末端と、ターゲットホルダー214a及び21
4bのチャンバ壁側末端とは、それぞれ磁石が備えられ
(図示されず)、モーター236a及び236bにより
与えられたシャフト238a及び238bの回転運動
が、磁石による結合によりターゲットホルダー214a
及び214bへと伝達される。このような、磁気カップ
リング回転導入端子を用いて、ターゲット212a及び
212bは回転される。
【0043】以上説明した、レーザー蒸着により誘電体
基板の両面に酸化物高温超伝導体を形成するための機能
を有するチャンバ220は、支持体に懸垂して支持され
ている。図3及び図4に示されるように、チャンバ22
0は、チャンバ220に具備されるタブ244と、支持
体248に備えられるリング246との間のワイヤー2
50により、支持体248に懸垂されている。
【0044】また、基板へのYBCOの堆積が均一に行
われるように、基板を水平方向の一定の軸の方向と垂直
方向の一定の軸の方向の、2軸にそれぞれ往復運動をさ
せる機構が、レーザー蒸着装置に具備されている。
【0045】図3及び図4に示されるように、チャンバ
の上部には、基板ホルダー210を気密性を維持しつつ
保持するための保持板252と、保持板252を接続し
て垂直軸方向の運動を与える垂直軸方向モーター254
と、水平軸方向の運動を与える水平軸方向モーター25
6が具備される。また、基板ホルダー210を垂直軸方
向及び水平軸方向に自由に運動せしめるためのべローズ
258が、リッド206の頂面上に備えられる。
【0046】以下、本実施例の製造工程を、各工程毎に
説明する。
【0047】(1:MgO単結晶基板両面へのYBCO
薄膜の形成(図2(b)参照))この工程では、図3及
び図4に示されるレーザー蒸着装置を用い、誘電体であ
るMgO単結晶基板の表裏両面へ、酸化物高温超伝導体
であるYBCOの薄膜を形成した。
【0048】本実施例では、YBCOとして、化学量論
比がYBa2 Cu3 7-x のものを用いた。誘電体基板
には、両面鏡面研磨が施された(100)面を有するM
gO単結晶板を用いた。このMgO単結晶基板のサイズ
は、40mmx40mmx0.5mmであった。
【0049】レーザー蒸着法の条件は、以下の通りであ
る。まず、チャンバ内を10-5に減圧した後、チャンバ
内にO2 ガスを流下して、チャンバ内圧力を400mT
orrに調整した。ヒーターに電力を供給し、基板温度
が650〜700℃に安定するまでその状態を維持す
る。基板温度は、予めチャンバ内の基板近傍に熱電対を
設置して様々なチャンバ内圧力や電力等の条件で温度測
定を行っておき、各条件に対する電力v.s.基板温度
の検量線を求めておくことにより、電力の操作のみで再
現性良く温度の制御が可能となる。次に、20rpmで
ターゲットの回転を開始し、また、基板の往復運動を開
始した。レーザー源(KrFレーザー、波長248n
m)に電力を供給し、約5Wのレーザー出力でレーザー
を発生させた。この時のレーザーのパルスの周波数は、
5Hzであり、各パルスのレーザーエネルギーは、0.
5J/pulse であった。
【0050】発せられたレーザーは、全反射ミラー及び
表面に無反射コーティングが施されたプリズムに入射す
る。プリズム内で2本にスプリットされたレーザーはそ
れぞれ、表面に無反射コーティングが施された入射窓を
介してチャンバ内に設置されたターゲットに入射する。
本実施例では、ターゲットは直径20mmの円板形状で
あり、ターゲット表面上のレーザーの照射面積は、10
mm2 (照射領域は2mmx5mm)であった。また、
2本のスプリットされた後の1本のレーザーのレーザー
エネルギー密度は、ミラー及びプリズムを通過する際に
損失されて1.5〜2.0J/cm2 であり、従って、
レーザーエネルギーは150〜200mJであった。
【0051】本実施例では、基板の両方の表面に対し
て、それぞれターゲットが平行な位置に配置され、それ
ぞれのターゲットに対して、別々のレーザーが入射す
る。本実施例においては、レーザー(点線232a,2
32bで図示)がターゲット212a,212bの表面
に入射する角度は、45(deg.)であった。また、レーザ
ーがターゲット表面の一点にしか入射しないことに起因
するターゲットの局所的消費を防止する目的で、ターゲ
ットを回転し、且つ、レーザーをこの回転軸中心を外し
たターゲット表面上の位置に入射させるようにした。こ
れらにより、ターゲット表面上の広い領域にレーザーが
入射する。
【0052】また、基板の全面に均一にYBCO膜が形
成されるよう、基板を往復運動させた。図3に示される
ように、レーザー照射を受けたターゲット212a,2
12bの表面では、ターゲット表面を構成するYBCO
が昇華し、点線234a,234bで示されるようなプ
ルームを形成する。基板への蒸着量は、プルームの中心
部分で最も多く、プルームの中心から外側に向かって少
なくなる。このため、基板を固定していれば、基板に堆
積される薄膜の厚さに分布が生じてしまう。このような
問題を防止するため、本実施例では、基板を水平方向及
び垂直方向に運動させて、厚み分布のない薄膜を形成し
た。
【0053】図5は、基板の平面図であり、プルーム中
心が基板の表面に当たる位置を示すことにより、基板の
運動を模式的に表す。図5には、基板208を運動させ
ることによる、プルームの中心が当たる基板の表面上の
部分の軌跡を櫛型の矢印290で模式的に示した。ここ
で、ターゲットに入射するレーザーの位置はチャンバ内
では固定されているため、プルームの中心の位置も固定
されている。従って、基板を移動させれば、基板表面上
にプルーム中心が当たる位置もそれに併せて移動する。
例えば、図5に示される基板の表面上のプルーム中心の
軌跡290のように、基板は2cm/sec.の速度で
水平方向に5.0cm移動し、次いで、2cm/se
c.の速度で垂直下方向に1.0cm移動する。次に、
水平逆方向に2cm/sec.の速度で5.0cm移動
した後、2cm/sec.の速度で垂直下方向に1.0
cm移動する。これを繰り返し、また、垂直方向を上方
向にして更に繰り返す。このような操作を継続して、基
板208表面上のプルーム中心の位置を櫛型矢印290
のような軌跡に沿って往復運動させることにより、厚み
分布の小さな薄膜を基板全面に形成せしめた。この移動
の速度はターゲットと基板との距離やレーザーの入射角
度、レーザーエネルギー等、様々な条件によって最適化
される。膜圧分布が大きくてもよい場合は、移動の範囲
は、上記の5.0cm角に限定されず、基板のサイズよ
りも小さい範囲で移動してもよい。また、櫛形の段も、
操作条件等により、最適な膜を得るために最適化でき
る。
【0054】また、基板の運動は、上記のような櫛形の
軌跡をもつ運動に限定されず、例えば、水平方向と垂直
方向とに同時に往復運動をさせ、円形又は楕円形等の軌
跡を得る様な運動であってもよい。形成された膜の厚み
分布を最小にすることが可能であれば、運動の態様は特
に限定されない。
【0055】このような基板の運動を実現するため、図
3に示されるチャンバのリッド206上に配置され基板
ホルダーを運動させるモーター254及び256にはリ
ニアモーターを用いるが好ましく、プログラミングが可
能なコントローラで制御されることが好ましい。
【0056】図3に示される2本のレーザー232a,
232bは、本実施例では1本のレーザー230をプリ
ズム226によってスプリットしたものであり、従って
2本のレーザーエネルギーを全く等しくすることが容易
である。ゆえに、ターゲットに入力されるレーザーによ
るエネルギーも容易に等しくするすることが可能であ
る。即ち、ヒーターによる加熱が基板の表裏両面に等し
く行われ、且つ、ターゲットと基板との距離を等しく設
定すれば、基板の表裏両面へ、酸化物高温超伝導体を等
しい膜質且つ等しい堆積速度により形成することが容易
である。
【0057】レーザーが入射されたターゲット表面で
は、Y、Ba、Cu、Oの各原子が昇華し、それぞれが
原子の状態で基板へと到達し、基板上に堆積されてい
く。このように、堆積操作を約17分行い、約0.5μ
mのYBCO薄膜が堆積された。本実施例では、得られ
たYBCO膜の厚さと操作時間とから、堆積速度は平均
で約1オングストローム/pulse であった。
【0058】このように、MgO基板上に形成された薄
膜の導電性を、以下のように測定した。薄膜を形成した
基板の1つを薄膜の導電性測定用に取り出し、片面の薄
膜に、フォトリソグラフィー及びエッチングにより20
μmx20μmのブリッジを形成した。そして、温度条
件を変えて、一般的な四端子法によってブリッジの両側
の発生電圧を測定して抵抗値を得た。発生電圧が1μV
以下になる温度を超伝導臨界温度(Tc)と定めた。本
実施例の薄膜のTcは90Kであった。次に、77Kに
おいてブリッジに供給する電流を徐々に増加させ、抵抗
が発生した電流を臨界電流(Ic)とし、Icをブリッ
ジの電流通過断面積で除して、臨界電流密度(Jc)得
た。本実施例で作製されたYBCO薄膜の臨界電流密度
は、500万A/cm2 であった。
【0059】また、得られたYBCO薄膜の厚み分布に
関し、膜の一部を取り除き、膜と基板との境にできる段
差を、接触式の表面あらさ計を用いて測定し、これによ
り、膜全面にわたって同様の測定を行った。本実施例で
形成された薄膜の厚みのばらつきは、表裏両面とも、+
/−5%以下の範囲内であった。
【0060】(2:フォトレジストパターンの形成(図
2(c),(d)参照))以上のように形成されたYB
CO膜の片方の表面上に、周知のフォトレジスト技術に
よりフォトレジストパターンを形成した。
【0061】フォトレジスト材には、市販されているシ
リコン半導体用レジスト材を特に制限なく用いることが
可能である。例えば、ポジ型レジスト材としては、OF
PR−2(東京応化工業社製)、AZ111(ヘキスト
社製)等、一般的なポジレジスト材を例示することがで
きる。また、ネガ型レジスト材としては、JSR CI
R−712(日本合成ゴム社製)等を例示することがで
きる。
【0062】半導体製造プロセスの量産工程において多
用されている方法によって、ポジ型レジスト材の塗布の
後マスクを用いて光露光を行い、YBCO薄膜の表面上
に、図1に示される円板薄膜14及び略矩形薄膜16
a,16bのパターンをもったレジスト材が形成され
た。
【0063】(3:YBCOのエッチング(図2(e)
参照))以上のように形成されたフォトレジストに保護
された部分以外のYBCO膜をエッチングした。エッチ
ングには、半導体製造プロセスの量産工程で広く用いら
れているイオンミリング法が用いられた。
【0064】(4:レジスト材の除去(図2(f)参
照))最後に、残留レジスト材をアセトンにより除去
し、図1に示されるようなマイクロ波共振器用の部材が
完成した。
【0065】(マイクロ波共振器用部材の高周波特性の
測定)このように作製されたマイクロ波用共振器用部材
の高周波特性に関して評価を行った。まず、このマイク
ロ波用共振器は、誘電体の表面(円板薄膜が形成されて
いる方の面)及び裏面に、酸化物高温超伝導体が形成さ
れている構造を有する。従って、この共振器に入力され
たマイクロ波は、水平方向で且つ矩形薄膜から円板薄膜
を経て他方の矩形薄膜へと至る方向にマイクロ波を共振
させて導波する。
【0066】高周波特性の評価は、次の通りであった。
共振器をクライオスタット内で77Kの温度に平衡させ
た後、5GHzのマイクロ波を入力し、その際のQ値を
測定した。Q値の測定には、ネットワークアナライザを
用いて行った。
【0067】図6は、本実施例で作製されたマイクロ波
共振器の高周波特性の評価に用いられた装置のシステム
線図である。図6に示されるように、高周波特性測定装
置300は、試験体(マイクロ波共振器)302を内部
に包含して所定の温度に平衡させるクライオスタット3
04と、ネットワークアナライザ306とを備える。ク
ライオスタットには、冷却器308と、温度制御装置3
10が備えられている。温度制御装置310が制御可能
な温度範囲は、30〜300Kである。ネットワークア
ナライザ306は、信号ソース312と接続され、これ
を制御する。そして、ネトワークアナライザ306と温
度制御装置310とは、システムコントローラ314に
よって統轄的に制御される。本実施例で用いられたネッ
トワークアナライザ306は、HP8515B型(ヒュ
ーレットパッカード社製)であった。
【0068】図6に示されるように本実施例で作製した
共振器302は、クライオスタット304内部に設置さ
れて、77Kの温度に冷却された。その後、信号ソース
312に5GHzの高周波シグナルを発生させて、ネッ
トワークアナライザ306に導入した。ネットワークア
ナライザ306により、この5GHzの高周波シグナル
がクライオスタット304内の試験体302内に入力さ
れ、その応答はネットワークアナライザ306にフィー
ドバックされた。
【0069】本実施例により作製されたマイクロ波共振
器のQ値は、77Kにおいて40,000であった。従
って、本実施例により作製された酸化物高温超伝導体を
用いたマイクロ波共振器は、良好な周波数特性を有する
ことが確認された。
【0070】(実施例2)本実施例では、ターゲットの
堆積物質にTlBa2 CaCu2 x を用いて、MgO
基板上にTlBa2 CaCu2 x を堆積させた。
【0071】まず、図3に示される装置を用い、実施例
1と全く同様の方法でTlBa2 CaCu2 x 薄膜を
形成した。次に、Tlの蒸気圧が高く薄膜中からTlが
消失され易いことを考慮し、薄膜形成後に基板を、O2
+Tl雰囲気中で800℃、10時間の熱処理を行っ
た。熱処理の後、薄膜高周波特性を、実施例1と同じ方
法で評価した。フォトリソグラフィー〜エッチングの工
程を実施例1と同様に行い、実施例1と同じ構造のマイ
クロ波共振器を作製した。そして、実施例1と同じ方法
でQ値を評価した。
【0072】得られたTlBa2 CaCu2 x 薄膜の
Tcは95K、77KにおけるJcは1,000,00
0A/cm2 であった。また、作製された共振器のQ値
は、42,000であった。
【0073】(実施例3)本実施例では、ターゲットの
堆積物質にTl2 Ba2 CaCu2 x を用いて、Mg
O基板上にTl2 Ba2 CaCu2 x を堆積させた。
【0074】まず、図3に示される装置を用い、基板温
度を300〜350℃の範囲で設定した以外は実施例1
と全く同様の方法でTl2 Ba2 CaCu2 x 薄膜を
形成した。次に、Tlの蒸気圧が高く薄膜中からTlが
消失され易いことを考慮し、薄膜形成後に基板を、O2
+Tl雰囲気中で900℃、10時間の熱処理を行っ
た。熱処理の後、薄膜高周波特性を、実施例1と同じ方
法で評価した。フォトリソグラフィー〜エッチングの工
程を実施例1と同様に行い、実施例1と同じ構造のマイ
クロ波共振器を作製した。そして、実施例1と同じ方法
でQ値を評価した。
【0075】得られたTl2 Ba2 CaCu2 x 薄膜
のTcは100K、77KにおけるJcは1,200,
000A/cm2 であった。また、作製された共振器の
Q値は、50,000であった。
【0076】(実施例4)本実施例では、ターゲットの
堆積物質にTl2 Ba2 Ca2 Cu3 x を用いて、M
gO基板上にTl2 Ba2 Ca2 Cu3 x を堆積させ
た。
【0077】まず、図3に示される装置を用い、基板温
度を300〜350℃の範囲で設定した以外は実施例1
と全く同様の方法でTl2 Ba2 Ca2 Cu3 x 薄膜
を形成した。次に、Tlの蒸気圧が高く薄膜中からTl
が消失され易いことを考慮し、薄膜形成後に基板に対
し、O2 +Tl雰囲気中で850℃、12時間の熱処理
を行った。熱処理の後、薄膜高周波特性を、実施例1と
同じ方法で評価した。フォトリソグラフィー〜エッチン
グの工程を実施例1と同様に行い、実施例1と同じ構造
のマイクロ波共振器を作製した。そして、実施例1と同
じ方法でQ値を評価した。
【0078】得られたTl2 Ba2 Ca2 Cu3 x
膜のTcは115K、77KにおけるJcは3,00
0,000A/cm2 であった。また、作製された共振
器のQ値は、55,000であった。
【0079】(実施例5)本実施例では、ターゲットの
堆積物質にBi2 Sr2 CaCu2 x を用いて、Mg
O基板上にBi2 Sr2 CaCu2 x を堆積させた。
【0080】まず、図3に示される装置を用い、基板温
度を700〜750℃の範囲で設定した以外は実施例1
と全く同様の方法でBi2 Sr2 CaCu2 x 薄膜を
形成した。次に、薄膜の高周波特性を、実施例1と同じ
方法で評価した。そして、フォトリソグラフィー〜エッ
チングの工程を実施例1と同様に行い、実施例1と同じ
構造のマイクロ波共振器を作製した。そして、実施例1
と同じ方法でQ値を評価した。
【0081】得られたBi2 Sr2 CaCu2 x 薄膜
のTcは85K、77KにおけるJcは800,000
A/cm2 であった。また、作製された共振器のQ値
は、35,000であった。
【0082】(実施例6)本実施例では、ターゲットの
堆積物質にBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x を用いて、M
gO基板上にBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x を堆積させ
た。
【0083】まず、図3に示される装置を用い、基板温
度を625〜675℃の範囲で設定した以外は実施例1
と全く同様の方法でBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x 薄膜
を形成した。次に、薄膜の高周波特性を、実施例1と同
じ方法で評価した。そして、フォトリソグラフィー〜エ
ッチングの工程を実施例1と同様に行い、実施例1と同
じ構造のマイクロ波共振器を作製した。そして、実施例
1と同じ方法でQ値を評価した。
【0084】得られたBi2 Sr2 Ca2 Cu3 x
膜のTcは90K、77KにおけるJcは900,00
0A/cm2 であった。また、作製された共振器のQ値
は、40,000であった。
【0085】尚、実施例1〜6に関し、成膜条件と、得
られた膜及び共振器の特性は、表1に示される。
【0086】
【表1】 尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様
々な変形が可能である。例えば、誘電体基板には、Mg
Oの他にも(100)面を有するLaAlO3、R面を
有するサファイア(Al2 3 )、SrTiO3 等を用
いることができる。
【0087】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の薄
膜製造方法及び薄膜製造装置によれば、良質且つ均質な
薄膜を基板の両面に形成することが可能となる。
【0088】従って、酸化物高温超伝導体を用いた信頼
性の高いマイクロ波・ミリ波デバイス用部材を簡便に製
造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って作製されたマイクロ波共振器の
概念的な斜視図である。
【図2】本発明に従って作製されたマイクロ波共振器の
断面図であり、本発明に従った製造方法の各工程におけ
る状態を表す。
【図3】本発明に従った製造方法の実施に好適な酸化物
高温超伝導体のレーザー蒸着装置の断面図である。
【図4】本発明に従った製造方法の実施に好適な酸化物
高温超伝導体のレーザー蒸着装置の外観図である。
【図5】基板の表面の平面図であり、実施例における基
板の運動方向が模式的に示される。
【図6】デバイスの高周波特性測定装置のシステム線図
である。
【図7】従来技術によるマイクロ波共振器の分解斜視図
である。
【図8】本発明の実施例で用いられた基板ホルダーを表
す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】 10…マイクロ波共振器用部材、12…誘電体基板、1
4…円形膜、16a,16b…略矩形膜、18…グラウ
ンドプレーン、20…フォトレジスト層、100…共振
器、102…下部グラウンドプレーン、104…下部誘
電体、106…円形薄膜、107a,107b…矩形薄
膜、108…誘電体基板、110…上部グラウンドプレ
ーン、112…上部誘電体、200…レーザー蒸着装
置、202…チャンバ、204…本体、206…リッ
ド、208…基板、210…基板ホルダー、212a,
212b…ターゲット、214…a,b…ターゲットホ
ルダー、216…上ヒーター、218…下ヒーター、2
20a,220b…入射窓、222…レーザー発振装
置、224…ミラー、226…プリズム、228a,b
…ミラー、229a,229b…集光レンズ、230,
232a,232b,234a,234b…点線、23
6a,236b…モーター、238a,238b…シャ
フト、240a,240b…チューブ、242a,24
2b…カップリング部、244…タブ、246…リン
グ、248…支持体、250…ワイヤー、300…高周
波測定測定装置、302…試験体、304…クリオスタ
ット、306…ネットワークアナライザ、308…冷却
器、310…温度制御装置、312…信号ソース、31
4…システムコントローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01P 11/00 ZAA H01P 11/00 ZAAG

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバ内において、第1の表面と、前
    記第1の表面の裏側である第2の表面とを有する平板状
    の基板に対して、堆積物質から成る第1のターゲットと
    前記堆積物質から成る第2のターゲットとにレーザーを
    照射し前記堆積物質を昇華させて、前記基板の前記第1
    の表面上と前記第2の表面上とに前記堆積物質の膜を形
    成する製造方法であって、 (a)前記第1のターゲットと前記第2のターゲットと
    を対面させて、前記チャンバ内に配置するステップと、 (b)前記第1のターゲットと前記第2のターゲットと
    の間に、前記第1の表面が前記第1のターゲットと対面
    し且つ前記第2の表面が前記第2のターゲットと対面す
    るように、前記基板を配置するステップと、 (c)前記基板をチャンバ内に配置された加熱手段によ
    り加熱して所定の温度に維持するステップと、 (d)前記第1のターゲットに第1のレーザーを照射し
    且つ前記第2のターゲットに第2のレーザーを照射し
    て、前記第1の表面上と前記第2の表面上に前記堆積物
    質を堆積させるステップとを備えることを特徴とする薄
    膜製造方法。
  2. 【請求項2】 前記堆積物質を堆積させる前記ステップ
    において、(i) 前記第1のターゲットと前記第2のター
    ゲットとが共に回転し、且つ、(ii)前記第1のレーザー
    が前記第1のターゲットの回転軸中心以外の位置に入射
    し、前記第2のレーザーが前記第2のターゲットの回転
    軸中心以外の位置に入射することを特徴とする請求項1
    に記載の薄膜製造方法。
  3. 【請求項3】 前記堆積物質が、酸化物であることを特
    徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
  4. 【請求項4】 前記堆積物質が、酸化物高温超伝導体で
    あることを特徴とする請求項1に記載の薄膜製造方法。
  5. 【請求項5】 前記堆積物質が、85K以上の超伝導臨
    界温度を有し且つ0teslaにおいて77Kでの臨界
    電流密度が105 A/cm2 以上である物質であること
    を特徴とする請求項4に記載の薄膜製造方法。
  6. 【請求項6】 前記堆積物質が、YBa2 Cu3 7-x
    であることを特徴とする請求項4に記載の薄膜製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記堆積物質が、Tl酸化物と、Bi酸
    化物とから成る群より選択されることを特徴とする請求
    項4に記載の薄膜製造方法。
  8. 【請求項8】 前記基板が誘電体であることを特徴とす
    る請求項1、4又は5のいずれかに記載の薄膜製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記基板が、MgOと、LaAlO
    3 と、Al2 3 と、SrTiO3 から成る群より選択
    される物質を備えることを特徴とする請求項1、6又は
    7のいずかに記載の薄膜製造方法。
  10. 【請求項10】 互いに表裏の関係にある第1の表面と
    第2の表面とを有する平板状の基板に薄膜を形成するた
    めの製造装置であって、 (1)200℃の耐熱性を有し内部の減圧が可能なチャ
    ンバであって、(a)第1のターゲットホルダーに支持
    された、堆積物質から成る第1のターゲットと、(b)
    第2のターゲットホルダーに支持されて前記第1のター
    ゲットと対面する、前記堆積物質から成る第2のターゲ
    ットと、(c)前記第1のターゲットに前記基板の前記
    第1の表面が対面し、且つ、前記第2のターゲットに前
    記基板の前記第2の表面が対面するように、前記基板を
    保持する基板ホルダーと、(c)前記基板の前記第1の
    表面と前記第2の表面とを加熱する加熱手段と、(d)
    前記第1のターゲットに所定の角度で第1のレーザーを
    入射させるための第1の入射窓と、(e)前記第2のタ
    ーゲットに所定の角度で第2のレーザーを入射させるた
    めの第2の入射窓とを内部に備えるチャンバと、 (2)レーザーを発生させるレーザー発生手段と、前記
    レーザー発生手段により発生させたレーザーを前記チャ
    ンバの第1の入射窓と前記第2の入射窓とを介して前記
    第1及び前記第2のターゲットに所定の角度で入射させ
    るためのミラーを含む光路系とを備えるレーザー光学系
    とを備えることを特徴とする薄膜製造装置。
  11. 【請求項11】 前記基板ホルダーに接続されて、前記
    基板に所定の周期性をもつ運動を与える基板可動手段を
    更に備えることを特徴とする請求項10に記載の薄膜製
    造装置。
  12. 【請求項12】 前記レーザー発生手段が1つであり、
    且つ、前記光路系が、前記レーザー手段により発生され
    た1つのレーザーを前記第1のレーザーと前記第2のレ
    ーザーとにスプリットするプリズムを有することを特徴
    とする請求項10に記載の薄膜製造装置。
  13. 【請求項13】 前記第1のターゲットホルダーに接続
    されて、前記第1のターゲットに所定の周期性をもつ運
    動を与える第1のターゲット可動手段と、前記第2のタ
    ーゲットホルダーに接続されて、前記第2のターゲット
    に所定の周期性をもつ運動を与える第2のターゲット可
    動手段とを更に有することを特徴とする請求項10に記
    載の薄膜製造装置。
  14. 【請求項14】 前記第1のターゲット可動手段の前記
    運動と前記第2のターゲット可動手段の前記運動とが共
    に回転運動であり、且つ、前記第1のレーザーと前記第
    2のレーザーとが共に、前記第1のターゲット及び前記
    第2のターゲットに対して前記回転運動の中心軸ではな
    い位置に入射するように、前記光路系の前記ミラーが設
    置されることを特徴とする請求項10に記載の薄膜製造
    装置。
  15. 【請求項15】 前記レーザー発生手段が、波長248
    nmのKrFエキシマレーザーと、波長193nmのA
    rFエキシマレーザーと、波長308nmのXeClエ
    キシマレーザーとから成る群より選択されることを特徴
    とする請求項10に記載の薄膜製造装置。
  16. 【請求項16】 前記基板ホルダーが、前記基板を少な
    くとも1ヵ所以上の前記基板の端部で固定することを特
    徴とする請求項10に記載の薄膜製造装置。
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Cited By (2)

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JP2021007975A (ja) * 2019-07-01 2021-01-28 国立研究開発法人理化学研究所 レーザ加工装置
CN113445007A (zh) * 2021-05-28 2021-09-28 松山湖材料实验室 脉冲激光沉积装置及方法

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