JPH08245219A - 高周波部材用超伝導基材及び薄膜製造方法 - Google Patents

高周波部材用超伝導基材及び薄膜製造方法

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JPH08245219A
JPH08245219A JP7074431A JP7443195A JPH08245219A JP H08245219 A JPH08245219 A JP H08245219A JP 7074431 A JP7074431 A JP 7074431A JP 7443195 A JP7443195 A JP 7443195A JP H08245219 A JPH08245219 A JP H08245219A
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JP
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substrate
layer
thin film
chamber
target
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JP7074431A
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Hideo Itozaki
秀夫 糸崎
Ryuki Nagaishi
竜起 永石
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板の両面に良質な薄膜が形成された酸化物
高温超伝導体基材及びその製造方法を提供することを目
的とする。 【構成】 誘電体から成る平板状の基板と、基板の片方
の表面上に形成される酸化物高温超伝導体から成る第1
の層と、第1の層の上に形成される金(Au)から成る
第2の層と、基板の他方の面の上に形成される第3の層
とから成ることを特徴とする高周波部材用超伝導基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザー蒸着法による
デバイスの製造方法に関する。本発明は特に、酸化物高
温超伝導体を用いたマイクロ波・ミリ波デバイス用部材
の製造方法に適する。
【0002】
【従来の技術】酸化物高温超伝導体のマイクロ波・ミリ
波分野への応用に関して、低損失化、高速化、小型化及
び低消費電力化の観点から、産業上の期待が高まってい
る。
【0003】酸化物高温超伝導体を用いた各種デバイス
の開発と共に、これを製造する方法としてレーザー蒸着
法が注目されている。レーザー蒸着法では、基板及び堆
積させる物質のターゲットを加熱し、レーザーのパルス
をターゲットに照射することにより、ターゲットの物質
を昇華させて、基板上に堆積させる。
【0004】桧垣らの報告(電子情報通信学会予稿集、
1991年4月26日、文献1)によれば、酸化物高温
超伝導体であるYBa2 Cu3 7-x (以下、YBCO
と略記する)薄膜をスパッタリングにより堆積させて作
製されたプレーナー型の円盤共振器は、表面抵抗の温度
特性の面で、マイクロ波・ミリ波分野への応用に対して
有望な特性を有することが述べられている。
【0005】上記文献1にも述べられているように、こ
のような酸化物高温超伝導体の応用には、酸化物高温超
伝導体薄膜の結晶性等の膜質が特に重要である。
【0006】図7は、上記文献1に記載された共振器の
分解斜視図である。図7に示されるように、上記文献に
よる共振器100は、円形薄膜106及び矩形薄膜10
7a、107bが表面に形成された誘電体108に対し
て、Au薄膜から成る下部グランドプレーン102を表
面に有する下部誘電体104が下方から、Au薄膜から
成る上部グランドプレーン110を表面に有する上部誘
電体112が上方からそれぞれ、挟む構造を有する。
【0007】一方、Holzapfel らによれば、c軸配向の
(c-axis oriented )エピタキシャルYBa2 Cu3
7-x 薄膜を、オフ軸(off-axis ) の配置によるレーザー
蒸着法によってLaAlO3 とSrTiO3 との(10
0)面を有する基板の表裏両面に形成したことが報告さ
れている(Holzapfel, B. et.al.,Applied Physics Lett
ers,61(26),pp.3178-3180,28 Dec 1992 、文献2) 。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記文献1の共振器で
は、1枚の酸化物高温超伝導体薄膜を有する誘電体に対
してグランドプレーン用導体膜を形成した2枚の誘電体
で挟む構造であるため、これら誘電体同士の密着度が多
少たりとも変化すれば、高周波特性に敏感に影響する。
そのため、高周波特性に関する信頼性の点で、実用的な
共振器の構造とは必ずしも言えない。
【0009】一方、この問題を解決する方法として、基
板の両面に薄膜を形成する方法がある。しかし、両面成
膜では、片面を形成した後、もう一面を形成する際、先
に形成した薄膜中の酸素抜けが発生し、特性が劣化する
問題があった。
【0010】また、上記文献2では、1枚の誘電体基板
に対して表裏両面に酸化物高温超伝導体薄膜を形成する
可能性を示唆することにより、1枚の誘電体基板内に共
振器とグランドプレーンとを包含させて、文献1に代表
される問題点を解決しようとしている。しかし、文献2
では、上記の可能性を示唆するのみにとどまっており、
具体的に表裏両面に品質の高い膜を形成する方法に関し
ては何等言及されていない。
【0011】本発明は、上記の状況に鑑みてなされたも
のであり、酸化物高温超伝導体を用いて信頼性の高いマ
イクロ波・ミリ波デバイス用部材を製造する方法を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波部材用超
伝導基材は、誘電体から成る平板状の基板と、基板の片
方の表面上に形成される酸化物高温超伝導体から成る第
1の層と、酸化物高温超伝導体層の上に形成される金
(Au)から成る第2の層と、基板の他方の面の上に形
成される第3の層とから成ることを特徴とする。
【0013】また、本発明の高周波部材用超伝導基材
は、酸化物高温超伝導体が、イットリウム(Y)酸化物
であることを特徴としてもよい。
【0014】本発明の薄膜製造方法は、チャンバ内にお
いて、(a)ターゲットと、金(Au)から成る金ソー
スとを並列に、チャンバ内に配置し、ターゲットと対面
するように、基板の第2の表面をヒーター上に接触して
配置するステップと、(b)チャンバを0.2〜0.6
トールの圧力に減圧し、基板を加熱して650℃〜75
0℃の温度に維持するステップと、(c)ターゲットに
レーザーを照射して、第1の表面上に堆積物質から成る
第1の層を堆積させるステップと、(d)チャンバ内の
圧力を解放して、チャンバ内の基板を冷却するステップ
と、(e)チャンバ内の圧力を10-6トール以下の圧力
に減圧するステップと、(f)金ソースを加熱し蒸発さ
せて、第1の層の上に金から成る第2の層を形成するス
テップと、(g)基板を180゜反転させ、第2の表面
とターゲットとを対面するように、第2の層とヒーター
とが接触して、基板をヒーター上に配置するステップ
と、(h)チャンバを0.2〜0.6トールの圧力に減
圧し、基板を加熱して650℃〜750℃の温度に維持
するステップと、(i)ターゲットにレーザーを照射し
て、第2の表面上に堆積物質から成る第3の層を堆積さ
せるステップとを備えることを特徴とする。
【0015】また、本発明の薄膜形成方法は、堆積物質
が、酸化物高温超伝導体であることを特徴としてもよ
い。
【0016】また、本発明の薄膜形成方法は、堆積物質
が、85K以上の超伝導臨界温度を有し且つ0tesl
aにおいて77Kでの臨界電流密度が105 A/cm2
以上である物質であることを特徴としてもよい。
【0017】また、本発明の薄膜形成方法は、堆積物質
が、YBa2 Cu3 7-x であることを特徴としてもよ
い。
【0018】また、本発明の薄膜形成方法は、基板が誘
電体であることを特徴としてもよい。
【0019】また、本発明の薄膜形成方法は、基板が、
MgOと、LaAlO3 と、Al23 とから成る群よ
り選択される物質を備えることを特徴としてもよい。
【0020】
【作用】本発明の高周波部材用超伝導基材は、基板の表
面(第1の表面)に形成された酸化物高温超伝導体から
成る第1の層の上に、金から成る第2の層を有する。従
って、第3の層の形成中における基板の加熱に対して、
第2の層がパッシベーションの役割を果たし、第1の層
に含まれる酸素原子が消失しにくくなる。従って、良質
且つ均質な薄膜を形成することができる。また、金から
成る第2の層は電極の役割も有し、モジュールに設置さ
れた際にモジュールと高周波超伝導部材との接触を向上
させるため、良好な高周波特性が達成される。
【0021】また、本発明の薄膜形成方法は、1つの基
板の上下に良質の高温超伝導体層を形成することが可能
となるため、これを用いて高周波特性が良好で且つ信頼
性の高い高周波デバイスを製造することが可能となる。
【0022】
【実施例】以下、添付した図面を参照して、本発明に従
った実施例を詳細に説明する。尚、これら図面において
は、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を
省略した。尚、各図面においては図示による説明の容易
さを優先させ、縮尺及びディメンジョンを誇張して描か
れている部分が含まれる。
【0023】(実施例1)本実施例では、酸化物高温超
伝導体にYBCO、部材の基板にMgO単結晶板を用
い、本発明に従った方法によりマイクロ波共振器用の部
材を作製した。図1は、本実施例において作製されたマ
イクロ波共振器用部材の斜視図である。尚、図1は、図
示のし易さのため誇張して描かれており、以下の説明の
数値とは必ずしも一致しない。図1に示されるように、
マイクロ波共振器用部材10は、誘電体であるMgO単
結晶板12の上に、酸化物高温超伝導体であるYBCO
から成る円形膜14と、略矩形膜16a及び16bを有
し、且つ、MgO単結晶板12の下に、同じくYBCO
から成るグラウンドプレーン膜18を有する。グランド
プレーン18の下には、金から成る電極層19が形成さ
れている。誘電体であるMgO単結晶板12は、長さ2
0mm、幅10mm、厚さ0.5mmのサイズを有す
る。円形膜14は、直径5mm、厚さ0.5μmのサイ
ズを有する。略矩形膜16a及び16bはいずれも、長
さ7mm、幅1mm、厚さ0.5μmのサイズを有し、
それぞれの円形薄膜との距離(両矢印17a及び17b
で示される)は、共に0.5mmである。グラウンドプ
レーン膜18は、MgO単結晶板12の下面全面に均一
な厚さで形成されており、その厚さは0.5μmであ
る。電極層の厚さは、約1μmである。
【0024】図2は、マイクロ波共振器の断面図であ
り、(a)〜(f)の順番で、本実施例でのマイクロ波
共振器の作製の手順を示す。図2を参照して、本実施例
におけるマイクロ波共振器の作製方法の概略を説明して
おく。まず、図2(a)に示される誘電体12の上下に
YBCO膜141,181及び電極19を形成して、高
周波部材用基材を作製した(図2(b)参照)。次に、
片方のYBCO膜141の上面全面に、フォトレジスト
を塗布してフォトレジスト層を形成した(図2
(c))。そして、マスクを用いて光露光を行った後、
全体を現像液に浸漬し、YBCO膜の表面にフォトレジ
ストパターン201を形成した(図2(d))。次い
で、YBCOをエッチングにより除去し、パターン20
1に保護されているYBCO膜のみを残した(図2
(e)参照、尚、図2(e)〜(f)においては、図1
に示される円形膜14の断面のみが示され、矩形膜の断
面は示されない)。最後に、フォトレジストパターン2
01を除去して、所望のマイクロ波用共振器が完成し
た。
【0025】次に、本発明の高周波部材用超伝導体基材
の製造方法について説明する。図3は、本実施例におけ
る高周波部材用超伝導体基材の断面図であり、薄膜形成
の各工程を表す。図3に示されるように、基板の片面に
酸化物高温超伝導体から成る第1の層181を形成した
(図3(a)参照)。次に、第1の層の上に、金から成
る電極(第2の層)19を形成した(図3(b)参
照)。更に、基板の他方の上に、酸化物高温超伝導体か
ら成る第3の層を形成した。
【0026】図4は、本実施例における第1、第2、第
3の層の形成に用いられた高周波部材用超伝導体基材用
製造装置のチャンバ内部の、概念図である。図4に示さ
れるように、接触式の基板ヒーター200に金属ツメに
より把持されている基板202の下には、酸化物高温超
伝導体から成るターゲット204がターゲットホルダー
206により保持されており、レーザー(点線208で
図示)がターゲット204に照射する。基板202とタ
ーゲット204との距離は90〜150mmと可変であ
る。基板ホルダー200の中心と、ターゲット204と
はずらしてあり、これと基板ホルダー200の回転機構
により、薄膜が局所的に成膜されることを防止するよう
になっている。
【0027】ターゲットホルダー206は回転し、更
に、レーザー208がターゲット204の回転中心から
外れた位置に入射するため、レーザーの入射が固定され
ていても、ターゲット表面の局所的な消費は防止され
る。チャンバは、200℃程度に耐熱性を有し且つ10
-6トール以下の圧力に減圧可能なチャンバであれば、市
販のチャンバを特に制限無く用いることができる。
【0028】このレーザーは、波長248nmのレーザ
ーを発するKrFエキシマレーザーであった。尚、この
レーザーは、波長193nmのArFエキシマレーザー
又は波長308nmのXeClエキシマレーザーであっ
てもよい。
【0029】以下、本実施例の製造工程を、各工程毎に
説明する。
【0030】(1:MgO単結晶基板両面へのYBCO
薄膜の形成(図2(b)参照))この工程では、図4に
示されるレーザー蒸着装置を用い、誘電体であるMgO
単結晶基板の表裏両面へ、酸化物高温超伝導体であるY
BCOの薄膜を形成した。
【0031】本実施例では、YBCOとして、化学量論
比がYBa2 Cu3 7-x のものを用いた。誘電体基板
には、両面鏡面研磨が施された(100)面を有するM
gO単結晶板を用いた。このMgO単結晶基板のサイズ
は、40mmx40mmx0.5mmであった。
【0032】第1〜第3の薄膜形成の条件は、以下の通
りである。まず、チャンバ(図示されず)を10-5トー
ルまで減圧した後、チャンバ内にO2 ガスを流下して、
チャンバ内圧力を400mTorr(O.4トール)に
保持した。ヒーターに電力を供給し、基板温度が650
〜700℃に安定するまでその状態を維持する。基板温
度は、予めチャンバ内の基板近傍に熱電対を設置して様
々なチャンバ内圧力や電力等の条件で温度測定を行って
おき、各条件に対する電力v.s.基板温度の検量線を
求めておくことにより、電力の操作のみで再現性良く温
度の制御が可能となる。次に、ターゲット及び基板ホル
ダーを20rpmで回転を開始した。また、基板の回転
中心とターゲットの回転中心との軸ずれの距離を40m
mとした。レーザー源(KrFレーザー、波長248n
m)に電力を供給し、約5Wのレーザー出力でレーザー
を発生させた。この時のレーザーのパルスの周波数は、
5Hzであり、各パルスのレーザーエネルギーは、0.
4J/pulse であった。
【0033】発せられたレーザーは、ターゲットに入射
する。本実施例では、ターゲットは直径20mmの円板
形状であり、ターゲット表面上のレーザーの照射面積
は、10mm2 (照射領域は2mmx5mm)であっ
た。また、3.0〜3.5J/cm2 であり、従って、
レーザーエネルギーは300〜350mJであった。
【0034】レーザーが入射されたターゲット表面で
は、Y、Ba、Cu、Oの各原子が昇華し、それぞれが
原子の状態で基板へと到達し、基板上に堆積されてい
く。このようなレーザー蒸着法により、堆積操作を約1
7分行い、約0.5μmのYBCO薄膜が堆積され、図
3(b)に示されるようにYBCOから成る第1の層1
81が形成された。本実施例では、得られたYBCO膜
の厚さと操作時間とから、堆積速度は平均で約1オング
ストローム/pulse であった。
【0035】次に、チャンバの減圧を解放して、圧力が
760トールに達した後、基板温度が200℃になるま
で、基板を自然に冷却した。基板温度が200℃に達し
た後、チャンバ内の圧力を10-6トールまで減圧し、そ
して、チャンバ金ソース用ヒーター210に通電して、
金ソース212を1,000℃に加熱した。金ソース2
12から、金(Au)が蒸発して、第1の層の上に金が
堆積して、図3(c)に示されるように約1μmの第2
の層(Au電極層)19が形成された。
【0036】第2の層の形成の終了後、チャンバ圧力を
再び大気圧に戻して、蓋を開け、基板を裏返した。即
ち、基板は、第2の層(Au電極層)がヒーターと接触
した状態で、ヒーターに把持された。このように、加熱
される面にAu層を形成することで、Au膜がパシベー
ションの作用を持ち、その下のYBCO膜からの酸素抜
けが著しく改善される。
【0037】そして、チャンバ内の圧力を0.4トール
に調整して、第1の層と同じ条件で、ターゲットにレー
ザーを入射して、図3(d)に示されるように、YBC
Oから成る第3の層141が形成された。
【0038】このように、MgO基板上に形成された両
面薄膜の導電性を、以下のように測定した。薄膜を形成
した基板の1つを薄膜の導電性測定用に取り出し、片面
ずつ別々に、薄膜に、フォトリソグラフィー及びエッチ
ングにより20μmx20μmのブリッジを形成した。
そして、温度条件を変えて、一般的な四端子法によって
ブリッジの両側の発生電圧を測定して抵抗値を得た。発
生電圧が1μV以下になる温度を超伝導臨界温度(T
c)と定めた。本実施例の薄膜のTcは両面とも88K
であった。次に、77Kにおいてブリッジに供給する電
流を徐々に増加させ、抵抗が発生した電流を臨界電流
(Ic)とし、Icをブリッジの電流通過断面積で除し
て、臨界電流密度(Jc)を得た。本実施例で作製され
たYBCO薄膜の臨界電流密度は、両面とも200万A
/cm2 であった。
【0039】また、得られたYBCO薄膜の厚み分布に
関し、膜の一部を取り除き、膜と基板との境にできる段
差を、接触式の表面あらさ計を用いて測定し、これによ
り、膜全面にわたって同様の測定を行った。本実施例で
形成された薄膜の厚みのばらつきは、表裏両面とも、+
/−5%以下の範囲内であった。
【0040】尚、YBCOから成る第1、第3の層の形
成において、圧力を0.2〜0.6の範囲で変化させて
数種類薄膜形成を行ったが、上記Tc,Ic,Jc及び
膜圧分布に関して、0.4トールの場合とほぼ変らない
結果が得られた。
【0041】(2:フォトレジストパターンの形成(図
2(c),(d)参照))以上のように形成されたYB
CO膜の片方の表面上に、周知のフォトレジスト技術に
よりフォトレジストパターンを形成した。
【0042】フォトレジスト材には、市販されているシ
リコン半導体用レジスト材を特に制限なく用いることが
可能である。例えば、ポジ型レジスト材としては、OF
PR−2(東京応化工業社製)、AZ111(ヘキスト
社製)等、一般的なポジレジスト材を例示することがで
きる。また、ネガ型レジスト材としては、JSR CI
R−712(日本合成ゴム社製)等を例示することがで
きる。
【0043】半導体製造プロセスの量産工程において多
用されている方法によって、ポジ型レジスト材の塗布の
後マスクを用いて光露光を行い、YBCO薄膜の表面上
に、図1に示される円板薄膜14及び略矩形薄膜16
a,16bのパターンをもったレジスト材が形成され
た。
【0044】(3:YBCOのエッチング(図2(e)
参照))以上のように形成されたフォトレジストに保護
された部分以外のYBCO膜をエッチングした。エッチ
ングには、半導体製造プロセスの量産工程で広く用いら
れているイオンミリング法が用いられた。
【0045】(4:レジスト材の除去(図2(f)参
照))最後に、残留レジスト材をアセトンにより除去
し、図1に示されるようなマイクロ波共振器用の部材が
完成した。
【0046】(マイクロ波共振器用部材の高周波特性の
測定)このように作製されたマイクロ波用共振器用部材
の高周波特性に関して評価を行った。まず、このマイク
ロ波用共振器は、誘電体の表面(円板薄膜が形成されて
いる方の面)及び裏面に、酸化物高温超伝導体が形成さ
れている構造を有する。従って、この共振器に入力され
たマイクロ波は、水平方向で且つ矩形薄膜から円板薄膜
を経て他方の矩形薄膜へと至る方向にマイクロ波を共振
させて導波する。
【0047】高周波特性の評価は、次の通りであった。
共振器をクライオスタット内で77Kの温度に平衡させ
た後、5GHzのマイクロ波を入力し、その際のQ値を
測定した。Q値の測定には、ネットワークアナライザを
用いて行った。
【0048】図6は、本実施例で作製されたマイクロ波
共振器の高周波特性の評価に用いられた装置のシステム
線図である。図6に示されるように、高周波特性測定装
置300は、試験体(マイクロ波共振器)302を内部
に包含して所定の温度に平衡させるクライオスタット3
04と、ネットワークアナライザ306とを備える。ク
ライオスタットには、冷却器308と、温度制御装置3
10が備えられている。温度制御装置310が制御可能
な温度範囲は、30〜300Kである。ネットワークア
ナライザ306は、信号ソース312と接続され、これ
を制御する。そして、ネトワークアナライザ306と温
度制御装置310とは、システムコントローラ314に
よって統轄的に制御される。本実施例で用いられたネッ
トワークアナライザ306は、HP8515B型(ヒュ
ーレットパッカード社製)であった。
【0049】図6に示されるように本実施例で作製した
共振器302は、クライオスタット304内部に設置さ
れて、77Kの温度に冷却された。その後、信号ソース
312に5GHzの高周波シグナルを発生させて、ネッ
トワークアナライザ306に導入した。ネットワークア
ナライザ306により、この5GHzの高周波シグナル
がクライオスタット304内の試験体302内に入力さ
れ、その応答はネットワークアナライザ306にフィー
ドバックされた。
【0050】本実施例により作製されたマイクロ波共振
器のQ値は、77Kにおいて40,000であった。従
って、本実施例により作製された酸化物高温超伝導体を
用いたマイクロ波共振器は、良好な周波数特性を有する
ことが確認された。尚、本発明は上記実施例に限定され
るものではなく、様々な変形が可能である。例えば、誘
電体基板には、MgOの他にも(100)面を有するL
aAlO3、R面を有するサファイア(Al2 3 )等
を用いることができる。
【0051】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の薄
膜製造方法及び薄膜製造装置によれば、良質且つ均質な
薄膜を基板の両面に形成することが可能となる。
【0052】従って、酸化物高温超伝導体を用いた信頼
性の高いマイクロ波・ミリ波デバイス用部材を簡便に製
造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って作製されたマイクロ波共振器の
概念的な斜視図である。
【図2】本発明に従って作製されたマイクロ波共振器の
断面図であり、本発明に従った製造方法の各工程におけ
る状態を表す。
【図3】本発明に従った作製された高周波部材用基材の
断面図である。
【図4】本発明に従った製造方法の実施に好適な薄膜形
成装置内部の一部の概念図である。
【図5】デバイスの高周波特性測定装置のシステム線図
である。
【図6】従来技術によるマイクロ波共振器の分解斜視図
である。
【符号の説明】
10…マイクロ波共振器用部材、12…誘電体基板、1
4…円形膜、16a,16b…略矩形膜、18…グラウ
ンドプレーン、20…フォトレジスト層、100…共振
器、102…下部グラウンドプレーン、104…下部誘
電体、106…円形薄膜、107a,107b…矩形薄
膜、108…誘電体基板、110…上部グラウンドプレ
ーン、112…上部誘電体、200…基板ヒーター、2
02…基板、204…ターゲット、206…ターゲット
ホルダー、208…点線、210…金ソースヒーター、
212…金ソース、300…高周波測定測定装置、30
2…試験体、304…クリオスタット、306…ネット
ワークアナライザ、308…冷却器、310…温度制御
装置、312…信号ソース、314…システムコントロ
ーラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01P 7/08 ZAA H01P 7/08 ZAA 11/00 ZAA 11/00 ZAAG

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体から成る平板状の基板と、 前記基板の片方の表面上に形成される酸化物高温超伝導
    体から成る第1の層と、 前記第1の層の上に形成される金(Au)から成る第2
    の層と、 前記基板の他方の面の上に形成される前記酸化物高温超
    伝導から成る体第3の層とから成ることを特徴とする高
    周波部材用超伝導基材。
  2. 【請求項2】 前記酸化物高温超伝導体が、イットリウ
    ム(Y)酸化物であることを特徴とする請求項1に記載
    の高周波部材用超伝導基材。
  3. 【請求項3】 前記酸化物高温超伝導体が、YBa2
    3 7-x であることを特徴とする請求項2に記載の高
    周波部材用超伝導基材。
  4. 【請求項4】 前記第1の層と、前記第3の層が、0.
    2〜0.5μmの厚さを有することを特徴とする請求項
    1に記載の高周波部材用超伝導基材。
  5. 【請求項5】 前記第2の層が、1μm以上の厚さを有
    することを特徴とする請求項1又は4に記載の高周波部
    材用超伝導基材。
  6. 【請求項6】 チャンバ内において、第1の表面と、前
    記第1の表面の裏側である第2の表面とを有する平板状
    の基板に対して、堆積物質から成るターゲットにレーザ
    ーを照射し前記堆積物質を昇華させて、前記基板の前記
    第1の表面上と前記第2の表面上とに前記堆積物質の膜
    を形成する製造方法であって、 (a)前記ターゲットと、金(Au)から成る金ソース
    とを並列に、前記チャンバ内に配置し、前記ターゲット
    と対面するように、前記基板の前記第2の表面をヒータ
    ー上に接触して配置するステップと、 (b)前記チャンバを0.2〜0.6トールの圧力に減
    圧し、前記基板を加熱して650℃〜750℃の温度に
    維持するステップと、 (c)前記ターゲットにレーザーを照射して、前記第1
    の表面上に前記堆積物質から成る第1の層を堆積させる
    ステップと、 (d)前記チャンバ内の圧力を解放して、前記チャンバ
    内の基板を冷却するステップと、 (e)前記チャンバ内の圧力を10-6トール以下の圧力
    に減圧するステップと、 (f)前記金ソースを加熱し蒸発させて、前記第1の層
    の上に金から成る第2の層を形成するステップと、 (g)前記基板を180゜反転させ、前記第2の表面と
    前記ターゲットとを対面するように、前記第2の層とヒ
    ーターとが接触して、前記基板を前記ヒーター上に配置
    するステップと、 (h)前記チャンバを0.2〜0.6トールの圧力に減
    圧し、前記基板を加熱して650℃〜750℃の温度に
    維持するステップと、 (i)前記ターゲットにレーザーを照射して、前記第2
    の表面上に前記堆積物質から成る第3の層を堆積させる
    ステップとを備えることを特徴とする薄膜製造方法。
  7. 【請求項7】 前記堆積物質が、酸化物高温超伝導体で
    あることを特徴とする請求項6に記載の薄膜製造方法。
  8. 【請求項8】 前記堆積物質が、85K以上の超伝導臨
    界温度を有し且つ0teslaにおいて77Kでの臨界
    電流密度が105 A/cm2 以上である物質であること
    を特徴とする請求項6に記載の薄膜製造方法。
  9. 【請求項9】 前記堆積物質が、YBa2 Cu3 7-x
    であることを特徴とする請求項6に記載の薄膜製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記基板が誘電体であることを特徴と
    する請求項6又は9のいずれかに記載の薄膜製造方法。
  11. 【請求項11】 前記基板が、MgOと、LaAlO3
    と、Al2 3 とから成る群より選択される物質を備え
    ることを特徴とする請求項6又は9のいずかに記載の薄
    膜製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999053567A1 (en) * 1998-04-13 1999-10-21 Mems Optical, Inc. Three dimensional micromachined electromagnetic device and associated methods
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